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ネーデルラントのブギウギ男

 今回は、オランダのシンガー、ブギ・ピアニストをご紹介します。
 前回の記事つながりというわけでもないのですが、今年出た最新作がファッツ・ドミノの作品集なのです。

 この人は、本名をEric-Jan Overbeekというらしく、なにか拍子抜けしました。
 これじゃ、英語圏の名前と雰囲気がさほど変わらないです。
 オランダ語って、もっとドイツっぽくなかったですか?


Tribute To Fats Domino
Mr. Boogie Woogie
 

1. I'm Walking
2. The Fat Man
3. Blue Monday
4. I'm Ready
5. I Want to Walk You Home
6. Be My Guest
7. I'm In Love Again
8. Let the Four Winds Blow
9. I Hear You Knocking
10. Shake, Rattle and Roll
11. Blueberry Hill
12. Jambalaya
13. Poor Me
14. I'm Gonna Be a Wheel Someday
15. Red Sails in the Sunset
16. Whole Lotta Loving
17. Walking to New Orleans
18. Hello Josephine
19. Please Don't Leave Me

 オーダーする前に(別のアルバムの曲を)試聴していたのですが、嵐のような速弾き系をイメージしていました。
 しかし、ファッツ・ドミノでは、イメージ的にどうしてもゆったり系にならざる得ないですよね。

 Mr. Boogie Woogieは、もう少し若いころ、本名でもアルバムを出していて、ピート・ジョンソンのような感じだと、私は思っていました。
 本盤でのプレイは、他のファッツ・フォロワーのそれと比較すると、さすがにファストです。

 本盤の参加メンバーは以下のとおりです。

Mr.Boogie Woogie (Eric-Jan Overbeek): piano, vocals
Marcel Schuurman: guitar (panned left)
Chris “C” Clemens: additional guitar (panned right)
Robbie Andreas Carree: drums
Harm van Sleen: bass
Koen Schouten: baritone sax
Bart van Ballegooijen: tenor sax
Joran van Liempt: tenor sax
Arnoud de Graaff: tenor sax
Harm van Oss: trumpet
Jasper Aubel: trumpet

 本盤は、11年9月にオランダのカトワイク(Katwijk)のスタジオで、本人のプロデュースにより録音されました。

 のちのMr.Boogie Woogieこと、Eric少年は、8歳からピアノを始め、13歳の頃にはそれまで習ったすべてのスケールや練習曲に不満を感じていたそうです。

 そのころ、ブルースに関心を持ち始めていた彼は、次第にギターでブルースを弾くようになっていましたが、ある日、ラジオから流れてきた曲に衝撃を受けます。

 それは、Fats Dominoの"Swanee River Hop"という曲で、彼の覚醒は81年の出来事だそうです。
 以来、再びピアノの世界へと戻ったそうです。
 古いアメリカのリズム&ブルースの魔法にかかったわけですね。

 "Swanee River Hop"は、いつもお世話になっている、英AceのImperial Singlesシリーズを参照すると、Vol.2に収録されていました。

 まさにロックンロールの最盛期の曲のひとつです。
 私は、この曲名からは、メロもサビのフレーズも浮かんできませんでした。
 あまり有名な曲ではないですね。
 そういえば、そんな発言をしているわりには、本盤で彼は"Swanee River Hop"をやっていません。

 そして、彼のプレイは、一見ニューオリンズ風には聴こえず、やはりもっと古いスタイルのブギヴギを連想させます。
 19曲もやっていますが、ゆったりした三連曲よりも、力強くファストな曲の方が彼の本領のような気がします。

 スローな曲、例えば"I Hear You Knocking"や"Walking to New Orleans"のような曲も悪くはないですが、速い曲の印象が勝っています。

 それでも、特徴的なイントロやリフを持つ、いかにもニューオリンズR&B風の曲は、きちんとそれ風に演奏していて、それはそれで胸が高鳴ります。

 "The Fat Man"などがその代表例で、私は、この曲に思い入れがあるため(始めて買ったファッツのアルバムの収録曲)嬉しさもひとしおです。 
 (歌声に、もう少しリッチさが出ればなおいいです。)

 繰り返し聴くうち、Mr.Boogie Woogieスタイルのセカンドライン・ビートが耳に合うようになり、彼流のFats Domino Songもいいなあ、今はそう思っています。

 この前の休日は、読書(kobo Touchを買ってしまいました。)のBGMとして流して聴いていました。

 最後に、今回も、収録曲を英AceのImperial Singlesシリーズに沿って並び替えてみます。

Fats Domino
The Early Imperial Singles 1950-1952

2. The Fat Man

The Imperial Singles Vol.2 1953-1956
13. Poor Me
19. Please Don't Leave Me

The Imperial Singles Vol.3 1956-1958
1. I'm Walking
3. Blue Monday
7. I'm In Love Again
11. Blueberry Hill
16. Whole Lotta Loving

The Imperial Singles Vol.4 1959-1961
4. I'm Ready
5. I Want to Walk You Home
6. Be My Guest
8. Let the Four Winds Blow
14. I'm Gonna Be a Wheel Someday
17. Walking to New Orleans
18. Hello Josephine (?…My Girl Josephine)

The Imperial Singles Vol.5 1962-1964
9. I Hear You Knocking
12. Jambalaya

(?)
10. Shake, Rattle and Roll
15. Red Sails in the Sunset

 50年代後期の作品が多いですね。
 私は、やはりVol.1〜Vol.2のあたりの曲が一番好きです。



Mr. Boogie Woogie (2011)








ジス・タイム 〜 ダグ・ソング拾遺2

 Mr.Pitifulさんのブログで、英Aceが"Story Of American Studios"なるコンピをリリースすることを知りました。

 アメリカン・スタジオって、すぐに音のイメージがわかなかったんですが、曲目リストを見て、「ああ、なるほど」と思い出すとともに、同じメンフィスでも、スタックスやハイと比べて「あまりぱっとしないなあ」、「無条件で好きなのは一部の曲だけかな」と思ってしまいました。
 (好きなアーティストは沢山入っているのにね。)

 選曲もどうなんでしょう。
 一部のレア曲は興味しんしんだけど、メジャーなアーティストの選曲のいくつかが「?」です。

 ところで、くだんのCDが出ることで、Chips Momanが、英Aceの人気(?)コンピ、プロデューサー、ソングライター・シリーズに名前を連ねることはなくなったのでしょうか?
 彼の制作の代表作の多くは、かなり入ることになると思うので…。

 私にとって、ソングライターとしてのChips Momanは、"Do Right Woman - Do Right Man"よりも、"The Dark End Of The Street"よりも、まずはBox Topsの"The Letter"、そして、Waylon Jenningsの"Luckenbach, Texas (Back To Basics Of Love)"です。
 両曲とも大好きです。
 対して、先のサザン・ソウル2曲は、同じように好きでも、共作者のDan Pennのイメージが強すぎます。

 という前ふりから強引に展開させますが、今回は、そんなChips Moman作の"This Time"で、ワン・ヒット・ワンダー・シンガーとなった、Troy Shondellのベスト盤を聴きます。

 

