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近藤:インフルエンザは通常は乳幼児と高齢者が犠牲になることが多いのに、このスペイン風邪はなぜか壮年期の人が多く犠牲になったんですね。それはこの時のインフルエンザが特殊なタイプだったから、と説明されることが多いんですが、当時のデータを調査した人がいます。そうすると、この時はアスピリンが大量に使われたのが原因だったことがわかった。
これは相当、説得力があります。当時は何にでもアスピリンを使ったんですね。1900年頃にドイツで発明されたので、ドイツに特許がありましたが、鎮痛・解熱剤として爆発的に使われるようになると、第一次世界大戦の時に、イギリスやアメリカで敵国ドイツの特許を無視して大量生産されるようになった。特に、米国で使われたアズピリンの量は今ふり返るとすさまじく、健康な人でも中毒になるほどの量が投与されていた。
インフルエンザにかかって弱っているところへ、中毒になるほどのアスピリンを飲めば、それは壮年期の兵士でもバタバタ死ぬでしょう。
もう一つの根拠は、当時スペイン風邪の真っ最中に、アメリカの大学病院でも教授クラスの人たちが、アスピリンをまったく使わない伝統医療のホメオパシーなどを行っていた。そういう人たちが診たスペイン風邪患者は一人も死ななかった、という報告もある。だから、壮年期の死者が増えたのは薬の影響と判断して良いと思いますが、これを認めてしまうとインフルエンザが怖いということにならない。それで、この説はなかなか広まらないんですよ。
養老:僕もその説は聞いたことがあったな。(P43)
近藤:腸内フローラに一番よくないのは抗生物質です。結果的には高齢者がよく死にます。それは、こういうことが起こるんです。
まず、抗生物質で普通の大腸菌なんかが死んで、大腸の中にいる嫌気性の菌がはびこる。そういう別の菌がはびこるのを「菌抗体現象」といいますが、それで偽陽性腸炎という症状を起こすんんです。そうすると下痢をする。この下痢は頑固で、特に高齢者では死亡率が高いんです。
と聞くと、ヨーグルトを飲めば腸内フローラが回復して治る、と思う人もいるでしょう。でも、飲んでもダメなんです。まず、口から飲んだ細菌は、たいてい胃の中で胃酸で殺されちゃう。
養老:何だって胃酸があんなに強力か、というと、そのことですよ。人間は長い間にいろいろなものを食べてきたから、何かが胃袋に入ってくるかわからない。冷蔵庫なんか無かったんだから、すぐにカビも生えただろうし、長い間に、身体はちゃんと余計なものは殺すようになっているんです。それから腸に送るんです。
近藤:だから胃潰瘍で胃を切除した人は、海外旅行をするとコレラ菌が殺されずに、発症しやすい。(P25)
近藤:先進国で生まれて栄養状態、衛生状態が良い子供たちにとっては、ワクチンを打つことのリスクの方が高いですからね。
また、BCGには川崎病になるリスクがあるのに、いまだに打ち続けているのは日本と、たぶん韓国くらいなんですよ。川崎病は発熱・発疹などが生じ、心臓がやられる病気ですが、日本の乳幼児百人につき二人がかかっている。この発症頻度はフランスの20倍、デンマークの40倍と日本がダントツ一位です。(P34)
養老:日本のGDPの輸出依存率は17%なんです。明治以来の富国強兵政策のもと、我々は無敵皇軍と教育されて、強兵で騙されてきたという自覚がありますよね。富国の方は今でも騙されています。開国して外から物資を入れ、輸出もどんどんする、という富国政策に。
実は、日本は自前でやった方がいい国なんです。石油だけは買わなきゃならないですがね。
円安に振れると、「輸出産業は一息つきました」と必ず新聞は書くけれども、・・・
大体の人は日本の輸出依存率は50%を超えていると思っている。メチャクチャだよ、これ。現状誤認もはなはだしい。(P186)
近藤:塩分については「身体にものすごく悪い」「一日6グラム以下にしろ」とされて、うす味のマズイご飯を食べている人がいるけど、それも嘘です。
いま日本人は一日10グラム前後の塩ととっていますが、それを20グラムも30グラムも取ったら、確かに身体によくないかもしれない。でも、それだと塩味がきつすぎて、そんなに摂取することはあり得ない。塩と血圧の関係は、ほぼわからない。ましてや寿命との関係はまったく不明です。すべては血圧に目を向けさせようという日本区血圧学会の戦略なんです。(P196)
近藤:ハーバード大学の関連病院で患者の体温を測ってその後の死亡率を見たら、体温が低い方が死亡率が低かったんです。身体を温めればすべて良くなる、というのはウソです。必要な時には身体が勝手に体温を上げるんだから、放っておけばいい。
不思議なのは、みんな体温が高い方がいいと思っているくせに、風邪で熱がでるとせっせと解熱剤を飲む。
養老:それはね、頭で考えて身体をいじれると思っているから、都会の生活というのは、そもそも身体にとっては異常な生活でしょう。エアコンで室温を管理して、灯りもいつも同じ明るさで点いていて、筋肉はほとんど動かさないし、いつも一定の状況で暮らせるようにする。こういう状況では身体は怠ける。
今まで何万年も、朝起きたら明るくなって、風が吹いたら寒くて、日陰や日なたでも温度は変わるし、一日のうちで気温も変化して、という環境で人間は生きてきたんだから、身体はそのくらいの変化かある方がいいはずなんです。
暮らしが都会化されるにつれて身体が怠けるようになったら、自分の健康状態が体感としてわからなくなって当然だと思います。・・・
だから、東京というのは頭のおかしい人が集まっているところで、その中枢で物事を決めるてるんだから、おかしくなって当たり前ですよ(笑)。P197
近藤:ヘルペスは、子どもの時にかかった水ぼうそうウイルスが体内に残って共生する。それが免疫になっているわけですが、ストレスがかかったりすると身体の中でウイルスが活性化して、ヘルペスして出てくるんです。ところが、今は水ぼうそうワクチンを打つでしょう。そうすると自然の水ぼうそうにはかからないから、大人になってワクチンの免疫が切れると、かえって強いヘルペスが出てくるんじゃないいか。と予想しています。
はしかもそうです。子どもの時にワクチンを打っていても、大人になってはしかにかかる人が今後は激増あうるでしょう。(P55)
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