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2018年08月27日

失語症 呼称訓練と語想起訓練の違いについて 言語聴覚士、STS向け

皆さんこんにちは!
言語聴覚士として病院に勤務している桃の助です!

本日は、失語症の訓練でよく行われる「呼称訓練」と「語想起訓練」についてお話ししたいと思います。
このページは言語聴覚士、言語聴覚学科の学生さん向けに書かせて頂きますので、とても専門的な内容となります。

失語症について知りたい方はこちらから↓↓↓
失語症

構音障害について知りたい方はこちらから↓↓↓
構音障害

嚥下障害について知りたい方はこちらから↓↓↓
嚥下障害

認知症について知りたい方はこちらから↓↓↓
認知症

高次脳機能障害について知りたい方はこちらから↓↓↓
高次脳機能障害



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呼称訓練と語想起訓練の違い

まずは呼称訓練と語想起訓練のそれぞれの練習方法を確認したいと思います。

【呼称訓練】
呼称訓練は絵カードを見ながら名前を答える練習方法ですね。
絵を見て、それが何の絵か理解し、どういった名前かを考えて答えます。

【語想起訓練】
語想起訓練は物をイメージして名前を答える練習方法です。
例えば、頭に「か」がつく言葉を出来るだけたくさん答える練習が語想起訓練になります。

【呼称と語想起の違い】
それでは、本題です。
言語聴覚士の訓練を見ていると、失語症の訓練としては呼称訓練を用いることが多いと思います。
しかし、それぞれには機能の違いがあり、ADLにおいても目的が異なります。
(※ADL=日常生活動作)

ズバリ
呼称は、目の前の物の名前を答えること。
語想起は、目の前に無い物の名前を答えること。


となります。

呼称と語想起のどちらが大切かというと、どちらも大切です。
呼称は目の前の物の名前を言うために必要な能力を訓練する方法です。
語想起は目の前に無い物の名前を言うために必要な能力を訓練する方法です。

会話の場面を想像してみてください。

会話中には目の前の物の名前を言う事もありますし、目の前にない物の名前を言う場合もあります。

しかし、なぜ言語聴覚士は呼称訓練ばかりやってしまうのか!?
それは、絵カードを見せて答えてもらうという取り組みやすい内容が関係しているかもしれません。
または、語想起訓練を正しく理解していないまま、語想起能力の重要性を分かっていない可能性もあります。

臨床実習できた学生さんや、新人の言語聴覚士で高頻度で後者の語想起の理解不足はみられます。
なので、本日は、語想起訓練の大切さを覚えて帰って下さい。


日常場面では語想起能力が必要!

呼称のように、目の前の物の名前を言う能力も大切です。
しかし、日常の会話場面を想像してみてください。

目の前の物の名前を言うだけで、会話は成立のするでしょうか?

目の前の物の名前を言った後は、語想起できなければすぐに会話が無くなってしまうと思います。
語想起能力がSLTAで0点の場合は、呼称能力がSLTAでほぼ満点でも、会話ですぐにつまってしまいます。
(※SLTA:標準失語症検査)
または、会話内容が非常に薄いものとなってしまいます。

私も昔、そういった患者さんを担当したことがあります。
呼称能力が非常に高いにもかかわらず、語想起能力が非常に低いため、会話中にはほぼ相づちや「そうですねー」といった発話しかできない患者さんがいました。
その患者さんにはもう少し語想起訓練をできれば、少しは違った会話能力になっていたのではないかと反省しています。

日常の会話は語想起能力が役割のほとんどを占めていると言っても過言ではありません。
なので、皆さんは日常の会話能力を高めるためには、必ず語想起訓練を行うようにしてください!


