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2016年12月09日

【ばらかもん】マンガ 感想&あらすじ 自然豊かな五島を舞台にした青年書道家の成長と島民とのふれ合いを描いたハートフルストーリー

ガンガンパワード→ガンガンONLINE。2008年4月号より連載中。既刊13巻
作者:ヨシノサツキ
他作品:はんだくん



あらすじ・概要

書道の授賞パーティで自分の作品を酷評した書道界の重鎮を殴ってしまい、見かねた父親によって日本最西端にある五島に送られた書道家の青年・半田清舟。
山と海と畑ばかりが広がり、島民とすらなかなか巡り合えず、なんとか見つけた第1村人の助けを借りてようやくこれから暮らすことになる住居へたどり着いた半田。家の中を見て回っていると、隠れ潜んでいた幼い少女と出会い、妙に懐かれてしまうことに。
内心ではあまり反省する気のなかった半田だったが、島で出会った琴石なるや自由で気ままな個性豊か過ぎる島民達と交流を重ねていくうちに、次第に未熟だった自分を見つめ直すようになり、その心の変化は彼の書にも影響を与えることになっていく。
自由で開放的な五島を舞台に、なかなか1人にさせてもらえない青年書道家の、騒々しいけど温かな新生活が幕を開けた。

主要登場人物

・半田 清舟
主人公。23歳のイケメン書道家。島では「先生」と呼ばれています。頑固でプライドが高く、神経質で繊細なめんどくさい青年。自分の作品を酷評した書道の重鎮館長を殴ったことで、書道家の父に「頭を冷やしてこい」と言われ島へ送られました。意外と好奇心旺盛で面倒見の良いところもあり、島の子供たちに懐かれています。幽霊と虫が苦手。猫が大好きなのにアレルギー持ちのためさわることはできません。

・琴石 なる
島に住む小学1年生の少女。7歳。左手のミサンガ、サイドに束ねた髪が特徴。明るく活発、自由奔放な性格をしており、元気の塊みたいな子です。半田先生と仲良くなったことで彼の借りた家に入り浸るようになります。その先生に恋人がいるかもという話になったときは慌てふためき、一時東京へ帰省した際には抜け殻になるほど、彼のことが大好きなようです。セミの抜け殻を集めているなど昆虫が好き。

・山村 美和
島に住む中学2年生。14歳。実家は酒屋。髪を短髪にしているボーイッシュな少女。誰に対しても明るくフレンドリーに振舞い、年上にも物怖じせず振舞っています。半田先生が借りた空き家を遊び場にしていました。いたずら好きでもあり、なるによからぬことを吹き込み半田を困らせることもしばしば。

・新井珠子
島に住む中学2年生。14歳。通商「タマ」。自称文学少女。三つ編みと眼鏡が特徴の少女。親友の美和やなると一緒に、半田先生の借りた家を隠れ家にして遊んでいました。漫画家を目指しており、グロシーン多めの漫画を雑誌へ投稿しています。BLネタに対して敏感な反応を示し、本人は否定し嫌悪しているが、完全に腐女子。

・木戸浩志
島に住む高校3年生。郷長夫婦の息子。金髪にした髪が特徴。昔からやること全てが平均的で中途半端な少年。両親からも「平凡」と言われ、中途半端に荒れてました。半田先生の努力を目の当たりにし、自分の不甲斐なさに気づき改心。料理を得意としており、清舟の助言からそれを将来へ生かそうと動き出します。

・久保田陽菜
島に住む小学1年生。7歳。通商「ひな」。なるの親友。ロングにした黒髪と髪飾りが特徴の女の子。人見知りが激しく、哀しくても嬉しくても泣いてしまいます。自由に涙を流すこともでき、懐いている半田先生を困らせて楽しむこともあります。ほっぺたが柔らかい。



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感想

書道家の父親によって、人間として欠けているものを見つけさせるために離島へ送られた青年が、自然豊かな島で暮らしていく中で、個性立ちまくりな島民たちと交流し、様々な経験を経て、書道家として、そして人として成長していく姿を描いた物語。
ハートフルなアイランド青春コメディ。2014年には全12話からなるアニメも放送されています。さらに本編の6年前、半田清舟の高校生時代を描いたスピンオフ作品『はんだくん』も全7巻で発売。私は漫画もアニメも全部見ました。

