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スープ皿の人生

 メイン・インフルエンスは、Beatlesだと思います。
 とってもポップで、キュートなメロディを書く人です。

 この人は、60s70sロックが大好きな人に違いないと思いました。
 それに加えて、トップ40に入るような、よく出来たヒット曲というものが好きな人かも知れません。



Misadventures In Stereo
Jim Boggia

Side One : My Misadventures
1. Johnnie's Going Down (Boggia)
2. To and Fro (Boggia)
3. No Way Out (Boggia)
4. So (Boggia)
5. Nothing's Changed (Boggia)
Side Two : Other People's Misadventures
6. 8Track (Boggia)
7. Listening to NRBQ (Boggia)
8. Chalk One Up for Albert's Side (Asher)
9. On Your Birthday (Poe)
10. Three Weeks Shy (Boggia)

 このアルバムは、08年にリリースされた3rdアルバムだと思われます。

 Jim Boggiaというのは、アメリカのアーティストだと思いますが、おそらく60s70sのロックやポップス、とりわけ60年代黄金時代のポップなロックに強い共感を持っている人だと思います。

 ビートルズ、ビーチボーイズを始め、サイモン&ガーファンクルやボックストップスも好きらしいです。

 この人は、自作中心のアルバムを作っていますが、ステージでは有名ヒットのカバーをいくつも披露しているようで、YouTubeを検索するといくつも興味深い動画がヒットします。

 ポールやジョンのナンバーはもちろん、ポリスなんかもやっているようです。
 スプリングスティーンの「サンダー・ロード」をマンドリンの弾き語りでやったりもしています。

 このあたりが、私がこの人はよく出来たヒット曲というものが好きなのでは、と思う理由です。
 この人には、別のアルバムの自作曲として、"Bubblegum 45s"という曲があります。

 弾き語りでのぬくもり感が、この人を理解する大きなとっかかりになるのではと思いました。
 ただ、スタジオ盤でのサウンドは、既存のものには単純に例えづらいです。

 コーラスの感じなどからは、中期以降のビートルズを連想させられます。
 実際どうかはともかく、私は、多重録音が好きそうな人だなと想像してしまいます。

 一方で、矛盾するようですが、色々な既存曲を連想させる部分があり、これは、そこかしこに、有名曲の美味しい部分、ポップス・ファン向けのくすぐりが入っているからだと思います。

 さて、私が本盤を知ったのはごく最近ですが、あるいは一部では有名なアイテムかも知れません。
 その理由は、トラック7に入っている、"Listening to NRBQ"という曲の存在です。

 皆さんは、"Pie In The Sky"や"Keep This Love Goin'"は、当然聴かれたことと思います。
 "Join The Crowd"も含め、ここ数か月は、待ち遠しかった贈り物が、相次いで届いた嬉しい時期でした。

 それぞれの受け取り方があると思いますが、今この時期に本盤を聴くのも、一つの機会として面白いのではないかと思います。

 "Listening to NRBQ"は、多分、ある程度の年輪を重ねた夫婦が、「あんなことやこんなんことがあったね」と恋人時代を回想するストーリーではないかと思いながら聴きました。
 様々な思い出のそのこかしこで、NRBQが流れていたということでしょう。

 彼女の誕生日に、片道4時間をかけて、デトロイトでのNRBQのショーに滑り込んだら、テリーがソロを弾き始めた、なんていうフレーズは、ファンにはたまらないくすぐりですね。

 どこがどうとは言えませんが、いかにもNRBQがやっていてもおかしくないと思わせる、甘酸っぱいメロディの響きにぐっときます。


 ところで、本盤はCDですが、アナログLPのように、前後半それぞれに副題が付けられています。
 あるいは、実際にLP盤が出ているのかも知れません。
 ここで気になるのが、そのタイトルてす。
 「ぼくの災難」、「他人の災難」とはどういうことでしょう。

 この曲が、「他人の災難」サイドに入っているのはなぜでしょう。
 あるいは、「他人のやっかいごと」くらいの柔らかいニュアンスかも知れませんが、どう言い換えようとそれでも違和感があります。
 幸せな思い出の曲にはふさわしくないですね。

 もしかしたら、私の解釈違いで、若いころNRBQを一緒に観た女性は妻ではなく、結ばれなかった恋人なのかも知れません。

 妻や子とのおだやかな幸福を手に入れた男性が、ふと振り返り、あるいはたどったかも知れない別の人生への分岐路を、失われた青春を想う歌だったのかも知れません。




Listening to NRBQ by Jim Boggia








ショータイムはナイトタイム

 初めて聴いたバンドをご紹介します。
 録音はオースティンでされていて、おそらくはテキサスのバンドだと思われます。

 ただ、一聴してテキサスと感じさせる要素が少なく、その音楽性はなかなかに多彩で、一筋縄ではいかないと思いました。
 曲ごとに、様々な違った顔を見せてくれるバンドだからです。

 本盤は、11年リリースの新作なのは間違いないですが、何作目なのかとかバンドの詳細は不明です。


Nighttime Problems
The Drakes

1. Summertime
2. To Be With You  
3. Down In Texas   
4. Carny Girl
5. Amarillo Highway  
6. Right Now
7. Nighttime Man
8. I'd Rather Be Blind, Cripple, And Crazy  
9. Qualified
10. Anything You Do
11. Lakehouse Mama  
12. Last Call In Little Rock  
13. Lou-Easy-Ann

 バンドは、ギター2本、ベース、キーボード、ドラムスという5人編成です。
 パーソネルは以下のとおりです。

Matt Giles : guitar, vocals
Michael "Cornbread" Traylor : guitar, vocals
Vincente Rodriguez : drums, percussions, vocals
Ron Flynt : keyboards, guitar
Tom Gillan : bass, vocals

 全体的にアーシーな雰囲気があるのですが、ときにブリティッシュぽかったり、レーナードっぽかたっり、はたまたZ.Z.Topを連想させたりと印象がめまぐるしく変わります。

 特に、前半の導入部では、NRBQを思わせる、小粋でユーモラスなポップ・チューンが見受けられ、こんな感じなのかと思って聴き進めていくと、次第にサザン・ロック風の展開になっていき、驚きます。

 非常に各楽器の輪郭がくっきりと出ているバンドで、豪快な南部風かと思えば、コーラスもさりげなくしっかり入ったおしゃれなポップ曲もあり、既存の色々なバンドを曲ごとに次々と連想してしまいました。

 プロデュースは、ベースのRon Flyntがやっていることから、彼がバンドのカラーに強い影響力を持っているのかもと思います。

 冒頭の" Summertime"は、小粋で時に英国ぽい雰囲気も感じさせる小品です。
 ギターのリフに耳に残る特徴があり、コーラスとハンド・クラップが効果的に使われていて、アーシー系のパブ・ロックを連想させます。

 さらに、KinksやNRBQを思わせる、さりげないユーモアも感じます。
 何より、バンド全体のアンサンブルが素晴らしいです。

 続く"To Be With You"は、キーボードが活躍する、これまた小粋で楽しい雰囲気の曲です。
 ポップでキャッチーなメロを持っていて、やはりギターがいいフレーズを弾いています。
 ボーカルが、控えめにスタートしながらも、途中から男くさくなり、その後の南部的展開をうかがわせる曲です。
 しかし、この曲の段階では、まだ予想しないことでした。 

 "Down In Texas"は、先の2曲とはガラっと雰囲気が変わり、一瞬別のバンドかと思わせるほどです。
 南部志向の強かった、70年代のStonesを連想させる曲です。

 ボーカルのつきはなした歌い方からしてそうで、ミック・ジャガーみたいです。
 何となく聴いたことがあるような曲だと思って聴き進めていましたが、サビになって流石に気づきました。

 これは、Eddie Hintonの作品です。
 Eddie Hintonのバージョンは、アルバム"Playn' Around"で聴くことが出来ます。
 オールマンなどサザン・ロック勢もやっていると思いますが、Decoys盤が私の好みです。
 そして、それ以上に私がよく聴いていたのは、サザン・ソウルのOscar Tony Jr.盤、Don Varner盤などです。

