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2017年11月06日
各種コンクリートの施工計画のポイント
【水中コンクリートの施工計画】
※場所打ち杭、地中連続壁に用いる
・水中で材料分離が生じて
所定の強度が得られないことがないように、
単位セメント量の下限値が決められている。
(土木学会示方書)350 kg/m3以上
(JASS5)360 kg/m3以上
・トレミー先端はコンクリート内へ
2m以上挿入すること。
・余盛り高さ
(土木学会示方書)50 p以上、
(JASS5)50〜100p
===============================
【水中不分離性コンクリートの施行計画】
・一般のコンクリートに比べて粘性が高く、
圧送時の圧送負荷を
一般のコンクリートの2〜3倍にする必要がある。
・練り混ぜは強制練りミキサを用い、
練混ぜ時の負荷も大きいので、
練混ぜ量はミキサの公称容量の80%以下を標準とする。
・材料分離抵抗性が高いが、
品質低下の防止のためには、打ち込み条件としては
以下の規定を満足する必要がある。
(土木学会示方書)
静水中(流速 5p/s)、水中落下高さ 50p以下
・水中で高い充填性やセルフレべリング性を発揮する。
しかし、水中で過度に流動させると、
品質の低下や不均質性を生じるとがあるので、
水中流動距離は 5m以下を原則としている。
===============================
【海水の作用を受けるコンクリート】
・打継目は塩化物イオン等の侵入において弱点になるため、
干満部に打継目を設けるのはできるだけ避け、
最高潮位から上 60pと
最低潮位から下 60pとの間の干満部には、
打継目を設けないように
連続作業でコンクリートを打設する。
・海水がコンクリートに浸透して凍結融解作用が生じると、
淡水の場合よりも凍害の劣化が激しくなる。
・海水中の硫酸マグネシウムは
セメントの水和生成物である水酸化カルシウム
と反応して、
膨張性の石こうの結晶(二水石こう)と
水酸化マグネシウムを生成する。
さらに、二水石こうの一部は
セメント中のアルミン酸三カルシウムと反応して
膨張性のエトリンガイドを生成し、
そのエトリンガイドが吸水膨張することで、
コンクリートが破壊する。
・JASS5ではセメント種類・塩害環境の区分に応じて、
土木学会示方書では
現場施工か工場製品か等の施工条件・環境区分に応じて、
水セメント比の最大値を定めている。
塩害環境下である飛沫帯では45%以下とする。
実績等により55%以下で認める場合もある。
・コンクリートに陽極(アノード)を設置し、
鋼材を陰極(カソード)として、
継続的に電流を流すことにより
鋼材の電位をマイナス方向へ変化させ、
鋼材の腐食を電気的に抑制する工法がある。
(電気防食工法)
・硬化後に外部からコンクリート中に侵入する塩分は、
アルカリの供給源となるので、
アルカリシリカ反応を助長させることがある。
アルカリシリカ反応は、
反応性骨材、水酸化アルカリ、水分
の3つが同時に存在して発生する。
海水中にはNa+等のアルミン金属イオン
が含まれているため、
外部から海水(塩分)がコンクリート中に浸透すると、
コンクリート中の水酸化アルカリが多くなり
アルカリシリカ反応を促進される危険性が高くなる。
・コンクリート中の鋼材腐食は、
海水に含まれる塩化物イオン(Cl-)
がコンクリート中に侵入し、
鋼材位置の塩化物イオン濃度がある濃度以上に達したとき、
鋼材周囲の不動態皮膜が破壊されることで開始する。
つまり、鋼材腐食に関する化学物質は Cl-を含む。
コンクリートの体積膨張によるひび割れは、
海水に含まれる硫酸マグネシウム(MgSO4)が
セメントの水和生成物である
水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して
膨張性の石こうの結晶と
水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成し、
さらに、石こうの一部がセメント中の
アルミン酸三カルシウム(C3A)と反応して
膨張性のエトリンガイドを生成することで生じる。
コンクリートの多孔質化は海水に含まれる MgCl2が
セメントの水和生成物である
水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して、
水溶性の塩化カルシウムを形成することによって生じる。
★ ★ ★ ★ ★
2017年11月03日
コンクリート構造物に発生するひび割れの抑制について
コンクリートのひび割れの抑制についてよくまとめられているので、
品質問題の対策として参考まで
問題)
コンクリート構造物に発生するひび割れの抑制について、あなたの専門の立場から記述しなさい。
( 32字 × 25行 = 800字 )(H09)
【方針】
・ひび割れの原因
・対象とするひび割れ
・抑制の重要性
・抑制対策
・効果
・まとめ
の順で記述する
【解答例】
コンクリート構造物に生じるひび割れの原因は、
A 材料(反応性骨材など)、
B 施工(かぶり不足など)、
C 使用・環境(炭酸ガスや外部塩化物など)、
D 構造・外力(不同沈下など)
がある。
