【シノアリス】ジョブストーリーまとめ

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とある辺境の村で暮らす、双子の姉妹。
本を読んだり、歌ったり。仲良く過ごす日々の中、
自分たちが双子であることに疑問を抱いていました。

姉は考えました。
私だけなら、妹の頼み事で時間を取られたりしないのに。
どうして私たちは双子に生まれたんだろう？

妹は考えました。
私だけなら、酔った姉を介抱する手間もかからないのに。
どうして私たちは双子に生まれたんだろう？

さよならの時、ようやく姉妹は気付きました。
この冷たい世界で生きるためには……
寂しさと時間を分かち合う「家族」が必要だからだと。

るぱーぐめー　ふふふふん　ふふふーん　たらーりららり
るぱーぐめー　へはへーひひーん　ふん　ふん　ふん　ふん

るぱーぐめー　ふふふふん　ふふふーん　たらーりららり
るぱーぐめー　へはへーひひーん　ふん　ふん

たりらりらー　らりらりらー　るれろら　れろれろれー
たりらりらー　らりらりらー　るれろら　れろれろれー
たりらりらー　らりらりらー　るれろら　れろれろれー

たりらりらー　らりらりらー　るれーろら　れーろれろれー
よいしょ！

自由（じゆう）
他者からの束縛を受けず、自分の心のままである事。また肉体的制約が無い状態の事。「―を謳歌する」

夢（ゆめ）
睡眠中に見る一連の心象風景。現実ではない出来事を感じること。もしくは、将来実現させたい願望。「―を叶える」

快楽（かいらく）
肉体的・精神的に気持ちが良く、楽しいと感じる事。特に欲望を充足した際に得られる感情。「―にふける」

束縛（そくばく）
縛りつけて自由を奪う事。捉えられた者の意思を顧みず、全てを支配者に委ねる快楽行為。「―を求める」

これは淫蕩を招く蠍の物語です。昔々あるところに蒼い瞳の美しい王女が幸せに暮らしていました。ところがある日、敵国との戦に破れ何もかも失ってしまったのです。

燃え滾る憎悪を抱えながら碧眼の少女はなんとか敵国の後宮に入り込みました。少女は女官長の協力と蠍の毒を利用し、後宮で這い上がることを誓うのです。

王の寵愛を手に入れた少女は更に上を目指します。目指すは頂点、敵国を意のままに操れる立場。邪魔をしてくる正妃は蠍を使って蹴落としました。命を狙われたのですから当然です。

殺されそうになりながらも復讐に足掻く少女。それは女官長にとって愛憎劇を引き起こし退屈を紛らわせてくれる駒の一つ。女官長は今日も退屈知らずで、めでたしめでたし。

Ｑ：バーチャルアイドルになったらヤッてみたい事はナンですか？
Ａ：作者の復活。仮初の体を得ても、私の目的は変わらない。

Ｑ：鋼の意思デスね。イエ、縛られてイルという方が正しいノカ。デモそれじゃ面白くナイので何トカ別の回答ヲ！
Ａ：……あの人が望んだこの体以外、考えられない。

Ｑ：エエと、モット気楽にデスね……ソウだ！イッソ作者にナッテみるとかハどうデスか？
Ａ：は……？
Ｑ：え、イヤだから作者になるのはドウですカ？

Ａ：私が……作者の姿に……？
Ｑ：アレ、モシかして怒ってマス？ケシカラン！とか？
Ａ：私が作者の姿になれば、いつでも作者に会える……！？
Ｑ：アッ、そういう考え方スル？拗らせてマスねェ……

