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ふたりの王様

 B.B.Kingは、私にとって最初のブルース・ミュージシャンだったかも知れません。
 ただ、聴き始めたころは、メジャー過ぎてすぐさま熱くなったりしていませんでしたが、いつの間にか次第にその魅力に惹きつけられていったのです。

 Bobby Blandは、ダグ・サームがきっかけでした。
 ダグがジュニア・パーカーとブランドを最大のアイドルとしていたことは、彼のアルバムを聴けば明らかです。
 ダグは、ライヴでその思いを口に出して言ったりしてもいます。


Together For The First Time…live
B.B.King & Bobby Bland

1. 3 O'Clock Blues
2. It's My Own Fault
3. Driftin' Blues
4. That's The Way Love Is
5. I'm Sorry
6. I'll Take Care Of You
7. Don't Cry No More
8. Don't Want A Soul Hangin' Around
9. Medley: Good To Be Back Home/Driving Wheel/Rock Me Baby/Black Night/Cherry Red/It's My Own Fault/3O'clock Blues/Oh, Come Back Baby/Chains Of Love/Gonna Get Me An Old Woman
10. Everybody Wants To Know Why I Sing The Blues
11. Goin' Down Slow
12. I Like To Live The Love


 この74年リリースのアルバムは、B.B.キングとボビー・ブランドが共演した模様を記録したライヴ盤です。
 このあと、続編的なアルバム、Together Again…liveも76年に出されました。
 
 よくある大物のスタジオ共演盤などでは、実際には一度も顔を合わせることなく、別の場所でそれぞれのパートが録音され、ミックスされるということがありますが、こちらはライヴですので、二人の乗り次第で、どんどんと熱い展開になっていく可能性があります。
 
 実際のところ、冒頭、B.B.の代表曲、3O'clock Bluesで、B.B.のイントロを受けて、ボビーのうがいボーカルがいきなり炸裂!! もうたまりません。

 その後も、二人の熱い応酬がたっぷり記録されている1枚です。

 B.B.のよく歌うギターがやはり耳に残ります。
 
 民族音楽、伝承音楽としてしかブルースを認めない方もいますが、ブルースがまず踊るための音楽であり、また不運を嘆いたり、笑い飛ばしたりする大衆の音楽であるという意味で、徹底したエンターテイナーであるB.B.が、ブルースマンでないはずはありません。

 マディ・ウォーターズがオーティス・ラッシュに共感を覚え、引き立てる意味で「彼は、(B.B.のようなスクイーズ派だけど)ディープなシンガーだから」と言った発言をしたこともありました。

 ブルースが再発見された時、初めはあくまでフォーク・ソングとして受け入れられたという側面もあったようです。

 しかし、そういった議論も、もはや古い昔話になりました。
 それだけ真剣に討議された時代は、遠い過去のことになったと言うことかもしれません。

 唐突かもしれませんが、日本の時代劇とアメリカの西部劇のことに例えさせて下さい。

 西部劇は、国が若く、自らの神話を持たないアメリカ人にとっての神話的な存在でした。
 開拓時代のヒーローの物語は、多くのバラッドとなって歌い継がれています。

 しかし、その内実は、先住民の土地を奪い、彼らの信仰をないがしろにし、自分たちの宗教を押しつけていった負の歴史でもあったと思います。
 あれほど人気があった西部劇が作られなくなったのには、それなりの理由があることでした。

 その点、日本の時代劇は、一見同じような存在でありながら、いまだに根強い人気があり、今後も廃れたりしないでしょう。
 
 ブルースは、絶滅を待つだけの民族音楽ではなく、今を歌う音楽であると思います。
 司馬遼太郎や南條範夫が登場した当時、彼らの時代小説を「まげをのせた現代小説」と評したらしいです。
 舞台は過去の時代でも、扱っているテーマは現代の諸問題に通じるところがあるという意味です。

 ブルースは、西部劇ではなく、時代劇であると私は思いたいのでした。

 それに、様式美を好む日本人には、まさにぴったりの表現形式だと思いませんか?

 ブルースの王様ふたりも年齢を重ねました。
 B.B.は85歳、そしてブランドは81歳です。
 二人とも、ステージでは着席して歌うことが多くなっていると思います。

 それにしても、B.B.の相変わらずの活躍ぶりはすごいですね。
 新作も精力的にリリースしています。

 その点、ブランドは、03年のBlues At Midnight以来、新作のリリースがないのが寂しいです。
 そして、高齢でもあることから、体調面が心配でしたが、どうやら元気にステージを務めているようです。

 先月1月27日は、ブランドの81歳の誕生日でした。 
その模様が、こちらのニュースで知ることが出来ました。

 Bobby “Blue” Bland is Live in NYC, at 81 — American Blues News

 今後も元気で活躍することを願ってやみません。



Let The Good Times Rollです。





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ブルースの王様のススメ

 B.B.Kingのリイシューはいろいろありますが、こちらはヴィンテージ期の決定盤だと思います。


My Kind of Blues
B.B.King

1.You Done Lost Your Good Thing Now
2.Mr Pawn Broker
3.Understand
4.Someday Baby
5.Driving Wheel
6.Walking Dr Bill
7.My Own Fault, Baby
8.Cat Fish Blues (Fishin After Me)
9.Hold That Train
10.Please Set The Date
11.Sunny Road
12.Running Wild
13.Blues At Sunrise
14.Drifting Blues
15.Somebody Done Changed The Lock On My Door
16.Looking The World Over
17.Walking Dr Bill (O/D)
18.Hold That Train


 英Aceからクラウンのアルバムをベースに、8曲から10曲をボーナス・トラックとして追加したシリーズで、全部で11枚出ています。
 これはその最初の1枚目です。

 このアルバムが特別どうとかいうことではなく、シリーズのすべてがいいです。
 チョーキング・ビブラートを屈指してブルースをメロウにした人、それがB.B.キングだと思います。

 ブルースに求めるものは、人によってさまざまです。
 カントリー・ブルースじゃないとブルースじゃないという人もいるでしょう。

 逆にブルース・ロックしか聴いたことがなく、スクイーズ・ギターのプレイがブルースだと無邪気に思っている人もいるかもしれません。

 B.B.キングは、そのどちらの人も一目置くしかない存在です。
 B.B.は、多くのブルース・マンの一人ではありますが、スペシャルな存在でもあります。
 
 お勉強としてヒット曲を集めたベスト盤にあきたら、次の段階として、このシリーズを聴きましょう。

 英Aceは、アナログ時代に、B.B.をリイシューし始めたころは、オリジナル音源にドラムスを差し替えた疑似ステレオ盤を出したりしていて、がっかりさせてくれた時期もありましたが、今ではすっかり汚名を返上しました。