 ここで一気に、やっぱり南部なんだと印象づけられました。
 ジョージアのイメージですね。
 ギターが、これまでのコンパクトで輪郭のはっきりしたフレーズから、引きずるようなルーズな音を聴かせ始めています。

 ところが、事はそのまま進みません。
 "Carny Girl"は、再び最初の2曲に戻ったような、ポップでかわいらしい曲です。
 アコ・ギターのストロークで始まる、NRBQを連想させるような爽やかな胸キュン・ポップスになっています。

 こういった曲では、やはりコーラスが効果的に使われています。
 間奏のギター・ソロが、メロディックでよく歌っていて素晴らしいです。
 私は、John Fogertyのいくつかのオブリガードを連想しました。

 "Amarillo Highway"は、Terry Allenの名作ですね。
 私は、オリジナルも聴きましたが、やはりGarrett, Sahm, Taylor Bandでのバージョンが強く印象に残っている曲です。
 基本的に原曲とあまり変えずにやっていて、ここでもアコ・ギターがいい響きを出しています。
 キーボードの隠し味もよく、ここでもバンドの連携のよさを感じます。

 ここまでは、曲ごとの変化に振り回される構成に驚いたところです。
 以下、次第にサザン・ロック風の展開になっていきます。

 以降で、特に連想させられるのは、レーナード・スキナード、Z.Z.Topなどです。
 やはり、レーナードでしょうか。
 ギターのトーンが、クリアなものからディストーションがかかったスライド風の音中心になっていきます。
 また、リードの背後で鳴っているサイド・ギターが、2本目のリードのように、魅力的なリフを繰り返しています。

 "Nighttime Man"は、曲名から、Hinky Tonk Nighttime Manを連想しました。
 レーナードがカバーした、マール・ハガードの作品ですね。

 そして、"I'd Rather Be Blind, Cripple, And Crazy"です。
 O.V.Wrightですが、渋すぎるチョイスです。
 この選曲から、このバンドにさらに興味がわいてきました。
 曲は、ほぼ原曲どおりにやっています。

 "Qualified"は、レイ・ヴォーンを思わせるヘヴィなブルース・ロックです。
 アルバム"In Step"のころのレイでしょうか。
 ボーカルがレイを連想させるだけでなく、バンドのうねるようなアンサンブルが、まさにそれ風で惹きこまれます。
 一体いくつ抽斗を持っているのかと言いたくなります。

 "Lakehouse Mama"は、再びレイナードを思わせる曲です。
 ここでは、ボーカルがロニー・ヴァン・ザントみたいです。
 曲は小粋なブギで、J.J.ケイル風のせわしないリズムにのせ、軽快に展開します。
 よく弾むピアノも効いています。

 "Last Call In Little Rock"は、少し曲調が変わって、デトロイトかフィラデルフィアのロック・バンドのような、ダンス・ロックです。
 私は、Tommy Conwellを連想しました。(久しぶりに聴きたいです。)
 といっても、覚えている人は少ないですかね。
 では、Romanticsあたりならいかがでしょう?
 ますます分かりませんか。

 ラストの"Lou-Easy-Ann"は、ルイージ・アンと聴こえます。
 ヘヴィかつレイジーな南部ロックです。
 ラストということで、改めて振り返りますと、アルバム前半とは、全く別のバンドであるかのような、この激しいスタイルの振れ幅に驚くばかりです。

 そして、結論として、とても惹きつけられました。
 次が聴きたくなるバンドです。
 このバンドが内包する「混沌」は、「雑食性」とも違う、何か不思議な魅力を感じます。

 もう少し、バンドの情報が知りたいところです。






マーゴはルイジアンナ

 これはいいです。
 1曲目が始まってすぐに気に入りました。
 女性Swamp Popシンガー(?)、Margo Whiteの78年リリースのアルバムです。

 スタイルは、ブルージーなR&Bですが、しばしばSwamp Popのコンピで名前を見かける人です。
 完全にシングルの人だと思っていましたので、まさか、フル・アルバムがあるとは知りませんでした。
 このアルバムは、最近海外サイトで入手したアナログLP盤です。


I've Got A Right To Lose My Mind
Margo White

Side One
1. I'm A Lover Not A Fighter (J.D.Miller)
2. Why Do I Cry (Margo White)
3. Over You (77-87)
4. Nighbor Nighbor (Huey P.Meaux)
5. Sometimes (Gene Thomas)
Side Two
1. Pick Me Up On Your Way Down (77-88)
2. Win My Love And Break My Heart (Margo White)
3. I've Got A Right To Lose My Mind (Huey P.Meaux)
4. If Only You Were Here (Margo White)

 選曲をご覧いただければ、何となく想像がつかれるかと思いますが、Huey Meaux制作のCrazy Cajun盤です。

 75年から79年頃というのは、やはりFreddy Fenderの成功のせいでしょうか、60年代にシングル・オンリーだった人たちが、Huey MeauxのプロデュースでLPを出す機会を得ている例がいくつかあるようです。

 Margo Whiteという女性シンガーは、黒人だと思いますが、しばしばSwamp Popのコンピに顔を出す人です。

 制作者のHuey Meauxからの連想でいきますと、Barbara Lynnの好敵手とでも呼びたいです。
 あるいは、Irma Thomasのライバルでもいいです。
 (褒めすぎですか?)

 この人は、本盤には未収録ですが、Bobby Blandのカバー、"I'm Not Ashamed"が素晴らしい出来でした。
 当該曲は、コンピに収録される頻度が高い気がします。
 明らかに、ブルージーな曲を得意とする人ですね。

 冒頭の" I'm A Lover Not A Fighter"からして、たちまちその世界に引きこまれます。
 人を惹きつける魅力を持ったシンガーです。
 Lazy Lesterのアップのルイジアナ・ブルースを、軽快なテンポながら貫禄たっぷりなボーカルでやっています。

 続く、彼女の自作、"Why Do I Cry"がこれまた良いです。
 雰囲気たっぷりのブルージー・バラードで、ギターソロも素晴らしいです。
 このギターは、Mickey Moodyでしょうか、あるいはJoey Longかも…。

 このカッコよさは、ルイジアナのEtta Jamesとでも呼びましょうか。

 ところで、A面に1曲、B面に1曲、作者クレジットが"77-87"となっている曲があります。
 これは、どういう意味でしょう?
 この表記は、原文のママです。

 A3の"Over You"は、ニューオリンズR&Bに同名のヒット曲があった気がしますが、すぐに思い出せません。
 また、B1の"Pick Me Up On Your Way Down"は、ホンキートンク・カントリーに同名の曲があったと思います。
 でも、控えめながら、ニューオリンズR&B風のホーン・アレンジで料理されていて、これも珍品だと思います。
 カントリー・ソウルの秀作だと思います。

 なかなかに、バラエティに富んでいて、楽しませてくれます。
 2曲とも、まだパブリック・ドメイン(著作権期限切れ)ではないと思うので、作者名を伏せたクレジットは謎です。

 A4の"Nighbor Nighbor"は、Jimmy Hughesのフェイム録音が代表でしょうが、私は、ロックでは、Dr.Feelgood盤も好きです。
 4代目ギタリスト、Gordon Russellが好きだという人って、少数派でしょうか。

 続く"Sometimes"が、何とも素晴らしいつくりに仕上がっています。
 この曲のカバーは数々あると思いますが、初めて聴く雰囲気です。
 伴奏のオルガンこそ、教会風といいたいところですが、切れ込んでくるギターが悪魔のようなブルージーなフレーズを連発していて、聖邪ないまぜの妖しい魅力にはまります。

 このギターは、やはりJoey Longでは?
 ブルージーなサザン・ソウル・スタイルでやった、"Sometimes"は他に例がないと思います。
 ぜひとも、Gene Thomasの感想が聴きたいものです。

 終盤の残る3曲も、まったくだれることなく、最後まで良い緊張感のもと、歌唱伴奏とも素晴らしい仕上がりです。

 アルバム・タイトル曲の" I've Got A Right To Lose My Mind"がまた良くて、メロウなサックスに、キュートな女性コーラスが、力強くよく通るリード・ボーカルを際立たせていて効果的です。

