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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

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【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
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DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2017年08月08日

英国実態指標「鉱工業生産」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月10日17:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月10日17:30に英国実態指標「鉱工業生産・製造業生産」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。

同時刻に、英国収支指標「貿易収支」の発表も予定されています。がしかし、これまでのところ本指標と比べると、反応方向への影響は本指標の方が大きいようです。よって、以下の分析は「貿易収支」発表の影響を無視して、本指標についてのみ行います。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1706英国鉱工業生産110.png

※ 本稿は8月8日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 過去の傾向では、指標発表直後跳幅が平均24pipsと大きく、反応方向は鉱工業生産前月比の発表結果の良し悪しに最も影響を受けます。
  • 過去の傾向では、早期追撃・短期利確に適しています。複数回の追撃も可ですが、指標発表から1分を過ぎたら順張り短期利確の繰り返しで追撃すべきです。
  • 指標結果の事前分析結果は「わからない」が結論です。がしかし、もし直前10-1分足が陽線ならば、指標結果は総合的に市場予想を下回る可能性が高い、と思われます。

定型分析の結果は以下の通りです。

1706英国鉱工業生産150.png

1706英国鉱工業生産160.png

1706英国鉱工業生産170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 指標結果の予想分析は、別々の分析結論が矛盾しており、「わからない」が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
    (1) 過去の傾向から言えば、鉱工業生産前月比と同前年比と製造業生産前月比と同前年比の発表結果は、それぞれの市場予想との差異に対し、5:3:2:1の比率で直後1分足の反応方向と75%の確率で一致します。
    この確率をアテにするとき、今回の発表結果は市場予想を上回る可能性があります。
    (2) 最も反応方向に影響する鉱工業生産前月比は、毎月の上下動が大きく、過去の傾向に基づく予想に向いていません。但し、直近の傾向だけに注目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
    ここ最近の傾向が今回発表も続くなら、今回の発表結果は市場予想を下回る可能性があります。
    (3) 鉱工業生産(と他の同時発表項目を総合した)指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。6月分製造業PMI実態差異はマイナスでした。
    よって、今回の鉱工業生産は前回結果を下回る可能性があります。今回の場合、市場予想をも下回る可能性があります。

  • 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
    (1) ときどき(頻度21%)直前10-1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の19pips以上動くことがあります。がしかし、過去の事例を見る限り、こうして直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目を見ないように気を付けましょう。
    (2) たまに(頻度10%)直前1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の14pips以上動くことがあります。過去の事例を見る限り、こうして直前1分足が大きく動くときには、指標発表直後1分足も大きく動く可能性が高いようです。残念ながら、そのとき直後1分足がどちらに反応するのかはわかりません。
    (3) しばしば(頻度31%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが67%となっています。但し、直後1分足が大きく跳ねたときは、大きく戻すこともあるため、追撃は慎重に行う必要があります。
    (4) たまに(頻度17%)直後11分足跳幅が50pips以上に達することがあります。こうした場合、大きな戻りを心配するよりも、更に反応を伸ばしがちです。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
    指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びた確率はそれほどでもありません。早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃も順張り短期利確に適しています。
    (2) 反応一致性分析の結論は、直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆し無し、です。
    (3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
    事前差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、ということです。
    実態差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。もし、直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が総合的(判別式参照)に前回結果を下回る/上回る可能性が高い、ということです。今回の市場予想は前回結果を総合的に上回っているので、直前10-1分足が陽線ならば発表結果が市場予想を下回る可能性が高い、ということになります。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
    (2) もし直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に売ポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確・損切を行います。
    (3) 指標発表後に反応方向を確認したら、順張り追撃して早期利確します。
    (4) 発表から1分を過ぎたら、順張り追撃で短期利確を繰り返します。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を基準年を100として指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。

本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1706英国鉱工業生産120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 12pips以下だったことは24%
  • 13-24pipsが28%
  • 25-36pipsが27%
  • 37-47pipsが14%
  • 48pips以上は7%

です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1706英国鉱工業生産210.png

1706英国鉱工業生産220.png

項目が多いため、個別項目毎にグラフを眺めるより先に、ポイントを探りましょう。

各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
指標結果への最も素直な反応は、事後差異(発表結果ー市場予想)に対して直後1分足跳幅となって表れます。よって、事後差異と直後1分足との方向一致率が高い項目が、反応への影響が大きいと見なせます。

1706英国鉱工業生産250.png

上表から、鉱工業生産前月比>鉱工業生産前年比>製造業生産前月比>製造業生産前年比、の順に反応への影響が大きいと言えます。

では次に、もし鉱工業生産前月比の事後差異が+0.1で、製造業生産前年比が△0.3だったとき、プラスとマイナスのどちらの影響が反応方向に影響するのか、といったことが重要です。そこで、事後差異と直後1分足との方向一致率は、次の式のように重み付けすると、そうした関係がわかります。これを判別式と呼び、

5✕鉱工業生産前月比の差異
+3✕鉱工業生産前年比の差異
+2✕製造業生産前月比の差異
+1✕製造業生産前年比の差異

で、符号を判別します。符号がプラスなら陽線、マイナスなら陰線です。
直後1分足の場合、各項目の事後差異を判別式に代入すると、過去事例の方向のうち75%が、本判別式の解の符号と一致します。

もちろん、こんな複雑な式を指標発表直後にぱぱっと求めることなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、過去の傾向と同様の反応(素直な反応)をすることがわかる点にあります。

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判別式の各項係数に基づき、鉱工業生産前月比の推移に着目します。
鉱工業生産前月比の推移を見る限り、上下動が大きく、過去のグラフ推移を今回予想に役立てることには無理があります。
ただ、直近の傾向だけに着目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。

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次に、本指標に先立って6月集計結果が発表されている製造業PMIとの対比を行います。対比は、それぞれ実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて行います。そして、鉱工業生産の結果は、先述の判別式で求めています。

結果、下図の通り、製造業PMI結果を前月結果を比べた良し悪しが、同月集計の本指標の前月結果との良し悪しと、方向一致率が66%となっています(3回に2回程度一致する)。
がしかし、集計月が同じでも調査時期が同じかがわかりません。そこで、PMIの翌月集計分や前月集計分との対比も行いました。結果、同月集計分との一致率だけ明らかに高くなっていました。

1706英国鉱工業生産260.png

鉱工業生産(関連の判別式結果)は、同月集計の製造業PMIとの相関がある可能性があります(仮説)。
もし、この仮説が正しいならば、6月分製造業PMIの実態差異はマイナスです。よって、今回の鉱工業生産(関連の判別式結果)は、前回結果を下回る可能性があります。

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以上の分析要点は以下の通りです。

(1) 過去の傾向から言えば、鉱工業生産前月比と同前年比と製造業生産前月比と同前年比の発表結果は、それぞれの市場予想との差異に対し、5:3:2:1の比率で直後1分足の反応方向と75%の確率で一致します。
この確率をアテにするとき、今回の発表結果は市場予想を上回る可能性があります。

(2) 最も反応方向に影響する鉱工業生産前月比は、毎月の上下動が大きく、過去の傾向に基づく予想に向いていません。但し、直近の傾向だけに注目すると、5か月連続で発表結果が市場予想を下回っています。
ここ最近の傾向が今回発表も続くなら、今回の発表結果は市場予想を下回る可能性があります。

(3) 鉱工業生産(と他の同時発表項目を総合した)指標結果が前回を上回るか否か(実態差異)は、同月集計の製造業PMIの実態差異と、過去66%が一致しています。6月分製造業PMI実態差異はマイナスでした。
よって、今回の鉱工業生産は前回結果を下回る可能性があります。今回の場合、市場予想をも下回る可能性があります。

すなわち、別々の分析結論が矛盾しており「わからない」が結論です。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が13pipsです。跳幅がその1.5倍の19pips以上だったことは過去6回(21%)あります。
この6回の直後1分足跳幅は22pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が19pips以上に達しても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1706英国鉱工業生産310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅が9pipsです。この跳幅が14pips以上だったことは過去3回(10%)です。
この3回の直後1分足跳幅の平均は39pipsで、これは過去全平均24pipsより15pipsも大きく反応しています。直前1分足がいつもより大きく動いたときには、直後1分足もやや大きく反応している可能性があります。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が14pips以上に達したときには、直後1分足の反応方向がわからないものの、大きく反応することを示唆している可能性があります。

1706英国鉱工業生産320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
追撃判断の目安をパッと得るため、計算しやすい30pips以上だった事例について調べておきました。そうした事例は過去9回(頻度31%)あります。この9回について、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは6回(67%)あります。

1706英国鉱工業生産330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が33pips、過去平均値幅が23pipsで、その差が10pipsあります。
直後11分足跳幅が50pips以上に達したことは5回(頻度17%)あります。このとき、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均5pipsしかありません。
つまり、直後11分足が大きく伸びたときには、比率で言って戻りが小さくなっています。これは戻りが小さいというよりも、反応を伸ばし続ける可能性が高い、ということです。

1706英国鉱工業生産340.png

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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。

(1) ときどき(頻度21%)直前10-1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の19pips以上動くことがあります。がしかし、過去の事例を見る限り、こうして直前10-1分足が大きく動いても、それが指標発表直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。釣られて痛い目を見ないように気を付けましょう。

(2) たまに(頻度10%)直前1分足跳幅が過去平均跳幅の1.5倍の14pips以上動くことがあります。過去の事例を見る限り、こうして直前1分足が大きく動くときには、指標発表直後1分足も大きく動く可能性が高いようです。残念ながら、そのとき直後1分足がどちらに反応するのかはわかりません。

(3) しばしば(頻度31%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが67%となっています。但し、直後1分足が大きく跳ねたときは、大きく戻すこともあるため、追撃は慎重に行う必要があります。

(4) たまに(頻度17%)直後11分足跳幅が50pips以上に達することがあります。こうした場合、大きな戻りを心配するよりも、更に反応を伸ばしがちです。


【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706英国鉱工業生産150.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。

がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%しかありません。早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃も順張り短期利確に適しています。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

1706英国鉱工業生産160.png

直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1706英国鉱工業生産170.png

事前差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。今回の事前差異はプラスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、ということです。

実態差異と直前10-1分足の方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。もし、直前10-1分足が陽線/陰線ならば、発表結果が総合的(判別式参照)に前回結果を下回る/上回る可能性が高い、ということです。今回の市場予想は前回結果を総合的に上回っているので、直前10-1分足が陽線ならば発表結果が市場予想を下回る可能性が高い、ということになります。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月10日17:30発表

以下は2017年8月10日21:00頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706英国鉱工業生産510.png

結果は、鉱工業生産が前回・予想を上回り、製造業生産は前回を上回り予想と同値でした。反応は陽線でした。

なお、同時発表された貿易収支は、予想を大きく上回る赤字だったものの、反応への影響はありませんでした。鉱工業生産>貿易収支の関係は、間違いないようです。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1706英国鉱工業生産520.png

「分析上の外れ」を除くと、次の2点が判断ミスでした。

2度目の追撃を142.78で買ポジションを得たのは判断ミスでした。すぐその上の142.81には1時間足の基準線がレジスタンスとして存在し、ここを抜けると読んだことが外れました。

また、3度目の追撃で、142.63で買ポジションを取ったことも判断ミスでした。この付近は、指標発表後の跳ねの高値からほぼ半値戻しの位置なので、再反発して上昇すると読みました。

いずれもその後、18時過ぎには再反発して、1時間足基準線に再トライしています。がしかし、それは結果論で、追撃で2回も損切となったことは仕方ありません。反省すべきは、それぞれレジスタンス上抜け、半値戻しで反発、の判断を先走り過ぎたことです。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 過去の傾向では、指標発表直後跳幅が平均24pipsと大きく、反応方向は鉱工業生産前月比の発表結果の良し悪しに最も影響を受けます。
    結果は、ほぼその通りになりました。

  • 過去の傾向では、早期追撃・短期利確に適しています。複数回の追撃も可ですが、指標発表から1分を過ぎたら順張り短期利確の繰り返しで追撃すべきです。
    結果は、発表から2-3分経過後から直後1分足値幅を削る動きに転じ、とても追撃に適していたとは言えません。ただこれは、確率上の問題なので、まだ次回から見直すようなことではありません。