ライブラリに存在スル人物についての暫定報告
氏名：白雪姫／出身：ドイツ及びヨーロッパ
傾向：白は正義と潔癖を象徴スル一方、空虚を強く啓示スル。

出自：グリム童話集　
兄ヤーコブと弟ウィルヘルムのグリム兄弟が収集編纂した童話。内容が異なるエーレンベルク稿が存在スル。

経過：スノウホワイトの美しさを妬んだ母により城を追われ七人の小人の家に身を寄せるも、それを見つけた母親により毒殺を計らレル。凶器は毒リンゴと推測さレル。

現在：通りがかった王子に見染められ、城にて婚儀を行った模様。式に母親を招待したようだが、それ以降、両者ともに消息不明とナル。観察を続行スル。

暗闇の中に佇む蠍。それが私である。私は思い出していた。砂漠に囲まれた王宮の奥深く、この後宮に集う女達のことを。私の持ち主は後宮の女官長だが、彼女は私を様々な女に与えた。

たとえば正妃。私の毒は人間にとって媚薬となる。正妃は媚薬を用いて王を籠絡した。愛人に傾いた王の心を繋ぎとめるため、誇り高い彼女も必死だった。次に愛人の寵姫の話だ。

寵姫は野心家で強か。私を利用し正妃を陥れた手腕は見事の一言に尽きる。奴隷上がりとは言え、さり気ない仕草や癖からも窺い知れる。元は異国の貴族か、王族だった、の……だろう。

……意識が薄れてきた。女官長が私を箱にしまったまま死亡し、何日、経過しただろう。誰も私の居場所を知らない。小さな箱の暗闇の中で私は……惜しむ。もっと観察……した、か……

シノアリス株式会社（代表取締役社長：ギシンアンキ、本社：ライブラリ）は、「釣り★スタコラボ」からスノウ/マグロクレリックを期間限定にてリリースいたします。

釣りをするのに最適な釣り竿と一部サービスに徹した服装をバランスよく配合。正義のスノウホワイトという従来のイメージを保ったまま、多少の魚臭さを加えております。

名称：スノウ/マグロクレリック
原材料名：スノウホワイト、釣りスタ成分、マグロエキス
内容量：毒りんご３個分　価格：オープン価格

備考：正義に徹した製品を追及した為、アレルギー反応が出ることがあります。次の方は使用しないでください。
不良。偽善。怠惰。卑劣。虚偽。スノウにとって悪となる者。

ぼくはこのものがたりをよんで、さくしゃはすごくてきとうなひとだなっておもいました。なぜなら、いろいろとへんなところがあるからです。

おきさきはスノウホワイトをころして、しょうことしてないぞうをとってこいと、りょうしにいいます。ないぞうじゃ、ほかのひとのとくべつつかないのにな、とおもいました。

スノウホワイトも、なんかいもあやしいものうりにだまされすぎです。ばかなんじゃないかなっておもいました。おうじもしたいでいいからもらいうけるとか、なんかこわいです。

りんごがくちからでてきていきかえるなんて、りんごがのどにつまってきぜつしてただけです。りんごのどくはきいてない。ばかしかでてこないばかなはなしだとおもいました。

――ハー、またデスか……
スノウホワイト（以下スノウ）：いきなりため息とは失礼だな。私が何をしたというんだ。

――イヤだって三連覇ナンて面白みノ欠片もありませんヨ？
スノウ：みなが私を支えてくれた結果、それだけだ。それに、人気投票をやって欲しいなんて、頼んだ覚えもないしな。

――正直、他のキャラなんてイラない。なんて思ッテません？
スノウ：失礼なことを言うな！全ての人間にはそれぞれ生まれてきた意味がある。誰一人として蔑ろにされるべきではない！

――ホゥ。それはくるみ割り人形デモ同じなんでしょウカ？
スノウ：そ、それはその、あれだ。そもそも人間なのかということから議論すべきで……。なぁ、この話はもう止めないか？

