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リック・トレヴィーノ

 この人はどういう位置にいる人なんでしょう。
 英語で歌う、テハーノ・カントリーなんだと思いますが、とても歌がうまい人だと思います。
 そして、コンテンポラリーといいますか、聴きやすいスタイルだとも感じました。
 このCDは、リック・トレヴィーノの2枚のアルバムをカップリングしたお得盤になっています。


In My Dreams/Whole Town Blue
Rick Trevino

1. Overnight Success (Rick Trevino, Raul Malo, Jamie Hanna, Alan Miller)
2. In My Dreams (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
3. She'll Never Know (Rick Trevino, Raul Malo, Jamie Hanna, Alan Miller)
4. Downside of Love (Rick Trevino, Raul Malo, Jamie Hanna, Alan Miller)
5. Beautiful Day (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
6. Olivia (Rick Trevino, Raul Malo, Jamie Hanna, Alan Miller)
7. Are We Almost There (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
8. Heartaches (Rick Trevino, Raul Malo, Wally Wilson)
9. So Over (Rick Trevino, Raul Malo, Jamie Hanna, Alan Miller)
10. Have You Ever Really Loved a Woman (Bryan Adams, R.J.Lange, Michael Kamen)
11. Better in Texas (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
12. Separate Ways (Bill Anderson, Jimmy Yeary, Wally Wilson)
13. Whole Town Blue (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
14. Fool for Lesser Things (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
15. Cousin Paul (Rick Trevino, Alan Miller)
16. Loving You Makes Me a Better Man (Rodney Crowell)
17. Because of You (Rick Trevino, Raul Malo, Jamie Hanna, Alan Miller)
18. Autumn Rose (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)
19. Remember the Alimony (Rick Trevino, Alan Miller)
20. Matter Much (Rick Trevino, Raul Malo, Alan Miller)

 サウンドの印象としては、難しいところですが、あえてアーティストで例えますと、ジョージ・ストレートよりも、ガース・ブルックス寄りかも知れません。
 フィドルが目立たないことから、トラディショナル度があまり強く感じられないせいでしょう。
 
 かといって、ポピュラー一辺倒という感じでもなく、バランスのとれた音だとも感じました。
 ラップ・スチールのトロピカルなフレーズと、トワンギーなギターが耳に残る、なかなか好感が持てる音づくりです。 
 ただ、この傾向は、この時期のアルバムだけの可能性もあります。

 声の感じはドワイト・ヨーカムに似た印象を受けます。
 曲は、自作中心ですが、ラウル・マロとの共作が多いです。
 アルバム・プロデュースは、両作ともにマロが行っています。

 曲調は、全体的には、カントリー・ロックに接近した音だと思いますが、これは現代のカントリーではもはや特徴とは言い難いと思います。
 
 そんな中で、コースト・カントリーといいますか、ずばりベイカーズ・フィールド風の曲も出てきて、うまくはまっていると思いました。
 "Heartaches"なんかが、もろにそんなタイプの曲ですね。
 
 ここでは、ドワイト・ヨーカムを通り越して、その先にバック・オーウェンスの姿が見えるかのような、明るく元気で乾いたサウンドが魅力的です。

 やはりチカーノ・ルーツが出た曲がこの人のアイデンティティなのだと思いますが、うれしいことに、パブ・ロック風のフックを持った曲もあって、耳を惹きます。
 冒頭の"Overnight Success"は、ニック・ロウを連想させるサビを持った曲で、好感度アップです。

 そして、"Better in Texas"では、メキシカン・トランペットの高らかなトーンからスタートして、チカーノ・ルーツを明らかにしています。
  
 "Because of You"は、珍しくフィドルが活躍する伝統的なホンキー・トンク・スタイルの曲で、この流れの中ではむしろ新鮮に感じます。
 クラりネットのような、あるいはミュートしたトランペットのようなサウンドを配した仕上げも曲にマッチしています。

 "Remember the Alimony"もそれに近いホンキー・トンク・スタイルの曲です。
 安酒場の喧騒が思い浮かぶような、ウキウキ感が好きです。

 そして、ラストの"Matter Much"は、エヴァリー・フラザーズの名作、"Walk Right Back"を思わせるメロデイを持った曲で、感傷的な雰囲気がたまりません。
 この感じは、プロデューサーのラウル・マロの好みが出ているような気がします。

 前半よりも後半のアルバムのほうが、若干トラディショナルな印象があるかも知れません。
 とはいえ、全体的にはとても聴きやすいサウンドだと感じました。

 あえて、欲をいいますと、はちゃめちゃさがもっとあっても面白いかと思います。
 このへんは、単に私がバー・バンド好きだからでしょう。

 追記
 ここまでタイプして、以下のことを思い出しました。
 "Matter Much"は、ラウル・マロが最新作、"Sinners & Saints"に収録していた曲です。
 そのアルバムでは、"Matter Much To You"というタイトルになっていました。
 よければ、関連記事をご覧ください。


Matter Muchです。

  


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罪人と聖者のはざ間で 


コンフントに興奮

 思いのほか聴きやすいです。
 実は、もっとお勉強的な聴き方になるかと密かに思っていました。
 ヴィンテージ期のものをコンパイルしたものと考えていたからなのですが、実際は、なかなかコンテンポラリーな音源が収録されていました。


Conjunto!
Texas-Mexican Border Music Vol.4

1. Como Un Amanecer - Los Cuatitos Cantu
2. La Dama De Espana - Steve Jordan
3. Soy De San Luis - Flaco Jimenez
4. De Flor En Flor - Los Cachorros
5. Ven - Los Cachorros
6. Senorita Cantinera - Roberto Pulido Y Los Clasicos
7. Vencido - Ruben Vela Y Su Cojunto
8. De Esta Sierra A La Otra Sierra - Los Tremendos Gavilanes
9. Palomito Mensajero - Los Dos Gilbertos
10. Alegre Serenata - Los Cuatitos Cantu
11. La Novia Y El Juez - Flaco Jimenez/Toby Torres
12. Que Bonito Es Querer - Los Tremendos Gavilanes
13. Mi Recompensa - Valerio Longoria
14. Los Pollos - Roberto Pulido Y Los Clasicos
15. El Chubasco - Los Colores
16. El Adolorido - Ruben Vela Y Su Cojunto

 これは、ブレイヴ・コンボ(何て懐かしい!)のカール・フィンチが選曲に関わったシリーズの1枚で、タイトルどおりコンフント・ミュージックのコンピレーションの第4集です。

 コンフントの原型は、アコーディオンとバホ・セストのデュオだと言われていますが、ここに収められている作品は、ベースやドラムスが加わっていると思われ、比較的新しい音源だと思います。

 ほとんどがポルカですが、サンバやルンバに近い作品もあって、歌ものもインストも同じように、とにかく楽しいです。

 賑やかな曲ばかりですが、就寝前に流しっぱなしにしても、すんなりと聴きとおせるアルバムだと思います。
 リラクゼーション効果が高い1枚ですね。
 
 さて、私はこのシリーズを数枚持っていますが、今回この1枚を取り上げたのには理由があります。
 スティーヴ・ジョーダンが入っているということもありますが、何よりも、フラコ・ヒメネスが歌う"Soy De San Luis"が収録されているからです。

