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2017年03月29日

【ヨコハマ買い出し紀行】マンガ 感想&あらすじ 終末へ向かう世界でゆったり穏やかに暮らす人々の日常を描いた作品

月刊アフタヌーン。1994年6月号から2006年4月号まで連載。全14巻/「新装版」全10巻
著者:芦奈野ひとし



あらすじ

お祭りのようだった世の中がゆっくりとおちついてきたあのころ。のちに夕凪の時代と呼ばれるてろてろの時間、ご案内。
夜の前に、あったかいコンクリートにすわって。

年々海面上昇が進行したことで少しずつ街は海に沈み、人間が築き上げてきた文明も滅びようとしていた。滅びを受け入れた人々は平和に暮らし、束の間の穏やかな時間を送っていたこの時代は、後に「夕凪の時代」と呼ばれることになる。

かつての高度なテクノロジーによって生み出された女性型ロボット「初瀬野アルファ」は、旅に出た彼女のオーナーを何年も待ちながら、西の岬に残された喫茶店「カフェ・アルファ」を1人で営んでいた。

カフェに訪れてくる近所の人々や様々なお客、同じロボットたちとふれあいながら、アルファはいつまでも変わらぬ姿で、彼等の成長、ゆるやかに衰退していく世界の変化を静かに見守り続けていく。

登場人物

・初瀬野アルファ(はつせの アルファ)
主人公。若い女性の姿をしているアルファタイプロボット。機種名「A7M2型(量産試作機)」。ロボットとはいえ、外見・言動・行動・思考は人間そのまま。一緒に暮らしていたオーナーの初瀬野先生がどこかへ旅立ってしまったため、現在は帰りを待ちながら1人で喫茶店「カフェ・アルファ」を営んでいます。オーナーも弾いていた月琴と、魚をモチーフにした小物の製作が趣味。甘党で動物性タンパク質類が処理できないため苦手。いつまでも年をとることがないことから、親しい人たちが持っていたモノを未来へ託されることもあります。

・鷹津ココネ(たかつ ココネ)
女性型のアルファタイプロボット。機種名「A7M3型(量産型)」。アルファの妹分にあたる存在。ムサシノの国で暮らし、ムサシノ運送・世田谷支店で「おてもと便」係として働いています。アルファとはオーナーから彼女へカメラの配達をした折に出会ったことで親しくなり、以降は憧れも抱くように。人間っぽく振舞おうと気負っていましたが、ありのままで生きるアルファに出会ったことで肩の荷が下り、気楽に生きられるようになりました。自分たちロボットが作られたルーツを知ろうと資料を収集しています。

・タカヒロ
カフェ・アルファの常連客。おじさんと一緒に住んでる少年だけど関係は不明。アルファに対して恋心を抱いていた節も見られます。成長した終盤では生まれ育った地を離れ、職を得るためにエンジンの都・浜松へと働きに出ました。後に転がりこんできたマッキと一緒になり、サエッタという名の娘も授かっています。

・おじさん
カフェ・アルファ1番の常連客。カフェの近所でガソリンスタンドを営んでいる老人。アルファにとっては良き話し相手、相談相手です。子海石先生の学生時代の後輩。畑も持っていて、スイカが豊作のときはアルファや近隣住民にお裾分けしています。カフェもいずれは波にさらわれることから、そうなったときはスタンドの場所を使って店をやればいいと伝え、アルファに譲ろうと考えています。

・真月(まつき)
タカヒロの幼馴染。あだ名は「マッキ」。少しがさつなところもあるけど元気な少女。タカヒロにずっと想いを寄せています。タカヒロが就職して町を離れてからは、アルファの喫茶店で手伝いを始めます。後にココネも勤めているムサシノへ就職し、退社した後はタカヒロのもとへ身を寄せました。

・子海石先生(こうみいし せんせい)
カフェの近く(それなりに距離はある)にある病院の女医。おじさんの先輩。雷に撃たれたアルファの治療をしてくれた人物。かつて「A7型」のロボット開発にも少しだけ関わっていた経歴を持ちます。上空にいるターボン室長「子海石アルファ」を預かっていた時期もありました。「私の若い頃の目と足」と言う大切なペンダントを、未来へ連れてって欲しいと願いアルファに託しました。

・子海石アルファ(こうみいし アルファ)
女性型のアルファタイプロボット。機種名「A7M1型」。アルファとココネにとってはお姉さんにあたる存在。地上に降りることなく高度上空を飛行し続けている飛行機「ターポン」の室長。ターボンの乗組員からは「アルファー室長」と呼ばれています。上空から街の灯が消えていく様子を見続け、その灯が消えて街灯の木が放つ青い光に地上が染まったとき、降下ポッドで地上に降りてもいいだろうかと考えています。



【eBookJapan】 ヨコハマ買い出し紀行 無料で試し読みできます


感想・見所

文明が静かに衰退し続けている時代、海沿いの岬でカフェを営む女性型のロボットが、親しい人や訪れてくるお客、同じロボットたちと交流を深めながら、人々の成長や少しずつ変わりゆく情景を見守り続ける姿と、滅びへ向かう世界で穏やかに暮らす人々の生活を描いた物語。
穏やかに終末へ近づいていく人々の日常を描いたSF漫画。絶望感はありませんが、終末という意味ではこれもディストピア作品に数えられるかと。
著者の芦奈野ひとしさんは、1994年にはアフタヌーン四季賞コンテストで四季賞を受賞してデビュー。第38回星雲賞をコミック部門において受賞しています。1998年にはOVAも製作されました。
「夕凪の時代」が終わり、人間が滅びた「人の夜」の時代を語られている『小説 ヨコハマ買い出し紀行 -見て、歩き、よろこぶ者-』も発行されています。こちらは漫画とは設定が異なります。

