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2017年03月01日

【烈火の炎】マンガ 感想&あらすじ 味方も敵も魅力溢れるキャラクターたちが壮絶な能力戦を繰り広げるバトルアクション漫画

週刊少年サンデー。1995年16号から2002年9号まで連載。全33巻
作者:安西信行



あらすじ

君主のためなら一命をかける忍者に憧れを抱く高校1年生の花菱烈火。生まれつき炎を操る不思議な能力を持っていた烈火は、尊敬する君主に仕えることを夢見ていた。

ある日、烈火はたまたま立ち寄った公園で、他人の傷を癒す能力を持った少女・佐古下柳と出会う。お互いの秘密を打ち明けたことで友人になり、柳の慈しみの心にふれた烈火は彼女のことを「姫」と慕うようになり、「忍」として一命をとして守り抜くことを誓った。

柳はその特異な能力を持つがゆえ、裏社会の首領・森光蘭にその身を狙われることになる。永遠の命を求める森光蘭は、炎術師・紅麗を筆頭とする暗殺集団「麗」を使い、柳の奪取を目論んでいた。

烈火は柳を守るため、謎の女性・陽炎から魔導具を授かった霧沢風子や石島土門、そして水鏡凍季他たちと共に壮絶な戦いへと身を投じていく。

登場人物

・花菱 烈火(はなびし れっか)
主人公。高校1年生、16歳。忍者に憧れを抱く炎術師の少年。花火職人である父の影響で火薬の扱いに長けています。実は赤子の時に母・陽炎の術によって戦国時代から現代へ飛ばされた身であり、偶然通りかかった茂男に拾われ、息子として育てられました。炎を操る能力を持つのは織田に滅ぼされた火影忍軍頭領の血を継いでいるため。内に秘められた火竜の力と高い身体能力を生かした格闘戦を得意としています。柳の優しさと覚悟に敬意を持ち、彼女を「姫」と呼び慕い守り抜くことを誓いました。

・佐古下 柳(さこした やなぎ)
ヒロイン。高校1年生、16歳。治癒の能力を持つ少女。実家はお金持ちのお嬢様。ボケボケの天然娘だが、他人を深く慈しむ心優しい性格。他人を癒す能力を持ち、そのせいで永遠の命を求める森光蘭に狙われることになりました。戦国時代に生きた「桜姫」というある城の姫君の生まれ変わり。少し嫉妬深いところもあるため、烈火が他の女の子と仲良くしてると「ゴゴゴゴのお姫様」になることもあります。絵本を描くことが趣味で「レッカマン」シリーズを度々披露しています。

・霧沢 風子(きりさわ ふうこ)
烈火の幼馴染。高校1年生、16歳。チーム火影。気が強い男勝りな性格で喧嘩が滅法強い女の子。使用魔導具は「風神」「鬼の爪」「神慮伸刀」。錐を武器として扱うこともあります。今まで誰も思いつかなかった魔導具を組み合わせる荒業を見せ、くノ一・陽炎をして天才と言わしめる高い発想力の持ち主。過去のある出来事から当初は烈火に想い寄せていました。プロレスラー・三沢光晴のファン。

・石島 土門(いしじま どもん)
烈火の喧嘩仲間。高校1年生、16歳。チーム火影。モヒカン頭が特徴の大男。使用魔導具は「土星の輪」「嘴王」「鉄丸」「蔵王」。火影随一の怪力の持ち主であり、単純なステゴロでは烈火以上と言われています。見た目通り体が頑丈であり、同時に紅麗さえ認めるほどのタフな精神力を持っています。実家が花屋で自身も花が好き。風子に惚れてます。

・水鏡 凍季也(みかがみ ときや)
高校2年生、17歳。チーム火影。クールで冷酷な一面も見せる美少年。使用魔導具は「閻水」。閻水の特性を生かした流派・氷紋剣の使い手で、多彩な技を使用する天才剣士。おバカの多いチーム火影の中では数少ない優秀な頭脳の持ち主。当初は殺された姉にそっくりだったという理由から柳に近づき、烈火を「ふさわしくない」と排除しようとしていました。以降は姉の仇を見つけるため、柳を守るために行動を共にするようになります。

