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2019年11月09日

三体_劉慈欣

中国の作家が描いた、壮大なSF小説です。

オバマ元大統領が絶賛し、作家に会いに行ったとか、ケン・リュウによる英訳版が、SFの最大の賞と言われるヒューゴー賞を、アジア初・翻訳もの初で受賞したとか、世界的にも話題になっているようです。

著者は、発電所のコンピュータを管理するエンジニアとして勤めながら、小説を書いていたとのことで、天体力学やナノテクノロジー、コンピュータサイエンスなどの理系なコンテンツはもちろん、文化大革命のくだりや、歴史に対する深い知識などふんだんに盛り込まれています。

ある程度の水準の教養や知識がないと、少しツラいかも知れませんが、全てを理解するのは当然無理なので、読み飛ばしながら雰囲気で読めば、いいんじゃないでしょうか。

宇宙ものということで、スターウォーズと比較する人もいるかも知れませんが、「三体」は科学的なリアリティと時代の先を見る先見性に、その特徴があると思います。
また、三体の謎のカギを握る、VRゲームの劇中劇も現代っぽくて、没入感が高まります。

ただ、これら全ては、素晴らしい日本語訳のおかげで初めて成立するものです。
訳者である大森望氏の翻訳の秀逸さが光ります。

三部作ですが、まだ二部、三部とも日本語訳は出ていません。
来年に発売予定とのことで、読みたい気持ちをじっくり熟成させて、待ちたいところです。

ちなみにオバマ元大統領は、待ちきれず、中国指導部から著者に連絡をとってもらい、出版前の原稿を読んだそうです。庶民にはできないワザですね。

とにかく、一度読んでみてください!!
私は、SFはそれほど好きではないですが、理系出身の歴史好きで、結構ハマったので。

2016年12月23日

江戸を造った男_伊東 潤

徳川綱吉の時代に生きた、河村屋七兵衛、後の河村瑞賢という男の生涯を描いた物語です。

現在の三重県南伊勢町の下級武士として生まれましたが、生活も苦しく、江戸の親戚の元で口入れ屋の奉公から始め、やがて頭角を表して材木屋として店を構えるようになります。

明暦の大火で息子を1人失いつつも、誰よりも早く木曽の木材を買い占めます。不当な高値で売ることなく公平に売りさばくことで、莫大な富を得ます。

しかし、明暦の大火で亡くなった人々の遺骸が、町中や海の溜まりなどに放置され、江戸前の漁を妨げ、疫病の恐れが出てきました。そこで、老中 稲葉正則の行列に飛び込み、決死の覚悟で幕府にその処理を願い出たところ、七兵衛がその処理を任されます。
遺骸集めは一体いくらの報償金を出し、安く効率よく人を使うことで、民の窮状を救い稲葉正則の信用を得ることとなります。
やがて、人が流入し続ける江戸では、食料が不足し物価が高騰するようになります。幕府は天領である奥州の米の海運を改めて対応するため、七兵衛に白羽の矢をたてます。
回漕業など素人の七兵衛ですが、商人としては利を得ることなく、海運商や船乗りの利益と安全を確保することに重きをおいて、航海の途中で立ち寄る港の整備と、安全な航路を新たに開くことで、その仕事を成し遂げます。
難所である房総沖を迂回して、一度下田まで行ってから江戸に戻る東回り。奥羽山脈の北側からは日本海に出て下関、瀬戸内海、和歌山沖から下田経由の西回り。2つの航路を開いています。

その後も幕府から求めるままに、治水・銀山の事業にも関わり、成果を上げていきます。
やがて晩年には、将軍のお目見えを果たし名字帯刀を許されて、旗本に取り立てられることとなります。

一商人に過ぎない七兵衛が、これほどの事業に関わり大きな成果を上げた理由とは何なのでしょうか?