世界の終末を描いた作品、いわゆるディストピア系の作品というのは、世界観や登場キャラから絶望感・悲壮感を強く感じる内容であることが多い思います。『EDEN』、『7SEEDS』、『BLAME!』あたりがその例にはまりそうですね。
ただ、世界が滅びに向かっている終末期を描いていながら、絶望感を感じることがないどころかほのぼのした雰囲気の作品もあります。それが、今回紹介させていただく『ヨコハマ買い出し紀行』。
終末期を舞台としたのんびりゆったりした空気感ある作品と言えば、最近では『少女終末旅行』なんかもありますね。ですが、本作はディストピアであっても「まったり癒し系」という面の方が強いと思いますので、その意味では『ARIA』の方が近い作品なのかなと思ってます。癒しを求めてる方にこそうってつけの作品がヨコ買いですね。

まず魅力に感じたのは、ゆったりとした素朴で叙情的な空気感が漂う世界観。
近未来(西暦不明)、主な舞台は「かながわの国」の海に面した西の岬にある喫茶店「カフェ・アルファ」。現代の神奈川県三浦半島にあたる場所です。作中には横浜、世田谷、江ノ島、海に沈んだ横須賀など、姿は変わっても現実に実際ある街や土地が多く登場します。
人間と見分けがつかない感情を持つロボットが造られるていることから、現代より遥かに高度な文明を持つにまで人類は繁栄していたことが伺えます。大規模な海面上昇によって人類を激減させた「怒りの日(原因不明)」とその後の騒動を経て、滅びを受け入れた人々が穏やかに暮らす「夕凪の時代」が訪れました。絶望感や悲壮感はなく、数を減らしても人々は働いて日々の糧を得て、家族や友人たちと過ごし、ゆるやかな時間の中で生活を送っています。
このような作品が好きな人はとことんハマると思いますが、大きな事件らしいことはまったく起こらないので合わない人は退屈に感じるでしょうね。空気や雰囲気、時間の流れを味わいながら楽しむ作品です。

内容は上述で述べた世界舞台で、女性型ロボットの主人公・アルファさんを中心に、穏やかに暮らす人たちの様々な日常を、叙情的・詩的に綴られています。基本はカフェ・アルファとその近隣での出来事がメインですが、たまにスクーターに乗ってコーヒー豆の買い出し、お出かけ、小旅行するエピソードも交えられ、その辺りで世界の様相を伺うこともできますね。
正体不明の謎は多く散りばめられていますが、漫画では深くふれずに結局解明されることのなかった謎も多くあります。着実に変化し続ける世界で変わることないアルファさんの姿と共に、このあまり語らない作風がより哀愁を感じさせる要因にもなり、それが独特な味わいを感じさせる演出にもなっていたかと。最終回を迎えても答えが出なかった謎に対して消化不良を感じることはあまりなく、むしろ最後までこの作品らしかったとさえ思ってしまいましたね。

風景写真でも見ているかのようなシーンやカットも随所で登場するのも特徴。ココネがアルファさんのもとへ届けたオーナーからの配達品「カメラ」、これも作品を彩る重要なキーのひとつであることから、そのような演出をしているのかもしれません。美しい見事な1枚絵はもちろんのこと、ページの中にあるコマの1つであってもそのように感じる描写は多くありました。
アルファさんはたまに風景や光景をカメラで撮影しますが、このカメラはロボット専用なのでプリントアウトも現像もできません。ロボットだけがさながら記憶を思い出すかのように、撮影した画像を再生することができるという代物。この設定は面白かったです。
カメラで思いでを貯めていく姿、思い出にふれている姿からはちょっぴり切なさが伝わってきましたが、同時に懐かしさと安らぎも感じられ、その姿に惹かれてしまいましたね。

とてもゆったりとしているけど着実に変化し続けていく時間の流れ、ただただその様子を見届けるかのような作品。大きなストーリーがあるわけではありませんが、ひとつひとつのセリフは噛み締めるかのように味わいたくなり、美しさ・懐かしさ・切なさが織り交ざった情景には魅入られてしまいました。
文明の衰退、人類の滅びに対して、当初は様々な騒動があったようですが、受け入れてからの人々の気持ちと暮らしは穏やかになり、なぜかその様子からはリアリティを感じられ、実際世界が滅びるときはこんな感じなのかもしれませんね。
内容は難解でなくても、どう言い表していいかはちょっと悩む作品なので、読んで何を感じ、何を思うのかは人それぞれだと思います。
癒しが欲しい人、ゆったりのんびりしたい人、懐かしさを感じる作品を読みたい人、旅が好きな人には特におすすめできる作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 18:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日常

2017年02月08日

【少女終末旅行】マンガ 感想&あらすじ 終末世界をのんびり気ままに旅する2人の少女の物語

くらげバンチ。2014年2月から連載中。既刊4巻
作者:つくみず



あらすじ

文明が崩壊した終末世界。

朽ち果てた無数の廃墟、打ち捨てられたかのように点在する過去の遺物、かつて命が溢れていた都市からは音が消え、それらは抜け殻となって取り残されていた。

そんな世界に少女ふたりぼっちで生きるチトとユーリ。愛車のケッテンクラート(履帯式オートバイ)に乗り、廃墟ばかりの崩壊した世界を目的も無く走り続ける。

行きたい場所があるわけでも、会いたい人がいるわけでもない。日々の糧を得ることすらままならないあてのない旅。それでも、2人は仲良く見えない先へとのんびり進んでいく。