最近は田舎でのスローライフを描いた作品を多く見かけますね。見上げればさえぎるものが何もない青い空、目の前に広がる雄大な海、草木が生い茂る山や澄んだ川。そのような自然の風景を目にするだけでも心癒される魅力があります。この『ばらかもん』もその魅力を存分に味わえる作品。
物語の舞台になるのは著者であるヨシノサツキさんの出身地、九州最西端に位置する長崎県の五島列島です。都会の喧騒からかけ離れ、時間がゆっくり流れているかのような錯覚に陥り、山や海など豊かな自然が広がるのどこかな離島です。作中に登場する島民たちは五島列島の方言を話し、地域の文化も数多く登場します。あと、田舎特有の習慣なんかも覗けるのも一つのお楽しみポイント。
ちなみに、タイトルの「ばらかもん」というのは、五島列島の方言で「元気者」という意味です。

私の実家もここまでではないですけど少し田舎寄りということもあって、子供の頃を思い出させてもらえました。実際の田舎はもっと閉塞的ですし、利便性やプライバシーの問題もあるので良いことづくめというわけにはいきませんが、この作品読んでると煩わしさから離れて島へ移住したくなりますね。

ただのスローライフを楽しむだけの漫画ではなく、主人公の半田清舟をはじめとした登場人物たちの成長と心の変化を描いた作品でもあります。
基本の内容は島で繰り広げられる日常系ほのぼのコメディ。騒がしい島民たちに振り回されてあたふたしている半田先生を見て楽しみ、自然の風景や心温まる言葉や振る舞いに癒されるという内容。

その半田先生が呆れるほどめんどくさい性格をしています。プライドが高く頑固なんだけど基本ネガディブなことからすぐに落ち込み、さらに神経質でガラスのハートのような繊細でピュアな心の持ち主。さらに、書道ばかりに取り組んでいたので世間知らずでもあり、書道界ではその名を知らぬ者などいないほど有名な父を持つため、コンプレックスも尋常ではありません。
近くにこのような人がいたら扱いに困りそうですね。保護欲をくすぐるタイプというところもやっかい。

そんなめんどくさい先生が島での暮らしの中で様々なものに触れ、少しずつ成長していきます。普通は田舎に馴染むまで多少時間かかるものですけど、先生は引っ越してきてそうそう多くの子供たちに懐かれていたことから、その光景を見たり人から聞いた大人たちからも温かく迎え入れてもらっています。
先生は基本ネガティブですけど好奇心旺盛で子供っぽいところもあり、何よりからかいがいがあるため、めんどくさいと思われながらもいじられ、子供からも大人からも気に入られていることがよく伝わってきます。
当初は自分のことだけで精一杯だった先生も、なるたちに(強引に)ひっぱられて様々なことを初体験し、多くの人たちと出会い、ときには別れを経験したことで、彼の心境には明らかに変化が見られます。誰かと一緒にいることが当たり前にもなっていますし、他人のことを強く心配するようにもなり、自分の将来を自分だけのことではないと考えを改め、誰かを絡ませて人生や将来を考えることができるにまで成長しています。
島独特の人間関係の中で、主人公がまたさらにどう変わっていくのかはこれからも見ものですね。

心に沁み入るセリフが多いのも良いところですね。豊富な人生経験からくる大人たちの悟っているかのような重みのある言葉、子供たちの素直な感性によって紡がれる、飾り気のないありのままの純粋な言葉など、心に残るセリフが多い。
人に取られたものを欲しがる必要はなか 諦める必要もなか 譲ってやってもっと大きな餅ば狙え
1巻でのキヨさんの言葉は強く残ってます。
1番うなずいたのは、
イケメンの醜態ほど笑えるものはない
ですけどね。

何度も読み返してしまう面白さがありますね。今回の感想は半田先生のことばかりでしたが、他の登場人物もそれぞれ個性が立っていて、出てくる人たち皆好きになってしまうほど魅力に溢れていました。なるの自由奔放で無邪気なところはとても微笑ましい気持ちにさせてくれますね。
半田先生が今後どういう決断をし、どこへ向かっていくのか、とても気になってます。島に残るのか、東京へ帰るのか、書道家として生きていくのか、別の生き方を見つけるのかなど、どういう展開になるか楽しみです。あと、13巻に出てきた女性とは今後も繋がっていくのかもかなり気になっています。
笑いあり、感動あり、時には涙もあり、島の豊かな自然と愉快な島民たちとのふれ合いを見てると、心が洗い流されていく気分になります。もっと読みたい、もっとこの空気に浸かっていたいと思わせてくれる作品ですので、よければ読んでみてください。自身を持って強くおすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 18:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日常

