うちのネネはすぐ逃げる。
だから家を留守にする時は、
閉塞空間にネネを閉じ込める。
閉塞空間と言っても、
境なしの八畳間二つと、
四畳半、2畳スペースの廊下付きなので、
結構広い。
片方の廊下には食事と飲み物が用意され、
もう片方には清潔なトイレが付いている。
なぜ逃亡を阻止するかと言えば、
とんでもないイタズラをするからだ。
自由にして置いては安心して仕事など出来ない。
だから自分の部屋化としている居間を、
ネネの居住地としている。
今日も出掛ける前にその準備をしていたら、
ちょっとしたスキに逃げた。
「しまった、もう時間がないのに」
ネネは悠々と階段を掛け登り、
2階へと向かった。
登り口の踊り場で、
「部屋、閉めちゃうからね。
もう部屋には入れないからね!」
と言い聞かせたが、
ネネはじっと2階の踊り場から
こちらを見ていて動かない。
ちょっと大きめの音を立てながら
居間のガラス障子を閉めるが、
ネネは一向に下りる素振りを見せない。
仕方なく玄関で靴を履き出掛けようとすると、
ネネが目の前に姿を現した。
こちらをじっと見て一声、
「ニャァ?」(解ったから開けてよ、ねえぇ?)
「なに? 入りたいの?」
ガラス障子を少し開け、
「入るんなら早く入んな、
時間が無いんだから、早くぅ!」
と声を掛けると、
「ニャ」と言いながら、(はいはい)
ゆっくりと部屋に入っていった。
やれやれ、と言う気持ちで玄関に鍵を掛け、
そして仕事へと向かったが。
これって、普通の会話じゃねぇ?
いつしかネネは人間に変身するのであった。
てな訳ないか!(^^;
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