アフィリエイト広告を利用しています

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2017年04月21日

漫画『映像研には手を出すな!』1巻の感想とあらすじ

『映像研には手を出すな!』1巻の感想。


映像研には手を出すな!
著者:大童 澄瞳
掲載:月刊!スピリッツ
1巻発売日:2017年1月12日

水上に建てられた校舎と、度重なる増改築によって複雑になった校内は、さながら校内ダンションとも呼ばれる芝浜高校。
この学校に入学した新入生の浅草みどりは、アニメを作りたいけど1人で行動するのが怖くて一歩を踏み出せずにいた。友人の金森さやかにアニ研見学へ付き添ってもらったみどりは、そこで使用人から逃げていた財閥令嬢の水崎ツバメと出会い、彼女もアニメーターを目指していることを知る。
意気投合したことみどりとツバメはアニメ製作の話題で盛り上がり、さらに有名人のツバメがアニメ製作すれば金になると踏んださやかの提案で、3人は「映像研」を立ち上げることになった。
みどりたちは「最強の世界」を作るため、3人で力を合わせてアニメ制作を始めるのだった。

入学した高校で出会ったアニメ製作をしたい異なるタイプの3人娘が、映像研究同好会を立ち上げ、アニメで目指す「最強の世界」を創り出すため奮闘する物語。
女子高生3人が同好会でアニメ製作に挑む青春冒険譚。スピリッツで1話を試し読みをしたときから、「こんな作品を待まってました」と声をあげたくなるぐらい気に入っていた作品です。著者はこの作品がデビュー作となる新人の大童澄瞳さん。

マンガやアニメ製作の現場を描いた作品はこれまでも多く生み出され、様々な切り口で描かれてきました。特にマンガ家を主人公にした作品は古くから親しまれてきたこともあって、藤子不二雄さんの『まんが道』、日本橋ヨヲコさんの『G戦場ヘヴンズドア』、他にも『バクオン』や『アオイホノオ』など、有名作品が次々と生まれています。個人的には『かくかくしかじか』がお気に入り。
アニメーション製作を描いた作品もここ数年で数を増やし、『アニウッド大通り』や『アニメタ!』、そしてアニメ放送された『SHIROBAKO』は多方面から高い評価を受けた作品ですね。
そんなアニメ製作について描かれた作品の中でも、今回紹介させていただく『映像研には手を出すな!』はまた違った独特な味わいがあり、特に設定画を見るのが好きな人にはたまらない内容になってます。

メインの高校1年生3人娘たちは性格も特技も役割も異なり、三者三様の特徴を持つキャラクターでみんな魅力的。
主人公的立ち位置にいるのは、幼いころから空想を膨らませては超絶練り込んだ設定画を描いてきた子で、背景絵が非常に上手い「設定命」の、浅草みどり。世界観を構築する作業を好み、「最強の世界」を作って大冒険することが夢。
2人目は、お金が行動原理の基本である守銭奴で、雄弁にモノを語る弁論家、金森さやか。クリエイターではありませんが、みどりとツバメをうまくまとめ、マネジメント能力にも優れてるプロデューサーみたいな子です。
3人目は、有名カリスマ読モでお金持ちの家庭で育った超お嬢様、水崎ツバメ。俳優にしたい親からは猛反発を受けていますが、実はアニメーター志望でみどりが苦手な人物画を得意としてます。

このタイプの異なる3人がひょんなことから出会い、協力してアニメ制作をしていくという話。ツバメの事情で既成の部であるアニメ研への入部は出来ないため、ならば自分たちで製作できる場を作ってしまえばいいと思い至り、さやかの活躍で「映像研究同好会」を立ち上げ、ボロボロでも部室を得たことで始動と相成りました。
入学した高校で同士と出会い、同好会を設立し、協調して目的のために奮闘する。この流れだけを見るとよくある王道な学園部活漫画ですが、唐突に挟まれる空想世界や設定画など、見せ方によってこれまでにない斬新な作品に仕上がっています。

王道なストーリー展開とアニメにおける設定、ストーリー、キャラクターなどの製作過程を進めていく現実世界の中で、その流れを切ることなく唐突に挟み込まれてくるのは、浅草みどりたちが頭の中で膨らませる空想世界。この表現がユニークで面白い。
例えば、ツバメが紙面に描かれたメカデザ設定画に加筆・修正を行っている作業風景を見ていたと思ったら、次の瞬間にはイメージされた空想世界が広がり、彼女はメカのエンジニアへと姿を変えています。現実世界でメカデザインの設定画を描くという行為を、空想世界では整備士がメカをメンテしている光景として描かれています。他にも、部室が宇宙船になったり、高校は未来都市になったり、メカに搭乗して空想世界を飛び回ったりと、誰か1人が空想を広げ、他2人が追体験するという表現方法。
この現実世界と空想世界の転換によって、彼女たちの頭の中にあるイメージを読者も共有しやすくなっていたと思います。