 このシリーズこそ、その最高の証明です。

・My Kind Of Blues (CDCHM 881 オリジナルに8曲追加)
・B.B.King Wails (CDCHM 882 同8曲追加)
・King Of The Blues (CDCHM 897 同10曲追加)
・B.B.King (CDCHM 986 同8曲追加)
・Blues In My Heart (CDCHM 996 同8曲追加)
・Easy Listening Blues (CDCHM 1011 同8曲追加)
・More B.B.King (CDCHM 1034 同8曲追加)
・Singing The Blues (CDCHM 1041 同8曲追加)
・The Greatest (CDCHM 1049 同8曲追加)
・The Blues (CDCHM 1084 同6曲追加)
・Spirituals (CDCHM 1093 同8曲追加)

 これで十分ではありますが、次の3枚もお勧めです。
 ただし、基本的にはダブリます。
 でも、曲の並びが違うだけで、また別の味わいを感じることができます。

・The RPM Hits 1951-1957 (CDCHM 712) 26曲入りベスト
・The Best Of The Kent Singles 1958-1971 (CDCHM 760) 25曲入りベスト
・Heart & Soul (CDCH 376) 20曲入りブルース・バラード集



You Done Lost Your Good Thing Nowです。



これが俺のやり方さ

 やっぱり買っちゃいました。
 Bobby Blandの新しいベスト盤です。
 ブランドのデビューから、60年までのシングル時代を俯瞰した内容になっていて、この間の全シングルの両面が順番に収録されています。


It's My Life, Baby
The Singles As & Bs 1951-1960
Bobby Bland 

Disc: 1
1. Love You Till The Day I Die(Chess1487)
2. Crying All Night Long(Modern848)
3. Dry Up Baby(Modern848)
4. Love My Baby(Modern not originally issues)
5. Drifting From Town To Town(Modern868)
6. Good Lovin(Modern868)'
7. I.O.U. Blues
8. Lovin' Blues
9. No Blow No Show
10. Army Blues
11. Wise Man Blues(Duke not originally issued)
12. Lost Lover Blues(Duke not originally issued)
13. Honey Bee(Duke not originally issued)
14. It's My Life Baby
15. Time Out
16. You Or None
17. I Woke Up Screaming
18. A Million Miles From Nowhere(Duke not originally issued)
19. You've Got Bad Intentions
20. I Can't Put You Down
21. I Don't Believe
22. I Learned My Lesson
23. I Smell Trouble

Disc: 2
1. Don't Want No Woman
2. Sometime Tomorrow
3. further On Up The Road
4. Bobby's Blues
5. Teach Me How To Love You
6. Loan A Helping Hand
7. You Got Me (Where You Want Me)
8. Last Night
9. Little Boy Blue
10. You Did Me Wrong
11. I Lost Sight Of The World
12. I'm Not Ashamed
13. Wishing Well
14. Is It Real
15. Someday
16. That's Why
17. I'll take Care Of You
18. Hold Me Tenderly
19. Lead Me On
20. Cry Cry Cry
21. I've Been Wrong For So Long
22. I Pity The Fool
23. Close To You
 

 これは、Jasmineという英国の会社から出されたものですが、もともとは古いカントリーのリイシューを中心にリリースしていた会社で、09年ころからブルースやR&Bにも力を入れるようになったようです。

 サム・クックの新しい2枚組ベストも編んでいて、日米アマゾンともに、今月発売予定になっています。
 定番曲に加えて、レアなLP、Cooke's Tourや、Hits Of The 50sから数曲収録しているようです。

 さて、Duke時代の音源は、今まで様々な編集盤が出ていましたが、やはりMCAのDuke Recordingsシリーズ、2枚組3セットが決定盤でしょう。

 これさえ持っていれば後はいらない、そう言っていいアイテムで、Vol.1のみ日本盤が出ていました。
 Vol.2、Vol.3は日本盤のリリースが見送られ残念でしたが、米盤も含めて全て現在は廃盤だと思います。

 最高の内容でしたが、ちょっとヘビーなのも確かです。
 その後に出された、MCAのThe Anthologyは、先の3セットを2枚組に圧縮したような内容で、気軽に聴くにはこちらのほうが便利で、私はこちらを愛聴していました。
 凝縮された分、まさに傑作曲ばかりという感じで、とりわけDisc1は何度聴いても溜息が出る素晴らしい流れになっていました。

 もはや他には必要ない、それは間違いないのですが、ファンとしてはやはり別の編集盤も気になります。
 英Ace編集のThe"3B"Blues Boy The Blues Years 1952-1959と、The Voice Duke Recordings 1959-69は、99%ダブリでしたが、やはり欲しくて入手せずにはいられませんでした。

 同じ曲を収録していても、曲の並べ方が違うと微妙に印象が違ったりするので、やはり欲しくなるのでした。
 
 一番最近では、08年のUniversal盤、The Vest Of Bobby Blandという1枚ものも、こらえ切れずに買ってしまっています。
 これはもう好きだからとしか言えないです。 
 ちなみに、近々、マラコ時代の新しいベスト盤が出るようです。

 さて、今回の新しい編集盤です。
 これの他と違う点は、Duke音源に、それ以前のModern音源とChess音源を一緒に加えて、ひとつのセットにしたことです。

 これは多分、初めての試みだと思います。
 モダン音源は、他のアーティストと合わせた日本盤編集のコンピCDが出ていたようですが、私は気付かず未入手でした。
 これは限定盤ですが、現在でも購入できるようなので、心が動いています。
 もちろん、今回のCDに全て収録されましたので、当然オールダブリではあります。

 私は、モダン音源をまとめて聴いたのは初めてかも知れません。
 そして、チェス音源は初めて聴きました。…と思います。

 曲目リストにカッコ書きで番号を振りましたが、カッコ書きがないものは全てデューク音源です。
 チェス音源が1曲だけですが、これは、フリップ・サイドがBootedという曲ですから、おそらくロスコー・ゴードンだと思われます。

 シングルの表裏でアーティストが違うということですが、この2曲ともロスコーのバンドがバックを務めていて、Love You Till The Day I Dieでも、ロスコーがピアノを弾いているようです。

 その次のモダン音源のCrying All Night LongDry Up Babyでも、ロスコーのバンドが伴奏しているようですが、ピアノはアイク・ターナーが担当しています。
 そして、ギターはマット・マーフィーです。
  