  • 指標結果の事前分析結果は「わからない」が結論です。がしかし、もし直前10-1分足が陽線ならば、指標結果は総合的に市場予想を下回る可能性が高い、と思われます。
    結果は、直前10-1分足が陽線だったにも関わらず、指標結果は総合的に市場予想を上回りました。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前10-1分足は陰線と見込みました。損切は傷口を広げずに済みました。
  • 直前10-1分足が陽線だったため、指標発表直前に売ポジションを取得し、発表直後の跳ねで利確・損切を行いました。
    結果は損切で、偶然、ドンと戻った瞬間に損切できたようです。
  • 指標発表後に反応方向を確認したら、順張り追撃して早期利確しました。
    これは問題ありません。
  • 発表から1分を過ぎて、順張り追撃で短期利確を繰り返しました。
    結果は損切で、これは分析で反応を伸ばすと捉えていたので、仕方ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1706英国鉱工業生産530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

NZ(RBNZ)金融政策発表後のNZDJPY反応分析(2017年8月10日06:00発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月10日06:00にNZ(RBNZ)金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1708NZ政策金利110.png

※ 本稿は8月8日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

今回の市場予想は現状維持です。以下、特に断らない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だったときだけを集計・取り上げて記します。
2013年1月以降35回の発表のうち、そうした事例は24回あります。

本指標(「市場予想通り現状維持」だったとき)の特徴は以下の通りです。

  • 過去の傾向では、反応程度がかなり大きいものの、反応方向は事前予想できません。
  • 過去の傾向では、発表後の追撃を早期参加・短期利確で開始します。発表から1分を過ぎたら上下動の波にうまく乗って順張り短期追撃の繰り返しが良いでしょう。
  • 今回の市場予想は、直近のRBNZ声明・幹部発言に沿った予想です。前回声明では「当面の利上げなし」、その後も同様の発言がRBNZ総裁からありました。


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反応性分析の結果は以下の通りです。

1708NZ政策金利150.png

「次の政策変更がいつか」に関心が高かった以前に比べ、「当面の政策変更なし」と見なされている最近は、やや反応が小さくなっています。

過去の反応分布は次の通りです。
反応分布は、市場が最も素直に反応していると見なせる直後1分足跳幅の分布です。

  • 22pips以下だったことは21%
  • 23-44pipsの範囲だったことは37%
  • 45-66pipsの範囲だったことは25%
  • 67-88pipsの範囲だったことは13%
  • 89pipsいじょうだったことは4%

指標発表時点において、直後1分足と直後11分足とが同方向に反応したことが92%あります。そして、両者が同方向に伸びたとき、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことが95%です。
よって、反応方向を確認したら、早期追撃開始すると良いでしょう。

けれども、発表から1分が過ぎると、直後1分足終値を直後11分足終値が超えたことは54%となります。両者方向が反転するリスクは小さい(8%)ものの、直後1分足値幅をそれからは削ることが38%となっています。
よって、発表から1分を過ぎたら、ポジションを持ち続けない方が安全です。

発表から1分を過ぎても、反応が伸び続ける確率の方が、そうでない確率より高いので、再追撃自体は問題ありません。上下動しながら反応を伸ばしていくことが多いので、高値(安値)掴みに気を付けて、無理にだったらポジションを取らない方が良いでしょう。

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過去の政策金利発表結果と直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。以下3図は過去全データで、「市場予想通り現状維持」だけではありません。

1708NZ政策金利210.png

1708NZ政策金利310.png

1708NZ政策金利320.png

こんなものかと眺めて下さい。滅多に長いヒゲを形成していないことがわかれば、それでいいでしょう。

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NZ1-3月期GDP前年比は+2.5%で、10-12月期の+2.7%から僅かに低下しました。でも+2.5%です。地震復興需要が一段落ついたら、人口増とそれに伴う住宅投資拡大が経済成長を支えています。直近の好材料は、主要産品の乳製品国際価格が5月後半から持ち直していることです。そして、1-3月期CPI前年比は+2.2%で、RBNZ目標中心値の2%を上回りました。

それにも関わらず、RBNZは6月22日に「2019年の遅い時期まで利上げを開始しない見込み」と発言しています。インフレが加速する懸念よりも、目標以下のインフレ状態が続くことを懸念しています。ただ、同総裁は9月退任予定(2017年2月7日発表)で、その後は2018年3月まで副総裁が代行を務めると発表されています。

【シナリオ作成】

以上の調査・分析結果に鑑み、取引シナリオは、発表後の早期順張り追撃・短期利確です。
発表後1分を経過したら、短期順張り取引の繰り返しです。
以上



U. 結果・検証

2017年8月10日06:00発表

以下は2017年8月10日20:50頃に追記しています。
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1708NZ政策金利510.png


結果は「市場予想通り現状維持」で、反応は陽線でした。

政策金利と同時発表される声明は未確認です。

RBNZ金融政策発表後の会見で、RBNZ総裁は「(現在の)政策を相当期間に亘って続ける」という方針を示しました。これは既に表明されていたことなので、新鮮さはありません。

緩和継続の理由について、1-3月期成長率が前期+0.5%だったことを挙げて「低金利で景気を下支えする」と述べました。インフレ率も低下したものの「そのうち目標範囲に戻る」との見方も示しました。RBNZのインフレ目標は年率1-3%です。

そして「NZDの下落を望む」と発言したようです。これもいつも通りの発言です。
ロイターの解説に依れば「RBNZはは歴史的に外為市場への介入には極めて消極的な姿勢」にも関わらず、「介入能力がある」ことを強調したそうです。そのためか、RBNZ総裁会見が行われた10:00頃から、NZDJPYは大きく下げています。

次回発表は9月28日です。

(5-2. 取引結果)

寝てました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 過去の傾向では、反応程度がかなり大きいものの、反応方向は事前予想できません。
    結果は、直後1分足跳幅が43pipsでした。本発表の過去平均よりも小さな反応だったものの、客観的に見ればかなり大きな跳幅です。

  • 過去の傾向では、発表後の追撃を早期参加・短期利確で開始します。発表から1分を過ぎたら上下動の波にうまく乗って順張り短期追撃の繰り返しが良いでしょう。
    結果は、リアルタイムで動きを見ていないので、定時直後の動きは論評できません。ただ、ローソク足を見る限りでは、初期に大きく跳ねたらあとは上下動が続いていたようです。結果論から言えば、順張りでの追撃よりも逆張りでの追撃の方が簡単だったように見えます。がしかし、直後1分足に対して直後11分足の反転確率が高くないので、やはり逆張りはできません。

  • 今回の市場予想は、直近のRBNZ声明・幹部発言に沿った予想です。前回声明では「当面の利上げなし」、その後も同様の発言がRBNZ総裁からありました。
    結果は「市場予想通り現状維持」でした。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは、発表後の早期順張り追撃・短期利確のみ、でした。
これはリアルタイムでチャートを見ていなかったので検証できません。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月06日

2017年8月第1週成績と、第2週主要指標反応pipsと、小分けにしてくれよって話

本ブログ記載の取引方法を検証するため、週次・月次で取引成績を記録しています。人にやり方を薦める以上、(個別取引はさておき)全体として間違っていないことを検証しておきたいからです。

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さて、米国雇用統計で発表される平均時給について、現在の平均時給水準は1%当たり約30円です。米国の平均時給の絶対額は約3千円で、今回の前月比+0.3%とは先月よりも約10円の時給アップということになります。

でも、これだけ時給があっても、米国のちょっとしたレストランで食事をすると、チップ15%も含めて、すぐに3千円ぐらいはかかります。

何で食事代がこんなにするのか。
料理の量がたくさん過ぎるのです。

日本食レストランでトンカツ定食を頼んだら、何と、大きめのトンカツが2枚も盛ってありました。チキンサンドなんて「大きすぎるだろう」と思わず言っちゃうぐらいでした。チキンが小さなパンを乗せてる料理は、ちっともサンドじゃないだろう。

だから「半分にしてくれ」って言っても駄目です。半分になっているのは、ウェイターやウェイトレスが「何で」って言う確率です。残せば持ち帰りが許される国だからです。チップ制のおかげで、彼らは意外なことにとても親切だったりします。とても気持ちよく包んでくれて、それを持って帰ってもう一度食べると、やっぱり気持ち悪くなっちゃいます。

でも、1回外食すると2食分です。2回も食べたい料理は少なくても、持ち帰りを頼めるのは、料理人に気まずい思いをしなくて済むので助かります。
これは、時給や食事が高いのだか安いのだかわからない、という話ではありません。
賃金上昇率が鈍化して消費減速を心配するぐらいなら「小分けにして売れよ」って誰か言ってやれよ。


【1. 8月第1W主要指標結果】

下図は、8月第1週に発表された指標の直後1分足跳幅と直後11分足値幅について、今回の反応pipsと過去平均pipsです。

201708W1反応結果.png

8月1日発表豪州金融政策は「市場予想通り現状維持」でした。図は「市場予想通り現状維持」のときの過去平均pipsとの対比となっています。
過去の「市場予想通り現状維持」のときと比べて、初期反応・その後反応ともに平均並みの反応でした。当面「利上げ期待」が持てない、という市場認識を追認しただけの発表でした。

8月3日発表英国金融政策は「市場予想通り現状維持」でした。図は「市場予想通り現状維持」のときの過去平均pipsとの対比となっています。
GBPJPYが翌朝までに300pips近く下降する大きな反応を示しました。これは、直近の成長率・インフレ率が低下していたため、「利上げはないだろう」との観測が確認できたことと、MPCメンバーの利上げ派が増えなかったことに依る反応です。これらは全て「市場予想通り」でした。
前回6月MPCの反応も大きかったので、その反動もありました(6月は発表直後に100pipsも跳ねる反応でした)。今回の発表結果は市場予想通りだったものの、MPCメンバーのうち新たに1名「利上げ派」が現れる可能性があったため、発表までGBPJPYは下落していなかったのです。発表と同時に、そのツケが現れた形でした。

8月4日発表米国雇用統計は、過去平均をやや上回る反応でした。先に発表されていたISMの雇用指数やADPが前月結果を下回っていたのに、NFPが前月より増加し、平均時給も市場予想通り0.3%に増えたことが原因と思われます。
USDは、ここ最近、良い材料が少なくて米政権への漠然とした不安からだらだら下げていました。この下げていた分は、この発表でほぼ取り返しました。さすが雇用統計です。


【2. 8月第1W成績】

8月第1週の取引結果を纏めておきます。

201708W1取引結果.png

8月第1週は11指標で取引を行いました。

取引時間は84分28秒(1指標当たり7分41秒)で、損益はいつも1枚ずつの取引で+23,446円(1指標当たり+2,131円)でした。
20pips以上利確できた指標が、英国製造業PMI・同サービス業PMI・英国金融政策・米国雇用統計の4指標もあったので、それらの追撃で取引時間がやや長くなってしまいました。

勝率は、指標単位で82%(9勝2敗)、シナリオ単位では77%(27勝8敗、含シナリオ外取引3)でした。
シナリオ勝率を指標勝率が上回っており、問題ありません。
本ブログで最も採用数が多いシナリオ「発表後に順張り追撃しやすい指標で順張り追撃」の勝率が高くて、稼げているのです。次週も同じやり方で問題ありません。


【3. 8月第2W主要指標】

次週8月第2Wの主要指標の過去平均反応を示します。

※ 直後11分足跳幅と値幅が入れ替わっていました。青が跳幅で、橙が値幅です。
※ 米国PPIとCPIの発表順が入れ替わっています。
※ 出先で作成済図面の訂正ができないので、申し訳ありません。

201708W2過去平均.png

次週はあまり指標発表がありません。

NZ(RBNZ)金融政策は追撃だけでも稼ぎやすく、起きて取引できるかが最大の問題という指標です。どちらに反応するにせよ、あまり欲張らずに上下動を慎重に見極めて順張り追撃で1・2回は稼ぎましょう。
前回発表時の事前分析・事後検証はこちらです。

英国鉱工業生産指数は、主要国実態指標で最も動く指標のひとつです。本指標は、英国指標だから大きく反応するということもありますが、市場予想が一方に偏りがちでアテにならないから、予想とのズレが生じやすくて、大きく反応しやすいのかも知れません。
前回の事前分析・事後検証はこちらです。