おわりに

最後まで読んで頂きありがとうございます!
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posted by 桃の助 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 失語症

2018年07月15日

発語失行の訓練法選択について

皆さんこんにちは。
当サイトを運営している桃の助です

本日は、脳卒中後に起こる言語障害の1つの症状である「発語失行」についてお話ししたいと思います。
発語失行は、重症となることも多く、また残存しやすい症状の1つでもあります。
そのため、退院後も日常生活で会話の不自由さが残りやすいとも言えます。

そんな発語失行に対する訓練法の選択について本日はお話ししていきます。
pose_shock_ojiisan.png



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発語失行とは

発語失行の訓練法の選択に入る前に、まずは発語失行の症状についておさらいしておきたいと思います。
発語失行は、「発声発語器官の麻痺や失調、不随意運動などの運動障害が伴わないにもかかわらず出現する構音の障害」のことを言います。

【責任病巣】
・ブローカ領域の運動回路
・前頭葉病変または後方病変
・左中心後回の顔面領域
・左半球の島
・中心前回下部
など、責任病巣については多数の報告があり、特定されていないのが現状です。

【合併する事の多い症状】
・口腔顔面失行:約68%
・手足の失行:67%
・口腔顔面失行と手足の失行の合併:83%
・失語症:81%
・ディサースリア(構音障害):31%

症状などについてはこちらからどうぞ↓
発語失行について


訓練法の選択

では、本題の訓練法の選択についてお話ししたいと思います。
訓練レベルの選択.png
発声・母音

重症であれば、まずは「あ」の発声から始める事になるでしょう。
重症例の場合は、「あ」という簡単な発声すらできない場合もあります。

「あ」の発声ができるようになれば、次は母音の練習に移ります。
「い」「う」が「あ」の次に模倣しやすい音になります。
「い」「う」が言えるようであれば、「え」「お」に進んで練習しましょう。

子音発声

母音が発声できるようになれば次は子音です。
子音の練習では、STがいかに口形を正しく見せ、分かりやすく指導できるかが重要となります。

ターゲットとなる音は、「ぱ」から始める事をお勧めします。
発語失行の患者では、口腔に過度な緊張が入る事が多いので、破裂音は取り組みやすい音となります。
また、両唇音のため、口形模倣がしやすく、比較的練習しやすい音となります。

子音の発声で難しい点としては、「ぱ」と「ば」の違いを上手く発声出来るように指導する点が挙げられます。
「ぱ」が先に習得されやすく、「ば」が後に習得されやすいです。
そのため、「ば」と発声したいのに、患者は「ぱ」と発声してしまいます。
こういった場合には、口形で示しても患者には同じように見えてしまいます。
この時の解決法としては、「音の高さの違い」を視覚的に呈示します。
例えば、「ぱ」を発声する場合は高音域になりやすいです。
また、「ば」を発声する場合は低音域になりやすいです。
これを利用して、発声とともに手などで音の高さを示してあげる事で、患者も音の調子を合わせやすくなり、発声できる確率が増えてきます。

その他には、挨拶後や慣用句、系列語(1、2、3…)などが有効な場合も多いです。



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重症度による訓練方法の選択

重度

・メロディック・イントネーションセラピー(MIT)
・斉唱
・歌
など

重中度

・口腔顔面失行が強い場合は、随意的な非構音運動の併用
・発声持続(意図的構音)
・口形強調提示による母音
・ハミングから/ma/など非構音運動の利用で音節、単語(短い)
・MIT
など

中等度

・系統的構音訓練(簡単な音から、短い音節から、簡単な調音結合から)
・構音運動の説明や呈示による理解、口形や口形図によるヒント呈示
・触覚ー運動感覚情報の強調
・視覚フィードバックの強調
・聴覚フィードバックの強調
など

軽度

・言いにくい調音結合の単語での訓練
・文、文節での訓練
・プロソディの訓練(より自然会話に近づくよう)
・録音による自己評価
・自主学習
・マンガ説明や会話場面での自然会話
など

ここでは、それぞれの訓練法についての説明はあまりにも多くなるので、割愛させて頂きます。

おわりに

軽症例であれば失語症の訓練に近い訓練法の選択になると思います。
しかし、重症例であれば口形模倣も困難な場合が多いので、口腔顔面失行に対するアプローチも多くの場合では選択肢に入ってきます。
また、初頭音の開始困難から、発声を極度に嫌う患者もいます。
そういった患者に対して心のケアもSTが行えるといいですね。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
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それではまた。

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posted by 桃の助 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 失語症

2018年05月24日

失語症者の知能低下 〜ST・STS向け〜

皆さんこんにちは。
言語聴覚士の桃の助です

本日は失語症者の知能低下についてお話ししたいと思います。
はじめに言っておきますが、このページは非常に専門的な内容のオンパレードです。
言語聴覚士、言語聴覚学科の学生対象に書きますので、その他の方は他のページをご覧ください