これらの原因によるひび割れは構造物に重大な影響を与えるが、特にコンクリート中の塩化物および外部塩化物による塩害によるコンクリートのひび割れ、さらに剥離は、社会的にも重大な問題となっている。
塩害では、塩化物イオンが閾値を超えて鉄筋近傍に蓄積することにより、鉄筋の不動態皮膜が破壊され、水分と酸素があると錆が発生する。錆は、元の鉄の体積の2〜3倍となるので、鉄筋周辺に引張応力が発生し、鉄筋軸方向にひび割れが発生する。これによりさらに腐食が促進され、かぶりコンクリートの剥離や鉄筋断面の減少が起り、使用できなくなる。また、断面修復などの補修では、再補修の必要があり、結局ライフサイクルコストが高くなる。このため、事前の抑制対策が必要である。
抑制対策としては、基本的には低水セメント比、混和材(高炉スラグ微粉末、フライアッシュなど)の利用により、耐用期間内に塩化物イオンが閾値を超えないようにかぶりを設定する。環境条件等が厳しくこの対策では十分ではない場合には、塗装鉄筋や防食型枠の使用、さらには電気防食の適用を検討する。
低水セメント比や混和材の使用によって、塩化物イオンの拡散係数が低くかつ塩化物イオンが固定化され、鉄筋の不動態皮膜が破壊されるまでの年数が数倍から10倍にもなる。また、塗装鉄筋は普通鉄筋と比べて腐食し難く、防食型枠により塩化物イオンの侵入が抑えられる。このため、ひび割れ発生までに要する年数を極めて長くうることができる。
ひび割れが発生すると、結局ライフサイクルコストは高くなるので、当初に十分な抑制対策を行うことが重要である。
※品質問題記述の参考
2017年10月12日
コンクリートに用いる水
(JIS A5308附属書C)
コンクリートの品質管理
●スラッジ水を練混ぜ水として用いる場合
の適用範囲と品質規定項目について
スラッジ水は回収水の一部であり、
上水道水以外の水の品質規定に適用したものであれば、
練混ぜ水として使用できる。
品質項目
(上水道以外の品質)
・塩化物イオン量の上限値 200mg/m3以下
・セメントの凝結時間の差
始発は30分以内
終結は60分以内
・モルタルの圧縮強さの比
材齢7日および28日にで90%以上
・スラッジ固形分率 3.0%をこえない
スラッジ固形分率:
スラッジ固形分の質量/単位セメント量
・スラッジ固形分率 1.0%未満で用いる場合、
コンクリート配合において、
スラッジ固形分を水の質量に含めてもよい。
この場合、スラッジ水は練混ぜ水の全量に使用し、
かつ、濃度の管理期間ごとに1%未満となるように
管理しなければならない。
・呼び強度 45N/mm2 以下のコンクリートに使用できる。
高強度コンクリートなどには使用不可
●練混ぜ水に2種類以上の水を混合して用いる場合には、
それぞれの水の混合前の品質が
所定の規定に適合していなければならない。
上澄水は、回収水としての品質試験を行い、
品質規定に適合したものを使用する。
工業用水は上水道水以外の水であるので、
上水道水以外の品質規定に適合していなければ使用できない。
河川水は上水道水以外の水であるので、
上水道水以外の品質規定に適合していなければ使用できない。
2017年08月26日
コンクリートの材料 JASS 5
4.1 総則
コンクリート材料は、
あらかじめ品質が確かめられているものを用いる。
4.2 セメント
a. セメントは
JIS R 5210(ポルトランドセメント)
JIS R 5211(高炉セメント)
JIS R 5212(シリカセメント)または
JIS R 5213(フライアッシュセメント)
に適合するものとする。
b. 上記 a項以外のセメントの品質は、特記による。
c. 計画共用期間の級”長期”の場合、
使用するセメントは上記 a 項のうち、
JIS R 5210(ポルトランドセメント)に
適合するものを原則とする。
d.セメントの種類は、使用箇所別に特記による。
特記がない場合は、使用箇所別に種類を定めて、
工事監理者の承認を受ける。
4.3 骨材
a.骨材は、有害量のごみ・土・有機不純物・塩化物などを含まず、
所要の耐火性及び耐久性を有するものとする。
b.粗骨材の最大寸法は、
鉄筋のあきの4/5以下かつ最小かぶり厚さ以下とし、
特記による。特記のない場合は、表4.1の範囲で定めて、
工事監理者の承認を受ける。
表4.1 使用箇所による粗骨材の最大寸法 (mm) (略)
c.普通骨材は、下記 (1)〜(3)による。
(1)砂利、砂は表4.2 および表4.3 に示す品質
を有するものとする。
ただし、その骨材を用いたコンクリートが所定の品質
を有することが確認された場合は、特記により
絶乾密度 2.4 g/cm3以上、
吸水率 4.0%以下の砂利・砂、および
塩化物が 0.04%を超え 0.1%以下
の砂を用いることができる。
(2) 砕石および砕砂は、
JIS A 5005(コンクリート用砕石および砕砂)
スラグ骨材は
JIS A 5011(コンクリート用スラグ骨材)
にそれぞれ適合するものとする。
(3) 再生骨材は、表4.2 および表4.3 に適合し、かつ
密度 1.95(g/cm3)の液体に浮く粒子が質量で 1.0%以下とする。
(4) 異種類の骨材を混合しようする場合は、
混合する前の品質がそれぞれ
(1),(2)または(3)の規定を満足するものでなければならない。
ただし、塩化物と粒度については、