2016年12月08日

漫画『路地裏しっぽ診療所』1巻の感想とあらすじ

『路地裏しっぽ診療所』1巻の感想。


路地裏しっぽ診療所
著者:斉藤 倫
掲載:マーガレットコミックス
1巻発売日:2014年5月23日

ふわふわかわいい動物の写真やグッズは好きだけど、実際の動物は苦手な19歳の女子大生・雨野なずな。
ある日、自転車に乗って帰路を走っていると、突然茂みの中からモップのような謎の生き物が飛び出してきて、その拍子で思わずなずなは転倒してしまう。その謎の生物は、全くお手入れされてなかったせいで解り辛いが、どうやら毛が伸び放題になっていた小型犬。怪我を負っていたことを自分がぶつかったせいかもと思ったなずなは、近くにあった七宝動物病診療所へ連れて行くと、そこで口の悪い無愛想な獣医に厳しいペット事情を聞かされる。
その後、なずなは責任を持って拾った犬の飼い主を捜し出し、これまでの事情を説明したのだが、返ってきた言葉は・・・。

動物が苦手だった少女が拾った犬を飼うことを決心したことで、ペット可の物件に引っ越す資金を稼ぐため、動物病院でのバイトを始め、そこへ訪れてくるワケありの動物たちと真摯に向き合っていく物語。
表紙の少女と犬の愛らしさに惹かれたので読んでみました。帯に書いてあった「動物、正しく飼えてますか?」がテーマですね。
ちなみに、今現在はペット不可のマンションなので飼えてませんが、実家には物心ついた頃から犬や猫と育ってきたので、私にとって動物は身近な存在でしたね。犬も猫も大好きです。

心温まるハートフルな話もあれば、ちょっと辛くて悲しいシリアスな話もあり、リアルで厳しい現在のペット事情も語られています。表紙から受ける印象とは多少異なり、飼い主を選べない動物たちの胸が痛くなるような状況、無知からくる飼い主の無責任な行為など、結構しっかりした内容。
少女マンガだからと結構軽い気持ちで読み始め、最初はペットから繋がる恋愛ストーリーだと思っていたんですが、読み進めてみると予想とは異なる濃い内容に深く考えさせられました。

主人公の雨野なずなは動物に対して強い苦手意識を持っていますが、動物からは好かれてしまう19歳の女子大生です。幼い頃に大型犬に襲い掛かられた経験がトラウマとなっている模様。しかし、実際には襲われたのではなく、彼女は動物から妙に好かれる特性があることから、その犬がじゃれ付こうとしていただけみたいですね。
どんなに気が立っている犬や猫でも、なずなが手をさしのべると大人しくなり、安心したかのように穏やかな表情になります。まさに魔法の手。
このあたりは漫画らしい設定で面白いですね。

彼女が1話で出会ったモップのような謎生物は、「ウェスティ」という白い被毛のもじゃもじゃが特徴の小型犬です。まともに世話もしない最低な飼い主に見放され、なずなが「みらい」と名付けて引き取ることを決意。ただし、今はペット不可のアパートなため、引越し資金をためるために動物病院でバイトを始めました。
みらいも他の動物たちも皆可愛過ぎますね。動物たちの絵は、デフォルメされ過ぎてないリアル寄りのデザインで描かれていたため、良くも悪くも余計に愛着が沸いてしまいました。

主人公が元々動物が苦手だったことから、ペットを飼う行為に対しては無知の素人なので、読者も彼女と一緒に学べるというのは良いところ。
なずなはペットを飼うことの問題を知らないため、世間で言うところの無知、あるいは無責任な飼い主がやらかしてしまう行為をとりそうになることもあります。そんなところを、動物を愛しているがゆえに厳しい口調になる獣医の二丸先生と、辛い経験をしてきた動物たちの姿が彼女を諭し、責任と自覚を少しずつ持てるようになっていきます。

動物モノは涙腺に強く訴えかけてくる点が困ったところですね。ビンゴの話はちょっと泣かされてしまいました。もちろん悲しい話だけではなく、心温まる話やタメになる話もあって、良い漫画だなと素直に思いました。
主人公、獣医、動物、それぞれの立場からペット事情について多くを学べ、詳しい人にとっても改めて見つめ直すよいきっかけになりそうです。
動物と人のふれ合いを描いた強く心を打つ作品、出会えて良かったです。