米国CPIは、久しぶりに米国小売売上高と別に発表されます。ここ最近は、反応方向により直結する小売売上高ばかり分析していたので、CPIの分析は久しぶりに行うことになります。
前日に発表されるPPIとは、弱い相関があるようです。但し、PPIの先行性は認められず、同月集計結果が前月に対して増えるか減るかということについての相関です。事前に前日発表のPPI結果も確認しておきましょう。
前回発表時の事前分析・事後検証はこちらです。こちらは、同時発表された小売売上高の分析・検証となっています。

その他、8月8日(時間不定)には中国貿易収支、8月9日10:30には中国CPI・PPI、が発表されます。結果次第で、AUDが少し動くかもしれません。
以上


2017年08月04日

米国雇用統計発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月4日21:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月4日21:30に米国雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

雇用統計の内訳は多岐に亘ります。反応への影響が大きい主要項目について、下表に前回結果と市場予想を纏めておきます。予想は本記事作成時点の値なので、発表直前にFX会社HP等でご確認ください。

1707米国雇用指標110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まるため、一見すると素直とは言えない場合も散見されます。
  • 発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確のタイミングを計った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに複数回の追撃を繰り替えすやり方には向いていない指標です。
  • 先に発表されるISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の雇用指数や、ADP民間雇用者数の結果は、雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料として、大してアテになりません。

定型分析の結果は以下の通りです。

1707米国雇用指標150.png

1707米国雇用指標160.png

1707米国雇用指標170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 指標結果の予想分析結論は、市場予想と同じく、総じて改善です。
    (1) 今回の市場予想は総じて前回結果よりも改善となっています。
    (2) 指標一致性分析の結果、事前差異と直後1分足の方向一致率が76%となっています。今回の事前差異はプラスなので陽線ということです。
    (3) がしかし、ISM製造業景況指数と同非製造業景況指数の雇用指数や、ADP民間雇用者数の結果は、総じて前月数値より減少しています。但し、これら指標と雇用統計の結果良し悪しは、最も一致率が高いADPですら60%しかありません。

  • 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
    (1) ときどき(頻度26%)直前10-1分足が10pips以上跳ねることがあります。がしかし、こうした動きが直後1分足の反応程度や方向を示唆している訳ではありません。慌てて釣られないようにしましょう。
    (2) ときどき(頻度23%)直前1分足が20pips以上跳ねることがあります。こうした事例では、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応した事例が多いようです(方向不一致率71%)。
    (3) 直後1分足の過去平均跳幅は50pipsにも達しています。
    過去平均の50pipsを超えたことは40%あるものの、この40%の事例において、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことは58%しかありません。同様に、終値同士を比較した場合も、反応が伸びたことは50%しかありません。
    この結果は過去の経験に反しています。
    雇用統計の初期反応が大きい場合、反応が長時間に亘って一方向に継続することが多いのです。よって、そうした大きく反応するときには、発表から11分経過した頃に戻りが起きやすいと理解した方がしっくりきます。
    ならば、直後1分足が50pips以上跳ねたときには、この頃(直後11分足終値がつく頃)に再追撃を行うか否か、再びチャートと相談すれば良いのです。
    この項は、定量データによる裏付けがなく、過去の感触に基づくことにご注意ください。
    (4) 直後11分足は、過去平均跳幅が62pips、過去平均値幅が43pipsです。その差が19pipsあります。一方、直後11分足が平均値である62pips以上跳ねたことは10回(頻度33%)です。この10回の事例で、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均16pipsです。平均的には、大きく反応したからと言って、大きく戻す訳ではないようです。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 反応性分析の結論は次の通りです。
    まず、最近の反応は以前に比べるとやや小さくなりがちです。それでも20pipsぐらいは反応しています。
    そして、直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。その87%の方向一致時だけに注目し、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは81%に達しています。指標発表時点から見た反応方向が一方向に伸びがちなら、追撃は早期参加すべきです。「騙し」に気を付けて、一呼吸おいて追撃ポジション取得のタイミングを計りましょう。
    発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを計りましょう。直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは、意外に小さく50%しかありません。
    上下動が大きい動きをしがちなので、複数回の追撃も可です。高値(安値)掴みには気を付けましょう。
    (2) 反応一致性分析の結論は次の通りです。
    直前1分足は陰線率が83%と、偏りが目立ちます。また、前述の直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
    (3) 指標一致性分析結論は次の通りです。
    まず、事前差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ76%・69%です。本指標の総合的な市場予想は、前回結果より上回るか下回るかという点でよく当たっています。その結果、発表後の指標反応方向が素直になっています。「総合的な市場予想」とは本文記載の判別式の結果を指しています。
    そして、素直に反応することは、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率に現れています。それぞれ90%・87%とかなり高い確率となっています。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表前にポジションを取得し、発表直後の跳ねで決済します。但し、このシナリオは、いつもの半分の規模のポジションで取引します。
    (3) 追撃は、発表から1分以内に行い、1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ります。
    (4) 発表から10分頃に、再度追撃を行うか否かを決めます。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃です。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

米国雇用統計は、市場の関心が最も高い経済指標として有名です。

過去に最も反応したのはNFP(非農業部門雇用者数)ですが、最近は平均時給への注目が高まっています。これは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、FRBは平均時給の上昇に関心があるのです。

最も市場の関心を集めるだけに、雇用統計の結果を事前分析した記事は、毎月数多く見受けられます。
例えば、ISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の内訳には、雇用指数というのがあります。また、ADP民間雇用者数も有名です。同月のこれら指数・指標結果に絡めて、当月の雇用統計の結果を論じる記事は、かなり多く見受けられます。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707米国雇用指標120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で50pipsにも達しています。反応が非常に大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707米国雇用指標210.png

1707米国雇用指標220.png

1707米国雇用指標230.png

過去の事前差異・事後差異・実態差異をそれぞれ求めます。そして、各差異がどの程度だったときにどう反応するかを求めておきました。結果、

1✕NFP増減の差異[万人]+10✕失業率の差異[%]+30✕平均時給の差異[%]


という式の符号と、直後1分足の反応方向の一致率が高くなりました。
例えば、この式で事後差異を求めて直後1分足との方向一致率を求めると90%になります。

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先に発表された前記3指標の7月分結果は次の通りです。

  • ISM製造業景況指数の雇用指数は前月より低下
  • ISM非製造業景況指数の雇用指数は前月より低下
  • ADP雇用統計の民間雇用者数は前月数より減少

つまり、雇用関係指標は、前回結果よりも総じて悪くなっています。

そして、4週平均週次失業保険受給者数は、7月6日発表が24.3万人、8月3日発表が24.2万人です。失業保険受給者数はやや減っています。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅がその1.5倍の10pips以上だったことは過去8回(頻度26%)あります。
この8回の直後1分足跳幅は46pipsで、これは直後1分足の過去全平均50pipsとほぼ同じです。また、この8回の直前10-1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(一致率38%)です。
つまり、直前10-1分足の反応がいつもより大きくても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

1707米国雇用指標310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅が16pipsです。16pipsという数字は、多くの指標の発表直後反応と同じぐらい動いています。
この跳幅が20pips以上だったことは過去7回(頻度23%)です。
この7回の直後1分足跳幅の平均は53pipsで、これは過去全平均50pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは2回(一致率29%)です。
つまり、直前1分足の反応が20pips以上に達しても、それが直後1分足の反応が大きいとは言えません。但し、こうした場合には、直後1分足が直前1分足と逆方向に反応することが多いようです(71%)。

1707米国雇用指標320.png

そして、直後1分足の過去平均跳幅は50pipsです。
過去平均の50pipsを超えたことは12回(頻度40%)です。この12回の事例では、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えたことが7回(58%)です。終値同士を比較した場合、反応が伸びたことは6回(50%)です。
直後1分足が大きく跳ねても、その後に反応を伸ばし続けるとは言えません。

この結果は過去の経験に反しています。
雇用統計の初期反応が大きい場合、反応が長時間に亘って一方向に継続することが多いのです。よって、そうした大きく反応するときには、発表から11分経過した頃は、戻りも起きやすいと理解した方がしっくりきます。
ならば、直後1分足が50pips以上跳ねたときには、この頃(直後11分足終値がつく頃)に再追撃を行うか否か、再びチャートと相談すれば良いのです。
この項は、定量データによる裏付けがなく、過去の感触に基づくことにご注意ください。

1707米国雇用指標330.png

直後11分足は、過去平均跳幅が62pips、過去平均値幅が43pipsです。その差が19pipsあります。
一方、直後11分足が平均値である62pips以上跳ねたことは10回(頻度33%)です。この10回の事例で、直後11分足の跳幅と値幅の差は平均16pipsです。平均的には、大きく反応したからと言って、大きく戻す訳ではないようです。

1707米国雇用指標340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下図に示します。

1707米国雇用指標150.png

もともと雇用統計への関心は、FRBの金融政策に影響を与えるため、です。FRBの今後の方針がかなり明確に市場に認知され、且つ、雇用情勢の今後推移に安心(賃金を除く)ことが最近のFOMC声明で表明されているため、最近の反応は以前に比べるとやや小さくなりがちです。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は87%です。そして、その87%の方向一致時だけに注目し、直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは81%に達しています。指標発表時点から見た反応方向が一方向で、且つ、一方向に伸びがちなら、追撃は早期参加すべきです。

但し、過去の経験から言えば、この分析に現れていない「騙し」が過去に散見されます。ここで言う「騙し」とは、発表と同時もしくは発表から3秒ぐらい、その後と逆方向に反応が生じることも多いのです。もちろん、3秒を過ぎて反転したこともあったでしょうから、これは特に記憶に残っている感触です。
追撃方向をあまり拙速に決めると、痛い目に遭うことも多いので、この点はご注意ください。

発表から1分経過時点での関心は、いつ利確(損切)するかと、追撃を何度も行うか、です。
直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは、意外に小さく50%しかありません。よって、発表から1分以内に取得した追撃ポジションは、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを見つけた方が良いでしょう。

複数回の追撃を行うなら、高値(安値)掴みには気を付けましょう。
通常の反応程度の指標では、15分足と1時間足のチャートでレジスタンスやサポートを事前に手元にメモしておくだけで、追撃の効率がだいぶ改善できます。がしかし、雇用統計は非常に大きく反応する指標です。4時間足と日足のチャートで、事前にレジスタンスやサポートをメモして手元に置いて取引した方が良いでしょう。

たったこれだけの習慣で、追撃の収益率は2倍になるものです。2倍というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
そして、経済指標発表時の取引で追撃の収益率が倍になるということは、指標発表時以外の取引の1日分の収益を時間圧縮して確保できるということです。1日分というのは感触で、定量的な裏付けはありません。
何かいちいち但し書きが面倒ですが、だいたいそういうことです。

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次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1707米国雇用指標160.png

直前1分足は陰線率が83%と、偏りが目立ちます。他のローソク足には、そういった単純な偏りが見受けられません。

そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率は87%です。反転リスクはあまり考えなくても良いものの、とはいえ、直後11分足が直後1分足の値幅を削ることもあります。直後1分足の反応が大きい指標だけに、その点は注意が必要です。

その他、先に形成されたローソク足が、後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。

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最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1707米国雇用指標170.png

まず、直前10-1分足や直前1分足の反応方向を示唆する兆候は見受けられません。

次に、事前差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率はそれぞれ76%・69%です。本指標の総合的な市場予想は、前回結果より上回るか下回るかという点でよく当たっています。その結果、発表後の指標反応方向が素直になっています。

そして、素直に反応することは、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率に現れています。それぞれ90%・87%とかなり高い確率となっています。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月4日21:30発表

以下は2017年8月4日23:50頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707米国雇用指標510.png

NFPが予想(+18.3万人)を上回り(+20.9万人)、失業率(4.3%)と平均時給(+0.3%)は予想通りでした。反応は陽線でした。

NFP好調の目安である20万人を上回り、前回6月分集計値も上方改定されました。失業率4.3%は5月分集計と同じく16年ぶりの良い結果です。平均時給は+0.3%で、これも前月結果+0.2%を上回りました。
陽線で平均以上の反応となったことは当然です。