 この曲は、フラコの父、サンチャゴ・ヒメネスの曲で全編スペイン語ですが、ダグ・サームのファンならきっと記憶に刻まれている曲だと思います。

 なぜなら、"Soy De San Luis"は、Texas Tornadosの1stで演奏され、強い印象を与えた曲だからです。

 Texas Tornados盤では、1stヴァースをフレディ・フェンダーとフラコがスペイン語で歌います。

 そして、短い間奏のあと、ごく自然にダグ・サームが曲を引き継ぎ、2ndヴァースを英語で歌うのでした。
 私は、ダグの力強いボーカルの第一声が発っされる瞬間、何度聴いても「はっ」と息をのむようなスリルを感じます。
 
 3rdヴァースは再びフレディとフラコがスペイン語で歌い、最後にダグをメインにチャンポンでコーラス・パートが歌われるのでした。
 この3人のコンビネーションによる、バイリンガルでの曲構成が最高に素晴らしいです。
 ダグのパートを英語訳したのは、ギターのルイ・オルテガでした。

 本アルバムでは、フラコによるソロ・バージョンを聴くことができます。
 こちらのアレンジは、若干穏やかな感じですが、曲全体から受ける印象は、さほど変わりません。
 聴き比べが楽しいです。

 私は、本コンピに、この曲が入っていることに気付いたとき、小さな幸せなを見つけ、いそいそとディスクをセットしたのでした。



Texas Tornados版、Soy De San Luisです。




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さわやかコンフント
ブレイヴ・コンボを聴こう



パソコンは電気羊の夢を見るか

 私はかつて、パソコンはいつか家電になると考えていました。
 そのことを人に語ったこともあります。
 ここでいう家電とは、お年寄りからこどもまで、簡単に操作できる便利な道具をイメージしてください。
 
 パソコンが家電になれば、生活は大きく変化するに違いない、そう考えていたのでした。
 でも、最近私は、どうも違うのではないか、パソコンというものは、しょせん家電とは交わることがない存在なのではないか、そんなふうに思いだしたのでした。

 実は、ここ数週間、私はパソコンと格闘していました。
 有る日、不意にフリーズが始まり、カーソルが動かなくなりました。
 例えば、それまで30分で出来たことが、2時間かけても終わらない、ということが起こり始めたのです。
 しかも、それだけ時間をかけてやっと終わらせた作業が、保存する段階になって、間の悪いことにフリーズし、涙ながらに強制終了したことも幾度かあります。
 
 そしてついに私は決心し、パソコンを買い換えたのでした。
 それまで使っていたのが、09年夏モデルでしたので、2年保たなかったことになります。


 
 今回私は、新しいパソコンをセットアップし、自分が使いやすい環境設定にするため、1日以上をかけました。
 OSがVistaから7になったため、周辺機器(プリンタ、無線LAN)のドライバをインストールしたり、パソコンが覚えていた、各種IDやパスワードを再度覚えさせたりと、毎度ながら手間がかかるのでした。

 そして、使い始めた私は、思ったのでした。
 「Windows7、なれるまで使いづらそう」
 Vistaのときは、半月で使いづらいと判定しました。
 7もなんとなく重そうです。

 どうしてこう、どうでもいいような、個人の好みに左右されるような箇所に、力を入れて変更をかけたりするのでしょう。
 慣れてしまえば問題ないのでしょうが、今はかったるいです。
 
 動作中を知らせる、不要なアニメーション効果も気になります。
 ブラウザも気にいりません。…現在は。

 パソコンとは、そもそも日本的なるものと無縁な存在だと感じます。
 こんなにも、人を突き放した道具があるでしょうか。
 誰もが、パソコンを始めて触ったとき、感じると思います。
 「一生使わない機能が入っているに違いない」
 
 日本の家電は便利な道具です。
 年齢に関係なく、直感的に操作できる、それこそ私が考える家電の姿です。
 
 しかし、パソコンは、新製品であっても未完成品です。
 とりわけ、OSは、常に見きり発車で発売し、常時修正アップデートを行っています。
 このおおざっぱさは、アメリカ的なるものではないでしようか?

 例えば、記憶に新しいことでは、ガラパコス携帯を批判する意見がありました。
 私もなるほどと思っていましたが、考えが変わってきました。

 どうして世界基準にする必要があるんでしょうか。
 日本人が使いやすいと思う、必要とする機能が発達して、今の携帯が出来あがったのではないでしょうか。
 ガラパゴスこそ、最もユーザー・フレンドリーに徹した結果ではないでしょうか。
 
 パソコンの特性として、一般的に言われていることは二つです。
 汎用性と拡張性です。

 汎用性とは、特定のことに特化せず、いろんなことが出来るというこです。
 拡張性とは、パーツを増設したり、周辺機器を加えることによって、機能を拡大することが出来、長く使えるということです。

 でも、本当でしょうか?
 いろんなことができるかもしれませんが、その全ての操作をマスターするには、大変な労力と時間、そして根気を要します。
 一方で、最も一般的な用途に対して、親切な設計になっているとは思えません。
 誰もが使うことが、まず難しく、また頻繁に仕様変更され続けているのです。

 拡張性については、全くのウソだと思います。
 パソコンは、四半期ごとにニュー・モデルがでます。
 少なくとも半年たてば、同価格で倍くらいに性能が良いものが出ます。
 ですから、買うときは常に最新のものを買うべきです。
 なぜなら、それでもすぐに陳腐化するからです。

 古いパソコンに新しいパーツを増設するのは愚かです。
 やって有効なのは、メモリを増設することくらいでしょう。
 それも、できれば購入直後にやるのが望ましいです。

 私も以前は、メモリ増設、外部HDDの設置などやってきましたが、本体のCPUが追いつきません。
 しょせん、パソコンは2年くらいで買い換えるべきものだと思います。
 これが、私が最近思うようになったことです。
 多分、ここ数週間のパソコンとの苦闘、そして最新機種への買い替えが、そういった心境にさせたのだと思います。

 ちなみに、私の自宅の冷蔵庫は30年以上使っています。
 電子レンジは、多分ごくごく初期のモデルだと思います。
 おそらくは、今の機種に比べて、かなり消費電力が多いのでしょうが、今のところ普通に使えています。
 これこそ、日本的なるものだと思います。
 例えば、ダイヤどおりに列車が到着する国の文化、それが日本の家電なのだと言いたいです。

 パソコンは、海の向こうからやってきた、異文化の象徴かもしれません。
 最新の時から未完成であり、対価を払って手にいれたユーザーに、「使わせてやって」試行錯誤させている、なんともおごったアイテムです。

 こいつらが、テレビや洗濯機のように、家電になる日はいつまでも来ないでしょう。
 日本的なるもの、その大転換がない限り、それはずっと続くと私は考えています。





マムーから来た男たち

 テキサス、ルイジアナ・ミュージックのファンなら、一聴の価値があるアルバムです。
 製作の経緯こそよくわかりませんが、ともに地元では有名、しかし全国的知名度は今いちという二人がカップリングされた1枚です。


