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2016年04月14日

Arctanx の導関数をベースに色々なグラフを描いてみます

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Arctanx の導関数

 今回は次のような偶関数をベースにします。

偶関数

 これは逆正接関数 arctan(x) の勾配を表す関数(導関数)です。
 つまりこの関数を積分すると arctan(x) が得られます:

逆正接関数arctanx

 この積分はよく出てくるので丸暗記してしまっても損はありません。
 arctan(x) はアークタンジェントと読み、次のような関係があります。

y = arctan(x)  ⇔  x = tany

 arctan(x) を tan−1(x) と書くこともあります。

 @1d(1+x^2).gif

 [1] に x をかけてみます:

 Axd(1+x^2).gif

 奇関数ですね。 x < 0 で負の値をとるようになります。
 この関数にさらに x をかけると再び偶関数になりますが ......

 Bx^2d(1+x^2).gif

 今度は原点で谷を作ります。 [1] が原点で最大値 1 をとる関数ですから、 x 2 をかけると原点近傍は y < 1 となります。漸近線は y = 1 です。次はこの関数の分子に x の項を加えてみます:

 C(x+x^2)d(1+x^2).gif

 対称性は失われますが、やはり漸近線は y = 1 です。
 分子・分母ともに2次式であることに変わりはないからです。

 最後に [1] に sinx と xsinx をかけて奇・偶の周期関数を作ってみます:

 Dsinxd(1+x^2).gif

 いずれも振動しながら両端(x → ± ∞)で y → 0 に収束していきます。
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2016年04月12日

振動は止められて深い谷底へ落ちていきます

 任意の関数 a(x) に 1 / x を加えた関数を扱います。

漸近線を挟んで上凸、下凸の関数が並びます

 最初は a(x) = x 3 を選んで、

y = x 3 + 1 / x

のグラフを描いてみます:

 @x^3+1dx.gif

 漸近線 x = 0 を挟んで上凸、下凸の関数が並んでいますね。
x = 0 付近では 1 / x の項が強く効くので、y ≒ 1 / x として振る舞いますが、x が少し大きくなる 1 / x の効果は減衰して y ≒ x 3 となります。具体的に計算してみると x = 3 で

  a(3) = 3 3 = 27, y(3) = 3 3 + 1 / 3 = 27.333

 となりますから、この段階で y と x 3 の誤差は僅かに 0.333 です。
グラフ上の青い点線は a(x) = x 3 です。x の大きいところで y と a(x) は重なってゆくことが見てとれると思います。

指数関数と重なります

 次は a(x) = exp(x) です:

 Aexp(x)+1dx.gif

 exp(x) は増加が早いので、この関数もすぐに exp(x) と重なります。

振動は止められて深い谷底へ落ちていきます

 a(x) に三角関数を選んだらどうなるでしょうか ......

 Bcos(pix)+1dx.gif

 三角関数は増加関数ではないので、y と a(x) が重なるには、1 / x の減衰を待たなければなりません。 それでも a(10) = 0.1 ですから、x = 10 あたりでほぼ y = cos(pi*x) と考えて差し支えなさそうです。ちょっと面白いのは x = - 0.5 あたりでみられる cos(pi*x) と 1 / x のせめぎ合い。 cos(pi*x) は何とか頑張って値を正方向へ戻そうとするのですが、結局は 1 / x が勝って振動は止められ、深い谷底へ落ちてしまいます。

 最後は a(x) としてベッセル関数 J0(x) を選択してみます:

 CJ0(2pix)+1dx.gif

 この関数もゆっくりとではありますが、両端で J0(x) と重なります。
 ⇒ なんとなくの数学日記(Blog Cat は設定マニアです)  

2016年04月11日

漸近線で分割される関数

漸近線で分割される関数

 高校数学では次のような関数のグラフを描く問題をよく目にします:

分数関数1

 分母を因数分解すると

分数関数の分母を因数分解

となりますから、この関数は x = ±1 で定義できません。

実際にグラフを描いてみると ......