登場人物

・チト
長い黒髪をツインテールにしている少女。愛称「ちーちゃん」。何事にも慎重に行動するしっかり者で少し神経質な性格。主にケッテンクラートの操縦手を務め、簡単な修理もこなせます。読み書きが出来ることから、読書家で本を収集し、日々の出来事を日記に書くのが習慣。ユーリに対して結構すぐに手が出ます。

・ユーリ
金髪碧眼の欧米人風の少女。マイペースでお気楽な性格。好奇心も旺盛で、何にでも適当に手を出してはチトに怒られてます。小銃を携帯しており、チトとは違って射撃が結構得意。食べることが大好きなので、何か分からない物はとりあえず食べられるかで迷ってます。読み書きは苦手。

・カナザワ
眼鏡をかけた男性。地図を作りながら旅をしています。チトたちに食料のお礼としてカメラをくれました。

・イシイ
眼鏡をかけた長い黒髪の女性。古い空軍基地で図面を元に飛行機を作っています。

・ヌコ
のっぺりした謎生物。ラジオを通して会話ができます。食料は弾薬やオイル。



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感想・見

文明が崩壊した終末世界を2人だけで生きる少女たちが、訪れる先々で出会った人や発見した物事に思いを馳せながら、愛車に乗ってあてもない旅を続ける物語。
2人の少女が崩壊した世界を旅する終末日常系漫画です。「ほのぼのディストピア・ストーリー」と銘打ってるだけあって、終末世界でありながら少女たちは結構楽しげな雰囲気。
著者はこの作品がデビュー作となるつくみずさん。デビュー前は同人サークルで活動していたようで、最初に制作した作品をネットにアップしたところ、それが新潮社の目に止まってデビューしたのが経緯とのこと。

ディストピア作品と言えば『EDEN』、『7SEEDS』、『BLAME!』など、多かれ少なかれ悲壮感や絶望感といったものがつきものだと思いますが、本作はそれらとは異なり雰囲気はかなりゆるめです。
今上げた作品よりも『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』や『がっこうぐらし!』、あとゆったり滅びに向かっている作品と言えば『ヨコハマ買い出し紀行』なんかとも少し近いかもしれませんね。

終末世界が舞台、なのにほのぼの日常系。
この作品の世界は物語開始時点で既に文明はほぼ完全に崩壊し、人類も僅かしか存在せず、地球は生命の永い営みをついに終えようとしている状態。
人に使われなくなった建造物は朽ち果て、誰もいなくなった多層構造都市は抜け殻となり、そこかしこに戦争で使われたと思われる兵器という遺物が打ち捨てられています。なぜ世界がこうなってしまったかについて確かなことが書かれているわけではありませんが、恐らく大きな戦争が起きたのではないかと推測。
人間がいなくなっても未だに自動制御で動き続ける施設や、様々なロボットが稼動しているおかげでインフラの一部は生きており、かなり高度な文明へと発展していたことが伺えます。

そんな終わりかけている世界の巨大な多層構造都市を旅しているのが、チトとユーリのふたりぼっちの少女。彼女たちの生い立ちはおじいさんと暮らしていたこと以外よく分かりませんが、特に目的もなく愛車のケッテンクラート(履帯式オートバイ)に乗ってとりあえず上へ上へと進んでいます。
ちなみに、ケッテンクラートというのはオートバイと戦車を合体させたような形をした、第二次世界大戦の折にドイツ軍が開発した奇妙な乗り物です。『プライベート・ライアン』にも登場してますね。

慎重に行動するしっかり者のチト(ちーちゃん)、考えるよりまず体が動いてしまうお気楽なユーリ、性格は正反対な2人だけど仲良く楽しげに旅をしてます。むしろ、2人共慎重で神経質、あるいは楽観主義者だった場合の方が生存率下がってたかもしれませんね。ご飯をとりあったり、寄り添いあいながら睡眠をとったり、一緒にお風呂に入ったり、ときには喧嘩もすることはありますが、助け合ってのんびり生きてます。
世界だけを見ると絶望しかないわけですが、チトとユーリの2人には悲壮感や絶望感は全くなく、暗い影を落とすこともありません。背景の絵が荒廃している世界というだけで、2人の雰囲気だけを見るといたって普通の日常系作品の風景。時折ピンチに陥ることもありますが、基本はのほほんほのぼのといった感じです。
それは、彼女たちが何も知らない子供たちだからでしょうね。恐らく文明が滅びた後に生まれた世代なんでしょうが、なぜ滅びたのかも分かってない。チョコが何かも、音楽が何なのかも、カメラで写真をとってもなぜ人が記録を残すのかは分からない2人です。旅をしながらそれらのことを知る・・・というより気づいていく、と言った方が正しいでしょうね。

