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シェイキー、日の出に旅立つ

 今回は、Shakin' Stevensが、本格的に下積み時代のスタートを切った1枚、Shakin' Stevens And The Sunsets名義での1stアルバムを聴きました。

 オリジナル盤は、70年にパーロフォンからリリースされていますが、私が入手したものは、発売年不明のフランス盤で、なんとも懐かしい、あのパテ・マルコーニ(Pathe Marconi)からの再発盤なのでした。
 ジャケットについては、未確認ですが、多分差し替えられていると思います。

 聴いたばかりなので印象が強いのだと思いますが、私は初期のサンセッツのアルバムの中では、一番好きかも知れません。

 
A Legend
Shakin' Stevens And The Sunsets

Side One
1. Cast Iron Arm / Scott、Petty、Orbison
2. Leroy / Scott
3. Frying Saucers / Reily
4. Please Mr. Mayor / Stevenson
5. Lights Out / David、Redernnash
6. I'll Try / Twitty、Nance
7. Down Younder We Go Balling / Bartholomew、King
8. Hawkins Mood / Hawkins

Side Two
1. Down On The Farm / Big Al Downing、Edmunds
2. Lonesome Train / Moore、Subotsky
3. I Believe What You Say / Burnette
4. The Train Kept A Rollin' / Bradshaw、Mann、Kay
5. Spirit Of Woodstock / Barrett、Maresca
6. I Hear You Knocking / King、Bartholomew
7. Thirty Days / Chuck Berry
8. Schooldays (Anthem) / Chuck Berry

 仏パテ・マルコーニは、私が輸入盤をあさり始めたころ、英チャーリーとともに、特にお世話になったリイシュー・レーベルでした。

 英チャーリーが、もともとサン・レコードの再発を目的に設立された会社であったのに対し、仏パテ・マルコーニは、ジーン・ヴィンセントやエディ・コクランをいち早く(本国アメリカなど問題外に)高く評価して、日本やヨーロッパのロカビリー・ファンの渇きを癒してくれた優良リイシュー・レーベルでした。

 主に、キャピトル、EMI系とつながりがあった会社なのだと思います。
 ジーン・ヴィンセントのオリジナル盤は、ジャケットがカッコよくて、全部欲しいと、当時は出来なかった(…今でも出来ませんが)大人買いを夢見たものでした。

 さて、ノスタルジーにひたってしまうと、長くなりますので、方向修正したいと思います。
 今作でのサンセッツの編成は、ギター、ベース、サックス、ドラムス、ピアノ、バス・ボイス&指ぱっちん担当(シェイキーの兄貴?)に、シェイキーを加えた7人です。

 2ndと比較すると、ベーシストとピアニストの名前が違うので、このあと交代が行われたのでしょう。
 この1stアルバムの最大の売りは、現在なら、ジャケットに大きく表記されている、プロデュースド・バイ・デイヴ・エドモンズという表記でしょう。
 (多分、オリジナル・ジャケにはなかったと推測されますが…。)

 ただ、当時は、デイヴの名前にどれくらいの効力があったかは、未知数です。
 なにしろ、デイヴの出世作、I Hear You Knockingがリリースされたのが、同年の70年なのでした。
 どちらのリリースが先だったのか、分かりませんが、このアルバムにも同曲が収録されています。

 ちなみに、このアルバム収録曲のうち、Down Younder We Go BallingDown On The Farm、そして、I Hear You Knockingの3曲のみ、ドラムスのRockin' Louieこと、Robert "Rockin' Louie" Llewellynが、リード・ボーカルをとっています。

 2ndでは、1曲も歌っていないのに、このアルバムでは、重要なB面1曲目でボーカルを担当しているのです。ちょっと不思議です。
 まあ、「今後は全部シェイキーで行こう」となったというのが、自然な答えですね。

 注目のギターは、カール・ピーターセンですが、ノー・クレジットながら、数曲でデイヴ・エドモンズがギターを弾いているのではないか、と私はひそかに思っています。(特にB1のマール・トラヴィス風のリフ、B3のイントロとソロのプレイ、B5のバッキングなどが怪しいです。)

 ちなみに、2ndでは、ミッキー・ジーが加わってギター2本体制になります。
 ただ、80年代のデイヴ・エドモンズのプロデュースものを見ると、プレイした場合はクレジットしている例が多いので、あまり自信はないです。 


 このアルバム全体の印象としては、サンセッツの初期3枚の中では、一番ロカビリーっぽさを感じます。
 ベースは、ダブル・ベースのスラッピングを多用しており、何より選曲が、ジョニー・バーネット・トリオを2曲、ビリー・リー・ライリーを1曲やっていますので、そう感じるのも自然かも知れません。

 その他、収録曲について、思いつくままに記したいと思います。
  A6のI'll Tryは、確認していませんが、曲調、作者名からいっても、コンウェイ・トィッティのロッカ・バラードのカバーだと思います。
 このチョイスは、80年代のシェイキーのエピック時代を、容易に連想させます。

 A8にHawkins Moodという、ピアノ中心のインストがありますが、これは、ピアノのトレヴァー・ホーキンスの作品のようです。
 中身は、イン・ザ・ムード風のブギ・ウギで、いい味を出しています。

 B7、B8とチャック・ベリーの曲をやっていますが、Thirty Daysは、どう聴いても40デイズと歌っています。「どうして、なーぜ?」の世界です。

 確か、タルサ出身のバンド、トラクターズが、40デイズを歌っていたような気がするんですが、CDがすぐに発見できません。
 記憶違いの可能性もありますが、ひっかかります。
 よくあることですが、きっと他のものを探していると、出てくるんだと思いますので、ここはこらえてスルーしたいと思います。