 @y=xd(x^2-1).gif

 x = ±1 は漸近線です:

  x → 1 + 0 (1 に x 軸右側から近づく)とき + ∞
  x → 1 - 0 (1 に x 軸左側から近づく)とき - ∞

  x → - 1 + 0 ( - 1 に x 軸右側から近づく)とき + ∞
  x → - 1 - 0 ( - 1 に x 軸左側から近づく)とき - ∞

 このように、分母が x の多項式で分母 = 0 とおいたときに2つの解を持てば、y = f(x) はグラフは2つの y 軸に平行な漸近線によって3つの領域に分割されます。もう1つ例を見てみましょう:

分数関数2

 先程と同じように分母を因数分解すると

分数関数2分母を因数分解

となるので、この関数は x = - 2 と x = 3 という2つの漸近線によって領域が分けられます。

 Ay=xd(x^2+x-6).gif

 このタイプの関数は、分母 = 0 の解が得られるなら、増減表を書かなくてもグラフの概形を描くことができます。 y 軸に平行な漸近線を挟んで ±∞ のどちらに発散するかは次のように判定します。たとえば上の例で x = 3 の右側を調べたいのなら、x = 3 + εとおいて(ε はとても小さな正数です)、

  分母 = (3 + ε) 2 + x + ε - 6 = ε 2 + 7ε + 2 > 0

となるので + ∞ に発散することがわかります。実際には分母をひと目みて暗算でぱっと出てくるぐらいに訓練しておきましょう。もちろん試験の答案では増減表を書かなくてはいけませんが、上の方法で先にグラフを描いてしまっておけばミスが少なくなります。

 補足しておくと、今回の例では1次関数を2次関数で割っているわけですから、 x = ±∞ においては y ≒ 1 / x のように振る舞います。したがって両端では y → ± 0 に収束します。符号については、そのグラフの存在領域の境界となる漸近線における発散の符号と一致します。上のグラフで説明すると、 x → 3 + 0 で y → + ∞ でしたから、x → + ∞ で y → + 0 となります。最後におまけです。三角関数を掛けたり加えたりすると、各領域ごとに振動する関数になります:

 Bxd(x^2+x-6)+cos2x.gif

 Cxsinxd(x^2+x-6).gif
 ⇒ なんとなくの数学日記(滝野川を散策しました)  

2016年03月25日

Excel 3次元グラフ(原点からの距離 r の逆数)

≫ BlogCat の SF小説「不思議なお店営業中」

Excel 3 次元グラフ(原点からの距離 r の逆数)


 今回は x - y 面内における原点からの距離 r の逆数が組み込まれた関数について調べます。 r は

r = sqrt(x 2 + y 2)   [1]

で定義されます。sqrt はエクセルで用いられる平方根(√)を表す記号です。Latex で全ての数式を書くのはちょっと手間がかかるので、今回から √ は sqrt で表すことにします。少しだけ楽をさせてくださいな。グラフを調べる前に、 [1] の偏微分 ∂r/∂x, ∂r/∂y を求めておきます。すでに大学で偏微分を習っている学生さんにとっては易しい演習問題ですが、まあこういう計算は繰り返しておいて損はありません。

  ∂r/∂x は y を定数と考えて x で微分する
  ∂r/∂y は x を定数と考えて y で微分する

だけのことですから、合成関数の微分を知っていれば、高校生の皆さんにとっても、さほど難しい計算ではありません。でもちょっとだけ注意点を1つ。 [1] のような式を見たとき、

r = (x 2 + y 2) 1/2

のようにみて計算してしまいがちです。「指数の 1/2 を下ろして - 1/2 にして、えーと、それから(  )の中身を微分して ……」というように計算しても別に間違いではないですし、今回のような例ではさほど時間もかかりませんが、以下で説明するような計算方法を覚えておくと、もっと複雑な関数を微分するときに応用が効きます。まず [1] の両辺を2乗します:

r 2 = x 2 + y 2

 それから両辺を x, y でそれぞれ微分すると、

2r(∂r/∂x) = 2x, 2r(∂r/∂y) = 2y

となって、

∂r/∂x = r / x, ∂r/∂y = r / y   [2]

と簡単に求められます。距離 r の偏微分はよく出てきますから、公式だと思って覚えてしまってください。


z = 1 / r


 それではまず、基本となる z = 1 / r のグラフを描いてみます:

 01z=1(d)r.png

 予想通りの形ですね。 r → 0 で z → + ∞ ですから、原点に聳え立つ塔は無限大の高さを持っています。もちろんコンピューターでは無限大を扱えませんから、グラフィックスで正確に描くことはできません。皆さんの想像力で補ってくださいな。さて今度は、この関数の偏微分を求めてみます。先ほど求めた r に関する偏微分 [2] を用いると簡単です:

  ∂z/∂x = - (1 / r 2)∂r/∂x = - x / r 3   [3]
  ∂z/∂y = - (1 / r 2)∂r/∂y = - y / r 3   [4]

 慣れると暗算で計算できますよ。理工系の人は、こういう単純計算を面倒くさがらずに日々トレーニングです。さて [3], [4] の意味を考えてみます。 r 3 はどの点でも必ず正の値ですから、分子だけに注目します。微分の値が - x に依存しているということは、 y = c (適当な定数)という直線に沿って x を動かしたときに、