そしてこれまた唐突に差し込まれてくる見事な設定画の数々。見開きページで全体像から各部パーツまで細かな解説が成され、部品の素材や動きの構造までしっかり記してあるため、読者の想像までも掻き立てる工夫を凝らした演出になってます。
しかも、この設定資料のおかげで、空想世界の中で実際に可動する描写にも説得力があり、さらに先ほども述べたように読者の頭の中で実際に動いてるイメージを想像しやすくもなっています。練り込まれ過ぎた設定画にちょっとニヤけてしまいましたね。

好きな人はとことんドハマり出来る作品『映像研には手を出すな!』、非常に面白かったです。ストーリー、キャラクター、演出、マニア度、どれをとっても個人的に最高。
設定好きにはたまらない内容だからというだけではなく、メインキャラクターのバランスも面白くさせてる大きな要因かと。楽しいという感情がアニメ製作における行動原理の基礎になっている浅草みどりと水崎みどりに対し、ビジネスとして考えている金森さやか。クリエイターにばかり目が行きがちなジャンルで、そんなクリエイターたちの尻を叩くプロデューサーもメインに加えていることで、ストーリーに良いテンポが生まれていたと思います。どのキャラクターを好きになるかで見方も変わってくるでしょうね。
想像する楽しさ、構築していく楽しさが強く伝わってくる内容で、真っ白だった紙面に設定が記され、それを元に肉付けし、色づけが成され、世界に命が吹き込まれていく。空想世界に飛び込んでいく3人娘を見ていると、こちらまでワクワクさせてもらえる素晴らしい作品でした。まだ1巻ですけど強くおすすめさせていただきます。


【eBookJapan】 映像研には手を出すな!
 ↑無料で試し読みできます

にほんブログ村 漫画ブログ おすすめ漫画へ

2017年04月19日

【かつて神だった獣たちへ】マンガ 感想&あらすじ 心を無くしたかつての戦友を葬る哀悼の旅を描いたダークファンタジー

別冊少年マガジン。2014年7月号より連載中。既刊5巻
著者:めいびい
他作品:黄昏乙女×アムネジア



あらすじ

国土を二分する内戦が長く続いた時代。劣勢に追い込まれた北部が現状打開のために戦場へ送り出したのは、禁忌の技術を用いて生み出された異形の兵士たち――その名も「擬神兵(ぎしんへい)」。

人の姿と引き換えに得た人智を超えた圧倒的な力を振るい、擬神兵部隊は戦乱の国を和平へと導いていく。人々から“神”とまで称えられ、戦争終結の立役者として英雄になった擬神兵たち。しかし、平和な時代に彼等の居場所はどこにもなく、神の力に心を蝕まれた擬神兵たちの中には各地で問題を起こす者まで現れ、いつしか“獣”と呼ばれる存在に・・・。

ある者によって解き放たれた擬神兵を殺すことを目的に、旅を続けている”獣狩り”のハンク。擬神兵だった父を殺された少女・シャールは、父が殺されるべきだったのかを自分の目で確かめるため、ハンクの旅について行くことを決意した。

かつての戦友をその手で葬るため、ハンクは約束と悲しみを胸に、異形の者を駆り続ける旅路を歩んでいく。

主要登場人物

・ハンク・ヘンリエット
主人公。擬神兵「ウェアウルフ」。かつて擬神兵部隊の隊長を務めていた男性。軍での階級「特技曹長」。「心無くした者は仲間の手で葬る」という部隊員たちとの約束を胸に、各地で問題を起している擬神兵たちを殺し続け、いつしか「獣狩り」と呼ばれるようになりました。数少ない人と獣を行き来できる擬神兵で、夜の間だけ真価を発揮できる稀有な特性の持ち主。夜になると普段の黒髪が白髪になります。擬神兵としての姿は人間より少し大きい狼男ですが、本来の姿は巨大な狼。力を使う度に獣になっていくこと、そして約束を果たせなくなることを恐れ、仲間のことを覚えたまま死にたいと思っています。シャールに欲しかった言葉を貰えたこと、彼女との約束によって、深い苦しみと迷いから立ち直りました。