This Time The Best Of Troy Shondell
Troy Shondell

1. This Time (Chips Moman)'61 #6 prod by Chips Moman
2. I Got a Woman (Ray Charles)'63 prod by Snuff Garrett
3. Gone (Rogers)'62
4. Na-Ne-No (Dino)'62 prod by Phil Specter
5. The Glider (Straigis) prod by Phil Specter
6. Girl After Girl (Shelton)'61
7. Just Because (Lloyd Price)'62 prod by Snuff Garrett
8. Tears From an Angel (Sheely, Deshannon)'62 #77 prod by Snuff Garrett
9. Island In the Sky (Shelton)'62 #92 prod by Phil Specter
10. Some People Never Learn (Shelton)'62
11. I Don't Know (Shelton)
12. No Fool Like an Old Fool (Shelton)'63
13. Thinkin' (Shelton)
14. Little Miss Tease (Burgess, Wallace)'64 Troy Shondell & His Snowmen
15. Trouble (Burgess)'64 Troy Shondell & His Snowmen

 私は、Troy Shondellという人をほとんど知りません。
 いわゆる一発屋だと思いますが、一時期は、米国英国ともにとても人気があった人のようです。

 私が知るきっかけとなったのは、Rod BernardやWarren Stormが参加したサウス・ルイジアナのバンド、The Shondellsを調べていたときのことで、Tommy James & The Shondellsとともに、検索に引っかかったのが、このTroy Shondellさんでした。

 最初は、「Troy ShondellとThe Shondellsには関係があるのでは」と色めきたちましたが、どうやら無関係らしいと知り冷めました。

 本CDを手に取った最初の印象は、どうもごく普通のティーン・ポップ・アイドルだな、という感想でした。
 ただ、レパートリーを見ると、なかなか趣味のいい曲をやっています。

 リバティに所属していた関係で、フィル・スペクターやスナッフ・ギャレットのプロデュースを受けているのが興味深いです。
 とはいえ、ウォール・オブ・サウンドとかは、あまり過度の期待はしないほうがいいです。
 また、スナッフ・ギャレットからは、エディ・コクランなんかを連想します。
 ギャレットは、バディ・ホリーともエディ・コクランとも関係があった人で、エディ・コクランには、クリケッツをバックにした録音があります。 

 Troy Shondellは、全体的には、普通にティーン・ポップとして耳ざわりよく聴きとおせます。

 

 さて、そろそろ、今回の目的の曲、"This Time"に注目しましょう。

 私とこの曲との出会いは、Sir Douglas Quintetの83年のアルバム、"Midnight Sun"でした。
 最初は、この曲がChips Moman作であることなど全く知らず、予断なく好きになりました。
 やはり、Doug Sahmの歌声は何度聴いてもファンには堪らない魅力にあふれていますね。

 単純に好きだった曲で、珍しくオリジナルがどうとか気にしていませんでしたが、あるとき、鼓動が高まる出来事に遭遇します。
 英Kentのレーベル・コンピ、"Dial Records Southern Soul Story"で、"This Time"を歌うClarence "Frogman" Henry盤を聴いてしまったのです。

 この時の高まりは半端じゃなかったです。
 一人で、"This Time"のオリジナルはカエル男だったんだあ、などと盛り上がったものでした。
 もちろん、すぐに誤りであることに気が付きました。
 初めて調べて見る気になったのです。

 "This Time"のオリジネイターは、今まで名前の出ていない人だと思いますが、61年のTroy Shondell盤がヒットし、この曲を有名にしたのは間違いありません。
 Troy Shondellの曲といっていいと思います。

 そして、Doug Sahmが私をこの曲に導いてくれたのでした。
 Doug Sahmによって知った名曲、聴き過ごしてたけれど魅力に気づかされた曲はたくさんあります。

 これらの曲もまた、私にとって、ダグ・ソング拾遺として数えたい1曲なのでした。



PS
作者名にSheltonとあるのは、Gary Sheltonで、Troy Shondellの本名です。



This Time by Troy Shondell




This Time by Sir Douglas Quintet




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白夜の国から


バイユー・ブギー・マン

 針がやたらとスベります。
 レコード針の替え時なのかも知れません。
 針圧が軽いのか、盤のそりなのかとも思ったりもしましたが、この頻度の多さはやはり針の寿命なのかな。

 シングル・レコードの音圧の強さが好きです。
 まあ、普段聴くのはもっぱらLPなんですが…。
 CDは便利で使い勝手がいいですが、レコードの音には活きの良さを感じます。
 (感覚で語っています。なにぶん昭和の人間なので。)
 今回は、久々にのこのLPを引っ張り出してきました。


The Crawl
Guitar Junior

Side One
1. The Crawl (Shuler, Vitrian)
2. Family Rules (Baker, Shuler)
3. I Got It Made (When I Marry Shirly Mae) (Baker, Shuler)
4. Tell Me baby
5. Love Me, Love Me Mary Ann
6. Now You Know (Baker, Shuler)
7. Roll, Roll, Roll (alternative take)
Side Two
1. Roll, Roll, Roll (Baker, Shuler)
2. Broken Hearted Rollin' Tears (Baker, Shuler)
3. Oo Wee Baby
4. Please (Garlow, Baker)
5. Pick Me Up On Your Way Down (H. Howerd)
6. Love Me, Love me (Lee Baker Junior)
7. Knocks Me Out Fine Fine Fine (Lee Baker Junior)

 Obinさんがギター・スリムのスペシャルティ盤について書かれていたので、刺激を受けました。
 私もギター・スリムが大好きです。
 アトコ時代は物足りないところもありますが、早世しなければ、もっともっと傑作を残してくれた人だと思います。

 ダグ・サームのファンなら、T-ボーン、ギター・スリム、ボビー・ブランド、ジュニア・パーカーは皆んな好きにさせられますよね。
 「好きなアーティストが赤い靴下をはいていたら、私も赤い靴下をはいたりします。」
 …とディランも言っていました。(引用が不正確の可能性大です。でも主旨はこんな感じのはず。)

 私がギター・スリムから連想するアーティストは、次の通りです。

・ゲイトマウス・ブラウン(ライバル?的な意味で)
・アール・キング(スリムの信奉者、ボーカルは影響大、一方、意外にギターの影響は控えめ?)
・ジョニー・ギター・ワトソン(アール・キングのカバー、"Those Lonely Lonely Nights"からの連想。意外とギターがスリムぽい)
・ジミー・ヴォーン(武骨で音数が少ないソロというイメージから)

 そして、今回の主人公、ギター・ジュニアです。
 スワンプ・ブルース的な連想です。
 同じスワンプでも、スリム・ハーポに代表される、マディ、ライトニン、リード系とは一線を画す人ですよね。

 この人は、後にLonnie Brooksの名前で発掘され、一定の成功を収めました。
 ロニー時代のスタイルは、Chuck Berry調やR&Bを得意としている人というイメージですが、それなりにブルース・マンとして認知されていたと思います。
 エディ・クリアウォーターなどと似たイメージです。

 しかし、このGuitar Junior時代はどうでしょう?
 頭に浮かぶのは、完全にR&Bの人で、スワンプ・ポップもやっているというイメージです。
 本盤は、84年に英CharlyからリリースされたLPで、数年ぶりに聴きました。

 この時代(Goldband時代)の音源は、CD化があまりされていず、英Charlyがほぼ同内容のものをジャケを替えてCD化していたように思いますが、私は、ジャケが気に入らず入手していません。

 個別には、GoldbandのコンピCDに数曲が収録されています。
 ただ、"The Crawl"とか特定の曲が選ばれている場合が多いので、やはりしっかりとした編集のコンプCDが欲しいですね。
 あせらずゆったりと、熊家族あたりに期待しましょうか。

 久々に聴いたら、とてもよかったです。
 最初の方に音圧のことを書きましたが、音楽全体から受けるパワーを感じました。
 そして、私が記憶していたイメージとかなり違いがありました。