ちなみに、現在の平均時給水準では1%当たり約30円です。米国の平均時給の絶対額は約3千円で、今回の前月比+0.3%とは約10円の時給アップということになります。
これだけ時給があっても、ちょっとしたレストランで食事をすると、チップ15%も含めて、すぐに3千円ぐらいはかかります。
何で食事代がこんなにするのか。
たくさん食べるからからです。日本食レストランでトンカツ定食を頼んだら、何と、大きめのトンカツが2枚も盛ってありました。食事代が高いか安いかはさておき、「こんなに食えない」というのが、実際の感覚です。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707米国雇用指標520.png

問題ありません。
問題は、後述するシナリオに複数ありました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を検証しておきます

  • 事前分析結論は次の通りです。
    「指標発表から1分間の反応は極めて大きいため注意が必要です。その間の反応方向は、本指標取引に多くのプロが参加するため、個別項目の良し悪しだけでなく総合的な解釈によって決まるため、一見すると素直とは言えない場合も散見されます。」

    今回は単純に「NFPが予想を上回り、且つ、20万人を超えていたおり、且つ、他の主要項目が予想通り」だったため、素直に陽線で反応しました。
    上記の複雑な動きは「NFPが予想を上回り、平均時給が予想を下回った」ようなときに生じます。
    説明が抽象的なので、来月はもう少し具体的な文章に見直します。

  • 事前分析結論は次の通りです。
    「発表から1分を過ぎると、それ以前のポジションは一旦利確のタイミングを計った方が良さそうです。そして、発表から10分を過ぎた頃に、再度の追撃可否をチャートと相談すると良いでしょう。やみくもに複数回の追撃を繰り替えすやり方には向いていない指標です。」

    今回の上下動は次のような動きでした。
    最初の高値は21:32でした。その後、10秒単位での上下動を含みながら、21:41に安値を付けました。21:43からは再上昇して21:59に2回目の高値を形成しました。そこからまた下げています。
    上下動の振幅・周期が大きいので、来月は結論内容を見直します。

  • 事前分析結論は次の通りです。
    先に発表されるISM製造業景況指数や同非製造業景況指数の雇用指数や、ADP民間雇用者数の結果は、雇用統計発表直後の反応方向を当てるための判断材料として、大してアテになりません。

    今回も分析通りに「アテ」になりませんでした。

  • 本文中に挙げた判別式符号は、事前差異・事後差異・実態差異のいずれもプラスでした。このように各差異の符号が全て一致するのは、2016年10月分以降、10回連続です。
    事前差異判別式の符号が事後差異・実態差異の符号とこれだけ一致する以上、発表直後に素直に反応さえしてくれれば、安定した勝率が期待できます。
    目下、初期反応の方向予想で最もアテになるのは、この判別式符号かも知れません。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオを検証しておきます。

  • 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線でした。
  • 直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に指標発表前にポジションを取得して、発表直後の跳ねで決済するつもりでした。但し、このシナリオは、いつもの半分の規模のポジションで取引するつもりでした。
    結果は、ポジション枚数を減らすことは出来ませんでした。取引は、直前10-1分足と直後1分足の方向は一致しました。

    ポジションを減らすことができなかった原因は、直前10-1分足の変化が小さかったので、その方向確認に手こずったためです。直前1分足のポジションを取ったために、そちらに気を奪われてなかなか陽線か陰線かを確認できなかったのです。指標発表を跨ぐ取引をするときに直前1分足のポジションを持つと、中途半端な直前10-1分足は1分足チャートから読み取るのが微妙な場合に面倒です(教訓1)。

    そして、直前1分足を決済してから数秒で次のポジション枚数を変更することは、思ったよりも手こずりました。そのためポジションを減らすのを諦めて、そのまま1枚での取引を行いました。大きな指標では、発表直前の値動きが激しく、せめて10秒前には次のポジションを取らないと、滑って注文が約定しません。この「直前1分足を決済してから、次のポジション枚数を変更する操作」は、複雑すぎました(教訓2)。

    あと、最初の跳ねで決済するつもりでしたが、上記のどたばたでタイミングを逸してしまいました。教訓2に同じですが、数日前から準備した分析やシナリオを、複雑な操作や約定ミスで取引機会を逸することは避けたいものです。仮に複雑な操作ができるように訓練しても、そうしたどたばたは操作ミスの元です(教訓3)。

    狙い通りの方向に直後1分足が反応したから良かったものの、このシナリオシーケンスは、要するに「机上の空論」でした。

  • 追撃は、発表から1分以内に行い、1分をを過ぎたら決済のタイミングを計ることにしていました。
    結果は、指標発表前に取得したポジションを決済しないまま、追撃ポジションを取りました。数秒程度で大きく反応する気配を感じたからではあるものの、もし反転したら利確をしなかった後悔と、大きな損切と、二重の苦痛を味わうところでした。

    こういうことは、瞬間的な判断が必要な指標発表直後にすべきではありません。どっちに反応が伸びるかなんて「絶対はない」のだから、おかしなことをすべきではなかったのです(教訓4)。

  • 発表から10分経過頃に、再度追撃を行うか否かを決めることにしていました。直後1分足跳幅が50pips以上の場合は再追撃が条件でした。
    結果は50pips以上だったので、追撃を実施しました。あまり粘らないので(そういう取引手法なので)幸いでしたが、結局、過去の傾向通りに伸びが再開したのは22:30頃からでした。

    このシナリオに関しては、分析対象外の期間を定量データ無しに行いました。データ無しに行うのは避けるべきでした。今週は取引指標が多くて、考えを纏めるのが雑だったと思います。このブログの統一テーマ(ほどほどの初心者向け)を忘れていました(教訓5)。申し訳ありません。


ともあれ、教訓の多い取引でした。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707米国雇用指標530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月03日

豪州実態指標「小売売上高」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年8月4日10:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月4日10:30に豪州実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1706豪州小売売上高110.png

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度はあまり大きくありません。反応方向は、発表直後こそ素直なものの、時間経過とともにどちらに反応が進むのかがわからなくなります。
  • 追撃は慎重に行う必要があります。発表直後に追撃を開始したら、適当なところで利確して打ち切りましょう。

定型分析の結果は以下の通りです。

1706豪州小売売上高150.png

1706豪州小売売上高160.png

1706豪州小売売上高170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 指標結果の予想分析は省略します。

  • 過去のローソク足の特徴は省略します。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは67%です。また、発表から1分経過時点で、それからも反応が伸びて直後11分足を形成することは50%を切っています。
    追撃は可能な数字ですが、注意が必要です。
    (2) 直前1分足は陰線率が88%と、偏りが目立ちます。
    そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
    (3) 事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は各79%・77%で、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しています。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 指標発表直後に追撃を開始し、4分以内に利確します。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。

豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされています。

その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、今後も堅調に拡大していくと見込まれています。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1706豪州小売売上高120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。反応はあまり大きくありません。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 12pips以下だったことは28%
  • 13-17pipsが38%
  • 18-24pipsが17%
  • 25-34pipsが14%
    35pips以上は3%

です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1706豪州小売売上高210.png



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1706豪州小売売上高310.png

1706豪州小売売上高320.png

1706豪州小売売上高330.png

1706豪州小売売上高340.png




【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下表に示します。

1706豪州小売売上高150.png

直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは67%です。また、発表から1分経過時点で、それからも反応が伸びて直後11分足を形成することは50%を切っています。
追撃は可能な数字ですが、注意が必要です。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1706豪州小売売上高160.png

直前1分足は陰線率が88%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。

最後に、指標一致性分析の結果を下図に示します。

1706豪州小売売上高170.png

事後差異・実態差異と直後1分足との方向一致率は各79%・77%で、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しています。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月4日10:30発表

以下は2017年8月4日20:20頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1706豪州小売売上高510.png

結果は市場予想を上回り、反応は陽線でした。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1706豪州小売売上高520.png

追撃は高値掴みをしてしまい、損切となりました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を検証しておきます。

  • 過去の傾向では、反応程度があまり大きくありません。反応方向は、発表直後こそ素直なものの、時間経過とともにどちらに反応が進むのかがわからなくなります。
    結果は発表直後19pips跳ねており、これは過去平均17pipsとほぼ同じです。また、取引対象期間において、陽線から同値となっていますが、その後はまた再反転をしています。
    この内容で来月も構いません。
  • 過去の傾向では、追撃を慎重に行う必要があります。発表直後に追撃を開始したら、適当なところで利確して打ち切りましょう。
    結果はこの内容で問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオを検証しておきます。

  • 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線でした。
  • 指標発表直後に追撃を開始し、4分以内に利確するつもりでした。
    結果は損切でしたが、直後11分足は結局、始値同値で終わっています。シナリオには問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1706豪州小売売上高530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

米国景気指標「ISM非製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月3日23:00発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月3日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

本発表に先立つ22:45に「非製造業PMI」が発表されます。非製造業PMIと本指標とは同月分集計結果の発表となるので、何らかの影響があると考えられるものの、両指標の相関についてはまだ調べていません。来月には両指標の対比分析を間に合わせたいと思います。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707米国ISM非製造業110.png

※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 本指標には妙な特徴があります。
    市場予想が前回結果より低めになりがち(72%)です。がしかし、実際の発表結果が前回結果を下回ったことは47%です。
    こうした特徴を持った指標は他に見当たらないことから、市場予想が最もアテにならない指標だと言っても良いでしょう。
  • 過去の傾向では、反応程度があまり大きくありません。また、反応方向は素直なものの、その方向に反応が伸び続ける訳でもないようです。
  • 過去の傾向では、指標発表後は順張り早期追撃を開始して、適当なところで切り上げた方が良いでしょう。

定型分析の結果は以下の通りです。

1707米国ISM非製造業150.png

1707米国ISM非製造業160.png

1707米国ISM非製造業170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 指標結果の予想分析結論は「わからない」です。
    (1) 市場予想が最もアテにならない指標です。
    (2) 先に発表されたCB消費者信頼感指数と本指標とは、発表結果が前回結果より大きいか小さいかすら、アテになりません。

  • 過去のローソク足特徴の分析は割愛します。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅と直後11分足跳幅を比較すると、後者が反応を伸ばしたことが91%あります。方向一致率が高く跳値同士で反応が伸びている以上、追撃は早期参加です。
    そして、発表から1分経過時点では、直後11分足がそのまま伸びる場合と、直後1分足の値幅を削る場合と、直後1分足とは反転する場合、があります。終値で反応が伸びたことは50%に達していません。よって、追撃はほどほどのところで打ち切った方が良さそうです。
    (2) 直前1分足は陰線率が85%と、偏りが目立ちます。
    そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
    (3) 事前差異のマイナス率に72%という偏りがあります。市場予想が前回結果よりも低めに予想されがちです。その結果、直前1分足は事前差異との方向一致率が77%となっています。直前1分足が高いのだから、別々の分析結果に矛盾はありません。
    直後1分足は、本指標結果の良し悪しに素直に反応します。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 指標発表後は順張り追撃を早期開始し、ほどほどのところで利確です。ながながと取引しても、反応方向が定まらないという分析結果があります。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、過去データを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。

本指数の解釈は、50[ips](Index Points)を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。

なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「事業活動」「新規受注」「雇用」「入荷遅延」の4項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707米国ISM非製造業120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で15pipsです。反応があまり大きな指標ではありません。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 11pips以下だったことは37%
  • 12-15pipsが20%
  • 16-21pipsが23%
  • 22-30pipsが13%
  • 31pips以上は7%

です。
なかなか20pipsは超えられないようです。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707米国ISM非製造業210.png

1707米国ISM非製造業220.png

1707米国ISM非製造業230.png

一番上の景況指数グラフは、2016年8月をボトム(底)として、翌9月以降は高い水準で上下動をしながら停滞しているように見受けられます。今回は前回より低く予想されているものの、この上下動の範囲から抜け出すほどではありません。

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本指標は、前回結果と発表結果の入れ替わりが頻繁に起きており、「市場予想後追い型」ではありません。

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一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。
本指標の各項目が反応方向にどの程度影響しているのかは、次の式の「差異」に事前差異・事後差異・実態差異を代入して求めます。この式の解の符号の方向に、直後1分足は反応しがちです。