混合したものの品質が表4.2 および表4.3 の規定
を満足するものとする。
表4.2 砂利・砂の品質
表4.3 砂利および砂の標準粒度
d. 使用する骨材が化学的・物理的に不安定であるおそれのある
場合は、その使用の可否、使用方法について
工事監理者の承認を受ける。
e. 特に高い耐火性を必要とする箇所のコンクリートに用いる
骨材は、特記による。
f. 軽量骨材は 16節「軽量コンクリート」による。
g. 再生骨材の使用箇所、使用方法は特記による。
4.4 練混ぜ水
コンクリートに用いる水は、
JIS A5308(レディミクストコンクリート)附属書9(規定)
(レディミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)
に適合するものとする。
ただし、スラッジ水を用いる場合は、工事監理者の承認を受ける。
また、計画供用期間の級”長期”の場合は、スラッジ水を用いない。
4.5 混和材料
4.5.1 混和剤
a. AE剤、減水剤、AE減水剤、ならびに高性能AE減水剤は
JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に
流動化剤は
JASS5 T-402(コンクリート用流動化剤品質基準)に、
防せい剤は
JIS A 6205(鉄筋コンクリート用防せい剤)に
適合するものとする。
b. 上記 a 項以外の混和剤の品質は特記による。
特記のない場合は、適切な品質基準を定め
工事監理者の承認を受ける。
c. 混和剤の種類と使用方法は、特記による。
特記のない場合は、工事に適切な種類と使用方法を定め
工事監理者の承認を受ける。
4.5.2 混和材
a. フライアッシュ、膨張材、高炉スラグ微粉末およびシリカフュームは、それぞれ
JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)、
JIS A 6202(コンクリート用膨張材)、
JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)および
JIS A 6207(コンクリート用シリカフューム)
に適合するものとし、種類・銘柄は特記による。
b. 上記 a 項以外の混和材の種類・銘柄および品質は、特記による。
特記のない場合は、種類・銘柄および適切な品質基準を定め
工事監理者の承認を受ける。
4.6 コンクリート材料の試験・検査・確認
コンクリート材料の試験・検査・確認は 13.3による。
2017年08月16日
特殊なコンクリート
海洋コンクリート
============================
基本事項
海水の作用を受けるコンクリート
海水、海水滴又は飛来塩分の影響を受けるおそれのある
部分のコンクリートに適用される。
============================
JASS5の区分によると塩害環境の区分は以下のようになる
有害環境の区分
@重塩害環境
・飛来塩分量 25mD・D
・地域と立地条件の例
日本海側、沖縄県全域等の地域で
汀線から 20m 程度の範囲
A塩害環境
・飛来塩分量 13を超え25mD・D以下
・地域と立地条件の例
日本海側、沖縄県全域等の地域で
汀線から 20〜70m 程度の範囲
B準塩害環境
・飛来塩分量 4を超え13 mD・D以下
・地域と立地条件の例
日本海側、沖縄県全域等の地域で
汀線から 20〜150m 程度の範囲
※ mD・D:飛来塩分の単位
mg/dm2/day、 1dm=0.1m
重塩害環境、又は塩害環境に位置する場合の塩害対策は、
次の@からBのいづれか、又はその組み合わせによる。
@コンクリートの表面に
塩化物イオンの透過性が小さい表面皮膜材を施し、
コンクリート中への塩化物イオンの浸透を抑制する。
A鉄筋を防錆処理する、又は耐食鉄筋を使用する。
Bその他、特殊な鉄筋防食抑制方法を採用する。
なお、許容最大ひびわれ幅は 0.2mm
水セメント比の最大値は
塩害環境、準塩害環境で
普通ポルトランドセメントの場合、 45%及び 55%以下
高炉セメントB種の場合で、 50%及び 60%以下
かぶり厚さは
塩害環境では計画供用期間 短期の場合
50 (普通 Fc=36、BB Fc=33)
60 (普通 Fc=33、BB Fc=30)
準塩害環境では計画供用期間 短期の場合
40 (普通 Fc=36、BB Fc=24)
50 (普通 Fc=33、BB Fc=21)
供用期間 標準の場合
40 (普通 Fc=36、BB Fc=33)
50 (普通 Fc=33、BB Fc=30)
60 (普通 Fc=30、BB Fc=24)
供用期間 長期の場合
50 (普通 Fc=36、BB Fc=33)
60 (普通 Fc=33、BB Fc=30)
その他、海洋の作用を直接うける場合の注意点
◆打継目は塩化物イオン等の侵入において弱点となるため、
干満部に打継目を設けるのはできるだけ避け、
最高潮位から上 60 pと最低潮位から下 60p との間の
干満部には打継目を設けないように
連続作業でコンクリートを打ち込む。
◆海水が凍結融解作用に及ぼす影響(メカニズム)
については多くの諸説があり、現在もなされているが、
海水がコンクリートに浸透して凍結融解作用が生じると、
