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2018年07月12日

シナジーのメタファーを外国語教育に応用する9

6 まとめ

 人間の思考や言動を理解するには、喩え(メタファー)だけでは適切とはいえない。さらに作家の人間の条件として危機管理者を想定し、データベースの相互依存関係を理解する必要がある。リスク回避については、災害の避難、救急医療、株式の暴落、緊急着陸、生活全般(例、家庭崩壊)などが考えられる。これらを研究の題材としてシステムをつくることができれば、シナジーのメタファーを介してミクロとマクロの文学分析がバランスよく調節できるようになる。

【参考文献】

花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方 中国日語教学研究会上海分会論文集(2017)華東理工大学出版社 241-249
ジグムント・バウマン、チィム・メイ 社会学の考え方(奥井智之訳) ちくま学芸文庫 2016 
花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」より

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5 効果

 ナディン・ゴーディマの”The Late Bourgeois World” のデータベースからシナジーのメタファーを外国語教育に応用することを考える。

大丸2 紙片の小説を使用して、一文または一場面に関して言語と情報の認知によりLに執筆脳の考察をすることは難しい。しかし、データベースを作成すれば、ラインでそれを処理することができる。
大丸2 ラインの数字を整える際、原文を何度も読み返すことにより、小説の重読となる。
大丸2 電子版の小説をエクセルに作成することが外国語を書くイメージにつながり、単語や熟語の検索そして英日対照表も作りやすくなる。
大丸2 外国語と母国語の対照表の作成は、翻訳のトレーニングにもつながる。
大丸2 作業単位が増えると、自ずと比較の言語文学へと展開し、副専攻の調節もできるようになる。
大丸2 比較の言語文学のデータを作るとき、電子データがあれば、個々のデータをかけ合わせることにより、人の目には見えないものが見えてくる可能性がある。
大丸2 データベースの相互依存関係から、人間の思考や言動を理解するには、喩えでは不適切なところもあり、人間の条件として、例えば、危機管理者としての作家を考察する。トーマス・マンであれば、20世紀の前半にドイツの発展が止まることを危惧して小説や論文を書き、魯迅であれば、作家として馬虎(詐欺をも含む人間的ないい加減さ)という精神的な病から中国人民を救済するために小説を書いている。
 森鴎外であれば、明治天皇や乃木大将が亡くなってから後世に普遍性を残すために歴史小説を書いた。また、ナディン・ゴーディマであれば、崩壊状態にあった反アパルトヘイト運動に白人がどのように関与できるのかを自問し、世の中の流れと逆流している自国の現状に危機感を抱き、何かの形で革命に関わりたいという意欲を持っていた。
大丸2 Lのデータベースは、セカンドのカラムを設けることができ、ミクロレベルの分析にも対応できる。川端康成の場合、主人公は実体となりそもそも存在し、主人公を理想の型に入れて加工しながら育てる世界に個物がある。こうした創造の一例を「雪国」に見る顔の表情という非言語情報からなるシステムと考え、川端が求める実体と個物の説明をデータベースのセカンドのカラムにより実験する。
大丸2 ミクロの分析は、例えば、言語の認知で見ると、単語や熟語、情報の認知で見ると、感覚情報や記憶で応用例がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」より

シナジーのメタファーを外国語教育に応用する7

【日頃からの準備】
@ カラム構成から見て、記憶については勉強するとよい。短期記憶、作業記憶、長期記憶など、基本的な内容を抑えておく。
A Lのイメージで信号の流れが止まらないように、所属の系列や界隈を除いた非専門の系列のブラックボックスを消すために、翻訳の作業単位を作る。作業単位は、外国語と系列の専門知識を組にする。ビジネス翻訳、産業翻訳、機械翻訳、特許翻訳そして文芸翻訳などできるだけ偏ることなく実績を作ることが大切である。
B 翻訳の作業単位を作りながら、人文と社会、文系と理系といった共生をイメージする。例えば、人文と情報、心理とメディカル、文化と栄養、法律と技術、社会と福祉、社会とシステム、ソフトウェアとハードウェアといった自分で処理できる文理の組み合わせが増えていけば、文献学の拡大版としてテキスト共生という評価項目を立てることができる。
C 定番の読みの中には、作者が伝えようとする情報(執筆時の脳の活動)が必ず含まれている。

