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ごきげん医師は 海賊の末裔

 今、北欧が面白い 
 全く個人的な思いですが、そう感じています。

 80年代、メジャーを離れたDoug Sahmは、北欧のレーベルの誘いを受け、自由な発想でアルバムをリリースしました。
 その作品は、適度にポップで、かつ適度にマニアックという、まさにファン感涙の絶妙なブレンドで創られていました。

 90年代後期以降のDave EdmundsやBilly Bremnerら、パブ・ロック系のアーティストもまた、似た状況をうかがうことができます。
 Sean Tylaもそうです。
 彼らは、なぜ北欧へ向かい、あるいは迎えられ、新たな活躍の場を得ることが出来たのでしょう。
 彼らが優れたアーティストであるのはもちろんですが、受け入れる土壌があったのだと思います。

 私好みのアーティストが、北欧で一定の成果を残している、このことは、私のかの国への愛着を育てました。
 そして、そこでの彼らの活動は、小さな歩みでも着実に芽吹き、今に続いている、そう感じます。

 そんな例のひとつ、新たな芽が今回のバンド、The Spellkastersです。
 
spellkasters1.jpg

Kastin' The Spell
The Spellkasters

1. Louise, Louise (Lasse Schill)
2. I Can Tell (Samuel Smith, {Ellas McDaniel})
3. Coming Home (Pete Edmunds)
4. Bad Blood and Voodoo (Pete Edmunds)
5. Casting My Spell (Edwin Johnson, Alvin Johnson)
6. Vodka Headed Woman (Pete Edmunds)
7. Going Back Home (Wilko Johnson, Mick Green)
8. Valley Girl (Pete Edmunds)
9. All Through The City (Wilko Johnson)
10. Rollin' and Tumblin' (McKinley Morganfield)
11. Ain't Getting Mad (Pete Edmunds)
Bonus Track
12. Don't Munchen It (Mick Green, Johnny Spence)
13. Gibson Martin Fender (Mick Green)

 本作は、今年14年にスウェーデンのAngel Air社からリリースされた、本バンドのデビュー・アルバムです。
 メンツは、以下のとおりです。

Pete Edmunds : lead vocals, guitar, harp
BJ Anders : bass, vocals
Romek Parol : drums, percussion

 ギター1本からなるロックンロール・トリオで、その音楽性は、The Pirates、Dr.Feelgood直系のハード・ロッキンR&Bです。
 曲目をご覧下さい。
 いかにもな、ナンバーが並んでいますよね。
 悪いはずがないですよね、楽しみましょう。
 以上。

 それで終わりたいところです。
 実際、理屈より、Don't Think, Feel It のバンドでしょう、

 ですが、本盤を聴いた私から、おせっかいなトリビアをいくつか紹介させてください。

 彼らは海賊の末裔です。
 (突然ですみません。)
 傍系かも知れませんが、正統性を主張できる材料もあります。
 なぜなら、リズム隊の二人、ベースのBJ・アンダース、ドラムスのロメック・パロルは、90年代にパイレーツの一員だったのです。

 (以下、未確認情報、推測を含みます。)

 彼らとMick Greenによる編成で、私の知る限りでも、2枚のアルバムを出しています。
 私の手元にあるアルバム、The Piratesの"Rock Bottom"(01年)と、"Land of The Blind"(99年)がそれです。
 なぜ、"Rock Bottom"を先に書いたかと言いますと、"Rock Bottom"は、録音が95年で、未確認ですが、フィンランドのレーベルから出された、"We've Been Thinkin'(96年)の再発ではないか、と私は考えているからです。
 (事実をご存知の方がいらっしゃったら、ご教示いただければ嬉しいです。)

 The Piratesは、Johnny Kid & The Piratesとして60年代半ばまで4人組で活動し、その後、70年代後半に、Mick Green(g)、Johnny Spence(b,vo)、Frank Farley(d)のトリオで再結成されました。
 そして、05年頃、病気引退したFrank FarleyからMike Robertsへとドラムスの交替はありましたが、10年のMick Greenの死をもって自然と活動停止するまで、Dr.Feelgoodの兄貴格として活躍していました。

 …と、私は深く考えずに思っていたのですが、実はそんな順風満帆な歴史ではなかったようなのです。

 Green、Spence、Farleyのトリオの最初の活動期は。どうやら76年から83年頃と、案外短いようです。
 その後、99年頃に再結成し、Farley→Robertsの交替はありましたが、Greenの死亡まで続いたのだと思います。
 では、83年頃から99年頃までの間、彼らはどうしていたのでしょう。

 私の知る限り、アルバムで判断できるのは、Mick Greenを核に別の編成でPiratesが活動していた、ということで、元のリズム隊については、よく分かりません。

