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悲しい知らせに 空が泣いた

 今回は初物です。
 私は、こののバンドについて、ほとんど知識がありません。
 本盤は、11年にリリースされたもので、このバンドのおそらくは最新作だと思われます。

 フロント・マンのRick Broussardは、姓がケイジャンぽく、実際ルイジアナの出身なのかも知れませんが確認できていません。
 ただ、バンドの活動拠点はオースチンらしく、本盤の録音も同地で行われています。
 
 ジャケット・イラストの中央には、ローン・スターが描かれており、多分、テキサスのバンドなのだと思います。


Come And Take It
Rick Broussard's Two Hoots And A Holler

1. I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died (Rick Broussard)
2. Me Not Calling (Rick Broussard)
3. If Nothing Changes (Rick Broussard)
4. Go Ahead and Cry (Rick Broussard)
5. Come and Take It (Rick Broussard)
6. Broussard Ballad (Rick Broussard)
7. Times They Are a Changin' (Bob Dylan) 
8. Every Bit as Proud (Kevin Hinks) 
9. Nothing at All (James Fildes, Rick Broussard)
10. Three Times for Jonny Minge (Rick Broussard)
11. Love Me Truly (Rick Broussard)
12. Over My Head in Blue (Rick Broussard)
13. Halden (is a Hell Raisin' Town) (Rick Broussard)

 私が、本盤に注目したのは、全て1曲目が理由です。
 Doug Sahmの名前を盛り込んだ曲名に、私の全監視システムが反応したのでした。

 "I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died"
 「ダグ・サームが亡くなった日 ぼくは泣き続けた」

 うーん、はっきりと大きな釣り針が見えますが、喰いつかずにはいられません。
 この曲については後述します。

 まず、バンドの印象を中心に本盤の概略をご紹介します。
 バンド構成ですが、以下のとおりで、ギター2本、ベース、ドラムスからなる4人編成のギター・バンドです。  

Rick Broussard : lead vocals, guitar, mandolin, harmonica
Matt Brooks : lead guitar, harmony vocals, (bass on "Love Me Truly")
Brendon Biglow : bass(electric and standup), gang vocals
Eric C. Hughes : drums, percussions, gang vocals

 ただし、実際に音を聴くと分かりますが、本盤では多くのサポート・メンが参加しており、ゲストのサウンド抜きには語れない仕上がりになっています。
 サポート・メンのうち、特に重要と思われるメンツは、以下のとおりです。

Sean Orr : fiddle
Basil McJagger : keybaod
Bradley Williams : accordion. bajo sexto on "I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died"
Johnny X. Reed : guitar(el. and gut) on "I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died"
Jonathan Milton : penny whistle on "Times They Are a Changin'"
Mike Hardwick : steel guitar

 とりわけ、フィドルは、ほとんどの曲で活躍していて、その次がスチール・ギターでしょうか。

 裏ジャケの写真をご覧ください。
 ギターを構えてジャンプする躍動感あふれる写真から、私は当初、80年代のスプリングスティーンのようなアメリカン・ロックかと思いました。


 
 しかし、音を聴くと全く違いました。
 エレキ・ギターを中心とした編成ではありますが、受ける印象は、かなりアンプラグドなサウンドです。

 Rick Broussardの担当楽器を再度ご覧ください。
 マンドリンとハーモニカに注目です。
 ベーシストのBrendon Biglowは、スタンダップ・ベースも併用しつつ、エレキ・ベースではメロディックなプレイをしています。
 また、リード・ギターのMatt Brooksが、見事なユーティリティ・ギターリストで、アコギ、エレキともにセンスのあるフレーズを聴かせています。

 そして、繰り返しになりますが、サポート・メンのフィドル、スチール、アコーディオンなどが、本盤では欠かせない存在となっています。

 サウンドの構成は、アコースティックで軽快なスタイルのカントリー・ロック調のものと、トワンギーなエレキ・ギター・リフ、もしくはエレキ・ベースのランが魅力的な、ロッキン・カントリー調のものに大別されます。

 曲調は、カントリー調のファスト・スタイルがメインですが、そこにフォーク調やロッカ・バラード風のミディアム・スローを交えたものが加わり、いい感じのアクセントになっています。

 注目曲をいくつかご紹介します。

2. Me Not Calling   
12. Over My Head in Blue

 "Me Not Calling"は、フィドル、スチールが大らかな調べを奏でる、軽快なウエスタン・スイングで私の好みです。
 一方、"Over My Head in Blue"は、マンドリンのトレモロ・ソロが印象的なカントリー・ロックでこれもよいです。

