2008年10月16日
デフォルト目前にした中小国家の危機
デフォルト目前にした中小国家の危機
http://www.y-asakawa.com/message/kinkyu-message43.htm
ワシントンポストは、今回の緊急対策で先進国が何とか一息ついている中で、アイスランドをはじめとした中小規模の国家が通貨急落・銀行危機の脅威に直面していると警鐘をならしてい る。
現在、金融危機が噂されている国は、アイスランド・韓国・スイス・パキスタン、ハンガリー、ウクライナなどが噂されており、世界中では10を超えるのではないかとも言われて いる。
これらの国は、民間銀行への緊急援助どころか、今国家そのものが財政や通貨急落、ドル不足で危機的状況に陥っている。しかし、先進国は今自国の金融市場 の安定を優先するあまり、これらの国の困窮状態に構っていられない状況にある。 その間に危機的状況は日増しに大きくなっていく。
このままの状況が続くようなら、これらの国々は遅かれ早かれデフォルトを宣言し、IMFの管理下におかれることになるに違いない。アイスランドでは、既に主要銀行を国有化し市場閉鎖に踏み切っている。その結果、高利回りを期待して預金していた隣国イギリス国民の預金が封鎖され引き出せない事態が発生している。
慌てたイギリス政府はアイスランド政府に掛け合ったが、らちがあかず、結局、民間人の預金はイギリス政府が保証する措置に踏み切ることとなった。ところが、調べてみると、アイルランドの銀行には個人預金だけでなく、民間や公的機関の共済年金も大量に預金されていることがわかり、慌てたイギリス政府はテロ特別法 というとんでもない法律を適用して、アイスランド人の預金を凍結する対抗手段に出た。
その結果、アイスランド政府は、イギリスは自分たちをテロの犯罪者と同一視するのかと怒り、今両国の関係は最悪の状態に陥ってしまっている。このままだと、いつ紛争が起きてもおかしくない状況である。
ウクライナ政府は今週、Prominvesbankを国有化し、債権者への支払を止めてしまった。また、今年に入って73%も値下がりしたキエフ株式市場を閉鎖した。ハンガリーも昨日は、同国最大の銀行OTPへの取り付け騒ぎが起きて、ブダペスト株式市場は13%も値下がりし、財務省は国債入札のキャンセルを余儀なくされている。
パキスタンでは、ルピーが市場最安値を更新中で、格付け会社 S&Pは、パキスタン国債を完全不良債権直前のレベルである「CCC+」へ格下げした。 また、同国中央銀行の外貨準備は、たった$47億になってしまっており、デフォルトは時間の問題となってきている。
一方、韓国政府は既にお知らせしているように、極度のドル不足に陥っており、李明博(イ・ミョンバク)大統領が最悪のシナリオから韓国を保護するため、政府機関に危機管理計画を準備するよう要請したニュースは「四つの窓」Dでお伝えした通りである。
最近の情報によると、韓国政府は国民に対して、所有するドルを自発的に国に提供するよう呼びかけ始めたようである。戦時中、我が国において鉄や銅ななどの金属類を国に放出する要請が出されたのと同じ状況であることを考えると、いかに、隣国が危機的状況におかれているかが、分かろうというものである。
このように、アイスランドをはじめとする各国は、デフォルト直前の厳しい状況に追い込まれて おり、あとは、こうした国々の窮状が、世界の主要国の経済環境が回復するまで持つかどうかの一点に絞られたようである。
IMFの管理に入った場合、国の政策に厳しい条件が付けられ、国民の暮らしが困窮に追い込まれることはご存じだと思うが、それより問題なのが、IMFは デフォルト宣言を出した国を管理下に置く条件として、貸し手の金融機関の借金の棒引き等を求めることである。そのため、デフォルトの噂が立つと、個人預金者だけでなく外国の銀行が資金の引き上げに走ることになる。
それゆえ、噂に上がっている国々が通貨安やドル不足などで、これ以上厳しい状況に追い込まれた場合は、世界金融市場に大激震が走ることになるのは必定である。先進国の資金投入などのニュースだけに気をとられていると、足下をすくわれることになる。用心が肝要である。