チトとユーリの他にも生き残っている人はいます。4巻時点ではまだ2人だけですけど、1人は地図を書きながら旅を続け、1人は残された図面をもとに飛行機作りをして生きている人たち。そんな人たちと出会い、会話し、共に行動し、別々の道へ別れていきます。
面白いのはお互い正反対なところですね。チトとユーリも性格の部分では対照的な2人ですが、サブとして出てきた2人も生き方がまるで違います。チトとユーリには何の目的もないので極端に言えば生きるためだけに生きてる2人です。片やカナザワとイシイは、地図を作る、都市の外へ行くため飛行機を作るという目的や目標を持って生きています。
目的があることは生きる励みにもなるのではと思う一方、それは無理をして背負った重荷でしかないのかもしれないなど、絶対の答えなんて出るものじゃないと思っていながらも、彼女たちを見てるどう生きるのが幸せなのかをつい考えてしまいましたね。

あてどないふたりぼっちの旅、とても面白かったです。彼女たちの向かう先には何があるのか、本当にこの世界には終わりしかないのかなど、気になる要素は満載。ただ、終わってしまうとしても、それでもいいのかもしれないとさえ思ってしまうほど、チトとユーリの旅は穏やか。ありふれた日常、当たり前のように享受している物事、それらは決して不滅のものではなく、いつかは呆気なく消えてしまうかもれしれないもの。この作品からは日常の中にある大切なものや感動に改めて気づかせてもらえましたね。
ただのんびり旅を続ける少女たちを見てほのぼのするも良し。終末世界で生きる彼女たちの姿から哲学的なことを考えるも良し。普通のディストピア作品や日常系作品に食傷気味の方、風変わりな作品が読みたい人におすすめできる作品かと思います。よければ読んでみてください。



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2017年01月18日

【銀のスプーン】マンガ 感想&あらすじ 誰かと一緒に食卓を囲む楽しさに気づかせてくれる物語

Kiss。 2010年第15号から連載中。既刊15巻
作者:小沢真理
他作品:ほいくの王さま



あらすじ

大学受験を控えた高校3年生の早川律。父は既に他界しており、弟の調、妹の奏、母の恭子と4人で暮らしていた。

ある日、母・恭子が体調を崩したことで検査のため入院することになったのだが、1週間の予定は病が発覚したことにより長引くことになり、治療のあいだ弟妹たちの世話と家の家事は律が担当することに。

今までまともに料理をやったことのなかった律だったが、自分の作った料理を食べた調と奏の「美味しい顔」にはまり、誰かのために食事を作ることが楽しくなっていた。そんな中、京都の大学を目指していた律は、突然受験をやめると言い出す。

さらに、調と奏に秘されていた律の出生が明らかにされ・・・。


以前書いた1巻の感想はこちら

主要登場人物

・早川 律
主人公。開始時は華麗台高校に通う高校3年生。後に1度は諦めた大学へ進学し、映研サークルに入会。容姿端麗、成績優秀、性格も優しく紳士的。早川家では「一族の至宝・奇跡」、学校では「プリンス」と呼ばれています。入院した母に代わって食事を作ったことで、料理好き王子になりました。実は早川家の血は継いでおらず、当時なかなか子供ができなかった恭子たちが養子として引き取りました。

・早川 調
律の弟。開始時は中学1年生。ヤンチャなところはありますが、素直で思いやりもある性格をしており、正義感も強い。妹の奏とはささいなことでもよく口論になります。中学ではバスケットボール部に所属しており、背が低いことを少し気にしています。後に高校へ進学。高校ではバンドを組み、髪も金糸猴(ゴールデンモンキー)のように金と青に染めています。食べ物の好き嫌いは多い方。

・早川 奏
律の妹。開始時は小学6年生。律のことが大好きなまだまだ甘えたがりな年頃の女の子。アイドル志望でレッスン教室にも通っており、毎朝鏡の自分に向かって「宇宙一(世界一)カワイイ」と言って出かけるのが日課。後に中学、そして高校へ進学。律や恭子の家事をよく手伝っています。

・早川 恭子
早川家の母。穏やかで優しい性格をしており、強く心の広いお母さん。子供たちを深く愛し、常に温かく見守っています。結婚後、調を妊娠するまでなかなか子供に恵まれず、律を施設から引き取り養子にしました。検査入院で癌が発覚しましたが、治療のかいあって約一月で退院。一時期真也から路加も引き取っています。

・倉科 夕子
律の高校での同級生。高校では漫画研究会に所属。地味で大人しい性格。律が家事を始めたばかりの頃に料理のアドバイスをし、そのことがきっかけとなり親しくなりました。卒業後は漫画家として活動し、子供向けまんが誌でデビューしています。律とは恋人関係になれたものの、漫画で芽が出ないことに焦り、完璧な律に自分はふさわしくないと卑屈になったことで別れを告げて去ってしまいました。

・雨宮 路加
律の実弟。真也と律に似た美少年。真也が路加の父親に去られたことで育児放棄になり、心配した律の提案によって早川家で引き取られることになりました。律にとても懐いており、早川家でも無邪気に明るく過ごしています。育児放棄されていたとはいえ、真也のことを心配する優しい子でもあります。彼女が取り戻しに来たときは、母を1人にはできないと一緒に帰っていきました。

・雨宮 真也
律の生みの親。14歳で律を出産したものの、当然育てられず施設へ預けました。再会した律には冷たい態度で突き放していましたが、本当は深い後悔を抱き続けていたようです。後に律とは和解し、ルカの母としても改心し、早川家にもよく訪れるようになります。恭子の優しさに触れてからは彼女のことを「お母さん」と呼び慕っていますが、親子というより仲の良い姉妹のような関係。



