並行在来線開業物語...その8

○切換えリハーサル

 北陸新幹線の長野〜金沢間延伸開業は平成27年3月14日でした。
 並行在来線の分離、開業も同じ日です。

 当時の資料を紐解いてみると、当日(開業日の未明)の切換作業に関する具体的な打合せは半年以上前から行われていました。
 CTCをはじめとした各システムの切換は、結局のところ各機器とJRの指令室を結んでいる通信回線をしな鉄の指令室につなぎ替えるだけです。
 口で言うのは非常に簡単で、図面にしても数本の回線について接続を変えるだけです。
 ですが、実際の通信回線図を見ると実に入り組んでいて、「本当に切換えられるのだろうか?」と思いながら打合せをしている状態でした。

 各システムの構成図では回線が一本伸びているだけですが、実際にはあちこち経由してデジタル変換され、またはアナログに変換され、そんなことをしながらつながっています。
 接続先をしな鉄に切り替えると、それまでの送受信の方向がひっくり返ってしまうもの、アナログのまま送っていたけど距離が伸びるためにデジタルに変換する必要があるもの、距離が短くなってデジタルに変換する必要がなくなったもの、構成がガラッと変わって回線数を増やさなくてはならないもの、いろいろありました。

 そして何度も言うように、開業の前日まではJRがこれまでどおり使用するということ。
 開業当日の限られた時間の中で切換えができるように、かつ現状の機能を保つように。
 それには当日の切換え工程も検討しながら回線構成を組み立てる必要があります。

 事前改修はどこまでやって、当日はどこで切換えるか、それには人の配置をどうするか、どういう順序で切換えていくか、切換後の機能確認はどのように行うか。
 それらが決まると、当日と同じ人員で、同じ配置で、同じ連絡方法で、切換のリハーサルを行います。

 当日は限られた時間ですべてを終わらせる必要があるのですから、当日になってつまづくことがないように、手順を忘れることがないように、間違えることがないように。
 ただし、このリハーサルはまだJRでの運行を行っている期間にやるので、実際にすべて切換えてしまうと、その日の運行ができなくなってしまいます。
 元へ戻さないといけないので、実際に作業を行って確認することができるのは全工程のおおむね半分までです。
 全体を通してのリハーサルは、実際の作業を行わないで連絡方法や流れを確認するイメージトレーニングになります。
 イメージトレーニングとはいえ、実際に人員を配置して、作業内容・箇所、連絡方法、連絡するべき内容などなどを確認して行きます。

○リハーサルの成果

 そうしてリハーサルを行ってみると、やはり色々な問題がわかってきます。
 切換えにあたり、対策本部をおきますが、当然、情報はすべて対策本部に集まり、本部ではすべてを把握できます。
 ですが、現場にいる人達は飛び交う無線や本部からの指示くらいしか情報がありません。
本部にいると、自分が得た情報はなんとなく共有された情報のような錯覚を起こし、指示が漏れることがあります。
 リハーサルを行うと、現地が欲しい情報がなかったであるとか、わかりにくいとか、次の作業に取り掛かるためのきっかけがわからないとか、細かいけれども大切なことが色々とわかってきます。

 実際の作業を行わなくとも、工程確認、内容確認だけでとても意義があることがわかりました。

 理屈で言えば、全て本部に報告して、全て本部から指示すれば良いのですが、本部には膨大な情報が集まってきます。
 処理しきれなかったり、複数の場所に情報を送る場合には時間がかかったり、取り違ったりなどなかなかうまく行きません。
 時には本部を通さずに現場同士で直接やり取りしたほうが良い場面もあります。
 ただし、その場合でも本部がそれを把握できるよう、通信手段にも工夫します。

 リハーサルを繰り返し、こうして問題点を洗い出して、潰していきました。

 これを各設備について行います。

 みんな徹夜続きでした....あんぐり....



 つづく......


 そうこうしているうちに、あと10日で開業一周年です!

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デンマニ
鉄道会社に転職しました。 鉄道って独特の世界だなぁ... こんなに危険が伴うお仕事とは思わなかった。


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