ブログを書き続ける作業は一種の才能ですね。毎日相場情報に接していても、本を読んでも、まとまった文章を定期的に書くのは難しいことです・・・
ここまでの日本株は、まずまず期待した通りの展開になっています。次の目標値は、前回記事でお示しした通り震災前高値の10,800〜11,000円程度だろうと思っています。以前に当ブログで紹介した国内屈指のthe poor fund managerは、毎日の株価に気分を振らされながら中途半端な(強気でも弱気でもない)ポートフォリオを構築して、インデックスに追いつけない状態が続いています。騰落レシオ等で見る短期株価指標には過熱感も出ているように見えますが、ここは彼の神通力(笑)を信じるべき局面なのではないでしょうか。
まったく季節外れの明けましておめでとうございます。
昨年12月相場は11月末日対比僅かな上昇(ほぼ横ばい?)というショボい結果に終わりましたが、年明け以降ここまでの相場は強い展開が続いています。

この相場つきの理由として、「ECBによる事実上無制限の国債買取方針」「FRBの金融緩和継続・インフレターゲット導入」といった政策要因が語られることも多いのですが、「後付け」感が否めないと思います。単純に、昨年10〜11月の総悲観の中で実は世界景気が循環的に底入れに向かい始めているという事実(例えば傾聴すべき嶋中ストラテジストのご見解)が見過ごされていたと考えるべきではないでしょうか。
どんな低空飛行している経済においても、景気循環は存在しますし、必ず上に向く時があります。その時の株価が十分に低ければこれもまた上昇します。今も種々の”世界経済クラッシュ懸念”があちこちで喧伝されていますので、まだ可能性として考慮すべきバッド・シナリオはあろうかと思いますが、「景気」は最強の株価上昇要因であり、一旦生じた景気トレンドは(上にも下にも)暫く継続するというのが強い経験則であることを思えば、今の相場環境下では起きた事象をなるべく前向きにとらえる態度が良い結果をもたらすのではないでしょうか。

ところでしばらく強気相場に乗るとして、日本株はどこまで上がるでしょうか?当面のメドになりそうなのが、ずっとやられてきた日本株全体のPBR(株価純資産倍率)1倍復帰でしょう。1/26のTOPIX終値は764.61で、Bloomberg集計のTOPIXのBPS(一株当たり純資産)は828.19です。TOPIXのPBRが1倍に戻るとすると、TOPIXはあと8%程度上昇する―日経平均では9,500〜9,600円程度になるということになります。この水準を超えて強気相場が続く(そうなると願っていますが・・・)とすれば、次は震災前(2010年)の高値=日経平均11,000円がターゲットになるでしょう。
更にその先・・・ということになると、2007年の高値水準=18,000円を抜くか?ということになりますが、この水準を達成するには為替・デフレなど幾つかの大問題がクリアされることが必要でしょう。そうなる条件も追々考えてみたいと思いますが、まだ気が早いでしょう。なにしろ、この記事タイトルの相場格言の後段は、「楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」ですからね!
と、相場格言通りに強気相場が続いていくれると嬉しいですね
なにしろバブル崩壊の潜在成長率低下エコノミー下での株価回復ですから、上昇の持続力には疑問はありますが、「我々の予測能力は低い」という何より正しそうな命題通りに、現状延長的弱気予想が外れれば皆ハッピーになれるでしょう!
昨日、某最大手証券主催のカンファレンスで、小泉純一郎元首相の講演を聴く機会がありました。
元首相の話を直接聞くのは初めてでしたが、ホンモノはやはり弁舌の天才でした。自分の言葉で語りかける力の高さ、ほど良いレベル感の教養ウンチク話、1時間に4〜5回程混ぜるユーモア・オーバーアクション。どれをとっても聴衆の心を惹きつけるに十分でした。好き嫌いは別にして、元首相は最近20〜30年の日本政治家の中では、間違いなく傑物に数えられるべき存在でしょう。必然的にポピュリズム化する現代民主主義の力学を、元首相ほどリアリスティックに理解している政治家も少ないのではないでしょうか。
原発推進政党であった自民党の元首相でありながら、『原発推進では選挙で勝てない』ことを感じ取り、今や脱原発論者に転じています。また、自助論者である元首相が在任中に言ってみたかった言葉は、J.F.ケネディの就任演説の有名な一節
  Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.
 (祖国があなたに何をしてくれるかを尋ねてはいけません、あなたが祖国に何をできるか考えなさい)
だったそうですが、日本の首相がこんなことを言ったら落選してしまうので言えなかった(笑)そうです。
ポピュリズムの天才が抱く政治潮流に対する感覚は、侮るべきではないと思います。「脱原発」の潮流は、産業界(及び一部ネット言論人)がタカをくくっているほどひ弱なものではなく、先進国の電力政策を転換させてしまう可能性を持つものと見ておく方が良かろうと思います。
「脱原発」での代替発電用エネルギーの本命はどれでしょうか?いわゆる自然エネルギー(太陽光、風力、地熱etc)発電は、その安定性・経済性において余りに脆弱過ぎます。となれば、天然ガスの高効率発電か、クリーンコールパワー(石炭ガス化等)ということになりますが・・・顛末や如何に。
エントリのタイトルは、私の大好きな江戸時代の米相場師のレジェンド・慈雲斉牛田権三郎が狂歌で残した相場極意の代表作です(『三猿金泉秘録 』ご参照)。