 次のLove My Babyでは、注目すべきことに、ジョニー・エイスがピアノで、アール・フォレストがドラムを叩いています。
 ビール・ストリーターズ登場という感じですね。

 しかし、私がそれ以上に注目したのは、この曲がジュニア・パーカーと共演していることです。
 ただし、注目したのは共演しているからではなく、曲目です。

 なぜなら、ジュニア・パーカーには、同名のSun録音があるからです。
 Mystery Trainなどと同傾向のアップ・ナンバーで、ロカビリー・クラシックでもあります。
 ロバート・ゴードンのカバーもありました。

 思わず、同曲のブランドとパーカー共演盤かと思いましたが、同名異曲でした。
 こちらは、スロー・ブルースです。

 デュークというのは、もともとメンフィスにあって、ヒューストンに引っ越したんでしたっけ?
 11曲目のWise Man Bluesまでが、メンフィス録音です。

 7曲目の I.O.U. Bluesと、8曲目Lovin' Bluesでは、伴奏がビール・ストリーターズ名義になっています。

 そして、Lovin' Bluesでは、B.B.キングがギターを弾いているのでした。
 ただ、ギターはオフ気味で、まだ、チョーキング・ビブラートは聴くことができません。
 完全にT-ボーン・マナーのスタイルです。

 カッコ書き内に、Duke not originally issuedとあるのは、当時は未発表だったものです。
 これらの多くは、多分、アナログ時代の英Aceの編集盤、Wake Up Screamingで紹介され、A Million Miles From Nowhereは、英AceのCD、The"3B"Blues Boy The Blues Years 1952-1959で紹介されたものだと思います。

 12曲目のLost Lover Blues以降が、ヒューストン録音になります。
 ここからは、ビル・ハーヴェイ楽団が伴奏を務めます。
 私は、ジョー・スコットのトランペットが好きだったりします。
 最初のギターは、ロイ・ゲインズで、15曲目のTime Outまでが彼のプレイです。

 It's My Life Babyが彼の代表的プレイですが、当時はお蔵入りだったHoney Beeも素晴らしいです。
 ここらあたりは、みんな凄いクオリティだと思います。
 It's My Life Babyで、ブランドはひとつの頂を極めたと思います。
 ただ、まだヒットにまでは至っていません。

 16曲目のYou Or Noneで、クラレンス・ホリマンが初登場します。
 全て素晴らしいですが、このあたりの録音では、Disc2のアタマから4曲目までが特に好きです。

 とりわけ、I Smell TroubleDon't Want No Womanがいいです。
 ああ、I Don't Believeもやっぱりいいです。
 このへんは、もう最高という他ないですね。

 Disc2のSomeone Tommorrowと、Further On Up The Road(このCDの記載では"On"が入っています。)では、パット・ヘアがギターを弾き、ついに念願のヒット曲を得ることになります。
 R&Bで1位、Popで43位です。
 大成功ですね。

 パット・ヘアは、大ヒットを飛ばしたにも関わらず、このシングル1枚で退場します。
 彼には、「俺の女を殺しちまった」という自分名義のレコードがありますが、実際に殺人を犯してしまい、獄につながれたのでした。
 獄中で亡くなったのではなかったかと記憶しています。

 このあと、17曲目のIs It Realからウェイン・ベネットがギターを弾くことになり、ホリマンは姿を見せなくなります。
 この時期のホリマンで1曲だけあげるとすれば、Little Boy Blueでしょうか。
 最高の歌唱と最高の伴奏です。

 ところで、今回のライナーでは、15曲目のI'm Not AshamedWishinjg Wellでは、ジョニー・ブラウンという人物がギターを弾いたと記されています。
 これが最新のリサーチの成果なのかも知れません。

 このアルバム収録曲で、ウェイン・ベネットの代表的プレイは、I'll Take Care Of You、そして何といっても、I Pitty The Foolです。
 Cry Cry Cryもいいですね。

 やはりこの時代は、全ていいというのがシンプルな結論です。

 今回の発見は、Disc2の19曲目、That's Wayです。
 私は、この曲を今まで聴き流していたようです。
 これは、完全にジョニー・エイスを意識したスタイルの曲ですね。
 というか、Pledging My Loveそのものではないですか?

 何度も聴いたはずの音源ですが、ボビーは私に、いつも新しい発見を与えてくれるのでした。




Dry Up Babyです。





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アルバート王の覚醒

 少し前に手に入れたんですが、何だか聴くのがおしくて、なかなか手がつけられないアルバムがあります。

 それは、Stevie Ray VaughanAlbert Kingの共演盤、In SessionのDeluxe Editionなんですが、例によって、おいしいご馳走の前に、過去作のおさらいをしたいと思います。
 今回、チョイスしたのは、このアルバムです。

 
The Complete King & Bobbin Recordings
Albert King

1. Ooh-Ee Baby
2. Why Are You So Mean to Me
3. Need You By My Side
4. Time Has Come
5. I Walked All Night Long
6. I've Made Nights By Myself
7. Old Blue Ribbon
8. I've Made Nights By Myself [Alternate Version]
9. Let's Have a Natural Ball
10. Blues at Sunrise
11. Don't Throw Your Love On Me So Strong
12. This Morning
13. Travelin' to California
14. Dyna Flow
15. I Get Evil
16. What Can I Do to Change Your Mind
17. I'll Do Anything You Say
18. Got to Be Some Changes Made
19. This Funny Feeling
20. Had You Told It Like It Was
21. Ooh-Ee Baby [LP Version]
22. Blues at Sunrise [Alternate Version]
23. Time Has Come [Alternate Version]
24. Why Are You So Mean to Me [Alternate Version]


 アルバート・キングのスタックス以前の録音で、キング、ボビン時代のコンプリート集です。
 はっきり言って、これはいいです!!

 この時代では、スローのDon't Throw Your Love On Me So Strongが有名ですが、その他の演奏も素晴らしいの一言です。
 私は、Old Blue Ribbonや、必殺のアップ・チューン、Let's Have a Natural Ballが大好きです。
 
 これらの作品を聴くと、アルバートのスタイルは、スタックス以前に完成していたということが良くわかります。

 もちろん、スタックス時代が素晴らしいのは間違いないですが、スタックス時代を賛美するあまり、それ以前の録音を軽んじる風があるとしたら大変残念です。
 ある意味、スタックス以降の録音より純粋な美しさを感じるのは、私だけでしょうか? 