・小金井 薫(こがねい かおる)
元麗の戦闘員。中学生、13歳。天真爛漫で素直な少年。使用魔導具は「鋼金暗器」。天才的なバズル的才能を持ち、熟練者でも使いあぐねる複雑な変形武器である鋼金暗器を難なく使いこなします。パワーはないが、スピードとトリッキーな動きを活かした戦法が得意。紅麗に救われた過去があり、彼のことを兄のように慕っています。

・陽炎(かげろう)
烈火の産みの母親。桜火の正室。美人でグラマラスな女性。火影忍軍のくノ一で、火影の里が織田の軍に攻められた際、禁術とされていた「時空流離の術」を用いて赤子の烈火を現代へ飛ばしました。その術の影響により不老不死の呪いを受け、死ねない体になってしまいました。当初は烈火たちを鍛えるために正体を隠し、影法師と名乗り敵を装っていました。母と名乗り出てからは烈火、茂男と一緒に花菱家で暮らしています。

・紅麗(くれい)
暗殺集団「麗(うるは)」の首領。烈火の異母兄。桜火と側室・麗奈との間に生まれた炎術士。「呪われし炎」と見なされ、烈火誕生以降は「呪いの子」として蔑まれていました。。陽炎が「時空流離の術」を使用した際に術に巻き込まれ現代へ流れ着き、森光蘭の妻・月乃に拾われ、第二の母として慕っています。作中では最強レベルの強さを誇る。炎の型は「不死鳥」だが、想い人である紅という女性が死の間際に自ら炎になることを望み、炎の天使となって紅麗の力となり、常に寄り添っています。



【eBookJapan】 烈火の炎 無料で試し読みできます


感想・見所

炎を操る能力を持つ忍者に憧れを抱く少年が、治癒能力を持つ想い人である心優しい少女を守るため、仲間たちと共に次々に襲い来る敵に立ち向かう壮絶な戦いの日々を描いた物語。
ラブコメ要素も加味されている現代アクションファンタジー。私が始めて読んだのは完結から数年たってからなので連載中のことはよく知らないんですが、どうやら当時の「サンデー」ではバトルもの、それもグロやお色気も含まれたこの作品は異色のヒット作だったようですね。累計発行部数は2500万部を超えています。
1994年には長編でアニメ化もされ、全42話をフジテレビで放送されました。私はまだ観たことありませんが、レビュー等を覗いてみると結構評価高いですね。

『幽遊白書』のパクリとか言われることもあるようですが、両作品読み返してもパクリと騒ぐほどのものではないですね。類似点として最も目にするのは、序盤の柳が誘拐されて烈火たちが山の中の屋敷に乗り込む展開。共通点がないとは言いませんが、これで騒がれる理由も私にはよく分からない。あと「裏武闘殺陣(烈火の炎)」と「暗黒武術会(幽遊白書)」の裏社会主催の武道大会という設定ぐらい。それ以降の中盤・終盤に関しては洞窟繋がり以外特にないと思います。
影響を受けていることは確かに伺え、特に序盤の流れが似てることは否定しようもないけど内容は全く異なり、叫ばれる理由のひとつとしてはこの作品が王道な展開だったということもあったと思います。まあ、今更感のある個人的な意見です。

作品の舞台は現代日本。物語は忍者に憧れを抱く炎を操る特殊能力を持った少年・花菱烈火と、治癒の能力を持つ心優しき少女・佐古下柳との出会いから始まります。
戦国時代に存在し、織田信長によって滅ぼされたとされる架空の忍者集団「火影(ほかげ)忍軍」。その忍たちが製作し、現代にも多く残されているのが、「魔導具」と呼ばれる魔力を帯びた道具。風や水を操る物、力を強くする物、幻術を見せる物、果てはこの世の万物全てを消し去る物など多種多様な魔導具があり、それらを手にした現代に生きる登場人物たちが、それぞれの目的や想いのために戦うというのがざっくりとした内容。
少年漫画らしさに溢れた王道のバトルアクション作品ですね。今で言うところの中二的な能力合戦の様相をしていますが、結構グロ描写が多く、お色気シーンもそれなりにあります。
私が始めて読んだときはまだ若かったこともあり、烈火が持つ炎の型「八竜」の火竜が物語の進展と共に1匹ずつ開放されていく展開、様々な効果を持つ魔導具の登場などにワクワクして読んでいた記憶があります。