・ナンシー・シャール・バンクロフト
もう1人の主人公。ハンクと一緒に旅をしているおさげ髪の少女。父親・ウィルはかつてハンクの部下だった擬神兵「ニーズヘッグ」。父の仇であるハンクを見つけて殺すつもりでしたが、父の死の意味を知るために彼の旅へ同行することを決意。父の形見である像撃ち銃とティーセットを常に携帯。父の、そして擬神兵たちの最後の望みと言葉を知りたいと思っています。擬神兵たちを想い、彼らは神でも獣でもなく人間だと思っている優しい子。旅を通じてハンクは擬神兵たちの想いを守るために彼らを葬っていることに気づきました。人でなくなることを恐れるハンクに対して、獣になってしまったときは自分が人として殺すことを約束し、ハンクの迷いを晴らしました。

・ライザ・ルネキャッスル
軍の情報局戦後処理部に所属し、ハンクのサポートをしている女性。軍での階級「少尉」。金髪でナイスバディな体型をしているお色気お姉さん。ハンクが必要とする様々な情報や物資の調達をして後方サポートをしてくれる人物。ハンクに気があるようで、シャールにも対抗意識を燃やしていましたが、「男は顔とステータスがあればそれでいい」と堂々宣言。

・エレイン
擬神兵を生み出した技術者の女性。戦争終結間近、平和な世界に自分たちの居場所はないと語り、擬神兵たちが心を失う前に命を奪うことが自分の責任であるとし、ハンクに銃を向けました。協力者だったはずのケインに撃たれ行方不明とされていましたが、ケインの元で体が保管されていることが判明。生死は不明。シャールと同じ青い瞳をしています。ハンクのことをを愛していました。

・ケイン・マッドハウス
かつてのハンクの友人であり、擬神兵部隊の副隊長だった男性。擬神兵「ヴァンパイア」。血と夜をつかさどる不死の存在であり、驚異的な再生力の持ち主。この世界に獣を解き放った張本人でもあります。常にある幼い少女を隣に連れています。元は名門貴族のお坊ちゃん。友人であったエレインの計画に協力するフリをし、彼女を銃で撃ちました。戦後の待遇に不満を感じていた軍人・南部貴族、貧困に喘いでいた市民を扇動し、彼が率いる擬神兵たちと共に自由国家「新パトリア」を建国。元の名は「ケイン・ウィザース」。

クロード・ウィザース
パトリア連邦中央政府が設立した擬神兵討伐部隊「クーデグラース」隊長。軍での階級は「少佐」。パトリア連邦大統領の息子で、新パトリアを建国した擬神兵・ケイン・マッドハウスの弟。生真面目で使命感と責任感が強く、部下思いの青年。ハンクも討伐対象でしたが、使命を果たすために彼と共闘する道を選びました。



【eBookJapan】 かつて神だった獣たちへ 無料で試し読みできます


感想・見所

かつて英雄と讃えられていた異形の兵士たちが平和な世界で居場所を無くし、心を蝕まれたことによって中には人々に害なす獣に成り下がった者まで現れ、そんな異形の戦友たちを葬るために旅を続ける元隊長の男と、彼に粛正された父を持つ少女、そして悲しみを抱える異形の者たちを巡る物語。
愛と暴力の旅路を描いたダークファンタジー作品。著者は『黄昏乙女×アムネジア』、『結婚指輪物語』で有名な男性2人組の漫画家・めいびいさん。タイトル上げた作品はシリアスとコメディのバランス良い作品ですが、この作品はほぼシリアスの内容。

基本重苦しい雰囲気で描かれるダークファンタジー。コメディ要素は薄く、残酷・凄惨な描写が目立ち、悲劇的な展開と結末を迎える作品も多いですね。ハッピーエンドで終わる作品もなかにはありませんが、誰も彼もが救われて皆ハッピーな展開になることはほとんどなく、目を背けたくなるようなグロシーンも多様することから、結構好き嫌いも分かれるジャンルだと思います。
『ベルセルク』や『CLAYMORE』、『ユーベルブラット』あたりが有名ですね。最近では『銀狼ブラッドボーン』も個人的には好きな漫画。
今回紹介させていただく『かつて神だった獣たち』もダークファンタジーに分類される1つ。少し重いテーマとストーリー展開を見せ、残酷で切ないシーンも多く描かれますが、優しさと愛も強く感じられる内容で、結末が非常に気になる作品になってます。