The Guys From Big Mamou
Cajun Classics And Backwater Blues
Joey Long And Link Davis

1. Rice And Gravy Blues : Link Davis (Davis)
2. Something To Ease My Pain : Joey Long 
3. If You See My Baby : Joey Long 
4. The Guy From Big Mayou : Link Davis
5. Little Red Boat : Link Davis
6. I Need Someone : Joey Long (Portz Tucker)
7. Lealla : Joey Long (Longeria)
8. Cockroach : Link Davis (Smith, Davis)
9. Bon Tu Ru La : link Davis (Davis)
10. The Blues Just Walked In : Joey Long
11. Grasshopper : Link Davis (Davis)
12. Beatle Bug : Link Davis
13. The Rains Came : Joey Long 
14. Cajun Doll : Link Davis

 Joey Longは、ヒューイ・モーのシュガー・ヒル・スタジオの名人ギタリストであり、ダグ・サームがカバーした、"I'm Glad For Your Sake"のお手本になった人です。

 そして、Link Davisは、ケイジャン界のボブ・ウィルズともいうべき巨人で、フィドルとサックスをプレイするマルチ・プレイヤーでした。

 この二人に共通するのは、スタジオのエースとして、かなりの数のポップ・ソングの伴奏をやっただろうと思われること、そして自らの名義で優れた録音を残しながらも、決して広く評価されていないと思われることです。

 それでも、Link Davisは、数枚のアルバムが流通していますが、Joey Longは、まず音源を聴くことに苦労します。
 その意味で、この1枚は貴重です。

 相変わらず、コレクタブルズの仕事は安易なつくりだと感じますが、この1枚に関しては、そういった不満を超えて、他ではやらない仕事を、よくぞやってくれたと言いたいです。

 さて、収録曲ですが、普通に思えば、ふたりのシングルを適当に配置しただけの安易な仕事に感じます。
 聴く前の私は、そう思っていました。
 しかし、通して聴いた最初の感想は「?」でした。

 「これは、不思議なアルバムだ。」
 「収録曲は、それぞれの名義で出されているが、バックの音に非常に共通性を感じる。」
 「曲目表を確認しないと、どちらの曲なのか分からない曲や、完全に逆に受け取る曲がある。」
 ということです。
 
 Link Davisは、ケイジャン調のウエスタン・スイングを得意としています。
 彼の代表曲"Big Mamou"は、多くのシンガーに取り上げられていて、もはやスタンダードといっていいと思います。
 そんな彼の全く別の一面を、このアルバムでは聴くことが出来ます。

 ここに収録されているLink Davisの曲、
 それはブルースです。
 リズム&ブルースです。
 そして、そのバックを支えているのは、黒っぽいリズム隊と、ブルージーで手数の多い、アグレッシヴなギターなのです。

 一方、Joey long名義の曲を聴きましょう。 
 ここでは、彼得意のブルースのほか、ロックンロール、ロカビリー、そしてスワンプ・ポップなどを聴くことが出来ます。
 しかし、気になることがあります。
 何となく感じるこの感覚はなんでしょう。

 ここで聴けるギターは、Link Davisのバックで鳴っているギターと同じものではないでしょうか?
 例えば、Link Davis名義の冒頭の曲、"Rice And Gravy Blues"からしてそうです。
 ここでは、スクイーズやビブラートより、細かいアタック重視のせわしないギターのフレーズが、たえず歌のバックで鳴っています。

 そして、今度はJoey Long名義の曲、"Something To Ease My Pain"を聴きましょう。
 ここでは、ジョーイ自身が吹くハープと合わせ、1曲前の曲と何となく似た印象を与えるギターを聴くことができます。
 ただ、歌いながらということもあり、ここではオブリガード中心のプレイです。

 逆に、Joey Longのロカビリー、"Lealla"のバックでとてもタフなリフを吹いているサックスに注目しましょう。
 これが、Link Davisのプレイだという可能性はないでしょうか?
 全く裏をとらずに書いていますが、Link Davisは、ビッグ・ボッパーの「シャンタリー・レース」でサックスを吹いたという話が、一部で伝わっています。

 このへんのくだりは、話を面白くしたい願望がかなり入っていますので、話半分で聞いて下さい。
 とにかく、私は、二人のパフォーマンスが交互に収録されていたりするにも関わらず、全く違和感なく、このアルバムを聴き通すことができました。
 むしろ、自然な流れを感じたくらいです。

 10曲目のJoey Long名義の曲、"The Blues Just Walked In"は、眼をつむって聴けば、間違いなくLink Davisのレコードだと感じたと思います。
 この曲は、ラップ・スチールも入ったケイジャン・カントリー風のナンバーで、驚きです。

 また、Link Davis名義の曲、"Grasshopper"や、"Cockroach"は、基本的にはジャンプ・ブルース・スタイルの曲で、そのボーカルは、まるでワイノニー・ハリスのように聴こえます。
 これまた驚くほかないです。

 クレジットが誤っている、などのありえない大逆転のない限り、このアルバムでは、ふたりが役割交換したかのような、驚きのパフォーマンスをいくつか聴くことが出来ます。
 
 終盤には、Joeyによる"Rains Came"、そしてLinkによる"Cajun Doll"という、スワンプ・ポップをスタイリッシュに歌いあげた和みの2曲が待っています。
 とりわけ、Linkのパフォーマンスは、ジェントルでオールドタイミーな魅力に満ちた仕上がりになっています。
 まあ、2曲とも必聴でしょう。

 今回は、かなり私の妄想の暴走と、一部願望による展開となりました。
 しかし、一つ言いたいことは、もしあなたがテキサス、ルイジアナの音楽のファンで、このアルバムを見かけたなら、ためらわずに買いましょう、ということです。


Link DavisのCockroachです。




Joey LongのRains Cameです。




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イーストサイド・ワールドへようこそ

 少し前に入手した、コンピレーション・シリーズの1枚です。
 実は、全部で第12集まであって、これがなんと紙箱入り全巻セットというのが販売されていたのです。(多分、今でも購入可能だと思います。)
 これは、その第3集にあたります。


East Side Story Vol.3

1. La La Means I Love You : Delfonics(T.Bell, W.Hart)
2. What's Your Name : Don & Juan(C.Johnson)
3. How Can I Tell My Mom & Dad : Lovelites
4. You Cheated : The Shields(D.Burch)
5. My Dearest Darling : Etta James
6. Right on the Tip of My Tongue : Brenda & The Tabulations(V.McCoy, J.Cobb)
7. It's Okay : The Sunglows(R.Gonzales)
8. Dedicated to the One I Love : The Shirelles(L.Pauling, R.Bass)
9. Sitting in the Park : Billy Stewart(B.Stewart)
10. Don't Be Afraid : Frankie Karl(G.Gozier)
11. Darling : Phil & Harv
12. Sixteen Candles : The Crests(L.Dixson, A.Khent)