淡水の場合よりも凍害の劣化が激しくなること
が知られている。
◆海水中の硫酸マグネシウム ( MgSO4 )は、
セメントの水和生成物である
水酸化カルシウム ( Ca(OH)2 )と反応して、
膨張性の二水石こうと水酸化マグネシウム ( Mg(OH)2 )を生成する。
さらに、二水石こうの一部は
セメント中のアルミン酸三カルシウム ( C3A )と反応して
エトリンガイドを生成し、
そのエトリンガイドが吸水膨張することで、
コンクリートが破壊する。
◆JASS5では
セメント種類・塩害区分に応じて、
土木学会示方書では
現場施工か工場製品か等の施工条件・環境区分に応じて、
水セメント比の最大値を定めている。
この規定によれば、塩害環境下である飛沫帯では
45%以下とする必要がある。
ただし、土木学会示方書では、
実績、研究成果により確かめられたものは
最大の水セメント比を 5〜10%大きくしてもよいとあり、
55%とすることを認めている。
◆コンクリート中の鋼材腐食は、
海水に含まれる塩化物イオン( CL- )が
コンクリート中に侵入し、
鋼材位置の塩化物イオン濃度が
ある濃度以上に達したときに、
鋼材周囲の不動態皮膜が破壊されることで開始する。
つぎに、コンクリートの体積膨張によるひび割れは、
海水に含まれる硫酸マグネシウム ( MgSO4)が、
セメントの水和生成物である水酸化カルシウム ( Ca(OH)2 )と反応して、
膨張性の石こうの結晶と水酸化マグネシウム ( Mg(OH)2 )を生成し、
さらに石こうの一部がセメント中のアルミン酸三カルシウム ( C3A )
と反応して膨張性のエトリンガイドを生成することで生じる。
つまり、鋼材防食の原因物質は、
硫酸マグネシウム ( MgSO4)という化学物質である。
コンクリートの多孔質化は、海水に含まれる ( MgCl2 )が
セメントの水和生成物である水酸化カルシウム( Ca(OH)2 )
と反応して、水溶性の塩化カルシウムを形成することで生じる。
つまり、( MgCl2 )が該当する化学物質である。
暑中コンクリート
◆暑中コンクリートの練上がり温度の設定
【 土木学会示方書 】
コンクリートの練上がり温度 T [ ℃ ]
T ={ Cs( TaWa + TcWc ) + TmWm } / { Cs ( Wa + Wc ) + Wm }
Wa:骨材の質量 [ kg ]
Wc:セメントの質量 [ kg ]
Wm:練混ぜに用いる水の質量 [ kg ]
Ta:骨材の温度 [ ℃ ]
Tc:セメントの温度 [ ℃ ]
Tm:練混ぜに用いる水の温度 [ ℃ ]
Cs:セメント及び骨材の比熱の水の比熱に対する割合
一般に 0.2 と仮定してよい
使用する材料や配合などによって異なるが、コンクリートの温度を 1 ℃下げるためには、おおむね、セメント温度で 8 ℃、水の温度で 4 ℃、骨材温度で 2 ℃、いづれかの材料の温度を下げればよい。
遅延形の高性能 AE 減水剤は、スランプの保持性に優れており、暑中コンクリートにおけるスランプロス対策の一つである。
寒中コンクリート
◆寒中コンクリートの初期凍害防止対策
コンクリートの温度は、打ち込み後の凍結を避けるためには、10℃程度を確保する必要が、一方、打ち込み温度を上げると所要の単位水量の増加や凝結が早くなること。温度ひび割れが発生する可能性が生じることなどに注意が必要。
【 土木学会示方書 】では打ち込み時のコンクリート温度は 5〜20℃としている。
【 JASS 5 】
初期凍害を防ぐための養生終了時に必要とされるコンクリートの強度
5.0 N/mm2
【 土木学会示方書 】
初期凍害を防ぐための養生終了時に必要なコンクリート強度の標準は下記
型枠の取り外し直後に構造物が曝される環境(養生)を基準として、
(1)コンクリート表面が水で飽和される頻度が高い場合
断面の大きさ
(薄い場合)(普通の場合)(厚い場合)
15 12 10 N/mm2
(2)コンクリート表面が水で飽和される頻度が低い場合
断面の大きさ
(薄い場合)(普通の場合)(厚い場合)
5 5 5 N/mm2
※ 初期凍害を防ぐため、所定の強度が得られるまで、保温や加熱などの養生を行う必要がある。
【 土木学会示方書 】(施工編)では
打込み後の凍結を避けるためには、打込み温度は 10℃程度確保する必要があり、
【 土木学会示方書 】打込み時の温度 5〜20℃
【 JASS 5 】荷卸し時温度 10〜20℃
・コンクリートの練上がりの温度
【 土木学会示方書 】では練り混ぜ時および打込み終了時のコンクリート温度について次式を示し、時間あたりの温度低下をコンクリート温度と外気温との差の 15 %としている。
T2 = T1 - 0.15 ( T1 - T0 )× t
T0:周囲の温度
T1:練混ぜた時の温度 [ ℃ ]
T2:打込み終了時の温度 [ ℃ ]
t :練り混ぜてから打込み終了までの時間 [ h ]
< 積算温度方式 >
積算温度 M は一般に
M = Σ(θ + A )・Δ t
M:積算温度 [ ℃・日 または ℃・時 ]
θ:Δt 時間中のコンクリートの温度 [ ℃ ]
A:定数 (一般に 10℃)
Δt :時間(日または時)
(例)
5℃で 28日養生したコンクリートの圧縮強度と
10℃で14日養生したコンクリートの圧縮強度は同じ?
