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2016年06月11日

【将国のアルタイル】マンガ 感想&あらすじ 思想ぶつかり合う戦記物語

月刊少年シリウス。2007年9月号から連載中。既刊17巻
作者:カトウコトノ



まずは簡単なあらすじから。
トルキエ将国史上最年少、17歳の若さで将軍にまで登り詰めた天才少年・マフムート。戦争によって悲しみ苦しむ人を生まないため、強い意志を抱いて国の中枢へと着実に食い込んでいた。
しかし、敵国バルトライン帝国の主戦派有力者の思惑と策謀によって、マフムートは将軍の地位を剥奪され、千人隊長にまで降格させられてしまうことに・・・。
自らの未熟さを痛感し、将軍にふさわしい存在になるため諸国を巡ったマフムートは、さらなる大火となって押し寄せてきたバルトライン帝国に対抗するべく動き出すのだった。

互いの手の内の探り合いが面白いですね。
中東アラブ系を模しているかのようなトルキエ将国と、欧州風国家であるバルトライン帝国との戦いを描いている戦記ファンタジー作品です。

主人公は将軍・犬鷲のマフムート。細身で小柄、金髪碧眼が特徴の美少年です。幼い頃に故郷と母を戦争で失っている過去を持ち、その経験から戦争を忌み嫌い、2度と自分のような悲劇を生ませないという意志の下、十三人の将軍の地位にまで昇り詰めました。知略に長け、剣の腕前もかなり高く、騎馬民族トルキエ人だけあって馬の扱いも巧みです。その名にもなっている通り犬鷲を使役しており、イスカンダルを用いた戦闘を繰り広げることもあります。戦争は嫌いでも起こってしまった時には戦う意志をしっかり持ってる強い心の持ち主。

もう1人の重要人物、開戦派の十三人の将軍の1人、毒薬のザガノス将軍。数多の薬物に精通している冷酷な切れ者です。戦争に毒を用いることもしばしば。彼は自身が作り上げた耳役という密偵網を大陸中に敷いていることで、情報戦にも長けているスキのない人物。味方としては頼もしい限りではありますが、正直どの敵よりも怖い味方です。

バルトライン帝国の人物も少し紹介しておきます。
帝国一の資産を所有している策謀家のルイ大臣。膨れた帝国を怪物と評していて、維持するために戦争が必要だという考えを持っています。
女公爵のレレデリク。自ら戦場に赴くこともあり、何かとトルキエの障害となる女性。美しい女性ではありますが、伯父の皇帝から「嫁の貰い手がない」と言われるなど、性格には多少難ありです。

美麗な絵で見せてくれる迫力ある戦闘シーンも本作の見所の1つですが、私はクセ者たちの読み合い化かし合いの頭脳戦・心理戦の方が好きですね。互いに周到に練られた作戦を用い、奇襲・奇策によって目まぐるしく変貌する戦況は手に汗握る面白さがあります。
戦闘時だけではなく、他国との外交や国内の政争などでも相手より優位に立つべく、互いの手の内を読み合う戦いは面白いです。主人公は戦争を回避するためにあの手この手を使って奔走するわけですが・・・。

ファンタジー作品ではありますが、実際にあった史実の国を連想できるのも面白いです。トルキエ将国はオスマントルコを模している国だと思われます。国名が似ているということだけでなく、服装や装飾、それにトルコ語も使われていました。
バルトライン帝国は神聖ローマ帝国のように見え、海の都ベネディックはヴェネツィア、花の都フローレンスはフィレンツェかと思われます。実際に存在するそれっぽい建造物も出てくるので、詳しい人は照らし合わせてみるのも面白いと思います。

面白いけど毎巻続きが気になって仕方ないのが困りどころですね。緻密に築かれた世界観は引き込まれる魅力があり、主要登場人物も1人1人しっかりしたバックボーンがあり、味方でも敵でも行動と発言に説得力があったと思います。なので、マフムートの敵として現れるキャラであっても憎み切れないところがありました。
マフムートの成長もこの作品の大きな見所。多くの国を訪れ、多くの人と出会い、悲しいこや辛いことも経験しながら、そのたびに一回りも二回りも大きく成長していく姿を見ることができます。
飽きさせない迫力あるバトルとストーリー展開は素晴らしく、巻を重ねるごとに盛り上がりは増していきますので、よければ読んでみてください。おすすめさせていただきます。

将国のアルタイル(1) (シリウスKC)

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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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