前の記事でも指摘した通り、世界(特に先進国)経済はバブル崩壊の余波で停滞中、更に欧州債務危機の「悪化」が加わり、世界相場は荒れ模様になっています。ただ、普段は重要経済指標発表(例えば)など埋め草扱いの日経新聞や、テレビといった低感度媒体も1面やトップニュースでこの状況を取り上げるなど、状況の認知は進んでいるように見えます。
欧州債務危機は、破たん連想がイタリアやドイツにまで及び、無論楽観できる状況ではないと思いますが、一連の危機情報伝達・相場パニックには一部オーバーシュート(行き過ぎ)的な動きがあるように感じます。理屈で説明しにくいのですが、「ユーロ圏ソブリン・銀行連鎖破たん→リーマン・ショックを超える信用収縮→世界大恐慌」といった(ある意味面白すぎる)一大スペクタクルが見られる可能性は低いのではないでしょうか?

バブル崩壊の余波は長く、欧米経済は回復しても今後低成長に陥るリスクがあり、欧州債務危機は決して侮れないとなると、普通の理解では、今現在株のようなリスク資産相場に強気になるべきファンだメタルズ要素はほとんど見当たりません。しかし、こうした弱気見解が市場コンセンサスになっていれば、下に行き過ぎた相場は(短期的には)反発に向かうことがあります。牛田権三郎の言う「理外の理」ですね。
市場参加者全員にホンネアンケートを実施できる訳ではないので、弱気見解が今の市場コンセンサスであるか否かを厳密に確認することはできないのですが、上述のマスコミ弱気報道や、この10数年私の知る限り国内屈指のthe poor fund managerが先週弱気に転じたという観察を以て、『野も山も、皆いちめんに弱気』になりつつあると見て良いのではないかと思っています。

国内株の11月は前月末比下落で終わる可能性が高いでしょう。しかし、最近10年(2001〜10年)の国内株価(TOPIX)の12月騰落率は7勝3敗です。また、過去20年(1991〜2010年)について見ると、11・12月に連続でTOPIXが下落した年は5年しかないことが分かりました。近頃の国内株相場を相当程度支配している季節性は、12月相場の上昇を示唆しているように見えます。ピンポイントで株価の底を言い当てるのは難しいですが、来週前半には民生エレクトロスのような今まで下落幅の大きかった株については、ひとまず短期勝負で買い向かうべきチャンスも出てくるものと予想しています。
当エントリは藤沢数希氏のアゴラ記事『オリンパス事件と日本型企業統治の闇』に対する雑感です。

日本型ガバナンス・労働慣行論(年功序列賃金・終身雇用・企業への長期コミットメント)は70年代以降、「人的資本理論」の日本への応用という形で議論が始まったものと思います。そしてその評価は、時代(日本の経済状況)に合わせて、猫の目のように変化しています。

