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2017年08月30日

【とつくにの少女】マンガ 感想&あらすじ 少女と人外の優しくも切ない交流を独特な世界観で描いた御伽噺

月刊コミックガーデン。 2015年10月号から連載中。既刊3巻
作者:ながべ



あらすじ

昔々、遥か遠い地に、別たれたふたつの国があった。人間が住まう「内つ国(うちつくに)」と、異形の者たちが棲まう「外つ国(とつくに)」。

人間はふれるだけで呪いをもたらす異形の者たちを恐れ、内で生きる者たちを守るため、高い壁を築き、疑わしき者は問答無用で処分されていた。

本来ならば人が寄り付くことはなく、交わるはずのないふたつの国。しかし、呪いに覆われた外つ国の領域でありながら、呪いを受けることなく生きる一人の幼い少女が――。

その者の名は「シーヴァ」。
世界のことも、自分の身に何が起こったのかも、まだ何も知らないあどけない彼女は、「せんせ」と呼び慕う異形の者に拾われ、いつか迎えが来ることを信じて一緒に暮らしていた。

シーヴァに呪いを移すまいと決して彼女とふれあうことはしない先生。その庇護の下で明るく無邪気に暮らすシーヴァだったが、その存在が他の異形の者たちに、そして内つ国の一部の人間たちに知られ・・・。

いま、ふたりの物語がひっそり動き出す。

登場人物

ネタバレも含まれているので注意

・シーヴァ
主人公。幼い人間の少女。肩ぐらいまで伸ばした白い髪と、いつも着ている白い服が特徴。年相応の天真爛漫さを見せる明るくて優しい性格の女の子。若干おてんばな面もアリ。一貫してセリフはひらがなのみ。
「せんせ」と呼び慕う異形の者と一緒に「外つ国」で暮らしています。1人で呪いだらけの外へ出歩くことを禁じられているため、せんせと一緒のお出かけや、おちゃかいをすることが楽しみ。「内の国」で育ててくれたおばさんから貰った本を大事にしながら、いつか迎えに来てくれることを無邪気に信じています。
教会からの使命を受けたおばさんに内つ国の村へ連れて行かれるも、おばさんが呪いを受けて変異し、村中で呪いが発生。兵士に追われて村を出たところで、迎えに来てくれたせんせいと遭遇し、異形の姿になったおばと一緒に外つ国の家に帰りました。

・せんせい
もう1人の主人公。シーヴァと一緒に暮らしている異形の姿をした「外の者」。シーヴァからは「せんせ」と呼ばれています。
元は普通の人間でしたが、呪いを受けて外つ者になってしまいました。見た目は全身の肌が真っ黒に染まり、立派な山羊の巻き角を生やした竜骨のような頭。味覚も空腹感もないので食事を必要とせず、睡眠をとることもなく、さらに痛覚もないことから炎に触れても矢を体に受けても平気。
シーヴァに呪いがうつってしまうことを恐れ、肌が触れないよう常に気を配っています。健気に迎えを待つ彼女に、実は「内つ国」からの捨て子であることを打ち明けられず悩んでいました。
安全を脅かすあらゆる害からシーヴァを守っていますが、他でもないせんせい本人が彼女との暮らしを大切な拠り所にしています。

・外の者
名称不明。シーヴァの頬に触れた外の国に棲まう異形の者。体全体が黒く、木の枝か鹿のような角を生やした大柄な外の者。せいせいのことを「黒の子」と呼び、「よそ者?」「呪われた者か?」と問うていたことから、呪いを受けて異形の者になった人間ではなく、元から外の国に居た異なる存在である可能性あり。
彼らが言うには、「おかあさん」と呼ぶ得体の知れない存在のため、奪われた「魂」を取り返そうとしているらしい。シーヴァに対して「魂をだれから取り返したのか今度教えてね」という意味深な言葉を残して去っていきました。

・おばさん
内つ国でシーヴァを育てていた老婆。内つ国でシーヴァが呪いの疑いをかけられて処刑されそうになったことから、止むを得ず本と手紙をそえて外つ国に置いて来たというのが経緯。
呪いの疑いが晴れたと報せを聞き、教会の使命を受けてシーヴァをせんせいの元から引き剥がすも、連れて帰った内つ国の村で呪いを受けて異形の姿に変異。兵士から逃げて村を出たシーヴァと迎えに来たせんせいと共に、外つ国の家まで付いていきました。
面倒を見ていたシーヴァとは血の繋がりも縁も何も無く、実はおばさんが外つ国で拾った子。


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感想・見所

ヤマザキコレ先生の『魔法使いの嫁』が異例の大ヒットを記録して以来、マンガやアニメ、ラノベなどで盛り上がりをみせる「人外モノ」。このブログでも個人的にアタリだった同ジャンルのマンガを何作か紹介させていただきました。
波が起これば乗りに来る人も増えるは道理。そうなると、当然ハズれも増えます。というより、ハズれの方が遥かに多いわけで、かくゆう私も・・・。
全体的に薄い上に方向性すら不明だったり、その手の知識をひけらかすばかりでストーリーがおざなりだったり。まあ、私は雰囲気さえ良ければ楽しめてしまう浅い人間だったりするわけですが、さすがに人外モノと謳っておきながら人外である必要皆無だと静かに本を閉じたくなりますね。もちろん、それは人それぞれ評価は変わりますけど。
だからこそ、アタリに出会えたときの喜びもひとしお。

