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2016年11月02日

【ヴィンランド・サガ】マンガ 感想&あらすじ 過酷な戦場に身を投じた戦士の生き様を描いた物語

週刊少年マガジン→月刊アフタヌーン。2005年20号から連載。既刊18巻
作者:幸村誠
他作品:プラネテス



あらすじ・概要

11世紀初頭ヨーロッパ。あらゆる地に出没し、壊し、殺し、奪い、暴虐の限りをつくし恐れられていた民族「北の民」、あるいは「デーン人」、そして後の世では「ヴァイキング」と呼ばれる者たちがいた。
ヴァイキングの1つ、アシェラッドが率いる兵団の中に、2本の剣を携えた1人の若者・トルフィンの姿があった。アシェラッドに対して親しみがあるわけでも敬う心があるわけでもなく、彼を見つめる瞳に宿っていたのは強烈な殺意。父の仇であるアシェラッドへの復讐を果たすため、あえて火中に飛び込みその機を狙うトルフィン。
この後、数々の死地を潜り抜けていくトルフィン。苦難の中で大志に目覚め、仲間と共に過酷な航路を突き進み、幻の大陸ヴィンランドを目指す。

主要登場人物

・トルフィン
主人公。家族と暮らしていたときは素直な明るい子だったが、父を殺され戦場に出るようになってからは無口で無愛想、粗暴な性格に育ってしまいました。少年時代は父・トールズの仇であるアシェラッドに復讐することだけを考えて兵団に身を置いていました。小柄ながら2本の剣を巧みに操り、素早い動きで戦場を駆け、そと姿から付けられた通り名は「侠気のトルフィン」。後に奴隷へと身を落とし、平和な国を作るためにエイナル等仲間たちとヴィンランドを目指す旅に出ます。

・アシェラッド
ヴァイキング。アシェラッド兵団の首領。トルフィンの父・トールズを殺した張本人。以後トルフィンに何度も決闘を挑まれ命を狙われることに。戦士として凄腕の剣の使い手であると同時に、豊富な経験から常に冷静に状況を判断し、先を読み最善の手を導き出すキレ者。実際はデーン人ではなくウェールズの元王女の子として生まれ、その血にこを誇りを持っている彼は、内心ではヴァイキングを軽蔑しています。

・クヌート
もう1人の主人公。デンマーク王家の次男として生まれた王子。登場時は世間知らずで臆病な性格。あることがきっかけで表情も覚悟も性格も一変し、規律を重んじ毅然とした態度で振る舞い、王としての道を歩み出すようになります。

・レイフ
海を旅する船乗り。トールズの親友であり、トルフィンが村を出て行方不明になってからは彼のことを探し続けていました。トルフィンを見つけ出すことは叶ったが、復讐に取り付かれていた彼を連れ帰ることは断念。その後ヴィンランドを目指すトルフィンの旅に動向することになります。

・エイナル
トルフィンを買ったケティル農場にやってきた奴隷。元々農夫であったことから農業の知識は豊富。明るい性格で積極的に生きる気力を失っていたトルフィンに話しかけ、立ち直るきっかけを作った人物。戦士を憎んでいるがトルフィンのことは拒絶することなく受け入れ、兄弟とまで呼び合う無二の親友になる。トルフィンと共に新天地ヴィンランドを目指すことを決意します。



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感想

11世紀初頭に各地で暴れまわったヴァイキング達の生き様を描きながら、父の仇をとるため戦いに身を投じた1人の若者の成長と、彼がヴィンランドという理想郷を目指して旅をする姿を描いた物語。
アニメで人気を博し、多くのファンを生みだした名作『プラネテス』の著者・幸村誠さんの歴史漫画です。私はそれほど世界史について詳しいわけではありませんが、浅い知識でものめり込んでしまう面白さがありました。
史実を元にはしていますけど、完全にその通りのノンフィクションというわけではなく、あくまで史実をもとにしたフィクションとして作られた作品です。