 このコンピレーション・シリーズは、セットとしては、01年ころにリリースされたようで、単発のオリジナルは90年代に出されているようです。
 内容は、特段説明がないのですが、シリーズ・タイトルや、収録曲の傾向からいって、どうもイーストL.A.のヒスパニック系の人たちが好む音楽を集めたものではないか、と推察します。
 会社の住所を見ると、カリフォルニア州のSanta Fe Springsと記されていました。

 とはいえ、最近の若者は、ギャングスタ・ラップ(?)とかに夢中なのでしょうから、こちらは少し親父世代向きの選曲といえるでしょう。
 チョイスされている曲は、既存のサブ・ジャンルでくくるのが難しい雑多なイメージを受けます。
 
 収録曲の傾向ですが、基本的に、ダンサー・タイプの曲はまれで、ドリーミーでマーベラスなバラードばかりが選ばれている印象が多いです。

 あえて乱暴にいうなら、リズム&ブルース(主として50年代のドゥワップ)から、60年代のブリル・ビルディング、モータウン、シカゴのノーザン・ソウルを経て、70年代のフィリー・ソウルから、果てはニュージャージー系までを、なんの略脈もなく並べた、スイート・ソウル風のバラードのコンビということになろうかと思います。

 とはいえ、私はまだこの第3集までを聴いただけなので、あるいは全てを聴き通せば、別のコンセブトが見える可能性はあります。
 ただ、おそらくは当たっているのではないか、とも密かに思っています。

 広義には、少し前の世代のラティーノ(スペイン語を公用語とするラテン・アメリカの出身者)たちが、好んで聴いた音楽という推測もできます。
 しかし、やはり南カリフォルニアのイーストL.A.と呼ばれる地域を居住区とする人々が主たる対象ではないかと思います。

 早速、今作収録曲を聴いてみましょう。
 私が、第1集、2集を外して、あえてこの第3集をセレクトしたのには、理由があります。
 比較的、有名曲がチョイスされていること、とりわけ、ダグ・サーム関連の曲が入っていることが大きいです。

 冒頭の"La La Means I Love You"は、デルフォニックスの大有名曲ですね。
 初期のフイリー・ソウルを代表する名バラードでしょう。
 これは、もうヒット曲集に頻繁に収録されている曲で、新鮮味はないです。
 しかし、定番の名曲が冒頭に鎮座したことで、ぐっとひきしめた印象もあります。

 続く、"What Your Name"は、ドン&ファンというデュオによる、これまた名バラードです。
 ドリーミーとはこういう曲をいうんでしょう。
 ソウル・デュオではありますが、歌唱のスタイルは、明らかに伝統的なドゥワップをベースにした古いスタイルのものです。

 この曲は、ダグ・サームが、名作ソロ"Juke Box Music"で素晴らしいカバーを披露していた曲です。
 ダグ盤からあまりにも強い印象を受けたため、当時は原曲を探し回ったもでした。
 ところが、ライノのドゥワップ・ボックスに収められていたことを後で知り、急に疲れがきたことを覚えています。  
 ドゥワップ・ボックスは、私の愛聴盤でしたが、収録されていたことを失念していたのでした。

 ひとつとばして、Etta Jamesの"My Dearrest Darling"もまた、ダグが"Juke Box Music"でカバーしていた曲です。
 バラードではありますが、Ettaが歌うと、時折りハードなシャウトが聴けるのが面白いです。
 原曲は、モダンかチェスへの録音だったと思います。

 続く、Sunglowsの"It's Okey"がとても気になる曲です。
 ここでいう、Sunglowsとは、Sunny & Sunglowsの後継に当たるグループなのでしょうか?
 ここでリードをとっているのは、どうもJoe Bravoというシンガーらしいです。
 またまた、気になる存在か出てきました。
 
 ここに収められているのは、今までのグループの曲とは明らかに違う曲調です。
 テイク自体も、疑似ライヴっぽい印象を受けますが、かなりかっこいい曲で、とても興味深いです。

 ここでは、習慣性のある反復グルーヴにのせて、黒人でいえばプリーチのような語りを積み重ねて曲が進行します。
 あるいは、元ネタは、Joe Bravo & Sunglowsのライヴ盤(疑似ライヴ盤?)の1曲かも知れません。

 続く"Dedicated to the One I Love"は、ガール・グループのシレルズ盤が収められています。
 シレルズは、ビートルズが大好きだったグループですね。
 チャーミングな魅力を発散させている曲で、このバージョンは比較的有名なものです。

 実は、このシリーズの第2集には、同曲のThe Temprees盤が収録されていました。
 それだけ人気曲だという証左でしょう。
 オリジナルは、硬派のドゥワップ(ブルージーなハーモニー・グループ)のThe"5"Royales盤です。
 作者には、ステイーヴ・クロッパーのアイドルであったギタリスト、ローマン・ポーリングの名前が記されています。

 ファイヴ・ロイアルズは、ゴスペル・カルテットからの転身組であることがバレバレのグループで、JBが愛したグループでもありました。
 JBは、彼らの"Think"を、初期の模索時代にいち早くカバーしましたが、ファンキー・ソウル確立後に、再度ニュー・バージョンを吹き込んでいます。
 JBファミリーのリン・コリンズ盤も有名ですね。

 そして、Billy Stewartの"Sitting in the Park"が入っています。
 ますます、チカーノ好みの選曲だなあと感じました。
 やはり本シリーズは、ヒスバニック向けオールディーズ・コンピだろうと思いました。
 曲は、もう名曲というほかないです。
 この曲は、サニー&サンライナーズもカバーしています。

 私が知らないグループがいくつか含まれていましたが、何となくラティーノ系ではないかと想像しているもの(Phil & Harv)や、一部ルイジアナ系ではないかと思われるもの(Frankie Karl)などもあり、新たに関心を持ちました。

 そして、ラストは、オールディーズ・コンピの常連、クレスツの16キャンドルズで締めです。
 チーク・タイム向けのおセンチなバラードですね。
 リードのジョニー・マエストロは、ディオン&ベルモンツらと並び、マイノリティ系ホワイト・ドゥワップ・グループを代表する存在でしょう。
 これは、問答無用の名曲ですね。

 たくさんのカバーがあると思いますが、私はかつて、ストレイ・キャッツによるカバー盤が聴きたくて、ある映画のサントラ・ミニ・アルバム(?)を買ったような記憶があります。
 あのバージョンは、CD化されているでしょうか?