即ち、日本経済がバブルに浮かれた80年代後半〜90年代初には、終身雇用システムが労働者の企業に対する長期的コミットメント・企業内特殊技能の蓄積を担保しており、日本型ガバナンスは日本企業の強さの源泉のように言われたものでした。一橋大の伊丹先生の「人本主義」経営論などが、その典型でしょう。
89年のバブル崩壊後、日本経済の成長力が低下・停滞する時期(90年代半ば以降)には、日本型ガバナンスは株主無視の弊害だらけのシステムで、日本経済・企業の弱さの一因であるといった言説が幅を利かせました。個人的には、こうした見方にも一理あると思いますが。
そして03〜08年(リーマンショック前)頃の新興国・資源バブルの時期には、東大の藤本先生の「組織能力」「すりあわせものづくり」論のような、日本企業特殊な強さを強調するネオ・人本主義論とも言える言説が出現しました。

かように日本型ガバナンス論は、時々の経済情勢に合わせて同じ現象の表裏を見ているに過ぎないと言え、そのシステムが「病理」だなんだというのはあまり生産的な議論ではありません。パフォーマンスが強い経済は事後的にそのシステムが評価されるものですし、困った経営陣がやってる企業は、ガバナンスが日本型だろうが米国型だろうが悪いことをするというだけのことです。
むしろ企業ガバナンスの多様性の考え方としては、スタンフォードの青木先生を始めとするゲーム論的解釈の方が洗練されているのではないですか?日米企業のガバナンス形態は、どちらも(複数存在する)ナッシュ均衡解であると考える方が、「どちらが上か下か」の議論よりも経済学的には生産的でしょう。先を急ぐ人のために、関東ではエスカレーターの右側を空けるのがナッシュ均衡、関西では左側を空けるのがナッシュ均衡で、経済学的には無差別で、「どちらの空け方が優れているか?」などと考えるのはナンセンスでしょう。
日々の相場に追われて、ホントに久しぶりの更新になります。今後はやや短め記事も交えて更新頻度を上げて、少しでもにぎわうブログにしたいと願っています。希望的観測ですが。

もう大昔のような気がしますが、直前の記事は8/11の株価(日経平均8,981円、10営業日で▲9%以上下落)を見て、「買い向かうのは非常にリスキー」と書きました。その後の日経平均株価は、ギリシアソブリン(国債)危機再燃による下押しを経て、一旦EFSF(欧州金融安定基金)のソブリン(国債)買取枠の拡大、ギリシャ国債のヘアカット(債務元本の減免)方針で戻り高値(10/28終値9,050円)をつけましたが、今度はイタリア国債に対する懸念(「危険水準」とされる利回り7%超え)が持ち上がり、本日11/16終値は8,463円(8/11終値比▲5.8%)となり、再度弱気相場入りしているように見えます。この所、株式相場の物色動向は月替りのようですので、11月は下落パターンかもしれません。

前回記事では、「株価下落は米国債格下げが直接的原因ではない」と書きましたが、今回の欧州ソブリン危機とこれに伴う政治的混乱についても、それ自体が株価の根源的な理由ではない考えています。より本質的な経済的問題は、07年夏頃を株価ピークとするバブル崩壊が、実態経済にまで悪影響を及ぼし続けていることにあると考えています。
直近の世界的バブルは、米国の長期超緩和的金融政策を背景とした、新興国経済成長・資源及び先進国不動産に絡む複合的バブルであり、歴史的経験に照らし、その崩壊の余波が2〜3年で終息するとは想定しにくいと見るべきでしょう。
経済史の教える所によれば、バブル崩壊は(あつものに懲りた自己資本比率規制を通じて)金融機関のリスク許容度を低下させ、信用収縮をもたらし、実態経済規模の拡大を妨げます。同時に、各種投資主体の期待収益率は低下、ひいては個人の期待所得も低下しますので、その後の企業設備投資・消費の「戻り」は、企業キャッシュフロー・可処分所得の回復よりも鈍くなりがちで、停滞的な経済状況が6〜10年程度継続します。日本のケースでは、89年のバブル崩壊で、中期的な潜在経済成長率が低下したと言って差し支えないでしょう。