時代考証を時間かけてしっかり行ったことが伺える厚みと深みのある世界観が素晴らしい。しっかりと固められた土台があることによって、ストーリーは重厚に、キャラクターは一際活き活きと動き回っていたと思います。
物語の舞台となるのは11世紀ヨーロッパ。倫理観なんてものは無いも同然に薄く、人の命も現代より遥かに軽く扱われていた時代です。
築いてきたもの、培ったもの、育んできたもの、そういったものを奪われ・壊され・断たれる恐れを常に孕んでおり、綺麗事だけじゃない残酷で非常な物事もリアルに描き出している世界観。史実をもとにしているだけあって、建築や服装・小物、戦闘なども、当時の形を見事に再現されていたと思います。

ストーリは主にトルフィン視点で進み、アシェラッド兵団で戦いの日々を送っていた少年時代、ケティル農場での奴隷時代、そして国作りのためヴィンランドを目指す現在。実際はもっと細かいんですけど、大きく分けるとこの3編の流れです。
戦いに嫌気がさした最強の戦士である父・トールズをアシェラッドに殺され、復讐することしか考えられなくなり、戦いに身を投じ続けるトルフィン。幼かった頃の明るさは完全に消失し、未来なんて全く考えていない殺意に染められた瞳を持つ狂戦士に変わり果ててしまいます。
しかし、復讐の対象アシェラッドが命を落とすという事態が・・・。それはつまり、トルフィンにとっては生きている意味を失うにも等しい出来事であり、気力を失い茫然自失となってしまったことで血迷った行為に及び、奴隷へと転落。
奴隷となってからも気力は失われたまま、ただ毎日の仕事をこなすだけの日々。しかし奴隷となったことでエイナルという生まれて初めて友と呼べる存在ができ、少しずつ目にも生気が蘇ってきたトルフィンは、ここでの暮らしや出会いと様々な出来事、そして過去に向き合ったことで目指すべき道を見出すことになり、止まっていた歩みを再び踏み出すことになります。

トルフィンが作品の主人公であることに変わりありませんが、クヌート王子も主人公的な立ち位置にいると思います。生い立ち、性格、成長による変化、どこをとってもまさに対照的な同世代の2人ですね。
戦場に身を置き続け、歴戦の強敵にも怯むことなく立ち向かってきたトルフィン。世間知らずの気弱で臆病な性格の頼りないクヌート王子。出会った当初から真逆の2人。
そして、アシェラッドが自らの命を代償にした策の意を汲み取って行動したクヌートに対し、彼の言葉も行動も受け入れることが出来ず我を忘れて暴れてしまったトルフィン。このことによって、クヌートは権力を手中に収め王道を歩み出し、片やトルフィンは全てを失い奴隷へと転落。
その後は、皮肉にも奴隷になったことで無二の親友を得ることができ、戦いのない生活によって次第に穏やかさも取り戻し、「本物の戦士」になるため新天地「ヴィンランド」を目指して平和な国作りをすることを決意したトルフィン。一方、気弱だった性格も優しかった表情も見せなくなり、王としての毅然な振舞いで周囲の人間を使いこなし、非常な決断も下しながら修羅の道を歩みだすクヌート。
常に対照的な生き方と歩み方をしてますが、どこかで繋がり続けている2人の姿を見ているのは面白いですね。

文句のつけようがない圧倒的な画力には脱帽。人物、建物、背景にいたるまで、1コマ1コマ手抜きのない丁寧で緻密に描かれた絵は素晴らしかったです。
戦闘シーンでの力強さや速さを見事に描き出し、迫力ありすぎてグロい描写も目立ちますけど見入ってしまう絵の力があったと思います。キャラクターの表情の変化もうまく表現されているので、心情が読み取りやすかったのも良かったです。

完全に史実通りなら結末もだいたい予想できますが、それを元にしたオリジナルストーリーで組み立てられているので展開も結末も全く別物になる可能性は大きいですね。未だに衰えを見せないどころか、巻を重ねるごとに深みと厚みを帯びてくるストーリーからは目が離せません。
目指すべきものは似てるけど歩み方の異なるトルフィンとクヌート。この2人がどこに辿り着くことになるのか、そして再び交わることがあるのかは、とても気になってます。あと、トルフィンにも恋愛関連で何か起こって欲しいなと期待してます。史実通りならあの娘と・・・。
歴史物が好きな人、迫力あるアクションが好きな人、ロマンを胸に抱いてる人、なかなか前に踏み出せない人、そのような人達に強くおすすめしたい漫画です。面白いのでよければ読んでみてください。

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)

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posted by ハネ吉 at 18:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史

