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2016年11月25日

【3月のライオン】マンガ 感想&あらすじ 孤独の中にいた少年が人との繋がりによって成長していく物語。

ヤングアニマル。2007年14号より連載中。既刊12巻
作者:羽海野チカ
他作品:ハチミツとクローバー



あらすじ・概要

まだ高校生の身でありながら、プロ将棋の世界へ足を踏み込み、日々猛者たちとの真剣勝負に身を投じる若き棋士・桐山零。幼い頃に交通事故で家族を亡くし、父の友人であったプロ棋士の幸田に内弟子という形で引き取られる。これ以上迷惑を掛けまいと、早く自立するために一層将棋へ没頭し、弱冠15歳という若さでプロ棋士としての人生を歩み始めた。
幸田家を出て六月町で1人暮らしを始めた零。少し遅れて高校にも通い出したが、クラスメイトとは馴染めず孤独な時間を過ごし、心に負った傷も未だ癒えることなく零を苦しめていた。
ある日、無理に飲まされたことで酔い潰れていた零は、その店で働いていた1人女性に介抱される。翌朝、目を覚ました零の前に現れたのは、あかり・ひなた・モモの川本家3姉妹。
この出会いをきっかけに、零は三月町に住む川本家との交流を始めたことで、大切なモノを失った彼の孤独な心にも変化が起こることに。

主要登場人物

・桐山 零
主人公。高校1年生の17歳(開始時)。史上5人目の中学生棋士。黒縁眼鏡をかけた細身の体形の少年。小学生の時に交通事故で両親と幼い妹を失ってからは孤独の身となり、内弟子として引き取られた幸田家でも軋轢を生み、心を閉ざしていきました。その後1人暮らしを始め、山本家やプロ棋士仲間と交流を重ねる内、彼の心にも変化が表れ出します。棋士としては将来の名人候補と呼ばれ、棋風はオールラウンダー。

・川本あかり
川本家長女。20代女性。美人でスタイルがよく、温和な性格をした面倒見の良過ぎる女性。両親のいない川本家で母親代わりとなって妹たちの世話をし、家事をこなしています。昼は祖父の営む和菓子屋『三日月堂』を手伝い、夜は伯母が経営する店でホステスとして働き家計を支えています。ガリガリに痩せた人や動物を見つけると放っておけず、連れ帰ってふっくらさせたがる人です。

・川本ひなた
川本家次女。中学2年生(開始時)、その後3年生を経て零が通う駒橋高校へ進学。いつも明るい表情豊かな女の子。姉と共に家の家事、和菓子屋の手伝いをするしっかり者。姉妹の前では気丈に振舞っているが、本当は母親のいない生活を寂しく思っています。いじめられていた友達を庇ったことで、今度はひなた自身が標的にされることになるが、自分は間違ってないという姿勢を示し、そのことが零を救うきっかけにもなります。

・川本モモ
川本家三女。保育園児。純真無垢な甘えん坊。零のことを兄だと思っていたようです。二海堂が作中に出てくるアニメキャラクター「ポドロ」に似ていたことから彼に懐いています。

・川本 相米二
川本家の祖父。和菓子屋『三日月堂』を営む和菓子職人。孫娘たちのことを何よりも愛しており、特に末のモモに対しては甘々のデレデレ。若い身でありながらプロの世界で戦う零のことを認め、信頼しています。自身も将棋ファンであり、零の対局はよくチェックしているようです。

・二海堂晴信
プロ棋士、五段。幼い頃に零と対局したことをきっかけに、「終生のライバル」「心友」を自称しています。熱い心、根性と我慢強さの持ち主。ぷっくりふくよかな体形は、腎疾患を患っていることが原因。実家は裕福な家庭であり、常に執事の花岡が傍に控えています。



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感想

若くして将棋のプロ棋士となった孤独を抱えた高校生と、彼が出会った明るく優しい3人姉妹を中心に、様々な事情を抱えた人たちが、どこかに置いてきたもの、奪われたもの、失くしたものを、人とのふれ合いを通して取り戻していく物語。
『ハチミツとクローバー』の著者・羽海野チカ先生の作品。2016年にはアニメ化され、2017年には神木隆之介さん主演の実写映画も上映されます。
さらに、本編登場人物、日本将棋連盟会長・神宮寺崇徳の若き日を描いたスピンオフ作品『3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代』も連載中。

作品のジャンルは、家族、恋愛、将棋をテーマにした人間ドラマといったところでしょうか。零と川本3姉妹を中心にした擬似家族的なふれ合いや、彼らと関わる学校関係者やプロ棋士の人達との、人間ドラマが描かれています。零たちが出会うサブキャラを中心に描かれるエピソードもそれなりにあります。
この作品は将棋漫画でもありますけど、その辺りに難しいことは特になく、知識はなくても全く問題ありませんのでご安心を。あればあったで楽しめる要素が増えることも確かですが、将棋が分からないから話の展開まで分からなくなるなんてことはありません。
ちなみに、棋戦のタイトル名はいろいろな方面に配慮して、「名人」以外は架空の名称を用いています。