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私は臨床実習で学生指導を行っています。
学生が失語症患者を担当した場合にSLTA以外にも必ず知能検査もしたいと言ってきます。
確かに失語症の方に対して知能検査を行う事は有意義であり、今後の支援に対して一つの指標となることでしょう。
学生の話を聞いていると、「失語症は知能低下が無いにも関わらず、言葉が思い出せない、理解できないといった症状を呈する状態」と考えているようです。

ではなぜそういった考えになるのか?
本当にそうなのか考えていきたいと思います。
figure_question.png


ブローカが言った知能低下が原因でない説

kid_job_girl_teacher.png
1861年にブローカが発表した運動性失語の報告で、知的障がいが無いにも関わらず、言葉を話せない状態と報告しています。
ブローカと言えばブローカ失語を発見した大偉人です。
その人が言った言葉と言うと誰しもが信じてしまうかもしれません。
私も授業で「失語症は知能低下がないにも関わらず、会話ができない状態」と習いました。

しかし一方で、1879年にジャクソンが発表した論文では、失語症は知的障がいに起因しているという立場をとっています。

その後も長年に渡り知的機能低下が原因かどうかという論争が行われたようですが、決着したのかは定かではありません。

イメージとしては間違っていない

知的障がいが起因した失語症でないという考えは間違っていないと思います。
つまり、知的障がいによって話せなくなったわけではなく、失語症が出現した結果、知的機能の低下が起こったと考える方が妥当だと私は思います。

つまり、脳卒中後に失語症を呈し、その結果知的機能が低下したと考えています。

失語症者の知能イメージ

コース立方体組み合わせテスト イメージ.png
知能を測定する検査として、コース立方体組み合わせテストやレーヴン色彩マトリックス検査、WAISなどがあります。

一つコース立方体組み合わせテストの例をとって考えてみたいと思います。
もし、あなたがコース立方体組み合わせテストを被検者として検査されたとしたら、完成までにどんな事を考えますか?
「ここは赤か…」
「ここは三角形になっているから…」
「16個だから縦4個、横4個だな…」
etc…

なんてことを頭の中で考えると思います。

では、次に失語症者の頭の中を考えていきたいと思います。
「ここがこうなって」
「ここはこうかな?」
「なんだこれ?」
「し、し、四角形?」
「4個、4個、全部で?あれ?」


といった具合に頭の中で考えている可能性が高いのです。
つまり、頭の中でも喚語困難や語想起困難は出現しているので、代名詞主体の思考になっているはずです。
そうすると、より深い考えは生まれず、端的な考え方になりがちなのです。
また、錯語が出現する場合もあるかもしれないので、途中で何を考えていたのか分からなくなってしまう可能性も大いにあります。

失語症によって生じる知能低下

先行研究を見ていくと、失語症によって知能低下は生じる場合とそうでない場合とがあるようです。
傾向としては、@軽微な失語症では知能低下はきたしにくい、A失語症が重度になればなるほど知能低下は比例する、という結果が出ていました。

つまり、知的障がいによって失語症が生じるのではなく、失語症によって知能低下が起こる可能性があるという結果だと考えられます。

おわりに

ここまで読んで頂ければ、たいていの学生さんは「学校で習った内容と違う!」「レポートにどう書こう?」という話になると思います。
もし、担当患者さんが失語症で、軽度知能低下がみられた場合には、「軽度知能低下がみられているが、会話能力低下に直接起因する程度ではなく、会話力を低下させている原因は失語症である」といった書き方をすればいいと思います。

本日は難しい内容になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。
この他にも色々な記事を書いているので、読んで頂けると嬉しいです。

それではまた。
桃の助でした


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posted by 桃の助 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 失語症

2018年03月16日

発語失行について 〜医療・介護スタッフ、家族向け〜

皆さんこんにちは!
言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明は、こちらから


このページでは、失語症の一症状の「発語失行(はつごしっこう)」についてお話ししたいと思います。

「失語症についてあまり知らない」という方は、こちらから
「失語症は何となく知っているけど、もっと詳しく知りたい」という方は、こちらから

発語失行は失語症の患者に時々みられる症状の一つなんですが、失語症とは若干違います。
どちらかと言うと名前の通り失行に近い症状なんですが、失語症の患者さんの発話の阻害要因になっている事が多いので、失語症のカテゴリーとしてお話しをさせて頂きます。