 ラストのSchooldays (Anthem)は、セッション風景の記録のような録音で、外野の声も未編集で入っている短いバージョンです。
 アンセムとカッコ書きで記載されていますので、アルバムの締めを象徴する、ロックンロール「ホタルのひかり」なのかも知れないな、などと夢想してしまうのでした。

 ペティ(ノーマン・ペティ?)、オービスン作のA面1曲目、Cast Iron Armも気になりますが、原曲を調べだすととても疲れるので、どなたかご存知の方はご教示ください。
 素直に、ロイ・オービスンのレパートリーというのが正解ですか?
 Youtubeでは、ジョニー"ピーナッツ"ウイルソンという人の盤がヒットしますが、深く考えないことにします。

 裏ジャケには、デイヴ・エドモンズがコメントを寄せています。
 そこでは、ロックンロール・リバイバルについて触れ、「サンセッツは、リバイバルではなく、今の音楽だ。このアルバムは、最も進歩的な音楽なんだ」とヨイショしています。

 仮に、ご祝儀コメントだとしても、私はこのアルバムが好きです。



これって、40daysと聞こえますよね




この曲のバッキングは、デイヴっぽく聞こえなくもないです。




こちらは、リック・ネルソンのBelieve What You Sayです。
予想外に、かなりカッコイイです。




 シェイキン・スティーヴンス&サンセッツの関連記事はこちら


ウイリー・ネルソンにダグ・サームの隠し味

 今まで、気になっていながら、入手していなかったアルバムを、とうとう買いました。
 アマゾンで690円でした。安いです。
 このアルバムは、73年にアトランテイックへの移籍第一作としてリリースされたものですが、残念ながら商業的には成功作とは言えないものです。


Shotgun Willie
Willie Nelson

1. Shotgun Willie
2. Whiskey River / J.Bush、P.Stroud
3. Sad Songs And Waltzes
4. Local Memory
5. Slow Down Old World
6. Stay All Night (Stay A Little Longer) / B.Wills、T.Duncan
7. Devil In A Sleepin' Bag
8. She's Not For You
9. Bubbles In My Beer / B.Wills、C.Walker、T.Duncan
10. You Look Like The Devil / L.Russell
11. So Much To Do
12. A Song For You / L.Russell

 このあと、同レーベルからもう一枚出しますが、本作同様空振りに終わり、あえなくアトランティックを去ることになります。

 当初から、2枚の契約だったのかも知れませんが、Willie Nelsonは、もっぱら黒人音楽で成功してきた、ジェリー・ウェクスラーが、Doug Sahmとともにスカウトしてきた、彼にとってこれまでのキャリアにないタイプのシンガーでした。

 ちなみに、同じ73年に、Doug Sahm And Bandがリリースされています。
 そして、ダグ・サームもまた、もう一枚のアルバムを残してアトランティックを去ることになります。

 ワーナーの傘下に入ってから、ロックにも参入したアトランティックですが、ジェリーが選んだ、この2組のアーティストは、いかにも彼にふさわしいポリシーでチョイスされていたと思います。

 大きな成功を収められなかった、ウイリーのアトランティック時代でしたが、直後のコロンビア移籍第一弾アルバム、75年「赤毛のよそもの」が、ウイリー初のNO.1カントリー・アルバムとなりました。

 私が初めて買ったウイリー・ネルソンのアルバムがこれです。
 これは、西部のアウトロー伝説を主題にしたような、オムニバス風のアメリカーナ・アルバムでしたが、収録曲のBlue Eyes Crying In The Rainでグラミーを取り、時の人となったのでした。

 さて、Shotgun Willieですが、このアルバムは、前述のとおり、商業的な成功作とは言えませんが、注目すべき点がいくつかあります。

 まず、その後のウイリーのライヴの定番曲となる、Whiskey Riverが取り上げられています。
 この曲は、Johnny Bush作で、本人盤は、聴いていて思わず陶然とさせられる、伝統的なスタイルの4ビート・カントリーで、私のフェイバリット・カントリー・ナンバーのひとつです。
 この曲を聴いてから、私はジョニー・ブッシュを追いかけ始めたのでした。

 そして、Bob Willsの曲が2曲、Leon Russellの曲が2曲選曲されています。
 特に、ラッセル作のA Song For Youは、誰もが知る大有名曲ですね。

 しかし、私の興味は別の視点からのものです。
 このアルバムには、ダグ・サームが参加している曲が2曲あるのです。

 Stay All Night (Stay A Little Longer) と、Devil In A Sleepin' Bagです。
 これこそ、私が以前からこのアルバムに注目していた理由なのでした。

 今回、クレジットを見て、この2曲にダグ・サームがギターで参加していることが分かりました。
 ボブ・ウィルズ・ナンバーのStay All Night (Stay A Little Longer)では、ウェイロン・ジェニングスもギターで参加していて、ともにコーラスでもクレジットされています。

 ただ、ダグのコーラスは、コーラス隊の中に紛れて、聴きとれず残念です。
 この曲では、オーギー・メイヤースもギターを弾いており、さらにジョニー・ギンブルがフィドルで参加しています。
 曲の構成としては、エレキの音圧が控えめで、アコーステイック・スイング風に聴こえ、出来はいまいち印象が薄いです。

 ダグ・サームが参加していない、もうひとつのボブ・ウィルズのナンバー、 Bubbles In My Beerの方は、ウエスタン・スイングらしい楽しい雰囲気がでていて、良い仕上がりになっています。
 こちらには、オーギーがピアノで、ジャック・バーバーがベース、ジョージ・レインズがドラムスで参加しています。
 このバックは、完全にダグ・サーム人脈ですので、ダグの不参加が不思議です。

 このアルバムは、ダグ・サーム・ファンの視点で聴くと、欲求不満になります。
 なぜかと言いますと、折角ダグがギターを弾いているにも関わらず、基本的にリード・ギターは、アルバム全体を通して、ウイリー本人なのです。