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2016年12月07日

【宇宙兄弟】マンガ 感想&あらすじ また夢を追いたい気持ちにさせてくれる宇宙を目指す人たちの物語

モーニングKC。2008年1号より連載中。既刊30巻
作者:小山宙哉



あらすじ・概要

幼い頃に2人で宇宙飛行士になろうと約束を交わした南波兄弟。

それから19年の時が流れた2025年。弟のヒビトは一足先に宇宙飛行士になる夢を叶え、もうじき始めて月面に立つ日本人として歴史にその名を刻もうとしていた。

一方で、兄のムッタは勤めていた会社の上司に頭突きをくらわせたことでクビになり、同じ業界で再就職先を探してはみたが結果はままならず、出来の良い弟のこともあって気力を失いかけていた。

そんなムッタのもとに、ある日JAXAから新規宇宙飛行士選抜試験・書類審査通過の封書が届けられる。それは、宇宙へと飛び立とうとしていた弟のヒビトから、夢を諦めようとしていた兄ムッタへのメッセージだった。
「宇宙へ行きたい」。その想いを胸に、ムッタはヒビトの後を追い、再び宇宙飛行士を目指すべく歩み始める。

主要登場人物

・ 南波 六太
主人公。31歳(開始時)。特徴はモジャモジャ天然パーマ。性格は神経質で几帳面、見た目に反して繊細な人。高い観察力と記憶力、柔軟な思考力と発想力の持ち主。自動車デザイン会社に勤務していたが、弟を侮辱した上司に頭突きを御見舞いしクビ。その後、ヒビトからのメッセージを受け、諦めていた宇宙飛行士を目指すべく奮闘します。宇宙飛行士になる夢と共に、恩師であるシャロンの夢である月面望遠鏡建設も目指しています。せりかさんに片想い中。

・南波 日々人
ムッタの弟。JAXAの宇宙飛行士。28歳(開始時)。性格は兄ムッタとは真逆で、細かいことも周りからのプレッシャーもあまり気にしない大胆な性格。日本人初となる月面宇宙飛行士に選出。様々な技能を周囲より短期間で修得するなど、類い稀な才能の持ち主。兄想いであり、くすぶっていたムッタの背中を押し、宇宙飛行士になることを心待ちにしています。

・伊東 せりか
ムッタと共に宇宙飛行士選抜試験を受講した女性。ISS搭乗を目指している医者。体力・学力共に高い能力を示し、容姿も端麗という才色兼備。父親をALS(筋萎縮性側索硬化症)で亡くしており、その病気を解明し新薬を開発するためISSを目指しています。かなりの大食い。恋愛に関しては分かりやすいムッタの想いにも気づかないほど鈍感。

・真壁ケンジ
ムッタと共に宇宙飛行士選抜試験を受講した同い年の男性。妻と娘がいます。妻の進めから、宇宙飛行士を目指すことを決意。ムッタとは試験中に意気投合し仲良くなったことで友人になりました。爽やかな性格でリーダシップもあることから頼りになる存在だが、自身への評価はひねくれ者を通り越したねじれ者。

・カネコ・シャロン
天文学者の女性。同じ天文学者の夫・金子進一は4年の結婚生活を送った末、病没。日本にある天文台に暮らしており、子供の頃よく訪れてきた南波兄弟に様々なことを教え、大きな影響を与えています。後に、月面天測望遠鏡プロジェクトに関わるが、その最中・・・。

・ブライアン・ジェイ
故人。NASAの宇宙飛行士。弟のエディ・ジェイと兄弟で月面に立つ夢を持っていたが、月面でのミッションを終え、地球への帰還時に事故で地上へ墜落したことで死亡。宇宙飛行士や職員からの尊敬を集め、彼の言葉や功績は没後も多くの人々に影響を与えています。ヒビトを月面ミッションに推薦した人物。




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感想

宇宙への強い憧れを胸に将来2人で宇宙飛行士になろうと約束を交わした兄弟が、同じく純粋な夢を抱いて確固たる目的を持つ人たちと宇宙を目指す物語。
2012年4月にはアニメ化、同年5月には小栗旬と岡田将生を主演とした実写映画も公開され、さらに2014年8月には本編の前日譚を描いた『宇宙兄弟#0』のタイトルでアニメ映画も公開されています。漫画は昨年の末に読み始めてハマり、現在出ている分は全て読みました。アニメも全話観賞しましたが、映画は未視聴です。

