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2017年05月17日

【猫のお寺の知恩さん】マンガ 感想&あらすじ 親戚の年上お姉さんと男子高校生の絶妙な距離感で描かれる縁側ラブコメ

週刊ビッグコミックスピリッツ。2016年24号から連載中。既刊3巻
作者:オジロマコト
他作品:富士山さんは思春期



あらすじ

この春から県外にある田舎の高校へ進学する16歳の少年・須田源(すだ げん)は、昔お世話になっていた遠い親戚のお寺に下宿することになった。

そんな源を迎えてくれたのは、祖母と一緒にお寺を管理している19歳の女性・古寺澤知恩(こてらさわ ちおん)。源がまだ幼い頃に一緒に遊んでくれた親戚のお姉さん。

なんとなく記憶の中に残る知恩ねーちゃんとは違う落ち着いた雰囲気に若干戸惑いながらも、期待に胸を膨らませて新生活を始めようとしていた源。しかし、知恩からこのお寺はいわくつきだから夜トイレに行くときは気をつけるようにと恐ろしい注意を受けることに・・・。

その夜、ビビリながらトイレに行った帰りにミシミシと足音が聞こえて慌てふためくも、そこに現れたのは・・・・・・ニタニタ笑みを浮かべて驚かしに来た知恩だった。その姿に源は思い出す――知恩ねーちゃんは意地悪だったということに。

意地悪で、ダサくて、働き者で、あっけらかんとした3つ年上のお姉さんと、彼女が管理する猫がたくさんいるお寺で、源はソワソワしっぱなりしの新生活を始めるのだった。

主要登場人物

・須田 源(すだ げん)
主人公。高校1年生、16歳。県外の高校へ進学するため、遠い親戚である知恩がいるお寺に下宿。実家にいたくない理由があるらしく、とりあえず離れたい一心で田舎の高校を受験したようです。幼い頃に家庭の事情で少しの間お寺に預けられていたことがあり、そのとき知恩と仲良くなりました。知恩さんが意外とモテてる状況に気が気でない様子で、彼女から必要とされる存在になりたいと考えています。高校で出来た友人に誘われ、昼間も所属する剣道部へ入部。勉強は苦手で、特に数学は赤点をとってしまう有様。

・古寺澤 知恩(こてらさわ ちおん)
源が下宿するお寺を管理している「はとこ」のお姉さん。3つ年上の19歳。両親は寺を継がずに海外赴任中。肉感的な体型で、自然体な色気を感じさせる綺麗な女性。あっけらかんとした働き者で、ちょっと意地悪な一面もあります。特に源の前では自分を飾ることはせず、かなり無防備でもあるため、彼をドキドキソワソワさせることもしばしば。ジーパンにTシャツというちょっとダサい格好でいることが多い。中学当時はいつも全力で立ちこぎしながら自転車通学していたことから、ついたあだ名は「ケイリン先輩」。祖父が生前開いていた習字教室を復活させました。

・昼間 陽子(ひるまようこ)
お寺の近所に住む源と同級生の少女。高校1年生。剣道部所属。源と初めて出会ったときは、テン(犬)の散歩していた彼を犬ドロボーだと怪しんでいました。口が悪く、親にも小生意気な口調ですが、あまり酷いことは言えない子。知恩のことが大好きで、普段は誰にでもムスっとしているのに、知恩の前でだけは柔らかで華やかな表情になります。中間テストで満点を取るなど、学校での成績は良好。

・おばあちゃん
知恩の祖母。知恩と一緒にお寺の管理をしています。寺の跡継ぎなどの面倒事は自分の代で終わっても良いという考え。源に「婿に来るか?」と冗談交じりに尋ねてもいます。檀家さんは多くないため、法事は近在の住職さんに頼んでいるようです。お稽古をつけたり檀家さんとの付き合いで家を空けることが多い。知恩と源の関係を温かく見守っていますが、時折意味深な行動をすることもあります。

・流石 聡美(さすが さとみ)
源と昼間のクラスを受け持つ男性教師。女子生徒からの人気が高いイケメン。実家がお寺で、その寺は彼の兄が継いでいますが、聡美も仏門に入っています。戒名は「聡元(そうげん)」。東京の大学へ進学して就職も向こうで考えていましたが、地元とお寺が好きで帰郷。知恩と源が暮らすお寺を気に入った様子。



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感想・見所

ネコがたくさんいる小寺を舞台に、県外の高校へ進学して春から下宿することになった少年と、幼い頃一緒に遊んだ寺を管理する3つ年上の親戚のお姉さんによる、四季に彩られたのどかな田舎で織り成す縁側暮らし。
高校生と3つ年上のお姉さんが送る「縁側ラブコメ」。TV Bros.(東京ニュース通信社)による漫画賞「ブロスコミックアワード(2016)」にて大賞を受賞。
作者は、中学生の初々しい恋愛模様を描いた『富士山さんは思春期』を代表作に持つ「オジロマコト」さんです。最初は「猫のお寺」部分に興味を引かれて試し読みしたのですが、読み終わってみれば知恩さんの魅力に堕ちてコミック読んでましたね。

