2017年02月19日
【都立中高一貫校】 2017年受検事情から見えてくること 〜 受検者数減だけではわからない入学辞退者数減から見える都立志望者の動き 〜
★ 幸せかどうかは自分次第である
遅ればせながら、まずは、都立中高一貫校に合格されたご家庭の皆さま、おめでとうございます。
ずっと目標にしてきた学校でしょうから、期待に胸を大きく膨らませていることだと思います。
続いて、残念な結果となったご家庭の皆さま、暫くは難しいかもしれませんが、なるべく早く気持ちを切り替えて前を向いて頑張って行きましょう。
一般の公立中学に進学する子供が大半だと想像しますが、一般の公立中学で頑張るのもそんなに悪くないと思います。
我が家の場合、都立中高一貫校と一般の公立中学の両方に子供が通っている(通っていた)ので、両方を知っている訳ですが、結局最後は、子供本人と家族の気持ち次第で良くも悪くもなるんだと思います。
”Happiness depends upon ourselves.”
「幸せかどうかは自分次第である」
これは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの残した言葉です。
(後世の人々が彼の考えを英語で表現したものです。)
ちょっと偉そうだなぁと思いつつも、少しでもお役に立てばと書いてみました。
さて、今日は今年の受検状況をデータで振り返ってみようと思います。
これら受検状況をデータで見てみると・・・。
あれ?
あれあれ?
今年の都立中高一貫校の受検事情は、昨年までの様子とちょっと違いそうです。
★ 入学辞退率と有名進学塾合格実績が語る真実
今日は、都立中高一貫校10校の入学辞退率とSAPIX合格者数を見てみようと思います。
これら数字を見ると、私立との併願状況など様々なことが想像できます。
入学辞退率は、東京教育委員会のホームページで数値を確認し、(定員数ー入学手続者数)÷ 定員数 で求めた数値を%で表示しました。
この入学辞退率は、都立中高一貫校の合格を袖にして、私立中学の方に入学する子供の割合ということになります。
また、SAPIX合格者数、SAPIXのホームページの合格速報から確認しました。
このSAPIX合格者数を見ると、難関・中堅上位の私立中学と併願したであろう子供の数・割合が想像できます。
まあ、何はともあれ、数字を見てみましょう。
(九段は、一部数値が確認できないこともあり、対象から外しています。)
< 2017年 都立中高一貫校の入学辞退率 >
※ 数値は%、()内は昨年の数値、矢印は増減
学校名 | 男子 | 女子 | 男女平均 |
---|---|---|---|
小石川 | 11.3 (16.3) ↓ | 25.0 (18.8) ↑ | 18.1 (17.5) ↑ |
両国 | 13.3 (16.7) ↓ | 5.0 (3.3) ↑ | 9.2 (10.0) ↓ |
桜修館 | 5.0 (5.0) → | 10.0 (16.3) ↓ | 7.5 (10.6) ↓ |
武蔵 | 8.3 (8.3) → | 6.7 (11.7) ↓ | 7.5 (10.0) ↓ |
大泉 | 3.3 (3.3) → | 5.0 (3.3) ↑ | 4.2 (3.3) ↑ |
立川国際 | 1.5 (0.0) ↑ | 4.6 (4.6) → | 3.1 (2.3) ↑ |
白鴎 | 1.3 (1.3) → | 4.1 (4.2) ↓ | 2.6 (2.7) ↓ |
南多摩 | 0.0 (6.3) ↓ | 3.8 (1.3) ↑ | 1.9 (3.8) ↓ |
三鷹 | 1.3 (5.0) ↓ | 1.3 (7.5) ↓ | 1.3 (6.3) ↓ |
富士 | 0.0 (5.0) ↓ | 0.0 (5.0) ↓ | 0.0 (5.0) ↓ |
10校平均 | 4.4 (6.7) ↓ | 6.9 (7.9) ↓ | 5.6 (7.3) ↓ |
< 都立中高一貫校毎のSAPIX合格者数の推移 >
※ 数値は人数
学校名 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
小石川 | 27 | 31 | 31 | 29 | 14 | 30 | 30 |
桜修館 | 2 | 8 | 15 | 20 | 16 | 12 | 12 |
両国 | 3 | 3 | 2 | 4 | 4 | 7 | 8 |
武蔵 | 2 | 9 | 3 | 6 | 4 | 5 | 4 |
大泉 | 2 | 1 | 3 | 4 | 4 | 2 | 4 |
南多摩 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 |
三鷹 | 4 | 4 | 5 | 3 | 0 | 2 | 0 |
富士 | 4 | 2 | 2 | 0 | 4 | 1 | 0 |
立川国際 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 |
白鴎 | 0 | 2 | 4 | 0 | 2 | 0 | 0 |
10校合計 | 46 | 62 | 67 | 68 | 49 | 60 | 59 |
★ 数字から見えてくること
さて、まずは、都立中高一貫校10校の入学辞退率とSAPIX合格者数を見て頂きました。
何か気づいた点があったでしょうか?
「あまり昨年と変わらないし、何も気づかねえよ!」
と、言われそうです。
確かに、パッと見た限りはあまり変わらないように見えるのですが、前々回の記事(【都立中高一貫校】2017年の受検倍率を見て思うこと)を踏まえ、よくよく数字を見ると、見えてくることがあります。
そう、次のような事実が見えてくるのです。
@ 受検者数は減少傾向ながら、都立中高一貫校を第一志望とする子供の割合は増加に転じたこと。
A 受検者数は減少傾向ながら、難関・中堅上位の私立と併願する高偏差値の受検者の数はさほど減っていないと思われること。
上の2表で、次のポイントを見て欲しいと思います。
A. 入学自体率について
〇 10校合計の男女平均は、昨年に比べ、1.7%減少したこと(増加し続けてきた辞退率が減少に転換)
〇 10校合計の男子は、昨年に比べ、2.3%も減少したこと(辞退者数が2/3となるほどの減少)
B SAPIX合格者数について
〇 10校合計は、ほぼ横ばいであること(高偏差値層の動きにさほどの変化なし)
どうでしょうか?
3〜4年前、白鴎や桜修館・小石川・両国・九段の1期生の卒業実績で、受検者数が大きく増えるという変化がありました。
そして今、今までの大学合格実績や様々な教育への取り組みが評価され、都立中高一貫校を第一志望とする家庭が増える形で、目立たない静かな変化が始まろうとしているのかもしれません。
難関・中堅上位の私立と併願する高偏差値の子供達についても、合格者数が横ばいの中で、辞退者数が相応に減っている事実を踏まえると、難関・中堅上位の私立を袖にして、都立中高一貫校に入学する割合が増えているように思います。
上表でSAPXを見ましたが、ちょいと日能研も見てみました。
日能研では、小石川に26名(昨年23名)、桜修館に22名(昨年22名)が合格であり、SAPIX以外の私立受験を念頭に置いた進学塾の合格者も横ばい(少し増加?)と見ると、結果として、やはり私立よりも都立を選ぶ家庭が増えたように思えるのです。
入学辞退率が低下したのは一時的なのかどうか、そして、本当に都立中高一貫校を第一志望とする家庭が増えたのかどうかは、まだ今年の状況だけで結論づけるのは急ぎすぎです。
ただ、今までの流れが少し変わろうとしているように思えてなりません。
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以上
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