ジャンルをSFと言っていいか少し困りますけど、近未来の話。最初にUFOっぽい物体も登場していることから、その要素も入ったストーリー漫画ですかね。「家族・仲間・友情」などの濃い人間ドラマも描かれている作品です。
それから、ALSなどの難病やパニック障害、他にもリアルな問題を多く取り上げているのも特徴。アニメではJAXAの協力も受けていたことから、宇宙飛行士・野口聡一さんが自身のキャラに自ら声を吹き込んで登場したことでも話題になっていましたね。

この物語は現代からほんの少し先の近未来、西暦2025年を舞台にした話です。実在するJAXAやNASAが実名で登場し、そこで働く職員達の姿や宇宙飛行士の姿が丁寧に描かれているので、リアリティを感じられる宇宙開発現場が広がっています。
近未来が舞台と言っても数年先程度であることや、登場人物たちがリアルな夢と葛藤を抱き、設定も突飛なところがほとんどないことから、まだまだ現代では一般人には遠いはずの宇宙を近くに感じることができます。
宇宙で様々な作業を行う光景だけでなく、試験や検査など宇宙飛行士になるまでの過程もしっかり描かれ、宇宙飛行士選抜試験では受講者にスポットを当てるのは当然として、審査している側の心情も伺えたのは良かったですね。
宇宙飛行士が主役になることもあれば、開発者や管制官など宇宙へ送り出す人たちが主役になることもあり、様々な個人や組織の働き、そこにある苦悩や喜びを見て感じることができます。

個性溢れる登場人物たちが多く、中でもちょっとダサいのにかっこいい主人公・ムッタが特に魅力的。
宇宙飛行士になる夢は弟・ヒビトに先を越され、ダサくて残念な行動(主にプライベートで)をとることも多々ありますが、彼の試験や作業での振舞いや言葉から能力の高さと人柄の良さを伺えますね。
物事の細かい部分までよく見て考察する高い観察力、類い稀な高い記憶力、さらに柔軟な思考から生み出される発想力・想像力の持ち主。このような高い能力を有しているにも関わらず、本人が一番そのことに疎いところが面白い。
でも1番はやはりその人柄ですね。ムッタはいつも弟に先を歩かれていることに強いコンプレックスも抱いています。それでもヒビトのことを誰よりも誇りに思い、兄として弟を思いやる兄弟愛も強く感じさせ、いつの日か兄弟で月に立つという約束を目指して奮闘するなど、その姿を見てると応援したい気持ちにさせてくれますね。彼の言葉には数々の挫折を味わってきた経験から来る深みもあり、だからこそ聞く人の心を打ち、時には救いにも繋がっているのだと思います。

心に残る名言が多いことも魅力の1つ。
グッとくる言葉もあれば、グサリと突き刺さる言葉もあり、この作品は登場人物1人1人の背景もしっかり作り上げているので、言葉がただ心に残るだけではなく説得力もありますね。例えば、
モノ作りには、失敗することにかける金と労力が必要なんだよ。いい素材使ってるモノがいいモノとは限らねえんだ。だけど、失敗を知って乗り越えたモノならそれはいいモノだ。
本気の失敗には価値がある
失敗を避けるために手を抜かず努力することは当然。でも、失敗から逃れるためにハードルを下げることがいいとは限りませんね。ただ、どうしても勇気が出ない。失敗したときのことを想像し、それが次に繋げるような想像ならまだしも、失うモノのことばかり考えてしまう自分がいました。こういう言葉を誰かに言ってもらえたら励みになるでしょうね。
あと、ここで思い出したのがシャロンの言葉。
昔のあなたってそんな子だったよ。なんにでも挑戦して、難しいことを選んだ
私も年を重ねていくごとに失敗を恐れ、失敗から逃れるようになっていたのでよく分かります。思い出してみると、子供の頃はもっとがむしゃらに行動し、楽しいことや難しいことに積極的でした。
心のノートにメモしたくなるセリフが多く、そこだけ切り取ってもいくらでも感想記事が書けそうです。

