2017年12月10日

【紹介した作品の新刊発売情報】ばらかもん 第16巻 他17作品

2017年12月11日〜12月17日発売予定の新刊。
このブログで紹介した作品や関連作品の新刊情報と、試し読みした作品の感想。


IT'S MY LIFE 第9巻 2017年12月12日発売

IT’S MY LIFEの過去記事



ケンガンアシュラ 第23巻 2017年12月12日発売

ケンガンアシュラの過去記事



ダンベル何キロ持てる? 第3巻 2017年12月12日発売

ダンベル何キロ持てる?の過去記事



テラモリ 第8巻 2017年12月12日発売

テラモリの過去記事




>>オリジナルドラマCD付き 初回限定特装版

ばらかもん 第16巻 2017年12月12日発売

ばらかもんの過去記事



ゆるキャン△ 第5巻 2017年12月12日発売

ゆるキャン△の過去記事



私の少年 第4巻 2017年12月12日発売

私の少年の過去記事



白星のギャロップ 第3巻 2017年12月12日発売

白星のギャロップの過去記事



舞妓さんちのまかないさん 第4巻 2017年12月12日発売

舞妓さんちのまかないさんの過去記事



セントールの悩み 第16巻 2017年12月13日発売

セントールの悩みの過去記事



傘寿まり子 第5巻 2017年12月13日発売

傘寿まり子の過去記事



ポンコツンデレな幼馴染 第3巻 2017年12月15日発売

ポンコツンデレな幼馴染の過去記事



寄宿学校のジュリエット 第6巻 2017年12月15日発売

寄宿学校のジュリエットの過去記事



五等分の花嫁 第2巻 2017年12月15日発売

五等分の花嫁の過去記事



信長のシェフ 第20巻 2017年12月15日発売

信長のシェフの過去記事



百年のワルキューレ 第2巻 2017年12月15日発売

百年のワルキューレの過去記事



試し読みをして気になった作品もふたつ紹介します。


カースブラッド 第01巻
著者:梶山浩
掲載:月刊COMICリュウ
2017年12月13日発売


不思議な夢の中で謎の女性から助けを求められた日本人の女の子・キョウコ。夢から目を覚ますと、全く覚えのない森の中にいたキョウコは、驚くことに本物のドラゴンの背に乗っていた。見た事もない異形な生き物が蠢き、空は真っ赤に染まり、月らしき星が3つ浮かぶこの場所は、日本でもなければ外国でもない、全く別の異世界だった。
何も分からないまま身一つで異世界に放り出されたキョウコ。混乱も冷めやまぬ内に、とつぜん狼のような人獣に襲われるが、そこに浅黒い全身に奇妙な刺青入れているソロモンという名の青年が現れ、窮地から救われる。彼はあの不思議な夢の中でも、キョウコを背にして守るように、何者かの前に立ちはだかっていた青年で・・・。

異世界へ転移した少女を巡る、剣と神秘のダークホラーファンタジー
作者はイラストレーター、ゲーム企画・デザイン、漫画家など、幅広い分野で活躍されている梶山 浩(かじやま ひろし)先生。

近年ではお目に掛かれるのも珍しくなった本格ファンタジー。描き込みの凄さから作者先生の気合いを感じられますけど、これちょっと作画大変そうですね。

主人公は日本人の女の子「キョウコ」。高校生ぐらいかな?一見どこにでもいそうな女の子ですが、夢の中に不思議な女性が現れ、彼女から「パエトーンの娘」「女神ヨークの魂を受け継ぐ者」「フーカの血脈」と呼ばれ、力を貸して欲しいと求められます。
しかも、ベッドの上で眠っていたはずが、夢から目覚めたキョーコがいたのはなぜか見知らぬ森の中、それもドラゴンの背の上。真っ赤な空に月が3つ、海にも空にも地上にも、見た事もない異形の生き物が蠢めいていました。これは夢でもなんでもなく、キョーコは現代日本から異世界へ飛ばされてしまいました。