 というわけで、このシリーズは、リズム&ブルースがいかにチカーノに影響を与えたかということや、彼らの嗜好の傾向を知るうえでも大変興味深いものだと思います。
 (シリーズ・コンセプトが、私の想像どおりだとした場合の話ですが…。)

 このシリーズは、ゆっくり聴いていきたいと思っており、またいずれ別の盤をとりあげるかも知れません。


It's Okeyです。




関連記事はこちら

ウエストサイド・ソウル
イーストLAの郷愁
奇妙な感覚


セシリト・リンドは秘密の名前

 75年リリースのFreddy Fenderの2枚目のスタジオ録音盤です。
 (この前に刑務所ライヴがあるようです。未聴です。)
 当時は、これがオリジナル・アルバムであることを意識していませんでした。
 そしてもちろん、将来にわたって、オリジナル・アルバムがCD化(ストレート・リイシュー)されないことも、当然ながら知るよしもなかったのでした。
 入手しておいて良かったです。


Are You Ready For Freddy?
Freddy Fender

Side A
1. Secret Love (Sammy Fain, Paul Francis Webster)
2. Loving Cajun Style (Meaux)
3. Take Your Time (Weldon Dean Parks)                      
4. I Can't Put My Arms Around a Memory (N. Martin)
5. Cielito Lindo Is My Lady (Fender)
6. Begging to You (Marty Robbins)
Side B
1. What'd I Say (Ray Charles)
2. (How Much Is) That Doggie In The Window? (Bobby Merrill)
3. Teardrops in My Heart (Vaughan Horton)
4. You Came in the Winter of My Life (Fender)
5. I'm Not Through Loving You Yet (Conway Twitty, L. E. White)
6. Goodbye Clothes (J. Riley)

 今作も、ヒューイ・モー制作、シュガーヒル・スタジオ録音で、基本的に1stと同じようなつくりになっています。
 
 相変わらず、フレディの泣きのボーカルが素晴らしいです。
 やはり気になるのは、選曲ですね。

 前作に引き続き、コンウェイ・トウィッティとロレッタ・リンのデュオ・ソングがチョイスされています。
 B5の"I'm Not Through Loving You Yet"がそれです。
 これは、ヒューイ・モーの趣味でしょうか?
 それとも、フレディの意思でしょうか?
 おそらくは、両方だと思います。
 
 今作のハイライトは、A1の"Secret Love"です。
 後々まで、フレディが長く歌い継ぐ代表曲のひとつになります。
 原曲は、ドリス・デイらしいですが、私は未聴です。
 ドリス・デイと言う人は、美空ひばりさんみたいに、主演映画で歌う人ではなかったですか。

 例えばドリス・デイが、歌うカウガールに扮した西部劇映画の主題歌という想像はどうでしょう。
 女性を主人公にした西部劇って、なかったですか?
 「アニーよ銃をとれ」とか、「カラミティ・ジェーン」とか…。
 ほとんど妄想のレベルで書いてます。

 モー作となっている"Loving Cajun Style"は、モーがプロデュースしたシンガーがかなり歌っているんではないでしょうか。
 私は、オリジネイターを知りませんが、クラレンス・フロッグマン・ヘンリー盤は聴いています。
 ヘンリー盤は、ゆったりとたニューオリンズR&Bだったと記憶していますが、ここでのフレディ盤は、ウキウキするようなリズム・ナンバーに仕上がっています。
 この二人でいいますと、私は、明るくポップなフレディ盤が好きです。

 "Take Your Time"は、やはりモー制作によるロイ・ヘッド盤があったと思います。
 聴き比べていませんが、優しいカントリー・バラードで、ロイ盤のアレンジが気になってきました。
 
 "I Can't Put My Arms Around a Memory"もまた、美しいメロディを持ったバラードで、好きな曲のひとつです。
 ここでは、おそらくコーラス隊の一人、Tracey Balinという女性がデュエットしていると思います。
 原曲は不明ですが、コンウェイ&ロレッタのような男女デュオの曲かも知れません。
 マリンバの響きが効果的に使われています。


 今作も、フレディの自作がいい感じです。
 "Cielito Lindo Is My Lady"は、スパニッシュの香り一杯のリズミックなワルツです。
 「アイ、アイ、ア、ヤイ…」という囃し言葉がトロピカルな異国情緒を醸し出しています。

 もうひとつの自作曲、B4の"You Came in the Winter of My Life"も、いかにもフレディらしい泣きのバラードで、ドラマチックなつくりも良いです。
 こういうのをやっている限り、スリルはないですが、ファン向けには最強ですね。

 A面ラストの"Begging to You"は、邦題「あなたにすがって」というマーティ・ロビンスの曲です。
 マーティは、若手のころ、プロデューサーらから、ミスター・ティアドロップと呼ばれていたカントリー・シンガーでした。
 フレディと合わせて、二大涙腺シンガーというのはどうでしょう。
 (ただし、マーティはこの呼称を嫌っていたらしいです。)

 B1の" What'd I Say"は、もちろんレイ・チャールズのカバーですが、この曲は有名すぎて、手垢まみれの感じがします。
 ここでは、フィドルが耳に残るアレンジになっていて、変化球を投げている努力は買いましょう。

 "(How Much Is) That Doggie In The Window?"は、53年のパティ・ペイジ盤が原曲のようですが、やはり未聴です。
 パティ・ペイジといえば、ダブル・トラックのボーカルが最高でした。
 これは、ビートルズに影響を与えたんじゃないでしょうか。
 もちろん、代表曲は「テネシー・ワルツ」ですね。
 似たようなパターンの「チェンジング・パートナーズ」もいい曲でした。

 パティ・ペイジは、近年(といってもかなり前ですが)、「テネシー・ワルツ」のセルフ・カバーと「ブラン・ニュー・テネシー・ワルツ」のカバーを収録したアルバムをリリースしていました。
 (音を確認したかったのですが、例によって行方不明です…。)
 ザ・バンド、ジェシ・ウインチェスターのファンは要チェックですね。

 "Teardrop in My Heart"は、50年代のカウボーイ・ソング・グループ、サンズ・オブ・パイオニアがオリジネイターではないかと思います。
 彼らの音楽は、カウボーイ・ソングでいいんでしようか。
 それとも、西部のセイクレッド・ソングでしょうか。
 フレディ盤は、単純にポップなラヴ・ソングに聴こえます。

 1stの成功を受けて、すかさず録音した1枚だと思いますが、ますます快調なアルバムだと思います。


Secret Loveです。




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バック・ロジャースを求めて

 Buck Rogersをご存知でしょうか?
 60年代にスワンプ・ポップのシングルを出したシンガーで、本名は、R.M.Rodriguezだと思われます。

 ただ、不明なことが多いです。
 一部の音楽ファンの間では、Freddy Fenderのレパートリー、"Crazy Baby"のオリジネイターとして知られています。


Crazy Baby
Buck Rogers
 
  
 さて、Buck Rogersは、1928年、フィリップ・フランシス・ノウランのペンにより誕生し、アメリカ初(世界初?)のSF専門誌、"Amazing Stories"誌にその第一作が掲載されました。

 アメージング・ストーリーズは、作家であり、名編集長であった、ヒューゴー・ガーンズバックが敏腕をふるったパルプ雑誌です。

 ヒューゴー・ガーンズバックは、現在、最も権威のあるSF賞「ヒューゴー賞」に、その不滅の名前を残しています。

 バック・ロジャースは、本名をAnthony Rogersといい、ガス会社の技師でしたが、ある事故がきっかけで、23世紀の世界へタイムスリップし、様々な冒険を繰り広げます。