【ライブラリに存在スル人物についての暫定報告】
氏名：シンデレラ／出身：世界各地
傾向：卑劣デ皮肉屋。自己評価の高さノ陰に卑屈さが見エル。

出自：サンドリヨン、グリム童話集、五日物語など
原典は特定デキズ。世界各地に類似作品が残サレてイル。フランス詩人シャルル・ペローとグリム兄弟によるモノが有名。

経過：継母と姉達に虐めラレ、下働きヲしてイタ娘がイタ。娘は魔法使いノ助けヲ得テ城の舞踏会に参加し、王子の心ヲ射止めた。ダガ、時間切レによりガラスの靴を残シテ城を去ッタ。
現在：妃となった娘がソノ後ドウシタかは定かではナイ。本当ニ母や姉達ニ復讐シたノカ、ソレとも？　娘ガ昇りツメた城ノ扉ハ固く閉ざサレテいる。幸福ナ物語ニ続きはイラナイ。

観察対象は年老いた男。若い女に焦がれ今一度奮い立たせたいと願った。力を貸したものの、奮い立てば女を喜ばせられるという考えは間違っていたらしい。女に泣いて逃げられていた。

観察対象は幼い少女。一人で頑張る母のためにも新しい父親が欲しいと願い、力を貸した。母は男との淫欲に溺れるようになり、少女には見向きもしなくなった。やがて少女は餓死した。

精霊である私の力を使い、何人もの女を廃人にした男がいた。様々な男を溺れさせ、貢がせ、女王のように君臨した女もいた。人の欲は限りなく、生まれる物語も辿る結末も様々だ。

次の観察対象はどうだろうか。力を与えたならきっと数多の悲劇を生み出すだろう。そうして悲しみの海を泳ぐ女がどんな顔をしているのか、それは恐らく観察に値するだろう。

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桜は好きだよ。美しさを誇るように咲く満開の薄紅が散っていく様が、まるで命を散らしているようでね。永遠に綺麗なものなどないと見せつけられるようで……ゾクゾクする……

イマジナリー・コンパニオン（略：ＩＣ）
おもに幼児が空想の中に作り出す、架空の友人／兄弟。
幼児はあたかもその友人が実在するかのように振る舞う。

【診療録】　氏名：グレーテル（自称、姓は確認できず）
傷病名：栄養失調、軽度の打撲
備考：身元不明、記憶の混濁が認められる　性自認に錯誤あり

解離性同一性障害（略：ＤＩＤ）
過去には多重人格障害と呼ばれていた。辛い記憶などから逃れ
るため、本来の自己と切り離された別人格を形成する現象。

【死亡診断書】　氏名：グレーテル・×××××××
死因：後頭部の打撲、および腹部裂傷による出血多量
備考：顔面の損傷が激しく、顔の判別はできず　身元は推測

淫蕩を招く蠍の精霊は滔々と思い出に浸る。

あれはかつて、操り人形に過ぎなかった。今は人の器を手に入れたはずなのに、心根はいつまでも傀儡。

探究に取り憑かれた者もいた。飽くなき好奇心の赴くまま、科学だけでなく、他人の心も土足で無遠慮に漁り続ける姿勢には感服するものの……果たしてどこまで辿り着けるのか。

彼らを観察する私は傍観者。何者でもなく、何色にも染まらない。透明な存在のまま、私は眺める。幾多の命が流れ行くさまを。私の毒に翻弄される宿業を。それだけが私の望みである。

８月４日
夏休み。兄様と二人で新しい兄様を捕りにいく。
新しい兄様は強そうだけど兄様も相変わらず可愛い。

８月１０日
あの女は嫌い。兄様に色目を使うだけではなく、私にも気持ち悪い目を向ける。あの女に関わるのはやめましょう、兄様。

８月２７日
闘技場に兄様の死骸が増えていく。違う。あれは兄様じゃない。ただの虫。でも兄様。兄様？　あれ？　兄様って……

８月５６３０日
兄様を捕まえて兄様を戦わせて兄様を死なせて兄様を捕まえて兄様を戦わせて兄様をしなせて兄さまを捕まえてにいさまをたたかわせてにいさまをしなせてにいさまってなんだっけ