かつては「神」、平和な世では「獣」、人生を翻弄された異形の者たちを巡る物語

北部と南部で国を二分した内戦が長く続いた時代、劣勢に追いやられた北部が禁忌の技術をもって生み出したのが、異形の兵士「擬神兵(ぎしんへい)」。怪物と化した擬神兵は、人の姿を捨てる代わりに得た神にも喩えられるほどの強大な力を振るい、内戦を和平へと導いていきました。
だが、戦時下では神と称えられていた擬神兵も、平和な世では“獣”として畏怖される存在に・・・。そして、「獣狩り」と呼ばれる男・ハンクは心を無くした彼らを葬り続け、彼の前にかつて殺した擬神兵の娘・シャールが現れました。
この作品は、暴力と哀悼の旅を続けるハンクの物語であり、父の仇である彼の旅に同行しながら擬神兵の心にふれていくシャールの物語であり、神の力に翻弄された擬神兵たちの物語でもあります。
コメディ色はほとんどなく、全体的に悲しみと切なさを多く含んだシリアス重視の内容で、グロテスクな描写も少なくはないです。1巻はシャールが仇であるはずのハンクの旅に同行する件など、若干あっさり感はありましたが、巻を重ねるごとにストーリーは大きくなり、盛り上がりと共に読み応えも増してると思います。

悲しみを抱く擬神兵を通して見る人間の弱さ

家族や国のために人の姿を捨ててまで戦い続けたにも関わらず、戦争が終われば守ってきた人々から獣扱いされる擬神兵。神の力が敵に向いているときは彼らを賛美し、手に負えなくなれば畏怖し粛正しようとするなど、人間の心の弱さと醜さが嫌ってほど伝わってきます。現実にも通じるものがあるような気もします。
擬神兵たちとて例外ではなく、たとえその身に神の力を宿したところで、心は人間のまま。精神は力に飲み込まれ、心の抑制は次第に外れていき、自らが叶えたい望みのままに行動するようになったことで、人々からさらに恐れられるようになります。ただ、その多くは本当にささいな願望。「居場所を失いたくない」「見たい景色がある」「歌を聴いて欲しい」「安心したい」。力の代わりに失ってしまったものを取り戻すため、制御を失いながらも望みに執着する彼らを見ていると、切なさと悲しみで胸がいっぱいになります。敵だとしても憎むことはできません。
そして、彼らは自分たちを葬るハンクに対して恨みを言うことはなく、あるのは哀しみと解放。

想いを守るために戦い続ける哀悼の旅

擬神兵部隊を率いていた隊長でありながら、戦友を殺し続けていく男・ハンク。ただ、裏切り者・ケインに対してはさすがに恨みもあるのでしょうが、それ以外の擬神兵たちに対して恨みや憎しみはなく、かつて仲間たちと交わした「心無くした者は仲間の手で葬る」という約束を果たすべく、シャールたちと出会うまで1人旅を続けていました。
ハンクは仲間たちが抱いていた大切な想いを、他でもない心を失ってしまった自分たちの手で壊してしまわないように、それを守るために悲しみならがも葬っていたんですね。
はっきり言って、やりきれない気持ちになる結末ばかりです。しかし、だからこそ寄り添ってくれる人の温かさ、愛情、優しさも強く伝わってくる内容だったと思います。

最後に

ということで、人の弱さ、愚かさ、愛情を描いたダークファンタジー作品でした。おすすめしといてなんですが、間違いなく万人受けするような作品ではないですね。好きになった人はとことんハマるタイプかと。
特に序盤のエピソードは短くても綺麗にまとめられ、テンポ良く進行しています。人によってはあっさりし過ぎと感じるかもしれませんが、ストーリーが進んでいくと話も大きくなり、丁寧な描写も増えて深みと厚みも出ていたと思います。画力に関しては申し分なく、キャラクター、背景、バトル描写、どれも見事でした。中でもシャールの可愛さは必見。
切なくも熱く、胸に刺さる内容で、結末が非常に気になる作品。切ない話やダークファンタジー系が好きな人なら楽しめると思いますので、よければ読んでみてください。おすすめさせていだきます。