今回紹介させていただく漫画は『とつくにの少女』。
数多ある人外モノの中でも特に異彩を放つ作品。人外モノが苦手な人でも読めそうな絵本や童話感覚で楽しめるファンタジーになってます。

ふたつの隔たれた世界――。本来なら交わることのなかった幼き人間の少女と、異形の姿をした人外の者、ふたりが出会ったことで動き出したヒトと人成らざる者との御伽噺。
少女と人外のダークファンタジー。帯での謳い文句は「新たな人外×少女の物語、始まる――。」(1巻)、「これは絵本、これは童話、これは詩集。」(2巻)、「運命に翻弄される命ある者と、なき者」(3巻)。
作者は『部長はオネエ』で商業デビューした漫画家「ながべ」先生。

白と黒のコントラストが魅せる絵本的な御伽噺

こちら、魔法使いの嫁と比較されることが多い作品。手に取ったときは、かの作品の二番煎じぐらいにしか思ってなかったのですが、読んでみると萌え要素ほぼ無しの全く異なる内容。あえて似てる点をあげるなら、メインキャラである人外さんのデザインぐらい(主に頭部)。

人間の領域である「内つ国」と、タイトルにもなっている異形の者の領域「外つ国」、このふたつの国が壁によって隔てられている世界。
内の者は外の者がもたらす呪いを恐れ、少しでも疑いある者は処分されてしまう闇を抱えています。

主人公は、本来内の者が立ち入ることのない外つ国で暮らしていながら、呪いを受けていない人間の少女・シーヴァ。そして彼女の保護者的存在である呪いを受けた異形の者・せんせい。
この物語は、肌でふれあえない二人の心の交流を描いた切なくも優しい御伽噺のようなお話になっています。

背景にしろキャラクターにしろ「黒」(ベタ)を多く使い、それによって対照的な「白」がよく栄えて見え、またそのおかげで闇に溶け込みそうな「黒」の印象も高まっているのが特徴。
黒と白、このモノトーンのコントラストが幻想的で独特な世界観を演出し、さながら「絵本」を見ているかのような不思議な感覚に包まれることになります。

あと、今更なこと、感想書いてるときに気づいたことがひとつ。この作品、漫画制作で用いられることの多いスピード線とか集中線といった「効果線」、つまり人や物の動作を引き立てる線が全く引かれて無かったことに今やっと気がつきました。ほんと今更・・・。
巧みな画力と表現力によって想像を掻き立てられるようです。こういった作者さんのこだわりが、漫画でありながら絵本のように見える作品に仕上がっているのでしょうね。

「呪い」とは?

本作で気になる事と言えば、やはり外の者がもたらす「呪い」。

人間は外の者にふれられると呪いをうつされてしまいます。そうなると、物の感触も温度も感じられなくなり、そのうち食事も睡眠も必要なくなり、徐々にあらゆる感覚を失っていき、終いには彼らと同じような黒く染まった異形の姿へと変異してしまいます。
ただ、これはあくまで「せんせい」の体に起こったことを基にした例です。

はっきり言って現時点では謎が深まるばかり。

せんせいを「よそ者」と呼ぶもとから外つ国にいたと思われる外の者。彼らが言う「魂」、「おかあさん」とは何なのか。呪いは外の者がかけたのではなく、内の者のせいだと言い、とく方法は「奪われた魂を取り返す」こと。
外つ国とは黄泉の国のようなもので、内つ国は現世のようにも見えます。呪いを受けた者は「命無き者」なのでしょう。だからこそ空っぽじゃない魂を求めてやまないのかも。

分からないと言えばせんせい自身のことも。いったいその正体は誰なのか。いつ、どこで、誰に呪いを移され、今の姿になってしまったのか。そして、シーヴァとの関係は?
さらにさらに、そのシーヴァもこれまでは普通の人間の少女だと思っていたら、実はおばさんが外つ国で拾ってきた子だと言うからもう何が何やら・・・。

いつも絶妙なところで終わるから歯がゆい。引きが上手いのも困りどころですね。

ダークな世界観に温もりを灯す“やさしさ”

さて、全体的にダークな空気が漂っている世界観とストーリーですが、この作品におけるテーマのひとつは「やさしさ」であることは間違いありません。

シーヴァを守ろうとするせんせいのやさしさ、シーヴァの無垢で無邪気なありのままのやさしさ。

せんせいはシーヴァを傷つけようとする者から、呪いを移す外の者からはもちろんのこと、自分からも彼女を守ろうとしています。
せんせいも外の者であることに変わりなく、ふれてしまったらシーヴァが呪われてしまいます。手を繋ぎながら歩いてあげたくても、頭をなでてあげたくても、抱きしめてあげたくても、決してふれようとはしません。大切だからこそ直接的なふれあいはせず、加えて真実を隠したやさしい嘘もつく。

とても残酷なことではありますし、二人でいても孤独を感じてしまうことから寂しくも感じます。ただ、直接的なふれあいがないからこそ言葉と心でのふれあいは意味も効果も大きく、この世界の中で確かな温もりを感じることができ、その様子は穏やかで微笑ましい光景に見えました。

また、シーヴァの無垢な姿にも和ませてもらえます。あの無邪気さはせんせいにとっても救いになっていることが伺え、父と娘のようなかけがえのない存在になっていそうですね。
暗い影はいつだって彼等に付き纏っていますが、あの笑顔だけは是非とも守ってほしいものです。

