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2017年09月24日

不老不死の秘薬の原料とされた赤い石“シンナバー”(辰砂)

神仙思想は不老不死の仙人になることを理想とした思想で、中国では紀元前の時代から大いに流行していた。こうした思想の持ち主にとって、辰砂は他の何にもまして貴重な石だった。辰砂をその他の物質と調合し、様々な方法で加工することで不老不死の秘薬が完成すると信じられていたからだ。しかし、これはかなり危ない考え方だ。辰砂はまたの名を丹砂という。丹とは朱色のことで、辰砂はそのままの状態では朱色をしており、昔からずっと朱墨や赤絵の具の原料として利用されてきた石である。また、その成分は硫黄と水銀であり、水銀の主要な原料としても有名である。こんなものを飲んで身体にいいはずがない。しかし伝説では、その薬を飲んで不老不死の仙人になった人がかなりいると伝えられている。

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では、不老不死の薬としてなぜ辰砂が重要視されたのか? それは、辰砂に水銀が含まれていることと関係がある。先述したように、辰砂は硫黄と水銀の化合物で、硫化水銀という物質である。この辰砂を焼くと水銀が蒸発し、蒸発したものを冷やすと水銀が抽出できる。この水銀には、変幻自在な性質がある。というのは、水銀は塩と一緒に焼くと塩化水銀という白い粉になるし、酸化すると赤や黄の酸化水銀になる。ところが、これらの物質をさらに焼くと、そこから再び純粋な水銀を取り出すことが出来るのだ。つまり、水銀というのは様々な形に変化することが可能である上、尚且ついつでも元の水銀に戻ることが出来る物質なのである。

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このような変幻自在な物質を人間が服用したらどうなるか。物質の性質がそのまま人間に乗り移り、人間もまた変幻自在な性質を手に入れることが出来るに違いない。人間は生まれたときから年月と共に歳をとり、髪は白くなり、顔はしわくちゃになり、腰も曲がってしまうが、水銀から作られた丹薬を飲めば、水銀と同じように元の若さを取り戻すことが出来る。また、死んだ後に新しい人生を始めることも出来るはずだ、と考えられたのだ。

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このような考え方は昔の魔術的な思考の基本と言ってよい。ほとんど全ての宝石が、かつて薬として利用されたのもこのためである。ダイヤモンドが不変の愛の象徴になるのは、物質の中で最も硬く、不変の性質を持つからである。真っ赤なルビーが、血の色をしているからという理由で血止めの薬になると考えられたのも、同じである。

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不老不死の薬には辰砂から作られた丹薬の他に、黄金から作られた金液があると言われるが、黄金が不老不死の薬になる理由も、このように考えれば理解できるだろう。黄金は、永遠に錆びない不変の物質だからだ。では、変幻自在な丹薬と永遠不変の金液とでは、どちらが優れているかというと、神仙思想では丹薬の方が優れたものと見なされている。たとえ不老長寿になったとしても、老人の身体で永遠に不変なのでは、面白くないと考えたからだろう。それよりは、歳をとっても若返り、死んでも生まれ変われるという変幻自在さの方が、優れているのは確かである。

このように変幻自在な性質を持つ水銀は、ヨーロッパの錬金術においても重要な物質とされている。その意味で辰砂は、あらゆる石の中で最も神秘的な石と言っていいのかもしれない。

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