2016年01月28日

リサジュー図形(縦軸・横軸に電気振動を与えると現れる図形です)

 科学実験でオシロスコープを扱ったことのある人はリサジュー図形(Lissajous figure)という名前に聞き覚えがあるかもしれません。縦軸・横軸に電気振動(単振動)を与えると現れる図形です。

リサジュー図形(パラメータによって複雑に形を変えます)


 リサジュー図形は x, y 共に単振動ですから式はとても簡単な形をしています:

x = a sin(ω1θ + α)
y = b sin(ω2θ + β)

 しかし、リサジュー図形はパラメータの選択によって複雑に形を変える奥の深い図形です。パラメータは合計で 6 個ありますが、式を見てわかるように、a, b はそれぞれ x と y の範囲を指定するだけですから、ここでは a = b = 1 に固定して、ω1, ω2, α, βの 4 つのパラメータを動かしてみます。

 リサジュー図形.gif

 リサジュー図形は角振動数の比 ω21 および位相差 α−β によって形が決定されることが知られています。また特に ω1 = ω2 のときは楕円になります。角振動数の比が有理数のときは閉曲線を描きますが、無理数であった場合には複雑な曲線を描き、変数θを全実数で定義すると長方形の内部を塗りつぶしてしまうことが知られています。一例として、 ω1 = 2, ω2 = √7 のグラフを −8pi < θ < 8pi の範囲で描いてみます:

 リサジュー図形U.gif

 θの範囲を広げればグラフは密になっていきますが、真赤に塗りつぶされた正方形なんて載せても仕方ないので、ほどほどにしておきました。

リサジュー図形の変形

 最後にリサジュー図形を次のように変形させてみます。

x = a sin(ω1cosθ + α)
y = b sin(ω2sinθ + β)

 変数θを cosθ, sinθ に置き換えてあります(三角関数が入れ子になっています)。さてどのようなグラフが描かれるでしょうか?

 リサジュー変形.gif

 やはりパラメータの取り方によって激しく形を変化させる図形群です。特に位相差 α−β の選び方によってはグラフが片側(x > 0, 或いは x < 0)に寄ってしまうことがあります。これはリサジュー図形では見られなかった性質です。
 ⇒ なんとなくの数学日記(おでん)

2016年01月26日

トロコイド(余擺線:よはいせん)

 本編を再開します!
 今年最初の記事は、去年も予告していたように トロコイド(trochoid) を扱います。トロコイド・・・・・・あまり馴染みのない響きですね。しかし名前の響きほど内容は難しくないので、あまり構えずに肩の力を抜いてグラフを眺めてください。少し長くなりますが、トロコイド、内トロコイド、外トロコイドを順に説明していきます。

トロコイド(Trochoid)

 円(動円)を直線にそってすべらないように転がしたとき、その円の内部または外部の定点が描く曲線を トロコイド と呼びます。ちなみに漢字で書くと余擺線(よはいせん)ですが、こんな字を見ると必要以上に難しそうな気になるのでやっぱりトロコイドと呼ぶことにします。

 トロコイド説明図.gif

 数学VC を学んだ皆さんは、これとよく似た図を見たことがあると思います。そう。サイクロイド(cycloid)ですね。サイクロイドはトロコイドの特別な形です。赤丸で記した動点の位置に注目してください。この動点は円の中心から好きな距離を選択できます。図では動点が円の内側に描かれていますが、外に飛び出していても構いません。この動点と円の中心の距離 rd が円の半径 rm に等しい場合に、その動点が描く軌跡のことをサイクロイドといいます。トロコイドは次のような媒介変数で表されます:


 θは動円の回転角です。トロコイドの形を決定するパラメータは

動円の半径 rm, 描画点の半径 rd

の2つです。(rm, rd) を変化させながらグラフをいくつか描いてみます:

 トロコイド01(サイクロイド).gif

 動点が円の内側にあるとき(rm > rd)に軌跡は直線から浮き上がりますね。逆に円の外側にあるとき(rm < rd)は必ず直線と交わります。

内トロコイド(Hypotrochoid)

 次は定円に内接させながら円を転がすことを考えます。

 内トロコイド説明図.gif

 上図で動点(赤丸)の軌跡を内トロコイドといいます。
 軌跡を決定する方程式は少し複雑です:


 内トロコイドの形を決めるパラメータは、

定円の半径 rc, 動円の半径 rm, 描画点の半径 rd

 の3つです。 rc = 2.5, rm = 1, rd = 0.8 でグラフを描いてみます:

 内トロコイド.gif

 グラフは省略しますが、rc = 2rm の関係にあれば軌跡は楕円となります。楕円は内トロコイドの特別な形ということになります。

 動点を円周上にとったとき(rm = rd)の軌跡を特に内サイクロイド(hypocycloid)といいます。漢字で書くと内擺線(ないはいせん)。rc = 3, rm = rd = 1 のグラフを見てみましょう:

 内サイクロイド.gif

 歪んだ三角形のような形が現れましたね。

 rc = 4, rm = rd = 1 とすると・・・・・・

 アステロイド.gif

 よく知られたアステロイド(asteroid)です。アステロイドは内サイクロイドの1種なのです。 rc が整数であれば、内サイクロイドの頂点の数は rc に一致します。

外トロコイド(Epitrochoid)

 定円に外接しながら転がる場合は外トロコイドとよばれ、次のような方程式であらわされます:


 外トロコイドの形を決めるパラメータは、

 
定円の半径 rc, 動円の半径 rm, 描画点の半径 rd

 の3つです。パラメータが多いうえに、どの記号も似通っているので紛らわしいのですが、

    rc の c は center(中心点)
    rm の m は move(動き)
    rd の d は draw(描画)

 のように記号の意味を覚えておくと多少は混乱を防げます。

 外トロコイドのグラフを2つ載せておきます:

 外トロコイド.gif

 動点を円周上にとれば外サイクロイド(epicycloid)となります。
 (rc, rm, rd) = (4, 1, 1) のグラフを載せておきます:

 外サイクロイド.gif

 さらに rc = rm とすれば、去年の暮れに解説したカージオイド(心臓形)となります。

 最後に外トロコイドの式を少し変形してみます。
 トロコイドは円の転がる軌跡と定義されているので暗黙の了解として

rc > 0, rm > 0, rd > 0

という条件が要請されています。しかし数学は物理学と異なるので、このような条件を取り払ってしまうことは自由です。そこで外トロコイド方程式において rd と rc を負の値に設定してみたらどうなるのかと思い、Excel で実験してみました。するとこのように見事な形のグラフが生まれました:

 外トロコイド変形図.gif

 もちろんパラメータの選び方によってグラフの形は様々です。
 皆さんもぜひエクセルで色々な実験に挑戦してみてください!
 ⇒ 案内板をお試しください

2015年12月18日

パスカルの蝸牛形(リマソン曲線)

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パスカルの蝸牛形(リマソン曲線)

 今回は パスカルの蝸牛形 を見ていきます。読んで字のごとく「カタツムリに似た形」ということです。別名の リマソン もラテン語で「カタツムリ」という意味です。正直言うと別にそれほどカタツムリに似ているわけではありません。まあそれはともかくとして極方程式は

r = acosθ + l  [1]

です。(x, y) の具体的な表式は

x = (acosθ + l ) cosθ  [2]
y = (acosθ + l ) sinθ   [3]

となります。まず a = l = 1 のグラフを調べてみます。

 カージオイド.gif

 心臓のような形をしていますね。 a = l のグラフには、カージオイド(心臓形)という名前がついています。英語で綴ると cardioid ですが、一般に英語で「心臓」を意味する heart とは無縁の響きですね。カージオイドはギリシア語の καρδιά(心臓)と είδος (形)という言葉に由来しています。カージオイドはエピサイクロイドという関数(来年早々に扱う予定です)の特別な形としても現れてきます。それではこのカージオイドからスタートして、パラメータの a, l を変化させてみましょう。まずは l を 1 に固定して a = 2, 3, 4 としてみます:

 蝸牛形a=234.gif

 カージオイドのときに凹んでいた部分を巻き込んで内側に閉曲線を作っています。 a の値が増えるほど内側の曲線は大きくなっていきますね。 a = 100 という極端な設定でグラフを描いてみると・・・・・・

 蝸牛a=100.gif

 このように、外側の曲線と内側の曲線は今にも重なって1つの円になりそうです。実際、[1] - [3] 式において a が l に対して十分に大きい(a ≫ l )として l を落としてしまえば、

     r = acosθ
     x = acos2θ
     y = acosθsinθ

という形になりますが、これを x と y の式に書き直してみると

x 2 - ax + y 2 = 0

という円の方程式になることがわかります。つまり、[1] において a → ∞ の極限をとれば、それは1つの円となることを意味しています。

 次は a = 1 に固定して l = 2, 3, 4 と変化させてみます:

 蝸牛l=234.gif

今度はより単純な1つの閉曲線が描かれていますね。 l が大きくなるほど左側の歪みが直されて真円に近づいています。今度は [1] - [3] 式で l ≫ a と考えて a の含まれた項を無視してしまうと、

r = l,  x = acosθ, y = asinθ

という誰もが知る円の極方程式となります。 [1] において l → ∞ の極限をとってもやはり円になるということです。

 [2] [3] 式に手を加えて

x = (acosθ + l ) cos(pθ)  [4]
y = (acosθ + l ) sin(qθ)   [5]

という関数を考えてみます。三角関数の位相を定める p と q が加わって、

(a, l , p, q)

という 4 つのパラメーターでグラフの形を決定することになります。来年扱う予定のハイポサイクロイドやエピサイクロイド(或いはそれらを包括するトロコイド)に形が似ていますが、符号が若干異なっているので混乱しないでください。グラフは全く別物です。試しに (a, l , p, q) = (1, 2, 2, 1) でグラフを描いてみましょう。

