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2017年02月28日

漫画『傘寿まり子』1巻の感想とあらすじ

『傘寿まり子』1巻の感想。


傘寿まり子
著者:おざわ ゆき
掲載:BE・LOVE
1巻発売日:2016年11月11日

息子夫婦、孫夫婦とその息子の四世代家族と暮らしている幸田まり子は、80歳の現役作家。夫が亡くなってから15年、終の棲家だと思っていた家の中心は息子や孫たちに移り、まり子には内緒で建て替え計画を進めるなど、少しずつ自分の居場所は隅へとズレていった。
ある日、友人が亡くなった報せを受けたまり子は葬儀へ赴き、若かりし頃想いを寄せていた八百坂さんに出会う。そこで友人の彼女が四世代で同居ていたにも関わらず、家の中で孤独死していた事実を聞かされ、まり子はその姿を自分と重ねてしまった。
友人の死で思うところがあり、家の中に確かな居場所を感じられなくなったまり子。その夜、荷物を纏めて置手紙だけを残し、「お世話になりました」と別れを告げ、80歳のまり子は家を出ていった。

四世代家族と暮らしている80歳のおばあちゃんが、今は亡き夫と建てた大切な家の中にはもういられないと感じ、家を出てネカフェ暮らしをするなかでネコと出会い、その子と新たな生活を送っていこうとする話。
80歳の高齢ニューヒロインが送る人生第2の青春物語。表紙の愛らしいおばあちゃんに引かれて衝動買いした作品でしたが、思わぬ拾い物をした気分。ちなみに、表紙の黒い謎生物はネコです。

まさかの80歳女性が主人公かつヒロインを務めている作品。タイトルの「傘寿(さんじゅ)」とは60歳の「還暦」や88歳の「米寿」のように、年齢の節目に使われる長寿祝いの言葉で、80歳の方を指す名称です。
高齢化社会となった現在では4人に1人が65歳以上という状況にあり、この作品では可能性として起こりうるかもしれない高齢者の姿を描いています。決して高齢化社会についてあれやこれやと述べる内容とは違います。内容はともかく、状況だけ見るとちょっと笑えませんね。高齢者となって家族と一緒にくらせているのに、本来安心できるはずの家の中に居場所を見出せなくなるという状況、決してありえなくもないから怖い、そして寂しい。

主人公の幸田まり子さんは、年齢80歳の傘寿、職業は現役のベテラン小説家。夫とは15年前に死別しており、今現在は息子夫婦と孫夫婦、曾孫たちと一緒に一つ屋根の下で暮らしています。ただ、皆仲良く暮らす幸せな家族とは言い難く、諍いが起こることも珍しくないのが現状。出て行くまでの大まかないきさつはあらすじに書いた通りです。
お金はあっても80歳の高齢者に部屋を貸してくれる大家は見つからず、心配していた担当編集者の人から教えてもらったネットカフェでの暮らしを始めました。寂しいけど気楽な環境で意外とはかどった執筆作業を終え、公園のベンチで休んでいたときに、ゴミやホコリにしか見えない表紙イラストにも描かれている黒猫の「クロ」と出会います。まり子には出会った瞬間から妙に懐き、その境遇に共感したことから一緒に生きていこうとしますが、当然ネカフェからも出ていくことになりました。

ネカフェのオーナーから親族の署名があれば部屋を貸すと言われ、息子に会いに行くも署名をもらうことは叶わず、そんなときに葬式の場で再会した昔憧れていた八百坂さんに再度巡り逢うことになります。八百坂さんは現在マンションで1人暮らしということから、とりあえずクロと一緒に泊めてもらうことになりました。そこでまり子の事情を知った八百坂さんから、両の手を握って「まり子さん 行くところがないなのなら ぼくと暮らしてくれませんか?」・・・というのが1巻の流れ。

印象深いのはまり子さんが息子に署名をもらいにいった話。心配していたまり子さんの無事を確認できたことで涙を流す息子さん。そして、まり子さんは息子から家が嫌いなのかと問われ、「嫌いじゃない 嫌いじゃないからつらかったの 外に出てそれに気づいたの」と答えました。嫁たちはともかく、息子とまり子さんの確かな家族愛を感じられ、一番泣きそうになった場面でしたね。
私の書き方がヘタなせいで暗くて寂しいだけの話だと思われてしまうかもれしれませんが、決してそんなことはありません。切ないけど感動もあり、なによりまり子さんが元気でカワイイ。80年、多くのことを経験してきたまり子さんは、さすが物書きとでも言えましょうか、彼女の素敵な言葉は心に響きます。あと、クロの可愛さも反則的でしたね。1巻ラストでは、80歳にして再び青春の1ページを刻むかもしれない展開も見せてくれました。
まり子さんには、ペットのクロ、小説家という仕事、そして起こるかもしれない八百坂さんとの恋、3つもの生きがいとなりえる要素が生まれ、ゴールラインを切るのではなく、80歳という年齢で新しい人生のスタートラインに立ったんだと思います。今後まり子さんがこの波をどう乗りこなしていくのか楽しみですね。

社会派モノでもあり、青春モノでもある作品、辛く、切なく、悲しい場面は目立ちますが、少女マンガ的なノリと展開も多く見受けられ、結構読みやすい漫画でした。重い展開に入ったとしても、可愛い絵柄がいくばくかの緩衝材にもなっていますね。
まり子さんが何を選択して誰とどんな人生を歩んでいくのか、そして彼女によって周囲の人たちはどのような影響を受けることになるのか、今後の展開が非常に気になる1巻でした。とても面白かったです。


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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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