にほんブログ村 漫画ブログ おすすめ漫画へ

2017年04月17日

漫画『海王ダンテ』1巻の感想とあらすじ

『海王ダンテ』1巻の感想。


海王ダンテ
著者:皆川亮二 原著:泉福朗
掲載:ゲッサン
1巻発売日:2016年7月12日

時は18世紀後半――西欧諸国が海路開発へ新たな活路を見出し、こぞって植民地活動に取り掛かっていた時代。北極点に国の旗を突き刺して大英帝国の力を誇示するため、女王の命を受けたイギリス海軍の船は目的地を目指して進んでいたが、行く手を阻む吹雪と氷塊によって17日間も足止めされていた。
そんな時、本来人などいるはずのないこの過酷な地で、船員は船に向かってくる人影を発見し動揺する。しかも、姿を現したのはなんと1人の子供・・・。ダンテと名乗るその少年は、友人の生命を救うため“あるもの”を求めて北極点を目指していた。無謀過ぎる告白に対していぶかしむ船員たちだが、ここまで1人で旅をしてきた彼は普通の子供ではなかった。
ダンテは緻密に描かれた地図や様々知識が記された巨大な本で皆を導き、そしてじいちゃんから本と一緒に受け継いだもうひとつの力、魔導器と呼ばれる未知なる力で道を切り開きながら、目的を果たすために目指すべき場所へと進んでいく。

病の幼馴染の少女を救うために“あるもの”を求めて北極点を目指す少年が、巨大な本と未知なる力を宿した魔導器を携え、立ち塞がる困難を打破しながら成長する姿と、世界に影響を及ぼす強大な力を巡る戦いを描いた物語。
壮大なる海洋スペクタクルロマン活劇。帯での謳い文句「超文明」×「召喚術」×「海賊」×「世界征服」とあるように、ワクワク要素メガ盛りの作品です。
漫画は「スプリガン」、「ARMS」、「ADAMAS」、「PEACE MAKER」などでお馴染みの皆川亮二さん。原作は岡エリという名義で「ADAMAS」の脚本を担当していた漫画原作者・泉福朗さん。

史実とファンタジーを織り交ぜた作品というのは、普段あまり歴史関連に馴染みない人でも楽しむことができ、作中で登場した歴史上の人物・事件、その時代そのものに興味を持つきっかけにもなると思います。子供でも大人でも楽しませてくれる作品が多いですね。
この『海王ダンテ』もはっきりと記されているわけではありませんが、時代背景と作中での表記・描写などから、軸となる人物は歴史上の大物たちをモデルにされていることが伺え、作品内容だけではなく歴史にも興味を深めさせてくれるかもしれません。だいぶファンタジー寄りで冒険活劇という面の方が強いすけどね。

時は1763年、7年戦争(イギリスの支援を受けたプロイセンと、オーストリア・フランス・ロシア・スウェーデンなど大陸諸国との間に起きた欧州全土を巻き込んだ7年に及ぶ戦い)が終結し、西欧諸国が海の向こうに活路を見出し、海路開発、植民地活動にこぞって乗り出した時代のお話。
物語の始まりは一番上のあらすじに書いた感じです。幼馴染の少女・エマを病から救うために北極点を目指しているというダンテですが、子供1人で無謀にもほどがある行いに、当然海軍の大人たちは「ありえない」といった反応。しかし、ダンテはこの時代に生きる誰よりも豊富な知識と、障害を打破する強力な力を有する少年でした。それを可能にしていたのは、彼が持つ様々な知識が集約されている一冊の巨大な本と、魔導器と呼ぶオーパーツのような装置。
それらを駆使してイギリス海軍を北極点へダンテは導いていくのですが、そこに当時の科学ではありえない四脚で歩行する船が立ち塞がり、乗っていたダンテと同じ目的で北極点を目指していた幼馴染・ナポリオとフランス海軍の攻撃を受けます。さらにナポリオの兄・ジョゼも絡んでくるのですが・・・。
冒険モノ好きならワクワクは必至。北極点を目指すのは作品の目的ではなく、1巻での目的です。大航海、海賊、オーパーツ、召喚術、さらに史実まで絡み、これらがカチっと組み合わさったら今後どうなるのか、とても楽しみですね。詰め込み過ぎて下手したら収拾つかない事態にもなりそうですが、そこはまあ数々の有名作品を手がけてきた作者さんなので、うまくまとめてくれることを期待するとしましょう。

