小説レビュー「僕らの国」ネタばれ無し

震災前に書かれた地震ネタ小説。地震というよりファンタジーサバイバル小説。現実の震災を体験した身にはありえない話に感じられるが、その辺を「フィクションだもんね」と受け入れられる人が読みましょう。純文学系の書棚にあっても中身はライトノベルです。擬音が多い。
個人的評価は★3,6

僕らの国


佐神 良


やっと辿りついた四冊目。四冊目っていうのは読み終わったけどレビューしてないでいる本が全四冊あって、その最後に辿りついたという晴れがましい名称なのでございます。

でもレビューをがんばっている間にさらにもう一冊読み終わっちまったぜ、くっ、というわけでレビュー待ち本はあと一冊あります。タイトルは「イラハイ」です。以後よろしく。

こちら、内容的にはライトノベルです。評判いいから純文学系だと思っていたために、私にはつっこみどころ満載な本となりました。なのにレビューしないでいるうちに何につっこんでいたのか忘れてしまった、レビューにとっては試練の本。

これからは感想をフセンに書いて張り付けるようにしよう、と決心した火曜日の朝、晴れ、ちょっと現実逃避したい心模様。

現実に向き合いましょう。本題行きます。

つっこみどころ その1

・擬音使いすぎじゃあああ!

草をかきわけて何かが近づいてくる気配を「ざざざ」と「ザザザ」の擬音の量で表現するのはいかがなものか!
擬音で表現すると簡単なものを、あえて文章で表現するからこそ小説が小説としての存在感を放つというか、文章が極上のものになっていくっていうか、おいしいっていうか、読みたいっていうか、良いんじゃないか!

絵本ならいいんだよ、絵本なら、絵との相乗効果で良い感じですとも。
ライトノベルもいいんだよ、ライトノベルも、あれは絵本やマンガ読みから小説読みへ脱皮していく中間地点にあるものだと思うから。
でも1600円の単行本ではやめてくれ。

私は中古で買ったから金銭的には損した気にはならなかったけれども
単行本だし、ラノベ出版社じゃないし、登録しているメルマガさんの関係者でメルマガさんが期待の新人とか言ってたからつい内容まで期待してしまったじゃないか!
とんだ前フリだよ。
ハードル高すぎたよ。
作者さん可哀想だよ。

つっこみどころ その2
・登場人物がキャラクターしてる。

しかし終盤では登場人物と呼べる感じになりました。
キャラクターしてるというのは、話し言葉も、性格も、行動も、どこかのサバイバルマンガやライトノベルで見たことあるような感じで「人物」と呼ぶことはできない「キャラクター」でしかない、という意味です。
これがライトノベルたらしめている要因のひとつであると思います。

でも終盤では「がんばるぞ」という人間らしい気慨といいますか、人間らしい心理があって、良かったです。
おかげで私の中では「読み始めは最悪だったけど読み終わってみると面白かった本」になりました。

終盤の面白さの原因は他にもある気がしないでもないのですが、読み返すの嫌だからパスさせてください。
とりあえず作者さんが「よくある話で終わりたくない」とがんばっているのが感じられて好感が持てました。

なにより、反逆児が素敵。
自分が反逆体質だからか、こういう人がいると安心します。やはり独裁には反抗しないとね!

反逆児の相棒の茶色い獣がさらに素敵。
茶色い奴がもう、最後にやってくれましたよ。最高だよ。一途だよ。
つい泣いちゃったよ。
これだから獣は最高だ。

キャラクターも「勝手に動いている」と呼べるような、生き生きとしたエネルギーを感じました。
主人公もずーーっと存在感ゼロだったのに、ちゃんと主人公になりました。よかったよかった。
もう読みたくないけれど。

他のレビューさんで、低評価の人が見当たらないのが不思議だ。
ラノベ読者しか読んでいないのだろうか。
一般文芸読者は手にも取らない本なのかもしれない・・・最初の数ページでラノベラノベしているのが分かりますから。見る目のある人は本棚に戻すわ。

つっこみどころ その3
・中二病

困った。中二病って言葉は便利だ。
中二病と言うのは、なんといいますか
身の程を知らずに格好つけようとして、カッコイイ何かを真似したは良いけれど、身の程にあっていないので、服に着られている現象が起き、むしろダサい。
というようなのが中二病だと思います。

そんな感じで「ぎやあああ」と身もだえたくなるような、可哀想な恥ずかしいものがあります。
救いなのは、登場後しばらくは中二病としか思えない設定にもちゃんとした「理由」があるので、納得できることです。
これが、読み終わったら面白い、と呼べる理由の一つですね。

つっこみどころ その4

・地の文もまだまだライトノベル。

比喩とかないし
これ無くていいな、という文がちょくちょくあるし、美味しい文章とは呼べないなぁと思いました。

地震発生時の状況とか、もっとハラハラするように書いて欲しかった。
ていうかいっそのこと、最初の施設紹介をカットして、徐々に明らかにした方が面白かったんじゃないかなぁ。そうすれば地震発生時の文章も増やす余裕が出てくるだろうし。

他のレビューさんにいたっては、むしろ異世界ファンタジーにすればよかったじゃん、とまで言われるほどで
「日本」と「地震」が存在意義を失っています。

しかしこれはまぁ、先の3つに比べたら、どうでもいいっちゃどうでもいい。
作者の力不足だな、で片付けられる。

これでつっこみは終わりですかね。
3つのポイントが強烈すぎて、つっこみどころも数にしてみると少ないですね。

ではでは、良い所!