M = ( 5 + 10 ) × 28 = 420 ℃・日
M = ( 10 + 10 ) × 14 = 280 ℃・日
積算温度が異なるので、圧縮強度の発現も異なる
2017年08月15日
マスコンクリート
■□ 基本事項 □■
部材断面の最小寸法が大きく、かつ、セメントの水和熱による温度上昇で有害なひび割れが入るおそれのあるコンクリートに適用する。
JASS5にはその目安の断面寸法として、
(1) 壁・梁状部材で厚さ 80p以上
(2)マット状部材・柱状部材で 100p以上
マスコンクリートのひび割れ対策は設計段階と施工段階の両方で行う。
↓
「マスコンクリートの温度ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説(2008)」
材料の種類
(1) 中庸熱ポルトランドセメント
(2) 低熱ポルトランドセメント
(3) 高炉セメントB種
(4) フライアッシュセメントB種
(5) 普通ポルトランドセメントに混和材を混合したもの
混和材
JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)によるフライアッシュT種若しくはU種、又は
JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)による高炉スラグ微粉末の3000又は4000
※低熱ポルトランドセメントに膨張材を併用する場合、後続の小さな初期の低強度時に膨張することで、強度低下を生じる可能性があるので注意する。
※材料はできるだけ温度が低いものを用いる。
※調合は、コンクリートの所要の品質が得られる範囲内で、単位セメント量をできだけ小さくなるように試し練りによって定める。
その他、注意事項
◆マスコンクリートの温度ひびわれ抑制対策
【 土木学会示方書 】(設計編)では、コンクリートの断熱温度上昇特性として次式をあたえている。
Q( t ) = Q∞( 1- e <-γt >)
Q( t ) :材齢 t 日における断熱温度上昇量 [ ℃ ]
Q∞ :終局断熱温度上昇量[ ℃ ]
Q∞ = a + b・Ta
Ta:打込み時の温度[ ℃ ]
γ:温度上昇速度に関する係数
t :材齢 [ 日 ]
◆打込み開始前から型枠面を保温することは、内部拘束応力の低減には有効であるが、外部拘束応力の低減効果は小さい。
◆ひび割れ発生に関する照査式
I cr( t ) ≧ γcr
I cr( t ) :ひび割れ指数
I cr( t ) = ftk( t )/σt( t )
ftk( t ):材齢 t 日におけるコンクリート引張強度
σt( t ):材齢 t 日におけるコンクリート最大主引張応力度
γcr:ひび割れ発生確率に関する安全係数
また、一般に、
最大ひび割れ幅はひび割れ指数および鉄筋比が大きくなると小さくなる。
【 マスコンクリートの配合問題 】
マスコンクリートの温度ひび割れを抑制するため、単位結合材量 300 kg/m3とし、
その質量の 20%をフライアッッシュで置換する。
水結合材比 空気量 細骨材率 単位結合材量
( % ) ( % ) ( % ) ( kg/m3 )
55.0 4.5 46.5 300
セメントの密度:3.16 g/p3
フライアッシュの密度:2.30 g/p3
細骨材の密度:2.55 g/p3
粗骨材の密度:2.63 g/p3
細骨材の表面水率: 2.8%
※ 粗骨材は表乾状態
水、および粗骨材の計量値は?
――――――――――――――――――――――
セメント、水、フライアッシュ、細骨材および粗骨材の単位量 [ kg/m3 ]
セメント:C
水:W
フライアッシュ:F
細骨材:S
粗骨材:G
とする。
単位結合材料:C + F =300
フライアッシュ置換率: F/( C + F ) = 0.2
水結合材比: W/( C + F ) = 0.55
細骨材率: ( S/2.55 )/( S/2.55 + G/2.63 ) = 0.465
単位量: W + C/3.16 + F/2.30 + S/2.55 + G/2.63 + 45 = 1000
以上を解くと
W = 165
C = 240
F = 60
S = 816
G = 968 [ kg/m3 ]
表面水率 2.8%より 表面水率を w とすると
w /( S + w ) = w/( 816 + w ) = 0.028
w = 23.5 [ kg/m3 ]
よって、水の計量設定値 W’ および粗骨材の計量設定値 G’は
W’ = 165 - 23.5 = 141.5
G’ = G = 968(Gは表乾状態で使用)
高強度コンクリート
■□ 基本事項 □■
【 設計基準強度 】
36 N/mm2超 〜 80 N/mm2未満 に適用
45 N/mm2超の場合は
・JIS A5308に規定される「高強度コンクリート」認証取得
又は
・基準法37条二号の大臣認定
【 材料 】
・セメントの種類
JIS R5210に規定する
普通・中庸熱・低熱ポルトランドセメント
JIS R5211に規定する
高炉セメントA種及びB種
JIS R5213に規定する
フライアッシュセメントA種及びB種
・骨材
砕石又は砕砂を用いる場合は、原則として
砕石の粒径判定実績率 57%以上
砕砂の微粉分量試験で失われる量は 5.0%以下
・練混ぜ水
スラッジ水 不可
・混和剤 *特記による
特記がなければ、JIS A6204(コンクリート用化学混和剤)
に適合するもの
・混和材 *特記による
特記がなければ、
高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフューム及び膨張材
【 品質及び調合 】
・スランプ又はスランプフロー *特記による
JASS5 によると下記
Fc=45 N/mm2未満
スランプ 21p 以下 若しくは スランプフロー 50p以下
Fc=45 N/mm2以上 60 N/mm2未満
スランプ 23p 以下 若しくは スランプフロー 60p以下
Fc=60 N/mm2以上 80 N/mm2未満