3. If Nothing Changes
7. Times They Are a Changin'

 この2曲は、ともに疾走系のロックンロール・スタイルで演奏されています。
 "If Nothing Changes"は、バー・バンド系の楽しいロックンロールで、ウキウキ感満載の良曲です。

 そして、ディランのプロテスト・フォークの名作、"Times They Are a Changin'"が、何といっても聴きものです。
 ブレスレスかと思わせる忙しいボーカル、ドライヴするフィドル、ロッキン・ギター・ソロ、ハーモニカ、口笛(?)、そしてガッツ溢れる「ワン、ツー、スリー」のカウント・コールなど、性急感たっぷりの疾走系アレンジが新鮮です。
 (Penny Whistleというのは、例えば、硬貨を使った「草笛」のようなものでしょうか?)

5. Come and Take It
10. Three Times for Jonny Minge

 この2曲は、打って変わってダンス・ロックになっていて、どこかブリティッシュな香りもする、パンキーなファスト・ナンバーです。

4. Go Ahead and Cry
9. Nothing at All

 そして、この2曲は、アルバムのアクセントとなっているバラードです。
 "Go Ahead and Cry"でのギター・アルペジオ、ロッカ・バラード"Nothing at All"でのトワンギーなオブリが耳に残ります。

 さて、最後に、"I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died"について、触れましょう。
 ミディアム・スローのナンバーで、アコーディオンの伴奏が強く印象に残る曲です。
 そこに、フィドル、スチール・ギターの美しい調べを交え、大らかなテキサスを感じさせるアレンジです。
 ここに、ピーピー鳴るオルガンがあれば、Doug Sahm讃歌としては完璧かな、と思ったりしました。
 でも、レクイエムとして、あえて能天気さを連想させる要素は排除したのかも知れません。

 歌詞は、Doug Sahmのレパートリーの曲名、"Beautiful Texas Sunshine"、"She's About a Mover"、"Mendocino"、"Rains Came"(以上登場順)が盛り込まれているのですが、いまいちよく理解できません。
 あるいは、これらの曲名を入れたり、さらに韻を踏ませたりするため、強引な歌詞になっているのかも知れません。
 以下に、文末で韻を踏ませていると思われる歌詞を、3例ほど抜書きします。

He was son of San Antone and a big hero of mine.
I can still see him prowling across the stage in the beautiful Texas sunshine.

In 1968, Doug made the cover of the Rolling Stone.
And then he hit with Mendocino and headed back to San Antone.

We could sure use a cat like that today.
That would speak his mind every time and still mean what he'd sey.

 ふたつめの一節の意味が気になります。
 これは、「1968年にダグ・サームがローリング・ストーン誌の表紙を飾った」と言っているのでしょうか?
 Sir Douglas Quintetが、サンフランシスコへ進出し、最初のメジャー・アルバムを出したのが68年でした。
 でも、あまり評判になったとは思えません。
 シングルがヒットしたのなら分かりますが、この当時のヒットらしいヒットは"Mendocino"くらいしかなく、これは翌69年のことでした。

 まあ、大したことは歌っていないと思います。
 大意としては、こんな感じでしょうか。

 彼は サンアントニオの誇り ぼくのヒーローだった
 テキサスの美しい陽射しのなか 今でも彼がステージを歩む姿が見える(Beautiful Texas Sunshine)
 彼のニュースを聞いたとき 雨が降ってきた(Rains Came)
 ダグ・サームが亡くなった日 ぼくは泣き続けた

 何気に、この曲のサポート・メンバーとして、Johnny X. Reedの名前がクレジットされているのが嬉しいです。
 John X. Reedは、元Freda and Firedogsのギタリストで、その解散後は、一時、Doug Sahmと行動を共にしていた人です。
 (Sir Douglas Quintetが70年代に行った、アルマディロ・ヘッドクォーターでの同窓会的ライヴに参加したため、幸運にもCDに記録されました。)

 もともとは、"I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died"のみに関心があったのですが、通して聴いてみて、本盤がかなり気に入りました。

 ウエスタン・スイングあり、ロッキン・カントリーあり、トラッド・フォーク調あり、さらにグラス・カントリー風味までありで、(意外性も加味されて)美味しいアルバムです。
 



I Cried and Cried the Day Doug Sahm Died by Two Hoots and a Holler


このステージでは、アコーディオンが参加してないので
その分、フィドルとリード・ギターががんばっています。



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