物語は大きく分けると、誘拐された姫を烈火たちが助けに行く「紅麗の館編」、負ければ姫を奪われるバトルトーナメント大会「裏武闘殺陣編」、森光蘭との最強にて最凶最悪の魔導具奪取合戦「天堂地獄編」、そして最終決戦「SODOM編」の4編から成っています。
成長段階がしっかりしていたのは良かったですね。開始時点での烈火は炎を放出する程度、風子はかまいたちを出せる程度、土門はただの力持ちといったように当然皆未熟。話が大きくなっていくと共に、修練によって新たな力に目覚め、それぞれが成長していく展開は王道ながらとても熱くさせられました。
最初から最後まで一貫して森光蘭という救いようもない絶対悪を据えることで、中盤以降それまで敵同士だった者達が共闘姿勢をとるという展開が正当化されていたと思います。
あと、魔導具は対となっているという設定も面白い。魔導具を製作したのは火影忍者の天才武器職人である虚空と海魔の2人。虚空は「人生かす為・守る為」、海魔は「人を殺す為」といったように2人の思想は顕著に別れ、互いに競い合っていた結果、特性は似ていても理念が異なる魔導具が多く誕生しました。その設定を生かした水鏡のエピソードは、私の好きなバトルシーンを挙げた場合5指には確実に入ってます。

一番の魅力はキャラクターだと思ってます。とにかく大所帯の作品ですが、ひとりひとり個性があって面白い。時にはクセが強すぎて若干引くこともありましたけどね。
烈火をはじめとしたメインの面々に関しては言うまでもなく、何より女性キャラクターが魅力的な方ばかり。風子や音遠なども素敵な女性ですが、私は大人の魅力溢れる陽炎が今も昔も1番好きです。
あと、敵キャラも忘れてはいけないこの作品の特徴のひとつ。興味なんてないと思いますが、私の好きな敵キャラベスト3をあげてみようと思います。紅麗は言うまでもなく断トツでカッコイイのであえて除外。
3位は、戒(かい)。――氷紋剣の兄弟子である水鏡凍季也に勝つという執念だけで生きていた男。ある意味作中最も純粋に強さを求めていた男でした。あの紅麗でさえ、戒への侮辱は許さないと敬意を持たれたほど。

2位は、音遠(ねおん)。――最初は正直大嫌いだったキャラ。ただの高慢で嫌味な女でしかなかったんですけど、意外と仲間思いで部下にも慕われ、紅麗への純粋な愛を貫いた彼女は素敵な女性だったと思います。

1位は、木連(もくれん)――絶対序盤早々に消えると思っていた性根から腐ってるクズの代表格、まさかの最終「SODOM編」でも敵として活躍。悪の中の悪が森光蘭なら、クズの中のクズはこの方できまりでしょう。ただ、彼のラストシーンにはちょっと感動しかけました。木火土金水という五行の中で、唯一「木」の彼だけが敵だったのも面白い。

面白いと言っていいのか分かりませんが、1巻の頃に比べると終盤のキャラデザはもう別人ではないかと思うほどの変わり様。連載中に画力が上がるなんてことは普通にあることですが、ひとつの作品を通してここまではっきりと画力の上達段階を目にすることができたのはなんか嬉しく感じました。序盤・中盤・終盤と見比べてみるのも楽しいです。

かつて純粋に子供心にワクワク楽しませてもらえた作品。ストーリーは王道的で分かりやすく、キャラクターの魅力はどの作品と比べてもトップレベル、迫力あるバトル、作者の画力の成長など、とても面白かったです。
中だるみもほとんどなく、最後まで描き切ってくれた良作。もう少し掘り下げてほしいなというキャラクターは何人かいましたが、それでも登場人物の多さを考えた場合、これだけ1人1人を魅力的描けていたことは見事だったと思います。
もう15年も前の作品ですが、今現在の若い子が読んでも楽しめる作品だと思いますので、よければ読んでみてください。おすすめします。