・先が気になる!
とさせるのが上手い。
謎なことが一つ出てきて、それが解決されて、そうかぁと納得したのに
気付いたら他にも気になる謎を抱えていて、読み進まずにはいられなくなります。

文章がつっこみどころ満載で、もう読みたくない! と思っているのに
「気になる! 気になるんだよ!」
とついつい読み進めてしまって、なかなか手を止めるチャンスを見つけられませんでした。
もう寝なきゃいけない時間になって、しぶしぶ読むのを止めるという具合。

だからストーリーテリング力というのかな、読者を話に引き込むという意味では、良い本だなぁと思います。
他のレビューさんでも、読む手を止められなかった、とあってそれが高評価の理由にされています。
この力は強力です。

・意外性がある
読者にとってはどうでもよいけど、言われてみると謎だよなぁ、知りたいよなぁ、ということが丁寧に物語られるので、意外な真相だという感慨深い気分を味わえます。

・・・・・良い所、そんなものかな。
数にすると少ないけれど、質にすると欠点を補って余りある長所です。
★が3,6評価なのも、これらのおかげ。

ちなみに3,5でなく中途半端な6なのは

3,5は、長所が強いけどまだ欠点が気になる、という感覚なんですが
この本は「技術がないけどこんな話を描きたいんだ!」という作者の熱意や勢いが感じられて、つい0,1を上乗せした感じ。

長所が量より質と感じられるのも、この熱意の為でしょうね。

「僕らの国」というタイトルの意味は、日本という国よりも、物語に出てくるキャラ達が暮らす地域のことを指して「僕らの」国としているのだと思います。
日本という国家の話題が主役になることはありません。

個人的な感想としては
この本は色々な教育方針についての実験小説で
読者に、あなたはどの教育方針が正しいと思いますか。と問いかけるような感じなんですが

私は今も昔も、一人一人の才能を伸ばし、一人一人の才能を認めあえる人間関係を学ぶことが最善と思うので、どれにもあてはまりませんでした。

自主性を育てるのも大事だけれど、先人が生きて学んだ技術を教えることも必要。

かといって指導するばかりで自主性を封じれば、新しい発見をするのは難しくなる。

勉強で知らないことを知ることは大事だけれど、何が起きるか分からない大自然の中で遊ばせて、予定外のことも受け入れられる慣れとかも必要で
どちらか一方ばかりの子供には、たまに別の環境に連れていくのも大人の役目だと思う。

つまるところ、大人は関わりすぎてもいけないし、関わらなすぎてもいけない。
教育においても、中庸を心がけることが大事なんじゃないでしょうか。

という、自分の考えは変わらず、それを補強した読書となりました。

それから、この教育ネタが、先に言ったメルマガさんでよく取り上げられるネタなので
作者さん影響受けすぎだろ、と思ったりなんだり。

というか出版当時の年齢が39歳と知って驚きました。
次にレビューする予定の「イラハイ」の作者さんは受賞当時33歳で、レベルが格段に上だから、人間って年齢じゃないんだなぁとつくづく思った。

しかもあのメルマガの関係者でこの内容ということは、39歳になるまで現代教育の悪影響を引きずっていたのだろうなと、色々思うところが・・・。

早稲田出身だから、今時の教育の不備を疑わずにいっぱい努力していたんだろうな・・・ああ、切ない。がんばれ。

まとめ
イタいけど読み終わると面白いサバイバル小説です。
完成度の高いライトノベルが読みたい方はぜひ。

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ない!


あなたの読書に、とめられない楽しさがありますように。

ライトノベル「彩雲国物語」レビュー・ネタばれ無し

中華風ファンタジー。恋愛小説。逆ハーレム小説。NHKでアニメ化しました。表紙が綺麗。
個人的評価は★3,5

彩雲国物語

雪乃 紗衣


今ほどレビューが面倒だと思ったことはな・・・くないか、よくがんばった私。
なんといいますか、この小説、他のレビューさん読んでたら言いたいことほとんど書いてあって満足しました。そうしたら何を思っていたのか思い出せなくなってきたのです困ったものです。
そんななので★評価もなんか確信ないけど許して。

とりあえず、注意点から思い出してみます。
えーと、逆ハーレムなので「シングル男性がよってたかって同じ女性ばかり好きになるわけあるかい!」というつっこみを入れたくなる方は、続巻は読まない方が賢明かと。
私が読んだ最初の巻は、主人公にあからさまに好意的なのは一人が中心なので、気になりませんでした。

でも私アニメをたまに見たことあったんですが、段々なんか色々つっこみたくなって、うずうずイライラしたので、見なくなりました。
他のレビューさんを読んだら、この人だけは友達でいてくれ、というような男性も結局は恋愛感情を持っていたとかいうのがあってガックリしたというのがありまして、男女に友情は存在しないという覚悟が必要ですね。

作者さんがそういうの好きってことだろうから、全ての人に愛されたい願望のある人というか、作者さんと感性が同じ人にはたまらないのだろうと思う。

全ての人に愛されたいにつづいて、全ての人に実力を認められたい願望というか、
主人公の功績がやたらすごそうに言われて「もっと良策があっただろうが!」というつっこみを入れたくなる人には苦難の読書となるでしょう。
あと「気付け! 気付いてやってくれ!」と鈍感主人公につっこみたくなる方にも向かないね。

そして最終巻にいたっては、なんかもうつっこみどころ満載なようなので、作者さんが政略は苦手でいっぱいいっぱいだったんじゃないかと、ファンに言われる始末。指摘されている内容を想像しただけで、私はつっこみたい心がうずうずうずうずいたしました。

とりあえず、日本の憲法九条の影響受けすぎな結末です。
説得力のある何かがあれば最高だったんでしょうが、ただ「平和じゃないとだめなの!」というようなかたくなさでの強行は小説としては三流だと思いました。
読者を洗脳しちゃうような説得力のある話なら読みたかったなぁ。

話もどって第一巻
おじいさん方の展開がわけわかんない。
小説で読もうと思ったのも、マンガとアニメじゃこれが理解できなかったからで、あとは映像で見ていたものが文字だとどう表現されているんだろうという興味で読んだんですが。アニメのが数枚上手だったようです。
おじいさんの話は、アニメとマンガより理解できました。理解できたからこそわけわかんない。
こじつけがましいというか、妄想がましいというか、別にこの展開なくて良いんじゃないかと・・・普通に終わって良かったんじゃないかと。

そういえば今後の展開でも、わけわかんない人とか話とかあり、ファンの人にさえ、あの人の存在は作者にしか理解できないとか言われてたので、読むときは謎があったら片目つむって読むという心構えでいるといいようです。

あ、そういえば「十二国記」を好きな人にこれをすすめる人が多いらしいですが
十二国記とかぶっているのは「中華」であることと「主上」という言い方くらいなので、やめたほうがいい。
十二国記の中華なところやキャラの面白さが好きで、それを求めているなら良いと思いますが

十二国記が好きな人はたぶん、ハードファンタジーと呼べる文句のつけようのないほどに重厚な世界観と、非情なほどに現実的で悪人の心理がリアルな人間模様が好きなんだと思うんで、作品の方向性が違う。
ていうか十二国記は恋愛なんてレの字くらいしかないし。
もし憲法九条のような結論が出てくる場面があったら、絶対に納得する理由があるし。