 ラストの"If Only You Were Here"も同様に良いです。
 ガール・ポップ的な曲調に、Margoの姉御肌のボーカルが、意外にもチャーミングで、これはカントリー・ソウル風の明るい雰囲気に仕上がっています。
 この曲などは、Irma Thomasを連想する歌いくちです。

 最初から最後まで、予想以上に良い印象を強く感じたアルバムでした。
 他にアルバムがあるのか分かりませんが、もっと聴いてみたいシンガーです。



If Only You Were Here by Margo White




関連記事はこちら

スワンプ・ポップ・ア・ラ・カルト
サンキュー・ボビー



 追記
 Margo Whiteのシングル盤の写真を見ると、自作曲のクレジットがM.Wrightとなっているものがあるようです。
 本名は、Margalet Wrightでしょうか?
 そこで気になるのが、ニューオリンズ出身の女性ブルース・シンガー、Marva Wrightです。
 Marvaというのは、Marvalousからきた愛称のようですので、気になます。
 




メンフィスへの郷愁

 これ、結構よくないですか?
 私は、全く存在を知りませんでしたが、今年出た新作で、過去に1枚アルバムがあるらしいです。
 私は、Otis Clayが好きなので、そのアンテナに引っかかって知りました。

 このバンドは、基本的にソウル・インスト・バンドなので、ヴォーカル曲は、数人のゲストが参加して務めています。
 私は未聴ですが、前作の1stは全編インストかも知れないです。


Got To Get Back !
The Bo-Keys

1. Hi Roller  (Franklin, Bomar,Pitts)
2. Got To Get Back (To My Baby) (feat. Otis Clay)  (Bomar, Carter, Franklin, Pitts)
3. Just Chillin' (Bomar, Gamble, Franklin, Pitts, Tuner)
4. Catch This Teardrop (feat. Percy Wiggins) (C.Reese, H.Reese)
5. Jack And Ginger (Bomar, Franklin, Pitts)
6. Sundown On Beale (Bomar, Franklin, Pitts)
7. Weak Spot (feat. William Bell) (Bell, Bomar, Franklin, Hall, Pitts)
8. 90 Days Same As Cash (Bomar, Franklin, Hall, Pitts)
9. I'm Going Home (feat. Charlie Musselwhite) (Conley)
10. Cauley Flower (Franklin, Bomar, Pitts)
11. Work That Sucker (feat. Charles "Skip" Pitts)  (Pitts, Bomar, Franklin)
12. Got To Get Back (To My Baby) Pt. 2 (feat. Otis Clay)  (Bomar, Carter, Franklin, Pitts)

 私は、ソウル・ファンのつもりですが、Bar-keysにはほとんど関心を持っていませんでした。
 確かOtis Reddingのツアー・バンドを務めたバンドじゃなかったですか?
 Watstaxのビデオで見た気がします。

 私には、サザン・ソウルより、Albert Kingのバックをやったファンキー・ブルースのアルバムの印象が強いです。

 このBo-Keysは、そのBar-keysの残党をベースに、活きのいい若手を加えたバンドで、ざっくり言えば、60s70sの南部ソウル・サウンドのリバイバル・バンドです。

 ファンキーな曲やジャズ・ソウル的な展開を得意としているようですが、本盤では黄金時代のメンフィス・ソウルを意識した音づくりに挑んでいるようです。
 ゲストのメンツが、より一層、そう感じさせるのかも知れません。

 私は、オリジナル・メンバーにうといんですが、参加メンツは以下のとおりです。

Scott Bomer : bass, percussion
Charles "Skip" Pitts : guitar
Howard Grimes : drums, percussion
Willie Hall : drums, percussion
Archie "Hubbie" Turner : keyboad
Al Gamble : keyboad
Mark Franklin : trumpet
Ben Cauley : trumpet
Kirk Smothers : tenor & baritone sax
Derrick Williams : tenor sax
Floyd Newman : baritone sax
Jim Spake : baritone sax
Spencer Wiggins & John Gary Williams : background vocals on "Catch That Teardrop"

 Howard Grimesに反応してしまいますが、どうやらメインのドラムは、Willie Hallのようです。
 それよりも、最後にチラッと出てくる、Spencer Wigginsの名前が気になりますね。

 この人は、弟のPercy Wigginsがボーカルをとった、4曲目の"Catch This Teardrop"でコーラスとして参加しているようです。
 (声の判別は、言われなけば困難です。)

 Percy Wigginsは、兄貴が偉大すぎて影に隠れていますが、なかなか味のあるいい歌手です。
 本盤でも、いい感じに歌っていて好感が持てます。

 この人のヴィンテージ録音では、ずっと昔にアナログ盤で聴いた、"They Don't Know"が好きでした。
 当時、ワーナーが出していた「ソウル・ディープ」の第2集に入っていたような気が…。(未確認です)
 今なら、英KentのCD、"Sanctified Soul"で聴くことが出来ます。
 (廃盤になっていなければ)

 さて、お目当てのOtis Clayですが、私は現役のサザン・ソウル・シンガーでは、最も好きな人です。
 オリジナル・アルバムこそ、ご無沙汰気味ですが、ときどき色んな企画盤に参加していたりするので、常にアンテナを張っておく必要があります。

 本盤では、2曲に参加していますが、ラスト・ナンバーは同じ曲のPart2なので、実質は1曲ですね。
 Otis Reddingを連想させる南部風ジャンプ・ナンバーで、「ガッタ、ガッタ」ならぬ「ガットゥ、ガットゥ」と連呼しています。
 元気そうで、久しぶりに声が聴けただけでも嬉しかったです。

 それよりも、やはりこのバンドは、インスト・ナンバーですね。
 特に今回は意識してやっているのか、いくつかの曲では、MGsを思わせる曲があり、「おっ」と耳を惹かされます。

 5曲目の"Jack And Ginger"が、出だしからしてMGs風で、これはよいです。
 MGsは、グルーヴィーでねちっこいオルガンに、ギターが鋭くコンパクトに切り込んでくる曲が、ひとつの得意パターンでしたが、こちらはそんな雰囲気をうまく再現していて、嬉しくなります。

 MGsのもうひとつのパターンとしては、イージーリスニング的なリラックス・チューンがあって、そういった要素が感じられる曲も見受けられます。
 6曲目の"Sundown On Beale、"10曲目の"Cauley Flower"が、これまたいい雰囲気に決まっています。

 ボーカル曲では、何といっても、Willam Bellが参加した、"Weak Spot"が素晴らしい出来だと思いました。
 この曲の作者には、Bellの名前が共作者としてクレジットされていますが、メロディがいかにもBell風で、一音目が始まると同時に、一瞬世界がBell色に染まる感じを受けるのは、ひいきが過ぎるでしょうか。

 William Bellは、メンフィス・ソウルのパイオニアであり、優れたソング・ライターでもありました。
 ヴィンテージ期の名曲を、後年再録音するシンガーは少なくないですが、名作の新録音が素晴らしいと感じた人は、William Bellだけです。

 Bell自身の会社、Wilbeから02年リリースされた、"Collectable Edition Greatest Hits"は、Stax時代の代表曲の新録音集で、タイトルが陳腐でジャケもしょぼいですが、中身はお奨めです。
 生き生きとしたバックの演奏にのせて、Bellのジェントルなヴォーカルが、衰えない冴えを聴かせます。

 さて、本盤唯一のカバー曲だと思われるのが、9曲目の"I'm Going Home"です。
 Prince Conleyという無名のシンガーの曲ですが、Staxの9枚組Box、"The Complete Singles 1959-1968"のDisc1に収録されています。
 この渋すぎる選曲は、南部音楽ヲタとしては、にやりとさせられます。

 私は、先ほどから、本盤のテーマともいうべき、冒頭の"Hi Roller"をリピートして聴いています。
 インストなんですが、中盤で出てくるCropper風のフレーズ(Sam & Daveのバックに出てきそうな、Otis Rush風にも聴こえるもの)が気に入って、繰り返し聴いているのです。
 この曲と、"Jack And Ginger"が、特にお奨めです。

 もちろん、Otis Clay、Percy Wiggins、William Bellが参加したヴォーカル曲は、60sソウル・ファンには必聴でしょう。



Got To Get Back by Bo-Keys feat. Otis clay




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愛なき世界で
ゴスペル・イン・マイ・ソウル
ヴァンソロジー