読むとまた子供の頃のように再び夢を追いたくなる作品でしたね。一度は挫折して夢を諦め、異なる道を歩んだ主人公が、周囲からの後押しで31歳から再び夢を目指す話。主人公たち作中の登場人物から勇気や励みを受け取ることができ、どうしようもなく突っ走りたくなる衝動に駆られてしまいました。単純に宇宙を目指すというロマンも胸を熱くさせてくれますね。
主人公のみならず、様々な人物にスポットを当てた内容は読み応えがあり、専門的な話も難解過ぎることなく語られているので読み易く、読み始めると時間を忘れて没頭してしまう面白さがありました。
何度でも読み返したくなり、その度に新たな発見をすることができる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。



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2016年12月06日

漫画『妖怪の飼育員さん』1巻の感想とあらすじ

『妖怪の飼育員さん』1巻の感想。


妖怪の飼育員さん
著者:藤栄 道彦
掲載:BUNCH COMICS
1巻発売日:2015年12月9日

社会人1年目の女性・鳥月日和(とりつき ひより)。職場は生き物を飼育して一般に公開するありふれた動物園・・・ではなく、彼女の勤務先は河童や牛鬼などの様々な妖怪を飼育している「妖怪園」。
新米飼育員として西東京妖怪公園に勤めることになった日和。妖怪医師である陸奥吾郎(むつ ごろう)の指導を受けながら飼育仕事に従事するも、困った習性を持つ妖怪たちに振り回されてばかりの毎日。
訪れたお客さんに妖怪たちのことをもっと知ってもらいたい。そして、妖怪たちと心を通わせられるように、妖怪園を舞台に新米飼育員日和の奮闘が始まるのだった。

妖怪を見世物としているテーマパークに務めている女性が、悪戦苦闘しながらも先輩の指導のもと飼育員として奮闘し、交流していくなかで妖怪たちとも心を通わせていく物語。
著者は、偉人たちが次々来店するフランス料理店での人間ドラマを描いた『最後のレストラン』の藤栄道彦先生です。私は同作品のファンということからこの作品にも興味が湧き、表紙とコンセプトにも引かれたので読んでみました。

妖怪園での日常を描いたコメディ漫画。今流行の人外交流モノですね。様々な妖怪の生態を知る楽しさはもちろんのこと、帯に書いてあった通り妖怪を通して人間を見ることもできる作品です。
妖怪を扱っている漫画は多くありますが、動物園のように飼育され、展示するという設定は新鮮。この作品での妖怪たちはホラー作品のように不確かな恐怖の対象としてではなく、もっと人と身近に、社会に溶け込み認知されている存在として描かれています。

登場する妖怪は誰もが知るメジャーな妖怪から、あまり知られていないマイナーな妖怪まで様々。すねこすり、さとり、河童、つるべ落としなどが暮らしています。
賢い妖怪たちの場合彼らが黙って展示されるのかな、という疑問を持ちましたが、小豆洗いや雪女、烏天狗などの人間と同等かそれ以上の知能を有している妖怪とは、個々に契約を結んで園に住んでもらっているようです。あと、普段はOLとして働いている、人間が妖怪化した二口女なんかも出てきます。仕舞いには、日本の妖怪だけかと思って読んでいたら、どこぞのレスラーのようなケンタウロスまで登場してきました。
妖怪たちそれぞれの特徴は、いろいろな媒体で紹介されてきた従来の特徴をしっかり踏まえていながらも、新しい切り口から魅力を引き出し、他の作品ではお目にかかることができないような新たな妖怪像を生み出していると思います。

私は雪女好きですね。よく言われている男を魅了する美しい容姿をしており、好んで食すのは冷たい食べ物ばかり。それだけでなく、「冷える」というワードが使われていれば大抵の物事で気分を良くするようです。
心を読むとされている「さとり」の活用法には笑ってしまいました。思っていることを読まれ、それを言葉にされるという迷惑このうえない存在と思っていたんですが、自分の口では言いづらいことを代弁してもらうという有効な活用法があったとは盲点。
あと、単純に豆狸とすねこすりがかわいい。ふれ合いたい、抱きしめたい、持ち帰りたいです。

しばしば妖怪を使った人間や社会に対しての風刺が入っており、そこまで深く掘り下げていなくても、妖怪を通して人間を見ると妙な説得力を感じます。人間の浅ましさ、浅はかさがよく分かります。
展示されている妖怪たちの方が息苦しく感じるように思えるんですけど、彼らの生活や生き方を見てると、なぜか人間社会の方がよっぽど息苦しい檻の中にあるような気もしてしまいました。