最後に

といった感じで、絵本のように読める人外と少女の交流を描いた御伽噺『とつくにの少女』の紹介でした。万人受けはしないでしょうし、アニメ化もまず無いでしょうが、他の作品にはない魅力と不思議で彩られていますので、好きな人はハマってしまうこと請け合い。
ストーリー、キャラクター、世界観、どの要素からもダークな雰囲気が放たれ、そしてどの要素からも「やさしさ」を感じることが出来る内容になってます。
2人の行き着く先は残酷な未来を予感させられる要素が多くあります。しかし、出来ることなら手を取り合って歩く2人の姿を見たい、そう願わずにはいられません。
どういった方におすすめすればいいのかはちょっと困るところ。ただ、個人的には先が気になって仕方ないとても気に入ってる作品なので、よければ読んでみてください。あえて自信を持っておすすめさせていただきます。

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2017年08月28日

漫画『えびがわ町の妖怪カフェ』1巻の感想とあらすじ 少女とおじさん、そして妖怪たちとの交流譚

『えびがわ町の妖怪カフェ』1巻の感想。


えびがわ町の妖怪カフェ
著者:上田信舟
掲載:ヤングアニマル嵐
1巻発売日:2017年2月28日


あらすじ・概要

暖かな光が灯るその場所は、少し不思議なカフェでした――。
東京からたった1人、新幹線に乗ってのどかな岐阜の田舎町へやってきた9歳の女の子・高梨まな(たかなし まな)。まなは生まれつき高い霊感を持っていたことから、扱いかねていた実の母親がついに参ってしまい、夏の間カフェを営む親戚の叔父に預けられることになった。
そんなまなの前に現れたのは、届いた手紙を放置して今の今まで事情を知らずにいた、無精ヒゲを生やした気だるそうな叔父の佐吉(さきち)。事態を把握した佐吉は若干の戸惑いはありながらもまなを迎え入れ、お腹を空かせた彼女の為、営んでいる店の厨房でごはんを作ることに。
この日から、佐吉の美味しそうな料理の匂いに誘われて、あるいはまなの存在に引き寄せられてか、カフェ居酒屋「ようけ」には、人ならざる妖怪たちが訪れてくるようになるのだった。

強い霊感を持つ幼い少女とカフェ居酒屋を営む彼女の叔父、そしてそのお店を訪れてくる妖怪たちとの、美味しいごはんと優しさが繋げるちょっと不思議でほのぼした物語。
夏、田舎、少女でおくる、心温まるノスタルジックストーリー。帯での謳い文句は「一緒だとなんだって美味しいし、なんだって楽しい。だから、ずっと一緒にいようね。」。青年漫画雑誌「ヤングアニマル嵐」の2016年No.8にて連載開始。
作者は『女神異聞録ペルソナ』などRPGを原作にした作品を多く持つ女性漫画家・上田信舟(うえだ しんしゅう)先生。

感想

まだまだ暑い日は続いておりますが、今年の夏もそろそろ終わりを迎えようとしています。散々あの蒸し暑さに苦しませられたものの、毎年なぜかこの時期になると寂しさを感じるものです。
そして、もちろんこの季節には夏関連の作品がうってつけ。ただ、私は夏真っ只中よりも、終わりに差し掛かったこの時期にそういった作品を味わう方が好きだったりします。他の季節だとそうでもないんですけどね。
私だと真っ先に思い浮かぶのはやはりKEY作品の『AIR』。これは外せません。この作品のおかげで夏も結構好きになれたので思い入れは強いです。あと、『ぼくらのよあけ』や『よつばと』辺りもおすすめ。
今回紹介させていただく漫画『えびがわ町の妖怪カフェ』も夏の空気を強く感じることができ、且つノスタルジックな気分にも浸かれる内容になっています。

実は、とっくに1巻の感想は書いたと思っていたところ、記事を確認しようとしたら出てきたのは試し読み1話の感想のみ。どうやらずっと勘違いしてたようです。

おおまかに内容を説明しますと、妖怪が見える主人公の女の子と、ほぼ居酒屋のカフェを営む叔父の中年男性、そしてお店にやってくる妖怪たちとの心温まる交流を描いたお話。
妖怪が出てくると言ってもホラーではなく、ほのぼのハートフル系漫画。美味しいご飯もひとつの軸になっているので、グルメ漫画的要素も含まれています。
「少女と妖怪」、「少女と年の離れた男性」、この最近では定番になった組み合わせながら、ノスタルジックな香り漂う空気感が心地よい世界観を作り出しています。
掲載されている「ヤングアニマル嵐」のアンケートでは、高い支持を得て常に上位をキープされてるようです。

季節は夏、舞台は岐阜県の田舎町「えび川町」。この自然豊かでのどかな町は、作者・上田先生の地元でもある岐阜の「揖斐川町(いびがわ)」をモデルにしています。

主人公は9歳の女の子・高梨まな。生まれつきの強い霊感体質のせいで、両親、特に母親との間に問題を抱え、夏のあいだ叔父に預けられることになりました。おもっ苦しい経緯はありながらも、まなは純真無垢で性格もけっこう明るく、それに優しくてとっても可愛い子。酢の物が大好きなど、妙に食の好みが渋かったりもします。
それから、まなが預けられることになったカフェ居酒屋「ようけ」を営む叔父の佐吉。無精ひげを生やしたいつも楊枝を加えてる人。最初は気だるい感じの無愛想な人かと思っていたら、意外と優しくて面倒見の良い男性でした。まなとは違って霊感は無くても、不思議な櫛(くし)を持っていまして、それを通して見ると視認できるようになり、化けていても見破ることが可能。佐吉もなにやら訳アリらしく、その辺りの謎は2巻以降になりそうですが、ある事情のためにまなの霊感を必要としているようです。