十二国記が好きな人は、守り人シリーズを読んだ方が良いですよ。ハードファンタジーで、非情な現実と、それに立ち向かう人が魅力的なファンタジーだから。あとは「ハードファンタジー小説」で調べると良いの見つかるかも。

では良い所

ほのぼのします。
へたくそな政略とかやらないで、ほのぼのと暮らす一話完結型か数話完結型ストーリーにしたほうが良かったと思う。

そして、女の子はときめきます。
恋愛はその後どう発展をしていったのか詳しくは知りませんが、この作品は女の子のときめきポイントは的確に突いてくるのが上手いと思います。
ほのぼの恋愛小説ですすめばよかったんだよ、もったいない。

あと私がこの話に一番はまったのは、マンガで読んだ時だったんですが。絵がうまい。こう、乙女のつぼを突いてくるのが上手。
ファンの方も言っていましたが、この絵の力によるところは大きいと思います。
ただし小説の挿絵だと書き込みがそれほどでもないんだけれども。カメラアングルとか、ときめきの表情とか上手いから十分かと。

そして何より、キャラですね。
それぞれに我が道を行き、個性的な魅力のある、素敵な人たちです。
そんな人たちの会話はコミカルで楽しい。
キャラクターの持つ力は、作品の欠点をおおいに消し去るものだと思うので、この存在は大きいです。

そんなこんなな良い所がマイナスを消し、全体ではプラス評価になります。★3だと±0ですが、3,5〜?という感じ。
魅力が強い作品です。
欠点に目をつむれるか否かで楽しめるかが決まってくる。

ていうかリンク調べてたら、大人向けの文庫が新しく出てた・・・
完結したからファンに忘れられないためなのか、商業的に良いんだろうか
しかしこの完成度で純文学層からの新規発掘は難しいんじゃないか・・・?
実際の売り上げはどうなんだろう。気になる。人気なかったら発売しないだろうから、様子見しよう。

さてまとめ
乙女のときめきがあって、やさしい人が主流の物語で、何よりキャラが良い!
 という本が好きな方におすすめです。

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小説レビュー「三毛猫ホームズの推理」ネタばれ無し

有名な作家さん。推理小説。コメディ小説?
個人的評価は★3,7

三毛猫ホームズの推理

赤川次郎


大御所さんだと思ってたんですけど、全然お堅い感じがない。

真面目なミステリーとかだと思ってたんですけど、むしろコミカルなところが売りかもしれない。

私、女なんですけれど、唐突にエロが出てきたから面喰らって「うわあああ」と放心気味になった。
まさかエロが来るとは思わなんだ。エロへ進む前置きがなかったので心の準備ができてなかった。
なんというか、露出狂に出会ったような気分?
こういうのがあるから男性作家は怖いんだよなぁ。

エロが苦手な方は心の準備をなさいませ。
そんな風な、男の妄想だなぁという男っぽさが多分に感じられる小説です。
そういうのを楽しめる方が読んでください。

推理はよくできてると思いました。
まっとうに予想していくと、まっとうに裏切られます。
他のレビューさんでは、すぐに予想付いたという方がいたので、推理小説慣れしている人には物足りないかもしれません。

一部、その真相だとあの人の行動は謎で終わるんですけど、どういうことだ、と混乱する部分がありますが、
話を盛り上げるために過剰な嘘をつく人のように
事件をでっちあげているのだと思ったら、仕方ない、と私は納得できました。
そう諦めて受け入れらさせる面白さのあるエンターテインメント小説です。

あとはもう、ネコ!
ネコ!
ネコが素敵! もっと出番が増えて欲しいけど、人間が主人公だから難しいのか。

本家ホームズシリーズでは、ワトスン君という助手みたいな人がいるのですが、このワトスン君のような立ち位置にいるのが今作の主人公(人間♂)です。

事件に立ち入り、物語をひっぱる役目をになっているのは、このワトスン君もどきの主人公なので、ホームズであるネコさんは要所要所でしか現れません。くっ

物語の最初はネコがなかなか出てこなくて不満でしたが、
中盤から活躍の場が増えて、獣好き的には満足です。

最後の真犯人? の犯行の理由は、ちょっとファンタジックな妄想じみたところはありますが、ありえなくもないので、受け入れられるかと思います。

ありえそうでありえない話、が面白い人は素直に楽しめるはず!

そんなこんなで、嘘つきなところや妄想すぎるところなどを欠点として差し引きながらも
ネコさんの魅力や、コメディな面白さで補強された結果★3,7です。
他のレビューさんによると、この作品は他のシリーズに比べて暗いとのこと。
シリーズは徐々にライトになっていくようです。
・・・うん、可哀想なオチが多かったから、良かった。

あー、もう言うことがない。
いつもより短いですがこれにてまとめ。

 ちょっとコミカルだけどちゃんと推理している推理小説が読みたい方には、ぴったりの本だと思います。



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小説「魔法飛行」レビュー(ネタばれ無し)

現代小説。ファンタジックなタイトルだけどノットファンタジー。推理小説に類する。どろどろとした殺傷沙汰のない事件。ほのぼのとした推理小説に類する。最初のつまらなさを耐えよう。第三回鮎川哲也賞受賞作「ななつの子」の続編。
個人的評価は★3,5

魔法飛行

加納 朋子


久しぶりのレビューです。
実は4冊ほど読み終わったのですが、今まで感想書く気になるような本がなかったのですね。
しかし4冊目の本がつっこみどころまんさいで、ついやる気になりました。今回レビューの本のことではありません。やる気のあるうちに全部レビューしたいので、つっこみどころ満載本は最後です。

本題いきましょう。

魔法飛行。
ファンタジーっぽい表紙とタイトルだけど、ぜーんぜんファンタジーじゃなかった。だから純文学は嫌なんだ……神秘的なタイトルのクセに実際は現代社会の話題なんだもんな。
ごめんなさい……グチは置いとこう。

この本は現代推理小説に分類できますが、ばりばりの推理小説とは違います。
ハッキリ言って、大学生の作文みたいな、おりこうさんの文章が長々とつづいて、最初「買ったの失敗した」と思っておりました。大学生活を知るいい機会にはなりましたけど、主人公たちの会話とかクソつまんな何の魅力もなかった。
しかし、買ってしまったのです。
がんばってよみました。
すると、一小節が終わると、推理小説の謎解きのような小気味良い解決の文章に早変わりするのです。
イライラがすっきりした!