 ノベルティックな歌中心というイメージでしたが、しっかりとギター・ソロもあってかっこいいです。
 しかも、これがギター・スリムっぽく感じて驚きました。 
 普通に、テキサス〜ウエストコースト・スタイルなのかも知れませんが、とにかくいいです。
 Lonnie Brooks時代は、スクイーズ系で、なおかつシカゴに近いイメージを持っていました。

 "The Crawl"や"I Got It Made (When I Marry Shirly Mae)"の攻撃的なソロが気持ちいいです。
 "The Crawl"は、確かT-Birdsが初期のアルバムでカバーしていたような気が…。

 ブルージー・バラードもいいです。
 "Now You Know"が特に印象に残りました。
 また、Bobby Blandのデューク・サウンドを連想させる、"Oo Wee Baby"みたいなのもあって、思わず「おおっ」と声が出ました。

 記憶のイメージにあったロックンロール調の曲より、こういったハード・ブルース(あまりないですが…)や、ブルージーR&Bがいいです。
 "Family Rules"のようなスワンプ・ポップ調の曲も、記憶とは違い大甘なアレンジではなく、つばが飛ぶような熱気あるスタイルでやっていて、眼を洗った直後のようなすっきりした気分になりました。

 唯一、ハーラン・ハワード作の"Pick Me Up On Your Way Down"が違和感ありですが、目くじら立てるほどではありません。

 久しぶりに引っ張りだしてきたLPがですが、記憶のハードルが下がっていたせいでしょうか、とても印象がよく、予想外の喜びを感じました。 

 今私は、Lonnie Brooksの方も聴き返したいなと思い始めています。
 (もう10年くらい聴いていません。) 



The Crawl by Guitar Junior


このつべの音源のソースはなんでしょう?
若干迫力不足に感じます



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レット・ザ・グッド・タイムス・ロール



シャーリー&リー、無類のデュオ

 私は、時々思い出したように得心することがあります。
 「ああ、自分は黒人音楽が好きなんだ」ということです。
 心の琴線に触れる古いリズム&ブルースを聴いたとき、特にそういった思いがつのります。

 私は、最近、Nick LoweとJohn Hiattの新作を聴きました。
 わくわくして待っていたアイテムでしたが、実は最もわくわくしていたのは、CDが届くまでの間だったのだと思いました。
 彼らの音楽に、昼も夜もなく身を焦がしたのは、はるか昔のことになりつつあります。

 こういったとき、私が改めて思うのは、私はロックが好きなのではなく、きらきらと輝いている音楽が好きなのだということです。
 とはいえ、私は、今後も彼らの作品に気をかけ続けるでしょう。
 もう一度、1曲1曲をなめるように聴いた、あの頃のトキメキが戻ってきてほしいと願っています。

 今回取り上げたものに、決して新しい要素はありませんが、私にとっての癒しの音楽です。

 

Let The Good Times Roll
Shirley and Lee

1. Let the Good Times Roll (Leonard Lee)
2. A Little Word  (Leonard Lee)
3. I Feel Good  (Leonard Lee)
4. All I Want to Do Is Cry  (Leonard Lee)
5. You'd Be Thinking of Me  (Leonard Lee)
6. Rock All Night  (Leonard Lee)
7. That's What I Wanna Do  (Leonard Lee)
8. I'm Gone  (Leonard Lee, Dave Bartholomew)
9. Sweethearts (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
10. That's What I'll Do (Leonard Lee)
11. Shirley, Come Back to Me (Shirlie Goodman, Leonard Lee) 
12. Shirley's Back (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
13. Don't You Know I Love You (Alvin Tyler)
14. Feel So Good (Leonard Lee)
15. Come on and Have Your Fun (Leonard Lee)
16. I'll Thrill You (Leonard Lee)
17. Don't Leave Me Here to Cry (Leonard Lee)
18. Before I Go (Leonard Lee, Shirlie Goodman, Earl Palmer)
19. The Reason Why (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
20. I Didn't Want You (Leonard Lee)
21. I'll Do It (Deed I Do) (Leonard Lee)
22. Everybody's Rockin' (Leonard Lee)
23. Rockin' With the Clock (Leonard Lee, Eddie Mesner)
24. Lee's Dream (Leonard Lee)
25. The Flirt (Leonard Lee, Eddie Mesner)
26. Korea (Shirlie Goodman, Leonard Lee)
27. Comin' Over (Leonard Lee)
28. Marry Me (Earl Palmer, Leonard Lee)
29. When the Day Is Done (Leonard Lee)
30. True Love (Never Dies) (Leonard Lee)

 Shirley & Leeを初めて聴いたのは、日本盤LP「アメリカを聴こう」シリーズの中の収録曲としてでした。
 現物に当たらずに書いていますが、代表曲、"Let the Good Times Roll"と"I'm Gone"が出会いだと思います。

 "Let the Good Times Roll"は、不思議な曲ですね。
 というか、変な曲というべきかもしれません。
 なんだか、すっとんきょうに弾むなピアノのイントロで始まり、そこへワン・アンド・オンリーのデュエットがのってきます。

 とりわけ、女性ボーカルのShIrleyの声や歌い方が変で、印象的とかいう言葉を超えています。
 非常に甲高くとんきょうな声で歌う人で、他に比較できる人はいないでしょう。

 文章で表現するのが困難ですが、あえて、この曲を聴いたことのない、中高年向きに比喩をしますと、さくらと一郎の「昭和枯れすすき」を苦し紛れに例えさせてください。

 あの曲は、スムースな男性シンガーの歌いだしを受けて、不意うちのように発せられる、一見調子はずれかのような「いーえ」という女性シンガーのレスポンスが衝撃的でした。
 あのとんきょうな高い女性パートの歌いだしのスリリングさ、そこにShirley & Leeとの共通性を感じます。

 今回、曲のクレジットを確認して、男性シンガーのLeonard Leeが、ほとんどの曲を書いており、彼が優れたソング・ライターであることを知りました。

 男性シンガーのLeeは、Shirleyの甲高いとんきょうなボーカルに合わせて、しばしばユーモラスな歌い方をしており、お似合いのカップルだと思っていましたが、今回、30曲を聴きなおしてみて、実は味のあるいいテナー・シンガーだと気付きました。
 Leeがメインをはる曲や、ソロ・パートが長い曲を聴くとそれが分かります。

 今回の私の注目曲は、以下の通りです。

2. A Little Word 
3. I Feel Good 
4. All I Want to Do Is Cry
5. You'd Be Thinking of Me  
7. That's What I Wanna Do
8. I'm Gone  
10. That's What I'll Do
12. Shirley's Back
14. Feel So Good
20. I Didn't Want You 
24. Lee's Dream  
27. Comin' Over

 トラック2の"A Little Word"は、初めて聴いたとき、どうも居心地の悪い、そわそわとした気分になりました。
 この曲には、なんだか聞き覚えがあるのです。

 しばし頭をひねりましたが、解答が閃けば何ということはない、Lloyd Priceの大名作、「ジャスト・ビコーズ」のメロディそのものではないですか。

 このような有名曲でも、歌詞が違うとすぐにマッチングしないものなのでした。
 作者がLeeとなっていますが、まあ黒人音楽では、似た曲を自作として発表するのはさほど珍しいことではありません。

 トラック3の"I Feel Good"は、トラック14の"Feel So Good"と併せて聴きたいかっこいいリズム・ナンバーです。
 聴いていて、とても元気になれる曲で、二人の軽快なコンビネーションが最高に決まった傑作だと思います。

 "I Feel Good"は、Leeの比較的長めのソロ・パートで始まる曲で、彼の艶のあるテナー・ボイスを堪能できます。
 もちろん、女性パートに切り替わる瞬間はスリリングでたまりません。

