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ドル資金市場は崩壊寸前、最後の貸し手FRBが膨大なドル資金供給へ

〔アングル〕ドル資金市場は崩壊寸前、最後の貸し手FRBが膨大なドル資金供給へ

2008年 09月 26日 14:17 JST 森 佳子記者
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK016909320080926

 [東京 26日 ロイター] 金融機関同士がドルの短期資金を融通するインターバンク市場で、翌日物資金の貸し借り以外は取引が成立しないという異常事態が発生している。参加者が信用リスクに極端に敏感になり、短期のドル建てローンが返済されないかもしれないとの危惧が高まっているためだ。民間金融機関の相互不信が続くなか、米連邦準備理事会(FRB)は膨大なドル資金を連日供給しているが、それらの資金は市場に放出されず、機能不全は改善していない。


 <ドル資金市場は機能不全から崩壊へ>


 「ドル市場は壊滅状態。資金の出し手がいなくなり、翌日物以外は取引が皆無となっている。レートが高い、安いという状況ではなく、レートそのものが存在しない」と外銀資金担当マネージャーは言う。

 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は25日、現在の世界的な信用危機はカウンターパーティー(取引相手)に対する「信頼感の極端な欠如」が特徴だとし、金融機関の相互不信で市場の流動性が干上がった結果、「FFレートとLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)の金利差はノーマル状態を逸脱して大幅に拡大している」と述べた。

 3カ月物ドルLIBORは、25日に3.76875%となり、月初の2.8100%から上昇が止まらない。だが、このレートですら市場実勢とはかけ離れているという。

 「実際は(ドルLIBOR)1カ月物以上は5%台、1年は7%台だと思うが、その水準でも出し手がいない。FRBが市場にある全ての資金ニーズに応えるのでなければ、この状況は年末まで続くだろう」(外銀)という。

 ドル資金市場の機能不全はベアー・スターンズ危機以降は恒常化していたが、少なくとも9月上旬までは、1カ月物資金で5億ドル程度の調達が可能だった。


 バーナンキFRB議長は24日、世界の金融市場は「異例の緊張下」にあり、「既に弱まっている米経済に脅威となっている金融市場が機能停止すれば、住宅市場の低迷はより長期化、深刻化する」との見解を明らかにし、今後も市場を支援する姿勢を示した。

 しかし市場では、FRBの公開市場操作(オペレーション)によるドル資金供給が、超短期物に偏り、より安定効果の高い長めの資金供給が十分にされていない、との不満の声も聞かれる。


 <カウンターパーティー・リスク>

 

 欧米金融機関がお互いの信用力を疑うなかで、金融機関の信用力のバロメーターである2年物のスワップ・スプレッド(スワップ金利と同年限の米国債利回り格差)は24日に過去最大の166.38ベーシス・ポイント(bp)まで急拡大した。

 2年物のスワップ・スプレッドは、市場が米当局の危機収束能力に期待を抱いていた8月下旬から9月半ばまでは90bp台を安定的に推移していた。

 「(スワップ・スプレッドの)異常な拡大は、リーマンを相手とするスワップやオプション取引の清算、入れ替えを反映している側面もある」(証券会社)という。

 9月15日に経営破たんしたリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)は、スワップ市場での有力ディーラーだったため、JPモルガンの推計では、想定元本ベースで10兆ドルの入れ替え需要が取引相手に発生しているとされ、既に極限まで高まっているカウンターパーティー・リスク意識を刺激した。


 他方、香港のサウス・チャイナ・モーニングポスト紙は25日、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)が中国の銀行に対し、米金融危機が収束するまでは、米銀への貸し出しを抑制するよう行政指導したと報じた。CBRCの王兆星副主席は25日、同報道を否定したうえで、同副主席は「中国の銀行が米銀への融資に消極的であるとすれば、それは通常のリスク管理の範囲内だ」と述べている。

 

 信用収縮が続く中で、デフォルトが無いとされる米国債、特に米政府短期証券への資金流入は止まらず、1カ月物のトレジャリー・ビルの利回りは24日に0.13%まで下落、限りなくゼロに近づいている。 


 <最後の貸し手>

 

 ドル世界の最後の貸し手であるFRBは、連日膨大な流動性を供給している。

 FRBが25日に発表した9月24日までの1週間の連銀貸し出しは1日平均1877億5300万ドルで前週の4倍に膨れ上がり、過去最高を記録した。信用危機を背景に、米金融機関や証券会社がFRBからの借入を急激に増やしていることが背景。

 24日時点の貸し出し残高ベースでは、FRBは金融機関及び証券会社に対して合計で2177億ドルの融資を実行中だ。

 うちわけは、商業銀行向けが約393億ドル、証券会社向けが1057億ドル、FRBが19日に導入した政府によるMMF(マネー・マーケット・ミューチュアル・ファンド)の保証措置を支援する新融資制度のもとで、銀行向けに727億ドル融資を実行している。

 加えて、ニューヨーク連銀との総額850億ドルの融資枠契約を結んだ米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)に対して、FRBは446億ドルの融資を実施している。

 また、FRBは18日、ドルの流動性改善のため、欧州中央銀行(ECB)、日銀、英中銀、スイス、カナダ中銀との間で最大1800億ドルの暫定的スワップ協定を締結した。その約1週間後、FRBはさらにオーストラリア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの中銀と総額300億ドル規模の暫定的スワップ協定を締結している。


 <消えたドルと金融安定化策>


 FRBは膨大なドル資金を市場に注入しているが、それらの資金は市場に放出されず、金融機関に囲い込まれているのが実情だ。

 ニューヨーク連銀によると、短期金利の指標となるフェデラル・ファンズ金利(FF金利)は15日に一時7%まで跳ね上がり、その後も6%をつけるなど不安定な情況が続いた。このなかで、金融機関は法律によりFRBに預け入れることが義務付けられている所要準備額を大幅に上回る超過準備を、中央銀行にある自らの口座に積み上げている。

 超過準備は今年の4―8月には20億ドル前後で推移してきたが、ライトソンICAPの推計では18日の超過準備は1900億ドル前後に拡大したもようだ。

 他方、米トレジャリー・ビルの利回りはゼロ%に接近していることから、超過準備に回らなかったドルは、とりあえず安全な米国債に投資されているもようだ。

 だが今後は、とりあえず安全な米国債の需給バランスの崩れも懸念される。


 公的資金による不良資産の買取り最大7000億ドルを含む米金融安定化法案は、現在議会での協議されているが、法案が議会を通過すれば、買取り原資調達のため、連邦政府の法定借入上限は現在の10兆6000億ドルから11兆3000億ドルに引き上げられ米国債が増発される。さらに米住宅市況が悪化すれば、不良資産の拡大は避けられず、米国債の増発が一段と拡大するだろう。

 米メリーランド大学のピーター・モリチ教授は22日「米金融安定化策は、無能な米金融機関のマネジメントの問題と、大規模な金融行政改革の必要性を棚上げしている。これらを避けて通れば、金融機関の破たんがまた1、2年後に繰り返され、政府が社会保障やヘルス・ケア改革での目標達成を制約するだろう」 と述べている。


 *(ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)


(yoshiko.mori@thomsonreuters.com;03-6441-1877;ロイターメッセージングyoshiko.mori.reuters.com@reuters.net)



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