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■ご飯と味噌汁のすごいところは、、毎日食べても飽きないことです。・・・だいたい人工的なものというのは、食べてすぐにおいしいと感じるほどに味がつけられています。そういった、人間が味付けをしたおかずというものは、またすぐに違う味つけのものを食べたくなります。
一方、食べ飽きないご飯とお味噌汁、漬物は、どれも人間が意図してつけた味ではありません。味噌は微生物が作りだしたもので、人間の技術で合成したおいしさとは別物です。人間業ではないのです。
(コンビニ弁当やスーパーで買った添加物入りの漬物を毎日食べると飽きてしまう理由がわかった)
味噌や漬物が入ったカメの中には微生物が共存する生態系が生まれて、小さな大自然ができています。味噌や漬物という自然物は、人間の中にある自然、もしくは、自然の中に生かされる人間とであれば、無理なくつながることができるのです。(P12)
■他の生き物がそうであるように、人間も、体内で吸収できる栄養素となるものを、食べる前から知っていたように思うのです。少なくとも、現代の私たちが想像もできないほどの能力があったことは間違いありません。アク抜きなどの複雑な工程を含む調理も、誰からも教わることなくおこなっていた。・・・そして、長い時間を掛けて食べられるものを増やしてきた。微生物が環境に適応するための合理性が、結果として美しい文様を作るように、小さな秩序が積み重ねられて、民族の見事な食文化ができたのです。(P15)
■料理することは人間として生きるたねには欠かせないものですが、今、私たちのいる現代の日本では、必ずしも料理をしなくてもよくなりました。できあがった料理を手軽に買い求めて食べることで、「料理する」を省略できるからです。
となると、人間は食べるために必然であった行動(働き)を、捨てることになります。「行動(働き)」と「食べる」の連動性がなくなれば、生きるための学習機能を失うことになり、行動して食べることが心を育てると考えれば、大いに心の発達やバランスを崩すことになってしまいます。
同時に、現代社会では、料理したくても時間が取れないという問題や、働いても満足に食べれないという貧困の問題が起こっています。これはもう社会システムのほうに問題があるのではと疑ってしまいます。それを企業家は「資本主義の競争原理による必然」と説明するのですが、・・・
すべての人に分配できるだけの豊かな資源があった私たちの世代までは「生存競争」もある意味では正しいことだったかもしれませんが、・・・人口の一つかみほどしかいないお金持ちにとっては良いことでも、そこにはいない、ほとんどの人々にとってはどうでしょうか。私たちの子どもの世代にとってはどうでしょうか(P38)
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