今までありそうでなかった作品、面白かったです。動物園に見立てた妖怪園、こんな施設あったら楽しいでしょうね。基本的には1話完結の構成、話も絵もすっきりした作りになっているので読みやすいです。
妖怪のことばかり書いていましたが、人間の主人公日和も良いキャラしてます。可愛く、失敗もしますけど仕事には真面目、妖怪たちのことが好きで、日和自身も妖怪たちに好かれる子。少しSッ気があるところも良い味です。
風刺を挟んではいますけど重くはなく、基本はコメディですので気楽に読めました。いろいろな妖怪を見れるというだけでも十分楽しめましたね。


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2016年12月05日

【明日のナージャ】アニメ 感想&あらすじ 母に会うため旅をする少女の成長を描いた物語


明日のナージャ
2003年2月から放送
監督:東堂いづみ
原作:東堂いづみ
脚本:金春智子、成田良美、他
わたしの声:中原麻衣
ナージャの声:小清水亜美
フランシス/キースの声:斎賀みつき

あらすじ・概要

20世紀初頭のヨーロッパ。イギリスのロンドン近郊に建つアップルフィールド孤児院で育った12歳の少女ナージャ。13歳の誕生日も近づく頃、ナージャのもとにある荷物が届けられた。トランクを開くと、中にはドレスと日記帳が入っており、死んだと思っていた母親が生きているかもしれないことを知らされる。
喜んでいたのも束の間、ナージャの身に着けているブローチを狙う2人組の男が現れ、孤児院が火事になってしまった。危ういところを謎の青年に助けられたナージャは、孤児院の皆に迷惑をかけないため、そして母に会うため、旅芸人一座「ダンデライオン」の踊り子として各国を巡る旅に出る。

主要登場人物

・ナージャ・アップルフィールド
主人公兼ヒロイン。12歳の少女。作中で13歳の誕生日を迎えます。金髪碧眼、赤と白のエプロンドレス、母の形見だと思っていた胸につけているブローチが特徴。天真爛漫かつ前向きな性格をしており、純粋な心根と逆境にも挫けない根性の持ち主。ダンデライオン一座では踊り子として活躍しています。

・フランシス・ハーコート
貴族ハーコート侯爵家の跡継ぎ。ナージャが憧れている人物。ノブレス・オブリージュを果たすべく、亡き母が行っていた慈善活動を引き継ぎ、人々の助けになる活動を送っています。穏やかで優しい美少年であることから女性人気が高く、「白バラの貴公子」とも呼ばれています。

・キース・ハーコート
フランシスと瓜二つの顔をしている仮面をつけた怪盗。犯行現場に黒バラが描かれたカードを残すことから「怪盗黒バラ」と呼ばれています。ナージャの前に度々現れ、危機を救うこともしばしば。ナージャには貴族の世界になど入らず、外の世界でのびのび生きて欲しいという思いを持っています。

・ローズマリー
アップルフィールド孤児院で育った13歳の少女。金髪碧眼など、ナージャと同じ特徴を持つ。プリンセスに憧れを抱いています。見た目の可愛らしさに反して、自分のためなら誰かを陥れることも厭わない性格。ナージャの出自を知ったことで黒い欲望を抱き、自身をナージャと偽り彼女の母親と対面します。

・ダンデライオン一座
ナージャが所属し各国を巡ることになる旅一座。団員は、団長のゲオルグ、歌姫のシルヴィー、日本人のサムライ少年であるケンノスケ、2匹のライオンとショーをする幼い少女リタ、ピエロのアーベル、バイオリニストのトーマス。

・ロッソとビアンコ
ナージャを付け狙う2人組の探偵。兄貴分のロッソは小太りの体形をしている男、ビアンコは背の高いひょろっとした体形をしている男です。ある貴族から依頼を受け、ナージャの持つブローチを奪い取ろうと、一座が行く先々の国に現れます。見た目も性格も真逆な凸凹コンビ。


感想

母親の生存を知った孤児院で暮らしす少女が旅芸人一座の一員となり、襲い来る困難に会いながらも挫けることなく、出会う人たちにも助けられながら、母に会いたいという強い想いを胸に様々な国を巡る物語。
世界名作劇場にあるような内容をした全50話からなる少女向けアニメです。『時をかける少女』の映画監督・細田守さんが、OPEDの絵コント、5話、12話、26話の演出として携わってもいた作品。