 これは、ウイリーのアルバムではごく普通のことですが、やはりダグの出番をもっと派手なものにしてほしかったというのが、正直なダグ・ファンの声でしょう。

 ウイリーのギターは、ナイロン弦のガット・ギターにピック・アップを付けたもので、ワン・アンド・オンリーのヘタウマ系(実は味があって上手い)なのですが、このアルバムでは、音の録り方が違うのか、あるいは珍しくスチール弦を張っているのか、いつもの胸に染みいるようなサウンドには聞こえず、私は不満です。

 Stay All Night (Stay A Little Longer)では、ウェイロンがセカンド・バースでアクースティック・リードを弾いており、こちらは聴きものです。
 返す返すも、ダグにリードを弾く機会を与えてほしかったです。

 その他の曲では、1曲のみですが、冒頭のShotgun Willieで、ウェイン・ジャクスン、アンドリュー・ラヴ以下のメンフィス・ホーンズが参加しており、アトランティックらしさが表れています。

 私の聴き方は、ダグ・サーム目当てで、決して正しい聴き方ではないです。
 しかし、ウイリー・ネルソンのアルバムとして、まっとうに聴いても、彼の売り物である、ガット・ギター・リードの魅力が、このアルバムでは希薄だったと思います。

 ただ、この時期に、ボブ・ウィルズを2曲も取り上げていたことは、嬉しい発見でした。

 70年代初頭くらいから、ナッシュビル・サウンドに対する、オースティンのアウトロー・カントリーの芽が実を付け始めていたとは思いますが、ウェイロン・ジエニングスが、「テキサスでは、ボブ・ウィルズは今でも王様だ」と歌い、話題になったのは、70年代半ばのことだったと思います。

 ボブ・ウィルズが、最後のアルバムの録音中に倒れ、天に召されたのは、75年のことでした。








 ボブ・ウィルズの関連記事はこちら 最後のときに

ゴスペル・イン・マイ・ソウル

 Otis Clayの90年代ゴスペル時代の日本盤で、邦題は「ゴスペル・イン・マイ・ソウル」です。
 このアルバムは、日本盤ですが、タイトル、ジャケット違いで同内容のものが、以前はいろいろとあったはずです。


When the Gates Swing Open
Otis Clay

1.When the Gates Swing Open
2.You Can Make It
3.Working Hard
4.If I Could Reach Out (And Help Somebody)
5.On My Way Home
6.Sending up My Timber
7.His Precious Love [Live]
8.Every Road (Got to End Somewhere)
9.Have Mercy Jesus
10.Save a Seat for Me

 先ほどアマゾンJPで検索したところヒットしませんでしたが、アマゾンUSでは、この日本盤がイン・ストックになっていました。
 そのうち入手困難になるでしょうから、お探しの方は今のうちチェックされることをお勧めします。
 内容は、一言で言って素晴らしいです。

 そして、歌詞が理解できない典型的な日本人を代表して、自信たっぷりに言いますが、完全にソウル・アルバムとして聴いてもOKです。

 感情の高ぶりが頂点に達した瞬間、搾り出すような歌声が、一瞬ハスキーになるところが、いつ聴いてもセクシーです。

 7曲目のHis Precious Love が、ライヴ・アルバム、Soul Man-Live In Japanからの再収録ですが、とりたてて違和感はありません。
 全てが素晴らしい極上のパフォーマンスです。

 とりわけ注目は、ハイでも録音しているクレイのお気に入り、「誰かに手を差し伸べることが出来たろうか…」と歌う、If I Could Reach Out (And Help Somebody)です。

 ジョージ・ジャクソン作の感動的なこの曲を、ぜひハイのスタジオ録音と併せて聴き比べてみてください。
 個人的には、こちらのミディアム・スロー・バージョンが、より胸に迫る熱いテイクだと思います。

 ソウル、ゴスペルの枠を超えて、クレイ好きにはたまらない1枚になっています。






 オーティス・クレイの関連記事はこちら
                        愛なき世界で

サンキュー、ボビー

 これは面白いです。そして目のつけどころに感心してしまう、とても良くできた1枚です。
 曲目を見て、あまり期待していなかったので、楽しさが倍増して、嬉しくてたまりません。
 カナダのSGTMという怪しいレーベルから、CD-Rでの発売ですが、ぜひ一度試聴されることをお勧めします。


Thank You Bobby /VA

1. Lay Up In Bed And Read / Del Cunningham
2. It's Just A Matter Of Time / Merle Spears
3. If You Love Me / Willie Mays
4. Just Look At You Fool / Lavelle White
5. Devil Of A Girl / Gee Gee Shinn
6. Suffer / Tyrone Davis
7. Screamin' Please / Buddy Ace
8. You Gonna Miss Me / Ernie Johnson
9. You're Only A Woman / Jessie Anderson
10. Gee Gee Baby (It's Nice To Hold You Again) / Lenny Johnson
11. My Mother / Buddy Guy
12. This Time I'm Gone For Good / Mighty Sam
13. I'm Not Ashamed / Margo White
14. Honey Child / Johnny Williams
15. Love Came To Me / Ervin Little
16. Your Not Worth The Tears / Fred Lowery
17. Love Is A Cold Shot / Ray Agee
18. Are You Going My WaAY / Littl Bob And The Lollipops
19. Blues Get Off My Shoulder / Bobby Parker
20. Come A Little Closer / Billy Keene
21. Hard Times / Mighty Joe Young