この作品の重要なキーになるのは間違いなくダンテも持っていた“本”、そして“魔導器”でしょうね。本は全部で3冊あり、なんと生きている本ということで、本に見えても実際は別の姿を持っているそうです。
ダンテが持つ「要素(エレメント)」と呼ばれる本は、世界の理が記されている本。ナポリオが持つ「構成(ビルド)」は、主人の望むあらゆる発明品の設計図が記されている本。最後にダンテたちが探し求めている「生命(ライフ)」は、あらゆる病を治し、生命そのものにさえ干渉してしまう本。ダンテとナポリオは「生命」の力を使ってエマを救おうとし、さらにダンテはその後でこの本を封印することも1つの目的らしいです。
そして、もう1つのダンテが所持している懐中時計のような形をしている魔導器。巨大な氷塊を粉砕したり船員をシロクマから救うなど強力な力を持っていますが、代わりに使用者の体のどこかの細胞を犠牲にしなければいけない代償付き。
本でも魔導器でも100%力を発揮させると世界バランスなんてあっさり崩れてしまう強力アイテムだと思うんですが、代償や時代も関係して、やれることには限度・制限があるというのは上手い設定だったと思います。

1巻は完全に丸々プロローグいった感じの内容でした。現状は、奪った「生命」の力で過去の海賊を蘇らせて世界征服を目論むジョゼと、封印しようとするダンテとの対立構図。そして、イギリス軍についたダンテと、フランス軍についたナポリオ。
面白いのが、コルシカ島で育ったダンテとナポリオ、さらにエマ・ハート。明かされた主人公の本名「ダンテ・ホレイショ・・・」。この彼等の名前、地名、時代、主人公と幼馴染が現在身を置いている国を考えると、どうしてもイギリスの英雄とフランスの英雄を思い浮かべてしまうからテンションは上がってしまいます。年齢など本来とは若干ズレもありますが、あまり細かく指摘する必要もないでしょう。
てんこ盛りの様々な要素がどう交錯していくのか気になり、今後の展開を非常に楽しみにさせてくれる1巻でした。ダンテたちのこれからの活躍を期待してます。


【eBookJapan】 海王ダンテ
 ↑無料で試し読みできます

にほんブログ村 漫画ブログ おすすめ漫画へ

2017年04月16日

【紹介した作品の新刊発売情報】ヴィンランド・サガ 第19巻 他10作品

2017年4月17日〜4月23日発売予定の新刊。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。



星野、目をつぶって。 第5巻 2017年4月17日発売

星野、目をつぶって。の過去記事はこちら



らんま1/2 第11巻 2017年4月18日発売

らんま1/2の過去記事はこちら



魔王城でおやすみ 第3巻 2017年4月18日発売

魔王城でおやすみの過去記事はこちら



干物妹!うまるちゃん 第10巻 2017年4月19日発売

干物妹!うまるちゃんの過去記事はこちら


ひもうと! うまるちゃんSS 1 (ヤングジャンプコミックス)

2017年4月19日発売




亜人ちゃんは語りたい 第5巻 2017年4月20日発売

亜人ちゃんは語りたいの過去記事はこちら



織田シナモン信長 第3巻 2017年4月20日発売

織田シナモン信長の過去記事はこちら


ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンKC)

2017年4月21日発売

ヴィンランド・サガの過去記事はこちら



試し読みをして気になった作品もひとつ紹介します。


フルドラム 第01巻
著者:箱石 達
掲載:週刊ヤングジャンプ
2017年4月19日発売


四月、それは誰にでも訪れる出会いと始まりの季節――。
主人公・日野(ひの)は彼女持ち揃いの運動部に嫉妬して様々なクラブへ入部するも、極度の運動音痴と頭の悪さによってクビを言い渡される日々を送っていた高校生。俺はまだ運命のスポーツに出会ってないだけだと自分に言い聞かせていた日野は、誤って入ろうとした隣の教室前で女生徒にぶつかり、その子のあまりの美しさにあっさり心を鷲掴みにされてしまった。
登戸綾子(のぼりとあやこ)という名の少女に運命を感じた日野は、彼女がラグビー部のマネージャーをやっていることを知り、彼女を追いかけてラグビー部への入部を決意するのだった。

ラグビーと運命的な出会いをした高校生が、倒れても傷ついても立ち上がり闘い続ける、意地と魂が弾ける闘球物語。
2010年に『ハイタイム』で第100回MANGAグランプリにおいてで優秀賞を受賞した箱石達さんの連載作品。

お分かりのとおり近年流行りのラグビーを題材にした作品です。嬉しいことに、今時珍しい正統派スポ根漫画でもありますね。
惚れたラグビー部のマネージャー目当てで入部したという経緯、天才と誉められて喜ぶお調子者の性格など、ところどころで名作『スラムダンク』を彷彿とさせてくれる描写がありました。