 23世紀の世界は、モンゴル帝国が支配し、白人を迫害している世界でした。

 バック・ロジャースは、アメリカが生んだ最初のSFヒーローであり、現在にいたるまで、マーベル・コミックなどで繰り返し描かれ続けている存在です。

 
 …すみません、脱線しました。
 Buck Rogersで検索すると、このSFヒーローに関するテレビ・シリーズやコミック本などの情報に行き当たります。

 レコードで検索しても、このヒーローの活躍は、何枚ものLP、EPになっていることを知ることになるばかりです。

 私が探している、同名のスワンプ・ポップ・シンガーの情報に行きつくのは、ごくまれなことなのでした。

 さて、"Crazy Baby"の本人盤は、93年に出された英エイスのコンピレーション、"Louisiana Saturday Night"に収録されており、もともと充実した内容であるこのコンピの価値を更に高めています。

 ただ、同曲のクレジットは、71年出版(又はリリース)と記載されているため、私は再録音盤ではないかと疑っていました。

 今回、Jin Recordのシングル盤を入手することが出来ましたので、聴き比べたいと思います。

 結論から言いますと、私の耳には同じ音源のように聴こえます。
 もちろん、クレジットの謎は残りますが、なんとも落胆しました。
 初めて聴く、レアな音源を期待していたからです。


 YouTubeにアップしましたので、"Louisiana Saturday Night"をお持ちの方は、ぜひ聴き比べてみて下さい。
 また、B面の"What You Do To Me"も、Buck Rogersの自作でしたので、併せててアップしました。

 バック・ロジャースについては、引き続き追いかけたいと思っています。 


Crazy Babyです。




What You Do To Meです。




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ステイツボロへ帰る

 「久しぶりにブルース・ロックを聴いたなあ」
 そう思いました。
 正しくは、サザン・ロックと言うべきかも知れません。
 70年代の懐かしいスライド・ギターの、あの感じが蘇ってきました。


Build Your Own Fire
Jimmy Hall
& The Muscle Shoals Rhythm Collective

1. Still Want To Be Your Man (E.Hinton)with vocals on Delbert McClinton 
2. Salty (E.Hinton)with vocals on Kira Small 
3. Here I Am (E.Hinton)with vocals on Bruce Dees
4. Poor Old Me (E.Hinton, Donnie Fritts, B.Bluckburn) 
5. Coming After You (E.Hinton)
6. Cover Me (E.Hinton, M.Green)
7. Build Your Own Fire (E.Hinton)(add.lyrics.K.Small, J.Hall, T.Ware)
8. It's All Wrong (E.Hinton, M.Green)
9. Watchdog (E.Hinton)
10. What Will I Do Without You (E.Hinton, D.Fritts)
11. I Found A True Love (E.Hinton)
Bonus tracks
12. Coming After You (Greg Martin Mix) (E.Hinton)with vocals on Kira Small
13. Salty (Greg Martin Mix)
14. David Hood Interview On Eddie Hinton

 ウェット・ウイリーは、数枚聴いただけで、例えばオールマンだとか、レーナードなどほど熱くならなかったバンドでした。
 でも、マーシャル・タッカー・バンドと並び、何とも愛おしい魅力を感じずにいられず、頭の隅で気になっていたバンドだったのです。

 このアルバムは、ウェット・ウイリーのリード・ボーカリスト、Jimmy Hallが、Zohoレコードから07年にリリースしたソロ・アルバムです。
 "Jimmy Hall & The Muscle Shoals Rhythm Collective"という、どうにもそそられる名義で出されています。

 ただ、別会社から、"Shoals Rhythm Collective"というタイトルでも、全く同じ内容のアルバムが出ていて混乱します。
 そちらは、本作のジャケット写真を裏焼きしたものを使用していて、不思議です。

 さて、前作"Rendezvous with the Blues"から、約10年ぶりとなる今作の陣容は次のとおりです。

Jimmy Hall : Vocal, Harmonicas
Clayton Ivey : Keyboads
Larry Byron : Guitars
Gregg Martin : Guitars(except track2,3,5)
David Hood : Bass
Johnathan Dees : Drams

 私には、デイヴィッド・フッド以外は馴染みがない人ばかりです。
 この手のファンにはよく知られた人たちなのでしょうか。
 
 わざわざマッスル・ショールズと謳っているのが味噌でして、本作は、Eddie Hintonの作品に真正面から取り組んだアルバムになっています。

 同じJimmyという名から、Jimmy Thackeryを連想します。
 Jimmy Thackeryもまた、エディ・ヒントンの作品集"We Got It"を02年にリリースした、レイ・ヴォーン・スタイルのブルース・ギタリストでした。

 リリース時期に違いはありますが、この2枚には、ある共通点があると思います。
 それは、00年ころから発掘されだした、エディ・ヒントンの一連のレア音源集の存在です。

 おそらくは、これらの音源集が、彼らの創作意欲に火をつけたのでしょう。
 とりわけ、その第一集となる"Dear Y'all The Songwriting Sessions"の衝撃は大きかったと思われます。
 このアルバムから、複数の曲がチョイスされています。
 次のとおりです。

00年 "Dear Y'all"収録曲(カッコ内は、Dear Y'allでの表記)
1. Still Want To Be Your Man (I Still Wanna Be Your Man)
2. Salty (Things Got To Get A Little Bit Salty)
5. Coming After You (I'm Coming After You)
6. Cover Me (同)
7. Build Your Own Fire (同)
8. It's All Wrong (It's All Wrong But It's Alright)

 その他の曲についても、エディ盤の出典を記しておきます。

99年 "Hard Luck Guy"収録曲
3. Here I Am
9. Watchdog
10. What Will I Do Without You

93年 "Very Blue Highway"収録曲
4. Poor Old Me

91年 "Cry And Moan"収録曲
11. I Found A True Love

 さて、ジミー・ホールですが、この人はブルース・ハーピストでもあり、それがサウンドにジミーならではの味付けをしています。
 ボーカルは、デルバート・マクリントンのハスキー・ヴォイスを若干控えめにした感じで、本作の1曲目でデルバートとデュエット(?)しているのが興味深いです。

 ハープ以外では、やはりスライド・ギターの存在が、全体の印象を決定づけています。
 特に、スライドが大活躍する、"Poor Old Me"などは、70年代へとタイム・スリップさせられるかのような、「酔い」の感覚に囚われます。

 これはもう、雰囲気勝負の面もありますが、懐かしさとか、様式美とか、どんな言葉でもいいですが、よいものはよいと言いたいです。
 "Poor Old Me"の出だしは、オールマンのステイツボロ・ブルースを連想せずにはいられません。

 さらに、本作での私のお気に入りは、ミディアム・スローの2曲、"Salty"と"Cover Me"です。
 "Cover Me"は、本作収録曲の中で、最も有名な曲ですね。
 ジミー・ホールは、ディープ・ソウル・シンガーの名唱に迫る熱演で聴き手に迫ってきます。
 雰囲気たっぷりに聴かせる、オルガンとスライドをバックに展開する、ジミーのハスキーなボーカルが素晴らしいです。