文中にも出てくるのですが、
・世のため人のために誠心誠意尽くし、小さな私利を追わないことが、大利をもたらす
・不可能と思われることにぶつかっても、諦めずに考え続けることで、道は必ず拓ける
・自分より秀でた技や知識を持つ人を、師と仰ぎ敬う心がけ

そんなことの無数の積み重ねが、自分という人間をつくっていくのだ、と筆者が何度も七兵衛に語らせています。

そのまま、私の信条となるくらい、心に響く良書でした。時代は変われど、やはり人として大切なものは変わらないのですね。

2016年10月26日

ぼくは愛を証明しようと思う。_藤沢 数希

この本を面白いということに、ちょっと抵抗を覚える本です。筆者は他にも金融関係の本を出しており、
そちらが本業のようです。
まあ、理路整然として割りきった考え方は、とてもわかりやすいです。

小説の形態をとったナンパ指南の本とも言えますが、大きく捉えて、
コミュニケーション論や心理学として読むと、
面白いのではないでしょうか。

外見の綺麗な女性は中身を誉めるとか、女は一途で誠実なだけの男を選ばないとか。
「モテ=ヒットレシオ×試行回数」 といったテクニック?がたくさん出てきます。
世の男性たちがたくさんの失敗を重ねて学んだ内容ですね、身も蓋もない話ではありますが。

いかに女性を落とすかということですが、いかに営業で仕事を取るかなど、
いくらでも考え方を応用することはできるでしょう。


独身男性にお勧めいうところでしょうか、それも20〜30代の。
そして、この本を買ったとしても、あまり女性に見られないようにすることをオススメします。
ぼくが女性だったら、自分もこんな風に扱われているのかと、不信感を抱いてしまいます。

取り扱い要注意の一冊ですが、きっと何かしら得ることはあると思います。
こんな人もいるんだー、くらいの気分で読んでみてください。

2016年09月26日

雄気堂々_城山三郎

日本の近代化の夜明けを、実業の側面から後押しした渋沢栄一を描いた一冊です。
明治維新を成し遂げたあたりの歴史については、小説やドラマで知っていましたが、維新後の日本国の近代化の経緯については、どんな事件が起きたくらいしか、知りませんでした。
日本の株式会社のもとをつくったとか言われる渋沢ですが、どんな動きをしていたのかも勿論知らず。。。
本当に知らないことはたくさんある、ということを実感するばかりです。まぁ知らなくても生きていけますが、知の欲求は尽きません。

本のなかでも出てきますが、渋沢栄一は、建白魔であり勉強家、仲裁がうまかったようです。
もともと、藍や蚕を扱う地方の有力農家で幕府を倒そうとしていたが、ひょんなことから一橋家に召し抱えられ、幕臣になってしまう。
理想とかけ離れた現実にも腐らずに、上役に意見書を建白。やがて力や人柄を認められて、フランスへ留学。その際も地下に張り巡らされた下水道を実際に見たり、留学費用を帳面につけ、倹約と投資運用でまとまった資金を残しています。
また、外国で見聞きした知識をもとに、民間の知恵と資本を持ち寄って大きな事業を起こす。商業の合本主義を日本に根付かせるという理想に向かっていきます。

理想を持ち合わせた現実主義者といったところでしょうか。
人は出会うべき事柄にしか出会わない。戦が好きな、いとこの渋沢喜作と比較しながら、同じところからスタートした人生が、どのように別れて広がっていくのか。翻って、今の自分は何をすべきなのか。やる気が出てくる一冊です。
しかし、明治の元勲が30代40代で、日本を作り直していたなんて!
時代の空気を感じられて、刺激的な一冊です。

2016年07月25日

春風伝_葉室麟

司馬遼太郎の世に棲む日日には、あまり描かれていなかった、上海の留学についてや、藩の内情について、分かりやすく描かれています。

幕末の人物はよく聞いた登場人物が出てきて、作家ならではの人物像がそれぞれ違うので、違いを楽しめます。特に龍馬の扱いも、さっぱりとしておりよかったかも。

個人的には、やはり登場人物たちの若さにあまりある、濃密な人生の激情と、為し遂げたことの大きさに、改めて驚嘆しました。
晋作は、明治の元勲たちのひとつ上の世代であり、やはり生き延びていたらどうなったかに思いを馳せずにはいられません。

今度は、いかにして元勲たちが身を起こしたか、そして日本がどのように動いて近代になっていったのか、読んでみたいところです。