スランプ 23p 以下 若しくは スランプフロー 65p以下
・単位水量 185 kg/m3以下
(JASS5 では175以下が望ましいとされている。
・水セメント比 50%以下
・空気量 *特記による
特記がなければ 2.0 〜 3.0% 標準
但し凍害を受けるおそれのある場合は 4.0 〜 6.0%標準
【 コンクリートの製造及び発注 】
・レディミクストコンクリート工場の選定
JIS A 5308「高強度コンクリート」の製品認証を受けていること
建基法37条二号による国土交通大臣の認定を取得した製造工場であること。
・発注にあたって確認すること( JIS A 5308 による)
@結合材(セメント等)の種類及び品質
A骨材の種類及び品質
B混和材料の種類及び品質
Cコンクリートの調合管理強度及びそれを保証する材齢
D練混ぜ方法
Eコンクリートの運搬経路と運搬時間
Fコンクリートの品質管理方法
・運搬車のドラムに付着したモルタルは、
「高強度」については原則として用いない。
・湿潤養生期間「 JASS5 」
Fc 36超〜40以下 40超〜50以下 50超〜60以下
普通ポ 5日以上 4日以上 3日以上
中庸熱ポ 6日以上 4日以上 3日以上
低熱ポ 7日以上 5日以上 4日以上
【 型枠 】
・せき板の存置期間 圧縮強度が 10 N/mm2以上を確認するまで
*必ずしも「圧縮試験を実施する」ということではない
回帰式により求める場合が多い
・支柱の存置期間
スラブ下の支保工はスラブの設計基準強度が得られたこと
が確認すれば、取り外すことができる。
【 品質管理・検査 】
・塩化物量の試験は
国土開発技術研究センターの技術評価を受けている方法による
カンタブ標準品
*低濃度品は技術評価の対象外なので注意
・一般強度のコンクリートに比較し高強度は、ばらつきが大きくなると考えられるので、1検査ロットに必要とされる供試体を9個とされている。
・高強度コンクリートの圧縮強度の検査に用いる供試体は、採取後直ちに圧縮強度に影響を及ぼさない初期養生対策を講じる、水分のI逸散防止対策として供試体上面をラップフィルム等で封かんする装置や、初期養生温度対策として 20℃前後の高温養生槽を用いて、速やかに標準養生と同一の温度条件とする措置を施す。
*大臣認定により、供試体採取後の扱い方(保管温度条件)が異なる場合があるため、特に工場が単独で取得した認定を採用する場合には、その内容をよく確認した上で、供試体の管理(保管)方法を検討することが必要である。
2017年08月05日
コンクリートの各種混和剤
セメントの一部を高炉スラグ微粉末で置換したコンクリートは、高炉スラグ微粉末が水酸化カルシウムなどの刺激により水和物を生成して組織を緻密化するため、透水係数が低減される。また、長期強度は増大し、耐海水性も向上する。
透水係数は、コンクリートの透水試験によって得られるもので、水密性を評価する係数である。
空隙が多く緻密でないコンクリートは、透水係数が大きくなる。
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中性化速度式は、大気中の炭酸ガスによる中性化の進行の程度を経過時間の関数として示したものである。
一般的に C = A√ t
の式が用いられ、Aを中性化速度係数と呼ぶ。
C;中性化深さ
t:経過時間
Aの値が大きいほど中性化速度が大きい。
フライアッシュで置換したコンクリートは、
フライアッシュのポゾラン反応によって緻密な組織となるが、
水酸化カルシウムと反応するため
水酸化カルシウムの消費が速まるので、
コンクリートの中性化速度係数は、
フライアッシュ無混入の同一水セメント比のコンクリート
とほぼ同じ。
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膨張材を用いたコンクリートは、
エトリンガイドや水酸化カルシウムの結晶を生成して膨張する。
乾燥収縮によるひび割れの発生を抑制する収縮補償コンクリート
とコンクリートの膨張を鉄筋などで拘束することにより
コンクリートに圧縮応力を導入する
ケミカルプレストレスコンクリートがある。
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透気係数は、コンクリートの透気試験によって得られるもので、
空気や酸素などの透過性を評価する係数である。
コンクリートの透気係数に関与する空隙は毛細管空隙であり、
シリカフュームを用いたコンクリートは、
シリカフュームのマイクロフィラー効果によって
毛細管空隙を減少させるので、
コンクリートの透気係数は小さくなる。
2017年07月31日
繊維補強コンクリート
(Fiber Reinforced Concrete)FRC
(Fiber Reinforced Concrete)FRC
合成繊維や鋼繊維などを
コンクリートに複合したコンクリート材。
連続繊維を織物として巻き付けたり貼り付けたりして補強されたものを「連続繊維補強コンクリート」、
数ミリから数センチに短く切った短繊維を混入して補強されたものを「短繊維補強コンクリート」という。
特徴
コンクリートには圧縮力に強く引張力に弱く、また延性に極めて乏しいという特性がある。
また硬化の進行や乾燥などにより体積が収縮する。
これらコンクリートの持つ本来の性質や、外力によって与えられた引張力によってコンクリートに変形が生じてひび割れを発生、その後ひび割れ幅が拡大し、水分、塩分などの浸入によって内部の鉄筋の腐食を生じるなどの問題が発生する。
繊維補強コンクリートは、コンクリートにひび割れが発生した後、補強繊維がひび割れ面間をつなぎとめることによって引張力を制御するものである。
プレストレスト・コンクリートはあらかじめ与えられた圧縮力によって引張力によるひび割れの発生を抑制するものであるが、想定以上のひずみ(変形)によってひび割れが発生してしまった場合には効果が発揮されないのに対し、繊維補強コンクリートはひび割れ発生後にその効果を発揮する点が特徴である。
