2017年02月21日

中野 吉郎を憶えているか!?(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ 2017/02/21




世界王座連続防衛回数ランキングは小休止中。
あれ…ほんとにしんどいんです。


さてさて、タイトルに挙げたのは中野 吉郎(協栄)。
第39代日本ウェルター級王者。


彼は根っからのボクシングマニア…
なにやら父の代からそうだったらしい。
それが行きすぎて日本王者にまでなってしまった…らしいのだけど。

そんな中野のボクシング…。
当時ボクシングを見始めで何もわかっていなかった自分にとって衝撃的だった。

これまで、彼ほどに不細工なボクシングをする選手を見たことがない。
まだ技術が確立される前のオールドタイムの映像は別として…
前に出る…そして殴る…
僕の目には中野のボクシングはただただ単純にそれだけに見えた。

スピードも、パンチも、そしてセンスもない…


当時のウェルター級にはセンスにあふれた綺麗なボクサーが何人かいたと思う。
彼らの牙城に…まさか中野が割り込んでしまうなんて…。

中野は華麗に捌かれる。
ただただ泥臭いだけの…田舎者が東京に出てきました…みたいなボクシングで
あっという間にシティボーイに主導権を握られる。
※あくまで例えね…。

きらびやかにセンスを振りまく対戦相手…
引き立て役として中野の泥臭いボクシングは抜群の材料…。


しかし…である。
愚直に前に前にプレスを掛けていく中野。
気がつくと…そのプレスに華麗な選手は疲弊してしまう。


どれだけ殴られていようと、どれだけ手を出そうと…
まったくと言って疲弊していない中野のタフネス…。
次第に相手は泥沼に引きずり込まれる。

前半輝きを放った相手の美しさは、
中野の愚直さに巻き込まれ、輝きを失い…泥まみれになっていく。
まさに…悲壮という言葉が当てはまる。


スピードも、パンチも、そしてセンスもない…
そんな中野は抜群のタフネスを持っていた。
試合が進むにつれて、スピードもパンチも、センスも豊かな選手が…
中野以上にスピードも、パンチも…センスのかけらさえも見せれなくなる。

見ていて鳥肌が立った…。
中野という選手がこれ以上なく恐ろしく思えた。

これが…ボクシング。
華やかな人気選手を飲み込んでいく化物。


モンスターというあだ名で花々しく活躍する井上 尚弥(大橋)
中野を見ている自分にとって…モンスターという異名はしっくり来ない。
彼のような華麗なボクサーこそ…モンスターに悲壮に食われる存在に思えてしまう。

僕の中の中野というボクサーはそれほど恐ろしい。


まだまだ、遠く離れた後楽園通いもできない未成年だったころ、
TVの深夜中継で加山 利治(ワタナベ)を食い破った中野。
僕はその一試合しか知らない。

しかし…その一試合を忘れることはできない。


ボクシングの奥深さ、怖さ…
そして魅力を詰め込んだような試合だった。


あの試合があったからこそ、明らかにセンスに劣る地方選手が後楽園に挑む時…
僕は握りこぶしを作ってしまう。

不細工でもいい…かっこ悪くてもいい…
誰がどんな予想をしようといい…
勝つ可能性は…努力を重ねた誰もが持っている。

中野のあのタフネスは…どれほどの距離を走って作られたのだろうか…。
撃たれても撃たれても下がらないあの精神力は…どれほどの思いで作られたのだろうか…。


たった一度の防衛さえかなわなかった日本王者。
しかし…僕のボクシング史の中で、彼ほど強烈な日本王者はいない。



まだまだ、ボクシングになんてちょっとしか興味しかなかった頃。
僕の記憶にはデフォルメがあるかもしれない。
それでも、彼の記憶をそのまま残しておきたい思いから…彼の試合を見返すことはしていない。

あのとき感じた衝撃を…そのまま残しておきたい。
僕の中でもっとも美しいボクサーは…泥臭さの頂点のような男だった。






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