 "Feel So Good"は、"Let the Good Times Roll"と似たイントロで始まる曲で、Swamp Popシンガーに人気の曲だと思われます。
 兄妹デュオ、Van & Graceのカバーが聴きものです。

 トラック4の"All I Want to Do Is Cry"ですが、この言い回しは慣用句なのでしょう。
 同名またはよく似たタイトルの曲があります。
 これはLee作のオリジナルです。

 トラック5の"You'd Be Thinking of Me"は、とてもブルージーな曲で、この時代ではよくあるスタイルですが、ここではLeeがチャールズ・ブラウンばりの素晴らしい喉を聴かせています。

 トラック7の"That's What I Wanna Do"は、Shirleyが出てくると一瞬で世界がユーモラスになる、ハッピーな展開が楽しめます。

 トラック8の"I'm Gone"もまた、Shirleyが最高のパフォーマンスを聴かせる曲です。
 この曲の展開は、まさに、さくらと一郎を連想します。

 トラック10の"That's What I'll Do"は、最近の私のお気に入りの一人、Swamp PopシンガーのWayne Foretの秀逸なカバーがあります。

 トラック12の"Shirley's Back"は、トラック11の"Shirley, Come Back to Me"と組みになっているのでしょうか。
 ここでは、Shirleyが「ただいま」と何度か呟き、Leeが「おかえり」と返す、それだけの曲のようです。
 2曲には、ストーリーに連続性があるのではとも思いますが、精査できていません。

 トラック20の"I Didn't Want You"は、一転してLeeが「ごめんなさい」と謝罪し続けるブルージー・バラードです。
 曲名との関係が知りたいですね。

 トラック24の"Lee's Dream"は、ほぼLeeのソロ・パートで珍しく構成されている曲で、Shirleyが語りのセリフのみで出てくるのが面白いです。
 曲の雰囲気は、そこはかとなく、Johnny Aceを連想させます。

 トラック27の"Comin' Over"は、調子のいい軽快な曲で、サビこそ違いますが、前半のメロディは「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」を連想させます。

 30曲を一気に聴きとおすのは、正直疲れますが、こういう好きなアーティストだと、あれこれ思うことが湧き出してきて、充実した時間を過ごすことが出来て楽しいです。



I Feel Good by Shirley & Lee




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バック・トゥ・ベーシック
土曜の夜はバイユー・ポップ
ヴァンとグレース再び
強く叩き続けろ



大人の贈りもの

 このアルバムは、買われた方が多いのではないでしょうか。
 私も、予約オーダーしていました。
 このアルバムの魅力は、私にとってはまずジャケですね。

 初めてサイトの告知でジャケ写を見たときから、私は、リイシューものと同じ目線で物欲センサーが発動していました。
 キャバリエさんと組んだアルバムのジャケには、まったく萌えませんでしたが、今作でのセピアなたたずまいには、ノックアウトされずにはいられません。


Dedicated
A Salute To The 5 Royales
Steve Cropper

1. Thirty Second Lover (Paul, Pauling): with Steve Winwood
2.Don't Be Ashamed (Pauling): with Bettye LaVette & Willie Jones
3.Baby Don't Do It (Pauling): with B.B.King & Shemekia Copeland
4.Dedicated to the One I Love (Bass, Pauling): with Lucinda Williams & Dan Penn
5.My Sugar Sugar (Pauling): with John Popper
6.Right Around the Corner (McCoy, Singleton): with Delbert McClinton
7.Help Me Somebody (Pauling): Inst.
8.I Do (Pauling): with Brian May
9,Messin' Up (Pauling): with Sharon Jones
10.Say It (Pauling): with Bettye LaVette
11.The Slummer the Slum (Carter, Pauling): with Buddy Miller
12.Someone Made You for Me (Glover): with Dan Penn
13.Think (Pauling): Inst.
14.Come On & Save Me (Pauling): with Dylan Leblanc & Sharon Jones
15.When I Get Like This (Jeffries, LeBow): with Lucinda Williams

 今作は、The Five Royalesのトリビュート盤になっています。
 Steve Cropperが、5 Royalesのギタリスト、Lowman Paulingをアイドルとしていたことは、よく知られています。

 R&Bファンには人気のグループですが、オールディーズ・ファンにとって5 Royalesといえば、彼らのオリジナルより、カバーですね。
 (普通の音楽ファンは、5 Royalesをまず知らないでしょう。)

 James Brownは、"Think"を二度吹き込んでいます。

 Beatlesのお気に入り、ガールズ・グループのShirellesは、"Dedicated To The One I Love"のカバーが有名です。
 この曲は人気曲で、様々なカバーがありますが、チカーノにはStaxのTemprees盤が定番です。
 5 Royalesとしては、他にあまりないタイプのバラードですね。

 本盤収録曲の選曲はどうなんでしょう。
 広く知られた曲がチョイスされているんでしょうか?
 私は、知らない曲がほとんどでした。
 知っていた曲は次のとおりです。

3. Baby Don't Do It
4. Dedicated To The One I Love
5. My Sugar Sugar(曲名を覚えていただけ)
10. Say It
11. The Slummer The Slum(曲名を覚えていただけ)
13. Think

 このうち、"Say It"は、Lowman Paulingのギターが飛びまくる曲です。
 ただ、Cropper的ではないです。

 よく考えると、5 Royalesのレパートリーのうち、いくつかギターが目立つ曲がありますが、あまりCropper的なものはないです。

 もともと、CropperはPaulingのどこが好きだったのでしょう。
 おそらくは、音数の多いソロではなく、"Think"などのバッキングに特徴がある曲が好きだったに違いありません。

 とはいえ、今回、Cropperは2曲のインストにチャレンジしています。
 "Think"はやはり名曲ですね。
 ただ、少し色々とやりすぎな気もします。
 私は、"Think"のカバーでは、Wilko Johnsonのバージョンが一番好きです。

 "Help Me Somebody"は、原曲を知らないせいもあり、新鮮に感じました。
 Cropperは、Albert Kingが好きということもあり、ブルージーなフレーズは予想以上にいいです。
 Otisの"Rock Me Baby"のプレイを初めて聴いたときは、他の曲とのあまりのギャップにぶっとびました。

 本盤にはチョイスされていませんが、"Wonder Where Your Love Has Gone"という曲が、Paulingのギターが活躍するブルージーな好曲で、個人的にはやってほしかった曲です。

 そして、Sam and Daveのバージョンで、"I'm With You"を弾いたのは、MG'sではなかったですか。
 もしそうなら、これもやってほしかった曲です。

 本盤には、有名ゲストが多数参加していますが、私の今回一番の注目は、Brian Mayです。
 5 RoyalesとBrian Mayの取り合わせは、かなり意外ですよね。

 私の思い込みかもしれませんが、Queenは、形式としてのブルースとは無縁だと思っていました。
 例えは、生まれたときから、家庭にグランド・ピアノがある、そんな環境に育ったメンバーというイメージです。
 当然、クラシックに囲まれて成長した印象を持っていました。

 そこへ、5 Royalesです、
 これはサプライズですね。
 しかも、自身のギターのトーン一発で世界を作るさまは、QueenがFreddyとBrianとの双頭バンドだったのだと、改めて思わせてくれます。

 ゲストの存在感という意味では、B.B.Kingです。
 もはや、現人神の域ですね。
 かつて、20年くらい前、ライヴはいいけど、スタジオ盤での衰えが目立つと評した音楽誌には、思い切り冷や汗をかいてほしいものです。
 ギターは、いまだに進化しているし、メリスマは効きまくっている、こんな人がいるのは奇跡でしょう。

