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2015年08月31日
『孔雀の道』『玉嶺よふたたび』第23回 日本推理作家協会賞受賞(1970年)著者 陳 舜臣(ちん しゅんしん)
孔雀の道 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
玉嶺よふたたび (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
第22回(1969年)は受賞作なしです。
『孔雀の道』
英国人の父と日本人の母とのあいだに生まれた日英混血女性ローズ・ギルモアは、13年ぶりに日本の地を踏んだ。5歳のとき神戸で起こった母の焼死事件の真相を知ろうとしたが、関係者の反応は不可解なものだった。やがて、亡き父を巻き込んだ戦前のスパイ事件の影が浮かび上がる。
『玉嶺よふたたび』
訪中視察団の一員として中国を訪れた東洋美術史専攻の入江は、25年ぶりに玉嶺へと向かう。抗日ゲリラの疑いのあった中国人の娘・映翔を愛し、不可解な別れを味わった思い出の地である。戦火の渦のなかに隠されたその悲恋の真相たる彼女の心境を今ようやく入江は知るのだった。
著者 陳 舜臣(ちん しゅんしん)
1924(大正13)年、神戸に生まれる。大阪外語大学印度語部卒業。同校西南亜細亜語研究所助手を勤めるが終戦によって辞職し、家業の貿易に従事。 1961年、『枯草の根』により江戸川乱歩賞を受賞し作家生活に入る。69年、『青玉獅子香炉』により直木賞、70年、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』に より日本推理作家協会賞、71年、『実録アヘン戦争』により毎日出版文化賞、76年、『敦煌の旅』により大佛次郎賞、89年、『茶事遍路』により読売文学 賞(随筆・紀行賞)、92年、『諸葛孔明』により吉川英治文学賞、93年、朝日賞、さらに95年、「作家としての業績」により日本芸術院賞をそれぞれ受賞 する。日本芸術院会員。
2015年08月30日
『妄想銀行』第21回 日本推理作家協会賞受賞(1968年)著者 星 新一(ほし しんいち)
妄想銀行 (星新一YAセレクション)
人々の妄想を取り除き、また必要とする人には提供する「妄想銀行」を始めたエフ博士。
彼に思いを寄せる女性の妄想を、自分の好きな美人に与えようとしたばっかりに…。
アイデア、諷刺、簡潔な文章、スピーディな展開、意表をつく結末が堪能できる傑作ショートショート集―。
表題作他32篇を収録。マスコミと商業主義がもたらす未来を笑いと皮肉のうちに描く星ワールドの神髄。
著者星 新一
1926年、東京に生まれる。東京大学農学部卒業。57年に日本最初のSF同人誌「宇宙塵」に参画。ショート・ショートと呼ばれる短編の新分野を確立し、千以上の作品を発表する。68年に、『妄想銀行』で第21回日本推理作家協会賞を受賞。97年没 。
2015年08月29日
『風塵地帯』 第20回 日本推理作家協会賞受賞(1967年)著者 三好 徹(みよし とおる)
風塵地帯 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
私は特派員として政情不安なインドネシアに着任した。
ところが、現地で再会した日本人カメラマンが殺されたのにつづいて、現地人の助手カルティカも殺された。私は殺人容疑で留置されてしまう。
誰が味方で誰が敵なのか。
見知らぬ土地で、私は活路を見いだせるのだろうか。
独立間もないインドネシアで日本人新聞記者が巻き込まれた謀略事件。
混沌とした政情を背景に、冷酷非情な世界を描く国際スパイ小説の白眉。
著者 三好 徹
1931年東京生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。読売新聞社に入社。記者生活のかたわら、執筆活動を開始。'67年に『風塵地帯』で第20回日本推理作家協会賞、'68年には『聖少女』で第58回直木賞を受賞する。歴史小説、推理小説など、幅広いジャンルで活躍。
2015年08月28日
『推理小説展望』 第19回 日本推理作家協会賞受賞(1966年)著者 中島 河太郎(なかじま かわたろう)
推理小説展望 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
緻密な考証と公平な視点によって、推理小説をその起原から詳説。
松本清張の登場によりジャンルとして画期的な展開を示した、昭和30年代の情勢を的確に検証し、次代の推理小説界を展望していく。
刺激的かつ網羅的なこの大冊はファン必携の推理小説の本質を知る研究書である。
著者 中島 河太郎(なかじま かわたろう)
日本のミステリー文学評論家、国文学者。鹿児島県鹿児島市生まれ。1947年に探偵新聞に連載した「日本推理小説略史」でミステリー小説評論家として名を馳せ、活動を開始する。1985年から4年間日本推理作家協会理事長を務め、ミステリー文学資料館の初代館長も務めた。1999年、第2回日本ミステリー文学大賞を受賞。1999年没。