 はっきりいって、予想を裏切って期待以上のものを提供してくれる、素晴らしい内容のコンピレーションになっています。

 これは、ボビー・ブランドのスタイルで歌われた曲をコンパイルしたもので、コンセプト自体はさほど驚くものではないですが、このクオリティの高さは大きな驚きです。

 まず、曲目をご覧ください。
 無名人のオン・パレードに、ため息をつかれる方も多いと思います。
私もそうでした。

 そして、「えっ」と驚く大物の名前が散見されることに、逆に不審を感じることでしょう。
 私は、タイロン・デイヴィスや、バディ・ガイ、マイティ・サムなどの名前を見て、思わず「なんだこれは、違うだろう」と内心つぶやきました。
 声になって出たかも知れません。

 この3人に関しては、説明不要の有名人です。
 ブランドのフォロワーなどであるはずがない、と強く言いたくなりました。
 そして、ビリー・キーン、彼は、私の知る限りでは、サム・クック・スタイルのシンガーです。
 さらに、マイティ・ジョー・ヤングは、私の認識では、スクイーズ系のギターリストで、B.B.キングのフォロワーです。

 なんとも、納得がいかないというのが、聴く前に私が思ったことでした。
 さらに、ここに収録されていないアーティストについても、不審はつのります。

 ボビー・ブランドのフォロワーというと、私が頭にすぐ浮かぶのは3人です。
 ジーター・デイヴィス、アール・ゲインズ、そしてバディ・エイスです。
 このうち、バディ・エイスのみ、かろうじて収録されていますが、他の2名を外すのは考えられないチョイスだろうと思いました。

 さらに言えば、大きな成功を収めて別格になりましたが、Z.Z.ヒルは、完全にブランドのコピーからスタートした人です。
 こういった、定評の高い人を外して、予想外の大物と、多数の無名人で構成した、このアルバムはなんなのか…。

 もうぐだぐた考えるより、聴くほかないです。
 そして、聴き始めた私の脳裏をよぎったのは、冒頭の言葉でした。
「面白い! そしてよく出来ている」

 整理しましょう。
 これは、ボビー・ブランドのフォロワーや、ブランドに影響を受けたシンガーのコンピではありません。
 そういったシンガーを含んではいますが、コンセプトは「デューク時代のブランドのスタイルで歌われた曲を集める」というものになっています。
 ここが、同じようで一味違うところです。

 曲そのものについては、特に調べていないので、確かなことは言えませんが、ブランドの曲のカバーは、あまり入っていません。
 マイティ・サムのThis Time I'm Gone For Good、マーゴ・ホワイトという女性シンガーのI'm Not Ashamedは、ブランドの有名曲のカバーです。

 個々の曲について、コメントできませんが、タイロン・デイヴィスは、彼のイメージにある軽快でダンサブルな感じではなく、あくまでヘビーに、あるいはダークに迫る曲になっています。
 バディ・ガイも、やはりヘビーで塩辛いボーカルを聴かせてくれます。
マイティ・サムは、有名曲のカバーなので、この中では一番わかりやすいです。

 そして、初めて聴く人ですが、私のオススメは、マール・スピアーズのIt's Just A Matter Of Timeです。
 ブルック・ベントンの大有名曲と同名で、なおかつ、同じように「サムデイ…」のフレーズで始まるこの曲には、注目せずにはいられません。
 まさにブランド・スタイルによる重厚な歌唱に仕上がっていて、目が覚める思いがしました。

 このアルバムを通して聴いて、強く感じたのは、50年代後半から、70年代初めまでの、ボビー・ブランドの影響力の凄まじさです。
 ゴスペル・ブルースと呼ばれる「あの感じ」を出そうとして、精一杯頑張っている、シンガー達の、恐らくは散逸するしかなかったアイテムが、見事にまとめられています。

 このコンピレーションは、ブランドの歌唱スタイルと、デュークのサウンド、とりわけ60年代半ばのデューク・サウンドの再現を目指した、素晴らしい楽曲たちを集めた、近年最高クラスのコンピだと感じました。


なんと、YouTubeにアップされていました。
マール・スピアーズのIt's Just A Matter Of Timeです。


ブルー・バラードで眠りたい

 ナイト・ミュージックに包まれて眠りたい、そんな風に思う時はありませんか?
 そんな時、私が選択するアルバムは、ドクター・ジョンのスタンダード・アルバムか、あるいはこのアルバムであることが多いです。
 デューク時代には、ハードに直球ブルースを歌ってきたBobby Blandは、ABC時代を、レイ・チャールズにもならず、B.B.キングにもならずに、黒人街へと帰ってきました。
 今回は、久々に、私のお気に入りのマラコ時代のベスト盤を聴きます。


First Class Blues
Bobby Blue Bland

1. Two Steps From The Blues
2. St. James Infirmary
3. Members Only
4. Sunday Morning Love
5. In The Ghetto
6. Sweet Woman's Love
7. Angel
8. I've Just Got To Know
9. Can We Make Love Tonight
10. After All
11. I Hear You Thinkin'
12. Straight From The Shoulder
13. Love Me Or Leave Me
14. Second Hand Heart
15. Walkin' & Talkin' & Singin' The Blues
16. Heart, Open Up Again

 このアルバムは、87年にリリースされていますが、そのあとに出た、Portrait Of The Bluesが91年発表なので、結果的にブランドの80年代を総決算するアルバムになりました。

 今なら、もっと包括的な別のベスト盤もあるかと思いますが、私はこれが気に入っています。
 それは、私にとって、曲順の流れがよく、就寝前のBGMとして聴くのにとても良いからです。

 BGMというのは、私にとって褒め言葉です。
神経にさわることなく、ながら作業が出来る音楽が、最近の私の好みになりました。

 この時代のボビーは、優しく包み込むような、ふところの深い歌いくちが大きな魅力で、心を落ち着かせたいときなどには、そっと枕元に処方してほしいアルバムです。

 実は、マラコ時代で、私が最も好きなアルバムは、このアルバムには入っていない、Portrait Of The Bluesです。
 それまでのアルバムとは、バックが変わったと思われる曲が多く、曲もいいですが、優れた演奏と歌唱が相対する緊張感が素晴らしい1枚です。

