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2015年07月16日
NHKすっぴん! 「源ちゃんのゲンダイ国語」で紹介された本「ホームレス歌人のいた冬」
「源ちゃんのゲンダイ国語」は、NHKラジオ第一で、月曜〜金曜の朝放送されている、「すっぴん!」の金曜日のパーソナリティー高橋源一郎が、選んだ本を紹介するコーナーです。
以前にそのなかで紹介された本、「ホームレス歌人のいた冬 (文春文庫)」
“ホームレス”を名乗るその男・公田耕一は、朝日新聞の投稿歌壇に現われるや、大反響を巻き起こした。しかし誰との接触も拒否したまま、ある日忽然と消えた。いったい彼はどんな人間だったのか?実像を求めて横浜のドヤ街をさまよいながら、表現することの大切さへと辿りつく感動の異色ノンフィクション。
著者 三山喬それでは、いくつか紹介します。
1961年神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。新聞記者として13年間勤めた朝日新聞を98年に退社、ペルーに移住。南米在住のジャーナリストとして活躍後、2007年に日本に帰国。以後も旺盛な取材・執筆活動を続けている。
- 百均の「赤いきつね」と迷ひつつ月曜だけ買ふ朝日新聞
- パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる
- (柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ
- 温かき缶コーヒーを抱きて寝て覚めれば冷えしコーヒー啜る
- 鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか
- 炊き出しの並ぶ歌あり住所欄(ホームレス)とありて寒き日
- 百均の『赤いきつね』と迷いつつ月曜だけ買ふ朝日新聞
- 親不孝通りと言へど親もなく親にもなれずただ立ち尽くす
- 水葬に物語などあるならばわれの最期は水葬で良し
- 日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る
- 哀しきは寿町といふ地名長者町さへ隣にはあり
- 我が上は語らぬ汝の上訊かぬ梅の香に充つ夜の公園
- 雨降れば水槽の底にゐるごとく図書館の地下でミステリー読む
- 辞書持たぬ歌作りゆゑあやふやな語句は有隣堂で調べる
- ホームレス歌人の記事を他人事のやうに読めども涙零しぬ
- 胸を病み医療保護受けドヤ街の柩(ひつぎ)のやうな一室に居る
- ホームレス襲撃事件と派遣村並ぶ紙面に缶珈琲零す
- 美しき星座の下眠りゆくグレコの唄を聴くは幻
- 七分の至福の時間寒き日はコイン・シャワーを一身に浴ぶ
- 説教と引換えに配るパンならば生きる為には説教を聞く
著者は本の中でこう言っています。「野宿者の最も本質的な部分、つまり帰るべき家を失うという退路を断たれた感覚は、本物のホームレスにならなければ、絶対にわからないことである」(本書14ページより)
あと二首紹介します。
- リサイクル文庫にひつそり黄ばみたる「清唱千首」戀(こい)の部を読む
- ララ物資ならぬ支援のジー・パンのウエスト58が入りぬ
ララ物資や50年ほど前の歌手、ジュリエット・グレコなどの名称が詠われている所から70歳代?と類推する人もいたそうです。
「源ちゃんのゲンダイ国語」で取り上げた本をまとめてご紹介します。
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価格:658円 |