  0 < x の領域では x が増加すると z が減少する
  x < 0 の領域では x の増加すると z が増加する

ということです。 y についても同様のことがいえます。これは上のグラフと合わせてみると理解できると思います。要するに (x, y) が原点から離れていくと、z は減少していくということです。その傾向をもっと分かり易くみるなら、z を r の関数とみて、r で微分すればよいのです:

∂z/∂r = - 1 / r 2

 この形なら r の増加にともなって z が減少していく様子がすぐに分かります。それなら別に最初から偏微分などしなくてもよさそうですが、これほど綺麗に z が r の関数で表されるのは特殊な場合に限りますから、より複雑な関数と出会ったときには、やはり偏微分を用いて関数を解析する必要があります。


z = f(x, y) = xy / r


 次の例を見てみましょう。

z = f(x, y) = xy / r

という関数のグラフです:

 02z=xy(d)r.png

 f(0, 0)は鞍点ではありません! この関数で定義されない点ですのでご注意ください。この点を中心に勾配が複雑に入り組む関数です。x, y > 0 で y = x に沿って尾根がありますね。このあたりを調べてみましょう。 x = t, y = t と置いて、z を直線 y = x の上を動く媒介変数 t の関数として表すと、

z = t / sqrt(2)

となります。つまり x, y > 0 の領域では、直線上に沿う変化に対して z は1次関数として振る舞うことがわかります。


z = sinr / r


 最後は三角関数と組み合わせて、z = sinr / r というグラフを描いてみます:

 03z=sin(r)dr.png

 微積分を習い始めたときに

三角関数の極限基本定理

という定理を習いますね。以前にこのブログでも数値的に解析したことがあります。 sinx と x のどちらがより小さいのかという兼ね合いで極限値 1 が定まります。1変数のときは x 軸に沿って原点に近づけました。 z = sinr / r では x - y 面内のどの方向から原点へ近づいても極限 1 をとるという意味になります。だから中心に高さ 1 の突端が生じるのです。
 ⇒ なんとなくの数学日記(コーヒーに砂糖は入れません)  

2016年02月13日

両端で減衰したり、周期的に滑らかでない点が現れたり ...

両端で減衰する関数

 前回に引き続いて無理関数です。
 まずは比較的シンプルなものから:

 01無理関数の逆数.gif

 f(0) = 1 を頂点とする左右対称の山なりの関数です。
 y = 1/x に近い勾配をもつ曲線ですが、分母は必ず正値をとるので x = 0 で定義されつつ滑らかに連結されています。この関数に三角関数を掛けてみましょう。

 02無理関数の逆数×cosx.gif

 f(x) は原点にピークを持ち、両端で減衰していく関数。
 g(x) は概周期関数ですから周期は崩れてしまっています。
 しかし x → ±∞ で 0 に収束することには変わりありません。

周期的に滑らかでない点が現れます

 次は 1 + sin[pi*x]と、その平方根をとった関数です:

 03[1+sinπx]平方根.gif

 f(x) は全域で滑らかな関数ですが、g(x) は x = 1.5, 3.5, 5.5, …… という滑らかではない点が周期的に現れます。滑らかではないというのはつまり、その点で微分が定義できないということです。g(x) を微分してみると

g(x) の微分

となりますね。g(x) がそのまま分母に入っていますから、 x = 1.5, 3.5, 5.5, …… でこの関数を定義することはできません。

y = 1 と同等なグラフ?

 次は分母・分子が共に2次関数の平方根という例:

 04[2次関数/2次関数]平方根@.gif

 x が大きい領域では f(x) ≒ 1 とみなすことができます。つまり直線 y = 1 とほぼ同等なグラフと考えることができます。乱暴なようですが x → ±∞ では厳密にこれが成り立ちます。
 f(x) に cos[pi*x] を掛けた関数が g(x)です。原点付近で少し荒い動きをしますが、x が大きい領域では普通の三角関数として振る舞います。
 g(x) において分子を4次関数の平方根としたのが h(x) です。振幅は原点から2次関数的に増加していくことになります。

 最後に g(x) の分子を指数関数の平方根で置き換えてみます:

 05[2次関数/2次関数]平方根A.gif

 この関数は指数関数 exp(x) を3段構えで抑え込んでいます:

 @変数 x を pi で割る。
 A平方根をとる。
 B2次関数の平方根で割る。

 これだけ抑え込むと、さすがの指数関数もその効果をなかなか現しません。分母の減衰効果が先に効いて振幅をいったん小さくし、そのあと x = 8 以降に緩やかに振幅を回復させていきます。
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