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感想・見所

入院した母に代わり家事を任されたことで料理に目覚めた青年と、家族や親しい人たちとの日常、それぞれの成長と変化を描いた物語。
楽しいとき、辛いとき、どんなときも温かな食卓が迎えてくれるハートフルホームドラマ。“家族の食卓”がメインテーマです。2015年には『明日もきっと、おいしいご飯〜銀のスプーン〜』というタイトルにてドラマ化され、「高杉真宙」主演で昼の時間帯に放送されました。

1人暮らしを始めてからは自炊をするように心がけてはいますが、誰かと一緒に食卓を囲むという機会はとんと減少しましたね。帰宅してから1人で作って、1人でテレビを観ながら食べて、そして1人で後片付けする、そんな毎日の繰り返しです。
この作品からは、昔は確かにあったけど当たり前すぎて気づかなかった誰かと食卓を囲む喜び、そして尊さに気づかせてもらえます。また、食事をする楽しさだけでなく作る楽しさも教えてくれますね。親しい人たちと一緒に料理を作ること、誰かを想いながら料理を作ること、その時間も楽しい一時であり、さらにその料理を美味しそうに食べてもらえたときの喜びも格別です。

物語は主役の律にまつわるエピソードを主軸に置き、弟、妹、母、友人それぞれ独自のエピソードも交えながら展開されていきます。
開始早々すでに他界していた父に代わり、一家の柱であった母が体調を崩して一時入院し、弟妹の食事を作るために律が初心者ながらも料理をはじめます。これが料理好きになっていくきっかけです。調と奏が自分の料理を笑顔で美味しそうに食べてくれることに喜びを感じたんですね。
母のレシピを参考にしたり、同級生の倉科夕子さんにアドバイスをもらったりしながら、弟と妹のお腹を満たして笑顔になってもらうことを考え、時には皆で仲良く一緒に料理を作っていきます。
ただ食卓を囲む光景を見るだけの料理マンガというわけではありません。この作品は料理を前面に押し出しているレシピ重視の漫画ではなく、ストーリー重視の構成です。登場人物の恋、進路、家族関係、出生、様々な展開が繰りひろろげられていく中に、その雰囲気を崩さない自然な流れで料理・食事シーンへ移行されていました。

非の打ち所のないイケメン設定を用いるのは少女マンガでは珍しくありませんが、そのどれと比べても完璧すぎる男、それが早川律です。そこいらにいるプリンスが霞んでしまうほど麗しく美しい端正な顔立ちと、スラっとした体系をしており、頭脳明晰で性格も優しく爽やかな紳士、さらに料理を筆頭に家事全般も得意、しかも家族思いで小さい子の世話まで苦もなくこなす完璧ぶり。ここまでくると欠点すら愛嬌になってしまいそうですね。それをひけらかすことは一切なく、嫌味も感じさせないので世の男はもうお手上げです。
しかし、その完璧なところがあだになる事態も起きてしまいます。大切に想っていた恋人・夕子に一緒にいるのが辛い、自分は律にふさわしくないと去られてしまいました。まあ、わからなくもないですね。律には何の非もありませんが、強く想っていても相手との釣り合いを考えてしまうことは少なからずあります。完璧な人の近くにいると自分の凡庸さに気づかされ、分かっていたことでも改めて自覚させられると結構辛いですから。特に自分の力で戦っていく道を選んだ夕子にとってはそれが重く圧し掛かり、状況も災いして自分を卑下してしまったんでしょうね。

律の恋はこの作品の中でも特に気になるところなんですが、別れて以降仏門にでも入ったかのように恋の気配はなく、友人も「草食通りこして仙人の域だ」と言うほど。律に想いを寄せる相手はいても律が振り向く相手は現れず。私としてはまた夕子と寄りを戻してほしんですけどね。漫画家デビューして人としてのレベルも上げ、多少自信も得たであろう彼女と再び手を取り合うことがあるのか、とても気になっています。
他にも奏や調、友人の斎木など、あちらこちらで気になる恋模様が展開中です。楽しいことばかりではないようですが、恋で悩めるだけでも羨ましい限りです。

ストーリー重視の漫画ではあるとはいえ、もちろん料理も見所の1つです。プロが調理するわけではないので基本的には家庭料理。誰しも簡単に作れるものだけでなく、少し手間隙かける料理もありますが、イラスト付きの解り易いレシピも添えられているのでやって出来ないことはないと思います。アレンジレシピもあるのは良かったですね。

多少ドロドロした人間関係はありますが、基本ほのぼのした心地よい気分にさせてくれる漫画。家族の食卓の温かさを伝えてはいても、「どうだ、家族っていいもんだろ!」というような押し付けがましさはなく、ほどよい味付けを加えられた何気ない日常の光景を写しているので、ほっこりしながら「良いな」と思わせてくれます。
やはり、今後の律の動向は1番気になりますね。何かと1人で抱えがちな律、彼に再び春が訪れるのか、いったい誰が仙人のように引き篭もった山から下界へ連れ戻すのか、とても気になります。
家族の関係、それぞれの恋、料理など、見所の多い内容になっていますので、よければ読んでみてください。おすすめさせていただきます。



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posted by ハネ吉 at 18:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日常