 このアルバムは、コレクタブルズが04年にリリースしたもので、やはりデータのリサーチなどの面で、資料的価値の薄いつくりですが、収録曲のチョイスに関しては大満足の1枚になっています。
 私の知る限りでは、この時代の録音の決定版だと思います。

 ここには、有名なスタックス録音の元になった様々なアイデアが、そこかしこに散見していて、「あっこれはあの曲だ」とか、「このイントロを発展させてあのインストを作ったんだな」などとうれしい発見が一杯で、単純に曲を聴くだけじゃなく2倍楽しめる、大変おいしいアルバムです。

 アルバートというと、私には何となく、手くせフレーズ連発というイメージがあるのですが、こちらはスタックス録音よりも、自然に思うがままにプレイしているように聴こえます。
 名盤の誉れ高いスタックス盤より、ボーカルがオン気味なのも良いです。

 久々にアルバート節に触れて、どこに仕舞ったのか不明で、ただいま捜索中の大木トオルとの共演盤が、たまらなく聴きたくなってきました。






眠れる巨人が眠る前

 ジーン・テイラーの新譜を聴いてから、カバー曲のアーティストが気になりだしました。
 中でも、Johnny Guitar Watsonと、Lowell Fulsonが気になったため、手持ちのCDを引っ張り出してきました。

 今回は、フルスンの古い音源を集めたアルバムで、04年に英国のProperから出されたものです。

Juke Box Shuffle
Lowell Fulson

1. Three O'Clock Blues
2. River Blues, Pt. 1
3. River Blues, Pt. 2
4. Crying Blues
5. Crying Won't Make Me Stay
6. Trouble Blues
7. I Want to See My Baby
8. Black Widow Spider Blues
9. Don't Be So Evil
10. Night and Day
11. Double Trouble Blues
12. Ain't Nobody's Business
13. Everyday I Have the Blues
14. Cold Hearted Woman
15. Mama Bring Your Clothes Back Home
16. Back Home Blues Listen
17. Baby Won't You Jump With Me
18. Blue Shadows
19. Rainy Day
20. Sinner's Prayer
21. Let's Live Right
22. Guitar Shuffle
23. Upstairs
24. Juke Box Shuffle
25. Blues Never Fail
26. You've Gotta Reap


 ジーン・テイラーがやったLet Me Ride In Your Automobileは、こちらの収録曲よりあとの録音で、ここに入っている曲は、40年代後半から50年代始めあたりの吹き込みになります。

 Let Me Ride In Your Automobileは、古いリズム・アンド・ブルースという感じを受けましたが、言い換えれば黎明期のリズム・アンド・ブルースともいうべきものでした。

 こちらの収録曲は、さらに古いですが、フルスンの都会的な感覚が、モダンな印象を与える、味のある録音群になっています。

 ほとんどが、LAやサンフランシスコ録音で、最後の2曲のみニューオリンズ録音です。
 ウエスト・コーストのイメージが強いフルスンですが、この時期に南部録音もあったのでした。
 のちに、シカゴで録音したりもしています。

 まず、曲目リストを見て思うのは、ビッグ・ブルースをやっているなあ、という感想だと思います。
 例えば、Three O'Clock BluesTrouble BluesAin't Nobody's BusinessEveryday I Have the Bluesなどがそうです。

 特に、Three O'Clock BluesEveryday I Have the Bluesは、B.B.Kingを代表する有名ブルースです。

 Three O'Clock Bluesは、B.B.の初のNo.1ヒットで、代名詞的な曲です。
 そして、Everyday I Have the Bluesは、しばしばB.B.のコンサートのオープニングで使われていた、これまた代表曲です。

 しかし、実はこの2曲とも、フルスン盤が先で、おそらくはB.B.のお手本になったものだと思われます。

 Everyday I Have the Bluesは、49年にメンフィス・スリム盤があり、それを受けて同年にフルスンが録音したものだと思われますが、スリムがピアニストであることから、ギター・ブルースとしては、やはりこちらの影響力が大きいのではないかと思われます。

 B.B.は、フルスンをしばしば「眠れる巨人」を呼び、先輩への敬意を表していました。

 音を聴いて驚くのは、そのモダンさです。
 46年録音のThree O'Clock Bluesを含む冒頭の3曲は、ギター・デュオによるシンプルな編成の吹き込みですが、ダウンホームさよりも、都会的なセンスを感じます。

 その後のピアノをフィーチャーした曲になると、モダンさは当然増幅され、チャールズ・ブラウンを連想させたりもします。

 この時期のフルスンのギターは、B.B.のようなチョーキング・ビブラートを期待すると、肩すかしをくわされます。

 小粋ではありますが、泣いても、むせいでもいません。
 まだまだ、ジャジーで、T-ボーンの影響大のフレーズと、ナチュラルなトーンで迫ってきます。

 ブルースをメロウにし、現在のパブリック・イメージを作ったのは、やはりB.B.Kingなのでした。
 
 Ain't Nobody's Businessのみ、ジェイ・マクシャンの楽団と吹き込んでおり、興味深いです。
 
 Everyday I Have the Blues以下の曲になると、Lloyd Glennがピアノで参加して、さらにサウンドが都会的になります。
 49年のことですが、これはグレンがどうこうより、時代の流れかも知れません。

 このころは、フルスン楽団なのか、グレン楽団なのか判然としなくなりますが、コロコロと気持ちよく転がるピアノに乗せて歌われる、Cold Hearted Womanでは、フルスンのギターが、まんまT-ボーンと言ったフレーズを弾きまくり、彼のメイン・インフルエンスが何なのか教えてくれます。

 フルスンは、ほとんど自作の人ですが、初期の代表曲のひとつで、No.1ヒットのBlue Shadowsは、グレンの作品です。
 ロイド・グレンがフルスンに与えた影響は少なくないと思われます。

 50年吹き込みのSinner's Prayerは自作ですが、のちにレイ・チャールズが、アトランティックでカバーしています。
 Lord, Have Marcy On Meのリフレンが耳に残ります。

 51年録音のGuitar Shuffleでは、再びT-ボーン・スタイルで、軽快に跳ねるフルスンのギターがかっこいいです。
 
 全体を聴き通してみて、その芳醇な魅力に酔わされます。
 出来れば、録音データを横目に見ながら、音の変化を楽しみながら聴くのが良いと思います。

 フルスンには、ブルースの巨人として、シリアスなイメージがありますが、ディープ・ブルースではなく、充分にリズム・アンド・ブルース的な人だと改めて認識しました。

 最後の53年のニューオリンズ録音は、マクシャン楽団以来のビッグ・バンド仕様での録音ですが、基本はロイド・グレン楽団なので、さほどの音の違いは感じられません。
 それよりも、フルスンのギターが、B.B.を連想させるような音になってきているような気がします。