この作品は人ならざる者たちとの交流譚がメインですので、まなに引き寄せられて、妖怪はもちろんのこと神レベルの存在まで多数登場。
1話のセーラー服の少女に変化していた狐からはじまり、河童や座敷童子のようなメジャー級、ハエ(ハヤ)という川魚の妖怪、そしてとある池の竜神様。
妖怪たちの本来の年齢は不明ですが、基本的には愛らしい子供の姿をしているので親しみを持てるかと。私的には狸の子がめっちゃ可愛かったです。面白かったのはハエの女衆ですけど。

まなに引き寄せられて登場した妖怪たちに振舞われる、佐吉の素朴だけど温かみのある美味しそうなごはんも見所のひとつ。グルメという最近の流行を取り入れた形ですね。
これがほんと美味しそう。油揚げのネギ詰め焼き、から揚げ、胡瓜料理、あとカフェらしい特性プリン・ア・ラ・モードやカスタードアイスなどなど。鮎の塩焼きは久しぶりに食べたい。
狐に油揚げ、河童に胡瓜といったように、妖怪たちにあった食材を使って彼等のための料理を作っていきます。多くが創作料理であること、そして作業工程も比較的簡単そうなので、試しに作ってみるのも良いかもしません。

こんなところで、本日はのどかな田舎で少女とおっさんが妖怪たちと交流を深める漫画『えびがわ町の妖怪カフェ』1巻の紹介でした。やはり妖怪モノに外れナシ。
自然溢れるのどかな田舎、無垢な愛らしい少女・まな、佐吉の心温まる美味しいご飯、みんな可愛い妖怪たち、癒し効果に関しては疑いの余地が無いほど満ち満ちていますね。『うどんの国の金色毛鞠』みたいな作品が好きな人にうってつけな漫画だと思います。
行ったこともない場所にも関わらず、この作品に漂うノスタルジックな空気感が懐かしさを抱かせ、子供の頃や故郷のことに思いを馳せてしまう心地よさがありました。
巡り合えて良かった、そう思える作品。2巻以降も楽しみです。

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2017年08月27日

【紹介した作品の新刊発売情報】妖怪アパートの幽雅な日常 公式コミックガイド 他1作品

2017年8月28日〜9月3日発売予定の新刊。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。



妖怪アパートの幽雅な日常 公式コミックガイド 2017年8月31日発売

妖怪アパートの幽雅な日常の過去記事




試し読みをして気になった作品もふたつ紹介します。


月曜日の友達 第01巻
著者:阿部 共実
掲載:週刊ビッグコミックスピリッツ
2017年8月30日発売


この春、中学生になったばかりの女の子・水谷茜(みずたに あかね)。中学生に上がってまだ2週間、周りのみんなはちょっとだけ大人びた振る舞いをするようになったけど、まだ小学生の頃と変わらない幼さを覗かせる水谷。
ちょっと前までは同じ目線、同じノリで楽しく過ごしていた友人たちが、何やら恋愛なんて洒落た話題に華を咲かせ、さらには家でも学校でも自分とは正反対の良くデキた姉と比べられる始末。周囲と少しずつズレていく温度差を感じながら中学生活を送り出した水谷は、変わり者として要注意人物扱いされていた少年・月野透(つきの とおる)と出会う。
ひょんなことから夜の校庭に侵入した水谷は、「俺は超能力が使える!」なんてことを恥ずかしげも無く言い放つ月野と遭遇することに。そして、親にも友達にも先生にも秘密にした、月曜日の夜に二人だけの約束を交わす。

月曜日の夜、学校、ふたりだけの約束を交わした、小6から中1になったまだあどけなさが残る少年と少女の、ガールミーツボーイ青春譚。
作者は「このマンガがすごい!2015」オンナ編1位に選ばれた『ちーちゃんはちょっと足りない』で知られる漫画家・阿部共実(あべ ともみ)先生。

どの作品も描かれているのはポップな絵でありながら、あまり踏み込んでほしくない心のイタイところを突いてくる作者さんの新連載です。
前作がアレだったので、若干恐る恐るといった感じで読み始めてみると、そこにあったのはまさかのキラッキラフワッフワした中学生の青春。・・・・方向転換?

主人公は中学1年生になったばかりの女の子と男の子の2人。

水谷茜(みずたに あかね)は中学生になってもノリは小学生の頃と変わらず、無邪気な少年のような心を持った女の子。それなりに楽しく過ごしてはいても、少しだけ大人びてきた友人たちと話題が噛み合わなくなり、仲は良くても温度差を感じてモヤモヤ。
上に1人姉がいて、どうやらかなりデキの良い人物らしく、ことあるごとに比較されることには辟易してます。

そんな水谷ガールが出会ったのは、変わり者、要注意人物と噂されるクラスメイトの男子・月野透(つきの とおる)。白髪、碧眼、肌も白くて小さいから女の子のようにも見える美少年。
いつも無表情で誰かと馴れ合うこともしないので、クールな子かはたまた大人しい子なのかなと思っていたら、見事なまでの「中二病」患者でした。