 それでも、あえてこのベスト盤をリラックスしたいときに聴くのは、先にも言いましたが、選曲の良さはもちろんですが、とても気持ちよく聞き流せる曲順のコーディネイトにあります。 

 マラコ時代のブランドは、ソウル・バラードが売りになり、このアルバムにも当然、Members OnlyAngelCan We Make Love TonightAfter AllSecond Hand HeartHeart, Open Up Againといった珠玉のナンバーが収められています。

 一方、Sweet Woman's Loveや、 I Hear You Thinkin'Walkin' & Talkin' & Singin' The Blues といった従来のブランド・スタイルのブルースや、ブルー・バラードも素晴らしく、また、それらの曲がうまく配置されているので、新しい編集盤に一時心を動かされても、再びこのアルバムへと自然に戻ってきてしまうのでした。

 ちなみに、頭の2曲のみ、デューク時代の曲の再録音で、多分、今でもこのアルバムでしか聴けないと思います。

 St. James Infirmary は、キャブ・キャロウェイとは、まるで違う解釈で歌われていて、初めて聴いたときは、なるほどこんな曲だったのか、と変に感心したことを思い出します。

 そして、Sweet Woman's Loveは、ボビー・ブランドのフォロワーを代表するシンガー、ジーター・デイヴィスのナンバーのカバーで、ブランドは、ジーターの曲を他にもやっています。

 ブランドは、もう一人のそっくりさん、アール・ゲインズの24 Hours A Dayも別のアルバムでやっていて、とても興味深いです。

 恐らく、彼らは大変感激したことと思います。(ジーターは、泉下で喜んでいると思います。)
 こうなると、バディ・エイスの曲もやってほしいものです。

 さて、この後、93年、95年にスタジオ盤を出し、98年にライヴ盤、Live On Beale Streetを出していますが、これを見ると、デューク時代のヒット曲を中心にしたセット・リストであることがわかります。

 バラードも織り交ぜていますが、やはり、黒人聴衆が彼に求めるものは、半世紀も歌いこんだブルースなのでしょう。
 このライヴ盤は、DVDも発売されました。

 03年のBlues At Midnight以降、アルバムをリリースしていない、ボビー・ブランドが私は気になっています。
 ぜひまた、元気で、あのうがい声を聴かせてほしいと願っています。



この勇姿は素晴らしいです。観客の反応も最高 !



ダグ・コスモ・クリフォード !

 懐古趣味という言葉の響きが好きです。
好悪と関係なく、対象物を懐かしむという行為が愛おしいのです。
 今晩は、思い切り懐かしんでしまいました。


Doug "Cosmo" Clifford
Doug Clifford

Side 1.
1. Latin Music
2. Regret It For The Rest Of Your Life
3. Guitars、Drums & Girls
4. I'm A Man : S.Winwood、J.Miller
5. She's About A Mover : Doug Sahm
6. I Just Want To Cry

Side 2.
1. Get Your Raise
2. Daydream : J. Sebastian
3. Take A Train
4. Death Machine
5. Swingin' In Hammock

 このアルバムは、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのドラマー、ダグ・クリフォード唯一のソロ・アルバムだと思います。
 そして、調べてはいませんが、当然未CD化だと思います。

 私は、CCRの最後のアルバム、「マルディグラ」が案外好きで、酷評しているレビューなどを読むと、悲しい気分になっていました。

 特に、ダグ・クリフォードのオリジナル曲は、彼のボーカルも含めて好きでしたので、このアルバムには、内心期待していました。

 ただ、残念なことに、初めて聴いた感想は、あまり良い印象がなく、がっかり先行でした。
 さすがにアルバム1枚、高いクオリティを求めるには、ハードルが高いようでした。

 このアルバムでは、スチュ・クックがリズム・ギターを弾いており、ベースは、ドナルド・ダック・ダンが担当しています。
 そして、はっきりとクレジットされていませんが、リード・ギターは、ジョン・マクフィーだと思います。
 彼は、スチール・ギターも弾いています。

 収録曲は、曲名のあとに特記したもの以外は、彼の自作です。
 「マルディグラ」収録曲に比べて、若干タイトなカッコよさは負けますが、スチュのギターも、マクフィーのギターも、センスのいいプレイをしていて、好感が持てます。


 オリジナル曲では、Take A Trainが、コースト・カントリー系の良い曲です。
 カバー曲では、Daydreamをやっているのが、以外な選曲で、彼の嗜好に関心がわきます。
 そして、スペンサー・デイヴィス・グループのI'm A Manの選曲にも驚きます。
 この曲は、ある意味A面1曲目のLatin Musicと合わせ、アルバム全体のカラーを印象づけていて、ファンキーかつ、黒っぽさ志向を感じます。

 She's About A Moverは、精一杯頑張っていると思います。

 私の思うところでは、この人は、男っぽいアウトロー・カントリーなんかが合うと思っていたので、そういった曲がなかった事が、最初に聴いたときに少しがっかりした理由なのでした。

 その後の活動については、詳しくありませんが、恐らくドラムは叩いても、ボーカルを取ることは、二度となかったのではないでしょうか?
 ドン・ハドソン・バンド?とか、関心はあるんですが、追いかけるまでの情熱は、少し足りません。

 クリーデンス・クリアウォーター・リヴィジデッドって、1枚だけ聴いたはずですが、ほとんど印象に残っていません。
 彼は参加してましたっけ?