発語失行とは

発語失行はブローカ失語や非流暢タイプの失語症に合併します。

麻痺や失調などの構音器官に運動障害が無いにもかかわらず、一貫性のない構音の誤りが生じる状態です。
また、この時に言おうとしている言葉は喚語されています。

音節(一音)ごとに構音するなど遅く、努力性の発話となり、プロソディの障害を呈します。
(プロソディ=リズム・アクセント・抑揚など)

つまり簡単に言うと、
言いたい言葉は言葉として出てきていますが、話す直前になってたどたどしい発話になってしまう状態です。
その際に、麻痺などは無いにもかかわらず、話した言葉が不明瞭になったり、日本語に存在しないような音として表出される状態と言えます。
pose_shock_ojiisan.png
実際の発話を表記してみると
「こんにちは」→発語失行「ど、ん…ひひ、やっ」

単語レベルであればこの程度ですが、文章レベルになると、
「今日もいい天気ですね」→発語失行「ど、んんもっ…いぃ、いぃ。つぇん、くぇで、つっぅ…え」

というような聞き手からすると、非常に分かりにくい発話となってしまいます。


責任病巣

左半球の中心前回下部と言われています。
島前部も責任病巣と言われていますが、現状では中心前回下部が最も有力です。


合併しやすい症状

口腔顔面失行

観念運動失行が口腔顔面領域に起こった場合起こります。
口笛をふく、舌打ちをする、口の動作を真似るといった動作ができなくなります。
責任病巣:左縁上回前下部から左中心後回後下部


評価

一般的には、
・標準失語症検査(SLTA)
・失語症鑑別診断検査
・WAB失語症検査(WAB)

掘り下げ検査として、
・日常コミュニケーション能力検査(CADL)
・失語症語彙検査
・失語症構文検査(STA)
・重度失語症検査
などがありますが、ここでは割愛させて頂きます。


予後と対応

症状が重度であればあるほど、時間がかかり回復が難しくなります。
重度なほど、症状は残存しやすくコミュニケーションが困難なまま生活しなければならない可能性が高まります。

その際に、ブローカー失語と発語失行の方であれば、理解は良好であるため、コミュニケーションノートなどの代替手段を活用すると、円滑に会話ができる可能性があります。

軽症の方であれば、発症以前とほぼ同等の状態まで回復する可能性もあります。

コミュニケーションノートや発語失行の訓練については別のページでお話しさせて頂きたいと思います。



いかがだったでしょうか?
このページでは、発語失行についてお話しさせて頂きました。
発語失行を患った患者さんは理解できている分、発話がスムーズにいかない事に対する心理的なストレスも非常に大きいです。
代替手段のコミュニケーションノートなどを活用して、コミュニケーションの円滑化を図りたいものですね。


この他にも病気予防や症状について書いていますので、お時間がある方は他のページも読んでいただけると嬉しいです。
それではまた。
桃の助でした




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posted by 桃の助 at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 失語症

2018年02月21日

失語症のタイプ 〜患者家族、医療・介護従事者向け〜

皆さんこんにちは。

言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明は、こちらから

このページでの内容は、「失語症のタイプ」についてです。
失語症についての説明は、こちらから

このページの内容は、とても専門的で初めて見る方には非常に分かりにくい内容となっています。
対象としては、医師、看護師、介護士、リハビリ、失語を勉強中の学生、失語症を発症された方の家族さん向けです。


出来るだけ分かりやすいように書きますが、失語症について全くご存知でない方はまずは失語症について知っていただくために、上のリンクから概要を把握されることをお勧めします!