そのすっきり感で、今までのクソつまんな素人文章としか思えない文章の不快感は打ち消せました。
それでもまぁ、四分六分、そんなところ。

しかし徐々に物語が大きく展開していくにつれて、素人文章の割合が減っていく。
それにともない、どんどん面白くなりました。
素人文章も、ストーリー重視になってきて、下手さがどうでもよくなってくる。


どうしてハッキリと素人文章が何割とか言えるのかといえば、この小説は基本「手紙のやりとり」だからです。他の手紙が増えれば、それだけ比率が減りましょう。

前作「ななつの子」の主人公だったらしい人が(今作でも主人公)、なんかしらんが小説を書くことを勧められて書いてみたのが、私がイライラする文章のことなんですが
そこでは主人公が結局「分からない分からない」のまま話を終わらせる。これを、手紙を受け取った人が見事に解決する、という仕組みなのです。

さらに、そこに第三者が関わってきて、事件性と謎が深まっていくのですが、この解決であるラストの展開は面白かった。というわけで欠点は打ち消されて★3,5評価

欠点より長所が強い。
でも次作は読みたくないわ。今後の展開は気になるけど……主人公の文章がマズすぎる。

ここのところ、私やっと本の数行を読むと作家の文章力を感じとれるようになったのですが、その弊害で、マズい文章がつらい。
しかし、マズい文章でも、シナリオの面白さと言いますか、どんでん返しの面白さと言いますか、別の場所で勝負した面白い話はあるんだなぁと知りました。

「読みはじめはマズかったけど、最後まで読んだら意外と面白かった」という本があるとは聞いていましたが、まさしくそれです。
そういうの本当にあるんだなぁと個人的には感慨深い一冊だった。
ちなみに、後で紹介するつっこみどころ満載本もそうです。

読み始めはとにかくつまんないけど、終盤に差し掛かるとそのトリックの面白さが感じられます。
でも読み始めはとにかくつまんないので、それに耐える力を与えてくれるのが、巻末の「解説」

もうね、あとがきで作者さんも言ってるけどね、うまいよ、褒めるのが。

なんかもう私まで「よし読み終えてみようじゃないか!」となれたからね。
挫折しそうになったら解説を読んでみて下さい。褒め上手さんが「面白い所はここにあるから、ここにあるから!」と、励まして下さいます。

こういう人に解説してもらえて、作者さんは幸せ者だ。本人も言ってますけど、最強の応援団だと思うよ。
小中学校くらいで、こういう先生がいたらよかったなぁ。技術としてどういう褒め技術をつかっているのか分析するのも難しいくらいに自然でうまいよ、褒めるの。

なんか解説の宣伝になってるな。

本題であるこの物語は、後からおもしろくなるタイプですので、そのつもりで読まれれば楽しいと思います。
私がいやな主人公の文章も、ほのぼのとした変化のない日常の女学生の生活を楽しめるのであれば、楽しいと思います。

おすすめできるかと聞かれると、悩む。
買いたいという人は買って損はないと思いますが、自分からおすすめは……ごめんなさい。
良い本ではあると思います。
買って失敗とはならない。十分に魅力のある本です。
しかしそれを、どれほどの価値と受け止めるかは、個人の本に対する理想によって変わってくるでしょう。

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……これ文庫しかないんですね。ハードカバーがないと作家さんの収入が可哀想なことになると聞いたんですが、大丈夫なのかな。大丈夫であれ。

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小説「獣の奏者」シリーズレビュー

NHKアニメ「緑の目のエリン」原作。世界観とストーリーで読ませる児童書。児童書カテゴリーだけど子供向けじゃない。闘蛇編と王獣編で完結したものの、つづきもある。一応ファンタジー。架空の獣が歴史に大きく関わっている物語。
個人的評価は★4,5 (★5が最高)

獣の奏者
上橋 菜穂子


本作は刹那以外を読破しました。刹那もエサル師の話を残すだけで他は読んでおります。なんかしばらく読む気にならなそうなので、それは未読のまま書いちゃいます。

この本を読んでハズレだったという人はまずいないと思います。よく作り込まれたと表現するのも申し訳ないくらいに、完全に生きている物語。

ただし完璧なのは第二部の王獣編までになります。
「もっと読みたい。この完璧な物語の完璧さが損なわれてもいいから」と佐藤多佳子さんが続きを欲したように、第三部の探究編からは雰囲気が変わります。

王獣編までは、無駄を省いて省いて描かれた完璧な物語でした。「ここで終わっちゃうの!?」という感じの、綺麗に終わった物語。

芸術家によくあるクセなのか、本では特に、かっこいい素敵なシーンになったら終わり。ということが良くありますが、まさしくそれです。
私はそれすっごく物足りない。

うまく完結したら、その後のあれこれも、もうちょっとこう余韻をかみしめるように読みたいと思うんですよね。

そんな読者心理が先の佐藤多佳子さんの言葉を生んだんじゃないかと思うのですが、この作者さんはどこまでも天才肌。
そう言われてやる気になっても書けなかった。

なぜそれが天才かというと、闇の守り人文庫版のあとがきだったか、とにかくどこかで
「私はまず情景がパッと思い浮かんで、その世界のことを日に日に考えるようになり、この物語を書かずにはいられなくなって書き始める」というようなことを書いていたから。

それっていわゆる「ふってきた」現象ですよね。

作家のなかには、まず物語を書く前に、こういう題材にしようとか、こういうキャラにしようとか、そういうことを考えてから物語を書く人が多いと思うんです。マンガの単行本でも小説のあとがきでも、作者さんがその苦労話をされていたりします。

でも上橋さんはその手順をばっさりカットして、まず世界が見える。そしてそこに生きる人が見える。だからその人たちがどういう人なのか探究して、そのうち書きたくてたまらなくなる。という順序だから、自分から物語を作ることが出来ない。