トミーのお気に入り

 このハスキー・ボイスには、得も言われぬ魅力があってはまります。
 私は、昔、Freddy Fenderとデュエットした曲での二人のからみが最高に好きでした。
 Freddyのスムースな高音と、この人の息苦しそうなかすれ声が不思議とマッチしていたのでした。

 本盤は、Huey P.Meauxの制作で78年にCrazy Cajunからリリースされたものです。
 Tommy McLainの60年代のシングルの新録音を中心に、彼のお気に入り曲集になっています。


If You Don't Love Me
& His All Time Favorites
Tommy McLain
 

Side One 
1. Tender Years (Darrell Edwards, George Jone)
2. Honky Tonk (Doggett, Scott, Butler, Shepherd)
3. Wasted Days & Wasted Nights (B. Huerta)
4. Before The Next Teardrop Falls (V. Keith, B. Peters)
5. Sweet Dreams (Don Gibson)'66 jin 197
Side Two
1. Where You Been Baby (Tommy McLain)
2. No Tomorrows Now (Tommy McLain)
3. If You Don't Love Me (Why Don't You Leave Me Alone)
4. Before I Grow Too Old (A. Domino)
5. Tennessee Blues (Bobby Charles Guidry)
6. When It Rains (It Really Pours) (Tommy McLain) 

 「フェイヴァリッツ」とか、「トレジャー」とかのタイトルが好きです。
 そのアーティストが煮詰まったときの企画盤の場合もありますが、しばしば好カバー集であることが多いです。

 本盤のサウンドは、何となく、いつものシュガーヒル・スタジオのものとは雰囲気が違う気がします。
 ただ、Huey MeauxとMickey Moodyの黄金コンビの制作で間違いありません。

 個別のミュージシャンがクレジットされていないので、確信はないですが、あるいは、Tommy McLainのツアー・バンドが参加しているのかも知れません。
 少なくとも、ハモンド・オルガンは、彼自身が弾いていると思います。

 本盤の売りは、やはり、Freddy Fenderの大ヒット曲、"Wasted Days & Wasted Nights"と"Before The Next Teardrop Falls"のTommy盤が入っていることですね。
 Freddy Fenderのヒット・バージョンは、74年にリリースされ、翌年にベストセラー・アルバム、"Before The Next Teardrop Falls"に収録されました。

 本盤の"Before The Next Teardrop Falls"では、2ndヴァースで、別の男性がデュエットしますが、誰か分かりません。

 冒頭の"Tender Years"は、ホンキートンク・カントリー・レジェンド、George Jonesのカバーだと思いますが、オリジナルを収録したアルバムが行方不明で、無念にも聴き比べが出来ませんでした。
 中期のGeorge Jonesらしい、スムースかつジェントルなバラードです。
 Tommy盤のシングルは、68年にJinからリリースされました。

 次の"Honky Tonk"は、Bill Doggettの有名R&Bインストのカバーです。
 原曲は、オルガン曲ですが、ここでは、ギターとサックス中心のアレンジになっています。
 ワイルドさと、チープさを併せ持ったような不思議なテイストに仕上がっています。

 A面ラストの"Sweet Dreams"は、Tommy McLainの代表曲の新録です。
 原曲は、ナッシュビル・ポップ・カントリーのシンガー・ソングライター、Don Gibsonの自演盤です。

 この人は、Ray Charlesの大ヒット「愛さずにいられない」の作者でもあります。
 無数のカバーがありますが、一般的には、Patsy Cline盤で知られています。
 Tommy盤のシングルは、66年にJinからリリースされました。

 B面のアタマの2曲は、このアルバムで初めて聴いた曲です。
 どちらも良い曲です。
 
 でも、本盤のハイライトは、やはり3曲目の" If You Don't Love Me (Why Don't You Leave Me Alone)"ですね。

 この曲は、Tommy McLain自作の一世一代の失恋バラードです。
 Freddy Fenderも、77年のアルバム"If You Don't Love Me"でカバーしていました。
 Tommyの原曲は、72年に吹き込まれています。

 続く2曲は、誰がやっても悪くなりようがない名作ですね。
 "Before I Grow Too Old"は、Fats Domino作となっていますが、Bobby Charlesとの共作だったような気が…。
 Tommyのかすれ声がいい感じにのっています。
 Tommy盤のシングルは、68年にJinからリリースされました。

 "Tennessee Blues"もまた、問答無用の名作です。
 Bobby Charlesの72年のベアズヴィル盤は、みんな大好きですよね。

 こちらも多数のカバーがあると思いますが、私は、Doug Sahmのバージョンと、親父を思わせる声で歌ってくれた、Shawn Sahmによる新生Texas Tornados盤が特に印象に残っています。
 ここでは、ライヴ風の演出がされていて、ドラムのエンディングがフェード・アウトせず、それ風の終わり方をしています。

 "When It Rains (It Really Pours)"は、同名異曲が複数あると思います。
 「降れば土砂降り」とか、「泣きっ面に蜂」といった訳で知られる、ことわざが元になっているのが理由ではないでしょうか。

 Elvisがカバーした、Billy The Kid Emersonの作品や、Parcy Sledgeの同名曲は、いずれも別の曲だったような気がします。
 こちらは、Tommyの自作で、Freddy Fenderも、78年のアルバム"Swamp Gold"でカバーしていました。

 ジャケ良し、選曲良し、パフォーマンス良しの好盤だと思います。


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翼よ あれがテキサスの灯だ

 あるアーティストを聴き始めたきっかけって、大抵は覚えているんじゃないでしょうか。

 流れている曲が気に入って、アーティストを調べたとか
 ジャケットが気に入って、つい手に取ったとか
 好きなアーティストがゲスト参加していたからとか
 プロデュースしていたからとか
 カバー曲のオリジナル・アーティストを追っかけたとか
 様々です。

 それなりに、何らかの理由を覚えていると思います。
 でも、なぜ手にすることになったのか、全く理由がわからない、覚えていないということが、ごくまれにあります。
 私にとって、今回の主役、Wes McGheeこそ、そのレアな例のひとつです。


Landing Lights
Wes McGhee
 
Side One
1. (They used To Say) Train Time (Wes McGhee)
2, Contrabandistas (Bobby Earl Smith, Joe Gracey)
3. Too High To Sing The Blues (Wes McGhee)
4. Ain't That Lovin' You Baby (Jimmy Reed)
5. Neon And Dust (Wes McGhee)
Side Two
1. Boys In The Band (Taught The Girl How To Boogie) (Wes McGhee)
2. No Angel On My Wing (Wes McGhee)
3. Texas Fever (Wes McGhee)
4. Mailman (Bring Me No More Blues) (Roberts, Kats, Clayton)
5. Heat Of The Highway  (Wes McGhee)

 このテキサス音楽が大好きな英国人を、私はどうして聴くようになったのでしょう。

 可能性が高いのは、ジャケ買いか、あるいは輸入盤店の店長の推薦かも知れません。
 最初に買ったのは、80年リリースの2ndアルバム、"Airmail"だと思います。
 入手した時期は不明です。

 本盤は、82年リリースの3rdアルバムになります。
 多分、未だCD化されていないと思います。
 このあとの4枚目が、定評の高い(?)85年の2枚組ライヴ盤、"Thanks For The Chicen !"になります。
 私が特に聴いていたのは、このあたりの時期です。

 CDが当たり前になった90年代以降は、すっかりご無沙汰していました。
 それがつい最近、この人が現役であることに気付き、久方ぶりに聴き返したくなったのでした。

 そのきっかけは、テキサスのバンド、Freddie Steady 5を聴いたからです。
 Freddie Steady 5のリーダー、Freddie "Steady" Krcは、ローティーンの頃、英国ビート・バンドの襲来に衝撃を受けて、音楽を始めたらしいです。

 その時、初めて見たのが、Sir Douglas Quintetだったというのが可笑しいです。
 Sir Douglas Quintetが、英国バンドを装ったテキサスのガレージ・バンド(当時)だったのはご存じのとおりです。