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2017年02月01日

【パンプキン・シザーズ】マンガ 感想&あらすじ 重厚なストーリー展開で戦災復興に励む部隊の姿を描いた作品

マガジンGREAT→月刊少年マガジン。2002年から連載中。既刊20巻
作者:岩永亮太郎



あらすじ

永きにわたり多くの悲劇を生んだ帝国とフロスト共和国の戦乱は、「薄氷の条約」と呼ばれる停戦条約締結をもって終わりを迎えた。それから3年の月日が流れ――、

帝国内に刻まれた傷は今尚完全に癒えることはなく、社会混乱により国民は困窮に喘ぎ、兵隊が野盗化するなど、敵国との戦争は終結されても、“戦災”というもう新たなの戦争が起こっていた。

この現状を憂慮した帝国政府は、戦災復興をお題目とした新たな部隊「陸軍情報部第3課」、通称「Pumpkin Scissors」を設立。実情は資金集めを目的として掲げられた形式的な戦災復興というお飾り部隊だったが、3課に所属するアリス・L・マルヴィンは苦しむ民衆を救うため、祖父から受け継いだ貴族の誇りを胸に奮闘する。

そして、日々戦災復興のために取り組むアリスたちの前に、退役後各地を放浪していたランデル・オーランドという男が現れる。

主要登場人物

・アリス・L・マルヴィン
主人公。帝国陸軍情報部第3課所属。実働小隊「パンプキン・シザーズ」隊長。階級は少尉。拝命十三貴族のマルヴィン家第3公女で次期当主。危険を顧みない熱血漢。生真面目で多少融通の利かない頑固な性格。どんな状況にあっても貴族としての誇りを崩すことは一切なく、マルヴィン家は武家貴族のため幼い頃より鍛錬し続けた剣技は相当な腕前。何かが起こる前兆として首の後ろがムズムズするようです。「エイス」という名の角と牙の生えた巨躯を持つ愛馬がいます。

・ランデル・オーランド
もう1人の主人公。帝国陸軍情報部第3課所属。階級は伍長。戦時中は非公式部隊「901ATT」、通称「不可視の9番」と呼ばれた部隊に所属。体中に大小様々な傷を持つ大柄の男。退役後、各地を放浪していた折にアリスたちと出会いました。その見た目に反して争いごとを好まない穏やかで優しい性格。腰に着けたランタンに明りを灯すと痛覚や恐怖心がなくなり、「保身なき零距離射撃」を敢行する殺戮兵士へと変貌し、戦車をも単身で破壊するほどの戦闘力を発揮します。

・オレルド
帝国陸軍情報部第3課所属。階級は准尉。元はストリート出身の不良少年。普段はお気楽に振る舞いどこでも女性を口説いてるため軽薄な男に見えるが、根は真面目なうえ悩んでいる相手への気配りもでき、戦災復興にも真剣に取り組んでいます。同課のマーチスとは幼馴染の関係。「懲罰房からの脱獄魔」とあだ名される通り、ピッキングや情報収集が得意。

・マーチス
帝国陸軍情報部第3課所属。階級は准尉。3課の中では数少ない常識人。真面目で何事もそつなくこなすため、雑務を押し付けられることも多く、いろいろ気苦労の絶えません。整備士として情報部整備班を手伝うこともよくあります。小隊での活動の際は車両の運転などサポート役に回ることが多く、戦闘能力は軍人として評価すると低め。ムッツリスケベ。

・リリ・ステッキン
帝国陸軍情報部第3課所属。階級は曹長。内勤が多い事務担当。見た目は子供のような女性。熱意はってもやる気が空回り気味でミスを連発してしまう天然のドジっ娘。普段は二桁の計算すらままならないが、実はあらゆる文字や記号を音として感じる「統合見解者(スクリプター)」であり、難解な暗号さえ解読してしまう能力を有しています。情報部部長ケルビム曰く、「究極の凡人」。

・ハンクス
帝国陸軍情報部第3課課長。階級は大尉。一見お飾り部隊を率いる能天気なダメ親父ですが、その実情報分析に優れるかなりの切れ者。軍部内にも広い人脈を持っています。現在の姿からは想像しにくい経歴を持ち、かつては数多くの拷問や処刑を行ってきた「八つ裂きハンクス」の異名を持つ憲兵特佐でした。



【eBookJapan】 パンプキン・シザーズ 無料で試し読みできます


感想・見所

停戦締結から3年を経てなお治まらぬ戦災による混乱の中、同じ軍部からお飾り部隊と揶揄されながらも、名門貴族のお姫様を先頭に復興へ向け励む戦災復興部隊の奮闘を描いた物語。
戦争アクション漫画ではありますが、戦時下ではなく疲弊した国の戦後処理について描かれている珍しい作品。それと、本編に登場した様々なキャラクターにスポットを当てた、『パンプキン・シザーズ:パワー・スニップス』というサイドストリーを描いた作品も発行されています。2006年にはアニメ化され、全24話で放送されました。

