2016年07月07日
自動運転中の事故に考える
テスラモータースのオートパイロットという半自動運転機能を搭載したタイプS
オートパイロット中に前を横切ったトレーラーに突っ込んでしまったとか。
自動運転中の事故ということで話題になっています。
事故原因はこれから詳しく調べられるでしょうから、ここでは置いといて、少し違和感のある報道もあるので持論を少し。
新しい技術に対する不安はいつの世もあります。
私も個人的には期待半分、不安半分の技術です。
鉄道事業者としては素直に喜んでいいのか迷うところですが、完全な自動運転ができたとしても駐車場の問題をクリアしないと鉄道をはじめとした公共交通が一気に衰退することはなさそうな気がします。
少しそれましたが、自動運転の記事を頻繁に見るようになってから、こんな一文を目にしました。
「自動運転によって死亡事故が起こるようなことは絶対に避けなければいけない。」
反論はしません。そのとおりだと思います。
また、解釈の説明がない、単独の言葉ですからここで極端な上げ足取りはしたくないですが、ただ、個人的に少しアレルギーを含んだ言葉に感じます。
極端な例えをすれば「(反対を押し切って)やるからには絶対に失敗するな。」というニュアンスです。
現在の、運転手が全て責任をもつ手動運転において事故がないなら反論の余地はないのですが、日本の交通事故による死亡者は平成5年頃から減少しているとはいえ、年間4,000人以上にもなります。
この事実とのつながりが見えません。
自動運転によって年間死亡者が0にならなければ、その自動運転は認めないと言っているように見えます。
もちろん、自動運転の目指すところは事故の低減ですから、究極の目標はそうなんですが、手動運転における事故を棚に上げた言葉に見えてしまいます。
テスラモータースはこの事故を受けて、自動運転はあくまで運転支援であって運転者はハンドルをもっていつでも運転できる状態でなければいけないという声明を出しています。
周知の仕方が十分だったのか検証は必要かもしれませんが、もっともな話だと思います。
個人的には現状の自動運転機能でハンドルから完全に手を離してしまうのは、温度センサー付きのコンロに天ぷら鍋をかけたまま買い物に行くようなものだと感じます。
テスラの声明は当然に見えます。
いずれにしても、この事故を教訓にして、自動運転機能の向上や現状の自動運転の限界についての周知や法整備などなど、交通事故ゼロのための自動運転を目指して発展していって欲しいです。
ただし、機能の発展途上段階における運転者が、モルモットになるようなことは絶対にあってはならないことだと思います。
技術屋ですので、やはり技術贔屓(ひいき)なお話になりました...
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