鉄筋コンクリートも引張力によるひび割れを抑制するが、繊維補強コンクリートは、連続繊維による補強ではコンクリートの表面、短繊維による補強では繊維がコンクリート中に均一に存在するために鉄筋の外側を覆うかぶりコンクリートの剥落を抑制することができる。ただし他の特殊コンクリートと同様、コストもそれなりにかかる。
繊維補強コンクリートはひび割れが発生した後にその効果を発揮するため、トンネルや橋脚、橋梁など土木建造物の剥落防止対策や、ひび割れの抑制などを目的に用いられることが多い。
さらに、補強繊維の使用量を多くすると鉄筋、鉄骨などで補強されたコンクリートに匹敵する、場合によっては凌駕する最大応力や変形性能を示すようになり、繊維補強コンクリートが鉄筋コンクリートの代替として用いられることもある。
鉄筋コンクリートは鉄筋をかご状に組み立てて製造されるため、鉄筋の加工(切断、曲げ、結束、溶接)等に多くの工数を要する。
鉄筋コンクリートと同等、またはそれ以上の性能を示す短繊維補強コンクリートを用いると、鉄筋そのもの、および鉄筋の加工工程が省略できることによってコストや工期の大幅短縮が図れる点は大きな特徴である。
内装、外装に用いられる左官モルタルには、だれ防止の目的でごく少量の短繊維が混入されているものがある。昔の土壁などにはしばしば短く切った藁を混ぜた粘土が用いられていたが、材料は違えども、短繊維補強コンクリートと同様の考え方に基づくものであるといえよう。
繊維補強コンクリートは一般的に引張力に抗することを目的として使用されることが多いが、コンクリートの打設後に生じるブリージングや磨耗を抑制する効果も期待できる。
補強繊維
補強繊維としては、鋼(鉄)を削ったり引き伸ばしたりして製造される鋼繊維や、炭素繊維、アラミド繊維、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン繊維、ビニロン繊維などの、比較的強度、弾性率の高い合成繊維がよく使用される。
補強繊維の使用量は目的によって様々である。連続繊維補強コンクリートにおいては、織物状やシート状に成形した連続繊維をコンクリート部材表面に貼り付ける方法が一般的である。
そのため、目的とする補強の方向と繊維方向が揃うように貼り付けなければ設計どおりの補強効果を得ることができない。また貼り付ける織物やシートの密度の変更や、枚数の増減などによって、補強の度合いを変えることができる。連続繊維の貼り付けには、一般的にエポキシ系接着剤などが用いられる。 一方短繊維補強コンクリートにおいては、製造するコンクリート製品や部材の成形方法に影響を受けるが、原理的に繊維方向が均一になりにくく、全方向の補強が可能である。そのため、特定方向のみの補強では十分でない用途において有効な補強方法である。
反面、連続繊維による補強に比べて特定方向への応力に対して補強効率が低いともいえる。短繊維補強コンクリートにおける補強繊維の添加量も、目的によって様々である。一般的には最大3体積%程度が上限とされるが、これは、短繊維を混入量が増加することによってフレッシュコンクリートの流動性が低下していくためである。ただし、ガラス繊維補強セメントやスレートなどのように特殊な製造方法によって3体積%を超える短繊維が添加されている製品も存在する。
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超高強度繊維補強コンクリート
土木学会より「超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針 (案) 」が発刊されている。
超高強度繊維補強コンクリートは, 圧縮強度150N/mm2以上, 引張強度が5N/mm2以上と超高強度であり, さらに耐久性も通常のコンクリートに比べ格段に優れた材料である。指針案には超高強度繊維補強コンクリートを用いた構造物の構造性能, 耐久性の照査方法および施工に関する諸規定が示されている。
構造性能の照査においては, 超高強度繊維補強コンクリートの引張特性を考慮する点が, また耐久性照査においては, 設計耐用期間として100年を採ることが可能であり, 通常はコンクリート自体が高耐久であるため, 耐久性の照査を簡略化できる点が特徴である。
流通製品
・ダクタル
・サクセム
・スリムクリート
超高強度繊維補強コンクリートの設計施工指針(案)
2017年07月30日
コンクリートの練混ぜに用いる水
(JIS A5308附属書C)
■スラッジ水を練混ぜ水として用いる場合の
適用範囲と品質規定項目について
理解しておく必要があります。
スラッジ水は回収水の一部であり、
上水道水以外の水の品質規定に適用したものであれば、
練混ぜ水として使用できる。
品質項目
・塩化物イオン量の上限値 200ppm以下
・セメントの凝結時間の差
始発は30分以内
終結は60分以内
・モルタルの圧縮強さの比
材齢7日および28にで90%以上
・スラッジ固形分率 3.0%をこえない
スラッジ固形分率:
スラッジ固形分の質量/単位セメント量
・スラッジ固形分率 1.0%未満で用いる場合、
コンクリート配合において、
スラッジ固形分を水の質量に含めてもよい。
この場合、スラッジ水は練混ぜ水の全量に使用し、
かつ、
濃度の管理期間ごとに1%未満となるように
管理しなければならない。
・呼び強度 45N/mm2 以下のコンクリートに使用できる。
高強度コンクリートなどには使用不可
■練混ぜ水に2種類以上の水を混合して用いる場合には、
それぞれの水の混合前の品質が
所定の規定に適合していなければならない。
・上澄水は、回収水としての品質試験を行い、
品質規定に適合したものを使用する。
・工業用水は上水道水以外の水であるので、
上水道水以外の品質規定に適合していなければ使用できない。
・河川水は上水道水以外の水であるので、
上水道水以外の品質規定に適合していなければ使用できない。
2017年07月29日
コンクリート用化学混和剤
JIS A 6204-2011(コンクリート用化学混和剤)に規定されていますが、代表的なものをあげます。