2015年08月27日
『華麗なる醜聞』 第18回 日本推理作家協会賞受賞(1965年)著者 佐野 洋(さの よう)
華麗なる醜聞 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
中央日報の稗田は元駐日P国大使にかんするフランス紙の記事に興味を持った。
日本人ハイ・ホステスとの関係で離婚騒動とか。彼の意を受けた記者の調査は、未解決の連続爆弾事件と結びついた。
ハイ・ホステスとは。爆弾犯人は。記者の取材本能が事件の核心に迫っていく。
著者 佐野洋
1928年、東京に生れる。’53年、東京大学心理学科卒。読売新聞社に入社。’59年、退社して作家活動に入る。’65年、「華麗なる醜聞」で日本推理作家協会賞受賞。’97年日本ミステリー文学大賞受賞。
2015年08月26日
結城昌治 『夜の終る時』、河野典生 『殺意という名の家畜』 第17回 日本推理作家協会賞受賞(1964年)
『夜の終る時』
幼馴染みがヤクザの幹部になっている徳持刑事は、なにかと癒着が疑われていた。その徳持刑事がふいに消息を絶ち、翌日にホテルで死体となって発見される。同僚の死に対して必死の捜査をつづける刑事たちは、ついに幹部の逮捕にこぎつけた。だが、留置場に入っていた彼が…。本格仕立ての警察小説と倒叙形式によって浮き彫りにされていくひとりの警官の心の軌跡。多彩なミステリを展開する作者の斬新な構成の意欲作。
著者 結城昌治
1927年(昭和2)、東京に生まれる。49年(昭和24)早稲田専門学校を卒業し、東京地検に勤務したが、結核が発病し3年間の療養生活を送った。59年(昭和34)短篇「寒中水泳」によって認められ、『ひげのある男たち』『ゴメスの名はゴメス』等を執筆し、ユニークな推理作家として注目された。70年(昭和45)、「中央公論」に連載した『軍旗はためく下に』で第六十三回直木賞を受賞。96年(平成8)1月、逝去。
『殺意という名の家畜』
犯罪小説家として売り出し中の私のもとへ、むかし抱いた星村美智から電話がかかってきたのは深夜だった。「今、会ってほしいの」という。むろん私は断ったが、私の郵便受けに一片のメモを残して彼女は消息を絶った。しかたなくメモを調べはじめる私。そこに驚くべき知らせが…。自堕落な生活に耽っていた娘の失踪と、その行方を追う犯罪小説家。退廃的青春群像を描きつつ暴行事件の真相に迫る正統ハードボイルドの傑作。
著者 河野典生(こうの・てんせい)
1935年1月高知県生まれ。詩作、劇作のかたわら1960年『陽光の下、若者は死ぬ』でデビュー。1964年『殺意という名の家畜』で推理作家協会賞を受賞。日本のハードボイルド小説の先駆者となる。幻想派SF小説、ジャズ小説など、多彩な執筆分野とジャズのフィーリングを持つ作家として特異な存在。
2015年08月25日
『影の告発』 第16回 日本推理作家協会賞受賞(1963年)著者 土屋 隆夫(つちや たかお)
影の告発―千草検事シリーズ 土屋隆夫コレクション (光文社文庫)
「あの女が…いた…」そう言って、デパートのエレベーターの中で男が死んだ。
手がかりは、落ちていた名刺とこの言葉だけ。被害者の周辺から疑わしい人物の名前が挙がってくるが、決定的証拠が掴めない。
そして被害者の過去の鍵を握る少女の影。千草検事と刑事たちは真実を追いかける―。
満員のデパートのエレベーター内で中年男が毒殺された。名刺と古い写真だけを手がかりにすすめられる捜査。アリバイは完璧だが、東京地検の千草検事はひとりの容疑者にこだわりつづけた。あくまでもアリバイは偽り、と考える千草検事。そこに新たな殺人事件の第一報が…。鉄壁のアリバイをもつ容疑者を着実に追いつめていく千草検事。文学精神と謎の面白さの完全な合一を目指した作者が一つの頂点を極めた感動作。
著者 土屋隆夫
1917年長野県生まれ。’49年「『罪ふかき死』の構図」でデビュー。長編第一作は『天狗の面』(’58)。『危険な童話』など寡作ながら格調の高い文芸ミステリーを発表しつづけ、’63年、千草検事シリーズ第一作『影の告発』で第16回日本推理作家協会賞受賞。2002年には第5回日本ミステリー文学大賞を受賞している。
2015年08月24日
『細い赤い糸』第15回 日本探偵作家クラブ賞(現 日本推理作家協会賞)受賞(1962年)著者 飛鳥 高(あすか たかし)
細い赤い糸 日本推理作家協会賞受賞作全集 (15)
汚職の火の粉を防ぐため上司を殺害しようとする男。
恋愛を邪魔する要因を排除しようとする女性。
院長のポスト争いに関わる副院長。
強盗を企てた青年。
4人の何のつながりもない人間が次々に殺される。そして殺害現場に細い赤い糸が残されている。
犯人はなぜこの4人を殺したのか、どうして細い赤い糸を残すのか…。
異なるそれぞれの事件が最後にひとつにまとまります。ラスト20ページに注目!