年の差カップルの恋愛模様を描いた作品と言えば、近年はどちらかと言うと少女漫画誌でよく見るテーマのような気がします。『きょうは会社休みます』や『東京タラレバ娘』なんかが有名なところですね。
もちろん少年誌・青年誌でも年上女性やオトナ女子へ憧れを持つ年下男子との、ドキドキソワソワ満載の作品は数多くあります。真っ先に思い浮かぶのは『めぞん一刻』。言わずと知れた名作ですね。それから最近では未亡人(28)×腹ペコ高校球児(16)の『八雲さんは餌づけがしたい。』や、恋愛とは違うのかもしれませんけど『少年と私』も印象深い作品。
上記でタイトル上げた作品ほど年が離れているわけではありませんが、今回紹介する『猫のお寺の知恩さん』も年上女性と年下男子のふれあいを描き、しかも幼馴染という関係にもあることから、絶妙な距離感を演出した作品内容になっています。
ゆったりした日常の中で描かれる縁側ほんのりラブコメ

高校進学を機に実家を離れて遠い親戚のお寺へ下宿することになった須田源。そのお寺を祖母と2人で管理し、源が幼い頃に少しのあいだ一緒に過ごした3つ年上のお姉さん・古寺澤知恩。物語はこの一つ屋根の下で一緒に暮らすことになった源(16)と知恩(19)さんの2人を中心に描かれていくことになります。
都会とは異なるゆったりと流れる時間のなかで2人の日常は動き出し、寺にいるたくさんのネコたちや犬のテンとたわむれ、買い物に畑作業、ときにはハチの大群が襲って来るなんて騒動も起こるけど、ひと段落着けば縁側でまったり過ごす日々。新たに始まる学校生活や復活させた習字教室、ここでの出会いによって人間関係は広がり、友情や繋がりを育みながら恋みたいなものもしたりして、都会のように物に恵まれてるわけではなくても結構楽しく過ごしています。
こんな感じで、クスっと笑えるおふざけを挟みながら、基本はハートフルな心地よい雰囲気でストーリーは展開されていきます。作者さんのこれまでの作品同様セリフはそれほど多くはなく、表情や風景、そして間を巧みに用い、絵と雰囲気で物を語る作風。

自然体の中に色気を感じさせる魅力溢れる知恩さん

この作品の最たる魅力はなんといっても、ちょっと年上のお姉さん・古寺澤知恩というキャラクター。3歳しか変わらない19歳と言っても、この年代での3年という差はかなり大きく、源や彼の同級生たちと比べるとだいぶ大人の雰囲気。同年代でも子供っぽい男子に比べて女の子はずっと大人ですしね。しかも、知恩さんは祖母とお寺の管理をしながら1人で家事全般もこなしてますから。
美人ではあってもとっつきにくい感じはなく、笑顔が素敵なとても親しみやすい性格。服装はちょっとダサめのラフな格好でいることが多いのですが、肉感的な体型なうえにかなり無防備な人なので、飾らない自然体でいることがむしろ色気を増幅させてるような気さえします。彼女が思春期男子には強烈過ぎる爆弾であることは間違いないでしょう。
前作の「富士山さん」でもそうだったように、読者のフェティシズムに訴えかけてくるかのような質感のある描写は見事。前作で薄々感じてましたが、これでオジロマコトさんがお尻好きであることは疑いようがなくなりましたね。

友達?姉弟?それとも・・・?絶妙な距離感が生む源と知恩の関係

そんな魅力に溢れる知恩さんと思春期真っ只中にいる源との距離感が絶妙。ただの3つ年上の美人なお姉さんというわけではなく、源にとってはしばらく会えずにいたちょっといたずら好きな幼馴染のお姉さん。年の差だけでも微妙な距離感が生まれるものだと思いますが、そこに幼馴染、しかも2人は久しぶりの再会、さらに寺には後継者がいない問題などが重なり、一見単純そうに見えて中身は結構複雑。
2人がお互いに抱いている感情も微妙で、源が知恩さんに抱いているのは恋愛感情にも年上女性に抱く憧れ的なものにも見えます。それに比べ、私的にはむしろ源に向ける知恩さんの気持ちの変化の方が見て取れた気がして、一緒に過ごす中で意味深な発言や表情をすることが次第に増えてきました。源への気持ちはあるのかもしれませんが、彼を見守るお姉さんとして、そして保護者としての立場もあり、知恩さんはお寺の問題も抱えていることから、彼女の物憂げな表情の中には多くの感情が見え隠れしています。
2人だけではこのまま何の変化もなく一定の距離を保ったまま進んでいきそうですが、そこに様々な要素が加わることで、その微妙な距離感が少しずつ変化していきます。この甘酸っぱい絶妙な関係に悶絶しそうになりますね。

最後に

というわけで、年の差男女のドキドキ同居生活とゆったりした日常を描いた『猫のお寺の知恩さん』、いかがでしたでしょうか。
これからの展開は非常に気になります。恋愛は間違いなく絡んでくるでしょうが、その相手は・・・。もちろん源と知恩さん2人の関係が恋に発展してくれることを期待しますが、昼間さんや聡美先生もいますからね。どうなっていくのやら、目が離せませんね。
年上女性が好きな人なら特に気に入ってもらえるのではないかと。読者が19歳より上だとしてもその辺は全く問題はなく、自分が学生だった頃を思い出しながら読むこともでき、何より知恩さんの年上感が半端ないので、私も彼女より上の年代ですけど普通に「お姉さん」として見れました。
ドキドキする源と知恩さんの関係と日々の出来事をスローなテンポで丁寧に描いた作品、面白いのでよければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 19:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日常
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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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