2016年09月14日

【軍靴のバルツァー】マンガ 感想&あらすじ 架空の世界で近代戦争を描いた本格戦記作品

月刊コミック@バンチ。2011年3月号から連載中。既刊8巻
著者:中島三千恒



あらすじ・概要

第一次ノルデントラーデ戦役に従軍し卓越した手腕で作戦立案にも関与したベルント・バルツァーは、戦後の論功により通常より3年早い佐官へと昇進し順風満帆な出世コースに乗るかと思われたが、彼に言い渡された次の任務は学校のせんせい。同盟を結んでいるバーゼルラント邦国の士官学校に軍事顧問として派遣されることになった。しかし、バーゼルラントに到着したヴァルツァーは、今の時代にはそぐわない前時代的な戦闘訓練風景と、平和に慣れ古く甘い考えを持った教官と生徒たちを目にして戸惑う。バルツァーは近代的な軍事知識や戦闘理論を四苦八苦しながらも生徒たちに教え信頼を得ていくが、王室の人間との繋がりを得たことでバーゼルラント王室内のいざこざにも巻き込まれていくことに。

主要登場人物

・ベルント・バルツァー
主人公。ヴァイセン王国の陸軍特務少佐。幅広い軍事知識を持ち、指揮官としても個人としても高い戦闘能力を持ちます。苦労人です。適格で素早い判断力を持ち、思考の切り替えも早い人。「非常時において人格を切り離し、理に従う」を体現する軍国教育の成功例と言われています。

・ライナー・アウグスト・ビンケルフェルト
バーゼルラントの第二王子。自信が設立した王立士官学校の訓練長も務めています。性格は傲岸で短気なため、バルツァーに間違いを指摘されると怒りを隠さず表します。一方で自身のやり方の間違いや軍の遅れを直視するとそれを認め改善しようとする姿勢も見せます。

・ヘルムート・マルクス・フォン・バッベル
王立士官学校の生徒。騎兵科の3年兵で主席。人一倍の努力家。強い正義感と使命感があり、そのことから好戦的になってしまうこともあります。美しい容貌から「お嬢様(フロイライン)」と揶揄されることもあります。ヘルムートには家の事情で偽っていることがあります。

・ディーター・シュトルンツ
士官学校の生徒。砲兵科の二年兵。無邪気で天真爛漫、好奇心旺盛で子供っぽいです。毒のない子。実家が「シュトルンツ鉄鋼」を経営しているため、機械いじりは得意。

・ルドルフ・フォン・リープクネヒト
元ヴァイセン王国陸軍第二近衛連隊長。バルツァーの大学時代の友人。クーデターを試みたが失敗し逃亡。その際に片目を失っています。現在はエルツライヒ帝国陸軍大佐となり、同国の命令でバーゼルラント王室に入り込み第一王子の裏で暗躍しています。

感想

19世紀後半ヨーロッパをモデルにした世界と、帝国主義全盛期の激動の時代にある仮想の国々が主な舞台。だいたい第一次世界大戦前ぐらいのドイツみたいな国です。軍事大国ヴァイセンから小国バーゼルラントへ送られてきた1人の将校と彼の教え子たちの奮闘と、大国に挟まれたバーゼルラントの動乱を描いた壮大な歴史漫画。綿密な調査のもと作られたことがよく分かりますね。なんか今までずっと存在を知りながら読まずにいたんですけど、友人に1巻だけ貸してもらって読んでみたらスルーしてたことを後悔するほど面白かったです。

土台となる世界観が細部まで作り込まれていました。鉄道や電信技術の発達により世界は広がり、軍事では単発のマスケット銃から連射可能なライフル銃へ移ろうなど、近代兵器が登場し戦場の様相も変わりだした時代です。建築物や文化・歴史もモデルになったであろう国と地域についてよく調べ描かれており、19世紀ヨーロッパのような仮想の世界を見事に作り上げています。描き込まれた武器や服装、建物などの背景からは作者の強いこだわりが見えますね。
バーゼルラントなんかはさすがに使ってる兵器古すぎないか?と思いましたけど、軍事後進国という設定を分かり易く見せるための措置だったんでしょうね。単純に伝統を重んじてるお国柄、平和すぎて更新する必要がなかったからなのかもしれませんけど。