眠り【ねむり】
眠ること。睡眠。いばら姫にかけられた呪い。
例文「死の呪いの代わりに、姫は百年の間――続けるだろう」

安眠【あん‐みん】
安らかな眠り。十分に睡眠をとること。いばら姫の願望。
例文「ここには誰もこないから、――できるの」

惰眠【だ‐みん】
やるべき事をやらずに眠っているさま。いばら姫の喜び。
例文「――を貪る人生って、なんて幸せなんだろう！」

永眠【えい‐みん】
永遠の眠り。死去。いばら姫の理解の及ばぬこと。
例文「――すれば、ずっと夢を見続けられるんでしょ？」

幸せなもの。それは良く晴れた日の朝に二度寝をすること。
その為に、目覚まし時計を少しだけ早くセットするの。
起きるのはお昼で大丈夫。いいえ、夕方でも構わない。

そうしテ日が落ちタ頃に起きテ、ガッかりするの。
「アあ、また一日を無駄にしてシマッタ」って。
そんな後悔を抱えたママ、またベッドに潜り込むのでショウ？

眠りハ何モ生ミ出さナイ。寝てイル間に時間は進ミ、あなたハ世界から置いてイカレル。無生産、むだ、無意味、ムエキ、怠惰。そんな人間、生キテイル価値モ無イ！

デモソレデイイノ。無駄ナ人間ハ寝テイルノガ一番。ソウスレバ誰ニモ迷惑ハカケナイ。ダカラ価値ノナイ命ハ眠リマショウ。何ガ起キテモ（殺サレテモ）寝テイレバイインダカラ……

刑事が事件現場の寝室に立ち入ると若い女と中年の男の遺体が並びその傍らに男の妻である中年の女が呆然とした様子で座り込んでなにやらぶつぶつと呟いていた。

座り込んでいる女に尋ねれば「夫の不貞は知っておりましたがまさかこのような……」と嘆き再び呟きだすのも夫が若い女と結合したまま腹上死しているのを見ては無理もないだろう。

だが異常な色欲の果てに死亡する事故が相次いで起こっていたため刑事は妻であった女にそれを告げると女は微笑んだ。「これは天罰であり神が、あの方が罰を与えてくださった証です」

すぐに見知らぬ言語で異様な祈りを捧げ始めた女の姿に刑事は息をのみ思わず一歩後ずさる。視界の端で蠍のような異様な影がどこかに去ってゆくのが見えた。

Ｑ：アナタはサンタクロースを信ジテいまスカ？
Ａ：サンタさん……？そうね、私は……ふわぁ……
Ｑ：コラこら、質問ノ最中に寝ナイで下サイ。

Ｑ：ホラ、起きテ！寝るナラ答えてカラにシテ！
Ａ：うるさいなぁ……茨のベッドの寝心地を知りたいの？
Ｑ：アッ、結構デス。スミマセン。健やかにお休み下サイ。

Ｑ：案外、コノ娘も暴力に訴えるンですヨネ……
Ａ：眠りを邪魔するからでしょ。赤ずきんほどじゃないわ。
Ｑ：オヤ、起きテいまシタカ。

Ｑ：ソレでアナタはサンタクロースを信ジテいまスカ？
Ａ：夢の中なら、ね。それじゃ……お休みなさ、い……
Ｑ：ナルホド。この娘にトッテは夢ガ現実デスからネ……

ぼくはこのこのものがたりをよんで、まずさいしょにかわいそうだなっておもいました。それは、うまれたときからわるいまじょにしんでしまうのろいをかけられてしまったからです。

ほかのまじょたちはそののろいをふせぐことをできないし、しぬかわりに１００ねんもねむりつづけるまほうをかけられるなんて、ぼくにはちょっとたえられないなっておもいました。