2016年12月09日

【ばらかもん】マンガ 感想&あらすじ 自然豊かな五島を舞台にした青年書道家の成長と島民とのふれ合いを描いたハートフルストーリー

ガンガンパワード→ガンガンONLINE。2008年4月号より連載中。既刊13巻
作者:ヨシノサツキ
他作品:はんだくん



あらすじ・概要

書道の授賞パーティで自分の作品を酷評した書道界の重鎮を殴ってしまい、見かねた父親によって日本最西端にある五島に送られた書道家の青年・半田清舟。
山と海と畑ばかりが広がり、島民とすらなかなか巡り合えず、なんとか見つけた第1村人の助けを借りてようやくこれから暮らすことになる住居へたどり着いた半田。家の中を見て回っていると、隠れ潜んでいた幼い少女と出会い、妙に懐かれてしまうことに。
内心ではあまり反省する気のなかった半田だったが、島で出会った琴石なるや自由で気ままな個性豊か過ぎる島民達と交流を重ねていくうちに、次第に未熟だった自分を見つめ直すようになり、その心の変化は彼の書にも影響を与えることになっていく。
自由で開放的な五島を舞台に、なかなか1人にさせてもらえない青年書道家の、騒々しいけど温かな新生活が幕を開けた。

主要登場人物

・半田 清舟
主人公。23歳のイケメン書道家。島では「先生」と呼ばれています。頑固でプライドが高く、神経質で繊細なめんどくさい青年。自分の作品を酷評した書道の重鎮館長を殴ったことで、書道家の父に「頭を冷やしてこい」と言われ島へ送られました。意外と好奇心旺盛で面倒見の良いところもあり、島の子供たちに懐かれています。幽霊と虫が苦手。猫が大好きなのにアレルギー持ちのためさわることはできません。

・琴石 なる
島に住む小学1年生の少女。7歳。左手のミサンガ、サイドに束ねた髪が特徴。明るく活発、自由奔放な性格をしており、元気の塊みたいな子です。半田先生と仲良くなったことで彼の借りた家に入り浸るようになります。その先生に恋人がいるかもという話になったときは慌てふためき、一時東京へ帰省した際には抜け殻になるほど、彼のことが大好きなようです。セミの抜け殻を集めているなど昆虫が好き。

・山村 美和
島に住む中学2年生。14歳。実家は酒屋。髪を短髪にしているボーイッシュな少女。誰に対しても明るくフレンドリーに振舞い、年上にも物怖じせず振舞っています。半田先生が借りた空き家を遊び場にしていました。いたずら好きでもあり、なるによからぬことを吹き込み半田を困らせることもしばしば。

・新井珠子
島に住む中学2年生。14歳。通商「タマ」。自称文学少女。三つ編みと眼鏡が特徴の少女。親友の美和やなると一緒に、半田先生の借りた家を隠れ家にして遊んでいました。漫画家を目指しており、グロシーン多めの漫画を雑誌へ投稿しています。BLネタに対して敏感な反応を示し、本人は否定し嫌悪しているが、完全に腐女子。

・木戸浩志
島に住む高校3年生。郷長夫婦の息子。金髪にした髪が特徴。昔からやること全てが平均的で中途半端な少年。両親からも「平凡」と言われ、中途半端に荒れてました。半田先生の努力を目の当たりにし、自分の不甲斐なさに気づき改心。料理を得意としており、清舟の助言からそれを将来へ生かそうと動き出します。

・久保田陽菜
島に住む小学1年生。7歳。通商「ひな」。なるの親友。ロングにした黒髪と髪飾りが特徴の女の子。人見知りが激しく、哀しくても嬉しくても泣いてしまいます。自由に涙を流すこともでき、懐いている半田先生を困らせて楽しむこともあります。ほっぺたが柔らかい。



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感想

書道家の父親によって、人間として欠けているものを見つけさせるために離島へ送られた青年が、自然豊かな島で暮らしていく中で、個性立ちまくりな島民たちと交流し、様々な経験を経て、書道家として、そして人として成長していく姿を描いた物語。
ハートフルなアイランド青春コメディ。2014年には全12話からなるアニメも放送されています。さらに本編の6年前、半田清舟の高校生時代を描いたスピンオフ作品『はんだくん』も全7巻で発売。私は漫画もアニメも全部見ました。

最近は田舎でのスローライフを描いた作品を多く見かけますね。見上げればさえぎるものが何もない青い空、目の前に広がる雄大な海、草木が生い茂る山や澄んだ川。そのような自然の風景を目にするだけでも心癒される魅力があります。この『ばらかもん』もその魅力を存分に味わえる作品。
物語の舞台になるのは著者であるヨシノサツキさんの出身地、九州最西端に位置する長崎県の五島列島です。都会の喧騒からかけ離れ、時間がゆっくり流れているかのような錯覚に陥り、山や海など豊かな自然が広がるのどこかな離島です。作中に登場する島民たちは五島列島の方言を話し、地域の文化も数多く登場します。あと、田舎特有の習慣なんかも覗けるのも一つのお楽しみポイント。
ちなみに、タイトルの「ばらかもん」というのは、五島列島の方言で「元気者」という意味です。

私の実家もここまでではないですけど少し田舎寄りということもあって、子供の頃を思い出させてもらえました。実際の田舎はもっと閉塞的ですし、利便性やプライバシーの問題もあるので良いことづくめというわけにはいきませんが、この作品読んでると煩わしさから離れて島へ移住したくなりますね。