著者 飛鳥 高
1921年、山口県生まれ。東京帝国大学工学部卒。建築技師を務めるかたわら「宝石」の第一回懸賞募集に「犯罪の場」を投じてデビュー。62年、『細い赤い糸』で第15回日本探偵作家クラブ賞を受賞 。
2015年08月23日
水上勉 『海の牙』、笹沢左保 『人喰い』第14回 日本探偵作家クラブ賞(現 日本推理作家協会賞)受賞(1961年)
海の牙 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
人喰い 日本推理作家協会賞受賞作全集 (14)
水上勉 『海の牙』
熊本県水潟市に発生した恐るべき「水潟病」。原因は工場廃水中の有機水銀と推定されたが、調査に訪れた東京の保健所員結城が行方不明に。大学教授とその助手と称する怪しい二人組と、結城の妻郁子の不審な行動…。探偵好きの医師が刑事とともに調べはじめる。
笹沢左保 『人喰い』
花城佐紀子の姉・由記子が、遺言を残し恋人の本多昭一と失踪した。昭一は由記子の勤める会社の社長の息子で、折しも経営側と組合側の激烈な労働争議が続いていたため、二人の恋は許されぬものだった。二日後、山梨の昇仙峡で昭一の死体が発見された。警察の調べでは単独自殺か他殺ということだった。姉はどこへ消えたのか?佐紀子は、姉の同僚でもある恋人の豊島と真相を追う。
水上勉 (1919-2004)福井県生れ。
少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。
笹沢左保
1930年、東京都生まれ。神奈川県横浜市出身。『木枯し紋次郎』シリーズの原作者として知られ、推理小説・サスペンス小説・恋愛論などのエッセイのほか、歴史書等も著し、作家活動42年間で、380冊もの著書を残した。2002年没。
2015年08月22日
『憎悪の化石』と『黒い白鳥』第13回 日本探偵作家クラブ賞(現 日本推理作家協会賞)受賞(1960年)著者 鮎川 哲也
憎悪の化石: 鬼貫警部事件簿 (光文社文庫)
黒い白鳥: 鬼貫警部事件簿/鮎川哲也コレクション (光文社文庫)
『憎悪の化石』
熱海の旅館で湯田真壁なる男が殺された。所持品から特定の人物を脅喝していた疑惑が浮上、湯田に恨みを持つ者を絞り込む捜査陣だが、疑いのある人物にはすべてアリバイが成立していた。捜査は行き詰まり、バトンは警視庁の鬼貫警部に委ねられた。1ダースの容疑者を相手に鬼貫の執拗な捜査が始まったが、その真犯人とは―。
『黒い白鳥』
久喜駅近くの線路沿いで見つかった射殺屍体の身許は、労使抗争に揺れる東和紡績の社長と判明した。敗色濃厚な組合側の妄動か冷遇の憂き目に遭う新興宗教かとかれるが捜査は膠着。一条の糸を手繰って京都から大阪、そして九州へ向かう鬼貫警部が香椎線終着駅の町で得たものは?
著者 鮎川哲也
1919年東京生まれ。『黒いトランク』をはじめとする鬼貫警部もの、また『りら荘事件』に代表される名探偵星影龍三もの等、日本の本格推理の歴史に多大なる足跡を残す。2002年没。