4✕景況指数の差異+2✕事業活動の差異+1✕(受注指数の差異+雇用指数の差異+価格指数の差異)


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先に発表された同月集計分のCB消費者信頼感指数と本指標との相関について調べておきました。

1707米国ISM非製造業250.png

注目すべき項は、実態差異の一致率です。上表に依れば、両指標の実態差異は43%しか一致していません。
よって、CB消費者信頼感指数の当月発表が前月結果よりも良くても悪くても、本指標の前月結果に対する良し悪しとは関係ありません。

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本指標発表直前にサービス業PMIが発表されます。サービス業PMIと本指標との関係は、まだ調べていません。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1707米国ISM非製造業310.png

1707米国ISM非製造業320.png

1707米国ISM非製造業330.png




【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果を下図に示します。

1707米国ISM非製造業150.png
まず、最近の反応は、過去の全平均より小さくなっています。

次に、直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その88%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅と直後11分足跳幅を比較すると、後者が反応を伸ばしたことが91%あります。方向一致率が高く跳値同士で反応が伸びている以上、追撃は早期参加です。

そして、発表から1分経過時点では、直後11分足がそのまま伸びる場合と、直後1分足の値幅を削る場合と、直後1分足とは反転する場合、があります。終値で反応が伸びたことは50%に達していません。よって、追撃はほどほどのところで打ち切った方が良さそうです。

次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。

1707米国ISM非製造業160.png

直前1分足は陰線率が85%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。

最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。

1707米国ISM非製造業170.png

本指標には妙な特徴があります。事前差異のマイナス率に72%という偏りがあります。市場予想が前回結果よりも低めに予想されがちです。
これは、調査期間中の全データが50[ips]を上回っていることと関係があります。数字が良すぎる期間が長く続くと、エコノミストはそろそろ悪くなる、と予想するのです。
その結果、直前1分足は事前差異との方向一致率が77%となっています。反応一致性分析で触れたように、直前1分足が高いのだから、別々の分析結果に矛盾はありません。

直後1分足と事後差異・実態差異の方向一致率は各79%・82%となっています。これは、本指標結果の良し悪しに素直に反応する、ということです。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月3日23:00発表

以下は2017年8月4日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707米国ISM非製造業510.png

結果は、価格指数を除き、前回結果を大きく下回りました。景況指数は、昨年8月以来の水準まで低下しました。
反応は陰線で、跳ねこそ過去平均より大きかったものの、値幅はあまり平均と変わりませんでした。指標結果に素直に下に行こうとしたものの、行かせてもらえなかった、といった感じです。

ともあれ、指標は直近ボトムの2017年3月分・2016年10月分を下回りました。事業活動の低下が△5.4[ips]にも達しています。が、どちらか言えば、最近のUSDは安くなっています。個人消費の低迷が原因なのでしょう。
翌日の雇用統計を控え、関心の高かった雇用指数は前月より△2.2[ips]低下しました。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707米国ISM非製造業520.png

追撃は、ほぼ一番安値になったときにポジションを取得してしまい、損切です。こんなこともあります。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を検証しておきます。

  • 本指標には妙な特徴があります。
    市場予想が前回結果より低めになりがち(72%)です。がしかし、実際の発表結果が前回結果を下回ったことは47%です。こうした特徴を持った指標は他に見当たらないことから、市場予想が最もアテにならない指標だと言っても良いでしょう。
    結果は大きく前回結果を下回ったのに、市場予想は僅かしか前回結果を下回っていません。過去の特徴通りの市場予想でしたが、発表結果は直近にない数値低下です。やっぱり、本指標の市場予想はアテになりません。

  • 過去の傾向では、反応程度があまり大きくありません。また、反応方向は素直なものの、その方向に反応が伸び続ける訳でもないようです。
    結果はほぼその通りでした。

  • 過去の傾向では、指標発表後は順張り早期追撃を開始して、適当なところで切り上げた方が良いでしょう。
    問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオを検証しておきます。

  • 直前1分足は陰線と見込んでいました。結果は陰線です。
  • 指標発表後は順張り追撃を早期開始し、ほどほどのところで利確のつもりでした。ながながと取引しても、反応方向が定まらないという分析結果がありました。
    シナリオには問題ありません。


下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707米国ISM非製造業530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

英国金融政策発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月3日20:00発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月3日20:00に英国金融政策が発表されます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707英国金融政策100.png

※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 8月4日追記です。今回はインフレ報告のある月でした。上表はそのままとし訂正しませんが、後掲述する「U.結果・検証」では発表値を載せました。

「市場予想通り現状維持」の場合、「市場予想に反した場合」や「金融政策変更があった場合」と反応が全く異なります。
よって、以下は特に断りがない限り、過去の「市場予想通り現状維持」だった場合に限定して分析します。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 今回の市場予想は現状維持となっています。直近の傾向は、金融政策変更を主張する委員の増減に大きく反応します。万が一にも市場予想が外れた場合を考えると、発表時刻を跨いだポジションはお勧めできません。大きく反応する指標では、地道に練習すれば、追撃だけで稼げます。
    おかしな話ですが、反応が小さい指標と大きい指標の両極端は、凝った分析をしても仕方ありません。前者はトレンドに、後者はプロ参加者に、我々アマチュアは強い者に巻かれちゃいましょう。
  • 過去の傾向では、反応程度が非常に大きくなっています。直近の傾向では、決定が現状維持でも金融政策変更を主張する委員が増減すると、大きく反応します。
  • 追撃は、早期参加して短期利確を様子を見ながら繰り返すと良いでしょう。

定型分析の結果は以下の通りです。なお、金融政策発表時は、指標一致性分析を行っていません。

1707英国金融政策410.png

1707英国金融政策420.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 市場予想は現状維持となっています。
    (1) 4-6月期GDP速報値は+1.7%で、1-3月期に比べて成長率が鈍化しました。懸案のコアCPI前年比も6月集計分は+2.4%で、前月より鈍化しました。
    (2) 英政権は6月総選挙後のごたごたが継続しており、まだ対EU交渉に挙国一致とは言えない状況です。
    (3) 前回MPC声明における利上げ前提条件は「EUの新たな貿易協定締結」「その移行期間設置の合意」などが挙げられています。BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しているものの、利上げ前提条件として「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を挙げています。いずれの条件もまだ満たせていません。
    (4) よって、今回は「市場予想通り現状維持」と見込みます。

  • 過去のローソク足の特徴の分析は省略します。
    本指標の反応は非常に大きくなることがあるため、予兆らしきことが起きても、それをアテにして決め打ちすることは危険です。そんなことをしなくても、大きく反応する指標では、追撃がうまくなれば稼げます。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに着目し、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅とを比較して反応が伸びていたことは84%です。最も反応が伸びるのは、発表直後でなく、発表から1分経過以降の方が圧倒的に多いのです。追撃は早期参加です。
    (2) また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例が57%あります。他に起こり得る「直後11分足が直後1分足の値幅を削る場合」「直後11分足が直後1分足と反転する場合」は各25%・18%となっています。発表から1分経過時点での順張り自体の勝率は57%と、心もとない数字なので、短期利確を繰り返して様子を見ながら追撃した方が良いでしょう。
    (3) 直前1分足には陰線率84%と、偏りが目立ちます。
    そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 追撃は早期参加し、短期利確を繰り返して徹底します。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

英国の政策金利は、英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)に決定権限があります。同委員会は、総裁1人・副総裁2人・行内委員2人・外部委員2人の合計9人で構成されています。現在は1名欠員しており、8人で構成されています。

MPCは原則毎月第1水・木曜日の2日間開催され、2日目の正午に政策金利が発表されます。その2週間後に議事録を公表し、2月・5月・8月・11月には四半期インフレ報告書を発表しています。

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現在の政策は次の通りです。

まず、直近の改定は2016年8月に0.5%から0.25%への利下げです。その前は2009年3月でした。このように、BOEはあまり頻繁に金利改定をしない、というイメージがあります。
量的緩和(QE)について、少なくとも2009年以降は規模を徐々に拡大し、直近では2016年8月に現在の4350億GBPに増やしました(いつQEを開始したのかは調べていません)。

前回MPC(2017年6月15日)では、BOEは金融政策の現状維持を決めました。政策変更にあたっては、EUの新たな貿易協定締結やその移行期間設置の合意など、EU離脱交渉次第という条件が挙げられました。その後、離脱交渉は進んでいません。

6月下旬には、BOE総裁が利上げ検討の必要性について言及しました。但し、利上げに当たっては「物価上昇に伴う消費減速を企業投資が補えるか」を前提に挙げていました。
けれども、ブリグジット交渉が長期化しかねない現状では、企業投資だって増えるはずありません。利上げは無理そうでしょ、と言っているのです。

そして経済指標は、4-6月期成長率が1.7%に鈍化しました。
多くの解説記事で個人消費低迷が原因に挙げられています。それは、小売売上高前年比が昨年10月をピークに低下傾向が続いていることで確認できます(6月は改善)。それでも、物価上昇率は賃金上昇率を上回り続けています。
物価は、6月分の上昇がやや鈍化したものの、それでもコアCPI前年比は+2.4%、CPI前年比は+2.6%なので大きな上昇です。7月PMIは、製造業・建設業・サービス業が全て前月より低下しました。

政権は、6月総選挙で与党が過半数を割って以来、ごたごたが続いているようです。当然です。やらなくても良い選挙をやって、EU交渉基盤強化を図るつもりが逆になったのです。

かかる状況において、大きな政策変更が行える訳ないのです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707英国金融政策110.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で36pipsです。反応がかなり大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 18pips以下だったことは36%
  • 18-36pipsが16%
  • 37-54pipsが24%
  • 55-73pipsが16%
  • 73pips以上は8%

です。
珍しく分布に2こぶあります。市場の関心の高いテーマがあるときは、37pips以上反応するということでしょうか。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707英国金融政策210.png

1707英国金融政策220.png



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

1707英国金融政策310.png

1707英国金融政策320.png

1707英国金融政策330.png

1707英国金融政策340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

反応性分析の結果は次の通りです。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は76%です。そして、その76%の方向一致時だけに着目し、直後1分足跳幅と直後11分足跳幅とを比較して反応が伸びていたことは84%です。最も反応が伸びるのは、発表直後でなく、発表から1分経過以降の方が圧倒的に多いのです。追撃は早期参加です。

また、直後1分足終値がついた時点では、それからも反応が伸び続けて直後11分足終値が直後1分足終値を超えた事例が57%あります。他に起こり得る「直後11分足が直後1分足の値幅を削る場合」「直後11分足が直後1分足と反転する場合」は各25%・18%となっています。発表から1分経過時点での順張り自体の勝率は57%と、心もとない数字なので、短期利確を繰り返して追撃した方が良いでしょう。

次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。

直前1分足は陰線率が84%と、偏りが目立ちます。
そして、直前10-1分足と直後1分足との方向一致率は68%なので、取引参加者は3回に2回の割合で発表直後の反応方向を当てています。

指標一致性分析は金融政策発表時には行いません。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月3日20:00発表

以下は2017年8月4日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707英国金融政策510.png

結果は「市場予想通り現状維持」でした。委員の一人が退任したため、利上げ派は2名に減少しました。
また、インフレ報告は、成長率・インフレ率ともにおおむね下方修正されました。

反応は大きく陰線で反応しました。前月は利上げ気運の高まりを受けて大きく陽線で、当月がその後退で陰線です。これは雰囲気ですから、継続的に経済解説記事を読んでいなければ、こうした反応を理解しにくいと思います。
ともあれ、BOEの利上げはEU交渉の進展があって、且つ、成長率見通しが良くならなければ難しいでしょう。短期的にはどっちも無理です。