 ほかでは、Dan Pennもがんばっていますが、Steve WimwoodのRay Charlesばりの歌いくちがいいです。
 ちなみに、本盤収録曲のベーシック・トラックは、Dan Pennが録音したそうです。
 おそらくは、ゲストの録音はすべて別録音で、同じスタジオでの共演はなかったのだと思います。
 

 最後に、私の好きなCropperを記しておきます。

 ヴィンテージ期では、Rufas Thomasの初期作品の伴奏が全て好きです。
 Otisは、みんな好きですが、あえて言うなら、「ソウル・アルバム」です。
 MG'sでは、"Time Is Tight"と、やはり"Green Onion"です。
 当たり前すぎますか。

 その後の活動では、次の2枚が特に好きです。
 80年代では、Roy Orbisonのアルバム、"Mystery Girl"でのプレイ。
 90年代では、Parcy Sledgeのアルバム、"Blue Night"でのプレイです。

 そして、Blues Brothers
 オリジナル版も、2000も輝いていました。
 昨年は、せっかく"Blues Brothers 2010"のチャンスだったのですが残念です。

 いつまでも、渋くきらりと光るバッキングを弾き続けてほしいです。


Time Is Tight by Booker T. & MG's


有名なCCRのオープニング・アクトでの映像だと思います。


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元祖ヘタうま
ルーファスおじさんのダンス


ママはブルースが好きじゃない

 最近、私はニューオリンズR&Bをよく聴いています。
 英AceのDave Barthoromewの作品集を聴き、さらにFats Dominoの最新コレクションを聴いて、関心が再燃しているようです。
 このあたりは、Swamp Popの鉄板ネタでもありますから、彼らのナイス・カバーを聴くと刺激を受けて、つい原曲を聴き返したくなるのでした。


Mama Don't Like It ! 1950-56
Smiley Lewis

1. Shame, Shame, Shame [Original Imperial Records Master] (Fisher, Hopkins)'56
2. I Hear You Knocking (Bartholomew, King)'55
3. The Bells Are Ringing (Bartholomew, Lewis)'52
4. One Night (Bartholomew, King)'55
5. Please Listen to Me (Bartholomew, Lewis)'56
6. Tee Nah Nah (Trad.)'50
7. Growind Old (Lewis) '50
8. Dirty People (Lewis)'50
9. Bee's Boogie (Lewis)'51
10. Lillie Mae (Bartholomew, Lewis)'52
11. My Baby Was Right (Lewis)'51
12. Gumbo Blues (Bartholomew)'52 
13. I Ain't Gonna Do It (Bartholomew, King)'52
14. Caldonia's Party (Bartholomew)'53  
15. Big Mamou (Davis)'53
16. Playgirl (Bartholomew)'53
17. Lying Woman (Lewis)'53
18. Blue Monday (Bartholomew)'53
19. Down the Road (Bartholomew, Lewis)'53
20. Can't Stop Loving You (Liggins)'54
21. Ooh La La (Bartholomew)'54
22. Jailbird (Bartholomew)'54
23. Real Gone Lover (Bartholomew, Durand, Robichaux)'54
24. Bumpity Bump (Bartholomew)'55
25. I Can't Believe It (Bartholomew)'55
26. Queen of Hearts (Bartholomew, King)'55
27. Nothing But the Blues (Bartholomew, King)'56
28. She's Got Me Hook, Line and Sinker (Bartholomew, King)'56
29. Rootin' and Tootin' (Bartholomew, King)'56
30. Down Yonder We Go Ballin' (Bartholomew, King)'56
31. No Letter Today (Brown)'56
32. Mama Don't Like It (McLollie, Thomas)'56
33. Shame, Shame, Shame [From the Baby Doll Soundtrack] (Fisher, Hopkins)'56

 Smiley Lewisを初めて聴いたのは、いつだったでしょう。
 日本盤のR&BのコンピレーションLPで聴いたのでした。

 その時聴いたのは、"I Hear You Knocking"と"Blue Monday"だったと思います。
 ほくほくの焼き芋をほおばりながら歌っているかのような、得も言われぬリッチなボーカルが魅力的でした。

 私は当時、既にFats Dominoのファンでしたが、Smiley Lewisも一発で気に入りました。
 二人とも、Dave Barthoromewが制作していましたから、その音楽はかなり似ています。

 さて、今回も注目曲をピックアップしたいと思います。
 次の通りです。

2. I Hear You Knocking
3. The Bells Are Ringing
6. Tee Nah Nah
11. My Baby Was Right 
15. Big Mamou 
18. Blue Monday
21. Ooh La La

 本盤は、最初の方に代表曲をかため、そのあとはほぼ年代順に収録されています。

 "I Hear You Knocking"は、"Blue Monday"と並ぶ、Smiley Lewisの代表曲です。
 もちろん、Dave Edmundsの出世作の元ネタであるのは言うまでもありません。

 ゆったり余裕を感じさせる、SmIley Lewisの魅力満載のキラー・チューンです。
 ライナーによれば、この55年のセッションでピアノを弾いたのは、なんとHuey Smithらしいです。
 ちなみに、ドラムスはEarl Parmerです。

 "The Bells Are Ringing"は、これまた、Smiley Lewisのカッコよさが凝縮された名演でしょう。
 「電話(の呼び出し音)が鳴っている」というのは、ブルースの常套的なシチュエーションのひとつですね。

 ベタに言えば「ラヴ・コール」というやつでしょうか。
 ピアノのせわしない三連の連打が印象に残ります。
 ライナーによれば、52年ころまでのセッションで、ピアノの弾いたのは、Tats Washingtonらしいです。

 "Tee Nah Nah"は、トラッドのアレンジとなっていますが、元はニューオリンズのフォーク・ソングでしょうか?
 トラッドですが、後輩たちの多くは、このSmiley盤をお手本にしていくことになります。
 私は、ついよく似たタイトルを持つ、Slim Harpoの"Te Ni Nee Nu"を連想してしまいます。

 "My Baby Was Right"は、Smileyとしては珍しく、ピアノよりギターが印象に残る曲です。
 この曲で、テキサスっぽい攻撃的なソロを弾いているのは、Ernest McLeanという人です。
 この51年のセッションでは、Tats Washingtonのピアノに、Earl Parmerのドラム、Ernest McLeanのギターという編成になっています。

 "Big Mamou"は、トラッドかと思いましたが、Link Davis作のクレジットが使われています。
 Link Davis(パパの方)は、ケイジャンのBob Willsというべき人で、息子同様、サックス・ブレイヤーでもあります。

 "Blue Monday"は、Fats Domino盤もヒットした名曲ですね。
 Fats盤のリリースは、56年のことです。
 このSmiley盤は、53年のセッションで録音されたものですが、このとき、ピアノを弾いたのが、Fats Dominoでした。

 "Ooh La La"は、フェイセスを連想しますが、こちらは、いつもどおりDave Barthoromewが書いたもので、同名異曲です。
 あちらは、ウッドとレインのダブル・ロニーの作品でした。

 このSmiley盤は、テキサス、ルイジアナ音楽大好きバンド、Larry Lange and his Lonely Knightsが最新作でカバーしています。

 本盤は、07年にリリースされたもので、すでにもっと新しい編集盤が出ていると思いますが、1枚ものとしては充分満足いく内容だと思います。

 私などは、CD1枚に30曲以上というのはツー・マッチな気がするくらいです。
 就寝前に流しながら聴いていると、大抵は最後まで聴き終えないうちに眠ってしまいます。

 というわけで…。



Ooh La La by Smiley Lewis





アンクル・サンボズ・キャビン

 本盤は、貴重なCDだと思います。
 メインのIvory Joe Hunterは、キャリアの後期に当たる録音ですが、なかなかに楽しめます。
 この人は、あまりテキサスらしい雰囲気のない人で、エグさのないバラーディアーです。
 ここでの60年代の録音は、ヴィンテージ期よりも聴きやすいかも知れません。
 