まず世界ありき。

だから作者の自由に物語を動かせない代わりに、すさまじく完成度の高い作品が生まれてくるのでしょう。
それを天才と呼ばずして何と呼ぶ。


しかし、獣の奏者が「緑の目のエリン」としてアニメ制作されることになり、監督さんらとこの作品を読み返したりしているうちに書けるようになったのが第三部以降の物語。

そんなだから物語の出発点からして続編ではなく、新章です。

でもやっぱりちょっと無理やり引き出して書いているところがあったのか、この作者さんには珍しく、物語が作者の思考に影響されてしまっています。

王獣編までは、どんな困難があっても前へ前へ進んで行こうという強い光が感じられたけれど
新章以降は、私これ暗過ぎていまだに胸の底に絶望がうずまいております。

他のレビューさんで、困難にあっても前へ進んで行こうとする強さ、とあったけれど、私はそれ王獣編までなら同意ですが、それ以降は同意できない。

道は確かに一つしかなかった。他に選択肢はなかったでしょう。
死を覚悟しながら生きるしかなかったでしょう。それで暗くなるのは分かるけど、いつまでも暗過ぎだと思ったのです。
死を覚悟して生きることも、罪を意識して生きることも、大変です。でも、それは多かれ少なかれ全ての人がしていることです。
そして、死を覚悟して生きなければならない病人たちは、それでも希望を胸に抱いて生きるから美しい。
なのにこの物語では、その希望がないんです。

見ようとすれば見れたはずです。
ほんのささいな希望でもいい。小さなことで良い。
でも、見えなかった。主人公が見ようとしていなかった。心の底に絶望を抱えたまま、それを手放そうとしていない。今の幸せは感じても、その先の幸せを見ようとしていない。
主人公だけじゃなく他の人物もそうだから、作者自身がそう感じているのだと伝わって来る。

幸せが終わるかもしれないから? 未来の幸せなんて存在しないだろうから? 自分ではどうにもできないから?
そういう諦めた感じが、私には暗過ぎて嫌でした。
人のできることに限りがあるのは当たり前のことです。それは諦めることではなく、受け入れて、それからどうするか考えることです。

以前テレビで養豚所のおじさんの話をやっていました。

豚たちはいつか殺される身です。そして養豚所のおじさんはそれを実行する人です。理由はいろいろあるでしょう。
だからとおじさんは「ごめん、ごめん」と生きるのではなく、その時まで精一杯幸せな思いをさせてやろうと、愛情いっぱいに育てています。

私はごめんごめんと生きる人よりも、おじさんのような人が素敵だと思うし、犠牲になる側としても、おじさんのような人の方がまぁ仕方ないかと思える。

だから新章はどうも気に入らない。

作者さん自身は、王獣編までを「獣と人の物語」で、探究編以降を「人と獣の歴史の物語」と表現しています。
そして忘れてはならないのが、この作者さんは歴史についてかなり詳しいということ。
歴史を知れば知るほど、人は何と愚かなのだろうと思う気持ちは良く分かる。犠牲の上に成り立っているのが良く分かる。
だから歴史が関わると暗くなる気持ちもよく分かる。

でも、暗いだけじゃないんですよ。この世は、暗いだけじゃ存在できないんだから。暗いだけだったらきっと人間は全員が自殺している。
かすかな希望で良いから、それを見つけて、笑っていて欲しかったなぁ。

まぁでもそんな歴史語りになるくらいに出来あがった物語です。

暗い話もどんとこい、というかそのくらいに重い話の方が好きだ、という方には、探究編以降もおすすめできます。ホラーに耐えられる人は耐えられるんじゃないかな。

でも、そういうのはちょっと勘弁。という方は、王獣編まででおやめなさい。
確かに読み足りないところがあるでしょう。
そういうときは、探究編以降ではなく、番外短編集である刹那を読んでください。
主人公の恋愛は、探究編以降は思い出話としてしか出てこなくて
王獣編の完結から、11年後の、結婚して子供産んでる状態から始まるんで、恋愛を期待している人には、短編集「刹那」をおすすめします。探究編で出てくる思い出話もそこで繰り返されますから。

個人的には、王獣編もそれ以外も完成度が高くて物語も面白いので★4,5評価ですけれど、探究以降は暗いから、すすめるのは王獣編までです。

★4,5の理由は
王獣編までは、色々省きすぎて物足りないところがあるからで、探究以降は暗過ぎるところがマイナスで5にはできませんでした。

まぁでも、読んだことなかったら読むべき本ですね。
ぜひ王獣編まで読んで次がよみたくなったら刹那をお読みください。それでも足りなかったら、暗いの覚悟して探究編以降をどうぞ。
どれもこれも物語は最高級品です。


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全部では多すぎるので、王獣編までの文庫だけです。
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あなたの読書に、物語にのめり込む感動がありますように。

作者名であいうえお「小説」

作者名 あいうえお順で表示

★の数は個人的な評価です。
私の嗜好を逃れることは難しいですが、できる限り公平に、
全体に破たんの無いストーリーや、読み手を引きつける文章力を重視し、
魅力的な登場人物も高い評価基準にしています。
役に立つ情報など、その作品の肝になる個性が上手く料理できているかも評価に入ります。

*注意*短編集と書いてあるものは、別物の話の短編集です
連作短編とあるものは長編みたいなものですが、それぞれ小話をつなげた長編です。
それ以外はノンストップのノーマルな長編です。

「あ」

朝井 まかて  実さえ花さえ ★4 連作短編

「い」

岩崎 夏海  もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら ★4

「う」

上橋 菜穂子   獣の奏者 ★4,5

「え」

江國 香織    ぬるい眠り ★2  短篇集

「お」

小野 不由美   屍鬼 ★4,5

小川 洋子    博士の愛した数式 ★4

「か」

神永 学     心霊探偵八雲 ★3  連作短編
「き」

「く」

「け」

「こ」

小島 達矢    ベンハムの独楽 ★3,5

香月日輪 (こうづき ひのわ) 妖怪アパートの幽雅な日常 ★2,5


「さ」

酒見 賢一    後宮小説 ★4,5

「し」

ジャクリーン・ケアリー   クシエルの矢 ★4
「す」

須賀 しのぶ  帝国の娘―流血女神伝― ★2,5 ラノベとして読むと★4,5

「せ」

「そ」



「た」

喬林 知      今日からマのつく自由業 ★4
「ち」

「つ」

「て」

「と」

遠田 潤子  月桃夜 ★3,9



「な」

湊 ようこ(なぎさ ようこ)
と思ったあなた、間違いです。みなと ようこ と読みます! というわけで「み」へgo!