ただのスローライフを楽しむだけの漫画ではなく、主人公の半田清舟をはじめとした登場人物たちの成長と心の変化を描いた作品でもあります。
基本の内容は島で繰り広げられる日常系ほのぼのコメディ。騒がしい島民たちに振り回されてあたふたしている半田先生を見て楽しみ、自然の風景や心温まる言葉や振る舞いに癒されるという内容。

その半田先生が呆れるほどめんどくさい性格をしています。プライドが高く頑固なんだけど基本ネガディブなことからすぐに落ち込み、さらに神経質でガラスのハートのような繊細でピュアな心の持ち主。さらに、書道ばかりに取り組んでいたので世間知らずでもあり、書道界ではその名を知らぬ者などいないほど有名な父を持つため、コンプレックスも尋常ではありません。
近くにこのような人がいたら扱いに困りそうですね。保護欲をくすぐるタイプというところもやっかい。

そんなめんどくさい先生が島での暮らしの中で様々なものに触れ、少しずつ成長していきます。普通は田舎に馴染むまで多少時間かかるものですけど、先生は引っ越してきてそうそう多くの子供たちに懐かれていたことから、その光景を見たり人から聞いた大人たちからも温かく迎え入れてもらっています。
先生は基本ネガティブですけど好奇心旺盛で子供っぽいところもあり、何よりからかいがいがあるため、めんどくさいと思われながらもいじられ、子供からも大人からも気に入られていることがよく伝わってきます。
当初は自分のことだけで精一杯だった先生も、なるたちに(強引に)ひっぱられて様々なことを初体験し、多くの人たちと出会い、ときには別れを経験したことで、彼の心境には明らかに変化が見られます。誰かと一緒にいることが当たり前にもなっていますし、他人のことを強く心配するようにもなり、自分の将来を自分だけのことではないと考えを改め、誰かを絡ませて人生や将来を考えることができるにまで成長しています。
島独特の人間関係の中で、主人公がまたさらにどう変わっていくのかはこれからも見ものですね。

心に沁み入るセリフが多いのも良いところですね。豊富な人生経験からくる大人たちの悟っているかのような重みのある言葉、子供たちの素直な感性によって紡がれる、飾り気のないありのままの純粋な言葉など、心に残るセリフが多い。
人に取られたものを欲しがる必要はなか 諦める必要もなか 譲ってやってもっと大きな餅ば狙え
1巻でのキヨさんの言葉は強く残ってます。
1番うなずいたのは、
イケメンの醜態ほど笑えるものはない
ですけどね。

何度も読み返してしまう面白さがありますね。今回の感想は半田先生のことばかりでしたが、他の登場人物もそれぞれ個性が立っていて、出てくる人たち皆好きになってしまうほど魅力に溢れていました。なるの自由奔放で無邪気なところはとても微笑ましい気持ちにさせてくれますね。
半田先生が今後どういう決断をし、どこへ向かっていくのか、とても気になってます。島に残るのか、東京へ帰るのか、書道家として生きていくのか、別の生き方を見つけるのかなど、どういう展開になるか楽しみです。あと、13巻に出てきた女性とは今後も繋がっていくのかもかなり気になっています。
笑いあり、感動あり、時には涙もあり、島の豊かな自然と愉快な島民たちとのふれ合いを見てると、心が洗い流されていく気分になります。もっと読みたい、もっとこの空気に浸かっていたいと思わせてくれる作品ですので、よければ読んでみてください。自身を持って強くおすすめさせていただきます。



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2016年11月23日

【東京自転車少女。】マンガ 感想&あらすじ 女の子たちが練馬の街中をのんびりポタリングする作品

コミック アース・スター。2011年3月から2016年2月まで連載。全11巻
作者:わだぺん。
他作品:℃りけい。



あらすじ・概要

東京の匂い、色、忙しなく進む時間、窮屈なこの街の全てを嫌い、少しでも遠くへ行きたいという理由からロードバイクに乗る少女、加藤さん。高校からは寮生活を始め、準備がてら周囲を自転車で散策した帰り道、大きな風呂敷を背負いふらふら歩いている少女・島野いるかと出会う。東京に強い憧れを抱いて離島から上京してきた彼女は、見るもの全てに目を輝かせ、加藤さんとは違う反応をこの街に示す。その場を後にした加藤さんだったが、寮の部屋に向かうと、そこにはルームメイトになった先ほど出会い別れた少女がいた。
ひょんなことから2人は東京を自転車でぷらぷらすだけの部「自転車天使部」へ入部し、2人の先輩たちと一緒にまだ見ぬステキを探しに自転車を走らせる。

主要登場人物

・島野いるか
主人公。立豊珠高校に通う1年生。ポニーテールでまとめた髪と小柄な体型が特徴。天真爛漫で明るく、いつもハイテンションな元気娘。語尾に「〜でしょ」を付ける口癖をしています。オシャレな東京ガールに憧れ、生まれ育った離島を離れ上京。愛車はママチャリの「ワカマツ号」。ところどころを改造してオシャチャリ化させ乗っています。加藤さんのことが大好き。

・加藤さん
豊珠高校に通う1年生。いるかのルームメイトであり、彼女の憧れの対象。黒髪ロングストレートのクールな絶世の美少女。加藤さんを見た練馬のお年寄りたちは、彼女のことを「照姫」と呼びます。校内でも「豊高の照姫」というあだ名をつけられます。愛車のロードバイクを大切にしており、当初は誰にも触らせようとしませんでした。