 B.B.がThree O'Clock Bluesで初のNo.1ヒットを出したのは、51年のことでした。
 その影響力は、先輩も無視できなくなっていたのだと思います。

 フルスンが、ダグ・サームもカバーした名曲、Reconsider Babyをチェッカーからリリースしたのは、54年のことでした。
 録音は。このアルバム収録曲のすぐあとくらいかも知れません。 






普通に楽しめますが怪しいです

 なんとも怪しいCDが出ています。(正確にはCD-Rでした。)
 Bobby Blandの新作が、03年のBlues At Midnight以来、出ていないことが気がかりでしたので、アマゾンUSでこのCDを見つけた時は、素直に嬉しかったです。

 ただ、ジャケットに使用されている写真は、アングルのせいもあるんでしょうが、かなり老化が進行した顔で、痛々しささえ感じます。

 BlandのCDに渇望していなかったら、このCDに簡単に手を出すことはなかったでしょう。
 少なくとも、購入順位はかなり低かったと思います。


Greatest Hits Live
Bobby Bland

1. Stormy Monday Blues
2. This Time I'm Gone for Good
3. Blues Medley
4. I Pity the Fool
5. Ain't That Lovin' You
6. I'll Take Care of You
7. That's the Way Love Is
8. St. James Infirmary Blues
 

 怪しいのは、ほぼ同時期に出たと思われる、Ain't That Loving You(Live)というCDです。

 こちらは、タイトルこそ違いますが、同じ会社から出て、収録曲と曲数が同じで曲順だけが違います。
 なんといっても、2種のCDの各曲のランタイムがぴったり一致しているのが、お粗末すぎます。

 さて、届いた現物を見てさらに驚きました。
 発売会社は、Setco Acewonder ltd.と表記されているのが唯一の手掛かりです。
 製品番号さえありません。
 ただし、Amazon Usの商品詳細欄にはASIN番号が記載されています。

 リーフレットは二つ折りですが、見開きを開くと、そこには1文字も印刷されていず、1色ベタ塗りになっていました。
 バックインレイに記載されている曲目リストが情報の全てということになります。

 いつごろの録音なのかだけでも知りたいものです。
 ジャケットの写真が、頬がこけた老いた顔であっても、収録曲とはなんの関係もない可能性はあります。

 とはいえ、80歳を超えた人です。
 既に7年、新作アルバムのリリースがありませんが、このまま、フェード・アウトしないことを切に願います。
 B.B.Kingとともに、まだまだブルース界を引っ張っていってほしいです。

 全体的に、観客の「Yeah!」や、拍手がかなり近めに聴こえるつくりのアルバムになっています。
 また、女性客のバカ笑いが盛んに聞こえる箇所もあります。
 
 気になっているのは、Blues Medleyの中身です。
 15分に及ぶこのトラックは、全体が長尺のスロー・ブルースのように聞こえ、どのあたりがメドレーなのか判然としません。

 むしろ、トラック2のThis Time I'm Gone for Goodのほうが分かりやすくて、途中でレイ・チャールズのLonely Avenueのフレーズが入るのがはっきりわかります。

 トラック3は、初めのうち、さかんに「It's Too Late Baby…」というフレーズが気になり、しかも曲後半になると、いつのまにか「Thay Call It…」とStomy Monday Bluesになっていることに気付きます。

 さあ、気を取り直して、もう一度聴きたいと思います。
 なにしろ、2日連続で不覚にも途中で眠ってしまっているのです。

 しかし、またしても、睡魔が勝利しそうです。



こちらは、06年のライヴです。頭髪がジャケ写に近く、なかなか元気そうです




 関連記事はこちら  ギタリストでたどるデュークのブランド
              サンキュー・ボビー
              ブルー・バラードで眠りたい


ギタリストでたどるデュークのブランド

 今回は、Bobby Blue Blandのデューク時代、それもまだシングルが中心だった時代を、ギタリストの変遷でたどってみたいと思います。


Roy Gaines
 It's My Life Baby /Houston 55年
 Honey Bee /Houston 55年
 
 
 デュークの2枚看板、ボビー・ブランドとジュニア・パーカーですが、先に成功したのはパーカーでした。
 ブランドは、当初パーカーの運転手をしていたという話もあります。

 そんなブランドが、一皮むけて成功へのヒントをつかんだのが、It's My Life Babyという曲だと思います。
 この時のギターが、ロイ・ゲインズでした。

Cralense Holliman
 I Don't Beliave /Houston 56年
 Don't Want No Woman /Houston 57年
 I Small Trouble /Houston 57年


 そして、クラレンス・ハラマンの登場です。
 この時期、先輩格のパーカーは、パット・ヘアを多用して、Next Time You See MeMother-In-Law Bluesのような傑作を吹き込んでいます。

 しかし、ブランドもエースを見つけました。
 I Small Troubleや、Don't Want No Womanなど、後々まで多くの人の記憶に残る代表曲を録音したのでした。

Pat Hare  
 Farther Up The Road /Houston 57年
 

 そんなブランドも、パット・ヘアと組んでいます。
 そうして生まれたのが、みんな大好きな名曲、Farther Up The Roadでした。

 この曲によって、ブランドは始めてチャート上で成功を収め、以後、大きな注目を受けるようになります。
 この曲は、多くのアーティストがカバーしていて、Farther On Up The Roadとか、Farther On Down The Roadとかいった別表記があります。
 歌詞を虚心に聴くと、Farther On Up と聞こえます。

 原曲の正式な表記は、Farther Up The Roadだけれど、実際にはFarther On Up The Roadと歌っているというのが正解ではないでしょうか?
 ただ、Farther On Down THe Roadと歌っている人も複数いて、なぜそのようになったのか、私は以前から知りたく思っています。 

 最も有名なクラプトンのバージョンは、彼らしい癖のない、あっさりしたテイストですね。
 私には、少し物足りなかったりします。

 私は、やはりダグ・サーム盤が好きです。
 オーギー・マイヤースとの共同名義で出された83年のアルバム、West Side Sound Rolls Againに収録されていて、間奏でのメンバーのソロ回しが最高にわくわくさせてくれる、7分を超える大作に仕上がっています。