正直見所が多くて1巻ごとの密度も濃すぎるため、凡庸な私の手にはおえそうもない作品ということもあり、感想書くかためらったんですけど大好きなので拙いながらも書かせていただきます。
まず、本当にこれが著者のデビュー作なのかと疑いそうになるほど、この作品は見事に緻密な世界観が構築されています。架空世界モノの作品ではどこかしらに矛盾や不自然さが生まれてしまいがちであり、私もそのあたりは仕方ないと許容しながら読んでいますが、この作品の作り込みには感心させられっぱなしでした。設定好きな人ならかなり楽しめると思います。

本作の舞台となるのは現実にはない架空の世界ですが、登場する兵器や文明レベルから第一次世界大戦後のヨーロッパ辺りの国々が背景にあるかと思われます。その中で主人公たちが籍を置く帝国はドイツ帝国をモデルにされていると推測していますが、戦後の状況は異なりますね。ドイツ帝国はWWT終結と共に勃発した革命により崩壊していますが、本作の帝国は停戦後も混乱はあったものの崩壊することなく体制は維持されました。封建制度が崩れることなく、「貴族」「軍人」「平民」のように身分による支配体制も根強く残っています。
戦争によって国の屋台骨がボロボロになっていたならば、帝国も史実のドイツのような末路を辿っていたかもしれません。ですが少なくとも停戦から3年間は、皇帝は権威を示し、疲弊しているとはいえそれなりに国力を維持した状態での停戦らしく、軍の機能も損なわれていないようなので、仮に革命を起こそうものなら即座に鎮圧されていた可能性が高いかと。むしろ、作中ではその市民の暴動を軍部が利用しようと画策してましたね。

戦争そのものを取り扱っている漫画は多く存在しますが、この作品が焦点を当てているのは戦後。戦争終結により国内の社会不安が広がり、戦争で糧を得ていた兵士の中には職にあぶれ野盗化する者まで現れ、国内機能安定に四苦八苦の政府の目が届きづらくなった地方では秩序が崩壊する始末。
それら戦災復興に尽力するため組織された部隊が、「陸軍情報部第3課(通称:パンプキン・シザーズ)」です。まあ、復興はただのお題目でしかないわけですけどね。上層部の思惑は復興のために集まった資金を別の用途で使いたいということで、名ばかりの戦災復興部隊。とはいえ、上層部はどうあれ第3課の隊員たちは本気で復興のために尽力しています。
中身は濃密でも流れ自体は単純です。問題のある場所に3課が赴き、なんやかんやして事態を治めるという流れ。その中に単純なようで複雑な市民の不満や不安、それぞれの思惑やエゴなどが絡み合い、重厚なストーリーに仕立て上げられています。

その第3課の隊長であり、本作の主人公でもあるのがアリス・L・マルヴィンという女性。貴族階級の中でも皇帝会議への列席を許されている他とは格が全く異なる貴族、「拝命十三貴族」の1席を担う家の次期当主。
これほど正義に淀みがない主人公は他に知りませんね。英雄である大祖父を見て育ったアリスは、志は高くても開始時点ではまだ世間知らずの小娘にも見えましたが、どのような状況に陥っても貴族の矜持を貫く姿勢には思わず見惚れてしまいました。
正しさを説くだけなら誰にでも出来ることですが、それを体現出来てる人となるとほんと稀にしかいません。綺麗事をまくしたてるだけで行動が伴わない主人公・ヒロインというのも結構多く、それを目にするだけで作品への熱も冷めてしまうんですが、アリスの言葉と行動には終始心揺さ振られっぱなしです。何が起ころうとも、平民・貴族・皇帝誰と対峙しようとも、決して己の正義を曲げない姿勢は危うくもありますが、同時にその危うさと美しさにどうしようもなく引き付けられてしまう魅力があります。
あと、鎧を身にまとって愛馬のエイスに跨って登場した場面、どこの世紀末覇王かと思ってしまいました。美しい白い鎧のアリスはかっこ良かったですけどね。