Gray Light Of Port Arthur
Ivory Joe Hunter
Big Sambo & House Wreckers

Ivory Joe Hunter
1. I'll Give You All Night To Stop (Hunter)
2. Medley : I Almost Lost My Mind 〜 Empty Arms (Hunter)
3. I'm Coming Down With The Blues (Hunter)
4. Working On Me (Hunter)
5. Looking For The Girl Who's Lopoking For The Guy To Love (Hunter)
6. Can I Help (Hunter)
7. Stolen Moments (Hunter)
8. The Cold Gray Light Of Down (Hunter)
9. Brenda Browwn (demo, 1st version) (Hunter)
10. Brenda Browwn (demo, 2nd version) (Hunter)
11. Brenda Browwn (demo, 3rd version) (Hunter)
12. The Masquerade Is Over (Hunter)
13. Empty Arms (alternate version) (Hunter)
14. The Angeles Sent You (Hunter)
15. Adios Senorita (Hunter)
Big Sambo & House Wreckers
16. The Rains Came (Huey P. Meaux)
17. At The Party (Huey P. Meaux)
18. Anymore (D. Robey, Fats Washington)  
19. All About Love (Roy Ames)
20. I Had To Cry (Jim Scott, Al Matthias, Roy Ames)
21. Long Gone (Huey P. Meaux)

 Ivory Joe Hunterが面倒なのは、複数のレーベルで、それぞれワン・ヒット・ワンダー的なヒット曲があり、レーベルを横断するようなコンピでないと、全容が把握しにくいことです。
 有名どころでは、以下のような曲があります。

Guess Who (King)49'
I Almost Lost My Mind (King)50'
I Need You So (MGM)50'
Since I Met You Baby (Atlantic)56'

 ブルース・ファンにとって、"I Almost Lost My Mind"は、Albert KingのStax盤でしょう。
 (好き嫌いは別にして…)

 "Since I Met You Baby"は、Freddy FenderのABC-Dot盤ですね。
 この曲は、Freddy Fenderの愛唱歌で、ABC以前のキャリア初期にも録音があります。

 本盤の頃のIvory Joe Hunterは、曲のスタイルは、ほとんどカントリー・ソングといってよく、またそのジェントルな歌いくちは、スタンダードを歌うポピュラー・シンガーのようです。

 3テイク入っている"Brenda Brown"を始め、"Empty Arms"など、味わい深いバラードに酔いましょう。 

 
 さて、あっさり話は変わります。
 実は、本盤の注目は、Ivory Joe Hunterではありません。
 おまけのように入っている、Big Samboさんです。

 この人は、本名をJames Samuel Youngという黒人のシンガー、サックス・プレイヤーで、James "Big Sambo" Youngと名乗っていました。
 Big Samboというのは、子供のころのニックネームからきているようです。

 この人になぜ注目するかと言いますと、"The Rains Came"のオリジネイターだからです。

 ライナーによりますと、Huey Meauxが制作したこの曲は、テキサスでヒットしたことから、全国へと配給しようとした矢先、Big Samboという名前が黒人蔑視であるとして、ラジオ局からボイコットされてしまったとのことです。
 James "Big Sambo" Youngは、その後目立った活躍をすることはなかったようです。
 
 しかし、一人の黒人アーティストの運命とは関係のないところで、時代は進んでいきます。
 "The Rains Came"は、その後のHeuy Meauxにとって、使い勝手の良い手札の1枚となり、様々なアーティストにこぞって吹き込ませることになります。

 もちろん、Freddy Fenderや、Doug Sahmは当然やっています。
 Crazy Cajunに所属したアーティストの多くは、この曲をやっているのではないでしょうか。
 レアなところでは、Joey Long盤もあります。

 本盤には、Big Samboの3枚のシングルの両面が収録されています。
 今後、仮に未発表曲の発掘がなされたとしても、とても単独アルバムを組むほど発見されることはないでしょう。
 そういう意味で、貴重なCDだと思います。

 "The Rains Came"以外では、裏面の"At The Party"が、ワイルドにがなりたてる黒いロックンロールで聴きものです。
 そして、Johnny Aceの隠れた名作バラード、"Anymore"が、Big Samboにあった曲でやはり良いです。

 クレジットによれば、これらの録音は、63年と64年にニューオリンズで行われ、ギターにはJoey Longが、そしてキーボードには、Dr. Johnが参加しているそうです。
 Doug Sahmファン、ニューオリンズR&Bファンなら、ぜひ押さえておきたい録音でしょう。

 今回思ったのは、この時代のJohnny Aceの影響力の強さです。
 バラード曲でのBig Samboのボーカルは、明らかにAceを意識しています。
 また、クレジットにあるように、本当にDr. Johnがピアノを弾いたのなら、それはまるでJohnny Ace風のタッチそのものです。

 あるいは、デューク・サウンドの影響力こそが、大きいと言えるのかも知れません。



The Rains Came by Big Sambo






ハーレムのダイスを転がせ

 Doug Sahmの初期の音源(50年代後半から60年代初め)をまとめた"His Early Years"というCDがあります。
 Home Cookingという会社が制作して、95年にCollectables Recordsからリリースされたものです。
 (日本盤も、96年にVividから出ました。)

 その後、Norton Recordsから、同じ時代をさらに掘り下げたCD、"San Antonio Rock - The Harlem Recordings 1957-1961"が00年に出て、その有難みは若干(かなり?)下がりましたが、それでも(辛うじて)"His Early Years"以外ではCD化されていない音源が存在しています。
 その"His Early Years"を編纂したのが、Roy Amesという人でした。

 
Rolling The Dice
The Best Of Harlem Records Of Texas
Volume 1
 
The Lyrics
1. Beating of My Heart
2. I Want to Know
Doug Sahm & The Markays
3. Why Why Why
Doug Sahm & The Pharaohs
4. If You Ever Need Me
The Royal Jesters
5. My Angel of Love
6. Those Dreamy Eyes
Benny Easley
7. Kiss Tomorrow Goodbye
8. You Say You Love Me
The Famous Flames With The Original Sunglows
9. I'm Gonna Try to Live My Life Over
10. So Long My Darling
The Playboys
11. Falling in Love With You
12. Let 'Em Talk
The Satin Kings
13. Mathilda
14. Let's Go, Let's Go
Charlie & The Jives
15. For the Rest of My Life
16. Bobby Socks & Tennis Shoes

 今回のCDは、その姉妹編とも言うべきもので、先のCDと同様、Roy Amesが編纂し、Home Cookingが制作、Collectables Recordsから95年にリリースされたものです。

 テキサスのHarlem Recordsの貴重なシングルをコンパイルした内容になっています。
 (正確には、子会社のSatin、Sable、Fanfareなどの関連レーベルの音源を含んでいます。)

 Harlem Recordsは、59年にE.J.Henkeが立ち上げました。
 Henkeは、当初、メンフィスのSun Recordsや、カリフォルニアのFabor Recordsなどの販促を行うかたわら、自らのレーベルの最初のレコードを作成にこぎつけました。