 さて、Freddie Steady 5のライナーによれば、Freddie "Steady" Krcは、若い頃、Wes McGheeのバンドでドラムを叩いていたらしいです。
 ブリティッシュ・インベイションに憧れて音楽を始めたテキサス男が、テキサス音楽大好きの英国人ロッカーのバンド・メンバーだったというのです。

 私は、LP棚をあさり、このアルバムを引っ張り出してきました。
 そして、確認することが出来たのでした。
 このアルバムは、ロンドン録音とテキサス録音で構成されています。
 そのうち、テキサスのセッションには、バンドのメンバーが、次のように記されていました。

Wes McGhee : vocals, guitar
Fred Krc : drums, percussion
Larry Lange, Mike Robberson : bass, piano 
Ponty Bone : accordion
Lloyd Maines : pedal steel guitar
Richard Bowden : fiddle
Don Caldwell : sax
Dermont O'Connor : mandlin
Kimmie Rhodes, Bobby Earl Smith, Jimmie Gilmore : vocals

 いやー、またまたテキサス音楽ギークには、たまらないメンツですね。
 このリストだけで、おかずなしで、茶碗1杯の白飯が食べられます。

 Fred Krcの名前が、しっかり、ドラムスとクレジットされています。
 情報は間違いなかったのでした。

 しかも、それだけでなく、予期していなかった喜びの発見がありました。
 ベースがLarry Langeと記されているではないですか。
 驚きです。

 Larry Langeは、後にテキサス、ルイジアナ音楽大好きバンド、Larry Lange & his Lonely Knightsを組む、あの人に間違いありません。
 これは、かなりの驚きです。
 Larry Lange & his Lonely Knightsは、私が大好きなバンドです。

 アコーディオン奏者のPonty Boneは、ケイジャン・バンド、Ponty Bone & the Squeeze Tonesのリーダーです。
 私は多分、LP盤を最低1枚は持っていると思います、(未確認です。)

 そして、コーラスで、Bobby Earl Smith、Jimmie Gilmoreの名前がクレジットされています。
 Bobby Earl Smithは、元Freda & Firedogsのシンガー、ベーシストで、解散後はDoug SahmやAlvin Crowと活動をともにした人でした。
 Freda & FiredogsのFredaは、後のソロ・シンガー、ピアニストのMarcia Ballです。

 Jimmie Gilmoreは、もちろん、Joe ElyやButch Hancockと共にFlatlandersを組んでいた、Jimmie Dale Gilmoreですね。

 そして、Kimmie Rhodesは、テキサスのアーティストのアルバムでは、よくコーラスで参加している人です。
 この人は、ソロ・アルバムが何枚かありますが、私は未聴です。

 というわけで、そもそもFreddie Krcの参加を確認することが目的でしたが、Larry Langeの名前を発見して、私は異常に高まりました。
 
 Freddie Krc、Ponty Boneの両名は、次作のライヴ盤、"Thanks For The Chicken !"にもクレジットされています。
 このライヴ盤には、ゲストとして、Alvin Crowもフィドルで参加していました。

 ちなみに、2ndアルバムの"Airmail"は、全く違う編成ですので、この3rdから付き合いが始まったのかも知れません。
 "Airmail"には、Hank Wangfordが参加していました。

 なんだか、クレジットを見ただけで、お腹一杯になった気分です。

 "Landing Lights"のレコードの内袋には、セッション風景の写真がプリントされていて、若き日のFreddie Krc、Bobby Earl Smith、Larry Langeの姿が確認できます。
 とりわけ、Larry Langeの写真が若いです。

 本盤は、好曲、"(They used To Say) Train Time"でスタートします。
 Ponty Boneの流麗なアコの調べが印象に残る、孤独な男の哀愁ソングです。
 この曲は、Freddie Krcの別プロジェクト、Freddie Steady's Wild Countryの08年作、"Ten Dollor Gun"(Wes McGhee制作)でカバーされていました。

 Wesがトランペットを吹く、Bobby Earl Smith作のボーダー・ソング、Contrabandistasから、Wes自作のロッキン・ナンバー、"Too High To Sing The Blues"、そしてJimmy Reedのブルースを元気一杯のアレンジでやった、"Ain't That Lovin' You Baby"を経て、再び哀愁のボーダー・ソングへと続くA面の流れが良いです。

 とりわけ、Wesのスパニッシュ・ギターや、Pontyのアコが素晴らしく、Jimmy Reed Songでは、ブルース・ハープのパートをアコが奏でます。

 B面冒頭の"Boys In The Band (Taught The Girl How To Boogie)"がまたよくて、こちらは雰囲気が変わって、ウエスタン・スイング・バンドがやる軽快なブギ・ナンバーのようです。
 Wesのボーカル・エコーのチューニングが最高にセクシーに決まっています。

 ポルカのような賑やかな"Texas Fever"は、当然かっこいいです。
 そして、"Mail Man Bring No More Blues"は、私が昔から大好きな曲で、原曲は誰でしたっけ?

 両面とも全くだれることなく、わくわくしながら聴きとおせました。
 懐かしさよりも、新鮮な驚きを感じて、大きく見直した1枚です。



Whiskey is My Driver by Wes McGhee Live In London 1987




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ファラオの子どもたち

 今回は、Sam The Sham & Pharaohsのトリビュート盤を聴き返しました。
 このCDを入手したのは、もう随分と以前のことです。
 当時よく出入りしていた、輸入盤店の店長の薦めで購入したのだと思います。

 くだんの店長は、私の趣味を知ってくれていて、彼なりのチョイスで薦めてくれるのでした。
 私は、小心者のため、欲しいアイテムが見つからない場合、そのまま帰るのは申し訳ない気がして、無理にでも1枚は買って帰ろうとしたものでした。

 ためらい続ける私を横目に見つつ、嬉しそうに店長がお奨め品を出してくるのでした。
 そうやって、さほど興味がないにも関わらず、何となく買ったCDがいくつもあります。
 その多くは、一度だけ聴いて棚のオブジェになりました。
 でも、実はその内のいくつかは、何年もたってから、価値を見出す結果となることがあったのです。

 
Turban Renewal
A Tribute To Sam The Sham & The Pharaohs

1. Wooly Bully : Hasil Adkins
2. Ring Dang Doo : The Lyres
3. Monkey See Monkey Do : The Untamed Youth
4. Love Me Like Before : The Brood
5. I Wish It Were Me : Homer Henderson
6. Don't Try It : The Devil Dogs
7. Lil' Red Riding Hood : John Felice
8. Pharaoh A Go-Go : Jackie And The Cedrics
9. Medicine Man : The Fleshtones
10. Grasshopper : The Original Ben Vaughn Combo
11. Green'ich Grendel : The Ranch Hounds
12. Sweet Talk : The Naughty Ones
13. Ju Ju Hand : Handsome Dick Manitoba
14. Oh That's Good, No That's Bad : Nine Pound Hammer
15. Juimonos (Let's Went) : Little Richard Elizondo Combo
16. Like You Used To : The Hentchmen
17. Let's Talk It Over : The Senders
18. (I'm In With) The Out Crowd : A-Bones
19. Deputy Dog : Great Gaylord And The Friggs
20. Struttin' : The Swingin' Neckbreakers
21. I Couldn't Spell !!*@! : Roy Loney And The Young Fresh Fellows
22. Sorry 'Bout That : Teengenerate
23. The Hair On My Chinny Chin Chin : Los Chiflados Del Ritmo
24. The Phantom : Flat Duo Jets
25. How Do You Catch A Girl : The Vacant Lot
26. Wooly Bully Espanol : Rudy "Tutti" Grayzell Y Los A-Bones

 本盤は、94年にNorton Recordsからリリースされたものです。
 Nortonは、ずっと後になって、Doug Sahmの初期の音源、Harlem Recordingをまとめた好CDを制作した会社です。

 このCDがお宝かどうかは、私自身よく分かりません。
 ただ、最近、レアな内容であることに気が付きました。

 収録されているアーティストは、ほとんど未知の存在ばかりです。
 最近になって、この中の一部がNortonで録音しているレーベル・メイトであることを知りましたが、初見のときは、ひたすら無名人をよく集めたなあ、というのが感想でした。
 基本的にガレージ・パンク、サイケ系のバンドが多いようです。