Cralense Holliman
 I'm Not Ashamed /Houston 58年
 (Little Boy Blue /Houston 58年)


 この2曲も素晴らしいく良いです。
 いよいよ、ブランドの個性が独自性を発揮し始めていると感じます。

 Little Boy Blueは、93年発売の米MCA盤、Duke-Peacock Recordings Vol.Oneのライナーでは、ウェイン・ベネットがギターを弾いたと記述されていますが、01年発売の米MCA盤、The Anthologyでは、クラレンス・ハラマンと記載されています。


 また、ハラマンの表記は、93年盤ではHollomanですが、01年盤ではHollimanとなっています。

Wayne Bennett
 (Little Boy Blue /Houston 58年)
 I'll Take Care Of You /Houston 59年
 Cry Cry Cry /Chicago 60年
 I Pity The Fool /Chicago 60年
 Two Step From The Blues /Chicago 60年
 Don't Cry No More /Chicago 60年
 Ain't That Lovin' You /Chicago 61年
 Who Will The Next Fool Be /Chicago 61年
 Stormy Monday Blues /Nashville 61年
 Turn On Your Love Light /Nashville 61年
 Yield Not To Temptation /Los Angeles 62年
 33-22-36 /Chicago 62年


 そして、黄金時代が到来します。
 60年代になると、ヒューストンを離れ、シカゴやロス、ナッシュビルなどでも録音するようになりますが、完全にウェイン・ベネットがエースとなって、ブランドを支えるようになります。

 I'll Take Care Of Youのようなバラードも、I Pity The Foolのような、後にゴスペル・ブルースと呼ばれるようになるスタイルも、この時期に完成されたのでした。

 もう綺羅星のような名曲、名演ぞろいで、ボビー・ブランドのスタイルが、ブルース、リズム・アンド・ブルース界に大きな影響を与えたのも、容易にうなづける、ため息が出そうな名作群です。

 急にクラレンス・ハラマンが起用されなくなったのが解せませんが、あるいはテキサスを動かず、地元のアーティストをサボートし続けたのかも知れません。

 キャロル・フランとの邂逅まで、クラレンス・ハラマンのその後の足跡を知りたいと思いだした私なのでした。





 こちらは、Farther On Down The Roadと歌っています
 ロイ・ブキャナンとアルバート・コリンズを従えてボーカルをとっているのは、 ロニー・マックです。
 コリンズのカポタストの位置が極端で、すごく気になります




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ギタリストでたどるジュニア・パーカー

 今回は、大好きなブルース・マン、Little Junior Parkerについて、自分の頭を整理するため、録音データをチェックしてみました。

 
Floyd Murphy
 Feelin' Good / Memphis 53年
 

 ジュニア・パーカーは、モダン・レコードへ数曲の習作の録音を経て、サン・レコードへ移籍します。
 そこで、吹き込まれたのが、マジック・サムほか、多くのカバーが生まれた、Feelin' Goodでした。

 この曲は、多分ジョン・リー・フッカーの成功に触発されて、製作されたものだと思われます。
 この時のギターは、フロイド・マーフィーと言う人でした。
 マット・マーフィーの縁者ということで正解でしょうか?

 ジュニア・パーカーのサウンドは、モダンなスタイルに、サニー・ボーイやジョン・リーの影響を受けたダウン・ホ−ムなハープが絡んでくる、無類のスタイリッシュなカッコよさが、私を魅了してやみません。

Pat Hare  
 Love My Baby / Memphis 53年
 Mystery Train /Memphis 53年
 I Wanna Ramble /Houston 54年


 そして、ロカビリー・クラシックとなった、Love My BabyMystery Trainが、パット・ヘアのギターによって、サン・レコードで吹き込まれます。

 とくにMystery Trainは、2年後の55年に、レーベル・メイトのエルヴィスに取り上げられ、不朽の名作となりました。
 
 その後、ジュニア・パーカーは、ヒューストンのデューク・レコードへと移籍しますが、伴奏チームのBlue Flamesの核である、パット・ヘアが同行し、数々の名作を吹き込むことになります。

Roy Gaines
 Driving Me Mad /Houston 55年
 (Pretty Baby /Houston 55年)


Pat Hare
 (Pretty Baby /Houston 56年)
 Mother-In-Law Blues /Houston 56年
 Next Time You See Me /Houston 56年
 That's All Right /Houston 57-58年
 
 
 Pretty Babyのギターについては、98年に出された米MCAのCD、Backtracking Duke Recordings Vol.Two では、パット・ヘアとなっていましたが、06年発売の仏クラシックス盤では、ロイ・ゲインズとクレジットされています。

 一応併記しましたが、原盤を所有している本家MCAが正しいとみるのか、近年の復刻CDの記述が、リサーチが進んだ最新の研究成果と考えるのか悩むところです。

 ただ、ロイ・ゲインズは、結局その後あまり起用されず、やはり、気ごころの知れたパット・ヘアが、エースとして綺羅星のような名作を残すことになります。  

Cralence Holliman
 You're On My Mind /Chicago 60年


 しかし、60年代に入ると、シカゴやナッシュビルでの録音が始まり、パット・ヘアは姿を消します。
 パット・ヘアは、確か殺人を犯して服役することになり、音楽シーンを去ったのだと記憶しています。
 それが、この時期だったのかも知れません。
 以降は、クラレンス・ハラマンと、ウェイン・ベネットが、エースの後釜となったのだと思われます。

 ちなみに、ハラマンの綴りですが、06年の仏クラシックス盤では、Hollimanと表記されていることを確認しました。 

Wayne Bennett
 Annie Get Your Yo-Yo /Nashville 61年


・ギタリスト不明
 Sweet Home Chicago /Chicago 58年
 Sometimes / Chicago 58年
 Driving Wheel /不明 60-61年
 In The Dark /不明 61年?
 Yonder's Wall /不明 62-63年?
 The Things I Used To Do /不明 63年


 ジュニア・パーカーについては、50年代半ばから60年代の録音データのリサーチが遅れているようで、録音場所、伴奏メンバーが不明の例が、ままあるようです。

 このあたりは、既に明らかになっている可能性もありますが、近年編集盤が出ていない事もあって、新たな資料が、私たちの眼にとまる機会がありません。

 これらの曲では、ハラマンないしはベネットが弾いたと推察されますが、せめて上記の代表曲くらいは、ぜひとも私たちが容易に知るこ機会を提供してほしいものです。

 その後、デュークを離れてからは、他のギタリストと組んだりもしますが、要所々々では、ウェイン・ベネットがメインのギタリストとして存在感を発揮する仕事をしています。

 ダグ・サームは、彼のことを「My Man」と呼び、アイドル視していましたが、68年には、ついに念願がかなってプロデュースをし、4曲を録音します。
 この内、3曲がBlue Rockから、Honny Drippin' BluesというLPに収録され、シングルも発売されています。(LPの3曲の内、2曲はダグ・サームの作品です。)