 "Salty"もいいです。
 この曲は、ヒントン盤が素晴らしいですが、ボビー・ウーマック盤も負けず劣らずの素晴らしさです。
 
 "It's All Wrong"も、多くのソウル・シンガーに歌われている曲です。
 ここでも、ジミーのパフォーマンスは、先達たちに負けまいと必死にくらいついています。
 この曲は、少し厳しいでしょうか。 

 やはり、"I Found True Love"のような、ミディアム・リズム・ナンバーのほうが実力を出せるように感じました。

 本作は、思わず、ソウル・シンガーたちの様々なカバー・バージョンを振り返りたくなる、そんなアルバムに仕上がっています。


The Same Old Moonです。


Saltyが削除されため、差し替えました。1stソロ収録曲、これもいいです。

こちらは80年代の録音で、まるでイーストコースト・ロックみたいです。



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リンカン・トラヴィス・デイヴィス

 私は、Link DavisのLPを持っているはずだ、そう思って探しました。
 私の頭にあったのは、くすんだオレンジ地(?)のジャケットに、Link Davisの顔のアップというものでした。
 でも、目的のものは見つかりません。(…いつものことです)
 そして、ようやく発見したのが、持っていることさえ忘れていた、このアルバムでした。
 89年リリースの英Edsel盤です。


Big Mamou
Link Davis

Side One
1. Big Mamou (Davis)
2. Pretty Little Dedon (Davis)
3. Mamou Waltz (Davis, Davis)
4. Hey Garcon (Jones, Peeples)
5. Lonely Heart (Davis, Leaders)
6. Time Will Tell (Davis)
7. Gumbo Ya Ya (Everybody Talks At Once)(Tyler, Austell)
8. Falling For You (Davis, Davis)
Side Two
1. Crawfish Crawl (Arnaud, Davis)
2. Yo're Little But You're Cute (G.Tucker, L.Davis, B.Quinn)
3. Mama Say So (Edwards, Davis)
4. Every Time I Pass Your Door (Davis, Quinn)
5. You Show Up Missing (B.Aunaud, M.Aunaud)
6. Cajun Love (Lynn)
7. Kajalena (Glenn, Thomas)
8. Va T'cacher (Go Hide Yourself)(L.Davis, Arnaud, A.Conway)

 Link Davisをご存知でしょうか?
 本名、Lincoln Travis Davis
 彼は、1914年に、ダラスの東20マイル、ウィルズ・ポイントという小さな町で、8人兄弟の一人として生まれました。
 ローティーンのころから、二人の兄弟とグループを組んで音楽活動を始めたようです。

 そのスタイルは、ウエスタン・スイング、ヒルビリー、ケイジャン、ロカビリー、ロックンロール、ブルースなど、様々なルーツ・ミュージックに及んでいます。

 主にフィドルを演奏しているイメージがありますが、実はサックスの名手でもありました。
 50年代には、スタジオ・ミュージシャンとして、ヒット曲のバックでサックスをプレイしたこともありました。
 これらの多くは、ノークレジットだと思われ、真偽は不明ですが、ビッグ・ボッパーの「シャンタリー・レース」でのプレイは彼だと記している文章を見かけます。

 フィドルとサックスをプレイするというと、私などは、ロスト・プラネッツ・オブ・エア・メンのアンディ・ステインを連想します。
 彼もケイジャン・フィドルの名手であるとともに、サックス・プレイヤーでもありました。

 何しろ、カントリー系の曲では、美しいフィドルの音色でうっとりさせ、一方、ジャンプ・ブルースでは、サックスをブリブリと吹き鳴らして乗せまくります。
 ウエスタン・スイング系のバンドでは、重宝される存在ですね。
 
 実は、ステインの名前を出すまでもなく、リンク・デイヴィスの息子、リンク・デイヴィス・ジュニアもまた、複数の楽器を演奏するマルチ・プレイヤーでした。
 ダグ・クリフォードが制作した、ダグ・サームの名盤、Groovers Paradiseに参加して多才ぶりを見せていたのが、リンク・ジュニアでした。

 さて、このアルバムは、50年代前半に、コロンビア(オーケーを含む)に吹きこんだ曲をコンパイルしたものになっていて、編者には、レイ・トッピング、クリフ・ホワイトの名前がクレジットされています。

 リンク・デイヴィスという人は、スタジオのエースでもあったわけで、想像するところ、それこそどんな音楽でも、求められれば演奏した人だと思います。
 特に、このあとすぐにやってきた、ロックンロールの爆発の時代には、ロカビリーやロックンロールをやっただろうことは、容易に想像できることです。
 (この人には、Matchboxがカバーした"Sixteen Chicks"という曲があります。)

 事実この人は、テキサスの伝説的ギタリスト、ジョーイ・ロングらと、ブルースまでも吹き込んでいるようです。
 (もっとも、黒人版ケイジャンともいうべきザディコは、ブルースにとても近い存在ですので、不思議はないですが…。)
 そんな多彩なレパートリーを持つ人ではありますが、本アルバムでは、彼の最もパブリック・イメージに近いパフォーマンスばかりが詰め込まれています。

 曲調は、いわゆるケイジャン・ツー・ステップやウエスタン・スイング(本当は、この二つは分けられませんが…。)、歌は、クレオールなまり(?)たっぷりの(クリフトン・シェニエを連想させる)特徴あるスタイルです。

 本作の音を聴く限り、さほど大編成(ホーンが入ったビッグ・バンド)ではなく、ヒルビリー・バンドに近いような音に聴こえますが、ジャケット写真では、エレキ・ギター、スチール・ギター、サキソフォン、フィドルという、完全にウエスタン・スイング・バンドに見えます。
 当然、ドラムスが後ろに隠れていると思われます。

 おとなしめのサウンドと言う意味では、ハンク・トンプソンなどに近いイメージです。
 しかし、やはり特徴的なのは、ケイジャン音楽をルーツとしたサウンドです。

 代表曲"Big Mamou"は、私は完全にトラッドだと思い込んでいました。
 ここでは、リンク作となっており、他のアーティストのカバーでも同様のクレジットになっているようで、そうなのでしょう。
 もはや、ケイジャン・ソングの大スタンダードだと思います。
 「アー、ハッハッ、ホー、ハッハッ」といった囃し言葉も楽しい名曲です。
 ギャレット、サーム、テイラー・バンドも、クイーン・アイダをゲストに迎えてカバーしていました。

 私が、初めてケイジャン音楽を意識したのは、多分、80年代のダグ・サームのライヴ盤だと思います。(ついこの間のようにも思えますが、もう30年近くたってますね)

 最初の1曲は、「ジョリ・ブロン」だったと思います。
 この楽しいパーティ・ダンス・チューンの、一種独特のノリに、一発で虜になりました。

 ここには、そういった楽しい(ただし、主として英語圏向けの)ケイジャン・ミュージックが詰まっています。(ローカル・レーベルに録音したものはもっとフレンチ度が高いです。)
 その多くは、ウエスタン・スイングに取り込まれ、血となり肉となったと思います。