 まあ、そういったことよりも、「そもそもSam The Shamのレパーリーって、こんなにあったっけ?」
 そう思わずにはいられません。
 私が彼らの曲で、すぐに思いつくものといいますと…。

1. Wooly Bully
7. Lil' Red Riding Hood
13. Ju Ju Hand 
23. The Hair On My Chinny Chin Chin(この曲は、メロを聴いて思い出しましたが、タイトルは覚えていませんでした。)

 以上です。
 いやー、改めて驚きましたが、まあそんなものでしょう。
 (よく考えると、"Red Hot"が未収録ですね。)

 そもそもSam The Sham & Pharaohsというのは、どうも謎のバンドですね。
 リーダーのSamさんは、フルネームを、Domingo Samudioといい、チカーノ(メキシコ系アメリカ人)らしいです。

 しかし、そのいでたちは、第三世界風ですね。
 アラブ系の恰好をするのには、何か理由があったのでしょう。
 黒人R&Bアーティストでは、Chuck Willis、ドゥワップ・グループで、Turbansというのが、ターバン・スタイルでした。
 当然、売出しのためでしょうが、彼らがこのような戦略をとった理由が知りたいものです。

 さて、本盤での私の注目は、次の3曲です。

5. I Wish It Were Me : Homer Henderson
10. Grasshopper : The Original Ben Vaughn Combo
26. Wooly Bully Espanol : Rudy "Tutti" Grayzell Y Los A-Bones

 最初のHomer Hendersonは、全く知らない人です。
 しかし、そのサウンドは、明らかにSir Douglas Quintetを連想させるもので、雑誌を斜め読みしながら聴いていた私は、思わずCDパッケージを手にとって、アーティスト名を確認したものでした。

 Quintetを連想させる理由は、シンプルです。
 イントロから始まって、延々と続くオルガンのリフが、Augie Meyersのプレイを思い起こさせるからです。
 とはいえ、Sam The Sham自体が、Quintetと似た部分を持つバンドです。
 一時的に興味を持ちましたが、さほど気にすることなく、その場は聴き流したのでした。

 CDのリーフレットを確認したのは、つい最近のことです。
 そこには、各曲のパーソナルが記載されていました。

 この曲のセッション・メンバーは以下のとおりです。
 そこには、(私にとって)驚くべき内容が記されていました。

Homer Henderson : lead vocals
Casper Rawls : guitar, sax, string bass
Speady Sparks : bass
Rocky Morales : tenor sax
Doug Sahm : first bass coach
Kris Cummings : organ
Joe Nick Patoski : vocals
Mike Buck : drums, vocals 

 テキサスのロックに関心がある方なら、驚かれるのではないでしょうか?
 私は、かなり驚きました。
 何と主役以外のメンツは、聞き覚えのある名前ばかりだったからです。

 ベースのSpeady Sparks、サックスのRocky Moralesの二人は、完全Doug Sahm人脈の人たちです。
 二人とも、数多くのDoug Sahmのレコーディングに参加しています。

 また、Speady Sparksは、LeRoi BrothersやJoe King Carrascoのアルバムにも参加しています。
 そのつながりで連想したことを調べたところ、思ったとおりの事実が確認できました。

 ギターのCasper Rawlsは、本名をRick Rawlsといい、元LeRoi Brothersのメンツでした。
 また、ドラムのMike Buckは、T-Birdsの創設期メンバーで、その後LeRoi Brothersのメンツにもなりました。

 そして、オルガンのKris Cummingsは、おそらく元Joe King Carrasco & Crownsの紅一点に間違いないでしょう。
 何て素晴らしい編成でしょうか。
 テキサス音楽ヲタにはたまりません。

 ところで、(私にとって肝心の)Doug Sahmですが、first bass coachとなっています。
 このクレジットはどういう意味でしょう。

 第1ベース指導?って、何か意味がある言葉なんでしょうか。
 普通に読めば、1塁ベース・コーチなんでしょうが、不思議なクレジットです。
 でも、突然野球用語なんて、脈絡がなさすぎですよね。
 何かのジョークでしょうか。
 謎です。

 さて、残り2曲についても、簡単に触れたいと思います。

 "Grasshopper"を演奏した、The Original Ben Vaughn Comboですが、このBen Vaughnという人は、80年代から活動しているルーツ・ロッカーです。

 07年のソロ・アルバム、"Prehistoric Ben Vaughn"には、Doug Sahmの"She's About A Mover"のカバーが収録されていました。

 サザン・ソウルのファンには、Arthur Alexanderの93年の大傑作アルバム、"Lonely Just Like Me"のプロデューサーといえば、関心を持たれるかもしれません。

 最後に、"Wooly Bully Espanol"のRudy "Tutti" Grayzell Y Los A-Bonesです。
 この曲は、"Wooly Bully"のスパニッシュ・バージョンです。
 単にスペイン語でやっているだけでなく、ラテンの陽気さ満点のアレンジになっています。

 Rudy Grayzellは、一般的にはロカビリアンとして知られていて、キャピトルやスターデイ、そしてサンにも録音があります。
 ジョー・クレイで有名な"Duck Tail"は、彼がオリジネイターです。

 この人は、父方がヒスパニック(多分メキシコ)で、母方がイタリアという家系に生まれた人で、サンアントニオで成長しました。
 エルヴィスを知るまでは、普通のカントリーをやっていた人です。

 20歳のころ、当時11歳のDoug Sahmをバンドに加え、スチール・ギターを担当させていました。
 親戚のふりをして、Dougを学校から呼び出し、演奏に参加させたというエピソードが残っています。

 Skeletonsをバックに録音した98年のアルバム、"Let's Get Wild"では、Dougの"Why Why Why"をカバーしていました。
 そして、その少し前、91年の4曲入りアナログEP盤、"Texas Kool Kat"では、本盤の18曲目に登場するA-Bonesをバックにして、やはりDougの"Why Why Why"をやっています。

 このA-Bonesというのは、ガレージ系のバンドで、音がかなり違いますが、おそらくRudy "Tutti" Grayzell Y Los A-BonesのLos A-Bonesと同じではないかと思います。 

 Dougファンとしては、RudyとDougが共演した50年代録音がないのか、と思ってしまいます。
 残念ながら、知られているRudyのレコーディングは、スタジオ・ミュージシャンと吹き込んでいるようです。

 まあ、当然かもしれません。
 でも、後年、二度も"Why Why Why"を録音していることに、何か意味がないのか、と淡い期待をしてしまうのでした。

 本盤は、今回の記述内容に関心がある方のみに価値があるものだと思います。



Wooly Bully by Hasil Adkins




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監獄からこんにちは

 久しぶりに、アナログ盤の棚をあさりました。
 あることを調べるために、Wes McgheeのLPを探したのですが、例によって色々と目移りがして、手に取った目的外のLP盤を、ついしげしげと眺めてしまうのでした。

 本盤は、75年にリリースされた、Freddy Fenderのレアな音源を収録したアルバムです。
 75年は、前年にABC-dot盤、"Before The Next Teardrop Fall"がベストセラーになったことから、過去の音源が便乗でLP化された時期でした。
 このアルバムもそんな1枚です。


Recording Inside Louisiana State Prison
Freddy Fender

Side One
1. My Happy Days Have Gone
2. Our Pledge of Love 
3. I Hope Someday You'll Forgive Me
4. Hello Loneliness
5. My River 
6. Quit Shucking Me Baby 
Side Two
1. Bye Bye Little Angel
2. The Village Queen 
3. Carmella 
4. Oh My Love 
5. Blow of Your Love 
6. Gonna Be Looking 

 本盤のタイトルは、ルイジアナ州監獄(の中での)録音となっています。
 私は、初めてこの題名を目にしたとき、てっきり刑務所でのライヴだと思いました。

 こういった思い込みは、売り手側にもあるようで、ショップによっては、ライヴ盤として紹介しているところがあります。

 刑務所でのライヴというと、Johnny Cashが有名ですね。
 フォルサム・プリズンとか、サン・クウェンティンとかのライヴは、ベストセラーになりました。
 服役囚の前で、世の中の理不尽さをなじるような、際どい内容の歌を歌って、大喝采をあびるCashのシーンは、未聴の方にはぜひ聴いていただきたいです。

 さて、本盤はライヴ盤ではありません。
 ジャケット裏のライナーによれば、これは62年に監獄の中で録音された音源だということです。
 本当なんでしょうか?