視聴したのはもう5年以上も前になりますが、少女向けだからと多少侮いながらも試しに観たら意外と面白く、結局最後まで観てしまった作品。

楽しみながらも私が思っていたことは、「これ、少女向けなのか?」でしたね。私は名前ぐらいしか知りませんけど比較的認知度の高い『おじゃ魔女ドレミ』の後に放送され、終了後は今でも続いている『プリキュア』シリーズが始まりましたね。変身系、魔法少女系に挟まれ、本来はファンタジー系の作品が多い放送枠だったようです。
それらの作品に反して、『明日のナージャ』は幼い子では理解し辛そうなほどのリアルな時代考証、ドロドロな人間関係を描いているため、狙う年齢層にズレがあるように感じていました。
気になったので少し調べてみると、案の定狙った層にはあまりウケなかったことで視聴率はそれほど伸びず、日本でのグッズ販売なども成功とは言えない結果。明らかにあの時間帯にアニメを見る子供向けではないため普通に納得。
ただし、狙う層にズレがあるというでだけで駄作というわけではないと思います。現に海外での評価は高く、成功したと言っても差し支えない人気が出てますね。

物語は、母に会うため旅をする少女が、困難に会いながらも様々な人と出会い成長していくという、いたってシンプルでわかりやすい内容です。その内容・展開共に、少し世界名作劇場らしさある仕上がりになっていましたね。
序盤中盤は愉快な一座の皆とフランスやイタリアなど様々な国を旅する中で、出会った多くの人たちと絆を育み、騒動を起しながら踊り子としても人としても成長していく姿を描いています。ナージャの可憐な姿と純粋な心に堕ちていく男たちも多数出てきましたね。同時に、軸となる母親やナージャの出自などの伏線も貼られていきます。
すぐ近くに母親がいるのに、手の届くところに娘がいるのにすれ違ってばかりいる2人。序盤や中盤でお互いを認識して巡り会うなんていう展開はないことぐらい分かってはいるんですけど、このもどかしさによって気が逸まりましたね。予想していた内容・展開と大きなズレがあるわけでもないのに、にくい演出に踊らされてしまった私です。

後半になるとシリアスな展開も増え、貼られていた伏線を回収しながら様々なことが明らかになっていきます。見ていて辛くなる描写もしばしばあり、浮き沈み激しい展開はなかなか見応えありました。
母とのことだけでなく、ナージャの恋模様も同時に描いています。恋の進展はナージャ本人がどうのというより、彼女に想いを寄せる男性陣の中でいろいろ動きがあったように感じますね。
あと、後半ではないんですが、細田守さんが演出として担当した5話、12話、26話は何度も見返してしまう抜きん出た面白さがありました。

魅力と言えば当然ナージャというキャラクター。明るくて前向き、その姿から周りも元気にし、多くの人たちを惹きつける魅力を持つ天使のような女の子。どんな困難にも挫けることなく立ち向かっていく様は、正に主人公の姿でした。なんですが、次々と男を堕としていくことから、もしかしたら魔性の女なのかもしれません。しかも、まだ12歳というのだから末恐ろしい少女です。最終回を終えた後も、間違いなく被害者を増やしていくことでしょう。
忘れてはいけないもう1人のキーパーソン、孤児院時代は親友だったローズマリー。とても13歳が考え実効するとは思えない行動をとるため、彼女のやることには驚かされ続けましたね。手段を選ばないやり方で自分の夢を追い求めたことで、少女向けアニメ史上最凶のヒールが誕生してしまったんじゃないでしょうか。ただ、やり方はどうあれ、彼女の自分の道は自分で切り開くという気概は素直にすごいと思いました。視聴してから何年もたつのに全く忘れられないキャラですね。

全50話にもかかわらず、終始飽きることなく観ることができました。ストーリー、キャラクター、演出、どれもよく出来ている作品だと思います。まあでも、やはりどう考えても小さいお子さん向きではないところは痛かったですね。
今は亡き本田美奈子さんが歌うOP『ナージャ!!』も素晴らしいので、ぜひ聞いて欲しいです。力強く、それでいて美しい歌声、今もなお強く耳に残っています。
批判もあった作品ですが、私は結構気に入ってます。続編あったら観たいですね。

「明日のナージャ」DVD-BOX
by カエレバ


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posted by ハネ吉 at 18:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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