主人公・日野は、友人から「頭が悪い、超絶運動音痴、性格もねじ曲がったクズ以下のゲロ虫野郎」とまで言われてしまう高校生。かなりアグレッシブな性格で、彼女欲しさにいくつもの部活に挑戦しましたが、全く使い物にならないことから毎回追い出されてしまう有様。普通の人はとズレた思考回路を持ち、おまけにお調子者なので簡単に乗せられてしまうちょっと残念な子です。
ただ、運動音痴といっても非常に高い身体能力を持ち、根性があって負けん気も強く、これまでは彼が挑戦したメジャースポーツであるサッカーや野球などでは能力・特性を発揮できなかったところ、ラグビーというスポーツにピシャっと見事ハマったようです。
不良ではなくても問題児とされていた主人公が、動機はどうであれ、運命的な出会いをしたラグビーで才能を花開かせていく王道展開は嫌いじゃない。

ヒロインと思われる登戸綾子さんも可愛かったです。こちらも正統派ヒロインといった感じで、ラグビーを愛し、明るく元気で優しく、運動部のマネージャーにいそうな可愛い女の子。彼女に釣られてラグビー部へついていってしまう男は少なくないようですが、打ちのめされて逃げ出す部員も同様に少なくないとのこと。部長とどんな関係なのかちょっと気になります。
これからさらに可愛い女の子キャラが出てくるかもしれないので、男衆はそちらも注目ですね。

スポーツ漫画でストーリーと共に特に重要性の高い作画に関しては、問題ないどころか素晴らしい出来だったと思います。背景・小道具は丁寧に描かれ、キャラデザと筋肉の描き方も個人的には好み。そして人の動き、特にラグビーの動きは迫力ある作画で描かれているので見応えも十分。良く動く表情、顔芸も面白かったです。

試し読みではまだ見られませんでしたが、まずはラグビーの試合描写でしょうね。この出来如何によっては良作にも駄作にもなりかねませんから。
とはいえ、内容・作画ともに素晴らしく、掴みとしてはなかなか良く出来た始まり方だったので、今後への期待を強く持たせてくれる作品でした。

試し読みはとなりのヤングジャンプさんの公式サイトで配信されています。(こちら

にほんブログ村 漫画ブログ おすすめ漫画へ







2017年04月14日

漫画『賭ケグルイ』1巻の感想とあらすじ

『賭ケグルイ』1巻の感想。


賭ケグルイ
著者:河本 ほむら
掲載:月刊ガンガンJOKER
1巻発売日:2014年10月22日

財政界の有力子女たちが通う伝統ある名門校・私立百花王学園。この学園では「ギャンブル」の強さが何よりも高く評価されることから、勝敗はそのまま学園での立場にも直結し、生徒会による管理の下で明確な階級制度が敷かれていた。
この学園に通う生徒の1人・鈴井涼太は、ポーカー勝負に敗北したことで通称「家畜」と呼ばれる最下層の身分に落ち、クラスメイトから奴隷のような扱いを受けることに。
そんなある日、涼太のクラスに1人の少女が転校してくる。美少女転校生の蛇喰夢子と涼太は学園案内をきっかけに親しくなったのだが、それに不満を抱いたクラスの中心人物・早乙女芽亜里から勝負を挑まれ、夢子はその申し出を受けてしまった。
まだ転校して来たばかりの夢子を心配する涼太。しかし、いざギャンブルが始まると、夢子はズバ抜けた洞察力と観察力を発揮する。しかも彼女の本性は、リスクを負うことに強い快楽を感じてしまう「賭けぐるい」だった。

ギャンブルの勝敗に基づく階級制度に支配されている学園を舞台に、そこへ転校してきた狂気じみた本性を笑顔の裏に潜ませる謎の美少女が、自らの欲望を満たすため、イカサマありきのギャンブル勝負に嬉々として飛び込んでいく話。
学園ギャンブル漫画。原作・河本ほむらさん、作画・尚村透さんによる共同作品です。既に『賭ケグルイ双』や『賭ケグルイ妄』などスピンオフ漫画も多く発行されてる作品なので今更感はあるんですが、2017年夏からアニメ放送が始まるとのこのなので、遅ればせながら1巻読んでみました。

ギャンブルにどんな印象を持つかと問われた場合、恐らく一般的には悪い印象を持たれる割合が圧倒的に高く、好意的に捉える人はあまりいないと思います。海外ならともかく、それが日本でなら特に。
ただ、そんなギャンブルでも一度ハマッてしまうともう大変。このままじゃいけないと思いながらも、魔の吸引力でも働いているのか、なかなか抜け出せなくなってしまう人も多くいますね。私は遊びでカードゲームをやるぐらいで賭け事は全くやりませんが、きっとそれほどのものがギャンブルにはあるのでしょう。
そして、そんなギャンブルの魔力に取り憑かれたギャンブル狂たちのイカれた姿を描いた作品が、今回紹介させていただく『賭ケグルイ』という漫画です。
表紙がホラー感満載のイラストですけど全くそんなことはないのでご安心下さい。