 それは、The Lyricsによる"Oh Please Love Me"で、テキサスでの成功を受けて、Decca Recordsへリースされ全国的ヒットを記録しました。
 (当該曲は、残念ながら本盤には未収録ですが、2ndシングルの"Beating Of My Heart"が収録されています。)
 Lyricsは、ドリーミーなバラードを得意とする、黒人白人混成のドゥ・ワップ・グループでした。

 別のアルバムで聴いたのですが、"Oh Please Love Me"は、ゆったりとしたテンポの三連曲で、テナー・リード、ベース・シンガー、2ndテナー以下のコーラスが、それぞれ存在を主張しながら進行する、ドリーミーなバラードです。
 (ただ、私の聴く限り、この曲が特別に他の曲より抜きんでているとは思えませんが…。)


 Roy Amesは、ライナーでE.J.Henkeのことを、地元の有望なアーティストを精力的に発掘した、南テキサス・ロックの祖父?(Grandfather of South Texas Rock)である讃えています。

 中でも、Henkeの功績は、Doug Sahm、Rocky Gill And The Bishops、 Rudy And The Reno Bops、Charlie And The Jivesなどを見出したことだとしています。

 ですが、私は、Doug Sahm以外は、誰も知りません。
 どうやら、これらの内の一部は、カルトなテキサス・ガレージ・バンドとして再評価されているらしいです。

 さて、収録曲をいくつか聴いてみましょう。
 まずDoug Sahmですが、ここでの2曲は、いずれも"The Early Years"に収録されているものです。 
 "Why Why Why"は、ロカビリアンのRudy Grayzellや、Jimmie Vaughanのカバーがある、通好みのブルー・バラードです。

 The Royal Jestersは、多分白人マイノリティ系のドゥ・ワップ・グループで、メンバーの変遷のなかでは、10代のJoe Jamaが参加して、リード・ボーカルをとっていた時期がありました。
 本盤収録曲当時のメンバーは、よく分かりません。
 ドリーミーなバラードはもちろん、フランキー・ライモン・スタイルのアップ・ナンバーも得意とする、ある意味、無数にいたに違いないボーカル・グループのひとつです。

 Joe Jamaは、のちにソロで成功するチカーノ・シンガー、ベーシストで、おそらく今でも現役だと思いますが、最近は、カントリー・ゴスペル系の活動をしているかも知れません。

 Benny Easleyは、一聴して、白人か黒人か分かりづらい感じのシンガーです。
 高めの声で、アーリー・ソウル・クラシック、"Kiss Tomorrow Goodbye"を歌っており、好感が持てます。
 また、"You Say You Love Me"は、初期のBobby Bland風のハード・ブルースで、B.B.のようなメリスマを効かせながら、Buddy Guyかと思わせるような、甲高くひっくり返る声で歌っています。

 The Famous Flames With The Original Sunglowsは、その名の通り、Sunny Ozunaの元のバンド、Sunglowsが、James Brownのバック・コーラス、Famous Flamesのバックを務めた曲のようです。
 ここでのFamous Flamesのリード・シンガーは誰でしょう?
 ここでは、ほとんどゴスペル・カルテットといった感じの厚いコール・アンド・レスポンスを聴くことが出来ます。

 The Playboysでは、がらっと雰囲気が変わります。
 これまで本盤は、ドゥ・ワップ・スタイルから、ゴスペル出身丸出しのコーラス隊へ流れていましたが、ここでスタイリッシュなシカゴ風ソウルへバトン・タッチします。
 リード・ボーカルが、時にファルセットを屈指する、まさに、インプレッションズを連想させるスタイルで、この流れで聴くと、なおさら新鮮です。

 続くThe Satin Kingsは、ルイジアナ・クラシックの"Mathilda"、ハンク・バラードの"Let's Go, Let's Go"をやっており、突然、田舎へ戻されたように感じます。
 Satinというのは、関連レーベルの名前と同じですので、Henkeが推していたグループだったのでしょうか。
 青くさいボーカルは味がありますが、パンチ不足気味で、全国ヒットを狙うにはどうかとも思います。
 
 Charlie & The Jivesは、近年再評価されているグループらしいです。
 いわゆるチカーノ好きの甘茶系ソウルではなく、もう少し前のスタイルだと思います。
 ただ、テキサス、ルイジアナ系のグルーヴィーなR&Bをやっており、これもチカーノ趣味ではあります。
 ラストの"Bobby Socks & Tennis Shoes"は、反復リズムを使ったソウル・インスト曲に仕上がっています。

 編者のRoy Amesは、ライナーの締めで、ぜひとも第二集を組みたいと宣言していますが、どうも実現しなかったのではないかと思います。


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サムデイ・ベイビー

 アナザー・ガンボでしょうか。
 私は、このアルバムを聴きながら、やはりドクター・ジョンの日本盤LPを思い出していました。
 手元にある「ガンボ」のCDは、私をがっかりさせてくれます。


Singing In My Soul
"Classic New Orleans Rhythm & Blues"
Ronnie Barron

1. Trick Bag (Earl King)
2. Worried Life Blues (Major Merriweather, Big Maceo, Sleepy John Eates)
3. Big Chief (Earl King, Wardell Quezerque)
4. Singing In My Soul (L. Johnson)
5. Doing Something Wrong
6. Lights Out (Mac Rebennack)
7. Hey, Now Baby (Roy Byrd)
8. Happy Tears
9. Pink Champagne (Joe Liggins)
10. River's Invitation (Percy Mayfield)
 
 私が、「ガンボ」がニューオリンズ録音でないことを知ったのはいつごろだったでしょう。
 そんなこと、思いもしないことでした。
 
 「ガンボ」は、多感な10代を黄金時代の只中で過ごし、早熟な天才としてシーンに関わった人物が、喧噪の時代を音楽で振り返った真の傑作でした。
 それは、生きた音楽でありながらも、アカデミックな1枚だと思いました。

 私は、「ガンボ」の日本盤LPが好きです。
 なぜなら、そこには多くの示唆に富んだ文章を含む、ライナーノーツが入っていたからです。

 そこには、演者のDr.Johnにより、収録曲との出会いや、演奏のアレンジの狙いなど、わくわくするようなエピソードが、思い入れたっぷりに記されていました。
 あの対訳は素晴らしい仕事だったと思います。

 ですが、私が持っている輸入盤CDには、ライナーそのものが入っていません。
 腹立たしいです。
 日本盤はどうなんでしょう。

 気を取り直したいと思います。
 本作もまた、メインはL.A.録音のようです。

 このアルバムは、いろいろとジャケ違いが存在するようですが、これはオーストラリア盤です。
 私は、オリジナルかどうかは別として、この「釣糸を垂れるスナフキンの後ろ姿」といった、このジャケのたたずまいが気に入っています。

 Ronnie Barronは、Mac Rebennackの2〜3才下で、彼とは子供のころからの音楽仲間でした。
 そして、このアルバムにも、ニューオリンズR&Bへの愛情と敬意に溢れた、演者ロニーによる各曲への簡単な紹介が記されています。
 「ガンボ」を連想したのは、音楽性やコンセプトだけではなかったのでした。

 そこでは、当時、15歳のDr.Johnが書いた"Lights Out"を、13歳のRonnieが、Dr.John自身から教わったと語っています。

 収録曲では、プロフェッサー・ロングヘアの作品が特に光っていると感じます。
 ヒューイ・スミスと長髪教授は、やはり凄いです。

 そして、スワン・シルバートーンズをやっているのが興味深いです。
 "Singing In My Soul"です。
 私は、スワンズでは、ここには入っていませんが、似たような曲調を持つ、"Mary Don't You Weep"という曲に思い入れがあり、そちらがより好みです。
 まあ、クロード・ジーターの第一声が入ってくる瞬間のスリルは、両者に共通しています。

