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2016年01月16日

はりねずみと金貨

はりねずみと金貨1

 年を取ったはりねずみは、森のおくの草むらで、小さな金貨を見つけました。

はりねずみと金貨
                             ウラジーミル・オルロフ 文
                             田中潔 やく
                             バレンチン・オリシバング 絵

 森のおくの草むらに、小さな金貨が落ちていました。
 だれかがむかし、落としたのでしょうか。それとも、いたずらからすが町から運んできたのでしょうか。
 古ぼけた金貨は、ひさしぶりの雨にあらわれ、またきらきら光るようになりました。それで、森の小道を行く、はりねずみの目にとまったのです。
 拾い上げた金貨を見ながら、はりねずみは思いました。
(わしももう年を取ったし、近ごろは冬ごもりのしたくさえ、たいへんになってきた。どこかでほしきのこでも買って、今年はのんびり冬をこすとしよう。)

はりねずみと金貨2

 そうしてずいぶんあちこちさがしたのですが、ほしきのこはどこにも売っていません。
(せっかく金貨があるのに、きのこのほうが見つからんとはのう……。)
 そのとき、木のうろからりすが顔を出しました。
「こんにちは、おじいさん。そのきらきらしてるのは、なあに。」
「こんにちは、りすさん。こりゃあ金貨じゃよ。これで冬ごもりのために、きのこを買おうと思ってね。」
「なあんだ。きのこがほしいなら、わたしが、ただであげるわよ。」
 そう言うと、りすは、ほしきのこのいっぱいつまったふくろを投げてくれました。
「たっぷりめしあがって。その金貨は、くつにつかうといいわ。おじいさんのは、もうぼろぼろだもの。」
「ありがとう、りすさんや。年よりを気づかってくれて。」
 はりねずみは、りすに頭を下げました。
「あんたが言うように、くつをさがしてみるよ。」

はりねずみと金貨3

 りすとわかれたはりねずみは、あたりを見回しながら進んでいきます。
(さあて、いったいどこでくつを見つけたものかな。)
 すると、それを見て、からすが声をかけました。
「どうしたね、じいさん。落し物かい。」
「いやなに、くつ屋をさがしとるんじゃよ。この金貨で、くつを買おうと思っての。」
「くつを買うだって? どうして。くつぐらいおれが作ってやるよ。」
 そう言うと、からすはどんぐりの実に、じょうぶなくちばしであなをあけ、きれいにけずってくれました。」
「どうだい、いいくつだろう。できたてのぴかぴかさ。さあさあ、はいてみなよ。」
 新しいくつに足を入れ、かた足ずつトントンとふんでみると、ちょうどぴったりです。
「ありがとう、からすさん。すばらしいくつじゃ。」
 はりねずみは頭を下げました。
「そいつはよかった。その金貨は、ほら、あったかいくつ下にでもつかいなよ。冬はもうすぐだからね。」

はりねずみと金貨4

 はりねずみは、また、あたりを見回しながら歩きだしました。
(さてと、今度はくつ下だ。いったいどこで買ったものかな。)
 すると、それを見ていたくもが、巣から下りてくると、はりねずみに声をかけました。
「おじいさん、何をさがしてるのさ。」
「あたたかいくつ下をさがしとるんじゃよ。お金はあるんじゃが、どこにも売ってなくてね。」
「なんだ、それなら、おいらがあんだのをあげるよ。自分用に作ったら大きすぎてさ。おじいさんにはちょうどいいかも。ほらほら、はいてみてよ。」
 はりねずみがためしにはいてみると、あつらえたようにぴったりです。あったかくてやわらかくて、おまけにきぬのようにつやつや。
「ありがとう、くもさんや。すばらしいくつ下じゃ。」
 はりねずみは、くもに礼を言いました。
「どういたしまして。かぜをひかないようにね。そのお金はどこかにしまっときなよ。またいつか、役に立つかもしれないしさ。」

はりねずみと金貨5

 くもとわかれたはりねずみは、ほかほかした気分で家路につきました。
(やれやれ、今年の冬は、みんなのおかげで、気持ちよくすごせそうじゃわい。)
 けれども、ようやくわが家が近づいてきたころ、だいじなことを思い出したのです。
(そうだ。はちみつじゃ。なんてこった。すっかりわすれとった。冬に出るせきは、あれがないと止まらんのに……。)
 森の空はもう赤くくれかかっています。もうすぐ自分の足元さえ見えなくなるでしょう。年よりのはりねずみは、暗い道が苦手。あきらめるしかありません。

はりねずみと金貨6

 大きなため息をついて、また歩き始めようとしたそのとき、
「おじいさあん。」
とよぶ声が、後ろから追いかけてきました。
 息せききって、かけてきたのは小さなくま。生まれたときからよく知っていて、遊びに来るたび、はりねずみが、お話を聞かせてやっている小ぐまです。もう日がくれるというのに、また、お話をせがみに来たのでしょうか。
 子ぐまははりねずみに追いつくと、息もつかずに話しだしました。
「おじいさん、ぼく、冬ごもりするんだよ! 葉っぱを、たくさんたくさんしいて、お母さんといっしょに木の下で。だから春まで会えないの。それでおやすみ言いにきたの。春になって目がさめたら、またいろんなお話聞かせてね。」
 そして、まだ目をぱちくりしているはりねずみに、
「はい。これお母さんから。」
と、小さなはちみつのつぼを手わたすと、また、もと来た方へかけていきました。
「きっとだよ!」

はりねずみと金貨6

 子ぐまが見えなくなるまで、じっと見送っていたはりねずみが、ふと気づくと、それは今朝、金貨を拾ったあたりでした。
 はりねずみは手の中の金貨を見ながら、考えました。
(金貨は取っときなよ……か。じゃが、何のために? ほしきのこはあるし、新しいくつもある。あったかいくつ下に、はちみつまであるというのに。)
 はりねずみはしばらく金貨を手の中で転がしていましたが、やがて、それを道ばたにおき、わが家へ向かって歩きだしました。
「だれかの役に立つかもしれんしな。」

はりねずみと金貨8


小学3年生の国語の教科書に載っている物語です。
"What is money for ?" "Money for what ?" と考えてしまいます。
はりねずみが欲しい物を得るのにお金は必要ありませんでした。
はりねずみと仲間たちとの関係と仲間たちの好意によって、はりねずみはお金なしに目的を遂げたのです。
‟只より高い物はない”ということもありますが、この物語の世界には当てはまらないのでしょう。
はりねずみの仲間のはりねずみへの思いやりのある言葉の数々が心を打ちますね。
最後に、はりねずみは、「だれかの役に立つかもしれんしな。」と金貨を道ばたにおき、わが家へ向かって歩きだしました。
この後、この金貨はだれかの役に立つことはあるのでしょうか?
お金というものは物の価値を数量化したもので、価値の交換を効率的に行うものであると思います。
そして、お金に対する信用がなければ、お金の存在効果はないと思います。
現在の私たちは、一応、お金を信用していますから(?)価値の交換がスムーズにいっている(?)と思いますが、どうでしょう?
はりねずみの世界では、はりねずみ自身の信用で、価値の交換ができましたので、金貨は必要ありませんでした。
「閉じた世界で、メンバーみんなが顔見知りで、コミュニティーを形成している」という世界ではひょっとしたら金貨が必要ない世界ができるかも?
「お金は大事なもの?それともなくてもいいもの?」
「お金は何のためにあるの?」
「お金よりも大事なものがある?」
お金についていろいろと考えさせられました。


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