「に」
「ぬ」
「ね」
「の」



「は」
「ひ」
「ふ」
「へ」

「ほ」

星 新一     たくさんのタブー ★4,5 短編集


「ま」

「み」

三崎 亜記   となり町戦争 ★2

湊 ようこ   氷雪王の求婚〜春にとけゆくものの名は〜 ★2,9

「む」

村上 春樹   ノルウェイの森 (訪問が異常に多いので特設ブログに移動) ★3

「め」

「も」



「や」
「ゆ」
「よ」



「ら」

「り」

リチャード・プレストン  ホット・ゾーン ★4

「る」
「れ」
「ろ」



「わ」
「を」
「ん」


―――感想・レビュー・書評・ネタばれなし・作者名のあいうえお順で検索―――

ライトノベル「氷雪王の求婚」ネタばれ無しレビュー

ロマン大賞受賞作。自前ネタばれ小説。ベタな展開。分かりきった展開。だからこそ好きなあなたに。挿絵や表紙はキラキラしてるけど、もっとこんな■■色で、絵画的な絵の方が似合うかな。それにしても、名前も出ていないお姉さまが良い所かっさらってったね。
個人的評価は★2,9

氷雪王の求婚
〜春にとけゆくものの名は〜


湊 ようこ


★が3にならなかったのは、3は私にとって長所短所が±0のものだからです。まだ短所が上回っているな、ということで3にはできませんでした。

評価の内訳
プラス面
+1 ベタな展開が、ベタに面白い。
+1 豊富な語彙のおかげで、物語に厚みを感じる。
+1 キャラがちゃんと生きている。
+1 起承転結、オチがある。
マイナス面
−1 ネタばれ&ベタ展開で読む熱が冷める。
−0,1 なんか全体的に物足りない。

なんとなくそんな感じで合計★2,9
でも公平な視点を抜いた個人的な好みでは3,5くらいに好きですね。読者に迎合するでなく、作者の好みで進む真面目な感じが好き。

作品関係ないですが、作者さんの名字「みなと」と読みます。
「なぎさ(渚)」と読んでしまった私の仲間よ、いたら認識を改めましょう。みなと、です、みなと。みなとみなとみなとみなと。

こちら、他のレビューさんでは高評価な作品です。
まぁ納得です。ベタ展開が良いんですよね。
でもそれ食傷気味な私には過酷でしかなかったのですわ。でも作者の腕があればベタなんて気にならないはず。
それが気になってしまったのは、作中に作者自身が盛大にネタばれをするからです。

ベタ展開だけど、でももしかしたら……という期待のもとに、ベタは楽しめると思うんですよね。
結局ベタ通りでも、それまでの「もしかしたら」で楽しいのですよ。

でもそれが、それが、ネタばれされちゃってるんですよ。勘弁してくださいよ。
何を楽しみに読めばいいのですか。

歴史ですか、教科書を書きうつしたような上っ面ばかりで奥深さのない歴史を楽しめというのか。
それとも主人公たちのラブラブを見守ればいいのか。
切なさに胸ときめかせればいいのかー!

はっきり言いましょう。
それじゃ物足りない!

「これからどうなるんだろう」と入り込んできたらネタばれされちゃうので、一気に冷めます。
そこで「やっぱりそうなっちゃうの!?」とか「ああ、やっぱりか。どうしてそうなるのかな?」と読めばまぁ、楽しいのかも。分からないけれど。

……まずい。レビューネタが尽きた。
何も思い出せない。

印象が弱いです。この本。

そうだ、思い出しました。ラストに素敵なオチがあるのです。
他のレビューさんは主人公の言葉に感動しているみたいなのですが、私は義姉さまの心意気に感動しました。
名前も出ていませんけれど、人目も気にせずそれ実行する義姉さま、素敵です。お兄さんってば見る目あるね。

さて、読み返してきました。

言えることはやっぱり、ありきたりということですか。
政治を良くしようという方法に、貴族を排して民間人を召し上げるというのもありきたり。主人公たちだけが人格者なのもありきたり。間男がいるのもありきたり。
ザ、ベタ小説。という感じがします。

でも作者さんはベタ小説を書く気はなかったそうです。
歴史が好きで、和宮の三角関係とか好きで、そういう話を書いてみたとのこと。
だからベタなんでしょう。読んでて、真実は小説よりも奇なり、と思いました。レプリカ感があるんですね。そのレプリカ(複製品)な感じが、ありきたりという印象になって、ベタだと感じさせるのかもしれません。

終盤の展開も、そんな反感を招く方法をするなよなぁと思った。後ろ盾があるからってさ。
王なら、もっと外堀から仲間を増やしていかないと。直球勝負ってのは信頼関係の構築された人にだけ可能な方法じゃないでしょうか。
心根の腐った奴を力でねじふせてやりたい気持ちは大いに分かるけど。

策だって二重に三重に練るのが施政者の心得だと思うんですが。日本の政治家じゃあるまいし、権力ばかりたよるのは三流じゃないのかなぁ。
まぁ氷雪王と揶揄されるくらいだから、人心掌握は下手なのかな。

そういえば、国名とかいろいろ、ヨーロッパの名称をそのままもじっただけなものとか多いです。
プラヴァって、なんか聞いたことあるような気がする。とか
漁父の理を狙うランス国ってフランスのことかー! とか
主人公たちが好きな劇作家って、名前違うけどシェイクスピアのことだろこれ。 とか
悲しいのに良い、ってロミオとジュリエットのことだろそれー! とか
内容関係ない所で楽しませていただきました。

政治のことも、どこかで読んだような内容で、日本人らしい世界感しかありません。
やっぱり西欧風政治ロマンはクシエルの矢が一番です。
この作者さんには是非クシエルの矢を読んで欲しい。宗教とはこう描くのだと、ビックリすると思う。

主人公は、作者さんは「できすぎな女の子」と言ってるのですが、そうは思えないです。よくあるラノベ女の子。もしくはウェブ小説の女の子。よくいる良い子ちゃんです。面白みはない。

そんなこんなで、欠点が多い。
長所と言えば、順当に心を通わせていく主人公たちの姿がほほえましいことでしょうか。
そのままずっとラブラブしてればいいよ。

文章は、語彙が豊富で良いと思いますが、豊富すぎて使いこなせていません。
言葉を使っているというより、言葉に使われている、という感じ。
使おうともしない人よりは良いのかな。未来に期待です。

ただ、普通のハッピーエンドではないので、こういうのが少女レーベルであるのは嬉しいですね。

しかし他のレビューさんは褒めてばかりです。
よく分かりませんが、乙女のつぼをついているようですね。
歴史についても、私がそれに詳しすぎるのか何なのか、私は上っ面の歴史を語っているように思えましたが、皆さん純粋に感動していらっしゃる。