スワンプについてのなんだかんだ、ぐだぐだ

 黒を基調にしたフォルムに、ピンクのストラトキャスターが映えています。
 今回は、Tony Joe Whiteの71年のヨーロッパ・ツアーのライヴ盤を聴きます。


Live In Europe 1971
Tony Joe White

Side One
1. Roosevelt And Ira Lee
2. A Night In The Life Of A Swamp Fox
3. Rainy Night In Georgia
4. Lustful Earl And The Married Woman
5. Willie And Laura Mae Jones

Side Two
1. My Kind Of Woman
2. Mississippi River
3. Traveling Bones
4. Back To The Country
5. Polk Salad Annie

 正直に言います。
 私は、サザン・ロックは分かるんですが、昔からスワンプ・ロックという言葉がよく理解できていません。

 スワンプ・ポップは、大好きなんです。
 でも、それは全然別物ですよね。

 南部のロックなら、サザン・ロックでいいじゃないですか?
それを、スワンプ・ロックと、わざわざ言うのはなぜ?

 それこそ、サザン・ロックは、ブリティッシュ・ブルース・ロックをベースに、主にジョージア州出身のバンドが広めたスタイルのこと、という定義はどうですか?

 明らかに、レーナード・スキナードを想定して定義しちゃってますが、オールマン・ブラザーズでも大差ないでしょ。
 マーシャル・タッカー・バンドは、少し困りますか、うーん…。

 でも、スワンプ・ロックって、ルイジアナ出身のバンドが広めた音楽スタイルとは言えないですよね。

 例えば、LAスワンプって、何ですか?
 テキサスからウエスト・コーストという、ブルース発展の大きな流れのひとつがありますが、ロックでも似たようなことがあるんでしょうか? 

 それこそ、合衆国の成り立ちに関係があるんだとか、民族に関係してるとか、宗教に起因するんだよとか、労働者の職探しの流れがどうこうとか、最初に言いだした人には、子供にも理解できるように、やさしく根拠を示して欲しいです。

 なんか、脱線しっぱなしですが、つい普段思っていることが、こぼれるように出ちゃいました。

 トニー・ジョー・ホワイトは、ビジュアルから入りました。
 ピンクのストラトを初め、彼本人のファッションもそうですし、目に飛び込んでくる曲のタイトルのインパクトも気になる材料でした。 

 彼の曲は、女性の名前がついているものが多いです。
そして、接続詞でつないだ長いタイトルに顕著な特徴があります。

 このアルバム収録曲でも、Roosevelt And Ira LeeLustful Earl And The Married WomanWillie And Laura Mae Jonesなんてタイトルがごろごろしています。

 ここには入ってませんが、They Cought The Devil And Pul Him In Jail In Eudora、Arkansasなんていう、ながーい題名の曲も存在します。

 最初に興味を持ったのは、やはりPolk Salad Annie でした。
エルヴィス・オン・ステージがきっかけです。

 あの時期のエルヴィスは、批判も多いと思いますが、あの映画に影響を受けた人は、実はたくさんいるんじゃないでしょうか?

 私はかなりの衝撃を受けました。
 ジャンプ・スーツが厭だとか、もみあげが無理とかあると思いますが、ジェイムズ・バートン楽団の演奏は素晴らしいです。

 またまた、脱線しましたので、軌道修正します。


 トニー・ジョーは、低音のトーキング調のボーカルとか、ジョン・リー(又はライトニン)みたいなブギとか、ワウワウばっかりだとか、色々とイメージがありますが、腰を落ち着けて聴くと、案外一本調子ではなくて、それなりにバラエティもあり、しかし一方で底には一本筋が通っています。

 このライヴ・ツアーは、ドイツ、ベルギー、イギリスなどを回っているようで、クレジットでは、イギリスのみ、国名に加えて、ロンドン、アルバート・ホールと会場名まで記載されています。
 ロンドンでの公演を中心にセレクトされているのかもしれません。

 そして、ベースで、ドナルド・ダック・ダンが参加しているのが、大きな注目点です。
MGsのファンとしては、嬉しいですね。
 裏ジャケットの写真には、ダンの姿も写っています。

 くだくだと書き連ねましたが、もうひとつ告白します。
 私は、このアルバムを購入した当時は、全く良さが分かりませんでした。

 それがどうでしょう。現在、私はこの音楽が好きです。
 おじさんになるということは、スワンプとか、レイド・バックを理解するために必要な修練を経たということなんでしょうか?

 ロックンロールとの出会いに理屈は必要なかったです。それは一瞬の天啓でした。
 しかし、スワンプを理解するためには、人生の積み重ねが必要だったのかも知れません。

 音楽は、理屈ではなく身を任せるもの、感じるものという考えは、当然正しいです。
 でも、ファンキーなワウワウ・サウンドに抗いがたい魅力を感じるのも、静かなハーモニカの響きに陶酔するのも、同じおじさんに同居している正直な感覚なのでした。


こんなにカッコイイのがなぜわからない !?



エルヴィスは、この曲もやっています。


コンチネンタル・クラブへようこそ

 これは良いです。
 久々の掘り出し物です。聴いて、改めて好きになりました。
多分、購入した当時より、今の方が自分の感覚にあうのだと思います。
 なぜなら、全く存在を忘れていたLPなのですから…。


Live At The Continental Club


Side One
1. Devil Shake Woman : The Leroi Brothers
2. Juarez And Zapata : Joe King Carrasco Y Las Coronas
3. That's All : Sarah Brown with Tex Thomas And The Danglin' Wranglers
4. Like A Kiss On The Mouth : Butch Hancock、Marce Lacouture And Band
5. Give 'Em Hell : The Kill
6. Tears : Tex Thomas And The Danglin' Wranglers

Side Two
1. Hot Smoke And Sassafras : Bubble Puppy
2. Where Is My Love ? : Randy Banks with Ponty Bone And The Squeezetones
3. Brown Eyed Girl : The Tail Gators
4. Rock Boppin' Baby : Commandos
5. Midnight Sun : Ponty Bone And The Squeezetones
6. Debi Came Back : Wild Seeds