今回のバブル崩壊の余波が、どこまで実態経済を悪化させるか判断するのは難しい作業です。先の日本の場合、『金融資産・不動産価格の下落が実態経済に与える影響は限定的であり、財政政策の下支えで成長率はいずれ回復する』という今思えば楽観的な見方が、1992〜93年頃まで支配的でした。これは実体験としてよく覚えています。その後の日本経済が各種の財政・金融政策発動にも関わらず、“構造的低成長経済”化したことは周知の通りです。市場参加者の大方が、経済の現況・方向感をリアルタイムで正確に認識することは非常に難しいのです。
現在は『金融政策の知見が発達し、新興国が高度経済成長ステージにあり、世界的にはインフレ基調であり、米国・新興国の人口は増加中である』ため、90年代の日本とは諸条件が異なると言われており、先進国全体がかつての日本と同様の運命を辿ると言い切れる程の確証は勿論ありません。
欧州経済は足元悪化中ですが、米国の消費・設備投資は7-9月までそれなりに強く、中国もGDP+9%程度の成長を維持しており、米国・中国の金融緩和政策を機に世界景気が底打ち・反転するとの期待もあり、楽観・悲観の綱引き相場はまだ続くかも知れません。弱い11月相場が終了すれば、12月はいつもの季節性(年末株高)で、単月上昇する可能性もあるでしょう。

しかし、「バブル崩壊の余波は長い」という歴史的経験は再度強調しておきたいと思います。先進国経済が、程度の差こそあれ「日本経済色」を強めているという事実は否定できません。また、一見足元堅調な米国・中国経済もラグを持って悪化するリスクは否定できず、政策の実現・実効性にも不透明感(今更またバブル的金融政策を採るのか?バブル崩壊後には政策の有効性そのものが低下しているのではないか?)があります。今はまだ手放しで(株式のような)リスク資産価格の持続的上昇を予想できるステージにはなっていないのではないでしょうか。
相変わらず怠け者ブログ状態が続いていますが、世界中の株式相場が大荒れです。つい最近まで藤原紀香さんの話題などにかまけていたのがウソのようです・・・

巷では、この大荒れ相場の原因をスタンダード&プアーズの米国債格下げに求めているようですが、私はこれは直接的原因ではないと思っています。格下げ後の米国債は売られておらず、むしろ安全資産の一部として買われています。今回のパニック的株価下落は、やはり景気減速に起因すると言えるでしょう。当ブログでも、米国・中国の景気悪化の予兆については触れましたが、これが急激に株価に織り込まれているのでしょう。
思えば2008年9月のリーマン・ショック後、世界の経済・株価は”回復”を見ましたが、これは各国の「政策」(米国の非常事態的金融緩和、中国の巨額財政支出)に支えられていた部分も大きく、ここに来てその弊害(ドルの価値下落、一部商品価格の上昇→新興国でのインフレ進行、中国でのバブル形成→巨額不良債権発生)が生じ始めているように見えます。また、その陰に隠れている問題(欧州銀行の抱える不良債権、米国の恒常的高失業率etc.)も軽視できません。
世界経済の問題は山積している筈ですが、何故か(いつも通り?)多くの市場関係者がまだ楽観的であるように見えます。流石にこの短期間でこれほどの下げを見ましたので、目先は自律反発的な(それも1日に+2%や3%といった大幅な)株価の戻しはあり得ると思いますが、そうした株価の乱高下は何か大きなネガティブ・イベントを予見していることが多いというのが経験則です。それが、(リーマンショックのような)大手金融機関の破たんなのか、中国経済のマイナス成長なのか、米$危機であるのか、今はまだ誰にも分かりません(何も起こらないかも知れません)が、少なくとも「これだけ下がった今が株価の底打ち、買いのチャンス!!」などと唱えて買い向かうのは非常にリスキーであるということだけは言えると思います。