ベタな恋愛が好きな人には受けるのだと思います。

話の書き方は、後宮小説のような、歴史を紐解いていくような感じです。

……だめだ、思い入れがなさすぎて、ろくに褒められません。
★3に近いから、嫌いじゃないんだけど。何も思い入れがない。

良い点についてはアマゾンレビューなど、他のレビューさんでお口直しください。
思い入れのない私が書くより分かりやすいと思います。

まとめると
ライトじゃなくて少し重めのベタ恋愛小説(西欧風)。です。

印象が薄すぎて頭が混乱してきた。どういう人に勧めるべきかも思いつかないので、気になった方はアマゾンレビューなども読んでみてください。すみません。

[追記]
読んでからしばらくたった今、この本のことを思い出すと
ラストの展開が思い出されて、じんわりと胸を温かく締め付けられた。
素敵な本だなぁと思いました。
つっこみどころも多いですが、読んで良かったと、今は思います。

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あなたの読書に恋のときめきがありますように。

読書レビュー「ホット・ゾーン」ネタばれ無し

危険なウイルスのノンフィクション小説。エボラウイルス。エボラ出血熱。小説っていうか一般人向けの医学論文って感じ。なにはともあれ、エボラ怖い。
個人的評価は★4

ホット・ゾーン

リチャード・プレストン

(訳)高見 浩

評価の詳しい内訳は面倒くさい! 文字数が足りなくなる! ということでご勘弁ください。気が向いた時のお楽しみでお願いします。ごめんなさい。

せめてもの、ざっとした内訳説明を。
作者さんのエボラウイルスへの熱意と、綿密な調査に脱帽。それらで大体4評価。それ以上にならなかったのは文章の至らなさとか、訳わかんないシーンなどの欠点のためです。結果★4。

素晴らしいのは、エボラウイルスの凄まじさ。そしてそれを調べ上げた作者さんのやる気。
これを読むまでは、エボラ出血熱という言葉は新聞で見かけたことあったなという程度の認識でした。病状もどうせちょっと熱が出て皮膚からちょっと血が出てきちゃうだけでしょ? というものだったのですが、とんでもない。

鼻血はともかく、体から血が出てくるのは体内の細胞が破壊されつくした結果であって、ちょっと出ちゃったとかいうものではなく、ウイルスが他の人に乗り移るために宿主を爆発させて血を飛び散らせる。というもの。

しかもエボラウイルスという名は一種類のウイルスのことではなく、変異した兄弟ウイルスの総称で、もしかしたらこれからもっと危険な兄弟が現れるかもしれない。という危険なウイルス。
このウイルスに比べたらエイズなんて赤子に思えるような危険な奴ら。

エイズに特効薬がないのは、エイズウイルスが常に変質しているかららしく、エボラも同じなので、特効薬は今もって存在しません。

致死率の低い兄弟ならともかく、最も危険な兄貴分エボラ・ザイールなどは、かかったが最後、死ぬしかない。致死率がやばいです。助かったら奇跡。

この恐怖だけでこの本が存在する価値はあります。

文章は訳者さんのせいで読みにくいですけれど、もともと短的ではっきりした文章のため訳分からんということにはなりません。分かりやすいです。

ただ私はノンフィクション小説というものをあまり読んだことがないので、これが普通なのか分からないのですが、大筋のストーリーらしいものはなく、こんな事件がありました、こんな事件がありました、というのを各章ごとに書いていて、最後には作者さんがウイルスがいるかもしれない場所を探検して終わります。物語の登場人物より作者さんの意見や語りが出張ってくるので論文っぽいです。

それから、面白みもなければ意味もないシーンがたまにあったりして、なんでこんなことをわざわざ書いたんだ、何か起きるのかと思っていたら、ただそういうことがあったという事実を述べていただけという肩透かしを食らったりします。これもノンフィクションの醍醐味なんだろうか。

良い意味としては、事件関係者に取材している話がちょくちょく入ってくるのに、たまにそれがない時があり、この人は死んじゃうの? とか思ってたら助かったり、やっぱり死んじゃったりするんで、はらはらし通しです。
ノンフィクションという条件を上手く使っていますね。まったくもう、怖いっつーねん。

小説らしく登場人物の物語になっているときもあるのですが、大部分が論理的なので共感する前に話が進んで行きます。
そのおかげ様で怖さが弱くなりました。
最初は怖くて友人に電話をしたりしましたが、その後はなんとか平静で読みとおせました。

怖すぎるのイヤーー! と言う人もぎりぎり読めるかも。

論文的すぎるところはあれ、素晴らしいウイルス小説なのですが、作者さんは最後の最後に自己顕示欲に負けたようですね。

最後のウイルス事件が終わったのになぜまだページが残っているんだと思ったら、作者さんが調査に行ってきた話がでてきます。そこでは他の章で出てきた話が蒸し返されるだけで、新しい展開はゼロ。

ただ作者さんが「こんなにガンバッテ現場検証したんだぜ」と言いたかっただけなのではと思いました。つまらない。意味がない。

最後の章は小説ではなく作者あとがきと思って読んでいただくと適切かと思います。そうすると読みがいがあります。

先に書きました訳者さんの文章がいやというのは、語感の気持ち悪い所で「、」がうたれるために読みにくいし気持ち悪いからです。
訳者あとがきを読んで、この書き方は作者ではなく訳者のせいだとわかりました。

感性なので好き嫌いあるでしょうけれど、それでもあまり一般的な書き方ではないですね。
しかしエボラの説明に夢中になっちゃうので気にならないと思います。気にしているどころじゃありません。

もう「怖い」としか言いたいことがない。

とりあえず嘔吐をしている人の吐いているものが黒色をしていたら全力で逃げて下さい。あとできれば救急車を呼んであげて。

他に書くようなこと何かあるかな。
そうそうホット・ゾーンって何のことか分からないと思うので説明を。
ホット・ゾーンとは、最もホット(危険)なウイルスを取り扱うゾーンのことと思って間違いないでしょう。
説明している文章があったようななかったような……探しましたが見つかりません。たぶんあっていると思うんでこれでお許しを。
どうしても気になる方は本書をお読みくださいませ。

もう書けることないかな。

そうだ。ほぼ駄文になりますが私事の話をさせていただくと。
この本を読んだ理由は
この作者さんの次の作品「コブラの眼」という生物兵器が使われた場合のフィクション小説を読みたくて買ったついでに買ったからです。
ホット・ゾーンは自然発生の生物兵器ですが、コブラの眼は作られた生物兵器の話です。お願いだから永遠にフィクションでありなさい。