結局、GBPJPYは18時過ぎの高値146.72から、翌8月4日05:00に安値144.39まで233pipsも下げました(同時間帯にGBPUSDは126pipsの下げ)。
この反応に対し、BOE副総裁は「ちょっとぐらいなら利上げできるんじゃないかと思うし、(ちょっとの利上げなら)そんなに悪い影響なんてないんじゃないかな」みたいなことをラジオで発言した、と報道されています。でも、それを聞いた人たちがが「じゃあやれよ」と言ったかどうかは報道されていません。
そもそもGBP安がインフレ率を賃金上昇率よりも加速したから、生活が苦しくなって消費が落ちた、と報道されているのです。
てっきりそんなの無視して、BOEは「GBP安を作り出して企業業績(輸出業績)を支援することで、英国は(EU離脱しても)大丈夫と思わせる」狙いかと思ってました。そうではなかったようですね。
わざわざ1年、同じ床屋に通ってゴルゴ13全巻を読んだから、陰謀を疑う癖がついたのかも知れません。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707英国金融政策520.png

問題ありません。
更に追撃することも考えたものの、この後のISMや翌日に控えた雇用統計への動きがどうなるか読めなかったので止めました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を検証しておきます。

  • 今回の市場予想は現状維持となっていました。直近の傾向は、金融政策変更を主張する委員の増減に大きく反応します。万が一にも市場予想が外れた場合を考えると、発表時刻を跨いだポジションは勧められません。
    結果は追撃成功で、特に大きく動いたので十分な利益を確保できました。来月も見直しの必要はありません。

  • 過去の傾向では、反応程度が非常に大きくなっていました。直近の傾向では、決定が現状維持でも金融政策変更を主張する委員が増減すると、大きく反応します。
    結果はその通りになりました。来月も見直しの必要はありません。

  • 追撃は、早期参加して短期利確を様子を見ながら繰り返すと良い、と考えていました。
    問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
  • 追撃は早期参加し、短期利確を繰り返して徹底するシナリオでした。問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707英国金融政策530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月3日17:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月3日17:30に英国景気指標「サービス業PMI」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

20:00にはBOE(MPC)金融政策の発表が予定されています。本指標発表前後の動きもいつもと違う可能性があるのでご注意ください。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707英国製造業PMI110.png

※ 本稿は8月2日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 最近の本指標実態差異(発表結果ー前回結果)は、EURGBPレートとの相関が見受けられます。
  • 過去の傾向では、反応程度が大きく、反応方向は素直です。
  • 過去の傾向では、指標発表後に早期追撃に入り、短期利確を繰り返すやり方が良さそうです。

定型分析の結果は以下の通りです。

1707英国製造業PMI150.png

1707英国製造業PMI160.png

1707英国製造業PMI170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 今回の指標結果は市場予想を下回ると予想しています。
    (1) 市場予想では前回結果を上回る、とされています。
    (2) 直近の発表結果には上下動があります。この上下動はEURGBPの動きとの相関が窺えます。もしこの相関が今回発表でも成り立つなら、今回発表値は前回結果を下回ります。
    (3) 先に発表された製造業PMIは、前月結果を上回っていました。製造業PMIとサービス業PMIの実態差異(発表結果ー前回結果)の方向一致率は約61%です。
    (4) (2)と(3)の分析結果が矛盾しています。分析が矛盾するときには、因果関係が強い方を採用します。直近の相関は(2)の方が高いことから、今回発表は前回結果を下回る、と予想します。これは、市場予想を下回る、という結論でもあります。

  • 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
    (1) まれに(頻度10%)直前10-1分足跳幅は、過去平均の1.5倍18pips以上動きます。がしかし、こうした事例において、指標発表直後1分足の反応や方向を示唆している兆候はありません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
    (2) たまに(頻度16%)直前1分足跳幅は、過去平均の1.5倍12pips以上動きます。がしかし、こうした事例において、指標発表直後1分足の反応や方向を示唆している兆候はありません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
    (3) ときどき(頻度23%)直後1分足跳幅が30pips以上動くことがあります。こうした事例では、発表から1分間に大きな跳ねから値幅が反転した(大きな跳ねの方向と陰線・陽線の方向が反転した)ことがありません。がしかし、1分を過ぎて反応が伸びるとは限りません。
    (4) まれに(頻度10%)直後11分足跳幅が50pips以上となります。こうした事例では、大きく反応が伸びた分だけ大きく戻りがちです。気をつけましょう。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは70%です。方向一致率が高く、発表から1分を過ぎて更に反応を伸ばした確率も高い以上、初期反応を確認したら早期参加です。
    また、直後1分足終値がついた時点から見た直後11分足終値は、そのまま反応を伸ばすことと、直後1分足値幅を削ることと、直後1分足と反転すること、の3通りが起こり得ます。本指標でそのまま反応を伸ばした事例は57%です。安心してポジションを持ち続けるには心もとない数字です。よって、追撃は短期利確の繰り返しが良いでしょう。
    (2) 直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
    そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは見受けられません。
    (3) 直前10-1分足は実態差異との方向一致率が72%です。もし直前10-1分足が陰線ならば、発表結果が前回結果を下回り、それは今回の場合だと市場予想も下回る、ということを示唆していることになります。
    直後1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各79%・82%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 直後1分足は、直前10-1分足が陰線のとき陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取得します。直前10-1分足が陽線の場合、取引を諦めます。
    (3) 追撃は初期反応を確認したら短期利確を繰り返しながら行います。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の意義は、企業購買担当者から直接調査した企業景況感を通じ、小売売上高を始めとする実態指標の先行きの予想根拠となることです。それは、経済成長率(GDP)の加速・減速・転換を知るヒントでもあります。
指数の解釈は、50[ips(Index Points)]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。

英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。がしかし、FX会社などの経済指標ランク分では、本指標は他国の景気指標と同程度かそれ以下の重要度・注目度に位置づけられることが多いようです。
けれども、我々は経済情勢自体にでなく、為替レートの動きに興味があります。そういう意味で、英国景気指標は主要国景気指標で最も反応が大きいため、最重要な指標と言えます。調査対象期間で最も大きく反応したときには110pipsにも達しています。米国ISMの反応なんて、本指標の足元にも及ばないのです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707英国製造業PMI120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で24pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 12pips以下だったことは27%
  • 13-24pipsが40%
  • 25-34pipsが16%
  • 34-48pipsが10%
  • 49pips以上は7%

です。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707英国製造業PMI210.png

2016年6月のブリグジット離脱国民投票直後が直近のボトム(底)になっています。その後、同年末まではGBP安による輸出好調によって企業景況感は急上昇しました。2017年に入ってからは上下動1.5回目で、今はその上下動のボトムにあたります。

先の急上昇がGBP安による輸出好調だったなら、今年に入っての上下動もGBP高・GBP安の影響かも知れません。確かめてみましょう。

確かめるなら、貿易額比率が大きいEURGBPについてでなければいけません。サービス業PMIとその調査月月初のEURGBPの関係は、PMIの直近ピークの2016年12月分を基準とし、

  • 2016年12月:56.2と0.85(基準)
  • 2017年 2月:53.3と0.86(↓対↑)
  • 2017年 4月:55.0と0.85(↑と↓)
  • 2017年 6月:53.4と0.87(↓と↑)

の関係があります。
EURGBP↑はGBP安、↓はGBP高ですから、因果関係も説明がつきそうです。

よって、現状のPMI上下動はEURGBPの動きと相関があると仮定します。このとき、今回7月分発表ではEURGBP0.88で↑なので、PMIは↓と予想されます。

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市場予想と発表結果の大小関係が、前月と入れ替わった回数は15回(50%)です。
入れ替わり頻度が多く、本指標は現在「市場予想後追い型」ではありません。

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製造業PMIとの方向一致率は、先月(7月5日6月分発表)に求めたばかりです。結果は実態差異の方向一致率が58%でした。
両指標の増減方向に関係がないとは断言しませんが、一致率が58%(概算最新値61%)なら他の情報をアテにした方がよさそうです。
一応付記しておくと、当月発表(7月分)の製造業PMIは前月より改善していました。

1706英国製造業PMI220.png

※ 本分析は2015年1月分から2017年5月分までのデータ(30回)に基づいています。先月発表6月分は、実態差異方向が一致していたので、3%程度、その一致率は上昇しています。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が12pipsです。跳幅がその1.5倍の18pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)しか一致していません。

1707英国製造業PMI310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は8pipsです。この跳幅が12pips以上だったことは過去5回(頻度16%)です。
この5回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足の過去全平均24pipsより小さくなっています。そして、この5回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(40%)しか一致していません。

1707英国製造業PMI320.png

直後1分足の過去平均跳幅は24pipsです。
平均値である24pipsは計算しにくいので、大きな反応の目安として30pipsと決めましょう。直後1分足跳幅が30pips以上も跳ねたことは、過去に7回(頻度23%)あります。この7回に着目すると、直後1分足が30pips以上の跳ねから逆方向に転じたことは、過去に1度もありません。但し、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことは3回(値幅を伸ばしたことが4回)です。反応が伸びるとは言えません。

1707英国製造業PMI330.png

直後11分足の過去平均跳幅・値幅は各33pips・20pipsです。その差は13pipsあります。
過去平均よりも大きく、直後11分足跳幅が50pipsに達した場合を観察してみましょう。そうした事例は過去3回ありました。この3回の直後11分足跳幅と値幅の差は平均24pipsです。つまり、大きく反応が伸びたときには、それに応じた大きな戻りがあります。

1707英国製造業PMI340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

結論は、巻頭に図示しています、そちらをご参照願います。

直後1分足と直後11分足との方向一致率は82%です。そして、その82%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が伸びたことは70%です。方向一致率が高く、発表から1分を過ぎて更に反応を伸ばした確率も高い以上、初期反応を確認したら早期参加です。

また、直後1分足終値がついた時点から見た直後11分足終値は、そのまま反応を伸ばすことと、直後1分足値幅を削ることと、直後1分足と反転すること、の3通りが起こり得ます。本指標でそのまま反応を伸ばした事例は57%です。安心してポジションを持ち続けるには心もとない数字です。
よって、追撃は短期利確の繰り返しが良いでしょう。

直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しは見受けられません。

直前10-1分足は実態差異との方向一致率が72%です。もし直前10-1分足が陰線ならば、発表結果が前回結果を下回り、それは今回の場合だと市場予想も下回る、ということを示唆していることになります。

直後1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各79%・82%です。本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応します。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月3日17:30発表

以下は2017年8月3日19:40頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707英国製造業PMI510.png

結果は前回・予想を上回り、反応は陽線でした。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707英国製造業PMI520.png

直前10-1分足は同値でした。がしかし、シナリオに反して指標発表直前にポジションを取り損切です。こういうのが一番いけませんね。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 事前分析では、最近の本指標実態差異(発表結果ー前回結果)は、EURGBPレートとの相関が見受けられる、と指摘していました。後述するように、だから陰線に賭けて売ポジションを取りました。結果は損切でした。

  • 過去の傾向では、反応程度が大きく、反応方向は素直です。
    結果は、直後1分足の反応がいつもより小さく、直後11分足で146.5付近のレジスタンスをブレークして大きく反応しました。

  • 過去の傾向では、指標発表後に早期追撃に入り、短期利確を繰り返すやり方が良さそう、と指摘していました。
    問題ありません。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオを検証します。

  • 直前1分足は陰線と見込みました。問題ありません。
  • 直後1分足は、直前10-1分足が陰線のとき陰線と見込み、指標発表直前にポジションを取得するつもりでした。直前10-1分足が陽線の場合、取引を諦めることにしていました。
    結果は、直前10-1分足が同値にも関わらず取引して損切です。シナリオには問題ありません。
    (3) 追撃は初期反応を確認したら短期利確を繰り返しながら行う、としていました。
    問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707英国製造業PMI530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月02日

米国雇用指標「ADP民間雇用者数鵜」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月2日21:15発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月2日21:15に米国雇用指標「ADP民間雇用者数鵜」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707ADP110.png

※ 本稿は8月1日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度はあまり大きくありません。指標結果の影響が最も顕著に現れる直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsしかありません。反応方向は素直です。
  • 追撃は早期参加に適しています。発表から1分を過ぎると、初期反応に順張り追撃にやや不安があります。
    但し、直後1分足跳幅が20pips以上となった場合は違います。直後1分足の方向に順張り追撃徹底です。
  • 他の複数の兆候から、今回の市場予想は少し高すぎる可能性があります。