キョーコをこの異世界へ召還したのは、いかにもな悪役臭を漂わせている「魔導師マルカ」。エルフのような尖がり耳で黒髪の妖艶な女性。
太古の魔導王の力を手に入れるとかなんとかでキョーコを召還したようですが、転移座標がズレてあらぬ場所へ召還してまったようです。キョーコの夢の中に出てきた謎の女性がなにかしたのでしょう。

ドラゴンの背からスベり落ちてしまったキョーコは、突然ウェアウルフ的な人獣に襲われます。その窮地にさっそうと現れたのは、浅黒い肌全身に幾何学模様の刺青を入れている青年・ソロモン。
自分の倍ぐらいある人獣にも力負けしない身体能力にも驚きですが、ただの刺青だと思っていたソレは、形を変えて武器にも防具にもなる攻防一体の何か。しかも翼に変形して空まで飛べちゃう万能っぷり。

その力でマルカの追っ手とおぼしき人獣とアンデットを撃退すると、そこに雄雄しいケンタウロスが現れ――。

安直な感想になりますけど、古き良き時代のハイファンタジーを思い出しました。ヒロインもかつてのテンプレって感じなので、一周回って新鮮かも。何かしらの宿命を持って異世界へ飛ばされ、その世界の青年に守られながら、使命を果たす的なストーリーなのだと思います。
とは言っても、まだ魅力を感じられるほどキョーコは何か活躍したわけでもありませんし、意味不明な固有名詞・設定も多く、ストーリーの面白さも不明。まあ、オリジナルファンタジーの一話なので、そこは仕方ないとも言えなくはないかと。この作品の雰囲気なら若干のエロスがあっても違和感ないですけど、どうなのかな。

ただ、私は結構好きかもです。ストーリーも駆け足にさえならなければ面白くなるポテンシャルはあるでしょうし、世界観・設定も作り込まれていそうなので、期待はしてます。
実力派イラストレーターだけあって、作画の描き込みは凄まじく、ファンタジー世界とそこに息づく生き物を見るとワクワクしてしまいます。バトルシーンもなかなか迫力あって見応え十分でしたからね。願わくば、絵と設定だけの作品にはならないで欲しい。

長く活躍されることを期待してます。1巻とても楽しみです。

試し読みは月刊COMICリュウさんの公式サイトに掲載されています。(こちら




白聖女と黒牧師 第01巻
著者:和武はざの
掲載:少年マガジンR
2017年12月15日発売


とある街の教会には、人々から慕われているとても可愛い聖女様がいました。しかし、実は町の人たちの前では猫をかぶってるだけで、本当の姿はすぐにダラけてしまうマイペースな困った聖女様。
そんな彼女と一緒に暮らしている教会の牧師は、過保護で鈍くて純朴な青年。聖女様のことだと心配性が過ぎる牧師は、とにかく彼女を甘やかしてしまうため、聖女様のダラけグセは治らない。
牧師と聖女様。立場上くっつき過ぎることはなくとも、お互いを大切に想い合う間柄。たまにちょっと良い雰囲気になったりして、もどかしいけどお似合いな2人の日常は、とっても優しくて温かい。

ダラけグセのある聖女様と、過保護がすぎる牧師が織り成す、間接的いちゃラブコメディ。
作者は小説『奪う者 奪われる者』でイラストとコミック版も担当した和武はざの(かずたけ はざの)先生。

4コマ形式のほのぼの系ラブコメ。これはよい漫画ですね。読んでると良い感じに肩から力が抜けていきます。

主人公はとある教会の聖女様と牧師の2人。
聖女のセシリアは、国の人々の前では立派な聖女様として振る舞い、皆から慕われてもいますが、一度そこから解き放たれると、すぐにダラけてしまう本当はマイペースな少女。口癖は「疲弊です」。

そして一緒に暮らしている牧師のローレンスは、真面目で優しい青年ではありますが、セシリアのことになると過保護になり過ぎてしまい、甘やかして身の周りの世話も雑用も全て一人でやってしまいます。しかも本人まんざらでもない様子。セシリアの成長を阻害してるような気も・・・。

