新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2015年12月28日
『道徳の時間』第61回江戸川乱歩賞受賞(2015年)著者呉勝浩(ご・かつひろ)
道徳の時間
問題。悪い人は誰でしょう?
ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。
現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。
そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。
そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。
イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。
同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。
かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。
十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。
動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。
青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。
証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。
著者 呉勝浩(ご・かつひろ)
1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。本作『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞する。