・川越彩果
豊珠高校に通う2年生。ショートカットの髪形をした、粋でいなせな江戸っ子娘。行きつけの自転車店「サイクルショップ源」や、商店街にあるいくつもの店にツケを貯め込んでいます。愛車は改造されたミニベロ。

・松竹梅雪見
豊珠高校に通う3年生。自転車天使部部長。ウェーブのかかった薄い茶髪にヘアバンドをした少女。実家は古くから続く和菓子屋を営んでいます。いつも微笑みをたたえる穏やかな性格をしていますが、洞察力は鋭い。溢れる母性の持ち主でもあり、いるかは小動物と化し甘えています。頼れる存在ではありますが、極度の方向音痴。愛車はクロスバイク

・上様
自転車天使部の部費を出資してくれる謎の人物。部費を出す代わりに、練馬区にある史跡の調査を指令。指令は動物に持たせたり、目のつく場所に設置したり、矢文を際どい場所に射るなどの方法で出されます。作中で姿を見せることはなかったため、素顔は不明。




【eBookJapan】 東京自転車少女。 無料で立ち読みできます


感想

東京に憧れを抱く田舎育ちの少女と生まれ育った東京を嫌う少女が、高校の自転車天使部へ入部し、そこで出会った2人の先輩と一緒に東京の様々な場所を楽しんで探索する話。
東京(練馬)+自転車+少女を題材とした自転車漫画です。少女たちが練馬の街を自転車でツーリングする部活モノ。溢れる自転車への愛、東京への愛を、少女たちの姿から強く感じられる作品でした。

ロードレースに挑む熱きスポ魂漫画『弱虫ペダル』、ロングライドを楽しむ少女たちの姿を描いた『ろんぐらいだぁす!』、他にも『のりりん』や『かもめチャンス』など、自転車漫画といってももその種類・特徴は様々にありますね。今回紹介させてもらう『東京自転車少女』は、レースとは関係ない『ポタリング』を題材にした作品です。
ポタリングを簡単に一言で言ってしまうと、自転車でぶらぶらすることです。「Potter(ぶらつく)」の語源のまま、目的地を定めるも定めないも自由に、のんびりと気楽にサイクリングを楽しむ。ポタリングという言葉を意識していないだけで、結構多くの人が普通にやってることですね。使用される自転車もママチャリからロードバイクまで様々。

自転車漫画の中ではあまり見かけない珍しさある作品。ポタリングを題材として扱っているということだけでも言えることですね。
まったくの素人がひょんなことから興味を持った世界の魅力に惹かれ、ハマっていくというポイントはお馴染みな展開。ただ、エピソードごとの目的はあるものの、物語全体を通しての明確な目標・夢というものはなく、街中をぶらぶらしてその過程で様々な物事を発見するという、ほのぼの日常系のような雰囲気ある作品です。あえて物語の目標や目的を定めるなら「楽しむ」ですね。

さらに、物語の舞台を東京都練馬区に限定しているというのも特徴の1つ。舞台を1つの場所に限定しているため結構掘り下げも深いです。
私は東京に住んでいるわけではないので確かなことは分かりませんが、東京の中では都会の喧騒から外れた静かな田舎らしさある場所という印象。作品読む前に持ってた練馬の印象・知識といったらこんな程度でしたね。他にあるといったら畑が多いぐらいです。
ぽたぽたリングで練馬にある実在する史跡や神社などを巡ることがメイン。巡る場所の認知度はおそらくそれほど高くなく、ひっそりとしすぎて気づくことすら困難な場所もちらほらありました。知らなかった場所、気づかなかった事、それに気づかせてくれる面白さといのはこういった作品の醍醐味と言えると思います。

そしてなんといってもキャラクターの可愛らしさ、これに尽きます。ノリなんかは『けいおん』ぽいかな。生い立ち異なる2人の主人公を軸に話が進んでいくので感情移入しやすいのも良いです。
天真爛漫な天然少女、島野いるか。オシャレな東京ガールに憧れを持つ地方の田舎で生まれ育った少女であるため、見るもの聞くもの全てに新鮮な反応を示し、素直で子供っぽい性格から体全体で感動を表現するので見ていて楽しい。作者さんは地方から練馬に上京してアニメーターになったという経歴をしているので、性格はともあれいるかの視点は作者さん自身にあるのかもしれませんね。
もう1人は東京で生まれ育った少女、加藤さん。東京を嫌い、東京の悪い部分しか目に入っていなかった彼女が、純粋に感動するいるかに手を引かれ、視線を変えることで見慣れていたはずの街の中に新たな色を発見していきます。最初はツンツンしていたクールな彼女が物語を通してどんどん変わっていく様、いるかに懐かれて照れるている表情、可愛すぎますね。
地方や田舎にいる人ならいるかに、東京・都会で生まれ育った人なら加藤さんに、異なる2つの視点によって感情移入して読むことができ、片方の新鮮な反応を楽しみながら読むこともできますね。

白熱したレースを展開する自転車漫画も面白いですけど、こういったのんびりと自転車を走らせ、その中でいろいろな物事を発見しながら楽しむほのぼの自転車漫画も良いですね。
可愛い絵で描かれた少女たちは個性豊かで魅力に溢れ、分かりやすいストーリーはテンポよく進み読みやすく、のんびりしながら読むには最適な漫画だと思います。
ロードレースとは違い身近にある楽しみ方でもあるので、ちょっと自転車に乗って出かけてみれば、彼女たちの感じた感動を味わえるかもしれません。よければ読んでみてください。



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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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