セシリアもローレンスもとにかく可愛くて、色んな意味で「がんばれ」とエールを送りたくなりますね。特に聖女様が可愛いすぎてヤバイ。
ローレンスに対して恋心かそれに近い感情を抱いてることは明白。ただ、鈍い牧師は全然気づいてなく、そのもどかしさも相まって、近づきすぎず、離れすぎずの関係性を築いています。とてもじれったい様子ですが、これはこれでよろしいのではないでしょうか。

内容に難しいことは何ひとつありません。このお似合いカップルのコミカルなやりとりと、イチャコラしてる様子を眺めるだけの作品です。
牧師と聖女というお互いの立場上、恋人になれるのかは難しいところでしょうけど、とても微笑ましくて終始ニヤニヤしされっぱなしでした。

可愛らしくて微笑ましいラブコメを読みたい人なら楽しめると思います。

少年マガジンR・講談社コミックプラスさんの公式サイトに掲載されています。(こちら

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posted by ハネ吉 at 16:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新刊情報

2017年12月08日

漫画『薬屋のひとりごと』1巻の感想とあらすじ 人気ノベルのコミカライズ!後宮に現れた名探偵ヒロインが活躍する宮中物語

『薬屋のひとりごと』1巻の感想。


薬屋のひとりごと
原作:日向夏 /漫画:ねこクラゲ
掲載:ビッグガンガン
1巻発売日:2017年9月25日


あらすじ・概要

花街で薬師をしていた小柄な少女・猫猫(マオマオ)。薬草採取に出掛けた折、傍迷惑にも人攫いに誘拐されてしまい、売られた後宮で下女として働くことになってしまった。
それから3ヶ月、大人しくしていればそのうち出られると考え、年季を終えるまで、なるべく目立たないように働くつもりでいた猫猫。しかし、残念なことにこの読みは、彼女の抑えられない好奇心と知識欲、そしてほんの僅かな正義感によって、脆くも崩れ落ちてしまうことになる。
女ばかりの宮中では様々な噂話が飛び交い、猫猫の耳にも否が応にも届いてしまう。帝のお世継ぎたちが幼くして命を落としている呪いの噂を知り、くだらないと思いながらも好奇心に突き動かされ、調査を始めたところあっさり真相を解明してしまった。しかし、この一連の騒動に関わったことによって、帝の寵妃・玉葉妃(ぎょくようひ)と宦官・壬氏(ジンシ)に目をつけられてしまうことに。
こうして、不本意な形で下女となった猫猫は、自らの好奇心が災いし、宮中の厄介事に巻き込まれていくのだった。

後宮で下女として働く好奇心旺盛な元薬師の少女が、ひょんなことから帝の寵妃と美形宦官に目をつけられてしまい、宮中の面倒事に不本意ながらも関わっていき、巻き起こる問題を解決していく物語。
宮中で巻き起こる事件を下女が解決していく痛快ミステリー。帯での謳い文句は「宮中に名探偵誕生!?」。月刊青年漫画雑誌「ビッグガンガン」の2017年Vol.06にて連載開始。原作は「小説家になろう」発のヒーロー文庫のシリーズ小説。
原作者は過去作に『トリネコの王』を持つ小説家・日向夏(ひゅうが なつ)先生。作画担当は主にスクウェア・エニックスの漫画雑誌で作品を掲載されている漫画家・ねこクラゲ先生。

紹介・感想

中華王朝風の舞台設定を敷かれている作品と言えば、私の中では『十二国記』と『彩雲国物語』の二作品が頭ひとつふたつ抜けてる名作だと思ってます。
どちらも小説を原作とし、そこからメディアミックスされて人気を博した作品。緻密且つ壮大な世界観、奥深いストーリー、個性豊かなキャラクターが魅力的で、既に内容は把握しているにも関わらず、しばらくすると妙に読みたくなってしまいます。『十二国記』本編の続き、早く読みたいけど、今年も無かったですね・・・。
最近読んで面白かった作品ならば、『天空の玉座』という少女漫画がありまして、ヒロインが活躍、後宮での陰謀モノ、その辺りが好きな人は楽しめると思います。