【AE剤】
界面活性作用により微細な気泡(エントレインドエア)を連行させる混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性
【AE減水剤】
セメントの分散作用と空気連行作用の双方を有する混和剤で、規定されている項目を以下に示す。
・減水率
・ブリーディング量の比
・凝結時間の差分
・圧縮強度比
・長さ変化比
・凍結融解に対する抵抗性
【高性能AE減水剤】
高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤で、規定されている項目は
AE減水剤の項目に加え、
スランプおよび空気量の経時変化量の規定がある。
・単位水量の低減を目的とした普通コンクリート、流動性の保持を目的とした高流動・高強度コンクリートには不可欠な混和剤。
・コンクリートの凝結時間を遅延させる効果もあるので、暑中コンクリートにも適している。
【高性能減水剤】
高い減水性能を有し、空気連行性や凝結遅延性はないので、使用量が増加しても空気量の増大や凝結が遅延することはなく、高強度コンクリートの製造に最適である。
【発泡剤】
特殊処理したアルミニウム粉末であり、その発泡作用でコンクリートを膨張させる。
その他、
コンクリート用化学混和剤協会のJIS A 6204規格参照
セメントの試験方法
JIS R5201-1997 セメントの物理試験方法
【セメントの密度試験】
ルシャテリエフラスコおよびセメントと水和反応しない鉱油を用いて行い、一定質量の試料を入れ、試料の体積を測定して求める。
水は用いない。
【セメントの比表面積】
プレーン空気透過装置を用い、マノメータ液の降下する時間を測定して求める。
【セメントの凝結試験】
温度20±2℃、相対湿度 50%以上で、標準軟度のペーストについて、ビガー針装置を用い、始発用と終結用の標準針が所定の貫入量に達する時間を測定して求める。
【セメントの圧縮強さ】
曲げ試験によって切断された6個の折片を用い圧縮試験を行って求める。
コンクリートの材料 セメント
水硬性のカルシウムシリケートを主成分とする
クリンカーに適量のせっこうを加えて微粉砕した粉末、
及びこれに無機質粉末を混合したもので、
・JIS R 5210 ポルトランドセメント
・JIS R 5211 高炉セメント
・JIS R 5212 シリカセメント
・JIS R 5213 フライアッシュセメント
・JIS R 5214 エコセメント
等の規定がある。
セメントクリンカーの組成化合物の特性
・C3S(3CaO•SiO2)
けい酸三カルシウムは、
水和熱は中程度で
28日以内の早期強度の発現性に寄与する。
・C2S(2CaO•SiO2)
けい酸二カルシウムは、
水和熱は小さく、
28日以降の長期強度の発現性に寄与する。
・C3A(3CaO•Al2O3)
アルミン酸三カルシウムは、
水和熱は大きく、
1日以内の早期強度の発現性に寄与する。
・C4AF(4CaO•Al2O3•Fe2O3)
鉄アルミン酸四カルシウムは、
水和熱は小さく、強度にはほとんど寄与しない。
超早強ポルトランドセメント
早期に強度を発現
(早強ポルトランドセメントの強度を1日で発現)のために
早強ポルトランドセメントよりも
けい酸三カルシウム(C3S)の含有量を多くし、
粉末度を細かくしている。
JIS R 5210-2009(ポルトランドセメント)では、
材齢1日、3日、7日および28日の圧縮強さの下限値を規定している。
けい酸二カルシウム(C2S)の上限値は規定していない。
中庸熱ポルトランドセメント
普通ポルトランドセメントに比べて水和熱を下げるために
けい酸三カルシウム(C3S)および
アルミン酸三カルシウム(C3A)
の含有量を多くしている。
JIS R 5210では C3Sを50%以下、
C3A を8%以下と上限値を規定している。
フライアッシュセメント
ポルトランドセメントを
JIS A 6201-2008 に適合するフライアッシュで置換したもの。
フライアッシュはポゾラン反応性を有し、
良質なものは球形であるため単位水量を減じ、
長期的に強度を発現する動きがある。
乾燥収縮は小さく、水和熱も小さいので、
ダムなどマスコンクリートに使用されるが、
JIS R 5213-2009(フライアッシュセメント)では、
水和熱の上限値は規定されていない。
水和熱の上限値を規定しているのは、
中庸熱ポルトランドセメントと低熱ポルトランドセメント
のみである。
コンクリートとは?
コンクリート(concrete、混凝土)は、
砂、砂利、水などをセメントで凝固させた硬化物で
建築土木工事の材料として多く利用される。
セメントを水で溶いて混ぜただけのものをセメントペースト、
これに細骨材の砂を練混ぜたものをモルタルと呼び区別する。
強度と価格の面や施工の安易さから、
一般に最も広範に使用されている建築資材の一つであり、
建築物、道路、ダム、高架橋、トンネル、港湾設備
と用途は幅広い。
コンクリートは圧縮力には耐えられるが引張力には弱いため、
コンクリートを単体で使うより、
コンクリートの中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリート
として使われることが多い。
鉄筋を入れることで引張力を鉄筋が受け持ち、
どちらの力にも十分な強度を持たせることができる。
また、
鉄筋コンクリートに鉄骨を埋め込んだ
鉄骨鉄筋コンクリートや、
鉄骨鉄筋コンクリートの鉄骨を鋼管に置き換えた
鋼管コンクリート、
あらかじめ圧縮力をかけておくことによって
大きな引張力が作用しても軽減できる
プレストレスト・コンクリート、
生コンクリートに合成樹脂や鉄の繊維を混ぜ込んで
強度・延性を増した繊維補強コンクリートも用いられる。
いずれにしても、
水分との加水分解によって強度が発現するが、
水セメント比は低いほうが、高い強度が得られる。
レディミクストコンクリートが普及してからは
運搬時間経過を考慮して、
一般に、50〜60%以下に規定される。