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眠れる巨人が眠る前

 ジーン・テイラーの新譜を聴いてから、カバー曲のアーティストが気になりだしました。
 中でも、Johnny Guitar Watsonと、Lowell Fulsonが気になったため、手持ちのCDを引っ張り出してきました。

 今回は、フルスンの古い音源を集めたアルバムで、04年に英国のProperから出されたものです。

Juke Box Shuffle
Lowell Fulson

1. Three O'Clock Blues
2. River Blues, Pt. 1
3. River Blues, Pt. 2
4. Crying Blues
5. Crying Won't Make Me Stay
6. Trouble Blues
7. I Want to See My Baby
8. Black Widow Spider Blues
9. Don't Be So Evil
10. Night and Day
11. Double Trouble Blues
12. Ain't Nobody's Business
13. Everyday I Have the Blues
14. Cold Hearted Woman
15. Mama Bring Your Clothes Back Home
16. Back Home Blues Listen
17. Baby Won't You Jump With Me
18. Blue Shadows
19. Rainy Day
20. Sinner's Prayer
21. Let's Live Right
22. Guitar Shuffle
23. Upstairs
24. Juke Box Shuffle
25. Blues Never Fail
26. You've Gotta Reap


 ジーン・テイラーがやったLet Me Ride In Your Automobileは、こちらの収録曲よりあとの録音で、ここに入っている曲は、40年代後半から50年代始めあたりの吹き込みになります。

 Let Me Ride In Your Automobileは、古いリズム・アンド・ブルースという感じを受けましたが、言い換えれば黎明期のリズム・アンド・ブルースともいうべきものでした。

 こちらの収録曲は、さらに古いですが、フルスンの都会的な感覚が、モダンな印象を与える、味のある録音群になっています。

 ほとんどが、LAやサンフランシスコ録音で、最後の2曲のみニューオリンズ録音です。
 ウエスト・コーストのイメージが強いフルスンですが、この時期に南部録音もあったのでした。
 のちに、シカゴで録音したりもしています。

 まず、曲目リストを見て思うのは、ビッグ・ブルースをやっているなあ、という感想だと思います。
 例えば、Three O'Clock BluesTrouble BluesAin't Nobody's BusinessEveryday I Have the Bluesなどがそうです。

 特に、Three O'Clock BluesEveryday I Have the Bluesは、B.B.Kingを代表する有名ブルースです。

 Three O'Clock Bluesは、B.B.の初のNo.1ヒットで、代名詞的な曲です。
 そして、Everyday I Have the Bluesは、しばしばB.B.のコンサートのオープニングで使われていた、これまた代表曲です。

 しかし、実はこの2曲とも、フルスン盤が先で、おそらくはB.B.のお手本になったものだと思われます。

 Everyday I Have the Bluesは、49年にメンフィス・スリム盤があり、それを受けて同年にフルスンが録音したものだと思われますが、スリムがピアニストであることから、ギター・ブルースとしては、やはりこちらの影響力が大きいのではないかと思われます。

 B.B.は、フルスンをしばしば「眠れる巨人」を呼び、先輩への敬意を表していました。

 音を聴いて驚くのは、そのモダンさです。
 46年録音のThree O'Clock Bluesを含む冒頭の3曲は、ギター・デュオによるシンプルな編成の吹き込みですが、ダウンホームさよりも、都会的なセンスを感じます。

 その後のピアノをフィーチャーした曲になると、モダンさは当然増幅され、チャールズ・ブラウンを連想させたりもします。

 この時期のフルスンのギターは、B.B.のようなチョーキング・ビブラートを期待すると、肩すかしをくわされます。

 小粋ではありますが、泣いても、むせいでもいません。
 まだまだ、ジャジーで、T-ボーンの影響大のフレーズと、ナチュラルなトーンで迫ってきます。

 ブルースをメロウにし、現在のパブリック・イメージを作ったのは、やはりB.B.Kingなのでした。
 
 Ain't Nobody's Businessのみ、ジェイ・マクシャンの楽団と吹き込んでおり、興味深いです。
 
 Everyday I Have the Blues以下の曲になると、Lloyd Glennがピアノで参加して、さらにサウンドが都会的になります。
 49年のことですが、これはグレンがどうこうより、時代の流れかも知れません。

 このころは、フルスン楽団なのか、グレン楽団なのか判然としなくなりますが、コロコロと気持ちよく転がるピアノに乗せて歌われる、Cold Hearted Womanでは、フルスンのギターが、まんまT-ボーンと言ったフレーズを弾きまくり、彼のメイン・インフルエンスが何なのか教えてくれます。

 フルスンは、ほとんど自作の人ですが、初期の代表曲のひとつで、No.1ヒットのBlue Shadowsは、グレンの作品です。
 ロイド・グレンがフルスンに与えた影響は少なくないと思われます。

 50年吹き込みのSinner's Prayerは自作ですが、のちにレイ・チャールズが、アトランティックでカバーしています。
 Lord, Have Marcy On Meのリフレンが耳に残ります。

 51年録音のGuitar Shuffleでは、再びT-ボーン・スタイルで、軽快に跳ねるフルスンのギターがかっこいいです。
 
 全体を聴き通してみて、その芳醇な魅力に酔わされます。
 出来れば、録音データを横目に見ながら、音の変化を楽しみながら聴くのが良いと思います。

 フルスンには、ブルースの巨人として、シリアスなイメージがありますが、ディープ・ブルースではなく、充分にリズム・アンド・ブルース的な人だと改めて認識しました。

 最後の53年のニューオリンズ録音は、マクシャン楽団以来のビッグ・バンド仕様での録音ですが、基本はロイド・グレン楽団なので、さほどの音の違いは感じられません。
 それよりも、フルスンのギターが、B.B.を連想させるような音になってきているような気がします。

 B.B.がThree O'Clock Bluesで初のNo.1ヒットを出したのは、51年のことでした。
 その影響力は、先輩も無視できなくなっていたのだと思います。

 フルスンが、ダグ・サームもカバーした名曲、Reconsider Babyをチェッカーからリリースしたのは、54年のことでした。
 録音は。このアルバム収録曲のすぐあとくらいかも知れません。 







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