そして、本日紹介させていただく漫画『薬屋のひとりごと』は、中華風の後宮を舞台とし、一風変わったマッドなヒロインが大活躍する作品になっています。

人気ノベルシリーズのコミカライズ作品です。今回はねこクラゲ先生が作画担当されている「ビッグガンガン」掲載作品の感想ですが、このシリーズはWコミカライズされていまして、「サンデーGX」の雑誌でも倉田三ノ路先生が作画担当で連載されているようです。

後宮に売られたせいで下女として働かされている薬師の少女が、溢れる好奇心と知識欲に突き動かされてとある事件に首を突っ込み、あっさり解決します。でもそのせいで、なかなか厄介そうなイケメン宦官に目をつけられ、これまたクセの強そうな妃の侍女として迎えられたことで、宮中で巻き起こる様々な問題を解決するために奔走するハメになるお話。

ざっくりするとこのような内容。
中華風の世界を舞台にした宮中ミステリー。

主人公は17歳の少女・猫猫(マオマオ)。そばかす顔の絶壁肉なし体型。ドライな性格で、この年齢にしては随分達観していますが、好奇心旺盛で知識欲も高く、薬学のことになるとマッドサイエンティストになってしまう一風変わった女の子。正義感もちょっとあります。
自分のことは醜女と揶揄してます。ただ、個人的な意見を言わせていただくと、かなり可愛い。この世界、この時代では美人・可愛いの部類には入らないのかもしれませんけど、猫猫の可愛さはこの作品における一つの魅力だと思ってます。基本ドライ対応でありながら、時折見せるデレもたまりません。

元々は花街で薬師として働いていたところ、薬草採取のため森へ出掛けた際、人攫いに誘拐され、後宮に売られてしまったというのが下女となった経緯。
目立たないように大人しく年季を終えるまで勤めようと考えるも、彼女の抑えられない好奇心はそれを許してはくれませんでした。

帝のお世継ぎが立て続けに幼くして謎の死を遂げていたことから、後宮は「呪い」の噂で持ちきりになっており、それは猫猫の耳にも入ることになります。呪いなんてくだらないと思いながらも、耳にした症状から推測を立て、お世継ぎの母である上級妃のゲッソリした様子から推測は確信に変わり、医官も見抜けなかった真相を解明。
ただ、面倒ごとには関わり合いたくはないので、コッソリ文をしたためて伝えようとしたのですが、イケメン宦官・壬氏(ジンシ)によってあっさり身元がバレてしまい、この功績から寵妃・玉葉妃(ぎょくようひ)の侍女に昇格することになります。実際は功績半分、壬氏の思惑半分ですけどね。

ここから「毒見役」に始まり、媚薬作りや幽霊騒ぎなど、宮中で巻き起こる様々な事件・問題に直面することになり、猫猫は冴え渡る知恵と薬学の専門知識で謎を解いていきます。
さっさと宮中から出て行きたいはずの猫猫。しかし、その思いとは裏腹に、自らの好奇心と壬氏の目論見によって、出ていくどころかむしろどんどん宮中の深くまで潜っていくことに。ただ、この壬氏さんなんですが、当初こそ猫猫を転がして遊んでいる立場にいたのですが、ストーリーが進むにつれて次第に不憫な人になっていくので、それも面白いところ。
宮中に現れた名探偵・猫猫。そのドライな態度でしれっと謎を解いていく姿、そして猫のような愛らしさ、ここからさらに面白いことになっていきそうです。

