タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ [ 小林 宙 ] 価格:1,760円 |
■(種を支配し儲けようとするグローバル企業)
ずっと昔から在来種のトウモロコシを育ててきた農家も、近くにGM品種のトウモロコシ畑が作られると、そこから花粉が飛んできて、GM品種と自分の畑の在来種が交配してしまうのだ。長年、在来種を栽培してきた農家にとっては、意思に反してGM品種の栽培をすることになってしまうわけだけど、問題はそれだけじゃない。元のGM品種の特許をとっているメーカーが、「うちのGM品種との交配種を育てるのは権利の侵害だ」として、在来種を育てた農家を訴えることも可能なのだ。
そんなバカな、と思うけど、このようにして企業が農家を訴える事例は世界でいくつでも起きていて、実際に企業側が裁判で勝つこともある。そうなったら、その農家は、これまで毎年まいてきたハズのタネが、もう使えない。結局、これからは正式に種苗メーカーのGM品種を買ってね、ということになってしまう。(P41)
■(自家採種を禁止し、タネの支配と価格を高騰させ、儲けようとしている悪徳企業)
農家の自家採種を禁止し、その制限を強めようとする動きがある。その大義名分は、「国内の優良品種が海外へ流出するのを防ぐため」ということだ。たとえば、皮ごと食べられているジャイアントマスカットというブドウの品種は、すでに中国に流出して栽培されているという。・・・(P34)
■固定種(P17)
ある野生の植物の実が、完熟して破れると、実の中から弾けて飛び出したタネがいくつも土にこぼれ、やがていくつもの芽を出す。これらは、特性にバラつきがでてくる。ひ弱なものと丈夫なもの、葉がかたいものとやわらかいもの、根を深く張るものと張らないもの、実が甘いものと渋いもの、タネが多いものと少ないもの・・・
たとえばそれが、主に実を食べる植物であるなら、甘そうな実なるがものを選んで、採って食べるだろう。ここまではまだ、「採取」という原始的な食糧の調達手段に過ぎない。そこで今度は実から採れたタネを自分で植えてみようとす。これこそまさに「採種」と「栽培」という行為が誕生した瞬間だ。
そのとき、せっかくだからとくに甘かった木の実のタネを集めてまいてみることにする。他の実よりも甘い実から採れた種は、親の特性を受け継いでいるから、甘い実をつける株(木)が多くなるはずだ。そしてその木の中からまた、とくに甘い実を選んで、その種を植え付ける----。これを何度も繰り返すほど純度が増していき、やがてとれるタネのほぼすべてから甘い実をつける木が育つようになる。これが、タネが固定されいく過程だ。つまり、ある特性を持つタネを繰り返しとって植え、その純度を高めいくてことを「品種を固定する」といい、そうして何世代もかけ作られたタネは、一般的に「固定種」と呼ばれてる。
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