で、この2人がひょんなことから夜の学校で遭遇し、自分を認めてくれた月野ボーイに好感を抱きはじめた水谷ガール。すると彼に、これからの月曜日、みんなには秘密で、夜の学校で会って欲しいと、甘酸っぱい流になりそうなお願いをされたと思ったら、「俺は超能力が使えるんだ!」なんて突拍子もない告白をされました。その特訓に付き合って欲しいとのこと。

小学生から中学生への移り変わり、ひとつ年を重ねただけであっても、環境の変化によって少年少女たちの心には確かな変化が生じ始める年。
その中にあって、変わらないことでくすぶっている水谷。でも、その無邪気な表情はキラキラして可愛く、素直な衝動のまま走り出す彼女の姿はまぶしい。

導入部での引き込み方が上手く、特にセリフ廻しが面白かったです。人の心理をよく理解されている作者さんなので、変換し辛い感情を言葉にして見事に表現していて、水谷と月野のやりとりは舞台の一幕でも観ているかのようでした。
心情描写が素晴らしいのはセリフ廻しだけではなく、表情や背景といった「絵」での見せ方も巧みだったと思います。モノクロ媒体だというのに、なぜか色鮮やかに見えることもあるから不思議。

今後重くはならない・・・とは言いきれません。だって、作者さんが阿部共実だから。また少しずつエグってくるかも?
一応覚悟は必要かもしれませんが、それでもやはり面白い。これからこの作品を、水谷と月野を、いったいどこへ持っていくのか、続きが気になって仕方ないですね。
出来れば鬱展開にならないことを願って、単行本1巻期待しています。

試し読みはやわらかスピリッツさんの公式サイトで配信しています。(こちら

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2017年08月25日

漫画『踏切時間』1巻の感想とあらすじ 踏切、それは青春と笑いが生まれる場所

『踏切時間』1巻の感想。


踏切時間
著者:里好
掲載:月刊のアクション
1巻発売日:2016年12月12日


あらすじ・概要

鉄道と道路が交差する場所に設けられている「踏切」。人や車、列車の安全な運行を確保するためには、なくてはならない大切な設備。
そして、カンカンという警報音が鳴り響き、遮断機が降りきったその瞬間、列車が通過して再び上がるまでの待ち時間、そこは様々な人たちによってドラマが繰り広げられる劇場と化す。女の子同士の甘酸っぱい会話、生徒を見つけて声を掛けようか迷うシャイなコワモテ教師、小学生が遭遇した怪談話など、踏切待ち時間で起こる数々の出来事。
踏切、そこは足止めされる人たちがちょっとだけ青春を織り成す場所。行けば何かがある、何かが起こるかも――。

踏切で足止めされる様々な人たちが、列車が通り過ぎるまでの待ち時間の中で、青春したり、怪談したり、ドキドキしちゃうなど、ちょっとした出来事を描いたショートストーリー集。
オムニバス日常ショート。帯での謳い文句は「オール踏切!!!!!!!」。月間漫画雑誌「月刊アクション」の2016年7月号にて連載開始。
作者は『ディス魔トピア』や『うぃずりず』などで知られる漫画家・漫画原作者の里好(さと よしみ)先生。

感想

大好きな漫画はジャンルに拘らず何でも読んでるつもりでしたが、その中でことオムニバス形式の漫画に関しては、これまで数えるほどしか読んでいなかったことにふと気づきました。このブログで紹介している作品も、おそらく『にじいろコンプレックス』と『AIの遺電子』ぐらいですね。
どちらかというと、ひとつのストーリーをじっくり楽しめる作品の方が好きだからという理由が大きいかなと。その点で、上にタイトル名をあげた2作品は、オムニバスでも?がりを持たせているので普通に楽しめてます。別に嫌いというわけではないんですけどね。尚月地先生の『廃墟少女』なんかはおすすめしたい作品でもありますから。
まあそんなこんなで、何か面白そうなオムニバス形式の漫画はないかと探してみたところ、見つけたのが今回紹介させていただく『踏切少女』です。踏切というテーマが珍しかったので思わず手に取ってしまいました。

踏切で足止めされる女の子たちをはじめとした様々な登場人物達の、待ち時間に起こるそれぞれの「ドラマ」をオムニバス形式で描かれたショートストーリー。
ざっくり説明するとこんな感じです。「オール踏切!!!」という謳い文句に偽りナシの内容でして、どのエピソードも舞台は全て踏切。あまりにもニッチ過ぎるテーマだったのでちょっと不安もありましたが、あくまでこれは踏切という舞台を活かした、女の子たちを中心とした「ドラマ」を描いた作品。そして、表紙を見ていただければおわかりの通り、美少女萌え要素も加味されているので必ずしも鉄道ファン向けというわけではありません。もちろん踏切の作画も結構ちゃんとしてるので、その手の趣味をお持ちの方にも持って来いの漫画だとは思います。
コメディや下ネタ、オカルトチックな話もありますが、全体の雰囲気からすると青春ストーリーに分類できそうです。

着眼点は面白いですけど、正直最初は踏切“のみ”という設定を知ってかなり舐めてました。あんなところでどうやって面白いドラマ作るの?どうやって広げるの?そもそも続けられるの?なんて疑問ばかり。まあ、その辺り気になってこの漫画を手に取ってる時点で負けてるわけですけど。
手持ちぶたさで退屈だったり、急いでるときは少しイライラしちゃったり、状況によってはちょっと気まずくなったりしたこともありますが、基本的には特に何が起こるわけでもないただ通り過ぎるだけの場所。
しかし、蓋を開けてみたらこれがなかなか面白い。構成が意外としっかり練られていて、話のバリエーションも豊かで飽きることなく読み進められました。