 音は、あるいはスタジオ・ライヴかも知れませんが、歓声などは一切ないきれいな録音です。

 50年代終盤から60年代初めに、Duncan Recordで録音された音源は、イナたさを残しつつも、きっちりまとめられたプロの仕事でした。
 一方、本盤の音源も、録音の雰囲気はまるで違いますが、やはりきっちりした仕事だと思います。

 Freddy Fenderは、"Wasted Days and Wasted Nights"がローカル・ヒットして、これから全国へというとき、ドラッグ不法所持で収監されてしまいます。
 Duncan Recordsのオーナー、Wayne Duncanによれば、2万ドルの保釈金を払ってFreddyを保釈させ、わずかな間にレコーディングを行ったそうです。
 これらの音源は、シングル・リリースされ、75年にLP、"Since I Met You Baby"にまとめられました。

 Freddyが服役していたのは、おそらく63年ころまでだと思われます。
 本盤のライナーによれば、収録曲は、前述のとおり62年の録音だということです。

 一体どうやって録音したのでしょうか?
 機材を持ち込んだにしても、監獄にはスタジオはないですよね。

 本盤収録曲は、ホーンレスで、比較的ソフィスティケートされた曲が多いように思います。
 まるで、都会の録音スタジオで、お上品な雰囲気で吹き込まれたかのように感じます。
 例えば、女性コーラスが入っていたり、美しいピアノの調べが耳に残るバラード中心の構成になっています。

 このあたりは、後からダビングしたのだとすれば、不思議はないですが、音を聴いていて、監獄録音というイメージが全く思い浮かびません。
 私は、60年代初期の録音ということすら、疑いたい気持ちになったりします。

 A面1曲目、"My Happy Days Have Gone"は、美しいゆったりした12ビートのラヴ・バラードです。
 「あれっ」と思うのは、2曲目の"Our Pledge of Love"で、これはほとんど"My Happy Days Have Gone"と同じようなメロを持った曲です。

 作者が同じなのかもしれませんが、聴きようによっては、同じ曲に別の歌詞をのせた、そんな試行錯誤中のテイクかと思ったりもします。
 A面は、同じような路線の曲が続き、最後の曲のみリズム・ナンバーが入っています。 

 B面の半ばになると、Freddyのボーカルが、気取った太めの声質になり、一瞬別人かと思ったりしました。
 やはりバラード中心の展開ですが、最後に楽しいリズム・ナンバーで終了する構成は同じです。

 バラーディアーの面目躍助というスタイルのアルバムに仕上がっています。
 特に、"Bye Bye Little Angel"は、胸キュン系の可愛らしいバラードで、Swamp Popといってもいい曲だと思います。
 続く"The Village Queen"も、ちょっとRoy Orbisonを連想させるバラードで、歌詞の内容が気になる、私のお気に入りの1曲です。

 本盤収録曲は、Terry E. Gordon氏作成のディスコグラフィーによれば、全てGoldbandのアンイシューとなっています。
 Eddie Shulerの指揮で録音されたのでしょうか。
 あるいはDuncanから買い上げたのでしようか。
 音の感じ、レパートリーともに、これまでのDuncan録音と全く違うので、監獄録音の真偽は保留として、私は前者ではないかと思っています。

 ところで、収録曲のクレジットですが、基本的に62年なんですが、"Bye Bye Little Angel"と"Oh My Love"のみ66年となっています。
 これは不思議ですね。
 クレジットが録音年だとすれば、この2曲のみ塀の外へ出てからの作品になります。

 実は、私は"Bye Bye Little Angel"のドーナツ盤(Goldband 1264)の写真を、オークション・サイトで見たことがあります。
 作者は、G.Marcontelとなっていました。
 作者が全く分からない本盤収録曲ですが、この1曲のみ、これで判明しました。
 私の想像では、この曲は66年にイシューされ、B面が"Oh My Love"だったのではないでしょうか。

 とにかく、時代毎にその時の最高のパフォーマンスを見せてくれるFreddyです。
 本盤のレパートリーは、その後目にすることがないように思いますが、とても貴重な記録だと思います。



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大人の贈りもの

 このアルバムは、買われた方が多いのではないでしょうか。
 私も、予約オーダーしていました。
 このアルバムの魅力は、私にとってはまずジャケですね。

 初めてサイトの告知でジャケ写を見たときから、私は、リイシューものと同じ目線で物欲センサーが発動していました。
 キャバリエさんと組んだアルバムのジャケには、まったく萌えませんでしたが、今作でのセピアなたたずまいには、ノックアウトされずにはいられません。


Dedicated
A Salute To The 5 Royales
Steve Cropper

1. Thirty Second Lover (Paul, Pauling): with Steve Winwood
2.Don't Be Ashamed (Pauling): with Bettye LaVette & Willie Jones
3.Baby Don't Do It (Pauling): with B.B.King & Shemekia Copeland
4.Dedicated to the One I Love (Bass, Pauling): with Lucinda Williams & Dan Penn
5.My Sugar Sugar (Pauling): with John Popper
6.Right Around the Corner (McCoy, Singleton): with Delbert McClinton
7.Help Me Somebody (Pauling): Inst.
8.I Do (Pauling): with Brian May
9,Messin' Up (Pauling): with Sharon Jones
10.Say It (Pauling): with Bettye LaVette
11.The Slummer the Slum (Carter, Pauling): with Buddy Miller
12.Someone Made You for Me (Glover): with Dan Penn
13.Think (Pauling): Inst.
14.Come On & Save Me (Pauling): with Dylan Leblanc & Sharon Jones
15.When I Get Like This (Jeffries, LeBow): with Lucinda Williams

 今作は、The Five Royalesのトリビュート盤になっています。
 Steve Cropperが、5 Royalesのギタリスト、Lowman Paulingをアイドルとしていたことは、よく知られています。

 R&Bファンには人気のグループですが、オールディーズ・ファンにとって5 Royalesといえば、彼らのオリジナルより、カバーですね。
 (普通の音楽ファンは、5 Royalesをまず知らないでしょう。)

 James Brownは、"Think"を二度吹き込んでいます。

 Beatlesのお気に入り、ガールズ・グループのShirellesは、"Dedicated To The One I Love"のカバーが有名です。
 この曲は人気曲で、様々なカバーがありますが、チカーノにはStaxのTemprees盤が定番です。
 5 Royalesとしては、他にあまりないタイプのバラードですね。

 本盤収録曲の選曲はどうなんでしょう。
 広く知られた曲がチョイスされているんでしょうか?
 私は、知らない曲がほとんどでした。
 知っていた曲は次のとおりです。

3. Baby Don't Do It
4. Dedicated To The One I Love
5. My Sugar Sugar(曲名を覚えていただけ)
10. Say It
11. The Slummer The Slum(曲名を覚えていただけ)
13. Think

 このうち、"Say It"は、Lowman Paulingのギターが飛びまくる曲です。
 ただ、Cropper的ではないです。

 よく考えると、5 Royalesのレパートリーのうち、いくつかギターが目立つ曲がありますが、あまりCropper的なものはないです。

 もともと、CropperはPaulingのどこが好きだったのでしょう。
 おそらくは、音数の多いソロではなく、"Think"などのバッキングに特徴がある曲が好きだったに違いありません。

 とはいえ、今回、Cropperは2曲のインストにチャレンジしています。
 "Think"はやはり名曲ですね。
 ただ、少し色々とやりすぎな気もします。
 私は、"Think"のカバーでは、Wilko Johnsonのバージョンが一番好きです。

 "Help Me Somebody"は、原曲を知らないせいもあり、新鮮に感じました。
 Cropperは、Albert Kingが好きということもあり、ブルージーなフレーズは予想以上にいいです。
 Otisの"Rock Me Baby"のプレイを初めて聴いたときは、他の曲とのあまりのギャップにぶっとびました。

 本盤にはチョイスされていませんが、"Wonder Where Your Love Has Gone"という曲が、Paulingのギターが活躍するブルージーな好曲で、個人的にはやってほしかった曲です。

