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2018年06月06日

赤ずきん / ソーサラー

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夜の獣は畏れられていた。それは、影となり森を駆け抜けるという。影は伸上り、幾重にも広がり、踊り、姿を変えながら常闇をつれてくる。そして黒き森がうまれる……

彼の地は森深く、豊かな木々の恵みに守られていた。森と共に生きる村人は、風をよく知る人々でもあった。風は影を運び、影は夜の獣と共にある。森のざわめきが風を知らせてくれた。

風を知れども、風は気まぐれ。夜の獣に森が呑まれたときには、赤い御色が守ってくれる。だから、真っ赤な御色で我が身を包むよう、村の長は焚火の傍らで皆に語るのであった。

今日も少女は赤い頭巾を目深にかぶり森をゆく。木漏れ日と小鳥のさえずる道をゆく。このまま黒き森にさ迷い込まないよう祈りながら。そして、いまだ夜の獣をしかと知る者はいない。
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