というような感じで、中華風の世界の後宮を舞台に、好奇心旺盛なマッドでドライなヒロインが宮中の謎や問題を解決していく作品『薬屋のひとりごと』1巻の紹介でした。
このコミカライズは素晴らしいと拍手したいです。元々のストーリーと設定はもちろん面白く、それを台無しにしない構成力と編集力、作画を担当したねこクラゲ先生の高い画力によって、原作の良さを活かしながら漫画的な面白さも見事に発揮されていました。
一応ミステリー要素があるのですけど、それほど複雑でもなければ重くもなく、ライトな作りなのでさくさく読めます。謎の解明もしっかり筋が通っているので、腑に落ちなくてモヤモヤしてしまうこともありませんし、中学レベルの理系知識さえあれば「なるほどね」と納得できると思います。
この作品における最たる魅力は、何と言ってもヒロインを筆頭にしたクセの強いキャラクター陣。そして、そんな彼女たちが宮中で織り成す人間関係だと思ってます。猫猫の普段はドライなんだけど薬のことになるとテンション上がってしまい、変な踊りをしてしまうとこ、あと猫耳がひょっこり出てきたところも可愛かったです。チャラい壬氏には辛らつで、まるでゴミを見るかのような視線を向けるところもグッド。
ミステリーが苦手でも問題ありませんし、原作読んでる読んでない人関係なく楽しめる内容だと思います。1巻はまだまだ序章。これからさらにパワーアップしていくので、2巻以降も楽しみですね。

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2017年12月05日

漫画『血の轍』1巻の感想とあらすじ 母と息子の究極の偏愛と毒を描いたサイコサスペンス

『血の轍』1巻の感想。



血の轍
著者:押見 修造
掲載:ビッグコミックスペリオール
1巻発売日:2017年9月8日


あらすじ・概要

夢で見たのは、3歳の自分が母に手を引かれ、2人で散歩していた幼い頃の記憶。横たわるネコを見つけ、駆け寄ってさわってみると、そのコの体は冷たくなっていた。なんで死んでしまったのかを尋ねるも、母は優しい笑みを浮かべ、ただ自分を見つめてくるだけ――。
母から溺愛されて育った中学二年生の少年・長部静一(おさべ せいいち)。母・静子(せいこ)は過保護な人であったが、それ以外は特におかしなところもなく、思春期真っ只中の今でも仲良しな母と息子。学校では友達とふざけあって、気になる女の子もいたりして、とても穏やかで楽しい日々を送っていた。
夏休みに入ったある日、父方の叔母といとこのしげるを交え、親戚一同で山登りにやってきた長部家族。しかし、その最中に起きたしげるによる静一への悪戯によって、後の悲劇が招かれることになり、平穏だった母子の日々を激変されることになるのだった。

バカをやる友達がいて、気になる女の子もいる平凡な男子中学生と、そんな息子にたっぷりの愛情を注ぐ美しい過保護な母親との、甘くも怪しい母子の関係を巡る物語。
母と息子―究極の偏愛を描いたサイコサスペンス(?)。帯での謳い文句は「悪女?売女?聖女?・・・ この母親は解毒できない・・・ 究極の毒親」。月2回発行される青年漫画雑誌「ビッグコミックスペリオール」の2017年6号にて連載開始。
作者は『惡の華』や『ぼくは麻理のなか』など、多くの傑作世に送り出してきた漫画家・押見 修造(おしみ しゅうぞう)先生。

紹介・感想

登場人物の心情をセリフ以外で表現する手といえば、ナレーションやモノローグ、心のつぶやきを使うのが手っ取り早くてお手軽。ただ、あまりに多用し過ぎると逆に弊害になってしまう恐れもあり、確かに文字で書き出すと解りやすいんですけど、そればかりだと印象に残り辛くなってしまうのではないかと。あくまで個人的な意見ですし、文章力によるところも大きいんでしょうけど。
もちろん、仕草や表情、背景などを用いた心情表現というのは、それなりの経験値が必要なんでしょうが、やっぱりメリハリの効いてる作品は読みやすい。
逆に、まったくモノローグなどがなく、セリフも少なめ、且つ面白い作品というのは、ちょっと疲れますけど心情を細かい描写から読み取ろうとするため、長く印象に残りやすいと感じてます。

ということで(どういうこで?)、本日はとても静かな画面でありながら、読み進めるごとに不穏な空気巻がどんどん深まっていく漫画『血の轍』を紹介させていただきます。

いつものように内容をざっくり説明・・・したいところなんですが、こうしてる今でもどう書いていいものか思案中だったりします。それもこれも、1巻の後半部に入るまでは大きな事件らしい出来事がほぼ皆無なため、さすがにそのネタバレをしてしまうと興が削がれかねないかなと。
ただし、ストーリーは淡々と進んでいくのですが、終始胸の内が「ざわざわ」と気味悪く震えるのです。