戦争モノとして、迫力ある戦闘描写は見事でした。それに、互いの思惑と策略がぶつかりあう様は、読む人を釘付けにしてしまう面白さがあります。堅実な戦略、奇抜な戦略、苦し紛れの戦略、次になにが来るかとドキドキワクワクさせてくれると思いますよ。ただ、残酷な描写も当然あるので、そういったものが苦手な人は作品自体避けるか話を飛ばすかした方がいいです。

個性あるキャラがこの作品の魅力を引き出してます。
まずはなんといっても主人公のバルツァーです。平時では陽気で明るく振る舞い、ちょっとお調子者っぽい親しみやすさがあります。一方で出世欲も高く、功績を立てて上にのし上がってやろうという気概も伺えました。凝り固まったバーゼルラントの中では彼のような時代を先行く考えは異端的なものであり、周囲から煙たがられたりもするんですが、その状況すら楽しんでいるかのように突飛に見えて理にかなったアイデアで切り開いていきます。実に爽快な気分にさせてくれる男です。主人公がしっかり光る作品ってのはいいですね。
バルツァーの教え子たちもそれぞれキャラ立ちしていて面白いです。美少年騎士として登場したヘルムートは、結構早い段階で明かされた事実なので言ってしまいますが、実は男装した女の子だったという衝撃。だったんですけど、その後その設定は特に何もなく、あくまで1人の生徒として話は進むんでこの作品ヒロインという存在が一向に出てこなかったんですよね。どこを見ても男ですから、私個人は男同士の甘酸っぱさなんて求めてませんし。でも、作者さんか編集者さんかは分かりませんけど、やっぱりヒロインっぽい存在は欲しかったんでしょうね。詳しくは書きませんけど、第6巻で’ついに″彼女″の可愛さが花開きました。ここまで爽やかさは強くあったものの、泥と汗と血にまみれた男ばかりだったんで、まさに戦場に咲く一輪の花として潤いを与えてくれました。彼女に心を撃ち抜かれた読者は多いでしょうね。
他の生徒たちも負けず劣らず特長的で、皆悩みを抱えて葛藤していたりもしますし、いかにも黒幕っぽい眼帯の男もいるので各キャラが物語りをより盛り上げていました。

世界観とキャラの魅力を引き出しているのは、丁寧に美しく描きこまれた作者さんの絵ですね。服装や兵器、1コマ1コマの建築物や自然の背景が緻密で美しいです。国同士の戦争や国内の政争など重い話ではあるんですけど、主に登場するキャラをかっこよく、かわいく、美しく、親しみやすく描くことでその重さを和らげてくれています。

多くの見方があり、魅力に溢れた作品でした。各登場人物の思惑、各国の思惑が交差してどんどん面白くなっていくので読み応えあります。これ熱く迫力ある作品なので男性が楽しめるのはもちろんなんですけど、間違いなく腐向けでもあるんでしょうね。そっち系好きな人も楽しめる作品だと思います。数々の伏線もありますので今後も一層盛り上がっていきそうです。



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posted by ハネ吉 at 18:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史

2016年07月25日

【乙嫁語り】マンガ 感想&あらすじ 美しい絵と魅力に溢れた乙嫁たちの魅せる作品

Fellows!→ハルタ。2008年10月14日から連載中。既刊9巻
著者:森薫
他作品:エマ

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あらすじ・概要

19世紀後半の中央アジア。カスピ海周辺の小さな街に定住するエイホン家の末子・カルルクのもとに、8歳年上の女性・アミルがハルガル家から花嫁としてやってきた。
見目麗しく少し天然なところもあるアミルは、弓を携え巧みに馬を駆り、自身で狩りまでこなす野性味もある花嫁。年が離れていてもとても仲睦まじい2人は、少しずつ夫婦としての絆を深めていたが、とある事情でハルガル家はアミルを一族に連れ戻そうとする。エイホン家は断固として拒否するのだが、この一連の出来事が大きな騒動にまで発展する事態に・・・。