 さて、私が本作で最も好きな曲は、2曲目の"Worried Life Blues"です。
 冒頭の"Trick Back"も悪くはないですが、曲順が入れ替わって入れば、衝撃度がさら増して良かったのに、と思っています。

 "Worried Life Blues"は、別名"Someday Baby"と呼ばれることも多く、おそらくはレコーディングの歴史が始まる前から、すでにあった曲だと思われます。
 ここでのRonnie Barronのバージョンは、私にいくつかの曲を連想させます。

 まずは、Ray Charlesです。
 Rayは、ニューオリンズへ出向き、Guitar Slimの伴奏を仕切ったことを契機に、大きな音楽的飛躍を遂げました。
 一方、Rayの仕事もまた、ニューオリンズR&Bへ多大な影響を与えたのでした。

 Ronnieの"Worried Life Blues"は、"I Got A Woman"のリズム・パターンを使っています。
 そこへ、あの「サムデイ・ベイビー、エーニモー」というくせになる決めフレーズが乗ってくるのでした。
 かっこよすぎます。

 私が、これを聴いて真っ先に思い出したのが、Rayの"I Got A Woman"と、もう1曲、唐突に思われるかも知れませんが、Muddy Watersの"Trouble No More"です。

 すぐ手元にこの曲の収録アルバムがある方は、ぜひ聴いていただきたいです。
 Muddyは、シカゴ・ビートに乗せて「サムデー・ベイべー、トラボー・フォー・ミー・エーニモー」とぶっきらぼうに歌い飛ばしています。
 この曲での攻撃的なアップのチェス・サウンドもまた、紛れもなくダンス・ビートなのでした。

 習慣性の高いビートと、魔術のようなアイデア溢れるソロが、たっぷり詰まった極上の1枚だと思います








ヘイ・ラ・バ・ブギ

 英Aceから、Fats DominoのImperial SinglesシリーズのVo.4がリリースされました。
 まだ入手していないんですが、オーダーしようと思っています。

 手元のCDを調べたところ、Vol.1のリリースが96年で、以降Vol.2が97年、Vol.3が98年にリリースされています。
 何と、13年ぶりにVol.4(完結編)が発売されたわけです。(てっきりVol.3で打ち止めかと思っていました。)
 追記 : 12年になんとVol.5がリリースされました。
     今度こそ完結編だと思います (汗)


 そのCDの発売に触発されて、久々にFatsが聴きたくなりました。
 とういうわけで、今回は、私のFats Domino観を変えさせてくれた1枚を選びました。
 英Aceから85年にリリースされたアナログLP盤です。

 
Boogie Woogie Baby
Fats Domino
 
Side A
1. Don't Lie To Me  (Domino, Bartholomew)'51
2. Sometimes I Wonder (Domino, Bartholomew)'51
3. Nobody Loves Me (Domino, Bartholomew)'52
4. RockIn' Chair (Domino, Bartholomew)'51
5. Dreaming (Domino, Bartholomew)'52
6. Careless Love (W.Handy, M.Koenig, S.Williams)'50
7. I've Got Eyes For You (Domino, Bartholomew)'50
8. Right From Wrong (Domino, Bartholomew)'51
9. No No Baby (Domino, Bartholomew)'51
Side B
1. My Baby's Gone (Domino, Bartholomew)'51
2. Boogie Woogie Baby (Domino, Bartholomew)'50
3. How Long (Domino, Bartholomew)'51
4. Rose Mary (Domino, Bartholomew)'51
5. Fats Domino Blues (Domino, Bartholomew)'53
6. What's The Matter Baby (Domino, Bartholomew)'50
7. Stay Away (Domino, Bartholomew)'50
8. 9th Ward Blues (Domino, Bartholomew)'69
9. Hey Las Bas Boogie (Domino, Bartholomew)'50
 
 Fats Dominoは、特別な思い入れがある存在です。
 なぜなら、私にとって初めて聴いたリズム&ブルースのシンガーだからです。

 当時、キングから再発された1stアルバム、「ロック・アンド・ローリン」が、私とFatsとの出会いになりました。

 最初に聴いたときは、戸惑ったものです。
 アルバムは、"Ain't It a Shame"などロックンロール期の代表曲中心の選曲でしたが、A面1曲目に49年のFatsの1stシングル"The Fat Man"が収録されていたのです。
 この曲だけが雰囲気が違っていました。
 ほかの曲とは、リリース時期に3年から5年の違いがあったせいでしょう。

 このときの戸惑いは、ずっと後になって、マディ・ウォーターズの1st「ベスト・オブ…」を聴いたとき、デジャブとなって甦ることになります。 

 Fatsの1stアルバム"Rock and Rollin'"がリリースされたのは、56年のことでした。
 40年代から歌い続け、49年に最初のシングルを出していたFatsには、遅いアルバム・デビューです。

 でも、それはFatsに限ったことではありません。
 そのころのレコードは、ずっとシングルの時代だったからです。
 "Rock and Rollin'"は、1stアルバムではありましたが、それまでのキャリアを総括するようなベスト盤的な内容になっていたのでした。


 さて、今回のアルバムです。
 これは、Fatsの最初期のシングルからチョイスした編集盤になっています。

 どうも、"Rare Dominos Vol,1"、"Vol.2"という定評の高いレア・シングル集(もちろんLP)があるらしいんですが、当時、これの入手が困難になっていたことから、英国で編まれたレア音源集だったようです。

 このLPを初めて聴いたときは驚きました。
 収録曲は全て50年と51年リリースのシングルで、普段から親しんできたヒット曲とは、少し雰囲気が違うものばかりなのです。

 ここでのシングルたちは、一時代前のジャンプ・ブルースや、シティ・ブルースの匂いを残した曲が多いです。

 A2の"Sometimes I Wonder"とか、B3の"How Long"とか、ブルースの常套句で作られた曲がそこかしこに見受けられ、興味深いです。
 こういったブルージーなFatsもまた格別です。

 ブルースとしてはポップ、だけどFatsのR&Bとしては、かなりイナたい"RockIn' Chair"なんか、愛おしすぎます。
 また、"Boogie Woogie Baby"、"Hey Las Bas Boogie"(ヘイ・ラ・バ・ブギ)といった、この時期のブギがまた良いのです。
 ファンとしては堪りません。

 同様に、曲名にBluesと謳った曲や、"What's The Matter Baby"などのブルージーな味わいは、後の時代には少なくなったスタイルで、聞きのがせません。

 さらに、この時期、すでに"Rose Mary"のようなキラー・チューンが生まれているのも凄いです。
 この曲は、数年後の黄金時代を先取りしたような、突然変異的傑作でしょう。
 やはり、ファッツ・ドミノは、ルイ・ジョーダンと並ぶブラック・ミュージック界の偉人だと思います。
 
 なお、"9th Ward Blues"が69年とクレジットされていますが、これはおそらく69年リリースのLPで初お目見えした曲で、それまで未発表だったものだと思います。
 この曲は、53年の大傑作、"Prease Don't Leave Me"のプロトタイプだと思われ、ほぼ同内容の曲です。

 本アルバムの収録曲は、その"9th Ward Blues"を除いて、全て英AceのCD、Imperial Singlesシリーズで聴くことが出来ます。
 また、今年になって、"Rare Dominos Vol.1とVol.2が、英Beet Goes Onから2 in 1でリイシューされましたので、そちらで聴くのもありだと思います。

 今回は、久しぶりに、ファッツ・ドミノの歌世界に浸って、幸せな気分になりました。



Rose Maryです。




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