ジャンルはサイコサスペンスになるのかな?それともサイコホラーなのか。とりあえず、それ系統の雰囲気を醸し出してる作品です。
作品のテーマになっているのは、帯にもあるように「毒親」。毒親というのは、暴力や暴言、ネグレスト(育児放棄)などによって、子供の心身に悪影響をもたらす親のこと。私の中で毒親の印象といえば、こういった虐待をする親のことだったのですが、本作においては深い愛ゆえに陥った「過干渉」に見えます。ただし、これも正解とは断言できない違和感はあります。

作品のキーとなる人物は、主人公の少年と、その母親の2人です。
主人公は思春期真っ只中にいる中学二年生の長部静一(おさべ せいいち)。一見するとおかしなところはなく、ふざけ合う友達がいて、気になる女の子もいるなど、どこにでもいるいたって普通の優しい少年。ちょっとマザコン気味なのかな。

そして問題となるのが、そんな静一を溺愛している若くて美しい母親・静子(せいこ)。過度なスキンシップが多く、何かと世話を焼いてしまう過保護な母。
これだけ見ると、過度とは言っても毒というほど酷くはないですし、こんな美人ならむしろ自慢の母と言えなくもないです。しかし、こと静一のことになると、ちょっと普通とは思えない怪しさを覗かせてきます。

幼稚園時には毎日教室の後ろに立って静一を見守っていたり、「いつも、ありがとう」と言う静一の頬にキスをするなど、明らかにやりすぎとも思える行動を全く変とも思わずやってしまいます。何よりおかしいのは、母親のそれとは思えない静子の静一へ向ける艶っぽい視線。明らかに普通ではないです。

そんな気味悪さを抱かせながらも、序盤・中盤は何の事件もなく淡々とストーリーは進み、後半ついに“それ”が顔を出してしまいます。
長部家にいつも入り浸り、静子を過保護だと少し馬鹿にしている義姉と、静一にいたずらしてくる従兄弟のしげる。その2人を交え、親戚一同で山登りへ訪れたわけなのですが、そこで・・・。
いつどこでなにがどうなってもおかしくはない、そんな不穏な空気はずっと流れていましたけど、ついにやっちまった!いや、事件そのものよりも、むしろその後の静子が怖いのです。

ということで、息子に異常な執着を見せる妖艶な母と、その愛情をたっぷり注がれて育った息子の、狂気に満ちた母子関係を描いた漫画『血の轍』1巻の紹介でした。
気味が悪い、怖い、わけわからん・・・私が特に強く受けた印象はこの辺りです。妙なリアリティを感じさせるところはさすが押見流。気になるという一点において評価するなら、今年読んだ作品の中では五指には入る作品。読み終わったあとに残るのは言いようのないモヤモヤ感でした。
静一の視点で物語は進み、モノローグや心のつぶやきは一切ないため、静子の心情はその表情や仕草から読み取るしかないのですが、私が感じ取れたのは得体の知れない狂気と不気味な愛情のみ。静一の視点からは後姿しか見えない静子の描写もあり、そこでいったいどんな表情をしているのかが非常に気になります。この見せない表現は、読者に興味と不気味さ、良い意味での居心地の悪さを抱かせてくれるので、なかなか見事だったなと思ってます。
子供に愛情をもてないネグレストとは正反対を行く過保護な毒親。彼女が静一に異常な執着を見せるのは、生い立ちか過去の出来事か何かが関係してくるでしょうから、その辺りも含めた不可解な伏線には要注目。表紙は過去の写真のようだけど、果たしてここに何の意味があるのか・・・。
これから静子が、静一が、長部家が、そして周囲の人たちもどんどん狂っていく可能性が高いので、読み進めることに若干恐怖はあるのですが、それでも読まずにはいられない面白さがあります。怖いけど魅惑的、まさに静子そのものですね。

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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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