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過剰な除菌・減菌は免疫力を低下させる(P113)
免疫異常急増の原因は何でしょうか?
昔はあたりまえにいた寄生虫や微生物を「常識的な衛星管理を超えて、必要以上に排除した」ことにあります。
上下水道の整備や手洗い、入浴などの基本的な管理は必要です。とはいえ、日々の暮らしにおいて、アルコールによる手指消毒、合成石けん・洗剤、抗菌グッズなどを使用し、なんでも減菌・除菌することは、いささか過剰な対応と言えます。・・・
私たち人間は、多くの微生物と共生している超個体なのであり、私たちだけでは免疫をうまくコントロールできません。つまり、腸内や口腔内の常在菌や常在ウイルス、さらには、かつていた寄生虫などと連携しないと、正常な免疫反応を維持できないのです。
戦前までの日本では、ほとんすべてのど人がなんらかの寄生虫に感染していました。寄生虫は、生存のために、私たちの免疫系をコントロールするしくみをもっており、とくに過剰な免疫をおさえる働きをしていました。実際に現代でも、寄生虫感染者にはアレルギー性疾患や自己免疫疾患がほとんど見られません。寄生虫がいなくなったあ現在では、私たちの免疫系をコントロールするリモコンがなくなったため、免疫が暴走しやすい状態になっているのです。
その結果、本来は反応しなくてもいい花粉や食べ物などに反応するようになったのが自己免疫疾患です。さらに、自閉症やがんなど急増している多くの病気の背景にも、免疫の異常が関係していると考えられます。
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腸内細菌はなるべく多様、つまり種類が多ければ多いほどいいと考えられています。さまざまな病気と、腸内細菌パターンには関係があります。健康な人ほど多様性に富み、病気の人はひどく偏ったパターンを示すことが多いのです。
ですから「〇〇菌や〇〇株などの特定の菌だけを増やそう」という健康食品やサプリメントには注意が必要です。抗生剤、うがい薬、ワクチン、抗菌グッズ、農薬、添加物、放射能なども、腸内細菌に深刻なダメージを与え続けていることも知っておきましょう。(P106)
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悪玉菌をすべてなくしてしまうと、善玉菌はサボってしまってまったく働かくなることがわかっており、善玉菌をきちんと働かせるためにも、悪玉菌の存在が必要なのです。悪玉菌がいても、それ以上に善玉菌がいる状態にすればいいのです。(P107)
■「免疫とは、自分と自分以外の異物を区別し、異物を排除する反応」を意味します。(かつては「一度かかった病気にはかからない」という経験的な現象を意味していた)この異物には外からくる病原ウイルスや病原菌のほかにも、外科手術で移植された他人の臓器なども含まれます。また、からだの内部から発生する異常な自分の細胞(がん細胞など)も含みます。
このように、免疫とは自己を防御するシステムそのもの。つまり、健康に生きていくためになくてはならない基本の機能です。病気の予防、発生、経過、治り方のすべてに、大きな影響を与えています。(P112)
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