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■欧米では比較試験が多数行われました。定期的に検診をうける検診群と体調に変化があったら医療機関を訪ねてもらう放置群に分けて調べるものです。
■チェコでの胸部エックス線の効果を調べる比較試験(P34)
対象 ヘビースモーカーの男性約6000人
肺がん発見数 放置群82人 検診群108人
肺がん死亡数 放置群47人 検診群64人
総死亡数 放置群293人 検診群341人 検診群のほうが48人も多かった
*こうしたことから欧米諸国では肺がん検診は実施されていません。
■胃がん健診--日本は義務化、欧米は実施せず(P38)
■米国やカナダ「すべての年齢の男性に、前立腺がん検診をうけないことを推奨する」(P45)
■乳がん検診--スイスはマンモ健診を廃止(P43)
■子宮がん検診--義務化で死亡率が上昇(P48)
■卵巣がん検診--効果は証明されず(P49)
■内視鏡による大腸がん検診--ポリープの発見・切除は無意味((P54)
■健診のデメリット(P58)
・異常アリの時の精神的動揺
・健診での放射線被ばく--CTや胃エックス線撮影の発がんリスク
■胃がん集団検診を廃止した長野県泰阜村(P26)
日本でも早くから胃がんの集団検診を導入した村ですが、検診をうけた直後に胃がんで死亡したケースが相次ぎ、集団検診をやめたところ、検診廃止前の5年間は胃がんで死亡した人が村の総死亡数の6%だったが、検診を廃止した後の5年間は2%と逆に減ってしまった。
■がん検診をするとなぜ死亡数が増えるのか
人間ドッグの内視鏡検査で、食道に小さながんがみつかり手術をして、後に死亡した場合、死因に術死や治療死という項目がなく、厚生労働省の統計部門は食道がんによって死亡したと認定するのです。死因統計でがん死の欄をみたら、治療死が混じっていることを想起しましょう。手術をせず、ガンを放置したほうが長生きする場合もあります。
■かん検診の宣伝で駆使されるレトリック(P176)
がん検診や人間ドッグのシステムをこしらえても、誰も受診してくれません。受診したら得をする、と人々に思わせる必要があります。そこでするのが宣伝活動。その際、「生活習慣病の予防に人間ドッグを!」と叫ぶより、がん検診を強調するほうが効果的です。がんは死病というイメージがあるうえ、がんに関心が向かえば人間ドッグの受診者も増えるからです。
がん検診を宣伝する医師たちの共通点は@手前勝手にデータをねじ曲げる、A検診有効と断定する、B対談から逃げるという点です。
マスコミは、これらインチキ発言をそのまま掲載することにより、拡声器の役割をはたしているわけですが、そうなる理由はいくつか考えられます。ひとつは、記者たちに英文の論文を読みこなすだけの語学力や専門知識がないため、検診無効という海外のデータや情報から隔離されていることにあります。
■高血圧のウソ(P119)
人は年をとるほど動脈が狭くなり、脳に届ける血液量が少なくなります。そこでからだは、自分で血圧を調整して高くして、脳血流を確保するのです。つまり血圧の基準値をもし決めるなら、「年齢に応じて変えるべきであり、その人の年齢に幾つを足す」という決め方には一定の合理性があるわけです。
ところが世界保健機関(WHO)は1978年に、すべての年齢の基準値として160/95を採用しました。これだと当然、高血圧と判定され薬を処方される人が激増します。しかし。実はこお基準値が正しいことを示すデータや試験結果は不存在でした。それなのにWHOが決めた背景には、製薬業界がいました。それまでWHOは各国政府からの拠出金で運営されていたのですが、その頃までに製薬業界からの寄付金に依存するようになっていったのです。
製薬業界からの寄付金がさらに増えた20年後、WHOは高血圧の基準値を改定しました。99年に決定・公表した新基準値は140/90でした。
基準作成の委員長となったミラノ大学のザンチェッティは、19の製薬会社から研究費や顧問料をもらっていました。
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