こちらのレビューもいつかあるので宜しくお願いします。
それではまとめますと

世界一危険な殺人鬼ウイルスに興味のある方は是非!です。

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上下巻と、一冊だけのものとあります。
たぶん一冊だけだと本が分厚いから上下巻に分けて読むタイプもあるのでしょう。
私は一冊だけのものを買いましたが全部読めました。
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中古しかない。たくさんありすぎなので安いものだけピックアップ。

中古3円「下巻」

中古50円「上巻」

あなたの読書に、あなたに必要な知恵がありますように。

―怖い。ホラーより怖い。生物兵器。洋書。―

読書レビュー「月桃夜」

日本ファンタジーノベル大賞受賞作。恋愛小説って言ってるけど時代小説と言った方が良い、絶対。土着信仰の対象が実体をもって物語に絡んでくるという意味でファンタジー。重いファンタジー。ほとんどのレビューで評価が高い。個人的には★3,9くらい。(★5が最高です)

月桃夜

遠田 潤子


評価の内訳……今日は何か面倒くさいので一言でお許しください。
「作者さんがんばってる!」
がんばってるけど、熱意ありすぎて空回りしている感じのがんばってるだから★3,9です。どんまい。

まず言っておきたいのは帯に恋愛小説ってあるんですけど、恋愛が表に出てくるの後半の三割くらいですから!恋愛小説だと思って読んだら「どう楽しめばいいのこの本?」という状態になるので時代小説だと思って読んでください!!
かつて奄美大島にいたヤンチュという奴隷(と同等)の存在が主人公の物語です。

後で知ったことですが、作者さんはドストエフスキーや森鴎外の作品世界にある「理不尽な何か」に惹かれて創作活動を始めたそうです。(作者紹介より抜粋)

それ知ったら、あーなるほどと思いました。
理不尽さを出したいばかりに、もっと他の読む楽しさがおざなりにされている感じが他の作家をリスペクト中の作家さんっぽい。

ドストエフスキーは私はまだ今読み途中の本しか読んだことが無いので、詳しくは語れません。その少ない読書の中でも、何かこう、愚かな選択についても納得してしまうような説明とか、愚かなものへの深い愛情を感じます。

この本はそんな感じの雰囲気っぽくしたいだけで、本質がない感じがしました。深い愛情をだしたいけど描き出すだけの実力もなく、作家さん自身も愛の境地にいたっていない感じ。何かが足りない。

作者さんは「こんな感じの物語が書きたい!」熱意があるのであって、「ただ一つこの物語を書きたい!」熱意があるのではない。と言えば分かるのかな。余計に分かりにくくしているかな。
ともかく
まだまだ発展途上。
なんか中途半端。
でもがんばってる。
そんな感じです。
絵だって何だってはじめは模写だとか、見て盗むところから始まりますから、それは称賛できることです。
でも私はただの読者なので。
どんな作家さんだろうがプロはプロ、ドストエフスキーレベルが普通として読みます。妥協はしません。よって評価は引き下げます。その結果3,9という評価になりました。

4にしなかったのは、4にすると大台に乗ったようで「ちょっとそこまでは……」と感じたからです。

しかしですね、読書を楽しみたい方は、私のように厳しすぎる目で読むのではなく、優しい目で読めば問題ないです。
ちょっと優しくするだけで十分に耐えうる重厚さがあります。暗いけど。
暗くて重くて、ぐぬぬぬ、と読みたい方にはおすすめ。

欠点ばかり言ってるので良い点も。

良いところは、歴史上の奄美大島が存分に活かされているところです。
ヤンチュなんて奴隷がいたことを私は知りませんでした。
江戸時代にはえた、ひにん、がいたのは知っていましたが、低い身分というものがどんなにつらいものかは知りませんでした。

奴隷のつらさなどを知るには良い読書でした。主人公はそれを当たり前と思っているので、そちらに共感していた私は他のヤンチュが悲観しまくる気持ちには共感できませんでしたが、理解はできました。ザ・純文学の楽しみ方ですね。
なぜ恋愛小説とうたっているのか謎。

文章についていえば、他の方はなんかやたら褒めている人が多いんですが、そうは思わなかった。
新人さんで比べるなら「実さえ花さえ」の方が数倍うまい。

詩的でいいと言われていますが、単に詩的な単語をねじこんでいるだけで、何も美しさは感じませんでした。
詩的の意味を「語感が良い文章」とするなら、大反対です。
意味を「詩的な単語を使っている」文章とするなら賛成ですね。美しいとは思いませんが、定義上は賛成。

文句言いつつそれなりに高い評価なのは、島のことをよく調べ上げてかいているからと、ラストにかけてそれなりに完結するからです。
「うん、そうか、いや、いいよ、うん、そうだよな、分かった」と一応なっとくする終わり方です。
純文学の嫌なところである「そんな終わり方かよ!」という不完全燃焼はありません。ちゃんと納得します。気持ちの良い終わり方ではないですが、まぁ、うん、OK、許容範囲内。

島のことを調べ上げているのは素敵なんですが「こんなことまで調べたのよ!」とばかりに不必要に書きすぎててうざったくもなりました。
だからそういう文化や歴史を読むことも楽しみに入れて、時代小説として読めば気にならないのでは、と思います。

注意点は多いですが、良い本の部類だと思います。

ただね、どうにもならない問題があるんですね。
この本、現代と昔を交互に語っているんですが、この現代版の主人公があんまり我がまますぎて面白くなかった。
精神年齢が幼いからって説明があるけれども、元その年齢の子供だった者としては、子供をバカにされた気分でムカつきました。

子供だってねぇ、ちゃんと頭使って生きてるんですよ!
演歌を歌う女の子なんて、何歳だよって言われちゃうくらいちゃんとしているでしょうが!
子供だから悪いんじゃなくて、その個人が悪いんだと認めんさい!
この作者さんは子供のころに自分の話を大人にまともにとりあってもらえなくて悔しい思いはしなかったのでしょうか。私は子供のころの意見を大人になってから言ったらやっと「それ良いね!」と言ってもらえたんです。
子供だからってバカにしないでください。

他のレビューさんでも過去編は評判良いですが、現代は悪いですね。
要改善です。
がんばれ作者さん。

まとめますと
奴隷の生活を実感できる時代小説(恋愛あり)と思って読んでください。

よっぽど(私みたいに)本への理想が高い人でなければ文句が出てくることは少ないと思います。

プロとしての最低水準は満たしている新人さんの本です。
興味のある方はどうぞ。

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