1話完結しているものと、連続性のあるエピソードの複合。いつも時間通りに踏切を待っているイケイケ風な女子高生と、そんな彼女にドキドキさせられている坊主頭の男子の話。女子小学生が体験するちょっと怖いオカルト話や、中二病の疑いある語弊力が乏しいポエマー女子高生の話など。あと、私が特に気に入った2つのエピソードも紹介します。
学校の先輩と後輩、2人の女子高生が女同士で織り成す、タイトル「二人の青春」。先輩が踏切を待つ時間も「青春」にようと持ち掛け、それすなわち「恋愛」と握り拳を作るも、今ここにいるのは2人の女の子。女同士じゃ恋愛できないと笑い話にしようとしたところ、大人しかった後輩ちゃんがカッと表情を変え「女同士でも恋愛できます!」となにやら力強く叫びだしました。「あ、これは・・・」と読みながらニヤリとしていたところ、電車が通り過ぎる瞬間にさらなる告白が。
それから、タイトル「先生といっしょ」。これが一番笑ったかも。ガタイのいいコワモテだけどとってもシャイな男性教師が、踏切で学校の生徒を見つけてどう話し掛けるかで葛藤する話。そして、優等生っぽいけど実はドSなその女子高生が、そんな挙動不審な先生の様子に笑いを堪えながら心の中でキツイツッコミを入れるという。
どれも面白いですけどこの2つは特に続きが読みたいと思ってしまいましたね。

踏切という舞台装置を上手く活用していました。ちょっとした待ち時間が必要なら何かの行列に並んでる時間や、信号を待つ時間、バスを待つ時間などでも良さそうですが、これは踏切だからこそ良い話。
電車が通り過ぎる瞬間に発生する強風や轟音によって青春の甘酸っぱさを演出。それから、踏切を隔てた向こう側に得体の知れない何かを伺わせ、列車が通過する間の見えなくなる瞬間を使って恐怖を演出。遮断機が降りるときのカンカンという警報音も良い味を出していましたね。
踏切だからこその要素を上手く話の中で活かした見せ方は見事です。

ということで、踏切のみを舞台に据え、そこで起こるドラマを描いた漫画『踏切時間』1巻の紹介でした。テーマが斬新なだけではなく、読んでみるとしっかり作り込まれていたのでとても面白かったです。
ちなみに、作中で登場した踏切は実在している場所が描かれているようです。お気づきになった方もおられるかもしれませんが、表紙イラストで描かれているのは某有名国民漫画に出てきた外国人にも人気の踏切。場所も明記されてますので、聖地巡礼みたいな楽しみもあるかと。もちろん迷惑行為はご法度で。
私は踏切でドラマチックな出来事なんてなかったんですが、それでも読んでると高校時代のことを思い出しちゃったりなんかして、心地よい読後感を味わうことができました。
もっと読みたいと思わせてくれる漫画、とても良かったです。あと、なんか太ももの印象が強かったような気がしなくもないです。

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2017年08月23日

【ダンス・ダンス・ダンスール】マンガ 感想&あらすじ バレエの世界に飛び込んだ少年の成長と挑戦の青春ドラマチックストーリー

週刊ビッグコミックスピリッツ。2015年42・43合併号から連載中。既刊6巻
作者:ジョージ 朝倉



あらすじ

幼い頃は女の子に間違われることも珍しくなかった少年・村尾潤平(むらお じゅんぺい)。

当時、両親と見たバレエに魅了されて姉も通うスクールに通い出すも、父が突然この世を去ってしまったことで、男らしく家族を守るためにその道を断念する。

中学2年生になった潤平は、父の友人が指導する道場で格闘技・ジークンドーを習っていたが、バレエに対する未練は未だ断ち切れずにいた。

そんなある日、2年生になると同時に転校して来た少女・五代都(ごだい みやこ)が現れる。そして、母親がバレエスタジオを営む彼女から、「一緒に、バレエやろうよ!」と誘われたことがきっかけになり、抑えてきた想いが再び燃え上がることに。

他のもの全てを捨てることができた者、己の全てを捧げることができた者しか立てない舞台を目指し、バレエの世界に足を踏み入れた順平は、そこで1人の少年と運命の出会いを果たす。

登場人物

ネタバレも含まれているので注意

・村尾潤平(むらお じゅんぺい)
主人公。岩倉中学2年生(開始時)。野猿系男子。
幼い頃は女の子に間違われるほど愛らしい容姿。その当時、姉のバレエ発表会に訪れた際、ゲストダンサーの踊りに魅了されてバレエを習い始めるも、父の死がきっかけで「男らしく」なるためにその道を諦めました。
バレエの未練を断ち切れないままジークンドー(格闘技)を学んでいた中学2年の春、母親がバレエスタジオを経営する転校生・五代都から、「一緒に、バレエやろうよ!」と誘われたことがきっかけでバレエダンサーを目指すことを決意。
元々身体能力が非常に高く、稀に見るバレエ向きの外見なうえ、ジークンドーの修練によって身につけた優れた体幹とバネを持つ。さらに、周囲を自分の空気に変えてしまう不思議な魅力と迫力があります。
「五代バレエスタジオ」に3ヶ月在籍した後、全てを断ち切って「生川はるかバレエ団」に入団。当初は基礎不足に嘆いていましたが、レッスンを真面目に取り組んだことで着実に成長し、持ち前の優れた感性と相まって周囲からは天才(アホ)と称されることもあります。