それでは本題に入ります。
医療従事者であれば、全失語、ブローカ失語、ウェルニッケ失語程度は聞いた事があると思います。
しかし、失語症のタイプはそれだけではないんです!!
その他にも沢山のタイプがあるので、ここではそれらも含めてご紹介したいと思います。




失語症のタイプ

失語症のタイプ分類一覧

失語症タイプ分類一覧表.png
分かりやすくするために失語症のタイプ分類を表にまとめてみました。

失語症のタイプ分類をするうえで大事な事は、
@会話の流暢性はどうか?
A復唱はできるか?
B言葉の理解はどうか?
が関係してきます。


例えば、
(例1)
@会話の流暢性はどうか? → 会話ができない(非流暢)
A復唱はできるか? → 復唱は全くできない(復唱不良)
B言葉の理解はどうか? → 言葉の理解ができない(聴理解不良)
という結果であれば、失語症のタイプは全失語となります。

(例2)
@会話の流暢性はどうか? → ほとんど問題なく話せる(流暢)
A復唱はできるか? → 復唱も問題ない(復唱良好)
B言葉の理解はどうか? → 言われた内容はほぼ理解できる(聴理解良好)
という結果であれば、失語症のタイプは失名詞失語となります。


この失語症タイプ分類一覧表を見れば、何となく大体のタイプは分類できそうですね


流暢性の判断

しかし、簡単な感じで書いてはみたものの、実際にタイプ分類してみると、「これは良好?不良?」と悩む場面があります
特に言葉の流暢さの判断が難しいんです。
私たち言語聴覚士は流暢性の判定は下の8項目から判断しています。

@発話速度
1分間に150文字以下の発話が非流暢、450文字以上は正常
Aプロソディ
音声の抑揚、リズムに異常があるかどうか
B構音
不明瞭な発話(音声)
C句の長さ
句の長さが2単語以下
D努力
発話の前に顔をしかめる、姿勢を変える、深呼吸をする事で、発話に弾みをつけようとしている様子
E発話の切迫
流暢性の場合は会話を止められない
F内容
流暢性は発話量は多いが内容に乏しい
非流暢性は発話は短いが本質的な情報を含んでいる
G錯語
他の音を発話したり、日本語に無い言葉を言う症状は流暢性の特徴




失語症のタイプ別症状

日本で最も多くみられるのが、ブローカ失語(34%)、ウェルニッケ失語(17%)、全失語(14%)となっています。
ここからは失語症のタイプ別に症状を書きたいと思います。

@ブローカ失語
【特徴】
・非流暢な発話
・自発話と同様に障害された復唱
・比較的良好な聴理解
・発語失行
・失文法
・自動的発話と意図的発話との乖離
・読解は良好
・仮名の書字が困難
・病巣:ブローカ領域、左中心前回および後回、島など環シルビウス言語領域前方


Aウェルニッケ失語
・流暢な発話
・復唱障害
・中等度以上の聴理解障害
・音韻性錯語
・語性錯語
・ジャーゴン
・錯文法
・病巣:ウェルニッケ領域を含む左側頭葉、角回、縁上回など、環シルビウス言語領域後方


B全失語
・非流暢な発話
・自発話と同様に障害された復唱
・重篤な聴理解障害
・病巣:環シルビウス言語領域を含む広範囲な病変


C伝導失語
・流暢な発話
・復唱障害
・良好な聴理解
・音韻性錯語
・音韻性錯読、錯書
・病巣:縁上回を中心とする左頭頂葉皮質および皮質下白質あるいは弓状束、島および聴覚野


D超皮質性感覚失語
・流暢な発話
・良好な復唱
・中〜重度の聴理解障害
・語性錯語
・自発書字困難
・病巣:左側頭ー頭頂ー後頭葉接合部分領域


E超皮質性運動失語
・非流暢な発話
・良好な復唱
・良好な聴理解
・自発話が著しく減少
・発話開始の遅れ、保続、声量低下
・病巣:ブローカ領域の前方あるいは上方、補足運動野を含む前頭葉内側面、側脳室前角の前外側部白質など


F超皮質性混合失語
・非流暢な発話
・良好な復唱
・重篤な聴理解障害
・自発話はほぼない
・反響言語や補完現象
・読み書きも重度障害
・病巣:ブローカ領域の前方あるいは上方および側頭ー頭頂ー後頭葉接合部領域


G失名詞失語
・流暢な発話
・良好な復唱
・良好な聴理解
・喚語困難が主症状
・病巣:確定しない。ブローカ失語、ウェルニッケ失語、伝導失語などから回復して移行した場合と、発症直後から失名詞失語の場合がある。


