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2017年03月29日

【ヨコハマ買い出し紀行】マンガ 感想&あらすじ 終末へ向かう世界でゆったり穏やかに暮らす人々の日常を描いた作品

月刊アフタヌーン。1994年6月号から2006年4月号まで連載。全14巻/「新装版」全10巻
著者:芦奈野ひとし



あらすじ

お祭りのようだった世の中がゆっくりとおちついてきたあのころ。のちに夕凪の時代と呼ばれるてろてろの時間、ご案内。
夜の前に、あったかいコンクリートにすわって。

年々海面上昇が進行したことで少しずつ街は海に沈み、人間が築き上げてきた文明も滅びようとしていた。滅びを受け入れた人々は平和に暮らし、束の間の穏やかな時間を送っていたこの時代は、後に「夕凪の時代」と呼ばれることになる。

かつての高度なテクノロジーによって生み出された女性型ロボット「初瀬野アルファ」は、旅に出た彼女のオーナーを何年も待ちながら、西の岬に残された喫茶店「カフェ・アルファ」を1人で営んでいた。

カフェに訪れてくる近所の人々や様々なお客、同じロボットたちとふれあいながら、アルファはいつまでも変わらぬ姿で、彼等の成長、ゆるやかに衰退していく世界の変化を静かに見守り続けていく。

登場人物

・初瀬野アルファ(はつせの アルファ)
主人公。若い女性の姿をしているアルファタイプロボット。機種名「A7M2型(量産試作機)」。ロボットとはいえ、外見・言動・行動・思考は人間そのまま。一緒に暮らしていたオーナーの初瀬野先生がどこかへ旅立ってしまったため、現在は帰りを待ちながら1人で喫茶店「カフェ・アルファ」を営んでいます。オーナーも弾いていた月琴と、魚をモチーフにした小物の製作が趣味。甘党で動物性タンパク質類が処理できないため苦手。いつまでも年をとることがないことから、親しい人たちが持っていたモノを未来へ託されることもあります。

・鷹津ココネ(たかつ ココネ)
女性型のアルファタイプロボット。機種名「A7M3型(量産型)」。アルファの妹分にあたる存在。ムサシノの国で暮らし、ムサシノ運送・世田谷支店で「おてもと便」係として働いています。アルファとはオーナーから彼女へカメラの配達をした折に出会ったことで親しくなり、以降は憧れも抱くように。人間っぽく振舞おうと気負っていましたが、ありのままで生きるアルファに出会ったことで肩の荷が下り、気楽に生きられるようになりました。自分たちロボットが作られたルーツを知ろうと資料を収集しています。

・タカヒロ
カフェ・アルファの常連客。おじさんと一緒に住んでる少年だけど関係は不明。アルファに対して恋心を抱いていた節も見られます。成長した終盤では生まれ育った地を離れ、職を得るためにエンジンの都・浜松へと働きに出ました。後に転がりこんできたマッキと一緒になり、サエッタという名の娘も授かっています。

・おじさん
カフェ・アルファ1番の常連客。カフェの近所でガソリンスタンドを営んでいる老人。アルファにとっては良き話し相手、相談相手です。子海石先生の学生時代の後輩。畑も持っていて、スイカが豊作のときはアルファや近隣住民にお裾分けしています。カフェもいずれは波にさらわれることから、そうなったときはスタンドの場所を使って店をやればいいと伝え、アルファに譲ろうと考えています。

・真月(まつき)
タカヒロの幼馴染。あだ名は「マッキ」。少しがさつなところもあるけど元気な少女。タカヒロにずっと想いを寄せています。タカヒロが就職して町を離れてからは、アルファの喫茶店で手伝いを始めます。後にココネも勤めているムサシノへ就職し、退社した後はタカヒロのもとへ身を寄せました。

・子海石先生(こうみいし せんせい)
カフェの近く(それなりに距離はある)にある病院の女医。おじさんの先輩。雷に撃たれたアルファの治療をしてくれた人物。かつて「A7型」のロボット開発にも少しだけ関わっていた経歴を持ちます。上空にいるターボン室長「子海石アルファ」を預かっていた時期もありました。「私の若い頃の目と足」と言う大切なペンダントを、未来へ連れてって欲しいと願いアルファに託しました。

・子海石アルファ(こうみいし アルファ)
女性型のアルファタイプロボット。機種名「A7M1型」。アルファとココネにとってはお姉さんにあたる存在。地上に降りることなく高度上空を飛行し続けている飛行機「ターポン」の室長。ターボンの乗組員からは「アルファー室長」と呼ばれています。上空から街の灯が消えていく様子を見続け、その灯が消えて街灯の木が放つ青い光に地上が染まったとき、降下ポッドで地上に降りてもいいだろうかと考えています。