 ジュニア・パーカーが亡くなったのは、71年、40歳の時のことでした。



 その後、未発表だった1曲は、98年になって、ようやくI'm So Satisfied Complete Mercury & Blue Rock Recordingsという再発編集盤に収録され、初めて世に出ます。

 ダグ・サームが天に召されたのは、翌年99年のとでした。

 このダグ・サーム製作の4曲は、05年に、Doug Sahm And The Sir Douglas Quintet The Complete Mercury Recordingsという5枚組セットのDisc4に、まとめて収録されました。

 デューク時代の全貌を明らかにする、徹底したこだわりの編集盤のリリースを渇望します。



こちらは、代表曲のひとつ、「ママ母ブルース」です。



 こちらは、パット・ヘアのその後の人生を暗示する「俺はあの娘を殺っちまう」です。




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テキサス・アップセッターズ、お得感満点

 今回は、アルバムの選定に迷いました。
 なぜなら、少し前から探していたLPを見つけたからです。
 しかし、前日の流れから、やはり今夜はこれだろう、と決めたのがこの1枚です。


Full Gain
Grady Gaines & Texas Upsetters

1. Mr. Blues In The Sky  : vo.Roy Gaines
2. I've Been Out There  : vo.Grady Gaines
3. If I Don't Get Involved (I Can't Get Hurt)  : vo.Joe Medwick
4. Full Gain [Instrumental]
5. Shaggy Dog Listen  : Teddy Raynolds
6. Soul Twist [Instrumental]
7. If I Loved You A Little Less  : vo.Big Robert Smith
8. Your Girlfriend  : vo.Joe Medwick
9. Stealing Love  : vo.Roy Gaines
10. There Is Something On Your Mind [Instrumental]
11. Gangster Of The Blues  : vo.Roy Gaines
12. Miss Lucy Brown  : vo.Teddy Raynolds


 このアルバムは、88年にブラック・トップからリリースされたもので、アルバム・タイトルも、ジャケット写真も、そしてもちろん中身の演奏も、全てが私好みです。

 インストが3曲も収録されていますが、バンドの演奏が最高なので、曲によっては歌ものよりも心躍る楽曲だったりします。

 このアルバムは、RoyGradyGaines兄弟に、Cralence Hollimanを加え、最高のアンサンブルを聴かせてくれる、ジャンプ、リズム・アンド・ブルース・アルバムです。

 ゲストで3人のボーカリストが参加していますが、メインは、Joe medwickでしょう。
 メドウィックは、ボビー・ブランド・スタイルの重厚なボーカリストで、 If I Don't Get Involved (I Can't Get Hurt)などでは、ブランドのブルー・バラードを連想させる歌唱を聴かせてくれます。

 Teddy Raynoldsは、ブルース系のボーカリストに思えますが、実は、デューク時代から、ジョー・スコット楽団でピアノの弾いていた人で、ボビー・ブランドの録音では、ロイ・ゲインズやクラレンス・ハラマンと一緒にセッションした、昔馴染みなのでした。

 Big Robert Smithさんは、私は知らない人です。

 そして、インストでは、アップ・テンポのFull Gainが抜群の乗りで、途中から切り込んでくるギターも素晴らしいです。

 クレジットによれば、左チャンネルのギターがロイ・ゲインズで、右チャンネルのギターがクラレンス・ハラマンだそうです。

 ただ、ヘッドホンで聴けば分かるんでしょうが、こたつから1歩も出たくない私には、チャンネルの聴き分けは困難です。
 耳に飛び込んでくるギター・ソロが、どちらのプレイなのか興味がありますが、私をこたつから引っ張りだすまでには足りないのでした。

 それに、推測できるトラックもあります。
 ロイのボーカルのバックで弾きまくっているのは、クラレンスでしょう。
 それとも、いまどきは、この手のバンドでも、バックのオケを完成させてから、それに合わせて、ボーカルを何テイクも録り直したりするんでしょうか?

 さて、私には疑問があります。
 それは、クラレンス・ハラマンの名前の表記に関することです。
 カタカナ表記は、この際棚上げにします。

 ここで、私が知りたいのは、Cralence Hollimanなのか、Cralence Hollomanなのか、ということです。
 この疑問の真相や経緯は、既にブルース・ファンの間では周知のことかもしれませんが、私は知りません。
 
 デューク時代のボビー・ブランドのバックでギターを弾いていたのは、Cralence Hollomanという人でした。
 ブランドの伴奏での初期の代表曲は、I Smell Troubleや、I'm Not Ashamedです。
 そしてダグ・サーム・ファンとしては、I Don't Believeの名前もあげておきたいです。

 ちなみに、同じくロイ・ゲインズが弾いた初期の代表曲は、It's My Life Babyですね。
 この曲は、ボビー・ボランドがスタイルを確立した重要曲だと思います。
 このあたりの一連の曲は、ジョニー・ウインターのカバーが懐かしいです。

 そうでした、ハラマン問題です。
 ブラック・トップのアルバムでは、ファミリー・ネームの表記が、Hollimanとなっています。
 カタカナ表記のハラマンというのも、Hollomanを念頭においた表記だと思うのですが、いかがでしょうか?