 私は以前から、ボブ・ウィルズとルイ・ジョーダンは、同じコインの両面だと思っていました。
 黒人音楽と白人音楽の違いこそあれ、ウエスタン・スイングとジャンプ・ブルースは、バンドの編成も似ていますよね。
 
 それでは、ホプ・ウィルズとリンク・デイヴィスの関係はどうでしょうか?
 ボブ・ウィルズは、ずっと後年になっても、ウェイロン・ジェニングスに「テキサスでは、ポブ・ウィルズが今でも王様だ」と歌われ、讃えられた人でした。
 リンク・デイヴィスのことを「ケイジャンのボブ・ウィルズ」と呼ぶと、彼は泉下で怒るでしょうか。

 さて、このアルバムは音がよく、とても聴きやすいです。
 ダンス・チューンはあくまでウキウキと楽しく、ワルツはひたすらメロデイックで美しく、素晴らしいです。
 そして、プレ・ロックンロール調の曲は、ポップで、かつ快調にスイングしています。

 本編集盤では、ケイジャン、ヒルビリー・スタイルのウエスタン・スイングが堪能できました。

 次は、ロカビリーや、ブルースを演奏するリンク・ディヴィスの別の面を聴きたいと思います。



Big Mamouです。




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失われた時を求めて

 ハイ・テナー・ソウル歌手、Ted Taylorのレア音源集を聴きます。
 この人は、ドゥワップのJacks(又はCadets、実は同じグループ)からソロになったシンガーで、リズム&ブルースから、ソウルの時代まで域の長い活動をした人という印象があります。

 ソロでの初期の音源は、英エイスの"Ebb Story"などに入っていましたが、私はほとんど関心を持てなかった人でした。


Keep What You Get
The Rare And Unissued
Ronn Recordings
Ted Taylor
 
1. Farewell (2011)
2. Call The House Doctor (Ted Taylor)(1971)
3. Who'S Doing It To Who (Marshall McQueen, Winston Williams)(1971)
4. Sweet Lovin' Pair (Marshall McQueen, Winston Williams, Willie Williams)(1971)
5. Don'T Be Slappin' My Hand (1980)
6. Papa'S Gonna Make Love (Marshall McQueen, Winston Williams, Willie Williams)(1971)
7. I'Ll Be Here (2011)
8. Keep What You Get And Like It (1980)
9. Anytime, Anyplace, Anywhere (Joseph Morris, Lairie Tate)(2011)
10. Fair Warning (Marshall McQueen)(2003)
11. A Lick And A Promise (2011)
12. She'S Got A Munchy Tunchy (1980)
13. Got To Have A Woman (2011)
14. Let Me Fix Up Your Feelings (2011)
15. Why Do I Have To Suffer (2011)
16. (Long As I Got You) I Got Love (2011)
17. Cry It Out Baby - Ted & Little Johnny Taylor (Marshall McQueen, Winston Williams, Miles Grayson)(1973)
18. Funky Ghetto - Ted & Little Johnny Taylor (Ted Taylor, Jonny Taylor)
19. Pretending Love - Ted & Little Johnny Taylor (Ted Taylor)(1974)
20. Walking The Floor - Ted & Little Johnny Taylor (Ted Taylor, Johnny Taylor)(1973)
21. What A Fool (Ted Taylor)(2011)alternate version
22. Make Up For Lost Time (Jerry Strickland, Bobby Patterson)(2011)alternate version
23. How'S Your Love Life Baby (Miles Grayson, Bobby Lexing)(2011)unedited take/alternate mix
24. Cummins Prison Farm (Take 1) (Billy Cole)(2011)alternate take 

 私が、Ted Taylorに注目するようになったのは、日本企画のコンピレーション「The Jewel Deep Soul Story」に収録されていた、"Make Up For Lost Time"を聴いてからです。
 この曲は、モントクレアーズというスイート・ソウル・グループのカバーで、まず曲そのものが素晴らしいということもありますが、それにも増して、Tedの完璧な歌いくちにノックアウトされたのでした。

 ノーマークだった人に「がんっ」と頭を殴られたような衝撃を受けました。
 そもそも古臭いスタイルのバックで、地味な曲をやっているという印象を持っていましたので、このパーフェクトと言いたいボーカル・コントロールには、ひたすら感心しました。

 さて、この英ケントの新しい編集盤は、70年代のRonn Record時代の音源を集めたものですが、収録曲のほとんどが、未発表又は別テイクという凄い内容になっています。

 それにしても、50年代のドゥワップ時代にデヴューして、60年代のリズム&ブルース、アーリー・ソウル時代を何とか生きのび、ついに70年代に華開いたという感じを受けます。

 基本的にノーザン・ソウルの匂いが漂っていますが、ディープ系の人でもあり、ゴスペル・ブルース風の曲にもハマっていたりします。
 本編集盤でも、前半にそういったブルージーなタイプの曲が入っていて、なるほど実力派だな、と改めて思ったりしました。
 しかも、後半には、ゴスペル・ブルースの本家、Little Johnny Taylorとのデュエットが、4曲も入っていたりして驚きます。

 曲名のあとに(2011)とあるのは未発表曲もしくは別テイクです。
 むしろ既発曲のほうが少ないですね。
 単純に凄いです。

 私の眼を開かせてくれた"Make Up For Lost Time"も別テイクが収録されています。
 それほどじっくり聴き比べていませんが、この曲に関しては、私は「The Jewel Deep Soul Story」収録盤のほうが好きです。

 ともかく、バックの音の違い、プロデュースの違い、時代の移り変わりという、様々な要因があるのでしょうが、これ以前の時代と比べ、この70年代の録音集は、はっきりと完成度が高いです。
 すべて必聴の作品集だと思います。

 とは言いつつも、特段この1曲というものが思いつきませんが("Make Up For Lost Time"は別格として)、あえてあげるなら、ラストの"Commins Prison Farm"に注目です。
 他のアーティストで評価の定まっている有名曲、定番曲をテッド・テイラーがどのように料理するのか、関心を持たずにはいられません。
 ここでも、その技巧派の持ち味をフルに発揮しています。

 全然タイプが違いますが、技巧派と言う意味では、ジョニー・アダムスを思い出しました。
 ジョニー・アダムスも、どんな曲でも軽く歌いこなしてしまう人でした。
 彼は、うますぎる事に加え、ファルセットの使い方など、しばしば得意技を多用して、技巧に走り「流して歌っている」という誤解を与えることがありました。

 テッドは、その点真摯な印象があります。
 ジョニーには、ギタリストでいう「手くせ」みたいなものが気になることがありましたが、テッドには感じません。
 例えるなら、ハイ・ポジションからロー・ポジションまで、カポなしで縦横に屈指できる、嫌みのないプレイがこの人の持ち味でもあると思います。
 
 評価の高い名演の数では、ジョニー・アダムスに遥かに及びませんが、隠れた名演がまだまだある人だと思います。

 当分は、この編集盤をじっくりと味わいたいと思います。



Steal Awayです。




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