かなり複雑で重厚なストーリーではりあますが、たまにコメディ要素も挟んでくるので比較的読みやすいかと思います。ストーリー、キャラクター、アクション、絵、どれをとっても素晴らしい作品だと自信を持って言えますが、面白いだけに刊行スピードの遅さが実に歯痒いところです。
多くの視点を用いているにも関わらず整合性を欠くことなく進行するストーリー、そしてひとつのの国の戦後状態をここまで緻密に描きだす設定の奥深さには脱帽しました。
好き嫌いははっきり二分化されそうな内容ではありますが、個人的には是非とも読んでもらいたい作品です。おすすめさせていただきます。



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2017年01月04日

【ワンパンマン】マンガ 感想&あらすじ 一発のパンチで全てを終わらせる平熱ヒーローによるギャグアクション漫画

ジャンプ・コミックス。2012年6月14日から連載中。既刊12巻
原案:ONE
作画:村田雄介



あらすじ

「趣味でヒーローをやっている者だ」

3年前に怪人から少年を救った際、「ヒーローになりたい」という幼き日の夢を思い出した青年、サイタマ。就活を辞め、ヒーローになるために髪が抜け落ちるほどの猛特訓を続け、無敵のパワーを手に入れることに成功した。
あらゆる敵をたった一発のパンチで葬り去る規格外の戦闘力を身に付けたサイタマ。しかし、なりたかった夢を実現させたにも関わらず、あまりにも強くなってしまった自らの力に虚しさを感じ、何も満たされないまま趣味のヒーロー活動を続ける日々を送っていた。


主要登場人物

・サイタマ
主人公。ヒーローネーム「ハゲマント」。ヒーローを目指して鍛えている内に無敵の強さを身に着け、趣味でヒーロー活動を行っている青年。25歳にして髪は全て抜け落ち、ヒーロー活動中は白いマント、赤い手袋、黄色いスーツを着用。どんな強敵も容易く倒せてしまうことから、戦いに恐怖も緊張も怒りもなく、同時に喜びも達成感も感じられなくなっていました。育毛に励んで様々な方法を試しているけど効果はナシ。

・ジェノス
体をサイボーグに改造している青年。19歳のイケメンS級ヒーロー。ヒーローネーム「鬼サイボーグ」。15歳の時に暴走サイボーグによって故郷と家族を奪われ、復讐するため捜索中。サイトマの規格外過ぎる強さに憧れて弟子入りし、彼のことを「先生」と呼んで慕っています。サイタマ宅に住み込み、家事をしながら強さの秘訣を学ぶために観察しています。天然のため、良かれと思って暴走することもしばしば。

・フブキ
強力な超能力を操る女性ヒーロー。ヒーローネーム「地獄のフブキ」。B級1位ヒーロー。S級2位ヒーロータツマキの妹。自身も類稀な超能力者だが、姉のタツマキは遥か上を行く最強の超能力者であるため、強いコンプレックスを抱いています。黒いスーツに身を包んだB級ヒーロー集団「フブキ組」という協会最大派閥を結成。B級だったサイタマを勧誘するが失敗し、以降多少親しくなって交流を重ねています。

・キング
地上最強の男と称されるヒーロー。S級7位。29歳。片目に3本の傷を持つ強面。ヒーロー協会最大戦力の1人に数えられ、同じS級ヒーローたちにも一目置かれている存在。並の怪人では睨まれただけで失神するほどの威圧感を放ち、災害レベル竜など多くの怪人を一撃で倒すほどの高い戦闘力を持ち、神レベルの怪人とも亘り合ったヒーロー・・・という噂。
実際は喧嘩1つしたことがない無職でゲームオタクの臆病者。悪運だけは異常に高い人物。「キングエンジン」と呼ばれる「ドッドッドッドッ」という効果音の正体は周りにも聞こえるほど大きな鼓動音。彼の功績は過去にサイタマが倒した怪人の近くにたまたまいたというだけで、それを協会が誤解してS級に抜擢されました。サイタマに真相を打ち明けてからは仲良くなり、一緒にゲームで遊ぶ友人になっています。実力があるのに評価されないサイタマとは正反対の存在とも言えます。