http://www.y-asakawa.com/message/kinkyu-message43.htm
ワシントンポストは、今回の緊急対策で先進国が何とか一息ついている中で、アイスランドをはじめとした中小規模の国家が通貨急落・銀行危機の脅威に直面していると警鐘をならしてい る。
現在、金融危機が噂されている国は、アイスランド・韓国・スイス・パキスタン、ハンガリー、ウクライナなどが噂されており、世界中では10を超えるのではないかとも言われて いる。
これらの国は、民間銀行への緊急援助どころか、今国家そのものが財政や通貨急落、ドル不足で危機的状況に陥っている。しかし、先進国は今自国の金融市場 の安定を優先するあまり、これらの国の困窮状態に構っていられない状況にある。 その間に危機的状況は日増しに大きくなっていく。
このままの状況が続くようなら、これらの国々は遅かれ早かれデフォルトを宣言し、IMFの管理下におかれることになるに違いない。アイスランドでは、既に主要銀行を国有化し市場閉鎖に踏み切っている。その結果、高利回りを期待して預金していた隣国イギリス国民の預金が封鎖され引き出せない事態が発生している。
慌てたイギリス政府はアイスランド政府に掛け合ったが、らちがあかず、結局、民間人の預金はイギリス政府が保証する措置に踏み切ることとなった。ところが、調べてみると、アイルランドの銀行には個人預金だけでなく、民間や公的機関の共済年金も大量に預金されていることがわかり、慌てたイギリス政府はテロ特別法 というとんでもない法律を適用して、アイスランド人の預金を凍結する対抗手段に出た。
その結果、アイスランド政府は、イギリスは自分たちをテロの犯罪者と同一視するのかと怒り、今両国の関係は最悪の状態に陥ってしまっている。このままだと、いつ紛争が起きてもおかしくない状況である。
ウクライナ政府は今週、Prominvesbankを国有化し、債権者への支払を止めてしまった。また、今年に入って73%も値下がりしたキエフ株式市場を閉鎖した。ハンガリーも昨日は、同国最大の銀行OTPへの取り付け騒ぎが起きて、ブダペスト株式市場は13%も値下がりし、財務省は国債入札のキャンセルを余儀なくされている。
パキスタンでは、ルピーが市場最安値を更新中で、格付け会社 S&Pは、パキスタン国債を完全不良債権直前のレベルである「CCC+」へ格下げした。 また、同国中央銀行の外貨準備は、たった$47億になってしまっており、デフォルトは時間の問題となってきている。
一方、韓国政府は既にお知らせしているように、極度のドル不足に陥っており、李明博(イ・ミョンバク)大統領が最悪のシナリオから韓国を保護するため、政府機関に危機管理計画を準備するよう要請したニュースは「四つの窓」Dでお伝えした通りである。
最近の情報によると、韓国政府は国民に対して、所有するドルを自発的に国に提供するよう呼びかけ始めたようである。戦時中、我が国において鉄や銅ななどの金属類を国に放出する要請が出されたのと同じ状況であることを考えると、いかに、隣国が危機的状況におかれているかが、分かろうというものである。
このように、アイスランドをはじめとする各国は、デフォルト直前の厳しい状況に追い込まれて おり、あとは、こうした国々の窮状が、世界の主要国の経済環境が回復するまで持つかどうかの一点に絞られたようである。
IMFの管理に入った場合、国の政策に厳しい条件が付けられ、国民の暮らしが困窮に追い込まれることはご存じだと思うが、それより問題なのが、IMFは デフォルト宣言を出した国を管理下に置く条件として、貸し手の金融機関の借金の棒引き等を求めることである。そのため、デフォルトの噂が立つと、個人預金者だけでなく外国の銀行が資金の引き上げに走ることになる。
それゆえ、噂に上がっている国々が通貨安やドル不足などで、これ以上厳しい状況に追い込まれた場合は、世界金融市場に大激震が走ることになるのは必定である。先進国の資金投入などのニュースだけに気をとられていると、足下をすくわれることになる。用心が肝要である。