エイホン家に居候しているイギリス人のスミスは、各地を旅する中で様々な乙嫁たちと出会う。アミルたちの物語と共に、スミスが出会う乙嫁たちの物語も語られていく。

主要登場人物

・アミル・ハルガル
カルルクの8歳年上の嫁。若干天然気味の美しい女性。弓や馬の扱いが上手く、捕えた獲物を自分でさばくこともできる逞しさもあります。開始時はまだ20歳でしたが、この時代と土地の慣習ではかなり行き遅れていたようです。年齢差はありますけど夫婦仲はとても良好。最初は嫁というより姉のように見えましたが、カルルクが成長するにつれ、男性として彼に惹かれ出していきます。

・カルルク・エイホン
アミルの夫。12歳。まだ12歳とは思えないほど落ち着いた雰囲気で、他人を思いやる心も強い優しい子。アミルとは8つの年齢差もあり、何かと世話を焼かれがちであることから、彼女にはもっと男として頼られたいと思っています。幼いながらも敵からアミルを守ろうとする男気も見せています。

・ヘンリー・スミス
エイホン家に居候しているイギリス人の学者で、中央アジアの風俗を取材するため旅をしています。彼が旅先で出会う乙嫁たちの物語も、アミルたちの物語と並行して語られていきます。

・乙嫁たち
5人の夫に先立たれ、姑と一緒に暮らしている第2の乙嫁・タラス。
元気いっぱいな双子の姉妹で、幼馴染の兄弟と結婚する第3の乙嫁・ライラとレイリ。
ペルシャの富豪の妻で、シーリーンという女性と姉妹妻の契約を交わした第4の乙嫁・アニス。
アミルの友人で、気丈だけど同年代の少年には人見知りしてしまう第5の乙嫁・パリヤ。

感想

まずタイトルの「乙嫁」とは、「若い嫁」「美しい嫁」という意味を持つ古語だそうです。

舞台は19世紀の中央アジアなので日本人には少し馴染みの薄い地域と時代ですね。作中ではこの地域で暮らす各地の嫁達の物語が語られています。メインは上でも紹介しているアミルとカルルクの話ですが、他にもスミスが行く先々で出会う女性たちについても語られています。乙嫁とはアミル個人を指した言葉ではなく、この作品に登場するお嫁さん達を指したものです。
作者は『エマ』を代表作に持つ森薫さん。エマも19世紀のイギリスが舞台なので、時代的には同じぐらいですね。

まず、何より目を奪われたのは高い画力で描かれた絵。山々や雄大な草原などの自然風景や、文化を感じさせる建物やテント、家具などの背景絵が丁寧に描かれ、作品の世界観をよく表現されています。
中でも私が特に素晴らしいと思ったのは、民族衣装や小物、絨毯などに編まれている刺繍ですね。とても細やかで丁寧に縫い込まれた刺繍をしっかり描いているので、とにかく美しい。結婚式で着る特別な衣装の豪華さはもちろんなんですが、普段着ている服や装飾からして細かい刺繍が施されています。よくよく観察してみると器などの陶器類にも似たような絵が描かれていましたね。
1ページどころか1コマ描くのにも相当な労力が掛かっていそうです。様々デザインで刺繍されたうっとりするほどの美しい衣装や絨毯などが多く出てくるので、それだけでも見る価値があると思います。

衣装や小物の美しさだけではなく、これほど女性の美しさを描いている作品はなかなかお目にかかれませんね。豪華に着飾っているときの美しさはもちろん、ひとつひとつの所作や表情だけでもドキッとさせられる魅力がありました。主人公のアミルにいたっては狩りをする勇ましい姿まで美しく、ほんとにどの女性も魅力的な方ばかりでうっとりさせられっぱなしでしたね。

19世紀中央アジアの風俗や習慣、文化を知ることができるのも見所のひとつです。私は全然馴染みがなかったこともあり、この作品を通して非常に興味をかき立てられまた。
衣装の豪華さだけではなく、建築物や風習、イスラム圏に暮らす人々の考え方など、知れば知るほど私たちとは異なる文化に興味が湧いてきますね。ただ、説明不足なところも若干ありまして、説明過多なのは御免被りますが、もう少し解説は増やしてもいいのではないかと思ってます。