・五代都(ごだい みやこ)
中2になると同時に転校してきた順平のクラスメイト。泣きボクロと大きな眼が特徴の美少女。
母親はバレエスタジオを経営。順平が教室でジークンドーの技に紛れてバレエのジャンプ「540」を披露していた場面を目撃し、彼が持つバレエへの興味を見抜いて指導者である母に紹介しました。誘ったのは単純に才能を感じたからだけではなく、順平なら登校拒否中の同居人・るおうのバレエ仲間になれるかもと思ったから。
バレエ中心の生活をしていますが、指導者の母親からは半分諦められてると感じています。潤平に異性として好意を抱くも、祖母のことで苦しむるおうの味方になって側でダンスの手伝いをすることを決めました。

・森流鶯(もり るおう)
都のイトコで順平の同級生。一緒に暮らしていた祖母が認知症で施設に入ったため、現在は五代家で居候していますが、登校拒否状態。ロシア人とのハーフである母親から産まれたクォーター。
当初は部屋に引き篭もり状態でしたが、海外で著名な先生から指導を受けたいという目的のため、五代ママから海外コンクールに出られるよう計らう変わりに、「学校へ行くこと」「洋舞祭りでMVPを獲る」条件を出されて受諾し、外へ出るようになりました。人付き合いが苦手だけど意外と負けず嫌いで天才的なバレエ技術を持つ。ずっと学校に行っていなかったせいで一般常識は無く勉強も苦手。
幼い頃はロシア至上主義の祖母から半ば監禁状態で過酷なバレエのレッスンを受け、その当時に出会った都と親しくなり、自分のお姫様になるという言葉をずっと信じていました。一時、祖母のことで自分が踊る意味を失いかけましたが、側にいてくれた都のおかげで立ち直ることができました。

・五代(母)。
都の母親。「五代バレエスタジオ」を経営するバレエの指導者。
都が「天才」と言って連れてきた順平に、今から始めても年齢的に遅いと厳しい意見を突き付けた人。しかし、順平の荒削りな演技から、最高峰の舞台でバレエの頂点「ダンスール・ノーブル(王子)」になる絵空事を想い描いてしまい、積極的にレッスンを始めました。普段はクールなサバサバ系美女ですが、バレエに対してはとても熱い。
昔は生川はるかバレエ団で将来を渇望されながら学んでいましたが、、ロシア人講師の勧誘を受けて留学し、再び生川の引き抜きを受けて「プリンシパル(バレエ団で最も高い階級)」として入団。

・生川綾子(おいかわ あやこ)
生川はるかバレエ団を主催する女性。日本バレエ界の重鎮。
順平とるおうが出演した「洋舞祭り」に特別審査員として呼ばれ、拍手喝采だった彼等の舞台を「下劣な舞台」と称しました。クラシックバレエは「アート」が持論。いつも笑顔のようで目はちっとも笑っていません。
日本人ダンサーを最高峰のロシアでトップにさせたい五代とは違い、日本バレエ界の世界的地位向上が目的。潤平の才能に目を付け、彼にスカラシップをあげる代わりに「五代バレエスタジオ」を辞めて生川へ入団するよう勧誘。

・生川夏姫(おいかわ なつき)
生川綾子の娘。小学6年生(登場時)。
努力家で非常に優れた技術を持つも、表情の固さに難アリ。パートナー練習で潤平と組んだ際、最初は全く噛み合わずぶつかることも多かったのですが、これまで経験したことのない一体感を覚えてからは、お互いを高め合う大切な存在になりました。
海外でバレエ漬けの生活をすることに憧れを持っていました。しかし、自分のピークを感じてしまったことや、成長し続ける潤平の才能と自分が釣り合わなくなってきたことにも悩むようになり、そんなとき潤平に励まされたことで、同じ舞台で踊れるように必ず乗り越えると約束しました。見事なまでのツンデレ娘です。ヒロインかも?


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感想・見所

以前、『ボールルームへようこそ』という社交ダンスをテーマにした漫画を紹介したと思います(たぶん)。この夏アニメ化されて現在放送されている作品です。
感想書いたときは、この動きが激しい作品をアニメ映像化して大丈夫なのかと不安でしたが、意外と良く作られていたので私的には結構楽しませてもらってます。相変わらず演出のためとはいえ首が長すぎる気はしますけど、やっぱりこの作品は熱い。

そして、熱いのは何もポールルームにおける社交ダンスだけではありません。優雅で可憐なダンス「バレエ」熱もどんどん高まっています。
今回紹介させていただく『ダンス・ダンス・ダンスール』がまさにバレエをテーマにした漫画。このテーマは『昴』や『絢爛たるグランドセーヌ』など、花形であるプリマを目指す少女にスポットを当てられがちなところ、本作はどちかというと男子バレエダンサーを目指す少年たちに注目した珍しい作品になっています。

憧れたバレエの世界を一度は諦めようとするも、ある少女との出会いをきっかけに再びダンサーへの道を歩み出した少年の、ライバルたちと切磋琢磨しながら夢に向かって邁進する成長と挑戦の物語。
「バレエ」を題材にした青春ドラマチック・バレエ・ロマン。帯での謳い文句は「これは、日本人初の男子バレエの頂点を目指す少年の物語である――」、「才能って、ほんと残酷だ――」などなど。
作者は『溺れるナイフ』で知られる主に少女マンガ誌で活躍している女性漫画家・ジョージ朝倉(じょーじ あさくら)先生。