 さて、このアルバムで私が好きな曲は、ロイがボーカルを取る3曲が全て好きですが、他では、グラディがボーカルを取るファンキーなI've Been Out There、最高にドライヴするインスト・ナンバー、Full Gainが、特にお気に入りです。 



ソウル・レビュー風の最高にごきげんなバンドてす。




 これは、アップセッターズが伴奏した、ビッグ・ウォルター・プライスのPack Fair & Squareです。
 J.ガイルズ・バンド盤では気づきませんでしたが、 ジョー・ターナーのFlip Flop And Flyにそっくりですね。



ドナルド・ロビーの試供品

 探していたアルバムをやっと見つけました。
 Thank You Bobbyというアルバムを聴いてから、デュークのサウンドを総括したようなアルバムを探していたのです。

 マディ・ウォーターズやチャック・ベリー、フラミンゴスなどのバックに、しばしば共通のミュージシャンが参加していたことは、よく知られています。
 これを、チェス・サウンドという括りで語っていた記事を読んだ記憶があります。

 同様に、デューク・サウンドという捉え方があってもいいのではないか、と思ったのでした。
 LP棚のどこかに、デュークのサンプラー・アルバムがあるはずです。
 しかし、見つけ出したのは、デュークだけではなく、グループ・レーベルのピーコックとバックビートの代表曲を含む内容になっていました。
 それでも、私が思い描いていたレコードはこれだったのです。


If It's Not A Hit
I'll Eat My Hat

Side One
1. Hound Dog / Big Mama Thornton(Peacock)
2. Pledging My Love / Johnny Ace(Duke)
3. I Love My Baby / Little Richard with The Johnny Otis Orchestra(Peacock)
4. I Wanna Ramble / Little Junior Parker & The Blue Flames(Duke)
5. Farther Up The Road / Bobby Bland(Duke)
6. Keep On Doggin' / Rosco Gordon(Duke)
7. To The End / The Sensational Nightingales(Peacock)

Side Two
1. Texas Flood / Larry Davis(Duke)
2. Okie Dokie Stomp / Gatemouth Brown with The Pluma Davis Orchestra(Peacock)
3. Taxi Blues / Little Frankie Lee & The Saxtons(Peacock)
4. Spunky Onions / Billy Davis & The Legends with Hank Moore's Band(Peacock)
5. Blue Monday / James Davis(Duke)
6. Funny How Time Slips Away / Joe Hinton(Backbeat)
7. Treat Her Right / Roy Head(Backbeat)

 針を落として聴こえてきた音楽には、当初の理由など忘れさせて、ただただ聴きいらせてしまう、魔力のような魅力に溢れた曲が詰まっていました。

 アルバム・タイトルの後段は、あり得ないことを強調する慣用句だと思いますが、「このアルバムの曲がヒットしなかったら、帽子だって食べてみせるよ」くらいの意味でしょうか?

 このアルバムは、英Aceが85年にリリースしたもので、レイ・トッピングが取りまとめたもののようです。
 当時は、このレイ・トッピングとか、ジョン・ブローヴンとか、クリフ・ホワイトとかいった名前を、よく目にしたものでした。
 著名なコンパイラーたちですね。

 さて、このアルバムには、有無を言わせぬ名曲名演とともに、ソウル、ブルース好きの人を「にやり」とさせてくれる、美味しい曲が含まれています。
 その意味での注目曲は、Texas FloodBlue Mondayです。

 ラリー・デイヴィスのTexas Floodは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの1stアルバムのタイトル曲の原曲です。

 そして、ジェイムズ・デイヴィスのBlue Mondayは、多分、Z.Z.ヒルがブルース・シンガーを自称するきっかけになった曲の原曲です。
 Z.Z.ヒルは、Down Home Bluesの前に、このBlue Mondayのカバーが評判になって、大きく注目されることになったのでした。
 何とも懐かしいです。

 Spunky Onionsという曲は、このアルバムでしか聴いたことがありませんが、私が知らないだけで有名曲なんでしょうか?
 ビリー・デイヴィスと言う人も、白人黒人の別さえ知りませんが、ロイ・ヘッドに通じるサウンドと、それこそ Treat Her Rightを連想させる曲構成で、興味がわきます。

 ところで、そのTreat Her Rightですが、このバックビート盤が原曲なんでしょうか?
 ロイ・ヘッドの初期のアルバムは、TNTとか、セプターとかから出てたはずですが…。
 しかし、このコンピには、曲名の後に補足として、ビルボードR&Bチャート2位と記載されていますので、このバージョンがオリジナルなんでしょう。
 少し得心がいかないところがありますが、今回もスルーしたいと思います。


 その他の曲は、コメントの要のない有名曲が多いですが、ロスコー・ゴードンのKeep On Doggin'は、少し気になりす。
 No More Doggin' のパターンを使った曲ですね。
 あれは、どこのレーベルでしたっけ? モダンですか? 
 ロスコー・ゴードンは、ビリー・ザ・キッド・エマースンと似た匂いを持った、私好みのR&Bシンガーです。

 リトル・リチャードのピーコック録音というのは、あまり感心したことがないですが、この収録曲も迫力不足を感じます。

 リトル・リチャードと言えば、私は、ビッグ・ママ・ソーントンを始めて聴いたとき、てっきりリトル・リチャードだと思ったという想い出があります。
 そう思わせた曲こそ、冒頭のHound Dogなのでした。
 これは、男性の声だと思いますよね。
 何度聴いても凄い迫力です。

 そして、ボーカルにレスポンスしてくるギターのオブリガードがエグいです。
 この攻撃的なギターは、ミッキー・ベイカーでしょうか?
 ただ、私が最近買った、ミッキー・ベイカーのIn The '50s:Hit、Git & Spilitという、ベイカーのセッション集には入っていませんでした。
 このアルバムによれば、有名曲では、リトル・ウイリー・ジョンのNeed Your Love So Badのギターがミッキー・ベイカーです。

 デュークというと、私がイメージするのは、やはりボビー・ブランド、ジュニア・パーカー、ジョニー・エイス、そしてビッグ・ママ・ソーントンです。

 対して、ピーコックは、ゴスペル・レーベルのイメージですので、ナイチンゲイルズもそうですが、すぐに名前が出てくるのは、ファイヴ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピです。
 こちらは、優れた日本盤が出たので良かったですね。

 デュークとピーコックのすみ分けって、どうなっているんでしょう。
 ゲイトマウス・ブラウンは、ピーコックなのが不思議です。
 ゲイトのピーコック録音は、LP時代には、ろくなリイシューがなくて、ひどい音が多かったですが、このアルバムの音は良いです。

 そして、バックビートといえば、本盤に収録されていませんが、O.V.ライトです。
これは、レイ・トッピングさんがあえて外したんでしょう。

 ジョー・ヒントンは、日本ではあまり人気がないタイプのシンガーですね。
 収録曲のFunny How Time Slips Awayは、私は、オリジナルのウイリー・ネルソン盤が最高に好きです。
 魅惑のボーカルに寄り添ってくる、ナイロン弦のリード・フレーズに痺れます。
同時期の録音では、ドン・ギブソンのカバー、Sweet Memoriesもいいですね。(脱線しているのは自覚していますが、付け加えずにはいられません。)

 結局、最初の思いとは、全然別の聴き方になってしまいました。
でも、シンプルに、いい音楽を素直に楽しんでしまいました、というのが正直なところです。







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