だって１００ねんもねていたら、おいしいものをたべることも、おそとでじゆうにあそぶことも、すきなひとといっしょにいることもできないからです。

でもそんなのろいがとけるころにおうじさまがあらわれて、そのきすでめざめてはっぴーえんどだなんて、やっぱりにんげんのつくるはなしは、ごつごうしゅぎなんだなとおもいました。

ライブラリに存在スル人物についての暫定報告
氏名：赤ずきん／出身：ドイツ及びヨーロッパ
傾向：赤は愛情と破壊を象徴し、食は性的指向を強く啓示スル。

出自：グリム童話集　
兄ヤーコブと弟ウィルヘルムのグリム兄弟が収集編纂した童話集ヨーロッパ各地に伝わる民話が原典ともいわれてイル。

経過：狼は家宅侵入の後、オバアサンを補食。続き、オバアサン宅を訪れた赤ずきんを補食スル。ソノ後、通りかかった猟師が異変に気づき、狼の腹部は引き裂かれる。以て両名ヲ救出に至ル。

現在：狼の補食行為により、赤ずきんが生き残ったノカ、死んだノカ、その結末は不明瞭。前報告者が消息を絶った為、五人目の調査担当を至急要請スル。

とある村に貞淑で美しい人妻が居りました。彼女は物静かで実直な夫と仲睦まじく暮らして居りました。ですがそれでも一夜の情けを乞い願う男は、後を絶たなかったのでございます。

雨の夜、苦悩する男達の前に一人の女が現れ告げました。
「蠍の毒から作られたこの媚薬を口にすれば、どれ程貞淑な女も淫らになる」
男達は薬を手に入れ、夫が不在の時を狙いました。

薬で我を失い、淫らに花開いた人妻は男達との淫欲に溺れました。けれどある時、出掛けた筈の夫が突然戻り、猟銃で妻と男達を撃ち殺すと、自らの頭も撃ち抜いたのでございます。
「なんて可哀想なの。でも次はもっともっと悲劇を！」

媚薬を渡した人魚姫は次の悲劇を求めます。蠍の力に溺れるほど彼女が異形に堕ちてゆくのは、言わぬが花でございましょう。

たけとりの―おきな『竹取りの翁』
［名］竹を取り生計を立てる老人。かぐや姫を竹の中から見つけた。その後カラ、金銀財宝に恵まれるようになッタ。

かぐや―ひめ『かぐや姫』
［名］竹の中から見つかッタ赤子。なよ竹のかぐや姫。美しき容姿を持つ。多く男性カラ求婚されるモ、難題を突き付ケ全てを断ル。

いじょう―たんじょうたん『異常誕生譚』
［名］通常とは異なル形態デ生まれる子供が出てくル話。かぐや姫は竹から生まレ、３ヶ月で成人シタ。

ひ―ぎゃく『被虐』
［名］いじめらレ、しいたげらレル事。かぐや姫の望み。切なる願い。

【本誌独占スクープ！　欲望に縛られた謎の死美人】
先日、都内にある高級ホテルの一室で女性の遺体が発見された。女性は一糸まとわぬ姿でベッドに横たわっていたという。

その豊満な肉体には、無数の打ち身やミミズ腫れが刻まれてた。手足に残る縄の痕は緊縛されていた事を示している。
また、ベッドの脇には数々の『おもちゃ』が残されていた。

実はこの被害者、界隈では有名なＭ嬢。見惚れる美貌に、緊縛、鞭打ち、何でもござれ。それでも満足できず、
さらに過激なお仕置きを求めることもあったという。

死因は客とのトラブルか――そう思われた矢先、検死の結果が出た。なんと、一人で遊んだゆえの自死だったというのだ！
快楽を求めた果ての寂しい結末だが、本人は満足に違いない。

かつての古き時代。男があった。立身出世に囚われた男は宦官となり、政の世界へと片足を踏み入れる。男は一人の側室に仕えた。側室の字は恵。美しいが慎ましくどこか儚い女だった。