 蝸牛変形01.gif

 ブーメランのような形ですね。或いは柿の種? まあ名前はついていないので好きなように呼んでください。[4][5] はパラメータを変えると目まぐるしくその様相を変えます。私があれこれ試して面白いと思ったグラフを下に並べておきます。

蝸牛変形02.gif

 他にも無数のパターンがあるので、エクセルをいじるのが好きな人は色々と試してみてください。何か発見があったらコメントで教えていただけると嬉しいです。
 ⇒ なんとなくの数学日記(こばとの数学基礎講座再開のお知らせ)

2015年12月13日

円の伸開線(インボリュート)

【Excelショートカット豆知識】
 [Shift] + ↑ 選択セルを追加しながら上に移動
 [Shift] + ↓ 選択セルを追加しながら下に移動
 [Shift] + → 選択セルを追加しながら右に移動
 [Shift] + ← 選択セルを追加しながら左に移動

円の伸開線(インボリュート)

 今回扱うのは 円の伸開線(インボリュート)です。円に巻かれた糸をピンと張りながら解いていくときにできる糸の端点が描く軌跡です。

 インボリュート説明図.gif

 (x, y) は θ を介して次の方程式を満たします。

x = a(cosθ + θsinθ)
y = a(sinθ − θcosθ)

 a = 1 としてグラフを描いてみます:

 円の伸開線(インボリュート).gif

 原点付近から始まって間隔一定の螺旋を描いていますね。伸開線の方程式を次のように変形してみます。

x = a(cosθ + logθsinθ)
y = a(sinθ − logθcosθ)

ただし 0 < θ としておきます。 a = 1 のグラフは・・・・・・

 円の伸開線(インボリュート)変形01.gif

 無限遠方からやってきて、(1, 1) 付近をかすめて屈曲します。そのあとは伸開線と同じように螺旋を描き始めますが、間隔は一定ではなく少しずつ狭まっていきます。これはもちろん logθ の影響です。θ が大きくなるほど θ の増加を抑えようとする効果が大きくなるわけです。

 伸開線の方程式において、次のように三角関数をベッセル関数に置き換えてみます:

cosθ ⇒ J3(θ)
sinθ ⇒ J0(θ)

方程式は

x = J3(θ) + θJ0(θ)
y = J0(θ) - θJ3(θ)

となります。

 円の伸開線(インボリュート)変形02.gif

 少し傾いた楕円になってはいますが、伸開線とよく似ていますね。最後は sinθ の部分だけを J0(θ) で置き換えた方程式です:

x = cosθ + θJ0(θ)
y = J0(θ) - θcosθ
 縦軸・横軸のスケールを揃えたグラフを載せてみましょう:

 円の伸開線(インボリュート)変形03.gif
 y 軸方向に細長い楕円型螺旋が現れました。
 ⇒ なんとなくの数学日記(こばとの数学基礎講座冬休み編)

2015年12月09日

ベッセル関数を極方程式に組み込みます

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ベッセル関数を極方程式に組み込みます

 前回は r = sin(nθ) という正葉曲線を扱いました。今回は、

r = Jn(θ)

という極方程式を扱います。ベッセル関数の定義とグラフを再掲しておきます。

[数式]整数次ベッセル関数.gif
ベッセル関数.gif

 上図のようにベッセル関数は三角関数によく似た周期関数です。しかし x が増加するとと(1 / √x に比例して)振幅を減衰させていき、x → ∞ では 0 となります。また n によって立ち上がりの速さと振幅が異なります。この関数が極方程式に組み込まれると、とても美しい軌跡を描きます。さっそく r = J0(θ) (0 ≦ θ)のグラフを見てみましょう。

 ベッセル極方程式r=J0.gif

 見事ですね。点 (1, 0) からスタートして、原点に巻きつくようにして円を描き、少しずつその半径を小さくしていきます。「周回ごとに必ず原点を通過する」というのがこのグラフの特徴です。螺旋とは異なる形です。 J3(x) は原点から始まる関数ですから、 r = J3(θ) のグラフは下のようになります:

 ベッセル極方程式r=J3.gif

 さて前回の正葉曲線と重ね合わせてみます:

r = J0(θ) + sin(3θ)

という関数を作ってグラフを描いてみると・・・・・・

 ベッセル+正葉曲線.gif

r = J0(θ) と r = sin(3θ) 双方の特徴が合わさったようなグラフになっていますね! 周回ごとに描かれる正葉曲線が小さくなっていきます。次にベッセル関数の中に三角関数を入れてみます。つまり

r = J0(sin3θ)

というグラフを描いてみますと・・・・・

 ベッセル関数の中に三角関数01.gif

ぐにゃぐにゃっとした星形未満のような軌跡ですね。ついでにもう1つ。

r = J0(sin5θ)

としてみると・・・・・

 ベッセル関数の中に三角関数02.gif

 突起部分が増えました。sin(nθ) の n を大きくしていくとギザギザがどんどん増えます。
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