【現状の評価】(2018年6月現在)
@ これまで考案しているシナジーのメタファーは、「トーマス・マンとファジィ」、「魯迅とカオス」、「森鴎外と感情」、「ナディン・ゴーディマと意欲」である。
A 「ナディン・ゴーディマと意欲」については、”The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)」を題材にし、前頭葉の活動に焦点を置いている。男女の前頭葉の働きを区別するために、井上靖の「わが母の記」と比較した分析もある。
B 「井上靖と連合野のバランス」は、「我が母の記」を題材にして、前頭葉、側頭葉、後頭葉、前頭葉の個々の働きだけでなく、連合した機能に焦点を当てている。さらに、教養小説、歴史小説、社会小説といったジャンル違いの微妙な読みに関する執筆脳の考察を考えている。
C 「川端康成と認知発達」は、「雪国」執筆時の康成の脳の活動を考察している。購読脳の出力「無と創造」と執筆脳のゴール「人工感情と認知発達」を調節するために、存在の論理から「無と創造」と関連するバルカン文を置き、文理のバランスが取れるようにした。さらにセカンドのカラムとして「五感と顔の表情」を設け、脳の活動を調節する方法について考察した。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」より

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4 シナジーのメタファーのトレーニング(Version 1)

【分析法】
 シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究すための分析方法である。まず、読者の購読脳が言語の認知を通して考察され、その出力が入力となって情報の認知を通ると作家の執筆脳が見えてくる。そもそも人文科学にはないLのフォーマットを考えるための前提として、非専門の系列のブラックボックスを消す必要がある。
 このLの分析のために必要となるものは、次の4つである。但し、3と4はどちらか一つでも客観性を上げることができる。
@ Lのストーリーを作成する。
A リレーショナル・データベースを作成する、その際、セカンド的に何か他のカラムを考えてみる。例えば、言語と非言語のセカンドとして、顔の表情を考える。
B データベースの統計処理を試みる。例えば、バラツキや推定など。
C Lのストーリーを論理計算(カリキュレーション)で考える。

【トレーニングの手順】
@ 「森鴎外のデータベース化とその分析」を一読する。
A データベースのカラムの意味を確認してから、「山椒大夫」、「佐橋甚五郎」、「安井夫人」、「魚玄機」のエクセルのフォーマットに自分で数字を入力し、データを作成する。
B 作成したデータベースのバラツキを調べて、既存の研究と照合する。一つは、文学研究と、また一つは、理系の研究と照合してみる。つまり、データベースは、文理双方と調節するための中間的な研究ツールである。
C 照合ができれば、データベースは、一定のレベルで作成できている。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」

シナジーのメタファーを外国語教育に応用する5

 但し、Lのフォーマットを作る際に、非専門のブラックボックスを消す必要がある。これが難しい。そもそもやってもやらなくてもいいのであれば、積極的に取り組む人は少ないであろうし、やってみようと思ったところで、どうすればよいのか思案に暮れる。
 そこで、主の専門の人文系及び界隈の文化を縦にし、非専門の系列を学部修了位のレベルで横に滑るLのフォーマットを作ろうと思った。私の場合、文献学が基本のため、翻訳でLのフォーマットの土台を調節した。翻訳の作業単位は、外国語の知識と系列の専門知識が組になってできている。ドイツ語と文学、中国語と法律、英語と情報、ドイツ語とバイオ、英語とメディカルといった作業単位を中心にし、翻訳の実績を日々重ねている。
 また、実務のみならず、実績を整えるために、資格が取れるとよい。サラリーマンも資格を重ねてレポートを作成しなければ、昇進できない時代である。外国語はともかくとして、非専門の系列も客観的に評価されるためである。例えば、検定2級が取れれば、検定準1級位の勉強はしているといえるし、検定3級でも検定準2級の勉強はしているといえるであろう。このように実務や資格、問題解決のためのレポート作成は、誰にとっても人物評価をする際の材料となり、発言権を得るためになくてはならない実績であろう。私の社会人としての主な資格は、以下の通りである。

大丸2日本成人病予防協会(JAPA)健康管理士一般指導員 2015年3月認定
大丸2健康管理能力検定1級取得 2015年3月
大丸2予防医学・代替医療振興協会(P&A)予防医学指導士 2015年12月認定
大丸2エイブス・メディカル翻訳英和上級修了2016年3月(同コース初級修了2015年9月)
大丸2予防医学・代替医療振興協会 代替医療カウンセラー 2016年4月認定
大丸2認知症予防改善医療団(DMC)認知症ケアカウンセラー 2016年12月認定
大丸2日本成人病予防協会 健康管理士一般指導員ゴールド 2017年4月認定
大丸2バベル・ユニバーシティ中日契約書翻訳コース修了2017年10月

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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