 そして、Sam and Daveのバージョンで、"I'm With You"を弾いたのは、MG'sではなかったですか。
 もしそうなら、これもやってほしかった曲です。

 本盤には、有名ゲストが多数参加していますが、私の今回一番の注目は、Brian Mayです。
 5 RoyalesとBrian Mayの取り合わせは、かなり意外ですよね。

 私の思い込みかもしれませんが、Queenは、形式としてのブルースとは無縁だと思っていました。
 例えは、生まれたときから、家庭にグランド・ピアノがある、そんな環境に育ったメンバーというイメージです。
 当然、クラシックに囲まれて成長した印象を持っていました。

 そこへ、5 Royalesです、
 これはサプライズですね。
 しかも、自身のギターのトーン一発で世界を作るさまは、QueenがFreddyとBrianとの双頭バンドだったのだと、改めて思わせてくれます。

 ゲストの存在感という意味では、B.B.Kingです。
 もはや、現人神の域ですね。
 かつて、20年くらい前、ライヴはいいけど、スタジオ盤での衰えが目立つと評した音楽誌には、思い切り冷や汗をかいてほしいものです。
 ギターは、いまだに進化しているし、メリスマは効きまくっている、こんな人がいるのは奇跡でしょう。

 ほかでは、Dan Pennもがんばっていますが、Steve WimwoodのRay Charlesばりの歌いくちがいいです。
 ちなみに、本盤収録曲のベーシック・トラックは、Dan Pennが録音したそうです。
 おそらくは、ゲストの録音はすべて別録音で、同じスタジオでの共演はなかったのだと思います。
 

 最後に、私の好きなCropperを記しておきます。

 ヴィンテージ期では、Rufas Thomasの初期作品の伴奏が全て好きです。
 Otisは、みんな好きですが、あえて言うなら、「ソウル・アルバム」です。
 MG'sでは、"Time Is Tight"と、やはり"Green Onion"です。
 当たり前すぎますか。

 その後の活動では、次の2枚が特に好きです。
 80年代では、Roy Orbisonのアルバム、"Mystery Girl"でのプレイ。
 90年代では、Parcy Sledgeのアルバム、"Blue Night"でのプレイです。

 そして、Blues Brothers
 オリジナル版も、2000も輝いていました。
 昨年は、せっかく"Blues Brothers 2010"のチャンスだったのですが残念です。

 いつまでも、渋くきらりと光るバッキングを弾き続けてほしいです。


Time Is Tight by Booker T. & MG's


有名なCCRのオープニング・アクトでの映像だと思います。


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元祖ヘタうま
ルーファスおじさんのダンス


酒とあの娘とほら話

 今、私はとてもほっこりとしています。
 それは、このアルバムを聴いたからです。

 この「ほっこり」というのは、標準語でしょうか。
 私は、関西圏なので、書いた後、ついこれで通じているのかな、などと思ってしまいます。
 私がここで感じたのは、「ほっと落ち着いて、おだやかな気分になり、くつろいでいる」くらいのニュアンスです。


Lived That Song Before
Aaron Wendt
 

1. Drinkin' 2B Drinkin' (Aaron Wendt)
2. That's Your Memory (Aaron Wendt)
3. The Dog Song (Aaron Wendt)
4. Outlaw (Aaron Wendt)
5. Honkytonks, Nightclubs, Bars and Dives (M.Hodges)
6. Lived That Song Before  (Aaron Wendt)
7. Swim Up Bar (Aaron Wendt)
8. Yellow-Haired Rose of Texas (Aaron Wendt)
9. I Like Texas  (Aaron Wendt)
10. Slow Pouring Tequila (Aaron Wendt)
11. Don't Cry a Tear  (Aaron Wendt)

 初めて聴くアーティストです。
 本盤は、10年にリリースされたもので、テキサスのシンガー、ソング・ライター、Aaron Wendtの1stアルバムになります。

 いきなり余談ですが、Wendtという姓はどちら方面の姓で、なんと発音するのでしょう。
 語尾が「dt」で終わる姓というと、私は、リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)くらいしか思いつきません。
 彼女は、マリアッチのアルバムを出して、ルーツに向き合っていましたね。

 ロンシュタットという日本語表記が、必ずしも正しいとはいえないですが、これにならえば、dは発音せず、本盤の主人公は、アーロン・ウェントさんでしょうか。
 一方、ファースト・ネームのAaronは、私の思い込みでは、フランスっぽい臭いがしますね。
 興味深いです。

 さて、音楽の傾向ですが、ざっくりとWestern Swingと言ってしまいましょう。
 アクースティック度の高いホンキー・トンク・カントリーでもいいかもしれませんが、聴いて受ける印象はウエスタン・スイングです。

 バンドの編成は、ギター、べース、ドラムス、スチール・ギター、フィドルなどを基本として、曲によっては、バンジョー、マンドリン、ピアノ、アコーディオンなどが追加されます。
 主人公のAaron Wendtは、ボーカルとリズム・ギターです。

 ホーンレスのウエスタン・スイング・バンドと言うのが一番イメージがわきやすいでしょう。
 アクースティック・スイングに近いですが、編成だけでなく曲調としてもジャズ性があまりなく、そのレパートリーは、ホンキートンク・カントリー、カウボーイ・ソングが主体で、ごくわずかにTex-Mexも含まれています。

 私は、ウエスタン・スイングとは、ざっくり言えば、カントリー・バンドに、ジャズのビッグ・バンド編成を取り入れたものだと思っていますが、その定義からは外れていますね。
 でも、聴いた印象は、ほんわかムードのウエスタン・スイングなのでした。

 ホーンが入っているバンドでは、しばしばジャンプやブギが演奏されますが、このバンドではそういった要素が薄いです。
 ピアノもゲスト扱いですので、モダン性も低めで、全体から受ける印象はカントリー度が高いです。

 2曲目の"That's Your Memory"で、女性シンガーがデュエットしますが、これがまた、オールド・スタイルのシンガーで、古いヒルビリーのような懐かしさを感じました。
 キュート路線、鉄火肌路線のいずれでもないですが、魅力的です。

 実際、トラック5で初めてエレキ・ギターが登場するまで、完全なアクースティック・バンドかと思っていました。
 ここで登場したエレキ・ギターが、思いのほか普通にノリノリのロッキン・スタイルだったので、かえって驚いたくらいです。
 本盤で唯一のジャンプ系のブギウギ曲で、快調なスイング感が理屈抜きに楽しいです。
 ピアノもごきげんに跳ねています。

 とはいえ、特に前半のメインは、スチールやフィドルの流麗なサウンドをバックにした、ゆったりとしたワルツや、トロットのようなリズムの曲で、ひたすら和みます。
 曲は、酒、可愛い女、ならず者、一攫千金、武勇伝などなどの、ほら話が歌われているではないかと思います。

 アルバム後半になると、ロッキン度、モダン度が増して、タイトル曲の"Lived That Song Before"などは、John Fogertyが書きそうなカントリー・ロックという感じです。 

  そして、"I Like Texas"では、再度懐かしい古いスタイルのホンキー・トンク・カントリーの世界に誘われ、酔わされます。
 この曲の途中で、不意にブレイクが入って、"Sunshine Of Your Love"の印象的なフレーズが一瞬だけ出てくる箇所があり、眼が覚めます。
 何か意味があるんでしょうか?
 出来れば歌詞を聴き取りたいものです。 

 "Slow Pouring Tequila"は、いきなりメキシカン・スタイルのトランペットで始まり、驚きます。
 (唯一この曲のみ、管楽器が入ります。)
 さらに、アコーディオンが入り、巻き舌での「ルルルー、アイ、アイ、アイ」といった囃子言葉が出てきます。
 Tex-Mexの香りが漂うというか、もはやメキシコという感じですが…。
 アルバムも終わり近くになってのサプライズ・アクセントでした。

 そして、ラストは、フォーキーなカントリー・ロック調の曲で、静かに終了します。

 当初は、穏やかでアンプラグドなウエスタン・スイングだけなのかと思いましたが、実は随所にアクセントが盛り込まれた、最後まで飽きさせない、(意外にも)バラエティに富んだ内容なのでした。

 次作にも期待です。









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