舞台は財政界の有力子女が多く在籍している伝統と格式ある名門校・私立百花王学園。この学園で生徒たちを評価する最たる要素は勉強でもスポーツでもなく、まさかの「ギャンブル」。将来人を使う側の立場になる生徒たちには勉強やスポーツといった一般的な評価基準よりも、駆け引きや読心術、ここぞというときの勝負強さの方が重要であろうことから、それら素養を計るに適した“ギャンブルの強さ”こそが求められる学校。
とんでもなくありえない学校ですけど設定としては面白いですね。ギャンブルを管理している強力な権限を持つ生徒会には上納金を払う必要があるらしく、しかもその上納金ランキングでワースト100位に入ってしまった場合、「非協力傾向生徒」・・・通称「家畜」として、男なら「ポチ」、女なら「ミケ」と呼ばれながら奴隷同然に扱われる過酷な環境。

そんな学園の2年華組に転校してきたのが主人公・蛇喰夢子(じゃばみ ゆめこ)。この作品で一番の魅力を上げるとするなら、私的には間違いなく蛇喰夢子というイカれたキャラクターですね。
一見すると黒髪清楚で物腰も柔らか、大和撫子のような美少女ですが、その本性はとんでもなくヤバイ子。勝てば天国負ければ地獄というギリギリのスリルに酔い痴れ、イカサマを知っていながらまるでジャンキーのように自ら背負ったリスクを楽しみ、そのリスクが高ければ高いほど興奮し、快感を覚え、恍惚とした表情で滾ってしまう「賭けぐるい」。夢子は図抜けた洞察力と観察力を持っていますが、あえて運を天に任せる勝負に出るこもある・・・というより好んでいるようにも見えます。
一体全体どういった育ち方をすればこの若さでこんな人格が形成されてしまうのか、生い立ちが非常に気になるキャラクターですね。

私はギャンブル漫画は滅多に読まないので比べる材料があまりないのですが、たぶん真面目なギャンブルを楽しむ作品ではないので、そういった内容を求める方にはおすすめしません。ただ、ゲームプレイ時の様子はとても面白かったです。
出てきたギャンブルは「投票ジャンケン」、「ダブル神経衰弱」、「生か死か」、この3つのオリジナルゲーム。ルールは解り易いのでこの手の作品に馴染みない人でも問題ないと思います。
必勝法がないというは面白いですね。運も必要なゲームばかりなので、主人公が絶対に勝つという保障はなく、あくまで勝てる可能性が高い状況に持ち込んでいるといった感じで、どうなるかは本当に最後まで分からないドキドキ感があります。
駆け引きは思っていたほど深くはなく、まだ1巻だからなのか敵側のイカサマもちょっと稚拙でツッコミ所は満載でしたが、人が心に潜ませる闇の部分や、極限に追い込まれた時に人間が抱く心情と顔芸は面白く、ゲームの雰囲気はとても楽しめました。

ギャンブルゲームを楽しむというよりも、プレイ中の心情、セリフ回しと顔芸、夢子を筆頭としたイカれたキャラクターを見て楽しむ漫画だと思います。とても綺麗な作画で描かれているので、特に顔芸の魅力は何倍にも膨れあがっているかと。
気になるのはやはり夢子のバックボーンと目的。ただギャンブルを楽しみたいからという理由ではないと思うのですが、いろいろ匂わせておいて、結局それだけでしたというオチの可能性も・・・。良くも悪くも凡庸な涼太が気に入られている理由も気になりますね。
ともかく1巻はとても楽しませてもらえ、これからの展開も気になるので、続きも読んでみようと思います。


【eBookJapan】 賭ケグルイ
 ↑無料で試し読みできます

にほんブログ村 漫画ブログ おすすめ漫画へ
プロフィール
ハネ吉さんの画像
ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
プロフィール
<< 2017年04月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
検索
最新記事
リンク集

400,000冊以上の電子書籍を販売していて、マンガの保有は世界最大級。パソコン、タブレット、iPhone/iPod touch、Androidなど幅広い機種に対応。
無料立読もできます。
カテゴリーアーカイブ
ファン
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。