バレエダンサーを志す思春期男子の葛藤と成長

「バレエ」と聞いてまず多くの人が思い浮かびそうなのは、華やかな姿で可憐に舞台を舞う女性ダンサーではないでしょうか。日本のバレエ人口は世界一の規模を誇ると言われていますが、全体の9割以上を女性が占めているのでそのような認識になるのも当然だと思います。
ちなみに、比較的よく耳にする「バレリーナ」というのは女性バレエダンサーを指す言葉で、男性バレエダンサーのことはは「ダンスール」と呼びます。

この作品でメインスポットを当てられているのは、作品タイトルに「ダンスール」と入っている通り、日本バレエ界において絶対数で圧倒的に少ないとされる「男」。まだ思春期真っ盛りのプロを目指す少年バレエダンサーたちがメインです。

主人公の「村尾潤平」は幼い頃にバレエを習い始めるも、父の死をきっかけにその世界から離れた過去を持つ少年。これは、そんな彼が転校生の少女「五代都」と天才バレエ少年「森流鶯」との出会いをきっかけに、再び足を踏み入れたバレエの世界で「ダンスール・ノーブル(王子役)」を目指す成長の物語。

この中には、ただ主人公たちが目標に向かってひた走る姿だけではなく、男子がバレエをやることへの「恥ずかしさ」、何かを求めてやまない「渇望」、周囲からの遅れや足りないモノが多いことから生じる「焦燥感」など、思春期ならではの葛藤に苦しむ男の子の姿を見事に描き出しています。

熱量がとても激しく、バレエの世界をあまり知らない人でもついつい引き込まれてしまう面白さがあります。それに、バレエ用語も当然多く使われていますが、ストーリーの流れの中や、ページ横を使って解説も入れているなど、私のような全く馴染みのない読者にも優しい作りになっていたことは好感持てました。

「静」と「動」が織り成す爆発力と芸術性あるダンスシーン

これはバレエ漫画ですからね、もちろん踊りのシーンも大きな見所のひとつです。

紙面でありながら躍動感溢れるバレエシーンは素晴らしく、感情が高ぶっていくダンサーの心理状態も上手く踊りの中に溶け込ませていたと思います。
特に主人公・潤平の爆発力から繰り出される踊りは目を奪われてしまう迫力がありましたね。

そして、その躍動感ある「動」をより引き立てているのが、息を呑む美しさを醸し出す「静」のシーン。主にバレエのポーズですね。
まだ未熟な彼らなのでアンバランスなところはありますが、動から静へ、静から動へと、漫画であってもどこで止まってどこで動いているのがよく分かり、その緩急を巧みに操る見事な表現によって芸術へと昇華されています。

作者さんの見事な表現力と構成力が生み出すバレエシーンは、見てしまったら胸熱になること必至ではないかと。

正反対の2人、「潤平」と「流鶯」のライバル関係

やはりライバル関係というのは物語を盛り上げてくれる重要な要素ですね。この作品内においては広く言ってしまえば皆ライバルなのでしょうが、特に意識し合う「潤平」と「流鶯」の関係は目が離せません。

定番ですけど何から何まで対照的な2人です。
順平は最高の形の足があり、頭も小さいなど、バレエにおいては完璧に近いプロポーションという才能を持ちながらも、大事な幼少の時期にバレエから仕方なく離れざるおえなかった少年。
一方で流鶯は、身体的な才能には全く恵まれなかったものの、逃げ道はない環境で過酷な英才教育を受けたことで矯正し、バレエしかない人生を歩んできた少年。

これまでの生い立ちからして正反対なうえに、今自分が必要としているモノも相手が持っていて、さらに作中でお互い重大な岐路に差し掛かった際も、選んだ道は真逆。
にもかかわらず、この2人はいつだって絡み合ってるように見えるから面白い。切っても切れない生涯のライバルになる予感しかないです。

気になるのはバレエだけではなく、「恋」の行方もどうなることやらとワクワクソワソワが治まりません。当初は都がヒロインで彼女を巡って2人の男子がバチバチやるのかと思っていたのですが、ツンデレ夏姫ちゃん(6巻の表紙の子)が登場してから雲行きが変わりましたね。
個人的には互いに高めあってる潤平と夏姫ちゃんの組み合わせの方が好きなので、彼女がメインヒロインになることを望んでおります。
今後の動向には要注目。

最後に

そんなこんなで、バレエに情熱を捧げる思春期の少年少女たちの姿を描いた漫画『ダンス・ダンス・ダンスール』の紹介でした。いかがだったでしょうか?
バレエの世界だけではなく、10代にしかない子供の煌びやかな姿を見ることができましたね。あんなキラキラした心と表情、そして爆発力は、悲しきかな今の自分にはもうないです・・・。
絵に関しては目の大きさなど気になる人はいるかもしれませんが、繊細さと力強さを併せ持つ作者さんのタッチは素晴らしく、指先・つま先まで丁寧に描きこまれたキャラクターの姿は美しかったです。
いつもいつも気になる締め方をしてくれるので、続きが気になって仕方ないのが困りどころ。彼等のバレエが、夢が、人間関係が、今後どういう展開を見せてくれるのかは実に楽しみです。
バレエ好きもそうでない人でも楽しめる内容になっていますので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。

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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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