昨日は、あのゴールドマン・サックスが、「米連邦準備理事会(FRB)は量的金融緩和第3弾(QE3)を実施する」ことを経済見通しのメイン・シナリオにすると発表しています。米国の量的金融緩和は、先の6月に第2弾(QE2)が終了したばかりでありかつ、米$の信用力毀損・新興国でのインフレ助長といった負の効果も指摘されていますが、多くの相場関係者が”相場の特効薬”としてこの麻薬的政策の実施を渇望しています。ゴールドマンのようなメジャー証券会社がその実施をメイン・シナリオにしたということは、QE3実施が市場のコンセンサス化して行くことを意味します。コンセンサスは即時に株価に織り込まれますので、仮にQE3が実施されても株価への効果は薄くなりますし、もし実施されなかった場合は”期待はずれ”ということでむしろ株価の下落要因として作用するでしょう。
相場の格言に「政策には逆らうな」という教えがありますが、今回これだけ皆が事前に期待し過ぎているQE3の場合は格言通りの実効性を示すでしょうか?はなはだ疑問です。やはり、水戸黄門の経済学はないと思っていた方が良いのではないでしょうか。
相場の硬直状態で、ファンドパフォーマンス防衛に追われる日々になってしまい、当ブログも全く手つかず状態が続いています。やはり運用者にとっての命は相場のボラティリティ、流動性だということに改めて気づかされました。ギリシア・ユーロ危機、米国債務問題がとりあえずヒトヤマ超えつつある今、「中国経済の減速」がどう織り込まれるかということが次なる相場イベントになりそうです。VIX(恐怖指数)の上下に一喜一憂する日々が続くかと思うと、ややうんざりします。
ところで、業界にとって久々の明るい(??)話題として、UBS証券の通信のトップアナリスト・乾牧夫氏の藤原紀香さんとの「真剣交際」というニュースが報じられました。
氏は昔から、華やかな(???)話題に事欠かない業界の有名人でありましたが、まさかバツ2で紀香さんと真剣交際するとは夢にも思いませんでした。業界一のイケメンたる氏の投資家向け説明会には、目がハート状態になった女性機関投資家が追っかけのように出席していたのを思い出します。
氏はその昔、日本テレコム(今のソフトバンク通信事業部門の前身ですね)という会社の株を盛んに推奨していた時期がありますが、その説明は画期的でした。『株価は上がるかも知れないし、下がるかも知れませんが、僕はこの会社(日本テレコム)が好きなのでこの銘柄を推奨します』とハッキリおっしゃっておりました。上がる株を推奨するのが証券アナリストではないのか?・・・という素朴な常識を、氏はいとも簡単に粉砕してくれました。
やはり、我々凡夫には計り知れない存在だったのですね、先生。
5/23の記事で、中国経済の心配なことを書きましたが、最近また気になる情報が出回り始めています。それは、中国の地方政府の不良債権問題です。

中国ではリーマンショック後、大型経済対策として08年から4兆元(50兆円)の財政支出を行ったと言われますが、その7割程度を地方政府が担ったと言われます。中国では地方債の発行・地方政府の銀行直接借入が制限されているため、地方政府は大型財政支出を行うに当たり、開発を担当する一種の特別目的会社−平台(ピンタイ;英語でplatformです)を設立し、これを銀行融資の受け皿としました。
この平台が担当する「公共事業」の中には、いかがわしい土地転がしのような投機的事業もかなり含まれていたようです。そういった話は、私も去年3月頃に中国現地で聞いたことがあります。最近の中国政府のインフレ退治のための金融引締めで、いい加減な事業を行っていた平台向け融資の相当部分が不良債権化しているというのです。香港紙などの報道によれば、そうした不良債権額は2〜3兆元(26〜39兆円)に上ると言われています。

この構図は、バブル崩壊期の日本のケースによく似ています。日本の場合、プラザ合意後の資産インフレの中で「不動産融資」に走った銀行が、バブル崩壊で巨額の不良債権を抱え、その「処理」に10年以上の歳月が費やされました。日本の銀行の不良債権額は、02年に43兆円のピーク額を記録していますが、問題が騒がれ始めた頃(91年)には巷の推計で20兆円、公式な数字(リスク管理債権残高)で10兆円超とされていたのです。不良債権の定義変更があったこともありますが、「不良債権」はその発生初期には正確な額が把握できない(若しくは発生当初から金額が増大する)傾向がある可能性は大いに考えられます。

日本のケースから類推するに、平台−中国の地方政府の実質的な不良債権は、現在言われている額よりもずっと大きくなるかも知れません。巨額の不良債権の存在は、銀行の融資活動の手足を縛り、貸し剥がし・貸し渋り行動が起きることで民間企業の銀行融資に対する信頼性を低めるといった害悪をもたらします。
私の見方はやや悲観に振れていますが、日本のバブル経済のケースをよく研究していると言われる中国当局はこの難局をどう乗り切れるでしょうか?
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