2012年10月26日

TOSHIBA dynabook TX/65F 電源が突然落ちてしまうという不具合の修理

機種は東芝 dynabook TX/65F。症状は突然電源が落ちてしまうというものです。



落ちるタイミングが毎回違う為、ハード的なものの可能性が高いと判断しました。


まず最初に一番疑われる「熱」を検証してみることにしました。
ファン周りをエアーダスターで丹念に掃除した後、冷却台を使って起動するも、
起動後わずか30秒程で突然のシャットダウン、再起動。


排気口から熱もちゃんと排出しており、特にヒートシンクに熱が
伝わっていない症状はみられなかった。
おおよそ熱ではないと判断し、メモリテストを行いました。


「memtest+」を走らせ3時間程放置しましたがエラーは検出されませんでした。


メモリテストを行っている間に、ハードディスクを「CrystalDiskInfo」にてチェックをしましたが、
こちらもエラーは検出せず。念のため、新品のハードディスクに交換後、
リカバリをかけようと試みましたが、開始3分程のディスク読み込み中にシャットダウン。
これでハードディスクの線も消えました。



光学ドライブの可能性を考え、他のドライブに交換して読み込ませるも
シャットダウンは起こりました。


持ち込まれたパソコンは何故か、ACアダプタが純正ではなく、
Buffalo製のものでした。表記上ちゃんと対応しているものでしたが、
念のために電圧チェッカーでACアダプタを調べてみる事にしました。


なんとここで少し異変が見受けられたのです。
通常19Vで安定しているはずのものが、一瞬急激に電圧が下がる事が
あったのです。


固定していたピンが動いた事でそのようになったのかもしれないと思い、
何度かチェックをしていたら同じような症状が確認出来なくなってしまい、
修理チェック用の別のACアダプタでチェックを行うことにしました。


別のACアダプタでも症状が出てしまった為、ここでACアダプタが
原因である線を消しました。


以前に中にちいさなネジが入り込んでいてショートしている不具合があったので、
ノートパソコンを軽く振って異物が入っていないか調べたりもしましたが、
その様子もありませんでした。


最後にキーボード部を取り外し、検証をしましたがこれまた症状は改善せず。



ここまでの検証でマザーボードが原因である事を疑う余地が無くなってしまいました。
シャットダウンしてしまう症状が出る瞬間は、PCに高負荷がかかっている時でしたので、
電源系統のコンデンサに問題があるのではないかと推測しました。


一番やっかいな場所なので、同じような症例がないか
ダメもとでネットで検索をかけてみることにしました。
検索はgoogleで「dynabook TX/65F 電源が落ちる」。


そうすると・・・大量。同じような症状で質問をしている人や、
オークションでジャンクとして出品している同機種が山ほど。


どうやらこの機種特有の不具合で、ブロードライザという部品が
劣化して起こっているようです。


この「ブロードライザ」という部品。いったいどういう物か調べてみました。
「ノートパソコンのCPU用デカップリングキャパシタとして採用」
「電圧を安定化させてノイズを抑制する」とあります。


コンデンサの役目をするもので広い帯域において低インピーダンスであり、
薄型である特性を持つ高性能な部品という解釈を勝手にしました。


もしご自身で交換される場合は、「NEC TOKIN OE907 ブロードライザ」を
ヤフーオークションで落札して交換するのがよいかと思います。


細部までの分解とハンダ付けの知識が必要になりますので、
それなりの覚悟が必要かと思います。
時間にして3〜5時間。部品代は600円〜800円程度。


この案件、自分、もしくは友人のパソコンであれば間違いなく
交換修理をしています。面白そうですし、何と言っても部品代も安いですから。


しかしながら、お客さんのパソコンとなるとそうはいきません。理由は2つあります。


1つ目は電圧を安定させる部品が故障していたという事です。
昔はマザーボード修理でコンデンサ交換はよく行う修理でした。


しかしある時「パソコンが勝手にシャットダウンしてしまう」という症状の
パソコンのマザーボードのコンデンサ交換修理を行った直後、
またすぐに電源BOXが故障してしまった事がありました。


調べてみると、電源BOX内のコンデンサが破裂していました。
先に劣化していたのか、後に劣化したものかは分かりませんが、
他にも修理後、間もなく故障してしまった事例が少なからずありました。


お金を払って修理をしてもすぐに使えなくなるのであれば、
修理する意味がありません。


それ以来、お客さんのパソコンのコンデンサ交換は特別な時以外は
行っていません。特別な場合とは、そのパソコンでないと
処理できない仕事がある時や、説明を納得されてから修理する時です。


電圧が不安定な状況で長く使うと、他の部品の劣化を早めます。
先ほどの検証でACアダプターが純正でなくBuffalo製だったのは、
この「ブロードライザ」という部品が劣化したことでACアダプタが故障してしまい、
交換したものであるかもしれません。


また交換したBuffalo製のACアダプタに異常な兆候が見られたのも、
この為かと思います。


このように修理しても他の部品が劣化している可能性が高い故障の場合、
長くは使えないケースが多いのです。


交換したBuffalo製のACアダプタも劣化している可能性が高く、
しばらく使っていると再度交換しなければいけないかもしれません。


2つ目は修理代金の算出です。
部品交換作業代金のみで1万円以上は頂くことになります。
さらに今回はリカバリ作業も行わなければなりません。


「ブロードライザ」の部品代はいいとして、異常の見受けられたACアダプタを
また変えるとなると、お客さんにとって修理代合計は結構な額になってしまいます。


もし自分がこのパソコンの所有者で状態を知っていて、どのような修理を行うか
分かっていたら、お金を払ってまでは絶対に依頼はしません。


修理見積額は伝えていませんが、お客さんに状態を伝えましたら、
買いなおされると判断されました。


時間をかけて、修理をしない事を勧めていては、商売にならないかもしれません。
買い替えのパソコンを販売している訳でもありません。


しかし、今回の案件はこれが最善であったと今でも思っています。






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