読み応えも見応えもある素敵な作品でした。丁寧に描き込まれている芸術的な絵、美しい乙嫁たちや彼女たちを飾る衣装、雄大な自然に美味しそうな料理の数々など、見所は多くあります。
私は馴染みが薄かったこともあって、日本とはかけ離れた価値観や文化を見ていると、まるで異世界ファンタジーでも読んでる気分になりましたね。幻想的な絵の美しさもファンタジーを感じさせてくれるひとつの要因です。
キャラクターの魅力だけではなく、異なる乙嫁たちを通して見る様々な風習を見ることができるところも面白い。私はどのエピソードも楽しませてもらっていますが、なかでもメイン以外では特にアニスとシーリーンの話が好きですね。
性別問わず楽しめる作品になってますけど、どちらかというと女性寄りかな。自信を持っておすすめできるので、よければ読んでみてください。

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posted by ハネ吉 at 17:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史

2016年07月02日

【ジゼル・アラン】マンガ 感想&あらすじ おてんばお嬢様の成長と冒険の物語

ハルタ。2009年6月から連載中。既刊5巻
作者:笠井スイ
    他作品:月夜のとらつぐみ



あらすじ・概要

20世紀初頭のヨーロッパ。家庭の事情でアパートの大家を務めている少女・ジゼル・アランは、ある日何でも屋を開業することを思いつく。
博識だけどお嬢様育ちのため世間知らずのお子様だったジゼルは、アパートに住む青年・エリックを家賃滞納を盾に何でも屋稼業に付き合わせることに。好奇心からいろいろな物事に首を突っ込みたがるジゼルは、エリックを連れ周しながら様々な人たちと出会い、彼らが抱える問題に飛び込んでいく。

おてんばお嬢さまのジゼルが、何でも屋稼業を通じて様々なことを建研し、出会った人たちとの交流によって成長していく姿を描いた物語。

主要登場人物

・ジゼル・アラン
資産家のお嬢さま。13歳。訳合ってアパートの管理人をしてます。好奇心旺盛な性格で、いろいろな問題に首を突っ込みたがる性分。まだ幼い少女でありながら博識ですが、お嬢様育ちのため世間知らずで常識に疎いところがあります。お嬢様育ちが起因しているのか、あまり物怖じすることはありません。態度も大きくて子供扱いされるのはイヤな様子です。アルセーヌという猫を飼ってます。

・エリック・ルブラン
ジゼルが管理するアパートに住む青年。3ヶ月家賃滞納をしてることから、ジゼルに逆らえず何でも屋の仕事に付き合わされる羽目に。見た目は華奢で少し頼りないところはあるも、ジゼルが危険な目に合いそうになると体を張って守ろうとする男らしさも見せています。小説家を目指して奮闘中。

・アパートの住人
最初の依頼者で、夫が亡くなり1人で暮らしている初老の女性・リーズ・クレペル。
少し内気な少女エミリーと、翻訳事務所で働いているているリシェの父娘。
同性愛者でジゼルに一目惚れしてしまったコレット。

感想

フランスのようにもイギリスのようにも見えるヨーロッパのどこかにある国が舞台。全体としては、知識と好奇心はあるけど社会の常識がほとんど欠如しているお嬢様が、何でも屋の仕事で様々な問題を解決していく話ですね。お嬢様育ちで狭い世界しか知らなかったジゼルにとっては、冒険物語でもあると思います。

何といっても魅力はタイトルにもなってるジゼルという少女。ジゼルに魅力を感じられなければ全く面白くないでしょうから避けた方がいいです。
何かと暴走気味ですが、私は彼女を可愛らしいなと思いましたね。器量は良くて豊富な知識を持つなど全体的に高スペックの持ち主ですが、何でもかんでも物事が上手く回るわけではありません。当然失敗することもありますし、何でも屋の先輩や実家の執事さんを通し、自身の未熟さを知ることもあります。その中で少しずつ人として成長していくジゼルではありますが、好奇心旺盛な根の部分は変わらない彼女は魅力的ですね。結局なんでもかんでも首を突っ込むんですから。そんな彼女を支えるエリックには好感しか持てません。

読み始めるきっかけになった表紙絵だけではなく、中身の絵に関しても文句なしで素晴らしい。ヨーロッパの街並みや家具類、そしてキャラクターが纏う服装など、ひとつひとつ丁寧に描かれていました。背景に関しても大きなコマから小さいコマまでしっかり描き込んであるので、この作品の世界観をよく感じ取ることができるかと思われます。
そして、その背景以上に人物の描き込み具合が素晴らしい。特に表情の描き方が見事で、苦悩や喜び、コロコロ変わる子供の無邪気さ、大人の女性の艶かしさなど、どの描写もよく表現されていました。ただ、ちょっと独特な絵でもあるので、その辺りの好き嫌いは分かれそうです。