作品の主な舞台になるのは、東京の下町風情溢れる『三月町』と『六月町』。これらは主に零と川本3姉妹の日常風景が描かれている舞台です。
あと、零の主戦場となる将棋会館。内装なんかは実在する将棋会館を取材した上で再現して描いているそうです。

ハートフルな作品ではありますが、零の生い立ちや境遇のみならず、川本家の抱える家庭問題や学校での出来事など、切なくて重苦しくもあるシリアスな話が多くあります。そのため、人の優しさや温もりが一層際立つ効果を生み、問題を乗り越えた後は心がほっこりした心地良い気分にさせてもらえます。
物語の軸となっているのは、桐山零を中心にした様々な登場人物たちと織り成す人間ドラマ。そして、孤独にもがいて生きていた彼が周囲の人たちの助けや励み、包み込む優しさにふれることによって、生じる心の変化と成長です。

主人公は両親と妹を幼い頃に亡くし、本来頼れるはずの親族は跡目のことばかりで零を気にかけることもなく、小学生でありながら天涯孤独の身となってしまった少年。プロ棋士の内弟子として引き取られた先でも、幸田家の子供たちよりも将棋が強くなったことで軋轢を生み、逃げるように将棋へ没頭することでさらに孤独となっていきまいした。巣に紛れ込み他の雛を蹴落として成長していくカッコウと自分を重ね、この家を壊してしまう前に出ていこうと決意し、努力の末に中学生という若さでプロへの道に進みました。皮肉にもこの辛い境遇が彼に生きる術を持たせることになったんですね。

プロになり1人暮らしを始め、1年遅れで高校にも通い始めましたが、関わる人が増えても彼の心の孤独は和らぐことはありませんでした。そんな時に零の前に現れたのが、あかり、ひなた、モモの川本3姉妹。
賑やかで温かい食卓を囲み、家族のように迎えてもらえ、辛そうにしているときは優しく包み込んでくれる優しい姉妹たちです、助けられているだけではなく、時には頼られることもあり、この出会いが零の心に変化をもたらす大きなきっかけになります。次第に3姉妹のみならず、棋士仲間や学校の先生など、深く人と関わりを持てるにまで零の心は変化し、救われていきました。

そして、川本家に起こったある事件が零の転換期にもなります。この作品、印象の悪い人物はいてもどこか同情する余地があり、完全な悪者という存在はいませんでした。そこに、腐ってる口から生まれてきたかのような、性根の腐りきった人物が3姉妹の前に現れます。本当なら姉妹にとってかけがえのない存在なんですが、彼女たちを永く苦しめてきた人物であり、そして今現在の幸せな家庭を壊しにやってきやがった男。
しかし、そんな時にどこか頼りなく見えていた桐山零が力強く毅然と立ち塞がったんですね。どちらかというと支えられる側にいた零が、彼女たちの土台に、壁に、家となって守る存在になったエピソードでした。支えられるだけだった零から、支え合える存在になった零の、成長・変化した姿はぜひ見てもらいたいです。

登場人物の心理描写を丁寧に表現しているので、彼等へ感情移入しやすいと思います。人の持つ良い面だけではなく、悩みやトラウマなど陰鬱とした負の感情もうまく描き出せており、登場人物たちの抱えている想いに共感しながら読むことができます。当たり前の事ではありますが、良いところもあれば悪いところもあるのが人なんですよね(一部例外あり)。

人と人との繋がりの大切さを改めて教えてもらえる作品。1人で生きていくことも全てを1人で背負うことも困難。だからこそ、誰かに頼ることも時には必要であり、それによって人の繋がりは深まり、全てがそうとは言いませんけど幸福を生むきっかけにもなるんだと、この作品を読んで思わされました。
クセの強すぎるプロ棋士などの愉快なキャラ、日常描写で食卓に並べられる美味しそうなあかりさんの料理、それぞれのキャラに焦点をあてたエピソード、静かに激しく繰り広げられる将棋戦など、見所は多分に用意されている作品。その中でも私が強く押させてもらいたいのは、ありきたりですけど主人公・桐山零の成長と変化です。
全体的な雰囲気は華やかで明るいとは言えませんが、読み進めると心地良い温もりを感じられ、心に明かりが灯る作品だと思います。
シリアスの中にも良い塩梅でコメディ色を加えていたりと、意外と読みやすい作品ですので、よければ読んでみてください。自信を持って強くおすすめさせていただきます。



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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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