Hその他の失語:皮質下性失語
・視床失語
・被殻、内包失語  などもあります。



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こうして失語症の説明をすると非常に覚える事が沢山あります。私たち言語聴覚士も大体は覚えてはいますが、全てを暗記しているわけではありません
何度も見比べて目的の失語症のタイプが見つかって参考になればいいなと思います。




ちょっと難しい話にはなりましたが、いかがだったでしょうか?
このページでは失語症のタイプについてお話をさせて頂きました。
失語症のタイプを知ることで、どう接すればいいのか?どういった手段を用いればコミュニケーションが取れるようになるのか?などのヒントになることがあります。
そうやって適切なコミュニケーションのヒントになればいいなと思います。

失語症の方への訓練や接し方については別ページで説明したいと思います。


以上、桃の助でした



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posted by 桃の助 at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 失語症

2018年02月06日

失語症って何?〜病気について〜

皆さんこんにちは
日々、言語聴覚士として病院で働いている桃の助と言います

今日は失語症についてお話ししたいと思います。

皆さんが失語症という文字を見ると、言葉が全く話せなくなる状態に思われるかもしれません。
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でも実際の失語症は症状の出方や程度が様々なんです

症状が軽い方はほとんど会話に困らない程度ですが、症状が重い方は一言も言葉が出ず、話の内容も理解出来ないという方もいます。

このページでは失語症の原因や症状についてお話をしていきます



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失語症(しつごしょう、aphasia)

[原因]
主に脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢が損傷される事で出現します。
つまり、脳以外の病気で失語症になる事はありません。


[症状]
高次脳機能障害の1種で、言語機能の「聞く」「話す」「読む」「書く」「推論する」といった機能が障害されます。
(※高次脳機能障害については別ページでお話しさせて頂きます)


【失語症の具体的な症状】
@相手が言っている事が理解できなくなる。
A言葉が思い出せない、または別の言葉を発してしまう。
B文字が読めない。
C文字が書けない。
D適切な判断が出来なくなる。
E計算が出来なくなる。


[主な脳の損傷部位]
@前頭葉:脳の前方の部分です。
A側頭葉:脳の左右側方の部分です。
B頭頂葉:脳の上側の部分です。
C皮質下:脳の内側の部分です。

この損傷部位を見ていただければ、脳の大部分で失語症になる可能性がある事が分かると思います

ただし、ほとんどの方で左脳の損傷でしか失語症にはなりません。
まれに右脳の損傷で失語症になる方もいますが、大部分の方は左脳に言語中枢が存在すると考えられています。

損傷部位をまとめると…
左脳の前頭葉、側頭葉、頭頂葉、皮質下
で失語症になる可能性があります。
脳にダメージがない状態で話しが出来にくくなった場合は、その他の病気(精神疾患など)を疑った方がいいかもしれません

これらの症状は個人差があるので、一概に全て出現するという訳ではないのですが、多かれ少なかれ失語症の方にはみられます。


【脳の損傷部位による症状分類】
失語症は脳の損傷した部位によって異なった症状が出現します。
例えば、
・前頭葉の損傷:理解は良いが、スムーズに会話ができなくなる。
・側頭葉の損傷:理解が難しいが、スムーズな受け答えができる。
・頭頂葉の損傷:漢字は読めるが、仮名が分からなくなる。
これらはごく一部の限局した症状紹介です。実際には様々な症状が複合的に出現します。
(※専門的な症状分類は別ページで紹介したいと思います。)


【もしあなたが言葉が出にくい状態になったらどうすればいいの?】
迷わず、かかりつけの病院へ相談しましょう!
小さな個人病院ではまれに見抜けない事もあるかもしれませんが、ほとんどの場合は検査をして頂けると思います。


今日は失語症についてお話をさせていただきました。

もっと詳しく知りたい方はコメントを下さい。

それではまた。桃の助でした



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posted by 桃の助 at 12:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 失語症
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皆さんはじめまして! 日々、病院で言語聴覚士として勤務している桃の助といいます。 言語聴覚士として実際場面にいることで知り得る情報を皆さんに発信していきたいと思います。 子どもの発達や障害、大人の障害はもちろんですが、健康や予防方法についてもお話ししたいと思います。 何か気になることなどあればコメントを宜しくお願いします。
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