定型分析の結果は以下の通りです。

1707ADP150.png

1707ADP160.png

1707ADP170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 指標結果の予想分析結論は次の通りです。
    (1) 前日に発表されたISM製造業景況指数の雇用指数は55.2(対前回結果△2.0)でした。 前週7月27日に発表された4週平均失業保険受給申請数は24.4万人でした。この数字は、7月6日に発表された24.0万人よりも僅かに増加しています。そして、7月20日に発表されたPhil連銀製造業景況指数の雇用指数は+10.9(対前月結果△5.2)でした。
    (2) つまり、Phil連銀とISMの雇用指数が前月より悪化し、失業保険受給者数も僅かながら増えています。
    それにも関わらず、今回の市場予想は前回結果より高めになっており、確認可能なデータとの矛盾が生じています。
    (3) 市場予想は少し高すぎるのではないでしょうか。

  • 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
    (1) まれに(頻度10%)直前10-1分足跳幅が10pips以上に達することがあります。がしかし、そうした動きが直後1分足の反応程度や方向を示唆している兆候はありません。
    (2) たまに(頻度13%)直前1分足跳幅が10pips以上に達することがあります。過去事例4回を見る限り、そうした動きが直後1分足の反応の大きさを示唆している兆候はありません。がしかし、この4回のうち3回で両者の反応方向が一致しています。アテにするには事例が少ないので、困った数字を見つけてしまいました。
    (3) 直後1分足の過去平均跳幅は17pipsです。
    平均値である17pipsは取引中にぱぱっと計算しにくいので、大きな反応の目安として20pipsと決めましょう。直後1分足跳幅が20pips以上も跳ねたことは、過去に11回(37%)あります。
    さて、この11回に着目すると、直後1分足が逆方向に転じたことは、過去に1度もありません。但し、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことは3回(値幅を伸ばしたことが8回)です。
    もし直後1分足跳幅が20pips以上となった場合、順張り追撃徹底です。
    (4) 直後11分足の過去平均跳幅・値幅は各22pips・15pipsです。
    過去平均よりも大きく、直後11分足跳幅が30pipsに達した場合を観察してみましょう。そうした事例は過去8回ありました。この8回の直後11分足跳幅と値幅の差は平均8pipsです。つまり、大きく反応が伸びるとき、その割に戻りが小さい傾向がある訳です。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅と直後11分足跳幅を比較すると、後者が前者を上回ったことは74%です。直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が大きくなる確率が高い以上、指標発表直後は反応方向に早期追撃です。
    そして、直後1分足終値がついた時点で次に起こり得ることは、そのまま反応を伸ばすことと、直後11分足が直後1分足値幅を削ることと、直後11分足が直後1分足と反転してしまうことです。それぞれの過去確率は52%・28%・21%です。あまり安心できないものの、順張り追撃できない確率ではありません。
    (2) 反応一致性分析の結果、本指標の反応方向には偏りがあります。直前1分足の陰線率が86%、直後1分足の陽線率が72%です。そして、両者の方向一致率は34%(不一致率66%)で、矛盾ありません。
    直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。本指標の取引参加者が発表後の反応方向を予見している兆候は見受けられません。
    (3) 指標一致性分析の結果、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各76%・83%となっています。本指標発表後の反応は、市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。
    取引基準の70%には僅かに足りないものの、実態差異と直後11分足の方向一致率は69%となっています。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) 直前1分足は陰線と見込みます。
    (2) 今回の市場予想は少し高めに思えます。一方、過去のデータに基づけば直後1分足は陽線に偏りが見られます。ふたつのことが示す直後1分足の反応方向は矛盾しています。分析結果に矛盾があるときは、単純な頻度よりも因果関係がある方を採用です。
    直後1分足は、今回の市場予想が高すぎると考えられるため、陰線と見込みます。指標発表直前に売ポジションを取ります。但し、発表直前までに市場予想が前回結果並みまで修正されたら、発表時刻を跨いだ取引は中止します。
    (3) 初期反応方向に早期追撃を開始します。もし、直後1分足跳幅が20pips以上なら、追撃は複数回に亘って徹底します。

以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標は、米国「雇用統計」を翌日(ないしは翌々日)に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。

本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。

これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。

このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。

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ADP民間雇用者数の前月との増減方向は、雇用統計NFPの増減方向との一致率が60%弱です。
この数値は、両指標について2015年1月以降2017年4月までの実態差異同士の方向一致率を調べた結果です。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707ADP120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。意外と小さいですね。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 8pips以下だったことは30%
  • 9-17pipsが33%
  • 18-24pipsが24%
  • 25-34pipsが16%
  • 35pips以上が7%

です。
17pips以下しか跳ねないことが全体の63%を占めています。


【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707ADP210.png



(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。跳幅がその2倍の10pips以上だったことは過去3回(頻度10%)しかありません。この3回の直後1分足跳幅は18pipsで、方向が一致したことは1回(33%)です。直前10-1分足の反応が10pips以上に達しても、それが直後1分足の反応程度が大きかったり、方向を示唆しているとは言えません。

1707ADP310.png

次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。この跳幅が10pips以上だったことは過去4回(13%)です。
この4回の直後1分足跳幅の平均は13pipsで、これは過去全平均17pipsよりもやや小さいぐらいです。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は3回(75%)が一致しています。

1707ADP320.png

直後1分足の過去平均跳幅は17pipsです。
平均値である17pipsは計算しにくいので、大きな反応の目安として20pipsと決めましょう。直後1分足跳幅が20pips以上も跳ねたことは、過去に11回(37%)あります。この11回に着目すると、直後1分足が逆方向に転じたことは、過去に1度もありません。但し、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことは3回(値幅を伸ばしたことが8回)です。
もし直後1分足跳幅が20pips以上となった場合、追撃徹底です。

1707ISM製造業330.png

直後11分足の過去平均跳幅・値幅は各22pips・15pipsです。
過去平均よりも大きく、直後11分足跳幅が30pipsに達した場合を観察してみましょう。そうした事例は過去8回ありました。この8回の直後11分足跳幅と値幅の差は平均8pipsです。つまり、大きく反応が伸びるとき、その割に戻りが小さい傾向がある訳です。

1707ADP340.png



【3. 定型分析】

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

各分析結果は、巻頭3図をご覧ください。

反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅と直後11分足跳幅を比較すると、後者が前者を上回ったことは74%です。直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が大きくなる確率が高い以上、指標発表直後は反応方向に早期追撃です。
そして、直後1分足終値がついた時点で次に起こり得ることは、そのまま反応を伸ばすことと、直後11分足が直後1分足値幅を削ることと、直後11分足が直後1分足と反転してしまうことです。それぞれの過去確率は52%・28%・21%です。あまり安心できないものの、順張り追撃できない確率ではありません。

反応一致性分析の結果、本指標の反応方向には偏りがあります。直前1分足の陰線率が86%、直後1分足の陽線率が72%です。そして、両者の方向一致率は34%(不一致率66%)で、矛盾ありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。本指標の取引参加者が発表後の反応方向を予見している兆候は見受けられません。

指標一致性分析の結果、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各76%・83%となっています。本指標発表後の反応は、市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。
取引基準の70%には僅かに足りないものの、実態差異と直後11分足の方向一致率は69%となっています。

【4. シナリオ作成】

巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上



2017年8月2日21:15発表

以下は2017年8月2日23:00頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1707ADP510.png

結果は前回を上回るものの予想を下回りました。反応は陽線で、市場はこの結果を良しとしたようです。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1707ADP520.png

全体的にはシナリオ外取引も含めてプラスに戻しましたが、大失敗です。
指標発表直前のポジションを取り損ね、反転を読み誤って追撃で損切となってしまいました。

【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)

事前調査分析内容を、以下に検証します

  • 過去の傾向では、反応程度があまり大きくありません。指標結果の影響が最も顕著に現れる直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsしかありません。反応方向は素直です。
    結果は反応程度が過去平均より小さく、反応方向は発表時点で素直だったものの、10秒後には反転しました。過去の傾向とは異なる結果です。
    過去傾向分析の結論の内容を見直す必要はまだありません。

  • 過去の傾向では、追撃は早期参加に適しています。発表から1分を過ぎると、初期反応に順張り追撃にやや不安があります。
    結果は、早期追撃するなら15秒を過ぎてから、が正解でした。過去の傾向では、順張り追撃への不安は発表から1分を過ぎてでしたが、かなり早く反転しました。
    過去傾向分析の結論を見直す必要はまだありません。

  • ISM製造業景況指数の雇用指数、週次失業保険受給者数、Phil連銀製造業景況指数の雇用指数は、いずれも対前月悪化を示していました。それにも関わらず、今回の市場予想は前回より高めでした。そのため、今回の市場予想は高すぎる、と予想していました。
    結果は、市場予想こそ下回ったものの、前回結果よりも雇用者数が増加していました。
    この結果を合理的に説明するには、非製造業の雇用が増えた、です。明日のISM非製造業の雇用指数を注目しておきます。


(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • 直前1分足は陰線と見込んでいました。
    結果は陰線でした。

  • 発表時刻を跨いだシナリオはやや複雑でした。
    今回の市場予想は少し高めだと考えていました。一方、過去のデータに基づけば直後1分足は陽線に偏りが見られました。ふたつのことが示す直後1分足の反応方向は矛盾していました。分析結果に矛盾があったので、単純な頻度よりも因果関係がある方を採用しました。
    直後1分足は、今回の市場予想が高すぎると考えられるため、陰線と見込みました。指標発表直前に売ポジションを取るつもりでした。
    指標結果は、前述の通り、前回を上回り予想を下回りました。反応は発表から15秒程度が陰線で、その後陽線に転じました。
    シナリオとしては、初期反応でひとまず利確・損切を指定していなかったため、外れと言えるでしょう。とはいえ、取引していれば最初の跳ねで利確していたでしょうから、この取引を逃したのは残念です。

  • 初期反応方向に早期追撃を行うつもりでした。
    実際の取引結果は、一番悪いタイミングで追撃を開始して損切となりました。


下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1707ADP530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年08月01日

米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月1日23:00発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年8月1日23:00にISM製造業景況指数が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。

今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。

1707ISM製造業110.png

※ 本稿は7月31日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。

本指標の特徴は以下の通りです。

  • 反応程度はあまり大きくありません。発表直後の過去平均跳幅は14pipsしかありません。
  • 反応方向は素直で一方向に反応を伸ばしがちです。
  • 指標発表後は早期参加・追撃徹底に適した傾向があります。

定型分析の結果は以下の通りです。

1707ISM製造業150.png

1707ISM製造業160.png

1707ISM製造業170.png

調査・分析結果は以下の通りです。

  • 指標結果の予想分析結論は次の通りです。
    (1) Phil連銀7月結果は6月結果を下回っていました。がしかし、過去実績から言えば、この増減方向は本指標の増減方向と52%しか一致しません。
    (2) NY連銀7月結果とPhil連銀7月結果は、ともに6月結果を下回っていました。両指標ともに前月結果と今月結果の差異方向が一致したことは、2015年1月分以降15回です。この15回のうちISMも同じ方向になったことは9回(期待的中率60%)です。
    (3) そして、今回は本指標発表の15分前に、製造業PMIが発表されます。先に挙げたNY連銀とPhil連銀と、この製造業PMIとが全て前月結果との増減方向が同じだったことは、同じ期間に7回ありました。この7回のうち5回(期待的中率71%)が、ISMも先行する3指標と同方向の発表結果となっています。
    アテに出来る期待的中率は、先行3指標の実態差異方向が一致した場合のみです。
    (4) 景況指数は「市場予想後追い型」のグラフ形状となっています。
    過去に発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは10回(34%)です。NY連銀・Phil連銀の結果から、今回は市場予想が低めに予想されている可能性があります(期待的中率66%)。

  • 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
    (1) ごくまれに(頻度3%)、直前10-1分足跳幅が12pips以上動いたことがあります。がしかし、このときは直後1分足の反応程度や方向とは関係ない動きでした。
    (2) まれに(頻度13%)直前1分足跳幅が8pips以上となることがあります。がしかし、そうした過去事例は、直後1分足の反応程度や方向と関係のない動きでした。
    (3) 直後1分足の過去平均跳幅は14pipsです。この平均値14pipsも跳ねてから、直後1分足が逆方向に転じたことは、過去に1度もありません(1度だけ、始値終値が同値ということがあります)。
    (4) ときどき(頻度27%)直後1分足跳幅が20pips以上になることがあります。そして、過去に直後1分足が20pips以上跳ねたこの27%の事例では、ただ1回を除いて直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて同方向に反応を伸ばしています。