とても楽しませてもらえました。主人公・ジゼルの可愛さ、ノスタルジックな作品の雰囲気、サイドストーリーも面白い。ゆったりした流れを感じられる作品が好きな人は楽しめると思います。問題があるとすれば続きがきになるのに刊行ペースが遅いってことですね。やけに遅いと思ったら休載がちだったようです。
ジゼルとエリックの行く末は特に気になりますので気長に待つとします。派手さはないけど味わい深い作品なので、よければ読んでみてください。おすすめさせていただきます。

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2016年06月10日

【応天の門】マンガ 感想&あらすじ 道真と業平による平安舞台の探偵物語

月刊コミック@バンチ。2013年12月号から連載中。既刊5巻
作者:灰原薬



まずは簡単なあらすじから。在原業平は夜遊びの帰りに道、屋根の上にいる子鬼のような少年・菅原道真に出会います。近頃、都では藤原の屋敷から下女が消える事件が起きており、業平は少年に対して鬼か賊かと問いますが、道真は彼に助言を述べると屋敷内に去っていきました。業平は帝の命を受け失踪事件の調査に乗り出すが、調べる中で浮かび上がってきたのは縁者の紀長谷雄(きのはせお)でした。業平はなんとか無実を証明しようと、捕縛の場に居合わせた道真に協力を仰ぎ事件の解明に乗り出すことになります。

まさに凸凹コンビですね。
藤原氏が台頭してきた平安京が舞台の話です。菅原道真(すがわらのみちざね)と在原業平(ありわらのなりひら)の2人が、都を騒がす数々の事件を解決していく話です。歴史にそれほど詳しくない自分でも多少なりとも知っている有名人ですが、バディとしてこの2人を主人公に抜擢したことについては意外なチョイスだなと思いましたね。


学問の神様としておなじみの菅原道真。本作の探偵役ですね。この物語では10代の子鬼みたいな憎たらし少年です。書を読むことがなによりも好きなため、屋敷に引きこもってひたすら読み漁ることも珍しくありません。貴重な書物や墨に目がなく、それらが絡むと重い腰も軽やかになります。親が心配するほど人付き合いに難があり、朝廷に関わることも嫌っています。大量に読み漁った書から得た豊富な知識と高い洞察力を持つキレ者です。あと、迷信や怨霊の類は一切信じてません。

伊勢物語の主人公とされる在原業平。女性との噂が後を絶たないモテキャラのプレイボーイです。伊勢物語とはちょっと印象が違いますね。都を守護する役職に就いていることから、この人が関連した問題を持ち込み、道真を事件へ道連れにすることが多いです。業平本人が事の原因になる問題もありますね(主に女関係)。業平も道真とは違う種類の切れ者です。


意外な組み合わせだなとは思いましたけど、この2人は実際に親交あったんですね。私は全然知らなかったです。見た目、年齢、性格、どこをとっても凸凹コンビです。年はかなり離れていても業平は道真を気に入っているのか、引きこもりがちな子鬼をプレイボーイが引っ張り出してます。この2人正反対ではあるもの、お互いに足りない部分をしっかり補い合っているので意外と良いコンビネーションを発揮してます。理知と機知の組み合わせです。

巻き起こる事件の犯人はだいたい当時多くの人に信じられていた鬼やら怨霊やらのせいにされており、そういう類を一切信じていない道真が「馬鹿げてる」とでも言いたげな態度で解明に乗り出します。最初はくだらなそうにして関わろうとはしないんですが、迷信を信じる周囲の反応に呆れ、だったら自分が証明してやるという流れで結局関わってますね。この怪事の裏で藤原氏が何やらコソコソ動き、それが政に繋がっていたりと、次第に明かされていく真相は見ていて面白いですね

タイトルからしてあの「応天門の変」が思い浮かびますが、今後の展開はどうなるんでしょうね。気になります。怪事を論理的に解明していく面白さだけでなく、その事件の裏に蠢いていている別の思惑に道真と業平がどう関わっていくのかが楽しみです。難しい用語も出てきますけど解説あるのでわりと解り易かったです。

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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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