 これは、86年にリリースされたアルバムで、内容は、テキサスのコンチネンタル・クラブというところでの、複数のバンドによるライヴ集です。

 当時のテキサスの現役バンドの姿を捉えた、素晴らしい記録になっています。
 現在も活動しているバンドも、もうみかけないバンドもありますが、アルバム全体を通して幸せな気分にさせてくれる、私の嗜好にぴったりの音楽で、録音もいいです。

 クラブのMCの短い紹介や、観客のホットな歓声も記録されていて、できれば当時の空気感を共有したかったと思わせる1枚です。

 ディストーションのかかったギターによるロッキン・ナンバーもあれば、アクースティックでフォーキーな曲も、はたまたAORっぽいバラードまで、音楽性は様々ですが、総じてバンドの勢いや生きの良さを感じます。

 様々なバンドの演奏を収録していながら、不思議な統一性を感じます。
 音楽に風土というものがあるなら、この感じこそ、テキサスという大きな枠組みでの音楽性だと思います。

 今の若い人は、ヴィニール盤を裏返すということがイメージできないと思いますが、あえて言います。
 このアルバムは、いつのまにか両面を聴き終わったことに気付き、何のためらいもなく、自然に裏返してしまう、魅力に溢れたお皿です。


 収録されているバンドは、どれも魅力があって、このうち、リロイ・ブラザーズ、ジョー・キング・カラスコ、テイル・ゲイターズ、ポンティ・ボーンは、当時、リーダー・アルバムを買いました。

 サラ・ブラウンは、フル・アルバムこそ持っていませんが、コンピレーションなどでお馴染みです。

 ブッチ・ハンコックは、CD時代になってから、フラットランダースのリイシューを買いました。
 プッチ・ハンコックの曲は、ジョー・イーリーはもちろん、ダグ・サームも取り上げていて、Sir Douglas Quintetでも、Texas Tornadosでもやっています。

 その他のバンドでは、エド・ブルースのロック・バッピン・ベイビーをやっている、コマンドーズが、クールかつブルージーで、興味深いです。
 このバンドは、リード・ボーカルが、スージー・エルキンスという女性です。

 曲順などのコーディネイトがよくできていて、気持ちよく、通して聴けるアルバムです。 
 こんな、Good Time Musicを詰め込んだアルバムを久々に聴くと、彼らの近況が気になってきました。

 CDでも買い直したのは、ジョー・キング・カラスコだけですが、ほかのバンドも調べてみようかな、と今考えています。





ハンク・ウイルソンの想い出

 カントリー・ミュージックって、聴かれるでしょうか?
私は、わりと好きな方です。

 とっかかりは、やはりロック・ミュージシャンがやる、カントリーのカバーからだと思うんですが、はっきりと「これがきっかけです」と言える記憶がないんです。

 ビートルズから、たくさんのことが始まりましたが、アクト・ナチュラリーがきっかけで、カントリーを聴く事になったわけでないのは確かです。
 はっきり言えるのは、バーズのロデオの恋人とか、ブリトウ・ブラザーズがきっかけではありません。

 ジョン・フォガティのブルー・リッジ・レンジャースとか、コステロのオールモスト・ブルーとか、色々と候補を考えてみるんですが、どうもしっくりくるものが、うかびません。

 今回のアルバムも、久々に聴き返してみて、やはり「これだ」とはなりませんでしたが、大きな要素の一つだとは思います。


Hank Wilson's Back Vol.1
Hank Wilson

Side One
1. Roll In My Sweet Baby's Arms
2. She Thinks I Still Care
3. I'm So Lonesome I Could Cry
4. I'll Sail My Alone
5. Jambalaya
6. A Six Pack Go

Side Two
1. The Battle Of New Orleans
2. Uncle Pen
3. Am I That Easy To Forget
4. Truck Drivin' Man
5. The Window Up Above
6. Lost Highway
7. Goodnight Irene

 このアルバムは、73年に出ていますが、いつ頃聴いたかは覚えていません。
もちろん、後追いであるのは、間違いないです。

 今なら、収録曲の大半は、有名曲ばかりだとわかりますが、当時は全く未知の世界だったはずです。
 楽器は、アクースティック編成で、ロック・アーティストとしては、アンプラグドのはしりです。

 まず一聴して、ブルーグラス・ナンバーのソリッドな魅力に惹かれます。
当時は、カントリーよりも、未だ見ぬブルーグラスに憧れたと思います。

 フラット・アンド・スクラッグスのマーキュリー録音を追いかけたのは、間違いなく、このRoll In My Sweet Baby's Armsを聴いたからでした。

 そして、ついでに言いますと、エルヴィスのBlue Moon Of Kentuckyを聴いて以来、ビル・モンローに何度も挑んで挫折しながらも、ついにコロンビア録音のボックス・セットを買ったのは、ハーブ・ペダーセンのCan't You Hear Me Callingを聴いたからなのでした。(このバージョンは、最高にかっこいいです。)

 どうも、カントリーの世界への入り口を覗いたのは、アルバム単位ではなく、曲単位で受けた衝撃が契機になっているようです。

 このアルバムは、ハンク・ウイリアムスはもちろん、ジョージ・ジョーンズや、ムーン・マリカン、ハンク・トンプスン、ジョニー・ホートンなど、選曲の多彩さで聴く者を楽しませてくれます。

 このうち、ジョージ・ジョーンズが2曲ありますが、彼を意識したのは、コステロを聴いてからですので、この時はまだ天啓を受けていませんでした。

 また、その後大好きになる、Truck Drivin' Manも含まれていますが、この曲の虜になったのは、コマンダー・コディ(ビル・カーチエン)か、バック・オーウェンスのライヴからだと思います。