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感想・見所

文明が静かに衰退し続けている時代、海沿いの岬でカフェを営む女性型のロボットが、親しい人や訪れてくるお客、同じロボットたちと交流を深めながら、人々の成長や少しずつ変わりゆく情景を見守り続ける姿と、滅びへ向かう世界で穏やかに暮らす人々の生活を描いた物語。
穏やかに終末へ近づいていく人々の日常を描いたSF漫画。絶望感はありませんが、終末という意味ではこれもディストピア作品に数えられるかと。
著者の芦奈野ひとしさんは、1994年にはアフタヌーン四季賞コンテストで四季賞を受賞してデビュー。第38回星雲賞をコミック部門において受賞しています。1998年にはOVAも製作されました。
「夕凪の時代」が終わり、人間が滅びた「人の夜」の時代を語られている『小説 ヨコハマ買い出し紀行 -見て、歩き、よろこぶ者-』も発行されています。こちらは漫画とは設定が異なります。

世界の終末を描いた作品、いわゆるディストピア系の作品というのは、世界観や登場キャラから絶望感・悲壮感を強く感じる内容であることが多い思います。『EDEN』、『7SEEDS』、『BLAME!』あたりがその例にはまりそうですね。
ただ、世界が滅びに向かっている終末期を描いていながら、絶望感を感じることがないどころかほのぼのした雰囲気の作品もあります。それが、今回紹介させていただく『ヨコハマ買い出し紀行』。
終末期を舞台としたのんびりゆったりした空気感ある作品と言えば、最近では『少女終末旅行』なんかもありますね。ですが、本作はディストピアであっても「まったり癒し系」という面の方が強いと思いますので、その意味では『ARIA』の方が近い作品なのかなと思ってます。癒しを求めてる方にこそうってつけの作品がヨコ買いですね。

まず魅力に感じたのは、ゆったりとした素朴で叙情的な空気感が漂う世界観。
近未来(西暦不明)、主な舞台は「かながわの国」の海に面した西の岬にある喫茶店「カフェ・アルファ」。現代の神奈川県三浦半島にあたる場所です。作中には横浜、世田谷、江ノ島、海に沈んだ横須賀など、姿は変わっても現実に実際ある街や土地が多く登場します。
人間と見分けがつかない感情を持つロボットが造られるていることから、現代より遥かに高度な文明を持つにまで人類は繁栄していたことが伺えます。大規模な海面上昇によって人類を激減させた「怒りの日(原因不明)」とその後の騒動を経て、滅びを受け入れた人々が穏やかに暮らす「夕凪の時代」が訪れました。絶望感や悲壮感はなく、数を減らしても人々は働いて日々の糧を得て、家族や友人たちと過ごし、ゆるやかな時間の中で生活を送っています。
このような作品が好きな人はとことんハマると思いますが、大きな事件らしいことはまったく起こらないので合わない人は退屈に感じるでしょうね。空気や雰囲気、時間の流れを味わいながら楽しむ作品です。

内容は上述で述べた世界舞台で、女性型ロボットの主人公・アルファさんを中心に、穏やかに暮らす人たちの様々な日常を、叙情的・詩的に綴られています。基本はカフェ・アルファとその近隣での出来事がメインですが、たまにスクーターに乗ってコーヒー豆の買い出し、お出かけ、小旅行するエピソードも交えられ、その辺りで世界の様相を伺うこともできますね。
正体不明の謎は多く散りばめられていますが、漫画では深くふれずに結局解明されることのなかった謎も多くあります。着実に変化し続ける世界で変わることないアルファさんの姿と共に、このあまり語らない作風がより哀愁を感じさせる要因にもなり、それが独特な味わいを感じさせる演出にもなっていたかと。最終回を迎えても答えが出なかった謎に対して消化不良を感じることはあまりなく、むしろ最後までこの作品らしかったとさえ思ってしまいましたね。

風景写真でも見ているかのようなシーンやカットも随所で登場するのも特徴。ココネがアルファさんのもとへ届けたオーナーからの配達品「カメラ」、これも作品を彩る重要なキーのひとつであることから、そのような演出をしているのかもしれません。美しい見事な1枚絵はもちろんのこと、ページの中にあるコマの1つであってもそのように感じる描写は多くありました。
アルファさんはたまに風景や光景をカメラで撮影しますが、このカメラはロボット専用なのでプリントアウトも現像もできません。ロボットだけがさながら記憶を思い出すかのように、撮影した画像を再生することができるという代物。この設定は面白かったです。
カメラで思いでを貯めていく姿、思い出にふれている姿からはちょっぴり切なさが伝わってきましたが、同時に懐かしさと安らぎも感じられ、その姿に惹かれてしまいましたね。

とてもゆったりとしているけど着実に変化し続けていく時間の流れ、ただただその様子を見届けるかのような作品。大きなストーリーがあるわけではありませんが、ひとつひとつのセリフは噛み締めるかのように味わいたくなり、美しさ・懐かしさ・切なさが織り交ざった情景には魅入られてしまいました。
文明の衰退、人類の滅びに対して、当初は様々な騒動があったようですが、受け入れてからの人々の気持ちと暮らしは穏やかになり、なぜかその様子からはリアリティを感じられ、実際世界が滅びるときはこんな感じなのかもしれませんね。
内容は難解でなくても、どう言い表していいかはちょっと悩む作品なので、読んで何を感じ、何を思うのかは人それぞれだと思います。
癒しが欲しい人、ゆったりのんびりしたい人、懐かしさを感じる作品を読みたい人、旅が好きな人には特におすすめできる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 18:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日常
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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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