・音速のソニック
ヒーローでも怪人でもない裏社会の暗殺者。忍者の里出身。作中ではトップクラスのスピードを誇り、幼少の頃から鍛えられた殺人術と高速移動を駆使した戦闘スタイルを持ちます。自らのスピードに誇りを持ち、実力を誇示するため強者に挑むこともしばしば。サイタマに敗北を喫してからは一方的にライバル扱いし、リベンジしようとするが軽くあしらわれています。

・ガロウ
S級ヒーローバングの元一番弟子。幼少時の経験からヒーローという存在に疑問を持ち、人でありながら怪人を名乗り「ヒーロー狩り」を行っています。最強の怪人になることが目標。天才的な格闘技術を持ち、高い適応力と学習能力、異常なタフネスと回復力により強者と戦う度に強さを増していきます。



【eBookJapan】 ワンパンマン 無料で立ち読みできます


感想・見所

一撃で敵を倒してしまう強くなりすぎた1人のヒーローが、自らの力に虚しさを感じながらも次々と現れる怪人と戦い続け、どんな強敵を前にしても平熱でヒーロー活動を行う物語。
ギャグ系のアクションヒーロー漫画です。原作はウェブサイト上で掲載されている作品ですが、今回は著者・ONEさんと作画・村田雄介によるリメイク版についての感想です。村田雄介さんはアメフトを題材とした『アイシールド21』の著者さんですね。2015年にはアニメ化もされ、現在は2期の制作が進行中。

人間に害をなす怪人が存在し、対抗するために生まれたヒーローがその怪人と戦い人々を守っている世界です。怪人はその脅威度によってランク付けされており、最も脅威とされている災害レベル「神」から、「竜」、「鬼」、「虎」、「狼」と続きます。『神』に近い災害レベルの敵は登場しましたが、恐らく現時点ではまだ『神』認定された敵は登場してないと思います。
ヒーローにも怪人同様にランクが定められており、桁外れの戦闘力を有するS級ヒーローをトップに置き、以下A級、B級、C級が続きます。個人で活動しているヒーローもいれば、中には「フブキ組」のように派閥を組んでヒーロー活動している者たちもいました。キャラを見ていて感じたことですが、強さに比例して変人・変態度も増してる気がします。B、C級には無免ライダーなど比較的まともな感性を持ったヒーローを多く見受けられましたが、A級になるとクセの強いキャラが増え、S級に至ってはまともな人は皆無どころか人間なのかも怪しい方がちらほらいましたね。

かなり挑戦的な設定ですね。通常のヒーローものと言えば、最後にはなんだかんだで悪を倒して勝利を掴むことは読者も理解してはいても、そこに至るまでの挫折、苦悩、努力、まさかの展開など、始まりと終わりの間にそういった過程を挟んで楽しむのが普通だと思います。
この作品はその過程の部分を主人公のサイタマがワンパンで吹き飛ばし、苦悩や挫折を演出しているのは主人公以外の脇役が担ってました。容姿、強さを求める背景、過去の辛い出来事、ヒーローとしての精神など、設定だけならジェノスや無免ライダーの方がよっぽど主人公らしい人物ですね。
サイタマが最後にはワンパンで片付けてしまうため、敗北したヒーロー側が再び立ち上がり、怪人へリベンジするという展開は生まれず、むしろそれをやっているのはガロウやソニックなどの敵側という他にはない展開を見せてくれます。さらに、緊迫感や熱い展開を生んでいるのもこれまた脇役であり、サイタマ自身は常に気力なさげな冷めた反応しか示さず、その激しい温度差には思わずクスっと笑わされてしまいました。
普通のヒーロー作品で主人公がやっていることは、敵を倒すこと以外ほぼ全て周囲の脇役がやっているというすごい作品。

抜群の作画力によって迫力満載の戦闘シーンが描かれていました。作画を担当しているのは『アイシールド21』で人気を博した村田雄介さん。原作ワンパンマンに惚れた村田さんが話を持ちかけ、今回のリメイクが実現したというのが背景にあります。
サイタマのゆる過ぎる反応に反し、戦闘描写は見応え満載の圧倒的ド迫力。元々画力には定評があった人なので、キャクターデザイン、センスの良さを伺える構図、ユニークな各種技、どれも素晴らしい。背景もしっかり丁寧に描き込んでいるため、世界観や現在の状況、戦闘の激しさがより分かりやすく伝わってきますね。砕け散る建物、舞う砂煙、広がる衝撃波、目が離せない戦闘シーンは見事としか言いようがありません。
サイタマにも皆無というわけではなく、彼にもカッコイイ戦闘シーンはそれなりにありますが、激しい攻防が繰り広げられる戦闘シーンを見せてくれるのは、例に及ばずジャノス等周囲のヒーローや怪人たちが多めです。