 そして、一番のお気に入りは、Am I That Easy To Forgetでした。
ただ、この曲を本格的に好きになったのは、リー・ドーシー盤か、クラレンス・フロッグマン・ヘンリー盤がきっかけだと思いますので、結局、黒人音楽盤が鍵なのでした。

 ほのぼの系のカントリーの中でも、とりわけ、このなんとも、レイドバックした世界は、唐突ですが、私には、レイ・デイヴィスの一連の日向ぼっこソングとか、午後茶ソングの世界を連想させてくれ、うれしくなります。

 こういった、黒人音楽と白人音楽との混じわりこそが、昔から、私をわくわくさせてくれる、ごちそうなのでした。


 先ほどから、繰り返し聴きながら、やはりこのアルバムから受けた、最大の衝撃は、Roll In My Sweet Baby's Armsだなと、改めて思いました。
 ダブル・ベースのスラップとか、チャーリー・マッコイのハーモニカとか、かっこいい要素が満載です。
 そして、存在そのものが渋い、J.J.ケイル以下のタルサ・クルーが親分を盛りたてています。

 サーフ・ミュージック時代に、スタジオのエースだったレオン・ラッセルは、私にアイザック・ヘイズを思い出させます。
 ヘイズと比べると、そのパブリック・イメージは、キワものっぽさよりも、むしろ神々しささえ感じますが、怪人ぽさは、同じ匂いを感じます。

 アイザック・ヘイズもまた、長い間、ソングライターとして、そして、スタジオのアレンジャー、プロデューサーとして、日陰にいた人でした。

 ゴスペルにどっぷりつかったイメージが先行する、このダミ声の怪人は、自らのルーツが「そんな単純なものじゃないよ」とお披露目してくれたのかも知れません。

 うーん、案外単に煮詰まっただけかも…。


お久しぶりです伯爵、もちろん覚えてますとも

 今回は、「LP棚をごそごそやってたら、こんなのが出てきました、全く身に覚えがありません」というお話です。
 ジャケットを見ても、なんのイメージもわいてきません。

 バンド名が、パワー・トリオということなので、ギター、ベース、ドラムスのトリオで、うるさめのギター・バンドかな?…くらいの感想です。
 しかし、実態は、バックがトリオなわけで、フロント・マンを加えると4人編成のバンドなのでした。


I Like My Job !
Duke Tumatoe And The Power Trio

Side A
1. Get Loose !
2. Shakey Ground
3. If I Hadn't Been High
4. Bar-B-Que

Side B
1. Tie You Up
2. More Love 、More Money
3. Can't Judge A Book
4. Sweet Home Chicago

 フロント・マンの名前は、どう読むんでしょうか?
もともとカタカタ表記することには、限界があるとはいえ、気になります。

 デューク・タメトウでしょうか?
なんか、変ですね。MCがコールしている動画があればいいんですが…。

 全く記憶にないこのアルバムですが、購入した理由は、裏ジャケを見てわかりました。
 そこには、Produced By John Fogertyの文字が燦然と輝いています。
レーベルは、ワーナーです。

 89年リリースですので、ジョンのキャリアでいうと、アイ・オブ・ザ・ゾンビーのあたりでしょうか?
 再び、長い休憩に入る前の時期のような気がします。

 さて、肝心の音ですが、以外にすっきりした音をだしている、ファンキーなブルース・バンドです。
 しかも、予想外にも、ライヴ・アルバムなのでした。
 アマゾンで検索すると、なんと今でも活動しているようで、驚きです。

 レビューなどを読むと、シカゴ・スタイルのブルース・バンドという紹介がされているようです。
 しかし、シカゴ・ブルースというと、チェスとか、ヴィー・ジェイをイメージすると、いまいちイメージがあいません。

 まあ、シカゴといっても、オーティス・ラッシュとか、バデイ・ガイとか、B.B.の洗礼を受けた、スクイーズ系の巨人がいるわけですから、いつまでも、ハープとか、ウォーキン・ベースとか言うのは、Pヴァインのチェスのリイシューで育った日本人ファンだけかも…。

 でも、パブリック・イメージって、本当に大事で、強烈なパブリック・イメージがあるからこそ、ものまねとか、パロディが成立するわけです。
 その点、このサウンドは、私の思うシカゴ・ブルースの範疇と直結していません。

 では、気に入らないのかというと、そんなことはなく、ファンキー・ブルースは好物のひとつなのでした。


 曲は、ほとんど自作で、A面のShakey Groundなどは、デルバート・マクリントンかと思いましたが、やはり本人の自作でした。

 B面の最後の2曲のみカバーで、Can't Judge A Bookは、ウイリー・ディクスン作となっており、曲の感じから、ボ・デイドリーの曲のような感じがします。
 ウイリー・ディクスンって、ボ・ディドリーにも書いてましたっけ?
そういえば、Dr.Feelgoodがやっていたような気が…。

 そして、ラストは、ロバート・ジョンスン作とクレジットされている、大スタンダードです。
こちらは、「なるほど、シカゴですね」と、うなずかせる仕上がりです。
 これこそ、ブルース・ブラザースでの、マット・マーフィーをイメージさせる、納得の演奏になっています。
 ハープも、ウォーキン・ベースもなくとも、やはりイメージの力は偉大なのでした。

 動画を探したところ、なんと、ジョージ・サラグッド、ジョン・フォガティ、そして本日の主役、デュークなんとかさんが、共演しているものがありましたのでご紹介します。

 サラグッドが主役のようなステージですが、バックは、パワー・トリオですので、彼らのギグに、キャメロンと、ジョージがゲスト参加したのでしょう。
 なかほどで、デュークのギター・ソロ・シーンがあります。
 曲は、なんと「ベートーベンをぶっ飛ばせ」です。





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