 80年代後半からの数年間(?)は、Johnny Gustafson(b)、Geoff Britton(d)とMickのトリオでPiratesを名乗って活動していたのではないか、と思います。
 "Still Shakin'"というアルバムが、その時代を記録したものだと思います。
 (持っていないので、こういう表現にしています。)
 
 88年に来日した際は、ドラムスがLes Sampsonに代わっていましたが、"Live In Japan"としてアルバムが作られました。
 (私が持っている日本盤の裏ジャケ写真は、"Still Shakin'"のものを使いまわしているため、Geoff Brittonが写っています。)

 その後先述のとおり、90年代には、本盤のリズム隊で2枚のアルバムを創っています。
 "Rock Bottom"と"Land of The Blind"です。
 この間、これら2組以外にも、アルバムを残せなかったトリオがあるかも知れません。
 さらに、もしかすると、未知のメンバーと創った私の知らないアルバムがある可能性もあります。
 しかし、最終的には、Mick Green、Johnny Spence、Frank Farleyのトリオに帰結していくのでした。

 Mick Greenが亡くなったのは10年ですが、最後のオリジナル盤は、おそらく06年の"Skullduggery"ではないかと思います。
 Doctor's Orderが、Mick Greenをゲストにして創ったミニ・アルバム、"Cutthroat And Dangerous"は07年のリリースでした。
 そして、Johnny Spenceが、Johnny Spence & Doctor's Order名義の1枚目、"Full Throttle No Brakes"を出したのは09年です。
 これらから、Mick晩年の大まかな流れが見えてくる気がします。

spellkasters2.jpg


 さて、寄り道が長くなりました。
 海賊の末裔の意味を説明しようとして、こんなことになりました。
 
 本盤について、まず気になるのは、フロントマンのギタリスト、Pete Edmundsです。
 この人は、名前が英語風ですが、素直に英国人でいいのでしょうか。
 Wilkoの古くからの友人らしいです。
 突然現れたこの人、私は全く知らないので、過去のキャリアなど知りたいです。
 ギターのスタイルは、MickよりWilkoに近く、バンドもDr.Feelgoodに近いかも知れません。

 そして、ベーシストのBJ Andersですが、本盤のプロデュースをしています。
 また、バンドのワールド・ツアー(?)に併せ、本盤制作を最後に、バンドを脱退したということです。
 理由は、スタジオの運営や関連会社の経営に支障が出るからということらしいです。

 ここでまた、私の推測を述べさせてください。
 BJ Andersは、英語風の名乗りを使うためのステージ・ネームで、本名は、Bjorn Almquistというスウェーデン人ではないか。

 BJ Andersのファースト・ネームが、Bjorn(ビヨルン、若しくはビヨン)であることは、明かされていました。
 BJのJは、ミドルネームではなく、Bjornの短縮形の一部というわけです。

 Bjorn Almquistというのは、Piratesがスウェーデンで録音したアルバム、"Land of the Blind"のプロデューサーの名前です。
 つまり、プレイヤーとしてはBJ Andersという英語風の名前を使い、プロデューサーとしては本名を名乗って、使い分けしていたのではないかと考えたのです。
 今回のメンバー脱退、スタジオや会社運営への専念という事実が、私にこのような想像をさせました。

 さて、ようやく本盤の中身に触れたいと思います。
 "Rock Bottom"、"Land of the Blind"を聴かれた方は、あるいは予断を持たれるかも知れません。
 かの2作は、Piratesとしては少し変化球的なサウンドのアルバムでした。
 そこから、今作もそれに近いのではないか、と私も思いました。
 しかし、実際の音は、シンプルなDr.Feelgood、The Piratesのパブリック・イメージとおりのサウンドでした。
 これは喜ばしいです。

 1曲目の"Louise, Louise"から、かっこいいハード・ロッキンR&Bで痺れます。
 ちなみに、有名なルイ・ルイではなく、ルイーズ、ルイーズです。

 以下、Pete作のオリジナルを挟みつつく、Pirates、Feelgoodのカバーが、期待どおりのビートを展開してゆきます。
 今の私の気分では、"All Through The City"が一番のお気に入りです。
 Peteのオリジナルに、もう少し魅力的なフックが加えられたら、さらに飛躍できるバンドじゃないかと思いました。

 当分は、引き続き北欧に注目します。

 PS
 本盤には、以下のような謝辞が記されています。
 
 Inspired by Wilko、Lee、Gypie and Stevie
 This album is dedicated to Mick Green
(Gordon Russellの名前がないのが(私は)解せませんが…。)


Castin' My Spell
(Kastin' My Spell On You)
by The Spellkasters

 

'ウィルコ歩き'まで真似してる?


Louise Louise
by The Spellkasters




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