こういったことから、サイタマだけでなく非常にユニークなキャラが多いのもこの作品の魅力ですね。ヒーローも怪人も登場するキャラクター数はかなり多い作品ではありますが、フォルムや特性は1人1人しっかり描き分けられており、よくここまで創造できるなと感心してしまうほど。
私はフブキ、ジェノス、無免ライダーあたりが好きですね。怪人で好き、というより面白かったのはアーマードゴリラと昆布インフィニティ。その他には魅力あるキャラが多く登場してくるので、キャラクターだけでもとても楽しめると思います。

圧倒的な画力が生み出す迫力ある戦闘シーンと、それまでの苦労が何だったのかと思ってしまうサイタマによる幕の降ろし方に笑わせてもらえる作品。主人公と周囲の人たちとの反応の温度差が面白いです。
ある意味、最近多い「俺Tueee」作品へのアンチテーゼにも見えるほど、強さに対して虚しさを感じているキャラが多いのも特徴でしたね。
分かりやすいシンプルなストーリー、ユニークなキャラクター、高い画力、アクション漫画やギャグ漫画が好きな人ならきっと楽しめると思いますので、よければ読んでみてください。おすすめさせていただきます。



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2016年04月03日

トリコ 漫画 感想

週刊少年ジャンプ。2008年25号より連載中。
作者:島袋光年。
    他作品「世紀末リーダー伝たけし!」


・あらすじ
世は美食が世界的に流行しているグルメ時代。あらゆる物が食材として溢れかえっている世界で、食材によってはとんでもない額が付くことも。主人公は題名にもなっているトリコ。美食屋と呼ばれる食のハンターであり、その中でも美食屋四天王の1人に数えられる程の実力者。そんなトリコが小松という料理人と出会い、様々な地へ赴き、食材と出会い、料理を食し、「人生のフルコース」の完成を目指します。

主人公がハンターということでお気づきだと思いますが、グルメだけの話ではありません。
食材となっているものは基本的に怪物ばかりなので、食をテーマにはしていますがバトル満載の漫画でもあります。

食べ物はだいたい現実ではないものばかりなんですが、とてもおいしそうなんですよね。食事シーンを見てるとよだれが出そうになるわお腹は減るわで大変。でも実際には存在しない食材なので手の出しようがないという・・・。あのとろけるような恍惚な表情を見ながら味とか食感などを想像するしかないですね。

主人公はあらすじでも少し紹介したトリコです。筋骨隆々の大男。戦闘能力は四天王に数えられてることもあり開始時から既に相当な実力者です。それだけでなく頭も良かったりしますね。犬をも上回る嗅覚の持ち主でもあります。無意味な殺生は嫌い、食材への感謝の気持ちを常に持っています。

この作品にはもう1人主人公的な存在がいます。小松という料理人です。ほぼW主人公で、ハンターと料理人でうまく役割を分けられていますね。基本マッチョで溢れかえってる作品なんですが、この小松は小柄で少し幼く見える外見をしてます。顔芸がけっこうひどい。頼りなさそうに見えるんですけど、料理の腕前はかなり高いんです。この小松の成長を見ていくのも楽しみの一つです。

登場人物や猛獣なんかはそれぞれ特徴的な個性があって面白いです。
読者が投稿してきた食材や猛獣なんかもよく出てきます。ネーミングとかかなりユニークものが多いです。

ジャンプの努力・友情・勝利の王道を行ってる漫画だと思います。序盤は特に冒険心をくすぐってくるのでワクワクしながら読めます。食材なんかも丁寧に描かれているので美味しそうです。技名がへんてこ過ぎますが、それもキャラの個性を引き立ててると考えれば良いと思います。バトルが好きな方、グルメが好きな方、ギャグが好きな方など多くの人に読んでもらいたい作品です。難しいこと考えずに気軽に読めます。

トリコ(1) [ 島袋光年 ]

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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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