  • 定型分析の結論は次の通りです。
    (1) 直後1分足と直後11分足との方向一致率が高く(79%)、且つ、方向一致時の直後1分足と直後11分足の跳幅同士で後者反応が伸びたことも高くなっています(91%)。指標発表直後は速やかに反応方向に追撃開始しても、失敗は少ないでしょう。
    そして、直後1分足終値がついた時点で次に起こり得ることは、そのまま反応を伸ばすことと、直後11分足が直後1分足値幅を削ることと、直後11分足が直後1分足と反転してしまうことです。それぞれの過去確率は64%・14%・21%です。よって、そのまま順張り追撃を持続ないしは複数回で徹底すべきです。
    (2) 直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。本指標の取引参加者が発表後の反応方向を予見している兆候は見受けられません。
    (3) 直前10-1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各74%・78%となっています。本指標の取引参加者は、発表結果が市場予想や前回結果を上回るか下回るかを、事前にほぼ正しく予見できている兆候が見受けられます。
    そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は79%となっています。本指標は発表結果に対して素直に反応します。

  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。。

(1) もし22:45に発表される製造業PMIが前月結果を下回った場合、売ポジションで本指標発表前追撃を開始します。指標発表前までに複数回の追撃も可とし、指標発表までにポジションは一旦解消します。
(2) 指標発表直前に買ポジションを取り、発表直後の跳ねで利確・損切します。
(3) 指標発表後は速やかにポジションを取得して、初期反応方向への順張り追撃を徹底します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。


T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。

【1. 指標概要】

本指標の意義は、(1) 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、です。そのため、本指標を「重要度・注目度が高い」と位置付けている指標解説は多いようです。
がしかし、後掲データで示す通り、反応(値動き)がそれほど大きくありません。取引を行う上での魅力度で言えば、それほど大事な指標ではありません。

本指数の解釈は、50[ips]を上回ると景気拡大・50[ips]を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50[ips]未満のときに利上げをしたことがないということ、です。

なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。

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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。

1707ISM製造業120.png

最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で14pipsです。

また上表分布を別の言い方で説明すると、

  • 7pips以下だったことは20%
  • 8-14pipsが33%
  • 15-20pipsが20%
  • 21-27pipsが20%
  • 28pips以上が3%

です。
20pips以下しか跳ねないことが全体の73%を占めています。

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多くの指標解説書籍・記事で、「NY連銀指標で動向を掴み、Phil連銀指標でそれを再確認して、ISM発表に臨むと良い」旨、記載されています。がしかし、この話はPhil連銀指標結果とISM結果の関係が、前回結果と今回発表の大小関係すら52%しか一致していない事実を踏まえていません(2015年1月分〜2017年4月分)。
「ありそうな関係」であっても、単月毎の両指標の結果増減を比較する限り、両指標には参考にすべき増減一致がありません。

当月分データについて考察しておきます。

6月分は、NY連銀・Phil連銀ともに指標結果が前月を下回っていました。
NY連銀とPhil連銀が両指標ともに前月結果を下回ったり上回ったりしたことは、2015年1月分以降先月までの30回で15回(頻度50%)あります。この15回のうち、ISMも同方向だったことは9回(期待的中率60%)です。

次に、本指標発表の前営業日もしくは当日t15分前には、製造業PMIが発表されます。先に挙げたNY連銀とPhil連銀と、この製造業PMIとが全て前月結果との増減方向が同じだったことは、同じ期間に7回しかありません。この7回のISMは5回(期待的中率71%)が、先行する3指標と同方向の発表結果となっています。



【2. 既出情報
(2-1. 過去情報)

過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。

1707ISM製造業210.png

NY連銀やPhil連銀と違って、現状までに下降基調転換の兆しは見受けられません。

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本指標では、内訳として受注指数・雇用指数・価格指数(名称は当方で勝手に名付けました)も発表されます。これに総合値である景況指数を加えた4項目が反応に影響します。

一般に、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は高くなります。この方向一致率が高いほど「素直に反応する」指標だと言えます。各項目毎に素直さを調べました。

1707ISM製造業260.png

結果、景況指数が最も反応方向に影響を与えていることが確認できました。
そして、発表後におかしな動きをするときは、雇用指数が大きく動いていることが多い、という感触があります。数日後には雇用統計が発表されるので、こうした感触を持つようになった事例が多かったいことも理解できます。

反応方向は、

4✕景況指数の差異+2✕受注指数の差異+3✕雇用指数の差異+1✕価格指数の差異

と捉えておくと、過去事例と高い確率でフィットします。こんな面倒な式は、発表直後にぱっぱと使えないので、景況指数と雇用指数の係数が大きいと覚えておけば十分です。

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景況指数は、「市場予想後追い型」に見受けられます。確かめておきましょう。
過去に発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことは10回(34%)です。グラフの見た目より入れ替わりが多いものの、本指標は「市場予想後追い型」です。
今回の市場予想は、NY連銀・Phil連銀の同月結果が低下したので、低すぎる値となっている可能性があります。


(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。

まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が6pipsです。跳幅がその2倍の12pips以上だったことは過去1回(3%)しかありません。この1回の直後1分足跳幅は3pipsで、方向は直前10-1分足と不一致です。
つまり、直前10-1分足の反応が12pips以上に達しても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
  • 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
    (1) もし22:45に発表される製造業PMIが前月結果を下回った場合、売ポジションで本指標発表前追撃を開始します。指標発表前までに複数回の追撃も可とし、指標発表までにポジションは一旦解消します。
    (2) 指標発表直前に買ポジションを取り、発表直後の跳ねで利確・損切します。
    (3) 指標発表後は速やかにポジションを取得して、初期反応方向への順張り追撃を徹底します。


  • 1707ISM製造業310.png

    次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。この跳幅が8pips以上だったことは過去4回(13%)です。
    この4回の直後1分足跳幅の平均は15pipsで、これは過去全平均14pipsとほぼ同じです。また、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回(25%)しか一致していません。
    つまり、直前10-1分足の反応が12pips以上に達しても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。

    1707ISM製造業320.png

    直後1分足の過去平均跳幅は14pipsです。
    平均値である14pips以上も跳ねてから、直後1分足が逆方向に転じたことは、過去に1度もありません(1度だけ、始値終値が同値ということがあります)。

    1707ISM製造業330.png

    直後1分足跳幅が20pips以上となったことは過去8回(頻度27%)です。そして、過去に直後1分足が20pips以上跳ねた8回は、ただ1回を除いて直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて同方向に反応を伸ばしています。
    1707ISM製造業340.png



    【3. 定型分析】

    反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
    反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
    指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

    各分析結果は、巻頭3図をご覧ください。

    反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足と直後11分足とを比較すると、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各91%・82%です。直後1分足跳幅よりも直後11分足跳幅が大きくなる確率が高く、指標発表直後は反応方向に早期追撃です。
    そして、直後1分足終値がついた時点で次に起こり得ることは、そのまま反応を伸ばすことと、直後11分足が直後1分足値幅を削ることと、直後11分足が直後1分足と反転してしまうことです。それぞれの過去確率が64%・14%・21%ですから、順張り追撃を徹底すべきです。

    反応一致性分析の結果、陽線・陰線への偏りはありません。
    そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が高いことを除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。本指標の取引参加者が発表後の反応方向を予見している兆候は見受けられません。

    指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事後差異・実態差異との方向一致率が各74%・78%となっています。本指標の取引参加者は、発表結果が市場予想や前回結果を上回るか下回るかを、事前にほぼ正しく予見できている兆候が見受けられます。
    そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は79%となっています。本指標は発表結果に対して素直に反応します。

    【4. シナリオ作成】

    巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
    以上



    2017年8月1日23:00発表

    以下は2017年8月2日に追記しています。
    U. 結果・検証

    【5. 発表結果】
    (5-1. 指標結果)

    本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

    1707ISM製造業510.png

    景況指数発表結果は、前回・予想を下回りました。内訳は、受注と雇用が前回を下回り、価格は前回を上回りました。
    反応は、発表前が陰線、発表直後が陽線、発表後時間経過して始値同値、となりました。

    なお、今回の数値低下は、そもそも先月発表6月分が2014年8月以来の約3年ぶりの高水準(57.8)でした。今回、低下したといっても56.3なので、悪い数字ではありません。ポイントは、上昇基調だった指数が下降に転じる恐れがあった点です。
    今回結果をプロットすると、まだ下降基調に転じた気配はありません。

    もともと現在は、7月11日高値114.5をピークとする日足下降トレンド中です。直近では7月27日高値111.3をピークとする時間足下降トレンド中でした。そして、このトレンドは8月1日17:30の110.2をボトムに21:00頃には110.6付近まで上昇していました。
    そして、21:30発表の個人所得が2016年11月以来の0まで低下し、本指標の市場予想が低かったことも踏まえ、再度下降に転じました。最終的に本指標発表前後には109.9付近まで低下しています。

    21:30に発表された個人所得は前回より大きく低下したものの、同時発表されたPCEコアデフレータは上昇しており、直近の低下傾向が止まったようにも見えます。そして、ISM製造業景況感は予想通り低下したものの、その低下幅が基調の下降転換とは言えない程度に留まった訳です。
    米経済は、一時ほどではないにせよ、そんなに悪くないように見受けられます。

    (5-2. 取引結果)

    取引結果は次の通りでした。

    1707ISM製造業520.png

    問題ありません。

    【6. 分析検証】
    (6-1. 分析検証)

    事前調査分析内容を、以下に検証します

    • 過去事例では、反応程度があまり大きくありません。発表直後の過去平均跳幅は14pipsしかありません。
      今回結果は13pipsなので、過去の平均的な反応レベルでした。

    • 過去事例では、反応方向が素直で一方向に反応を伸ばしがちです。
      今回結果は外しました。
      分析対象期間を過ぎてから、翌8月2日までUSDJPYはそれまでの下降基調が上昇に転じています。これは市場が今回の結果を「良」と見て、少なくともその影響が翌日まで続いていることになります。

    • 過去事例の分析結論では、指標発表後に早期参加・追撃徹底に適した傾向があります。
      分析対象期間の結果を外しておいて言うのも何ですが、この内容で来月も構いません。

    • 判別式があるので、検証しておきましょう。式は、

      4✕景況指数の差異+2✕受注指数の差異+3✕雇用指数の差異+1✕価格指数の差異


      です。
      この式に前回結果・市場予想・発表結果を代入して、事前差異・事後差異・実態差異を求めると、それぞれマイナス・プラス・マイナスです。
      指標発表前は陰線、発表直後は陽線、発表から時間経過とともに陽線側に引っ張られています。実態差異を除き、問題ありません。
      但し、実態差異をこの式で評価するには「前回より今回結果が悪ければ陰線側に振れる」という前提が必要です。前回より数字が悪くても、少し長い期間で見れば良い数字、という複雑なことは判別できません。
      よって、判別式に問題はありません。


    (6-2. シナリオ検証)

    事前準備していたシナリオを検証しておきます。

    • もし22:45に発表される製造業PMIが前月結果を下回った場合、売ポジションで本指標発表前追撃を開始することにしていました。指標発表前までに複数回の追撃も可とし、指標発表までにポジションは一旦解消するつもりでした。
      22:45発表のPMIは前回結果を上回り、本シナリオ取引を断念しました。結果は22:45以降も陰線でしたが、これは仕方ありません。期待的中率の高さを求めたので、惜しいけど仕方ありません。

    • 指標発表直前に買ポジションを取り、発表直後の跳ねで利確・損切することにしていました。
      これは問題ありません。こうした下降トレンドで、こうした指標低下予想のときも含めて、中長期で平均的に高い勝率を確保するための分析です。今回はそれが当たりました。

    • 指標発表後は速やかにポジションを取得して、初期反応方向への順張り追撃を徹底するつもりでした。
      これも問題ありません。


    下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

    1707ISM製造業530.png

    以上



    ーーー注記ーーー

    本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
    そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
    ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

    ーーー注記ーーー

    本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
    以上
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