側室が帝から受ける寵愛が即ち男の権力。恵は閨でも控えめな女であった故、男は秘薬を入手した。籠絡の蠍。蠍の毒は人を淫蕩へと堕落させる。次の閨で帝に使うように進言したのだ。

毒を使い始めた途端、帝は足繁く通い側室は位を上げた。男は喜んだ。自らも権力を手にしていったからだ。だがある日、女は死んだ。死因は薬物の過剰摂取。男はようやく気付く。

蠍の毒を服用していたのは女だったのだ。女が何を考え自ら毒を呷っていたのかはとんと分からぬ。ただいつも窓辺で寄る辺なく佇んでいた女の美しくも憂いた横顔だけが、胸に残った。

◇月×日
竹取物語を読みました。私は今、驚愕の事実に震えています。かぐや姫さんって月の住人――つまり宇宙人だったんですね！

◇月△日
『かぐや姫さん里帰りプロジェクト』を勝手に立ち上げました。これは、私の知識と技術が宇宙に通じるかどうかの戦いです。決して負けられません。

◇月■日
月でも自由に行動できる服が完成しました！某航空宇宙局をも凌ぐ高性能と断言できます。ブースト装置として、かぐや姫さんが所望した５つの宝も設置しました。完璧です！

◇月〇日
いよいよ決行日。遠慮するかぐや姫さんに服を着せてロケットに詰め込みました。ロケットは突貫工事ですが、私なので大丈夫でしょう。ではかぐや姫さん、いってらっしゃ――あ。
…………………………まあ、失敗は成功の母、ですよね！

メーカー：シノアリス株式会社
モデル名：かぐや姫/インベーダー
ＣＰＵ：Ｔａｋｅｔｏｒｉｍｏｎｏｇａｔａｒｉ　８０８０

遊び方：１人でも２人でも遊べます。殿方に求婚されたら、
難問を突きつけて撃破してください。ＭＩＫＡＤＯを追い
返すと、ミステリアスポイントとして得点が加算されます。

１５００点以上得点すると、月からの使者を迎え撃つ軍勢が
追加されます。軍勢が全滅したり、かぐや姫が月に帰還したら
ゲームオーバーです。

備考：一説では、かぐや姫は宇宙人だと言われています。異常
な成長速度や、ＵＦＯを思わせる迎えの描写がそう思わせるの
かもしれません。なお、水着はこの説に一切関係ありません。

この３年は悪夢のようでしたわ。
だって、強い殿方に出会えなかったんですもの。
誰も、私が願うようにこの体を虐めてはくれなかった……

もしかして、私、魅力がないのでしょうか。
だから強い殿方が寄ってこないのでしょうか。
そう――きっとそうですわ。何もかも私がいけないのです！

もっと私に魅力があれば、皆さんに苛んでいただけたのに。
服を破って、縛って、打って、歌って、貫いて……ああ……
もっともっと、あられもなくお仕置きして貰えたのに！

私、心を入れ替えました。これからは皆さんが「強くなってこの卑しい女を虐めたい」と思うような女になります。それが、３年も私を見ていてくれた皆さんへの恩返しですわ。

患者名：ピノキオ
主訴：なぜここにいるのか分からない。
漠然とした不安に駆られる。他者の指示が欲しい。

疾患名：依存性人格障害（現段階では仮とする）
初診時所見：自らの行動の決定権を他者にゆだねる傾向あり。
さらには思考力の低下による感情の欠如も見られる。

疾患名：妄想性障害（現段階では仮とする）
初診時所見：自らを人形と述べる。
嘘を吐くと鼻が伸びるなどの発言もあり。

その他・補足（主観あり）：診療中「杖が殺せと言っている」
などと主張。やはり妄想性障害の可能性が高■×こ８おえｄｗ
――診療データはここで途切れている。