2017年07月20日
磯部涼(編集) 「新しい音楽とことば」
そのタイトルの通り、音楽と言葉、要は歌詞についてのインタビュー集。
登場するのは、石野卓球(電気グルーヴ)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、菊地成孔、七尾旅人、前野健太、大森靖子、城晶平(cero)、若旦那(湘南乃風)、ティカ・α(やくしまるえつこ)、じん、の子(神聖かまってちゃん)、三浦康嗣(□□□)、tofubeats。
磯部涼は、『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』では日本語ラップを、『音楽が終わって、人生が始まる』『ゼロ年代の音楽』では日本語ラップとシンガーソングライターを中心に書いている事でもわかるが、この本の「おわりに」にも書いてある通り「歌詞のことばかり考えてきたタイプ」の人だ。
元々ファンで著作は読んできているが、本作は磯辺涼 編ということで、彼が全てのインタビューを行っているわけではない。
なので、人によって熱量に差があるというか、本作のテーマに沿って聞き出していくというよりは、ただ単に新作が出た時のインタビューのようになっているのもある。
特に最悪なのは北沢夏音のティカ・α(やくしまるえつこ)インタビュー。まぁメール・インタビューの再構成って事だし、回答ももったいぶったアレな感じなので大変だったんだろうな、とは思うがいくらなんでもどうかとは思う。
やたら引用をしていて質問の方が長く、あげく「ご教示ください」だの「気がするのですが・・・・・・?」「なんて思ったりして・・・・・・(笑)」なんて事を書いている(挙げたのは全て回答ではなく質問文の文末)。ファンジンかよ。つか今ググッたら、50超えたオッサンじゃん。若い女性かと思ったわ。『Bar-f-out!』誌創刊編集長・・・マジか・・・。
興味のあるアーティストを先に選んで読んでいくと、やはりほとんどが磯部涼が担当したもので、その後に徐々にそれ以外のものを読んでいったんだけど、どうしても差があるよなぁ・・・。
しかも磯部涼の部分でさえ、ちょっと時間を空けて考えてみると、あまり印象に残ってなかったりするんだよね。
磯部涼は元々歌詞にこだわりのある人なので、特別「音楽とことば」に特化した本書でなくてもインタビューなり批評なりでの扱うのは歌詞の話が多いし、さほど「この本ならでは」という事でもない気もするからかな。
という事で、わりと面白く読めたんだけど、ことさらこの本を読む必要があるとも思えないっていうのが本音かな。
同種の本だと、『ラップのことば』の方が深く聞いていたし、技術論もあったりして良かったと思う。
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好きなミュージシャンであれば、当然インタビューもチェックしているだろうから得るものはそんなに無いし、ろくに知らないミュージシャンの語る歌詞の話だけを読むのは中々にツライ。
やっぱり歌詞単体でどうこうではなく、あくまで音楽の一部だからね。
そういう意味で言えば、アジカンの後藤正文や湘南乃風の若旦那など、好きでは無いが興味はある人たちのインタビューは興味深かったかな。特に、若旦那のクレバーさはちゃんとインタビュー読まないとわからないものだと思う。
磯部涼『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』の感想↓
https://fanblogs.jp/gateofdoom/archive/492/0
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